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特開2024-64336荷役支援装置、荷役車両及び荷役支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064336
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】荷役支援装置、荷役車両及び荷役支援システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172845
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美徳
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FD11
3F333FD14
3F333FE05
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】好適にはい作業の支援を行う。
【解決手段】フォークリフト1は制御部27を備える。制御部27は、パレットP上に載置された複数の荷Hの上面の画像に基づいて、複数の荷Hが所定の配列パターンCで配置されているか否かを判定し、この判定結果に基づいて、荷役作業の支援を行う。これにより、はい付け状態の良否を好適に判定することができる。ひいては、当該判定結果に基づいて好適にはい作業の支援を行うことができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に載置された複数の荷の上面の画像に基づいて、前記複数の荷が所定の配列で配置されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、荷役作業を支援する支援部と、
を備える荷役支援装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記複数の荷の上面の画像から、前記複数の荷の上面それぞれの代表点を設定し、
複数の前記代表点が所定の配列で配置されているか否かを判定する、
請求項1に記載の荷役支援装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記荷の上面の画像と当該上面を含む領域を囲う線とが対応付けられた教師データによって機械学習された学習モデルを用いて、前記複数の荷の上面の画像から、前記複数の荷の上面を個別に含む複数の上面領域を抽出し、
前記複数の上面領域それぞれの前記代表点を求める、
請求項2に記載の荷役支援装置。
【請求項4】
前記複数の荷の適正な配列パターンを予め記憶する記憶部を備え、
前記判定部は、前記複数の代表点を前記配列パターンと照合して、前記複数の代表点が所定の配列で配置されているか否かを判定する、
請求項2に記載の荷役支援装置。
【請求項5】
前記複数の荷の上面の画像を取得する画像取得部を備え、
前記所定の配列は、平面視での二次元配列である、
請求項1に記載の荷役支援装置。
【請求項6】
前記画像取得部は、距離の情報を含んだ画像を取得するものであり、
前記画像取得部が取得した画像に基づいて、前記複数の荷が所定の高さ範囲内に配置されているか否かを判定する第2判定部を備える、
請求項5に記載の荷役支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の荷役支援装置と、
前記パレットを保持可能であり、かつ昇降可能な保持部と、
を備える荷役車両。
【請求項8】
当該荷役車両の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の荷が所定の配列で配置されていると前記判定部が判定した場合に、前記複数の荷に対する荷役作業を許可する、
請求項7に記載の荷役車両。
【請求項9】
請求項1に記載の荷役支援装置と、
前記荷役支援装置と通信可能な管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、前記荷の上面の情報をデータベース化して管理する、
荷役支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役支援装置、荷役車両及び荷役支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォークを備える台車でパレットを含む荷を重ねる際に、フォーク先端の三次元センサで載置先の荷の上面をスキャンし、陥凹部があった場合にその存在を提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6880950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、単純に上面の陥凹部の存在を提示するだけでは、特に非熟練者の作業者等は、そのまま荷を重ねて良いか否かの判断が難しい。そのため、フォークリフトにより複数の荷を積み上げる(又は積み降ろす)、いわゆる「はい作業」を好適に行うことが難しい。
