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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064353
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】車両の通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172875
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100121027
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100178995
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】沖本 康宏
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐介
(72)【発明者】
【氏名】畑山 諒太
(72)【発明者】
【氏名】下津 友幹
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201AA04
5K201CB10
5K201CB12
5K201DC02
5K201EC06
5K201ED04
5K201ED05
5K201EE08
(57)【要約】
【課題】車載通信機とサーバとの間でデータ通信を行う車両の通信システムにおいて、車両とサーバとの間の通信効率の向上を図る。
【解決手段】通信システムでは、サービスを利用する際の事前登録において、ユーザを識別可能なユーザ識別情報、使用する車両を識別可能な車両識別情報、ユーザが選択したサービスプラン情報、当該サービスプラン情報を構成するサービス種別情報、各サービス種別情報を構成する機能情報の各情報が紐づけられてサーバ2に記憶される。サービスを利用する際、車両1の車載通信機1aとサーバ2間の接続処理が行われる際、サーバ2から車両1に対して、ユーザ識別情報などに紐づけて記憶されている機能情報が送信される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載通信機とサーバとの間でデータ通信する車両の通信システムにおいて、
前記車載通信機は、
前記サーバから出力される出力情報を入力可能な入力手段と、
前記出力情報に基づいて、車両に備えられた制御装置に所定の情報を出力する出力手段と、を備え、
前記サーバは、
前記出力情報を特定可能な特定情報を格納する格納手段と、
前記出力情報を前記車載通信機に出力するサーバ側出力手段と、を備え、
前記特定情報は、予め設定された複数の階層ごとに記憶される階層別情報が互いに紐づけられて格納されてなり、
前記複数の階層ごとに記憶される前記階層別情報は、顧客の選択により決定される
ことを特徴とする車両の通信システム。
【請求項2】
顧客の選択に関する選択情報を出力可能な携帯端末装置をさらに備え、
前記サーバは、前記選択情報を入力可能なサーバ側入力手段をさらに備え、
前記サーバは、前記サーバ側入力手段に入力された前記選択情報に基づいて、前記複数の階層ごとに記憶される前記階層別情報を紐づけて前記格納手段に格納し、
前記制御装置では、前記所定の情報に基づいて、顧客の選択により決定された前記階層別情報に関する制御を実行可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の通信システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載通信機とサーバとの間でデータ通信を行う車両の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載通信機と、外部サーバとの無線通信により、ユーザに様々なサービスを提供可能な車両用の通信システムがある。例えば、特許文献1に記載の通信システムでは、2つのサービスサーバと、3つの管制サーバとを備え、操作端末とネットワークを介して接続される。管制サーバは、ハンドオーバーにより車両と通信し、車両の走行の制御を行う。