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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064355
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65H3/06 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172882
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343KB04
3F343KB19
3F343LA04
3F343LA11
3F343LC19
3F343LC25
3F343LD24
3F343LD26
3F343LD30
3F343MB04
3F343MB13
(57)【要約】
【課題】第1給送ローラ及び第2給送ローラのために別々の電磁クラッチを設けることなく、1つの電磁クラッチで第1トレイ及び第2トレイのそれぞれに支持されたシートを給送できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、モータM1と、第1駆動列100と、1つの電磁クラッチCL1と、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態と圧接状態とに切り替えるカム機構300と、を備える。カム機構300は、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替えるときに、第1駆動列100を、モータM1からの駆動力を第1給送ローラ21に伝達可能な第1伝達状態に切り替え、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に切り替えるときに、第1駆動列100を、モータM1からの駆動力を第2給送ローラ25に伝達可能な第2伝達状態に切り替えるように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持する第1トレイと、
前記第1トレイに支持されたシートを給送する第1給送ローラと、
シートを支持する第2トレイと、
前記第2トレイに支持されたシートを給送する第2給送ローラと、
モータと、
前記モータからの駆動力を前記第1給送ローラと前記第2給送ローラとに選択的に伝達する第1駆動列と、
通電の開始によって前記モータから前記第1駆動列に前記駆動力を伝達可能な接続状態になり、前記通電の終了によって前記モータから前記第1駆動列に前記駆動力を伝達不能な遮断状態になる1つの電磁クラッチと、
前記第2トレイ及び前記第2給送ローラについて、前記第2トレイに支持された最上位のシートと前記第2給送ローラとが離隔する離隔状態と、前記最上位のシートと前記第2給送ローラとが圧接する圧接状態と、に切り替えるカム機構と、
を備え、
前記カム機構は、
前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記離隔状態に切り替えるときに、前記第1駆動列を、前記モータからの前記駆動力を前記第1給送ローラに伝達可能な第1伝達状態に切り替え、
前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記圧接状態に切り替えるときに、前記第1駆動列を、前記モータからの前記駆動力を前記第2給送ローラに伝達可能な第2伝達状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記モータからの前記駆動力を前記カム機構に伝達する第2駆動列を備えている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記カム機構は、ギヤ歯を有するカムギヤであって、前記第2駆動列を経由する前記モータからの前記駆動力を受けて第1軸心周りに回転する前記カムギヤを有し、
前記カムギヤは、前記ギヤ歯に対して前記第1軸心方向の一方に位置する第1カムと、
前記ギヤ歯に対して前記第1軸心方向の他方に位置する第2カムと、を一体に有し、
前記カムギヤの1周回転のうちの、基準位置から第1角度までの第1回転に伴って、前記第2カムが前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記圧接状態に切り替えるとともに、前記第1カムが前記第1駆動列を前記第2伝達状態に切り替え、
前記カムギヤの前記1周回転のうちの、前記第1角度から前記基準位置までの第2回転に伴って、前記第2カムが前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記離隔状態に切り替えるとともに、前記第1カムが前記第1駆動列を前記第1伝達状態に切り替える請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カムギヤの前記第1回転は、前記1周回転の半分であって、前記基準位置から180°である前記第1角度までの半回転であり、
前記カムギヤの前記第2回転は、前記1周回転の残りの半分である請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1駆動列は、第2軸心周りに自転可能な太陽ギヤと、
前記太陽ギヤを囲み、前記第2軸心周りに自転可能な内歯ギヤと、
前記太陽ギヤ及び前記内歯ギヤと噛み合う遊星ギヤと、
前記モータからの前記駆動力を受けて前記第2軸心周りに自転可能な遊星キャリアギヤであって、前記遊星ギヤを自転可能、かつ前記第2軸心周りに公転可能に支持する前記遊星キャリアギヤと、を有し、
前記カム機構は、前記第1回転に伴う前記第1カムの回転によって第2係合位置に移動する一方、前記第2回転に伴う前記第1カムの回転によって第1係合位置に移動するストッパを有し、
前記第1係合位置にある前記ストッパは、前記太陽ギヤに係合して前記太陽ギヤを自転不能とする一方、前記内歯ギヤから離隔して前記内歯ギヤを自転可能とし、
前記第2係合位置にある前記ストッパは、前記内歯ギヤに係合して前記内歯ギヤを自転不能とする一方、前記太陽ギヤから離隔して前記太陽ギヤを自転可能とし、
前記内歯ギヤは、自転によって前記第1給送ローラに前記駆動力を伝達し、
前記太陽ギヤは、自転によって前記第2給送ローラに前記駆動力を伝達する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ストッパは、前記第1カムと当接可能な当接片を有し、前記第1カムと前記当接片との当接に応じて前記第2軸心と平行な第3軸心周りに回動可能であり、
前記ストッパは、前記第3軸心の径外方向、かつ前記第2軸心の周方向の一方に突出し、前記太陽ギヤと係合可能な第1係合爪と、
前記第3軸心の前記径外方向、かつ前記第2軸心の前記周方向の他方に突出し、前記内歯ギヤと係合可能な第2係合爪と、を一体に有している請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1トレイを着脱可能に支持する装置本体を備え、
前記第1トレイは、シートを支持して上下動可能な第1圧板を有し、
前記第1トレイを前記装置本体に装着させると、前記第1圧板が上昇して前記第1トレイに支持された最上位のシートと前記第1給送ローラとを圧接させる請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1トレイを第1方向に引き出し可能に支持する装置本体と、
前記第1給送ローラ及び前記第2給送ローラのそれぞれによって給送されるシートにトナー像を転写する感光体と、を備え、
前記第1給送ローラ及び前記第2給送ローラは、前記感光体から前記第1方向に離隔する位置にあり、
前記第1トレイは、前記感光体よりも下方の位置にある請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第2トレイは、シートを支持して上下動可能な第2圧板を有し、
前記カム機構は、前記第2圧板を上下動させるアームと、
前記第2カムに追従して前記アームを上下動させるカムフォロアと、を有し、
前記カム機構は、前記第2カム、前記カムフォロア及び前記アームによって前記第2圧板を上下動させることで、前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記離隔状態と前記圧接状態とに切り替える請求項3乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カム機構は、前記第2トレイに支持された1枚以上のシートを給送する1つの印刷ジョブの実行中、前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記圧接状態に維持し、前記印刷ジョブが終了すると、前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記離隔状態に切り替える請求項1乃至6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
シートを支持する第1トレイと、
前記第1トレイに支持されたシートを給送する第1給送ローラと、
シートを支持する第2トレイと、
前記第2トレイに支持されたシートを給送する第2給送ローラと、
モータと、
前記モータからの駆動力を前記第1給送ローラと前記第2給送ローラとに選択的に伝達する第1駆動列と、
前記第1駆動列に前記モータからの前記駆動力を伝達及び遮断する1つの電磁クラッチと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2トレイに支持された最上位のシートと前記第2給送ローラとが離隔する離隔状態にさせることにより、前記モータからの前記駆動力を前記第1給送ローラに伝達可能な第1伝達状態に前記第1駆動列を切り替え、前記電磁クラッチを接続させて前記第1駆動列に前記モータからの前記駆動力を伝達させ、