本発明は、好適にはい作業の支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る荷役支援装置は、
パレット上に載置された複数の荷の上面の画像に基づいて、前記複数の荷が所定の配列で配置されているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、荷役作業を支援する支援部と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、好適にはい作業の支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るフォークリフトのはい作業時の側面図である。
図2】実施形態に係るフォークリフトの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】パレットパターンデータに含まれるパレットパターンの一例を示す図である。
図4】実施形態に係る荷役支援処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る荷役支援処理を説明するための図である。
図6】実施形態に係る荷役支援処理を説明するための図である。
図7】実施形態に係る荷役支援処理を説明するための図である。
図8】実施形態に係る荷役支援処理を説明するための図である。
図9】実施形態に係る荷役支援処理の変形例を説明するための図である。
図10】実施形態に係る荷役支援処理の変形例を説明するための図である。
図11】実施形態の変形例に係るフォークリフト及び管理装置の概略の制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
[フォークリフトの構成]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1のはい作業時の側面図である。
本実施形態に係るフォークリフト1は、本発明に係る荷役車両の一例であり、本発明に係る荷役支援装置を具備することにより、パレットP上の荷Hのはい付け状態を良否判定してはい作業を好適に行うものである。
「はい作業」とは、荷Hの上に荷Hを積み上げる作業(はい付け)や、複数段に積まれた荷Hを積み降ろす作業(はい崩し)等をいう。「はい付け状態の良否」とは、パレットP上に荷Hが適正にはい付けされているか否かをいう。
なお、以下の説明では、複数の荷Hがはい付けされたパレットPを「はい付けパレット体(G)」といい、はい付けパレット体G上に別のはい付けパレット体Gを重ねる作業を「はい付け(作業)」に含むものとする。本実施形態では、はい付けパレット体Gの最上段の複数の荷Hが所定の配列で配置されているか否かにより、はい付けパレット体Gの「はい付け状態の良否」を判定する。
【0010】
具体的に、フォークリフト1は、車体11、フォーク12、昇降体(リフト)13、マスト14、車輪15を備える。マスト14は車体11の前方に設けられ、図示しない駆動源によって駆動されて車体11の前後に傾斜する。昇降体13は、図示しない駆動源によって駆動され、マスト14に沿って昇降する。昇降体13には、荷物やパレットPなどを保持する保持部としての左右一対のフォーク12が取り付けられている。
【0011】
パレットPは、複数の荷Hを載置可能な荷受台である。パレットPは、2つの孔部(フォークポケット)eを有する矩形板状に形成され、この2つの孔部eに一対のフォーク12が挿入されることによりフォークリフト1に保持される。
【0012】
図2は、フォークリフト1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、フォークリフト1は、上記構成に加え、駆動部21、操作部22、表示部23、撮影部24、記憶部26、制御部27を備える。本発明に係る荷役支援装置は、少なくとも制御部27を含んで構成される。
【0013】
駆動部21は、フォークリフト1の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪15のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪15のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、昇降体13の昇降とマスト14の傾倒との各動作を行わせる駆動源である。