これにより、ユーザに対して車両を駐車するための駐車場の予約、駐車場に駐車されている車両を出庫するため呼び出し、車両のカーシェアなどのサービスが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6832531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の通信システムでは、駐車場の予約や、車両の出庫などの自動運転に関するサービスだけでなく、車両が備える制御装置の制御や走行状況を示すセンサー情報などを利用したサービス(例えば、遠隔操作)を提供することもできる。これらのサービスの中には、その提供にあたり、車両側からの情報が必要になるものもある。また、ユーザのニーズは様々であり、予め設定された複数のサービスの一部の利用を希望する場合もある。
【0005】
この場合、多様なニーズに対応するために、ユーザが契約するサービスの種類に関わらず、全てのサービスに必要な情報を車両側からサーバ側に送信しておき、その後サーバ側で、車両から送信された各種情報の中から、契約されたたサービスに必要な情報を抽出してユーザに提供することが考えられる。この場合は、車両とサーバとの間の通信コストが増加する。
【0006】
本発明は、上記した課題を鑑みてなされたものであり、車載通信機とサーバとの間でデータ通信を行う車両の通信システムにおいて、車両とサーバとの間の通信を効率よく行うことができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明にかかる車両用の通信システムは、車載通信機とサーバとの間でデータ通信する車両の通信システムにおいて、前記車載通信機は、前記サーバから出力される出力情報を入力可能な入力手段と、前記出力情報に基づいて、車両に備えられた制御装置に所定の情報を出力する出力手段とを備え、前記サーバは、前記出力情報を特定可能な特定情報を格納する格納手段と、前記出力情報を前記車載通信機に出力するサーバ側出力手段とを備え、前記特定情報は、予め設定された複数の階層ごとに記憶される階層別情報が互いに紐づけられて格納されてなり、前記複数の階層ごとに記憶される前記階層別情報は、顧客の選択により決定されることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
また、顧客の選択に関する選択情報を出力可能な携帯端末装置をさらに備え、前記サーバは、前記選択情報を入力可能なサーバ側入力手段をさらに備え、前記サーバは、前記サーバ側入力手段に入力された前記選択情報に基づいて、前記複数の階層ごとに記憶される前記階層別情報を紐づけて前記格納手段に格納し、前記制御装置では、前記所定の情報に基づいて、顧客の選択により決定された前記階層別情報に関する制御を実行可能に構成されていてもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、車両は、サーバから送信される出力情報に基づいて、顧客が選択した制御(階層別情報に応じた制御)を適切に実施できる。また、車両は、顧客が選択した制御を把握できるため、不必要な情報をサーバに出力して通信コストが増加するのを防止でき、車両とサーバとの通信効率が向上する。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の通信システムの具体的な処理のフローを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの概略構成図である。
図2図1の車両用通信システムを用いて提供されるサービスの構成を説明するための図である。
図3図1のサーバで記憶されるデータテーブルの一例を示す図である。
図4図1の通信システムを用いて提供されるサービスの利用の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態にかかる通信システムについて、図1図4を参照して説明する。なお、図1は本発明の一実施形態の通信システムの構成図、図2図1の車両用通信システムを用いて提供されるサービスの構成を説明するための図、図3はサーバに記憶されるデータテーブルの一例を示す図、図4図1の通信システムを用いて提供されるサービスの利用の流れを示す図である。
【0013】
(通信システムの概略構成)