前記最上位のシートと前記第2給送ローラとが圧接する圧接状態にさせることにより、前記モータからの前記駆動力を前記第2給送ローラに伝達可能な第2伝達状態に前記第1駆動列を切り替え、前記電磁クラッチを接続させて前記第1駆動列に前記モータからの前記駆動力を伝達させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記第1カムと、前記第2カムと、を一体的に有するカムギヤをさらに有し、
前記制御部は、前記カムギヤを基準位置から第1角度までの第1回転させることで、前記第2カムが前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記圧接状態に切り替えるとともに、前記第1カムが前記第1駆動列を前記第2伝達状態に切り替え、かつ、前記カムギヤを前記第1角度から前記基準位置までの第2回転させることで、前記第2カムが前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記離隔状態に切り替えるとともに、前記第1カムが前記第1駆動列を前記第1伝達状態に切り替えることを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像形成装置の一例が開示されている。この画像形成装置は、上段用紙カセットと、上段用紙カセットに支持された用紙を感光体ドラムに向けて給送する第1のピックアップローラと、モータと、第1の給紙クラッチと、を備えている。
【0003】
第1の給紙クラッチは電磁クラッチであり、通電の開始によってモータから第1のピックアップローラに駆動力を伝達可能になり、通電の終了によってモータから第1のピックアップローラに駆動力を伝達不能になる。
【0004】
また、この画像形成装置は、手差しトレイと、手差しトレイに支持された用紙を感光体ドラムに向けて給送する第2のピックアップローラと、第2の給紙クラッチと、を備えている。
【0005】
第2の給紙クラッチも電磁クラッチであり、通電の開始によってモータから第2のピックアップローラに駆動力を伝達可能になり、通電の終了によってモータから第2のピックアップローラに駆動力を伝達不能になる。
【0006】
このような構成により、この画像形成装置は、第1及び第2のピックアップローラのそれぞれについて、駆動の開始タイミング及び終了タイミングを精度良く制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010-197463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の画像形成装置は、第1のピックアップローラの駆動の開始タイミング及び終了タイミングを制御する電磁クラッチと、第2のピックアップローラの駆動の開始タイミング及び終了タイミングを制御する電磁クラッチと、を別々に設けなければならない。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、第1給送ローラ及び第2給送ローラのために別々の電磁クラッチを設けることなく、1つの電磁クラッチで第1トレイ及び第2トレイのそれぞれに支持されたシートを給送できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、シートを支持する第1トレイと、
前記第1トレイに支持されたシートを給送する第1給送ローラと、
シートを支持する第2トレイと、
前記第2トレイに支持されたシートを給送する第2給送ローラと、
モータと、
前記モータからの駆動力を前記第1給送ローラと前記第2給送ローラとに選択的に伝達する第1駆動列と、
通電の開始によって前記モータから前記第1駆動列に前記駆動力を伝達可能な接続状態になり、前記通電の終了によって前記モータから前記第1駆動列に前記駆動力を伝達不能な遮断状態になる1つの電磁クラッチと、
前記第2トレイ及び前記第2給送ローラについて、前記第2トレイに支持された最上位のシートと前記第2給送ローラとが離隔する離隔状態と、前記最上位のシートと前記第2給送ローラとが圧接する圧接状態と、に切り替えるカム機構と、
を備え、
前記カム機構は、
前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記離隔状態に切り替えるときに、前記第1駆動列を、前記モータからの前記駆動力を前記第1給送ローラに伝達可能な第1伝達状態に切り替え、
前記第2トレイ及び前記第2給送ローラを前記圧接状態に切り替えるときに、前記第1駆動列を、前記モータからの前記駆動力を前記第2給送ローラに伝達可能な第2伝達状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成装置は、上記構成により例えば以下のようにして、第1トレイ及び第2トレイのそれぞれに支持されたシートを給送する。
【0012】
第1トレイに支持されたシートを給送する場合、カム機構は、第2トレイ及び第2給送ローラが離隔状態になっていればそのままとする。このとき、第1駆動列は、第1伝達状態にある。また、カム機構は、第2トレイ及び第2給送ローラが圧接状態になっていれば、離隔状態に切り替える。このとき、カム機構は、第1駆動列を第1伝達状態に切り替える。
【0013】
そして、モータが作動し、電磁クラッチが通電の開始によって接続状態になると、モータからの駆動力は、接続状態の電磁クラッチと、第1伝達状態の第1駆動列と、を経由して、第1給送ローラに伝達される。これにより、第1給送ローラは、第1トレイに支持されたシートを給送する。
【0014】
そして、第1給送ローラによるシートの給送が終了すると、電磁クラッチは、通電の終了によって遮断状態になる。第1トレイに支持されたシートが複数枚であれば、電磁クラッチは、1枚のシート毎に接続状態と遮断状態とになり、全てのシートの給送が終了すると、遮断状態になる。最後に、モータが停止する。
【0015】
その一方、第2トレイに支持されたシートを給送する場合、カム機構は、第2トレイ及び第2給送ローラが離隔状態になっていれば、圧接状態に切り替える。このとき、カム機構は、第1駆動列を第2伝達状態に切り替える。また、カム機構は、第2トレイ及び第2給送ローラが圧接状態になっていればそのままとする。このとき、第1駆動列は、第2伝達状態にある。
【0016】
そして、モータが作動し、電磁クラッチが通電の開始によって接続状態になると、モータからの駆動力は、接続状態の電磁クラッチと、第2伝達状態の第1駆動列と、を経由して、圧接状態の第2給送ローラに伝達される。これにより、第2給送ローラは、第2トレイに支持されたシートを給送する。
【0017】
そして、第2給送ローラによるシートの給送が終了すると、電磁クラッチは、通電の終了によって遮断状態になる。第2トレイに支持されたシートが複数枚であれば、電磁クラッチは、1枚のシート毎に接続状態と遮断状態とになり、全てのシートの給送が終了すると、遮断状態になる。次に、カム機構は、第2トレイ及び第2給送ローラを離隔状態に切り替える。このとき、カム機構は、第1駆動列を第1伝達状態に切り替える。最後に、モータが停止する。
【0018】
ここで、この画像形成装置は、電磁クラッチを1つ備えるだけで、第1給送ローラ及び第2給送ローラのそれぞれについて、駆動の開始タイミング及び終了タイミングを精度良く制御できる。
【0019】
したがって、本発明の画像形成装置は、第1給送ローラ及び第2給送ローラのために別々の電磁クラッチを設けることなく、1つの電磁クラッチで第1トレイ及び第2トレイのそれぞれに支持されたシートを給送できる。
【0020】
本発明の別の画像形成装置は、シートを支持する第1トレイと、
前記第1トレイに支持されたシートを給送する第1給送ローラと、
シートを支持する第2トレイと、
前記第2トレイに支持されたシートを給送する第2給送ローラと、
モータと、
前記モータからの駆動力を前記第1給送ローラと前記第2給送ローラとに選択的に伝達する第1駆動列と、
前記第1駆動列に前記モータからの前記駆動力を伝達及び遮断する1つの電磁クラッチと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第2トレイに支持された最上位のシートと前記第2給送ローラとが離隔する離隔状態にさせることにより、前記モータからの前記駆動力を前記第1給送ローラに伝達可能な第1伝達状態に前記第1駆動列を切り替え、前記電磁クラッチを接続させて前記第1駆動列に前記モータからの前記駆動力を伝達させ、
前記最上位のシートと前記第2給送ローラとが圧接する圧接状態にさせることにより、前記モータからの前記駆動力を前記第2給送ローラに伝達可能な第2伝達状態に前記第1駆動列を切り替え、前記電磁クラッチを接続させて前記第1駆動列に前記モータからの前記駆動力を伝達させることを特徴とする。
【0021】
本発明の別の画像形成装置も、電磁クラッチを1つ備えるだけで、第1給送ローラ及び第2給送ローラのそれぞれについて、駆動の開始タイミング及び終了タイミングを精度良く制御できる。
【0022】
したがって、本発明の別の画像形成装置も、第1給送ローラ及び第2給送ローラのために別々の電磁クラッチを設けることなく、1つの電磁クラッチで第1トレイ及び第2トレイのそれぞれに支持されたシートを給送できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例の画像形成装置の模式断面図である。
図2図2は、第2トレイ、第2給送ローラ等を示す部分断面図であって、離隔状態になっている第2トレイの第2圧板及び第2給送ローラを示す図である。