操作部22は、オペレータ(運転者)が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
【0014】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよいし、音声表示(出力)が可能なスピーカを含んでもよい。
【0015】
撮影部24は、本発明に係る画像取得部の一例であり、フォークリフト1の前方を撮影してその画像情報を取得し、取得した情報を制御部27に出力する。本実施形態の撮影部24は、昇降体13の下部に配置されており、昇降体13を上昇させたときに、前方に床置きされたはい付けパレット体G上の荷Hの上面が撮影範囲(画角)24Rに含まれるように、前方斜め下向きに設置されている(図1参照)。
なお、撮影部24は、荷Hの上面を含む画像を取得できるものであれば、得られる画像種別等は特に限定されず、例えばRGB画像を取得できるものでもよい。あるいは、撮影部24は、光や音波を走査して反射波を検出することで二次元形状又は三次元形状を取得するスキャナ装置であってもよい。あるいは、撮影部24は、距離情報(奥行き情報)を含む画像を取得可能なRGB-Dカメラ(デプスカメラ)、LiDAR(Light Detection And Ranging)、複眼カメラ等であってもよい。
【0016】
記憶部26は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を備えて構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。
本実施形態の記憶部26には、後述の荷役支援処理(図4参照)を実行するための荷役支援プログラム263のほか、学習モデル261とパレットパターンデータ262が予め記憶されている。
【0017】
学習モデル261は、画像から荷Hの上面を含む上面領域S(図6参照)を抽出するものである。学習モデル261は、例えば、上面を含む外接線等が付与された複数の荷Hのサンプル画像を教師データとした機械学習により、予め作成されて記憶部26に格納されている。学習モデル261は、深層学習されたニューラルネットワークを有するAI(Artificial Intelligence:人工知能)であってもよい。
【0018】
パレットパターンデータ262は、略一定サイズの複数の荷H(段ボール箱等)をパレットP上に積み付ける(はい付けする)場合における荷Hの配列パターン(パレットパターン)を示すデータである。図3(a)~(g)は、パレットパターンデータ262に含まれるパレットパターンの一例を示す図であり、具体的には(a)ブロック積み(平積み)、(b)レンガ積み、(c)ピンホール積み、(d)交互列積み、(e)ダブルピンホール積み、(f)スプリット積みである。「1段目」が最下段、「4段目」が最上段を示す。
ただし、パレットパターンは図3に示すものに限定されず、例えば大きさの異なる荷Hを含むもの等であってもよい。また、本実施形態の手法により、はい付けパレット体Gのはい付け状態を良否判定する場合、パレットパターンデータ262は少なくとも最上段の配列パターンのデータを含んでいればよい。
【0019】
制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を備えて構成され、フォークリフト1各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、操作部22の操作内容に基づいて駆動部21を動作させたり、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0020】
[荷役支援処理]
続いて、フォークリフト1がはい付け作業を行う際の荷役動作を支援する荷役支援処理について説明する。
図4は、荷役支援処理の手順を示すフローチャートであり、図5図8は、荷役支援処理を説明するための図である。
【0021】
荷役支援処理は、はい付け作業時に前方に床置きされたはい付けパレット体Gのはい付け状態を良否判定する処理である。この荷役支援処理は、制御部27が、所定の実行条件(例えばオペレータの実行操作等)に基づいて記憶部26から荷役支援プログラム263を読み出して展開することで実行される。
はい付け作業では、フォークリフト1が、床置きされたはい付けパレット体G上に、別のはい付けパレット体Gを持ち上げて載置する。ここでは、フォークリフト1が、別のはい付けパレット体Gを保持した状態で床上のはい付けパレット体Gの前方まで移動してきた後、フォーク12を床上のはい付けパレット体Gよりも上側まで上昇させた状態であるものとする(図1参照)。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、「はい付けパレット体」とは、フォーク12上に保持したものではなく、床置きされた車両前方のものを指すこととする。また、本実施形態のはい付けパレット体Gは、複数の荷Hがブロック積みされているものとする。