本発明の一実施形態にかかる通信システムは、例えば、カーシェアリングやカーリースなど、法人などが所有する車両を、登録したユーザが利用するとともに、車両の利用時に事前に契約したサービスも併せて提供するシステムに利用される通信システムであり、車両1と、サーバ2と携帯端末装置3とを備える。
【0014】
(車両)
車両1は、インターネットと常時接続可能ないわゆるコネクティッドカーであり、車載通信機1aと、ドアアクチュエータ1c、ライト1dを含む車両1に配設された様々な機器を制御する制御装置1bとを含む。
【0015】
車載通信機1a(本発明の「入力手段」、「出力手段」に相当)は、例えば、DCM(Data Communication Module)などの車両専用通信機であり、携帯通信網などのネットワークを介してサーバ2と常時接続可能に構成されている。また、車載通信機1aは、車両1に配設された各種機器(例えば、車両のドア、フロントライト、バックライト)を制御する制御装置1bに、例えば有線で接続されている。
【0016】
車載通信機1aは、サーバ2との接続処理を行う際、サーバ2に対して車両1を使用するユーザが事前に登録しているサービスの種類に関する情報を要求する要求信号を送信する。車載通信機1aは、当該要求信号に基づいてサーバ2の通信部2aから送信された各種情報(例えば、ユーザが事前に登録しているサービスに関する情報など:本発明の「出力情報」に相当)を受信した場合は、当該信号(本発明の「所定の情報」に相当)を制御装置1bに出力(送信)する。
【0017】
車載通信機1aは、ユーザが登録したサービスの種類に基づいて、制御装置1bが取得した情報を選択してサーバ2に出力(送信)する。例えば、ユーザがテレマティクス保険サービスを登録している場合は、制御装置1bから送信された走行距離、車速、ブレーキの有無などの運転状況を示す情報を定期的にサーバ2に送信する。また、ユーザが盗難検知サービスを登録している場合は、制御装置1bから送信されるドアのこじ開けの有無を示すこじ開け検知情報をサーバ2に送信する。
【0018】
車載通信機1aは、携帯端末装置3から出力(送信)された信号を制御装置1bに送信する。携帯端末装置3から送信される信号とは、例えば、車両1のドアの自動開制御を要求する信号や、車両1のドアの自動閉制御を要求する信号や、ライト1dの点灯制御の要求信号や、ライト1dの消灯制御の要求信号などである。
【0019】
また、車載通信機1aは、所定のタイミングで携帯端末装置3との接続処理(ペアリング処理)を行い、車載通信機1aと携帯端末装置3とを同期させる。
【0020】
制御装置1bは、車両1に搭載される各種機器(例えば、エンジン、ブレーキ、ドア、ライト、各種センサ)を制御するものであり、各種制御や演算を行うCPUと、各種制御プログラムや一時的にデータを記憶するメモリを有するECUで構成されている。この実施形態において、制御装置1bは、リアドアの開閉を遠隔操作で行う際にドアアクチュエータ1cの動作を制御したり、フロント、バックライトなどのライト1dの点灯/消灯を遠隔で行う際の制御を行う。
【0021】
また、制御装置1bは、サーバ2からユーザがテレマティクス保険サービスや盗難検知サービスを登録している場合は、車速センサなどの各種センサの情報や、こじ開け検知情報などを車載通信機1aに出力(送信)する。車載通信機1aは、当該情報の入力があった場合は、サーバ2に出力(送信)する。
【0022】
また、制御装置1bは、サーバ2から送信されたユーザの登録内容に関する情報(登録しているサービスの種類を特定可能な情報:登録サービス情報(図3の「機能情報」参照))が車載通信機1aを介して入力された場合は、当該登録サービス情報をメモリに記憶させる。
【0023】
メモリにおいて、登録サービス情報として、走行状況提供機能(テレマティクス保険サービス)が記憶されていた場合、制御装置1bは、車載通信機1aを介して定期的に車速センサの情報、走行距離の情報、ブレーキの有無などのテレマティクス保険の提供に必要な情報をサーバ2に送信する。
【0024】
メモリにおいて、登録サービス情報として、盗難検知機能(盗難検知サービス)が記憶されていた場合、制御装置1bは、車載通信機1aを介して定期的にこじ開け検知センサの検知情報をサーバ2に送信する。
【0025】