図3図3は、図2と同様の部分断面図であって、圧接状態になっている第2圧板及び第2給送ローラを示す図である。
図4図4は、実施例の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5図5は、モータ、第1駆動列、電磁クラッチ、第2駆動列、カム機構等を示す斜視図である。
図6図6は、モータ、第1駆動列、電磁クラッチ、第2駆動列、カム機構等を示す斜視図である。
図7図7は、モータ、第1駆動列、電磁クラッチ、第2駆動列、カム機構等を示す斜視図である。
図8図8は、第2圧板と、カム機構が有する昇降機構及びカムギヤとを示す部分上面図である。
図9図9は、図8のA-A断面を示す部分断面図であって、第2圧板と、昇降機構と、カムギヤの第2カムとを示す図である。
図10図10は、昇降機構のカムフォロア、伝達軸、伝達ギヤ及びアームを示す斜視図である。
図11図11は、遊星歯車機構の断面図である。
図12図12は、基準位置にあるカムギヤ、ソレノイドレバー、第2駆動列の最下流伝達ギヤ、第1係合位置にあるストッパ等を示す部分模式側面図である。
図13図13は、基準位置から第1角度まで第1回転したカムギヤ、ソレノイドレバー、第2駆動列の最下流伝達ギヤ、第2係合位置にあるストッパ等を示す部分模式側面図である。
図14図14は、図9と同様の部分断面図であって、第2カムがカムフォロアから離間する直前の状態を示す図である。
図15図15は、図9と同様の部分断面図であって、第2カムがカムフォロアに当接した直後の状態を示す図である。
図16図16は、第1トレイに支持されたシートを給送する場合のフローチャートである。
図17図17は、第2トレイに支持されたシートを給送する場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像形成装置1は、本発明の画像形成装置の具体的態様の一例である。画像形成装置1は、電子写真方式によりシートSHに画像を形成するモノクロレーザプリンタである。
【0026】
<全体構成>
画像形成装置1は、略箱状体である装置本体9と、装置本体9にそれぞれ収容された第1レイ10、第1給送ローラ21、第1分離ローラ22、分離パッド22A、搬送ローラ対23、レジストローラ対24、現像装置3、感光体5、スキャナ部8、定着器7、排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29と、を備えている。
【0027】
装置本体9内の下部には、第1トレイ10が位置している。第1トレイ10は、レジストローラ対24、現像装置3、感光体5及び定着器7よりも下方の位置にある。第1トレイ10は、画像形成されるシートSHを積層状態で支持する。シートSHは、用紙やOHPシート等である。
【0028】
装置本体9は、第1トレイ10を装置本体9内から前向きに引き出し可能に支持している。前向きの方向は、本実施例の「第1方向」の一例である。また。装置本体9は、第1トレイ10を着脱可能に支持している。
【0029】
ユーザは、第1トレイ10を装置本体9内から前向きに引き出したり、装置本体9から取り外したりした状態で、第1トレイ10にシートSHを収容させることができる。
【0030】
装置本体9の上面には、排出トレイ9Dが位置している。排出トレイ9Dには、画像形成を終えたシートSHが排出される。装置本体9の前部には、第1給送ローラ21、第1分離ローラ22、分離パッド22A及び搬送ローラ対23が位置している。装置本体9の後部には、定着器7が位置している。
【0031】
装置本体9内には、搬送経路P1が設けられている。搬送経路P1は、第1トレイ10の前端部から上向きにUターンしながら第1給送ローラ21、第1分離ローラ22、分離パッド22A及び搬送ローラ対23を経由した後、後向きに略水平に進んでレジストローラ対24、感光体5及び定着器7を経由し、さらに上向きにUターンしながら排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29を経由して排出トレイ9Dに至る経路である。
【0032】
第1給送ローラ21は、搬送経路P1の最上流端に位置している。第1給送ローラ21は、感光体5から前方に離隔する位置にある。
【0033】
第1トレイ10は、第1圧板11を有している。第1圧板11は、第1トレイ10の底部に位置し、シートSHを支持して上下動可能である。第1圧板11は、第1トレイ10が支持するシートSHの枚数の減少に応じて傾斜角度が増加することで、第1トレイ10に支持された最上位のシートSHを第1給送ローラ21に当接させる。
【0034】
第1分離ローラ22及び分離パッド22Aは、第1給送ローラ21よりも搬送経路P1の下流に位置している。搬送ローラ対23は、第1分離ローラ22及び分離パッド22Aよりも搬送経路P1の下流であって、搬送経路P1における上向きにUターンする部分の途中に位置している。
【0035】
レジストローラ対24は、搬送ローラ対23よりも搬送経路P1の下流、かつ感光体5よりも搬送経路P1の上流であって、搬送経路P1における後向きに略水平に進む部分の途中に位置している。
【0036】
第1給送ローラ21は、第1トレイ10に支持されたシートSHを感光体5に向けて給送する。第1分離ローラ22及び分離パッド22Aは、第1給送ローラ21によって搬送経路P1に送り出されたシートSHが複数枚であれば1枚ずつに分離する。そして、搬送ローラ対23及びレジストローラ対24は、そのシートSHを感光体5に搬送する。
【0037】
現像装置3は、トナーを収容するトナー収容室3Dと、トナー収容室3Dからトナーが供給される現像ローラ3Aと、を有している。感光体5は、現像ローラ3Aよりも後方かつ下方に位置し、現像ローラ3Aと接触している。
【0038】
装置本体9の幅方向は、前後方向及び上下方向に直交する方向である。感光体5の回転軸心は、幅方向に延びている。本実施例では、図1の紙面手前側を幅方向の一方とし、図1の紙面奥側を幅方向の他方とする。図2以降の各図に示す前後方向、上下方向及び幅方向は、全て図1に対応させて表示する。
【0039】
図1に示すように、感光体5は、円筒状の回転体である。感光体5の表面には、正帯電性を有するトナーに対応して、正帯電性の感光層が形成されている。なお、感光体5の表面に負帯電性の感光層が形成される場合もあるが、この場合は、負帯電性を有するトナーを使用することになる。
【0040】
感光体5は、搬送経路P1における後向きに略水平に進む部分に沿って搬送されるシートSHに上から当接可能である。感光体5よりも下方には、転写ローラ5Aが位置している。転写ローラ5Aは、搬送経路P1を挟んで感光体5に下から対向している。
【0041】
現像装置3は、帯電器3Eをさらに有している。帯電器3Eは、感光体5に後方から対向している。帯電器3Eは、周知のスコロトロン帯電器である。
【0042】
スキャナ部8は、現像装置3及び感光体5よりも上方に位置している。スキャナ部8は、周知の構成であるレーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。スキャナ部8は、感光体5の表面に対し、レーザビームを照射する。
【0043】
感光体5の表面は、その回転に伴って帯電器3Eにより一様に正帯電された後、スキャナ部8から照射されるレーザビームの高速走査により露光される。これにより、感光体5の表面には、シートSHに形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0044】
そして、現像ローラ3Aは、感光体5の表面に形成された静電潜像に対応して、感光体5にトナーを供給する。これにより、感光体5の表面にトナー像が担持される。感光体5は、感光体5と転写ローラ5Aとのニップ位置を通過するシートSHの上を向く面に、そのトナー像を転写する。
【0045】
定着器7は、感光体5よりも後方に位置している。定着器7は、搬送経路P1に対して上に位置する加熱部材7Aと、搬送経路P1を挟んで下から加熱部材7Aに対向する加圧ローラ7Bと、を有している。
【0046】
加熱部材7Aは、無端ベルトと、無端ベルトを内周から循環可能に支持するガイド部材と、無端ベルトを内周から加熱するヒータ7Hと、を有している。
【0047】
定着器7は、加熱部材7A及び加圧ローラ7Bによって、トナー像が転写されたシートSHを加熱及び加圧しながら排出補助ローラ対28に向けて搬送し、シートSH上にトナー像を熱定着させる。
【0048】
排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29は、トナー像が定着したシートSHを排出トレイ9Dに排出する。
【0049】
また、画像形成装置1は、第2トレイ30、第2給送ローラ25、第2分離ローラ26及び分離パッド26Aを備えている。
【0050】
第2トレイ30は、サイズや厚み等が異なる複数種類のシートSHを感光体5に向けて給送するためのマルチパーパストレイである。第2トレイ30は、装置本体9の前面9S側に位置し、前面9Sから前向きに上り傾斜するように延びている。つまり、第2トレイ30は、感光体5よりも前方、かつ第1トレイ10よりも上方に位置している。
【0051】
図2及び図3に示すように、第2トレイ30は、トレイ本体36、第2圧板32、第1サブトレイ37A及び第2サブトレイ37Bを有している。
【0052】
トレイ本体36、第2圧板32、第1サブトレイ37A及び第2サブトレイ37Bはそれぞれ、前向きに緩やかに上り傾斜するように延び、かつ幅方向に延びる平板部材である。
【0053】
第2圧板32は、トレイ本体36の後部分に上から重なっている。第2圧板32は、その前端がトレイ本体36に支持されており、幅方向に延びる回動軸心X32周りに回動可能である。前後方向において、第2圧板32の後端は、トレイ本体36の後端とほぼ同じ位置にある。第2圧板32は、シートSHを支持して上下動可能である。