【0022】
図4に示すように、荷役支援処理が実行されると、まず制御部27は、撮影部24により、上側から見たはい付けパレット体Gの画像を取得する(ステップS1)。
このステップでは、制御部27は、オペレータの操作に基づいて、撮影部24を動作させ、フォークリフト1の前方に床置きされたはい付けパレット体Gの上面が撮影される。より詳しくは、昇降体13によりフォーク12を床上のはい付けパレット体Gよりも上側まで上昇させるに伴って、昇降体13と一体的に構成された撮影部24も当該はい付けパレット体Gよりも上側まで上昇し、当該撮影部24により当該はい付けパレット体Gを上側から見た画像が取得される。これにより、例えば図5に示すように、最上段の全ての荷Hの上面が確認できるはい付けパレット体Gの画像が得られる。この画像は記憶部26に記憶される。またこの画像は表示部23にリアルタイム表示させてもよい。
なお、撮影タイミングはオペレータの操作に基づくものでなくともよく、例えば所定の撮影タイミング(例えばフォーク12の上昇後)で定期的にフォークリフト1前方を撮影し、その画像からはい付けパレット体G(荷H)を検出することとしてもよい。
【0023】
次に、制御部27は、ステップS1で取得した画像を学習モデル261に入力し、当該画像から、複数の荷Hの上面を個別に含む複数の上面領域Sを抽出する(ステップS2)。
具体的には、例えば図6に示すように、ステップS1で取得した画像のうち、各荷Hの上面の領域(外接線)が、学習モデル261により上面領域Sとして抽出される。外接線とは、画像中の荷Hの上面に外接する最小の矩形(画像中における鉛直な線と水平な線とに囲まれる矩形)を意味する。学習モデル261は、例えばニューラルネットワーク等を利用した機械学習により、はい付けパレット体Gを上側から見た画像から各荷Hの上面領域Sを抽出するように予め構築されたモデルである。
なお、上面領域Sは、荷Hの上面を含む領域であればよく、荷Hの上面の外接線でなく、その外形線又は内接線等であってもよい。外形線とは荷Hの上面の外形に沿った形状を意味し、内接線とは画像中の荷Hに内接する最大の矩形(画像中における鉛直な線と水平な線とに囲まれる矩形)を意味する。荷Hを真上から撮影した場合、荷Hの外形線と外接線又は内接線とはほぼ一致する。
【0024】
次に、制御部27は、各上面領域Sの代表点Mを設定する(ステップS3)。
本実施形態では、代表点Mとして各上面領域Sの重心(すなわち幾何中心)位置が求められる。ただし、代表点Mは重心位置に限定されず、全ての上面領域Sに共通する位置(例えば、四隅のうち平面視で右下の角)等としてもよい。
【0025】
次に、制御部27は、全ての代表点Mが所定の配列(配列パターン)で配置されているか否かを判定する(ステップS4)。
ここでは、制御部27は、はい付けパレット体Gの最上段の荷Hの配列情報である配列パターンCを記憶部26のパレットパターンデータ262から読み出し、各代表点Mの位置と照合する。配列パターンCは、図7に示すように、代表点Mが配置されるはずの予定位置Bが、はい付けパレット体Gのパレットパターンに対応して配列された配列情報(画像情報を含む)である。本実施形態では、オペレータがはい付けパレット体Gのパレットパターンとして「ブロック積み」を選択することにより、パレットパターンデータ262からブロック積みの最上段の配列パターンCが読み出されて各代表点Mの情報と照合される。
具体的に、制御部27は、代表点Mの情報を配列パターンCと照合して、代表点Mの過不足の有無と、その配列(平面視での二次元配列)の規則性の良否とを判定する。制御部27は、代表点Mの数量と配列パターンCの予定位置Bの数量とが一致した場合には代表点Mに過不足なしと判定し、これらが一致しない場合には代表点Mに過不足ありと判定する。また制御部27は、全ての代表点Mが、対応する予定位置Bの範囲内に位置していた場合には代表点Mの配列の規則性が良好であると判定し、1つの代表点Mでも予定位置Bの範囲外に位置していた場合には代表点Mの配列の規則性が良好でないと判定する。
なお、オペレータがパレットパターンを選択する操作は、ステップS4の時点で行われてもよいし、予め行われていてもよい。また、オペレータによるパレットパターンの選択に代えて、全ての代表点Mの位置の情報から荷Hのパレットパターンを推定することとしてもよい。また、配列パターンCにおける各予定位置Bの範囲はオペレータが任意に設定できるのが好ましい。また、良否判定の条件は任意に設定でき、例えば所定数量以内または内側の代表点Mであれば欠落等していても良好と判定する、等としてもよい。