制御装置1bは、携帯端末装置3の通信部3cから送信された遠隔操作信号が、車載通信機1aを介して入力された場合は、当該信号がメモリに記憶させている登録サービス情報にある操作(機能)であるか否かを判断する。その結果、登録サービス情報にある操作と判断した場合は、当該遠隔操作信号に基づいて該当する機器の制御を実行する。例えば、登録サービス情報にドアの開閉の遠隔操作が含まれていたときに、携帯端末装置3からドアの開操作の要求信号が制御装置1bに入力された場合、制御装置1bは車両1のドアを開けるべくドアアクチュエータ1cを制御する。
【0026】
(サーバ)
サーバ2は、車両1のユーザが登録するサービス情報を管理するものであり、車両1または携帯端末装置3との通信を行う通信部2aと、ユーザ、車両情報、サービス情報などの管理を行う管理部2bと、携帯端末装置3から送信される情報と、管理部2bで管理されている情報との照合などを行う照合部2cと、ユーザが登録している登録情報を通信部2aに出力する処理などを行う指令部2dとを備える。
【0027】
管理部2b、照合部2c、指令部2dは、各種制御を実行するCPUと、各種制御プログラムや一時的にデータを記憶させるメモリ(本発明の「格納手段」に相当)とを有する。通信部2a(本発明の「サーバ側出力手段」、「サーバ側入力手段」に相当)は、例えば送受信回路で構成されている。
【0028】
管理部2bは、サービスを利用するユーザにより事前の登録があった場合は、メモリの所定の記憶領域に設定されたデータベースに当該内容を書き込む処理を行う。この実施形態では、サービスの提供にあたり、ユーザによる事前登録が行われる。事前登録は、ユーザが所持する携帯端末装置3による登録操作により行うことができる。例えば、サービスの提供にあたり、携帯端末装置3からアプリケーションの制御プログラムの要求があった場合、管理部2bは、例えばメモリに記憶されているアプリケーションの制御プログラムを通信部2aに出力し、通信部2aが携帯端末装置3に当該制御プログラムを送信する。当該制御プログラムは、例えば、事前登録や、サービス利用時の各種の指示を当該アプリケーション上で行うことができるように構成されている。
【0029】
事前登録では、ユーザによる携帯端末装置3の操作部3aの操作に基づいて各種の情報がサーバ2に送信される。各種の情報とは、例えば、ユーザを特定可能なユーザ識別情報と、当該ユーザが使用する車両1を特定可能な車両識別情報と、当該ユーザが契約するサービスプランを特定可能なサービスプラン情報である。
【0030】
図2に示すように、この実施形態では、プレミアムプラン、ハイグレードプラン、ノーマルプランの3つのサービスプランが設定されおり、ユーザはこれらのいずれかのプランを選択する。各サービスプランは、それぞれ複数のサービス種別で構成されており、ユーザが選択したサービスプランを構成するサービス種別が提供可能になっている。例えば、プレミアムプランの場合は、サービス種別として、「Wi-Fiサービス」、「リモートサービス」、「テレマティクス保険サービス」、「盗難検知サービス」で構成されている。
【0031】
「Wi-Fiサービス」は、車両1のWi-Fi機能を提供するサービスである。当該サービスが契約された場合は、車両1のWi-Fi機能が有効になる。「リモートサービス」は、ユーザの携帯端末装置3を用いた車両1の遠隔操作を有効にするサービスである。遠隔操作の一例としては、リアドアやスライドドアなどの車両1のドアの開閉操作、ヘッドライトやバックライトなどの車両1のライトの点灯/消灯操作、車両1の駐車に関わる車両1の遠隔操作などがあり、ユーザの携帯端末装置3の操作で行うことができる。「テレマティクス保険サービス」は、車両1の走行状況に応じて保険料が算定されるいわゆるテレマティクス保険を提供するサービスである。当該サービスが契約された場合、車両1の走行時の車速、ブレーキの有無、走行距離などの必要な情報が定期的に車両1からサーバ2に送信される。「盗難検知サービス」は、車両1が盗難の可能性がある特定事象が生じた場合にその旨を通知するサービスである。当該サービスが契約された場合、車両1のドアのこじ開け検知センサの情報が定期的にサーバ2に送信される。
【0032】
各サービス種別は、一または複数の機能で構成されており、契約されたサービス(サービス種別)を構成する機能が有効になる。プレミアムプランが契約されると、サービス種別の「Wi-Fiサービス」を構成する「Wi-Fi機能」が有効になる。また、サービス種別の「リモートサービス」を構成する「ドア開閉制御機能」、「ライトON/OFF制御機能」を含む複数の遠隔操作機能が有効になる。また、サービス種別の「テレマティクス保険サービス」を構成する走行状況提供機能が有効になる。また、サービス種別の「盗難検知サービス」を構成する「盗難検知機能」が有効になる。