【0054】
第1サブトレイ37Aは、トレイ本体36の前部分に上から重なっており、第2圧板32よりも前方に位置している。第1サブトレイ37Aは、前後方向にスライド可能にトレイ本体36に支持されている。
【0055】
第2サブトレイ37Bは、第1サブトレイ37Aの前端に回動可能に連結し、第1サブトレイ37Aよりも前方に延びている。
【0056】
第2トレイ30は、第2圧板32、第1サブトレイ37A及び第2サブトレイ37Bのそれぞれの上を向く面によって、シートSHを支持する。
【0057】
図示は省略するが、第2トレイ30は、第2サブトレイ37Bが第1サブトレイ37Aに上から重なるように回動し、次に、第1サブトレイ37A及び第2サブトレイ37Bが後向きにスライドしてトレイ本体36と第2圧板32との間に進入し、さらに、トレイ本体36がその下端を中心として起立するように回動することで、装置本体9の前面9Sに収容される。
【0058】
第2給送ローラ25は、第2圧板32の後端に上から対面している。第2給送ローラ25は、感光体5から前方に離隔する位置にある。第2分離ローラ26及び分離パッド26Aは、第2給送ローラ25よりも後方に位置している。
【0059】
図5図10等を示して後述するカム機構300は、第2圧板32を図2に示す給送位置と、図3に示す非給送位置と、の間で上下動させる。
【0060】
カム機構300は、第2圧板32を図3に示す非給送位置に下降させることにより、第2トレイ30及び第2給送ローラ25について、第2トレイ30に支持された最上位のシートSHと第2給送ローラ25とが離隔する離隔状態に切り替える。
【0061】
その一方、カム機構300は、第2圧板32を図2に示す給送位置に上昇させることにより、第2トレイ30及び第2給送ローラ25について、第2トレイ30に支持された最上位のシートSHと第2給送ローラ25とが圧接する圧接状態に切り替える。
【0062】
第2トレイ30に支持されたシートSHを感光体5に向けて給送する場合、第2圧板32が図3に示す非給送位置から図2に示す給送位置に上昇し、第2トレイ30及び第2給送ローラ25が圧接状態に切り替わる。次に、第2給送ローラ25が回転し、第2圧板32に支持された最上位のシートSHをレジストローラ対24及び感光体5に向けて給送する。第2分離ローラ26及び分離パッド26Aは、第2給送ローラ25によって搬送経路P1に送り出されたシートSHが複数枚であれば1枚ずつに分離する。そして、レジストローラ対24は、そのシートSHを感光体5に搬送する。
【0063】
感光体5は、第2トレイ30から感光体5に向けて給送されるシートSHに対し、トナー像を転写する。そして、定着器7がトナー像をシートSH上に熱定着させ、排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29がそのシートSHを排出トレイ9Dに排出する。第2トレイ30からのシートSHの給送動作が終了すると、第2圧板32が図2に示す給送位置から図3に示す非給送位置に下降し、第2トレイ30及び第2給送ローラ25が離隔状態に切り替わる。
【0064】
<画像形成装置の電気的構成>
図4に示すように、画像形成装置1は、制御部C1を備えている。装置本体9は、制御部C1を収容している。制御部C1は、図示しないCPU、インターフェース回路及び記憶部C1Mを含んで構成された電子回路ユニットである。
【0065】
記憶部C1Mは、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されている。記憶部C1Mは、画像形成装置1を動作させるために制御部C1が実行する各種プログラムを記憶している。また、記憶部C1Mは、画像形成装置1の設定情報等の各種情報や、各種プログラムを実行するための初期設定情報等を随時記憶する。制御部C1は、記憶部C1Mが記憶するプログラムを実行することにより、図16図17に示す動作を画像形成装置1の各部品に実行させる。
【0066】
制御部C1は、画像形成装置1の各部に対する全般的な制御を行う。図4では、本発明の作用効果にあまり関係しない部品の図示を省略している。
【0067】
画像形成装置1は、メインモータM1、排出モータM2、ポリゴンモータM3、電磁クラッチCL1、ソレノイドSO1、感光体クラッチCL3及び現像ローラクラッチCL4をそれぞれ1つ備えている。メインモータM1は、本発明の「モータ」の一例である。
【0068】
制御部C1は、ポリゴンモータM3の回転及び停止を制御することにより、スキャナ部8の駆動を制御する。
【0069】
制御部C1は、排出モータM2の回転及び停止を制御することにより、排出補助ローラ対28及び排出ローラ対29の駆動を制御する。
【0070】
制御部C1は、定着器7の加熱部材7Aが有するヒータ7Hの加熱及び停止と、発熱の程度と、を制御する。
【0071】
制御部C1は、メインモータM1の回転及び停止を制御することにより、定着器7の加圧ローラ7Bの駆動を制御する。
【0072】
制御部C1は、メインモータM1の回転及び停止を制御し、かつ感光体クラッチCL3について、通電の開始によって駆動力を伝達可能な接続状態に切り替え、通電の終了によって駆動力を伝達不能な遮断状態に切り替えることにより、感光体5の駆動を制御する。
【0073】
制御部C1は、メインモータM1の回転及び停止を制御し、かつ現像ローラクラッチCL4について、通電の開始によって駆動力を伝達可能な接続状態に切り替え、通電の終了によって駆動力を伝達不能な遮断状態に切り替えることにより、現像ローラ3Aの駆動を制御する。
【0074】
後で詳しく説明するが、制御部C1は、メインモータM1の回転及び停止を制御し、かつ電磁クラッチCL1及びソレノイドSO1のそれぞれについて通電の開始及び終了を制御することにより、第1給送ローラ21、第1分離ローラ22、第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26の駆動を制御するとともに、第2圧板32の上下動を制御する。
【0075】
なお、説明は簡略するが、制御部C1は、メインモータM1の回転及び停止を制御し、かつ図示しないクラッチについて駆動力の伝達及び遮断の切り替えを制御することにより、搬送ローラ対23、レジストローラ対24及び第1圧板11のそれぞれの駆動を制御する。
【0076】
図1に示すように、画像形成装置1は、レジ前シートセンサS1、レジ後シートセンサS2、定着後シートセンサS3及び着脱センサS4をさらに備えている。
【0077】
図4に示すように、制御部C1は、レジ前シートセンサS1、レジ後シートセンサS2、定着後シートセンサS3及び着脱センサS4と電気的に接続している。
【0078】
図1に示すように、レジ前シートセンサS1は、搬送経路P1におけるレジストローラ対24の直前に位置し、シートSHの通過を検出して制御部C1に伝達する。
【0079】
レジ後シートセンサS2は、搬送経路P1におけるレジストローラ対24の直後に位置し、シートSHの通過を検出して制御部C1に伝達する。
【0080】
定着後シートセンサS3は、搬送経路P1における定着器7の直後に位置し、シートSHの通過を検出して制御部C1に伝達する。
【0081】
レジ前シートセンサS1、レジ後シートセンサS2、定着後シートセンサS3としては、シートSHが当接することで揺動するアクチュエータを有するセンサや、光センサ等を用いることができる。
【0082】
レジ前シートセンサS1、レジ後シートセンサS2、定着後シートセンサS3は、シートSHが通過している状態でオン信号を出力し、シートSHが通過していない状態でオフ信号を出力する。
【0083】
着脱センサS4は、第1トレイ10の装置本体9に対する着脱を検出して制御部C1に伝達する。着脱センサS4としては、マイクロスイッチ等の接触式センサ、光や電磁誘導等を利用した非接触式センサ等を用いることができる。
【0084】
なお、説明は簡略するが、制御部C1は、画像形成装置1の電源が入った状態で第1トレイ10が装置本体9に装着されたことを着脱センサS4が検出した場合、メインモータM1の回転及び停止を制御し、かつ図示しないクラッチについて駆動力の伝達及び遮断の切り替えを制御することにより、第1圧板11を上昇させ、第1トレイ10に支持された最上位のシートSHと第1給送ローラ21とを圧接させる。また、制御部C1は、画像形成装置1の電源が入っていない状態で第1トレイ10が装置本体9に装着され、その後に画像形成装置1の電源が入ったときに着脱センサS4が第1トレイ10の装着を検出した場合も、同様にして第1圧板11を上昇させ、第1トレイ10に支持された最上位のシートSHと第1給送ローラ21とを圧接させる。
【0085】
図4に示すように、画像形成装置1は、回転位置センサS5をさらに備えている。回転位置センサS5は、図5図8等を示して後述するカム機構300が有するカムギヤ301の回転位置を検出して制御部C1に伝達する。
【0086】
回転位置センサS5としては、後述するようにカムギヤ301が1周回転のうちの図12に示す基準位置にあるか否かを少なくとも検出可能であればどのような方式のセンサでもよい。例えば、回転位置センサS5としては、フォトインタラプタや、ホール素子内蔵回転角度センサ等を用いることができる。
【0087】
<駆動機構>
図5図7において、メインモータM1の駆動ギヤM1Gと、伝達ギヤ101、102等である複数のギヤと、を円柱として簡略化して図示しているが、それらは平歯車である。
【0088】
図5に示すように、メインモータM1の駆動力は、駆動ギヤM1G及び図示しない複数の伝達ギヤを経由して定着器7の加圧ローラ7Bに伝達される。
【0089】