そして、全ての代表点Mが所定の配列で配置されていない(すなわち、代表点Mの数量に過不足があるか、または代表点Mの配列の規則性が良好でない)と判定した場合(ステップS4;No)、制御部27は、後述のステップS7へ処理を移行する。
【0026】
一方、ステップS4において、全ての代表点Mが所定の配列で配置されている(すなわち、代表点Mの数量に過不足がなく、かつ、代表点Mの配列の規則性が良好である)と判定した場合(ステップS4;Yes)、制御部27は、全ての代表点Mが判定用領域R内に収まっているか否かを判定する(ステップS5)。
このステップでは、ステップS4において代表点Mの二次元配列が良好であった場合に、その三次元位置(高さ位置)が良好であるか否かを判定する。具体的には、撮影部24による画像情報と併せて、その距離情報(奥行き情報)が得られる場合に、はい付けパレット体Gの最上段の荷Hの高さの良否を判定する。撮影部24による二次元の画像情報しか得られない場合等には、このステップを省略してもよい。
具体的に、撮像画像の距離情報を有する場合には、図8に示すように、各代表点Mの三次元座標を取得し、全ての代表点M(図では3つのみ例示)が高さ方向の判定用領域R内に収まっているか否かを判定する。判定用領域Rは、はい付けパレット体Gの最上段の各荷Hの上面高さが適正か否かを判定するためのものであり、その位置及び範囲が予め設定されている。ただし、判定用領域Rは、オペレータが任意に設定できてもよいし、各荷Hについて個別に設定できてもよいし、設定できるタイミングがいつであってもよい(例えば当該ステップS5の直前でもよい)。
なお、距離情報を得る構成は特に限定されず、例えば、撮影部24とは別に(又は一体的に)TOF(Time Of Flight)センサ等を設けてもよいし、上述したように撮影部24として三次元の点群データを含む画像が得られるRGB-Dカメラ(デプスカメラ)やステレオカメラ等を用いてもよい。もしくは、撮影部24の内部パラメータから、画像上のスケール(とアスペクト比)に基づいて距離を求めてもよい。
【0027】
ステップS5において全ての代表点Mが判定用領域R内に収まっていると判定した場合(ステップS5;Yes)、制御部27は、はい付けパレット体G上の荷Hが適正にはい付けされていると判定し、フォークリフト1に荷役(はい付け)作業の続行を許可する(ステップS6)。
ここでは、制御部27は、オペレータの操作に基づいて、フォーク12で持ち上げたはい付けパレット体Gを、床置きされたはい付けパレット体Gの上にそのまま載置させる。つまり、制御部27は、オペレータの操作に反してフォークリフト1の動作を制限することをしない。
このとき、制御部27は、床置きされたはい付けパレット体Gが適正にはい付けされていることをオペレータに報知してもよい。この報知態様は特に限定されず、例えば表示部23に「はい付けOK」と文字表示してもよいし、文字以外の画像等を表示させてもよいし、音声出力やランプ点灯等を行ってもよい。
【0028】
一方、ステップS5において、少なくとも1つの代表点Mが判定用領域R内に収まっていないと判定した場合(ステップS5;No)、もしくは、ステップS4において代表点Mが所定の配列で配置されていないと判定した場合(ステップS4;No)、制御部27は、はい付けパレット体G上の荷Hが適正にはい付けされていないと判定し、はい付けパレット体Gのはい付け状態の不良をオペレータに報知する(ステップS7)。これにより、土台となるはい付けパレット体Gの安定性が十分でない場合に、はい付けを続行しないようオペレータに警告できる。
具体的に、制御部27は、例えば表示部23に「はい付けNG」と文字表示する等して、床置きされたはい付けパレット体Gが適正にはい付けされていないことをオペレータに報知する。ただし、この報知態様は特に限定されず、文字以外の画像等を表示させてもよいし、音声出力やランプ点灯等を行ってもよい。
またここでは、制御部27は、現状の配列パターンを表示部23に表示させてもよい。この表示を見ることにより、オペレータは、いずれの荷Hの配置が適正でないかを認識することができる。
さらにここでは、制御部27は、駆動部21を制御し、フォークリフト1の動作を一時停止又は速度を低下させる運転制御を行って、荷役作業の続行を禁止又は制限してもよい。これにより、安定性の不十分なはい付けパレット体G上に別のはい付けパレット体Gが載置される事態を回避でき、ひいては荷崩れの発生を抑制できる。
【0029】
次に、制御部27は、荷役支援処理を終了させるか否かを判定し(ステップS8)、終了させないと判定した場合には(ステップS8;No)、上述のステップS1へ処理を移行する。