【0033】
他のサービスプランも同様に、当該サービスプランを構成する複数のサービス種別と、各サービス種別を構成する一または複数の機能が予め設定されており、契約するサービスプランに応じたサービス種別(それを構成する機能)が提供される。なお、図2のサービス種別や機能は一例であり、適宜変更可能である。また、各サービスプランにおいて、一部のサービス種別(機能)が、重複していてもよい。また、この実施形態では、特定のサービスプランを契約すると、当該サービスプランを構成するサービス種別およびそのサービス種別を構成する機能の全てが有効になるように構成されているが、当該サービスプランを構成するサービス種別の中から契約するサービス種別を選択できるようにしてもよい。さらに、サービス種別を構成する機能の中から契約する機能を選択できるようにしてもよい。
【0034】
このサービスを利用する際の事前登録により、携帯端末装置3の通信部3cからユーザ識別情報、車両識別情報、サービスプラン情報がサーバ2の通信部2aに出力(送信)されると、サーバ2の管理部2bは、当該入力されたユーザ識別情報に対して、車両識別情報、サービスプラン情報、当該サービスプランを構成するサービス種別情報、当該サービスプランを構成するサービス種別情報を構成する機能情報を紐づけてメモリに記憶させる。
【0035】
このとき、ユーザが使用する車両1で対応できないサービス種別や機能がある場合、管理部2bは、対応可能なサービス種別と機能のみをユーザ識別情報、車両識別情報、サービスプラン情報に紐づけて記憶させる。図3では、特定のユーザ(ユーザ識別情報A)が事前にプレミアムプランを契約した場合において、使用する車両1が対応可能なリモートサービス(サービス種別)が、ドア開閉制御機能とライトON/OFF制御機能のみであった場合を示している。
【0036】
この場合、管理部2bは、ユーザ識別情報Aに対して、車両識別情報Aを紐づけてメモリに記憶させる。また、管理部2bは、当該車両識別情報Aに対してはサービスプラン情報として「プレミアムプラン」を紐づけてメモリに記憶させる。さらに、管理部2bは、当該「プレミアムプラン」に対して、当該プランを構成するサービス種別情報として「Wi-Fiサービス」、「リモートサービス」、「テレマティクス保険サービス」、「盗難検知サービス」を紐づけてメモリに記憶させる。さらに、管理部2bは、当該「Wi-Fiサービス」に対して、機能情報として「Wi-Fi機能」を紐づけて記憶させ、当該「リモートサービス」に対して、当該車両1(車両識別情報A)で対応可能な機能情報として、「ドア開閉制御機能」と「ライトON/OFF制御機能」を紐づけてメモリに記憶させる。また、管理部2bは、当該「テレマティクス保険サービス」に対して、機能情報として「走行状況提供機能」を紐づけてメモリに記憶させる。また、管理部2bは、当該「盗難検知サービス」に対して、機能情報として、「盗難検知機能」を紐づけて記憶させる。つまり、この実施形態では、ユーザが登録するサービスに関する情報を、ユーザが選択するサービスプランと、当該サービスプランを構成するサービス種別、各サービス種別を構成する機能の3つの階層のツリー構造でメモリに記憶させる。
【0037】
このような登録が、ユーザ毎に行われることで、例えばサーバ2のメモリに、図3に示すようなデータベースが構築される。なお、このようにデータベースに記憶される各情報が本発明の「特定情報」に相当する。また、当該データベースに記憶される「サービスプラン情報」、「サービス種別情報」、「機能情報」それぞれが、本発明の「階層別情報」に相当する。
【0038】
照合部2cは、サービスの利用にあたって携帯端末装置3から送信されるユーザ識別情報および車両識別情報と、ユーザごとに紐づけて記憶されたデータベースとを照合し、当該ユーザが事前に登録したサービスプラン、サービス種別、機能を抽出する。
【0039】
指令部2dは、サーバ2と車載通信機1aとの接続処理において、車載通信機1aから送信された要求信号(有効とすべき機能(契約されたサービスを構成する機能)を要求する信号)を受信した場合、照合部2cが抽出した、有効とすべき機能を特定可能な情報(機能情報)を通信部2aに入力する。通信部2aは、入力された機能情報を車両1の車載通信機1aに送信する。