メインモータM1の駆動力は、駆動ギヤM1G、駆動ギヤM1Gと噛み合う伝達ギヤ101、図示しない複数の伝達ギヤ及び感光体クラッチCL3を経由して感光体5に伝達される。
【0090】
メインモータM1の駆動力は、駆動ギヤM1G、伝達ギヤ101、図示しない複数の伝達ギヤ及び現像ローラクラッチCL4を経由して現像ローラ3Aに伝達される。
【0091】
図5図7に示すように、電磁クラッチCL1は、入力ギヤCL1A、出力ギヤCL1B、シャフトCL1D及びクラッチハウジングCL1Hを有している。メインモータM1の駆動力は、駆動ギヤM1G、伝達ギヤ101、伝達ギヤ101と噛み合う伝達ギヤ102を経由して、入力ギヤCL1Aに伝達される。出力ギヤCL1Bは、後述する第1駆動列100の遊星キャリアギヤ177と噛み合っている。出力ギヤCL1Bは、シャフトCL1Dに一体回転に固定されている。
【0092】
図示は省略するが、電磁クラッチCL1は、クラッチハウジングCL1H内にコイル、アマチュア及びロータを有する摩擦式電磁クラッチである。アマチュアは、入力ギヤCL1Aに一体回転に固定されている。ロータは、シャフトCL1Dに一体回転に固定されている。
【0093】
電磁クラッチCL1は、通電の開始によってコイルが磁場を発生させ、アマチュアとロータとに磁気吸着力が作用することで、メインモータM1から第1駆動列100の遊星キャリアギヤ177に駆動力を伝達可能な接続状態になる。
【0094】
その一方、電磁クラッチCL1は、通電の終了によってコイルが磁場を発生させなくなり、ロータとアマチュアとに磁気吸着力が作用しなくなることで、メインモータM1から第1駆動列100の遊星キャリアギヤ177に駆動力を伝達不能な遮断状態になる。
【0095】
図5に示すように、メインモータM1の回転方向は、幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向である。メインモータM1が回転し、かつ電磁クラッチCL1が接続状態になった場合において、入力ギヤCL1A及び出力ギヤCL1Bの回転方向は幅方向の一方から他方に向かって見た場合の反時計方向であり、遊星キャリアギヤ177の回転方向は幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向である。
【0096】
図5図7に示すように、画像形成装置1は、第1駆動列100、第2駆動列200及びカム機構300を備えている。
【0097】
<第1駆動列>
第1駆動列100は、遊星歯車機構170、第1伝達ギヤ111、112、113、114及び第2伝達ギヤ121、122、123、124、125を有している。
【0098】
図11に示すように、遊星歯車機構170は、太陽ギヤ171、内歯ギヤ173、遊星キャリアギヤ177及び複数の遊星ギヤ175を有している。太陽ギヤ171、内歯ギヤ173、遊星キャリアギヤ177及び各遊星ギヤ175はそれぞれ、樹脂製部材である。
【0099】
太陽ギヤ171は、支持軸179を内挿する円筒部分と、円筒部分における幅方向の中間部に接続する円盤状のフランジ部分と、からなる。支持軸179は、幅方向に延びる第2軸心X2を中心としている。太陽ギヤ171は、第2軸心X2周りに自転可能である。
【0100】
太陽ギヤ171は、外歯171G1、171G2及びラック部171Rを有している。外歯171G1は、太陽ギヤ171の円筒部分の外周面における幅方向の一方の端部に位置している。外歯171G2は、太陽ギヤ171の円筒部分の外周面における幅方向の他方の端部に位置している。ラック部171Rは、太陽ギヤ171のフランジ部分の外周面を1周するように並ぶ複数の係止爪を有している。
【0101】
内歯ギヤ173は、第2軸心X2周りに自転可能な円筒である。内歯ギヤ173は、太陽ギヤ171の外歯171G1を囲み、かつ太陽ギヤ171のフランジ部分に幅方向の一方から隣接している。
【0102】
内歯ギヤ173は、内歯173G1、外歯173G2及びラック部173Rを有している。内歯173G1は、内歯ギヤ173の内周面における幅方向の一方の端部に位置し、第2軸心X2の径方向において太陽ギヤ171の外歯171G1と対向している。
【0103】
外歯173G2は、内歯ギヤ173の外周面における幅方向の一方の端部に位置している。ラック部173Rは、内歯ギヤ173の外周面における幅方向の他方の端部を1周するように並ぶ複数の係止爪を有している。
【0104】
遊星キャリアギヤ177は、支持軸179を内挿する円盤部分と、円盤部分における径方向の中間部から幅方向の他方に突出する複数の円柱部分と、からなる。遊星キャリアギヤ177は、太陽ギヤ171の円筒部分、及び内歯ギヤ173に幅方向の一方から隣接している。
【0105】
遊星キャリアギヤ177は、外歯177Gを有している。外歯177Gは、遊星キャリアギヤ177の円盤部分の外周面に位置している。図6に示すように、外歯177Gは、電磁クラッチCL1の出力ギヤCL1Bと噛み合っている。遊星キャリアギヤ177は、メインモータM1からの駆動力を受けて第2軸心X2周りに自転可能である。
【0106】
図11に示すように、各遊星ギヤ175は、太陽ギヤ171の外歯171G1、及び内歯ギヤ173の内歯173G1と噛み合っている。各遊星ギヤ175は、遊星キャリアギヤ177の各円柱部分を内挿している。これにより、遊星キャリアギヤ177は、各遊星ギヤ175を自転可能、かつ第2軸心X2周りに公転可能に支持している。
【0107】
図6に示すように、第1伝達ギヤ111は、内歯ギヤ173の外歯173G2と噛み合っている。第1伝達ギヤ112は、第1伝達ギヤ111と一体回転する。
【0108】
図7に示すように、第1伝達ギヤ113は、第1伝達ギヤ112と噛み合っている。第1伝達ギヤ114は、第1伝達ギヤ113と噛み合っている。第1伝達ギヤ114は、第1分離ローラ22の回転軸22Sにおける幅方向の一方の端部に一体回転可能に接続している。
【0109】
図示は省略するが、回転軸22Sにおける幅方向の他方の端部には、駆動力を第1給送ローラ21に伝達する伝達ギヤが位置している。その伝達ギヤと、第1給送ローラ21と一体回転するギヤとの間には、中間ギヤが位置している。
【0110】
図6に示すように、第2伝達ギヤ121は、太陽ギヤ171の外歯171G2と噛み合っている。図7に示すように、第2伝達ギヤ122は、第2伝達ギヤ121と一体回転する。第2伝達ギヤ123は、第2伝達ギヤ122と噛み合っている。第2伝達ギヤ124は、第2伝達ギヤ123と噛み合っている。
【0111】
図6に示すように、第2伝達ギヤ124は、第2伝達ギヤ125と噛み合っている。第2伝達ギヤ125は、第2分離ローラ26の回転軸26Sにおける幅方向の一方の端部に一体回転可能に接続している。
【0112】
図示は省略するが、回転軸26Sにおける幅方向の他方の端部には、駆動力を第2給送ローラ25に伝達する伝達ギヤが位置している。その伝達ギヤと、第2給送ローラ25と一体回転するギヤとの間には、中間ギヤが位置している。
【0113】
図5及び図12に示すように、第1駆動列100は、後述するカム機構300のストッパ370が太陽ギヤ171を自転不能とする一方、内歯ギヤ173を自転可能とすることにより、メインモータM1からの駆動力を第1給送ローラ21及び第1分離ローラ22に伝達可能な第1伝達状態に切り替わる。
【0114】
具体的には、図5に示すように、第1伝達状態にある第1駆動列100において、メインモータM1からの駆動力が接続状態にある電磁クラッチCL1の出力ギヤCL1Bから遊星キャリアギヤ177の外歯177Gに伝達されると、内歯ギヤ173が自転する。
【0115】
内歯ギヤ173の回転方向は、遊星キャリアギヤ177の回転方向と同じであって、幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向である。内歯ギヤ173は、自転によって第1伝達ギヤ111~114等を経由して第1給送ローラ21及び第1分離ローラ22に駆動力を伝達する。
【0116】
その一方、図13に示すように、第1駆動列100は、後述するカム機構300のストッパ370が内歯ギヤ173を自転不能とする一方、太陽ギヤ171を自転可能とすることにより、メインモータM1からの駆動力を第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26に伝達可能な第2伝達状態に切り替わる。
【0117】
具体的には、第2伝達状態にある第1駆動列100において、メインモータM1からの駆動力が接続状態の電磁クラッチCL1の出力ギヤCL1Bから遊星キャリアギヤ177の外歯177Gに伝達されると、太陽ギヤ171が自転する。
【0118】
太陽ギヤ171の回転方向は、遊星キャリアギヤ177の回転方向と同じであって、幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向である。太陽ギヤ171は、自転によって第2伝達ギヤ121~125等を経由して第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26に駆動力を伝達する。
【0119】
つまり、第1駆動列100は、メインモータM1からの駆動力を第1給送ローラ21及び第1分離ローラ22と、第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26と、に選択的に伝達する。
【0120】
<第2駆動列>
図5及び図6に示すように、第2駆動列200は、上述した伝達ギヤ101と、伝達ギヤ201、202、203、204と、最下流伝達ギヤ205と、を有している。
【0121】
伝達ギヤ201は、伝達ギヤ101と噛み合っている。伝達ギヤ202は、伝達ギヤ201と噛み合っている。伝達ギヤ203は、伝達ギヤ202と噛み合っている。伝達ギヤ204は、伝達ギヤ203と噛み合っている。最下流伝達ギヤ205は、伝達ギヤ204と一体回転する。