そして、例えばはい付け作業の終了等により、荷役支援処理を終了させると判定した場合には(ステップS8;Yes)、制御部27は、荷役支援処理を終了させる。
【0030】
なお、本実施形態では、複数の荷Hが所定の配列で配置されているか否かの判定結果に基づいて、荷役作業の支援が行われればよい。ここでの「荷役作業の支援」とは、上述したように、判定結果(複数の荷Hが所定の配列で配置されている又はされていない)の報知や、荷役作業の続行の許可又は制限を含む。
【0031】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、パレットP上に載置された複数の荷H(はい付けパレット体G)の上面の画像に基づいて、複数の荷Hが所定の配列で配置されているか否かが判定される。そして、この判定結果に基づいて荷役作業の支援が行われる。
これにより、土台となるはい付けパレット体Gの安定性を評価して荷崩れやその予兆を検出でき、荷役作業(はい作業)時の事故発生を抑制できる。
したがって、はい付けパレット体Gが適正にはい付けされているか否か、すなわち、はい付け状態の良否を好適に判定することができる。ひいては、当該判定結果に基づいて好適にはい作業の支援を行うことができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、はい付けパレット体Gの最上段の複数の荷Hが所定の配列で配置されていないと判定された場合に、当該判定結果が報知される(例えば表示部23に表示される)。
これにより、荷役の作業者(例えばフォークリフト1の運転者)は、はい付け状態の良否、すなわち荷崩れやその予兆等を、直ちに認識することができる。したがって、非熟練者の作業者等であっても、そのまま荷Hを重ねて良いか否かを容易に判断できる。ひいては、当該判定結果に基づいて好適にはい作業の支援を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、機械学習された学習モデル261を用いて、画像から上面領域Sが抽出される。
このように学習モデル261を用いることで、例えばはい付けパレット体Gの背景等に起因した上面領域Sの誤認識を抑制でき、少ない負荷でより正確な演算を実現できる。すなわち、カメラ画像上での荷の輪郭(エッジ)抽出や画像差分等に基づく手法では、複雑な背景下や環境変動が起こった場合にエッジや差分を正確に検出できないおそれがあるところ、学習モデル261を用いることで、より正確に上面領域Sを抽出できる。
また、荷Hとして使用可能性のあるものを予め学習モデル261に取り込んでおけば、荷Hが複数種類の場合等にも好適に対応できる。
例えば図9に示すように、荷Hが箱型以外のもの(袋状、棒状等)であっても、予め学習させておくことにより、好適にその上面(又は上面に対応する部分)を上面領域Sとして抽出できる。なお、図9では、荷Hの上面の外形線を上面領域Sとして抽出した場合を例示している。
あるいは、例えば図10(a)に示すように、上面が破損した荷Haや、他の荷Hとは種類の異なる荷Hbが混在していた場合であっても、予め学習させておくことにより、好適にこれらを検出できる。検出結果は、例えば図10(b)に示すように、荷Hの代表点Mとは異なる代表点Ma、Mbを表示させる等してオペレータに報知できる。破損した荷Haや種類違いの荷Hbは、例えば上面の大きさや形状、色、模様など、画像から取得可能な情報に基づいて識別できればよい。もしくは、正しい荷Hの形状等との一致率が所定値以下のものを、破損品又は別種のものとして検出してもよい。なお、図10(a)では、荷Ha、Hbの上面の外形線を上面領域Sa、Sbとして抽出し、その重心位置を代表点Ma、Mbとして設定した場合を例示している。
【0034】
また、本実施形態によれば、距離情報を含む画像を取得した場合に、この画像に基づいて、複数の荷Hが所定の高さ範囲内に配置されているか否かが判定される。
これにより、はい付けパレット体G上の複数の荷Hの配列を、平面視での二次元配列だけでなく、三次元的に評価することができる。したがって、より好適にはい付け状態の良否を判定することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、撮影部24がフォーク12と一体的に昇降可能に配置され、はい付けパレット体Gを保持したフォーク12とともに上昇された状態で、はい付けパレット体G上の複数の荷Hの上面の画像が取得される。
そのため、床置きされたはい付けパレット体G上に別のはい付けパレット体Gを載せる一連の作業の中で、床上のはい付けパレット体Gの荷Hの画像を取得して、そのはい付け状態の良否を判定できる。つまり、作業効率を殆ど低下させることなく、はい付け状態を好適に良否判定できる。