【0040】
(携帯端末装置)
携帯端末装置3は、アプリケーションを用いてユーザが選択したサービスをサーバ2に送信したり、ユーザが車両1を使用する際にサーバ2と接続処理を行ってユーザと車両1の識別情報(ユーザ識別情報、車両識別情報)をサーバ2に送信したり、車両1に遠隔操作の信号を送信したりするものであり、操作部3aと、制御部3bと、通信部3cとを有する。
【0041】
制御部3bは、各種制御を実行するCPUと、各種制御プログラムや一時的にデータを記憶するメモリとを有する。通信部3cは、送受信回路で構成されている。
【0042】
操作部3aは、携帯端末装置3の表示画面に表示されたアプリケーションのサービス選択画面上の操作や、所定の情報の入力を受け付けるもので、例えばタッチパネルで構成される。また、操作部3aは、アプリケーション上で行われる遠隔操作の指示操作も受け付ける。
【0043】
制御部3bは、アプリケーションのサービスの事前登録の画面において、操作部3aから出力された押下位置情報などに基づいて、ユーザにより入力されたユーザ識別情報、ユーザが使用する車両1の識別情報(車両識別情報)、ユーザが選択したサービスプランを特定可能な情報(サービスプラン情報)を特定し、当該情報を通信部3cに出力する。通信部3cは、入力された当該情報をサーバ2に送信する。
【0044】
また、制御部3bは、例えば、アプリケーション上で遠隔操作を行うことができる場合、遠隔操作の画面において、操作部3aから出力された押下位置情報などに基づいて、ユーザが所望する遠隔操作(例えば、ライトの点灯操作)を特定し、当該遠隔操作を特定可能な情報を通信部3cに出力する。通信部3cは、入力された当該情報を同期した車両1の車載通信機1aに送信する。
【0045】
(サービス利用の流れ)
次に、図4を参照してこの実施形態にかかる通信システムを利用したサービスの提供の流れについて説明する。
【0046】
携帯端末装置3を所持したユーザが車両1を使用する際は、携帯端末装置3とサーバ2、サーバ2と車両1(車載通信機1a)、携帯端末装置3と車両1(車載通信機1a)のそれぞれの接続処理が行われる。各接続処理は、必ずしも同時に行われる必要はなく、適宜適切なタイミングで行われるようにしてもよい。
【0047】
ユーザが携帯端末装置3において、当該サービスの利用のためのアプリケーションを起動させると、携帯端末装置3とサーバ2との間で照合が行われる。具体的には、アプリケーションが起動すると、携帯端末装置3からサーバ2に対して、ユーザを識別可能なユーザ識別情報(例えば、ユーザID情報)、使用する車両1を特定可能な車両識別情報などが送信される。車両識別情報は、例えば、車両1のプレートナンバーを特定可能な情報、車両1の自動車登録番号を特定可能な情報であるが、車両1を特定可能な情報であれば適宜採用可能である。
【0048】
携帯端末装置3から送信されたユーザ識別情報、車両識別情報を通信部2aが受信した場合、サーバ2の照合部2cは、事前登録時で管理部2bによりメモリに記憶されたデータベース(ユーザ識別情報、車両識別情報、サービスプラン情報、サービス種別情報、機能情報が紐づけられたデータベース)と、携帯端末装置3から送信された当該情報とを照合する。当該照合により、サーバ2の照合部2cでは、携帯端末装置3から送信されたユーザ識別情報、車両識別情報に紐づけられてメモリに記憶されているサービスプランの種類(サービスプラン情報)と、当該サービスプランを構成するサービス種別のうち当該車両1で対応可能なサービス種別(サービス種別情報)と、当該対応可能な各サービス種別(サービス種別情報)を構成する機能(機能情報)とを抽出する。
【0049】
サーバ2と車両1との接続処理が行われる際、車両1からサーバ2に対して、当該サービスを利用する際に、車両1においてどの機能(機能情報)を有効にすべきかの通知を要求する要求信号が送信される。サーバ2の指令部2dは、当該要求信号を受信した場合、照合部2cが抽出した車両1(車両識別情報)に紐づけられた有効とすべき機能(機能情報)を通信部2aに出力する。通信部2aは、入力された機能情報を車両1に送信する。
【0050】
車両1は、有効とすべき機能の通知の要求信号に基づき、サーバ2から送信された機能情報を車載通信機1aが受信した場合、制御装置1bでは当該情報をメモリに記憶させる。