【0122】
第2駆動列200は、メインモータM1からの駆動力をカム機構300に伝達する。
【0123】
<カム機構>
カム機構300は、図8図10等に示す昇降機構6と、図5図7等に示すカムギヤ301、ソレノイドレバー350及びストッパ370と、を有している。
【0124】
<昇降機構>
図8及び図9に示すように、第2圧板32は、昇降機構6に作用される2つの被当接部33を有している。一方の被当接部33は、第2圧板32における後方かつ幅方向の一方に位置する角部から下向きに突出している。他方の被当接部33は、第2圧板32における後方かつ幅方向の他方に位置する角部から下向きに突出している。
【0125】
図8図10に示すように、昇降機構6は、伝達軸60と、カムフォロア64と、2組の伝達ギヤ61、62及びアーム63と、を有している。また、昇降機構6は、図8及び図9に示すように、2つの引っ張りコイルバネ6Sを有している。
【0126】
図8図10に示すように、伝達軸60は、幅方向において第2圧板32よりも長く延びる金属製の略丸棒である。伝達軸60は、第2圧板32の後端から後方に離隔した位置で幅方向に延びる回動軸心X60周りに回動可能である。
【0127】
カムフォロア64は、伝達軸60における幅方向の一方の端部に一体回転可能に嵌合する樹脂製部材の一部である。カムフォロア64は、回動軸心X60から後方に離隔した位置で、幅方向の一方に向けて突出している。つまり、カムフォロア64は、回動軸心X60に対して偏心している。
【0128】
図8に示すように、2組の伝達ギヤ61、62及びアーム63は、勝手違いの同一構成である。一方の組の伝達ギヤ61、62及びアーム63は、幅方向の一方に位置する被当接部33に対応している。他方の組の伝達ギヤ61、62及びアーム63は、幅方向の他方に位置する被当接部33に対応している。
【0129】
図9に示すように、伝達ギヤ61は伝達軸60と一体回転可能であり、その前部分に複数のギヤ歯を有する側面視扇型のギヤである。伝達ギヤ61は、その後部分においてバネ係止部61Sを有している。
【0130】
バネ係止部61Sは、引っ張りコイルバネ6Sの下端を係止している。伝達軸60等を支持する内部フレームの上端に位置するバネ係止部は、引っ張りコイルバネ6Sの上端を係止している。
【0131】
引っ張りコイルバネ6Sは、伝達軸60を幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向に回動させるように付勢している。引っ張りコイルバネ6Sの付勢方向は、カムフォロア64を上昇させる方向である。
【0132】
図8図10に示すように、伝達ギヤ62は、第2圧板32の後端から後方に離隔した位置、かつ回動軸心X60から前方に離隔した位置で幅方向に延びる回動軸心X62周りに回動可能である。伝達ギヤ62は、その後部分に複数のギヤ歯を有する側面視扇型のギヤである。伝達ギヤ62は、伝達ギヤ61と噛み合っている。
【0133】
アーム63は伝達ギヤ62と一体であり、伝達ギヤ62の前部分から前向きに突出している。図8及び図9に示すように、アーム63は、被当接部33に下から当接可能である。
【0134】
図9に示すカムフォロア64の位置は、カムフォロア64が後述する第2カム320の凹部320Dに当接して最も下降した位置である。この状態では、アーム63は、前向きに下り傾斜するように突出し、被当接部33を下降させる。図9に示す第2圧板32の位置は、非給送位置である。
【0135】
図14に示すように、後述する第2カム320の回動にカムフォロア64が追従して上昇すると、アーム63は、回動軸心X62周りに上向きに回動して第2圧板32を押し上げることにより、第2圧板32を給送位置に上昇させる。
【0136】
<カムギヤ>
図5に示すように、カムギヤ301は、第2軸心X2から上方に離隔した位置で幅方向に延びる第1軸心X1周りに回転可能である。図8及び図9に示すように、第1軸心X1は、回動軸心X60から上方に離隔し、かつ回動軸心X60から前方に若干ずれている。
【0137】
図8及び図12に示すように、カムギヤ301は樹脂製部材であり、円盤部分と、円盤部分よりも幅方向の一方に位置する被付勢部303A、303Bと、被付勢部303A、303Bよりも幅方向の一方に位置する第3カム330と、第3カム330よりも幅方向の一方に位置する第1カム310と、を一体に有している。
【0138】
また、カムギヤ301は、図8及び図9に示すように、円盤部分よりも幅方向の他方に位置する第2カム320を一体に有している。
【0139】
図12に示すように、カムギヤ301は、ギヤ歯301G及び欠け歯部302A、302Bを有している。ギヤ歯301G及び欠け歯部302A、302Bは、カムギヤ301の円盤部分の外周面に位置している。
【0140】
欠け歯部302Bは、欠け歯部302Aに対して第1軸心X1を挟んで反対側に位置している。ギヤ歯301Gは、カムギヤ301の円盤部分の外周面における欠け歯部302A、302B以外の部分において第1軸心X1の周方向に並ぶ複数の歯を有している。ギヤ歯301Gは、欠け歯部302A、302Bによって2つに分割されている。
【0141】
図12及び図13に示すように、欠け歯部302A又は欠け歯部302Bが最下流伝達ギヤ205に対向する状態では、メインモータM1からの駆動力が最下流伝達ギヤ205からカムギヤ301に伝達されない。
【0142】
図示は省略するが、メインモータM1が回転する状態でギヤ歯301Gが最下流伝達ギヤ205と噛み合うことにより、カムギヤ301は、第2駆動列200を経由するメインモータM1からの駆動力を受けて第1軸心X1周りに回転する。
【0143】
最下流伝達ギヤ205の回転方向は、幅方向の一方から他方に向かって見た場合の反時計方向である。カムギヤ301の回転方向は、幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向である。
【0144】
図8に示すように、第1カム310は、ギヤ歯301Gに対して第1軸心X1方向の一方に位置している。第2カム320は、ギヤ歯301Gに対して第1軸心X1方向の他方に位置している。
【0145】
図12に示すように、被付勢部303A、303Bはそれぞれ、側面視略扇型形状の凸部である。被付勢部303Aは、第1軸心X1に対して欠け歯部302A側に位置している。被付勢部303Bは、第1軸心X1に対して欠け歯部302B側に位置している。
【0146】
図5図12及び図13に示すように、カム機構300は、捩じりコイルバネ309を有している。捩じりコイルバネ309は、被付勢部303A又は被付勢部303Bを押圧することにより、カムギヤ301を幅方向の一方から他方を見た場合の時計方向に回転させてギヤ歯301Gが最下流伝達ギヤ205と噛み合うように付勢する。
【0147】
図12に示すように、第3カム330は、側面視略長円形状の外周面と、その外周面の2か所が楔状に凹んでなる楔状凹部330A、330Bと、を有する凸部である。楔状凹部330Aは、第1軸心X1に対して欠け歯部302A側に位置している。楔状凹部330Bは、第1軸心X1に対して欠け歯部302B側に位置している。
【0148】
第1カム310は、側面視略扇型形状の凸部である。第1カム310は、第1軸心X1に対して欠け歯部302B側に位置している。
【0149】
図8及び図9に示すように、第2カム320は、第1軸心X1に対して偏心した位置で幅方向の他方に突出する凸部である。図9に示すように、第2カム320の外周面は、第1軸心X1から最も離隔する部分において、第1軸心X1に向かって浅く凹む凹部320Dを有している。
【0150】
図9図14及び図15に示すように、第2カム320は、幅方向の一方から他方を見た場合の時計方向に回動することにより、引っ張りコイルバネ6Sの付勢力に抗してカムフォロア64を下降させたり、引っ張りコイルバネ6Sがカムフォロア64を上昇させることを許容したりする。
【0151】
<ソレノイドレバー>
図5に示すように、ソレノイドレバー350は、第1軸心X1から前方かつ上方に離隔した位置で幅方向に延びる回動軸心X350周りに回動可能である。
【0152】
ソレノイドSO1は、カムギヤ301よりも前方に位置している。ソレノイドSO1の可動子SO1Aの上端は、ソレノイドレバー350の前端に連結している。
【0153】
ソレノイドレバー350の後端は、回動軸心X350よりも後方において、後方かつ下方に向かって楔状に突出している。
【0154】
引っ張りコイルバネ359は、ソレノイドレバー350を幅方向の一方から他方を見た場合の反時計方向に回動させるように付勢している。これにより、ソレノイドレバー350の後端は、カムギヤ301の第3カム330に当接している。
【0155】
ソレノイドSO1の通電が開始されると、可動子SO1Aが引っ張りコイルバネ359の付勢力に抗してソレノイドレバー350の前端を引き下げることにより、ソレノイドレバー350の後端が第3カム330から離隔する。
【0156】
ソレノイドSO1の通電が終了すると、引っ張りコイルバネ359の付勢力により、ソレノイドレバー350の後端が第3カム330に当接する。
【0157】
<カムギヤの基準位置、及び、カムギヤの第1回転及び第2回転>
図5及び図12に示すカムギヤ301の位置は、カムギヤ301の1周回転のうちの基準位置である。
【0158】
カムギヤ301の基準位置は、ソレノイドSO1が通電されていない状態でソレノイドレバー350の後端が第3カム330の楔状凹部330Aに係合し、かつ捩じりコイルバネ309が被付勢部303Aを介して楔状凹部330Aをソレノイドレバー350の後端に押し付けることによって決まる。カムギヤ301が基準位置にある状態では、第2カム320が図8に示す位置にある。