【0036】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、荷役支援処理では、パレットPに対する荷Hの相対位置を評価してもよい。この評価は、例えば、ステップS1で取得した画像から、パレットPの前面を含む領域(外形線)をパレット領域L(図6参照)として抽出してパレットPの位置情報を取得し、パレットPに対して最上段の各荷Hが所定の水平位置範囲内にあるか否かを判定すればよい。パレット領域Lの抽出は、学習モデルに依ってもよいし、他の画像処理に依ってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、荷役支援処理のステップS2において、学習モデル261により画像から上面領域Sを抽出することとしたが、エッジ抽出や画像差分等に基づく画像処理によって上面領域Sを抽出してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、パレットPに荷Hがはい付けされたはい付けパレット体Gを積み上げる場合について説明した。
しかし、荷役支援処理は、パレットP上に複数の荷Hをはい付けする(積み上げる)場合や、はい付けパレット体Gを積み降ろす場合にも適用できる。前者の場合には、各段ごとに画像を取得してはい付け状態(荷積み状態)の良否を確認しつつ、パレットP上に荷Hを積み上げることができる。後者の場合には、フォーク12で持ち上げるはい付けパレット体Gに荷崩れ等のおそれが少ないことを確認しつつ、はい付けパレット体Gを積み降ろすことができる。
【0039】
また、上記実施形態では、本発明に係る荷役支援装置がフォークリフト1に搭載され、荷役支援処理の全てがフォークリフト1上で実行される場合について説明した。
しかし、荷役支援処理の少なくとも一部が外部設備(例えば荷役作業場の管理室)で実行されることとしてもよい。具体的には、例えば図11に示すように、相互の通信部25、55により通信可能に構成されたフォークリフト1と管理装置5とを含む荷役支援システム100を構成する。そして、フォークリフト1が撮影した画像を管理装置5に送信して、管理装置5の制御部57が算出した結果をフォークリフト1に送信すればよい。この場合、管理装置5は、荷Hの上面に関する画像情報その他の情報等をデータベース化して管理してもよい。管理装置5は、荷役作業場の制御装置(コンピュータ)であってもよいし、モバイル端末等であってもよい。処理に必要なデータ(学習モデル261等)は管理装置5の記憶部56に格納されていてもよい。ただし、この場合におけるフォークリフト1と管理装置5での処理の分担程度は特に限定されない。
【0040】
また、上記実施形態では、フォークリフト1に搭載した撮影部24により荷Hの画像を取得することとしたが、撮影部24は荷役作業場に設置(固定)されていてもよい。この場合、撮影部24が取得した画像は、荷役支援処理を実行するフォークリフト1又は管理装置5に送信されればよい。また、はい付け状態の良否を報知する報知部(上記実施形態の表示部23)を荷役作業場に設置(固定)してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、荷役車両としてフォークリフトを一例にとって説明したが、本発明に係る荷役車両は、荷の搬送、荷積み、荷下ろしを行う様々な重機であってもよい。また、荷役車両は、搭乗した(又は遠隔の)運転者により手動運転されてもよいし、自動運転されてもよい。自動運転の場合、はい付け状態の良否の報知は遠隔の管理装置に対してなされるのがよい。遠隔操作の場合、オペレータは作業現場の情報を入手しにくいために作業に関する判断が難しいところ、荷が所定の配列で配置されているか否かさえ判定できれば作業続行等の判断をしやすいという点において、本発明を好適に適用できる。
また、荷が積まれるパレットは、フォークリフト用のパレットに限られず、荷を搬送するための荷役台であり、重機によって搬送されるものであれば、どのような構成であってもよい。
その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 フォークリフト(荷役車両)
5 管理装置
12 フォーク(保持部)
13 昇降体
23 表示部
24 撮影部(画像取得部)
26 記憶部
27 制御部(判定部、支援部、第2判定部)
100 荷役支援システム
261 学習モデル
262 パレットパターンデータ
263 荷役支援プログラム
B 予定位置
C 配列パターン
G はい付けパレット体
H 荷
L パレット領域
M 代表点
P パレット
R 判定用領域
S 上面領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11