【0051】
携帯端末装置3の制御部3bは、当該サービスの利用用のアプリケーションで遠隔操作にかかる操作が行われた場合、当該遠隔操作を特定可能な情報を通信部3cを介して送信する。車両1の制御装置1bは、当該情報を受信した場合、メモリに記憶されている有効とすべき機能と合致していることを条件として、当該情報に応じた制御を実行する(遠隔操作の実行)。
【0052】
また、制御装置1bは、サーバ2から送信された有効とすべき機能に走行状況提供機能が含まれていた場合、テレマティクス保険サービスに必要な情報(車速、走行距離、ブレーキの有無など)を車載通信機1aを介して周期的に送信する。
【0053】
また、制御装置1bは、サーバ2から送信された有効とすべき機能に盗難検知機能が含まれていた場合、こじ開け検知センサの検知情報を車載通信機1aを介して周期的に送信する。
【0054】
したがって、上記した実施形態によれば、ユーザに提供するサービスを、サービスプラン、サービスプランを構成するサービス種別、サービス種別を構成する機能の3つ階層のツリー構造として管理する。その際、サーバ2のデータベースには、使用する車両1で対応可能なサービス(サービス種別、機能)のみが登録されるため、車両1が提供できる機能の組合せでユーザに提供するサービスを構成することができる。また、車両の種類によって対応できないサービスがあっても、サーバ2側で対応可能なサービスのみを登録するため、様々な車種に対して本実施形態のシステムを適用することができる。
【0055】
また、ユーザに提供するサービスを、サービスプラン、サービスプランを構成するサービス種別、サービス種別を構成する機能の3つ階層のツリー構造として管理することで、新たなサービスの追加に容易に対応することができる。
【0056】
また、サービスの提供にあたり、事前に登録したサービス内容に基づいてユーザに提供すべきサービス情報(機能情報)をサーバ2から車両1に送信する。ユーザに提供するサービスに中には、例えば、テレマティクス保険サービスや盗難検知サービス、位置情報提供サービスのように、車両1で取得した情報をサーバ2に送信することが必要なものがある。いわゆるコネクティッドカーのように、常時サーバと通信が可能な車両では、これらのサービスの提供に対応するために、各サービスの提供に必要な情報の全てを周期的にサーバに送信しておき、これらの情報をサーバ側で取捨選択し、ユーザが所望するサービスに使用する場合がある。このような場合、本来必要のない情報が車両からサーバに送信されることから、車載通信機1aの通信コストの無駄が生じる。また、サーバ側でも情報の取捨選択にかかる処理や、サービスの提供に必要な演算処理が必要になるため、サーバの処理負荷が増加するおそれがある。この実施形態では、車両1からサーバ2へは、ユーザが所望するサービスに必要な情報のみが送信されるように構成されているため、車載通信機1aの通信コストの無駄を防止できるとともに、車両1とサーバ2の通信効率を向上させることができる。また、サーバ2の処理負荷の増加を抑えることができる。
【0057】
また、サーバ2から車両1に対してユーザに提供するサービス(機能情報)を送信することにより、車両1側からサーバ2側に送信する情報の種類をサーバ2側で制御できるとともに、ユーザに提供すべき機能(遠隔操作の種類)をサーバ2側で制御できる。
【0058】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、上記した実施形態は、ユーザに提供するサービスに関して、互いに紐づけられた3つの階層で構築されたデータベースで管理したが、互いに関連する複数の項目に対して紐づけて記憶する構成であれば、サービスに限らない。
【0060】
また、上記した実施形態では、車両提供サービスを利用する際に、携帯端末装置3にインストールした専用アプリを用いたが、例えば、ユーザが、携帯端末装置3を用いてサーバ2に設けられたサイトのURLにアクセスして、当該サイト上でサービスプランの選択を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1:車両
1a:車載通信機
1b:制御装置
2:サーバ
2a:通信部
2b:管理部
2c:照合部
2d:指令部
3:携帯端末装置
図1
図2
図3
図4