【0159】
カムギヤ301の1周回転は、幅方向の一方から他方に向かって見た場合の時計方向の回転であって、基準位置から第1角度までの第1回転、すなわち、図12に示す位置から図13に示す位置までの回転と、第1角度から基準位置までの第2回転、すなわち、図13に示す位置から図12に示す位置までの回転と、からなる。
【0160】
より詳しくは、カムギヤ301の第1回転は、1周回転の半分であって、基準位置から180°である第1角度までの半回転である。カムギヤ301の第2回転は、1周回転の残りの半分であって、180°である第1角度から基準位置までの半回転である。
【0161】
図12に示すように、カムギヤ301が基準位置にある状態で、メインモータM1が回転し、ソレノイドSO1の通電が開始されると、ソレノイドレバー350の後端が第3カム330の楔状凹部330Aから離隔し、捩じりコイルバネ309が被付勢部303Aを押圧してギヤ歯301Gと最下流伝達ギヤ205とを噛み合わせる。これにより、カムギヤ301は、図12に示す基準位置から第1角度までの第1回転を開始する。
【0162】
ソレノイドSO1の通電は、カムギヤ301が第1回転を開始した後に終了する。そして、カムギヤ301は第1回転により、図13に示す位置に到達して停止する。
【0163】
カムギヤ301の第1回転した位置は、ソレノイドSO1が通電されていない状態でソレノイドレバー350の後端が第3カム330の楔状凹部330Bに係合し、かつ捩じりコイルバネ309が被付勢部303Bを介して楔状凹部330Bをソレノイドレバー350の後端に押し付けることによって決まる。カムギヤ301が第1回転した位置にある状態では、第2カム320が図14に示す位置と図15に示す位置との中間位置にある。
【0164】
カムギヤ301の第1回転に伴って、第2カム320は、図8に示す位置から図14に示す位置を通過して、図14に示す位置と図15に示す位置との中間位置に到達する。このため、カムフォロア64が第2カム320に追従して上昇し、アーム63が第2圧板32を給送位置に上昇させる。これにより、カム機構300は、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に切り替える。
【0165】
図13に示すように、カムギヤ301が第1回転した位置にある状態で、メインモータM1が回転し、ソレノイドSO1の通電が開始されると、ソレノイドレバー350の後端が第3カム330の楔状凹部330Bから離隔し、捩じりコイルバネ309が被付勢部303Bを押圧してギヤ歯301Gと最下流伝達ギヤ205とを噛み合わせる。これにより、カムギヤ301は、第1回転した位置から基準位置までの第2回転を開始する。
【0166】
ソレノイドSO1の通電は、カムギヤ301が第2回転を開始した後に終了する。そして、カムギヤ301は第2回転により、図12に示す基準位置に到達して停止する。
【0167】
カムギヤ301の第2回転に伴って、第2カム320は、図14に示す位置と図15に示す位置との中間位置から図15に示す位置を通過して、図8に示す位置に到達する。このため、カムフォロア64が第2カム320に追従して下降し、アーム63が第2圧板32を非給送位置に下降させる。これにより、カム機構300は、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替える。
【0168】
<ストッパ>
図5に示すように、ストッパ370は、第2軸心X2から上方に離隔した位置、かつ第1軸心X1から前方かつ下方に離隔した位置で幅方向に延びる第3軸心X3周りに回動可能である。
【0169】
引っ張りコイルバネ379は、ストッパ370を幅方向の一方から他方を見た場合の反時計方向に回動させるように付勢している。
【0170】
ストッパ370は樹脂製部材であり、当接片373、第1係合爪371及び第2係合爪372を一体に有している。
【0171】
図5及び図12に示すように、当接片373は、第3軸心X3の径外方向であって上向きの方向に突出している。当接片373は、第1カム310と当接可能である。
【0172】
具体的には、当接片373は、カムギヤ301が基準位置、又は基準位置に近い位置にあるときに、引っ張りコイルバネ379に付勢されて、第1軸心X1に対して前方に偏る第1カム310と当接する。
【0173】
その一方、図13に示すように、当接片373は、カムギヤ301が基準位置から第1回転した位置、又は第1回転した位置に近い位置にあるときに、第1軸心X1に対して後方に偏る第1カム310から離隔し、引っ張りコイルバネ379に付勢されて幅方向の一方から他方を見た場合の反時計方向に回動する。
【0174】
つまり、ストッパ370は、第1カム310と当接片373との当接に応じて第3軸心X3周りに回動可能である。
【0175】
図5及び図12に示すように、第1係合爪371は、第3軸心X3の径外方向、かつ第2軸心X2の周方向の一方に突出している。具体的には、第1係合爪371は、前向きかつ下向きに突出し、その先端が太陽ギヤ171のラック部171Rに向かって爪状に突出している。第1係合爪371は、太陽ギヤ171のラック部171Rと係合可能である。
【0176】
第2係合爪372は、第1係合爪371よりも幅方向の一方に位置している。第2係合爪372は、第3軸心X3の径外方向、かつ第2軸心X2の周方向の他方に突出している。具体的には、第2係合爪372は、後向きかつ下向きに突出し、その先端が内歯ギヤ173のラック部173Rに向かって爪状に突出している。図13に示すように、第2係合爪372は、内歯ギヤ173のラック部173Rと係合可能である。
【0177】
ストッパ370は、図5及び図12に示す第1係合位置と、図13に示す第2係合位置とに、に移動可能である。
【0178】
ストッパ370は、カムギヤ301の第1回転に伴って、第1カム310が図12に示す基準位置から図13に示す位置まで回転することによって、当接片373が第1カム310から離隔し、引っ張りコイルバネ379に付勢されて第2係合位置に移動する。
【0179】
第2係合位置にあるストッパ370は、第2係合爪372が内歯ギヤ173のラック部173Rに係合して内歯ギヤ173を自転不能とする一方、第1係合爪371が太陽ギヤ171のラック部171Rから離隔して太陽ギヤ171を自転可能とする。その結果、第1駆動列100は、第2伝達状態に切り替わる。
【0180】
つまり、カム機構300は、カムギヤ301の第1回転によって、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に切り替えるときに、第1駆動列100を第2伝達状態に切り替える。
【0181】
その一方、ストッパ370は、カムギヤ301の第2回転に伴って、第1カム310が図13に示す位置から図12に示す基準位置まで回転することによって、当接片373が第1カム310に当接して第1係合位置に移動する。
【0182】
図5及び図12に示すように、第1係合位置にあるストッパ370は、第1係合爪371が太陽ギヤ171のラック部171Rに係合して太陽ギヤ171を自転不能とする一方、第2係合爪372が内歯ギヤ173のラック部171Rから離隔して内歯ギヤ173を自転可能とする。その結果、第1駆動列100は、第1伝達状態に切り替わる。
【0183】
つまり、カム機構300は、カムギヤ301の第2回転によって、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替えるときに、第1駆動列100を第1伝達状態に切り替える。
【0184】
<第1トレイに支持されたシートを給送して画像形成する場合>
第1トレイ10に支持されたシートSHを給送して画像形成する場合、その印刷ジョブの開始指示を受けた制御部C1は、図16のフローチャートに示す動作を開始させる。
【0185】
初めに、制御部C1はステップS101において、感光体5周辺の温度を所定の温度まで昇温させたり、定着器7のヒータ7Hを所定の温度まで昇温させたり、スキャナ部8のポリゴンモータM3を所定の回転数で安定して回転するように制御したりするといった各種の準備動作が完了した後、メインモータM1を回転させる。
【0186】
次に、制御部C1はステップS102に移行し、回転位置センサS5によってカムギヤ301の回転位置を確認する。
【0187】
次に、制御部C1はステップS103に移行し、カムギヤ301が基準位置にあるか否かを判断する。ステップS103において「Yes」の場合、制御部C1はステップS104に移行し、第2トレイ30及び第2給送ローラ25が離隔状態になっており、かつ第1駆動列100が第1伝達状態になっている「第1モード」であると判断した後、ステップS111に移行する。
【0188】
「第1モード」は、第1トレイ10に支持されたシートSHを給送可能な状態になっていることを意味する。
【0189】
その一方、ステップS103において「No」の場合、制御部C1はステップS106に移行し、第2トレイ30及び第2給送ローラ25が圧接状態になっており、かつ第1駆動列100が第2伝達状態になっている「第2モード」であると判断する。
【0190】
「第2モード」は、第2トレイ30に支持されたシートSHを給送可能な状態になっていることを意味する。
【0191】
次に、制御部C1はステップS107に移行し、「第1モード」に切り替えるためにソレノイドSO1の通電を開始する。これにより、カムギヤ301は、図12に示す基準位置から第1角度までの第1回転を開始する。その後、制御部C1は、ソレノイドSO1の通電を終了する。
【0192】
次に、制御部C1はステップS108に移行し、回転位置センサS5によって、カムギヤ301が基準位置にあるか否かを判断する。
【0193】
制御部C1は、ステップS108において「No」の場合、ステップS108を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS108において「Yes」になると、「第1モード」に切り替わったと判断し、ステップS111に移行する。
【0194】
制御部C1はステップS104又はステップS108からステップS111に移行すると、電磁クラッチCL1の通電を開始し、電磁クラッチCL1を接続状態にする。これにより、モータからの駆動力は、接続状態の電磁クラッチCL1と、第1伝達状態の第1駆動列100と、を経由して、第1給送ローラ21及び第1分離ローラ22に伝達される。これにより、第1給送ローラ21及び第1分離ローラ22は、第1トレイ10に支持された最上位の1枚のシートの給送を開始する。
【0195】
次に、制御部C1はステップS112に移行し、レジ前シートセンサS1がONして所定時間経過したか否かを判断する。所定時間は、レジストローラ対24がシートSHの搬送を引き継いだ後となるように設定される。
【0196】
制御部C1は、ステップS112において「No」の場合、ステップS112を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS112において「Yes」になると、ステップS113に移行する。
【0197】
制御部C1はステップS113に移行すると、電磁クラッチCL1の通電を終了し、電磁クラッチCL1を遮断状態にする。これにより、第1給送ローラ21及び第1分離ローラ22は、1枚のシートの給送を終了する。
【0198】
レジストローラ対24が搬送を引き継いだシートSHは、その後に画像が形成されて排出トレイ9Dに排出される。
【0199】
次に、制御部C1はステップS114に移行し、印刷ジョブが終了したか否かを判断する。なお、第1トレイ10に支持されたシートSHが無い場合は、印刷ジョブが終了したと判断する。
【0200】
ステップS114において「No」の場合、ステップS111~S114を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS114において「Yes」になると、ステップS115に移行する。
【0201】
制御部C1はステップS115に移行すると、メインモータM1を停止してこの制御を終了する。
【0202】
<第2トレイに支持されたシートを給送して画像形成する場合>
第2トレイ30に支持されたシートSHを給送して画像形成する場合、その印刷ジョブの開始指示を受けた制御部C1は、図17のフローチャートに示す動作を開始させる。
【0203】
初めに、制御部C1はステップS201において、上述した各種の準備動作が完了した後、メインモータM1を回転させる。
【0204】
次に、制御部C1はステップS202に移行し、回転位置センサS5によってカムギヤ301の回転位置を確認する。
【0205】
次に、制御部C1はステップS203に移行し、カムギヤ301が基準位置にあるか否かを判断する。ステップS203において「No」の場合、制御部C1はステップS208に移行し、「第2モード」であると判断した後、ステップS211に移行する。
【0206】
その一方、ステップS203において「Yes」の場合、制御部C1はステップS204に移行し、「第1モード」であると判断する。
【0207】
次に、制御部C1はステップS205に移行し、「第2モード」に切り替えるためにソレノイドSO1の通電を開始する。これにより、カムギヤ301は、図12に示す基準位置から図13に示す第1回転した位置までの第1回転を開始する。その後、制御部C1は、ソレノイドSO1の通電を終了する。
【0208】
次に、制御部C1はステップS206に移行し、カムギヤ301が半回転したか否かを判断する。この判断は、カムギヤ301の半回転の所要時間が経過したか否かによって判断してもよいし、回転位置センサS5の検出結果に基づいて判断してもよい。
【0209】
制御部C1は、ステップS206において「No」の場合、ステップS206を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS206において「Yes」になると、「第2モード」に切り替わったと判断し、ステップS211に移行する。
【0210】
制御部C1はステップS206又はステップS208からステップS111に移行すると、電磁クラッチCL1の通電を開始し、電磁クラッチCL1を接続状態にする。これにより、モータからの駆動力は、接続状態の電磁クラッチCL1と、第2伝達状態の第1駆動列100と、を経由して、第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26に伝達される。これにより、第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26は、第2トレイ30に支持された最上位の1枚のシートの給送を開始する。
【0211】
次に、制御部C1はステップS212に移行し、レジ前シートセンサS1がONして所定時間経過したか否かを判断する。
【0212】
制御部C1は、ステップS212において「No」の場合、ステップS212を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS212において「Yes」になると、ステップS213に移行する。
【0213】
制御部C1はステップS213に移行すると、電磁クラッチCL1の通電を終了し、電磁クラッチCL1を遮断状態にする。これにより、第2給送ローラ25及び第2分離ローラ26は、1枚のシートの給送を終了する。
【0214】
レジストローラ対24が搬送を引き継いだシートSHは、その後に画像が形成されて排出トレイ9Dに排出される。
【0215】
次に、制御部C1はステップS214に移行し、印刷ジョブが終了したか否かを判断する。なお、第2トレイ30に支持されたシートSHが無い場合は、印刷ジョブが終了したと判断する。
【0216】
ステップS214において「No」の場合、ステップS211~S214を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS214において「Yes」になると、ステップS215に移行する。
【0217】
制御部C1はステップS215に移行すると、「第1モード」に切り替えるためにソレノイドSO1の通電を開始する。これにより、カムギヤ301は、図13に示す第1回転した位置から図12に示す基準位置までの第2回転を開始する。その後、制御部C1は、ソレノイドSO1の通電を終了する。
【0218】
次に、制御部C1はステップS216に移行し、回転位置センサS5によって、カムギヤ301が基準位置にあるか否かを判断する。ステップS216において「No」の場合、ステップS216を繰り返す。そして、制御部C1は、ステップS216において「Yes」になると、「第1モード」に切り替わったと判断し、ステップS217に移行する。
【0219】
制御部C1はステップS217に移行すると、メインモータM1を停止してこの制御を終了する。
【0220】
第2トレイ30の第2圧板32は、ステップS211~S214において給送位置にあり、ステップS215、S216において非給送位置に下降する。
【0221】
つまり、カム機構300は、第2トレイ30に支持された1枚以上のシートSHを給送する1つの印刷ジョブの実行中、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に維持し、印刷ジョブが終了すると、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替える。
【0222】
<作用効果>
実施例の画像形成装置1は、図5に示すように、電磁クラッチCL1を1つ備えるだけで、第1給送ローラ21及び第2給送ローラ25のそれぞれについて、駆動の開始タイミング及び終了タイミングを精度良く制御できる。
【0223】
したがって、実施例の画像形成装置1は、第1給送ローラ21及び第2給送ローラ25のために別々の電磁クラッチを設けることなく、1つの電磁クラッチCL1で第1トレイ10及び第2トレイ30のそれぞれに支持されたシートSHを給送できる。
【0224】
また、この画像形成装置1は、第2駆動列200を備える構成により、1つのメインモータM1で第1給送ローラ21、第2給送ローラ25及びカム機構300を駆動するので、部品点数の削減による製造コストの低廉化及び小型化を実現できる。
【0225】
さらに、この画像形成装置1において、カム機構300は、カムギヤ301の第1回転に伴って、第2カム320が第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に切り替えるとともに、第1カム310が第1駆動列100を第2伝達状態に切り替える。また、カム機構300は、カムギヤ301の第2回転に伴って、第2カム320が第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替えるとともに、第1カム310が第1駆動列100を第1伝達状態に切り替える。この構成により、1つのカムギヤ301で、離隔状態と圧接状態との切り替えと、第1伝達状態と第2伝達状態との切り替えと、を実行できるので、部品点数を削減できる。
【0226】
また、この画像形成装置1において、図12及び図13に示すように、カムギヤ301の第1回転は、1周回転の半分であって、基準位置から180°である第1角度までの半回転であり、カムギヤ301の第2回転は、1周回転の残りの半分である。この構成により、カムギヤ301の構成を簡素化し易い。
【0227】
さらに、この画像形成装置1において、図5に示すように、第1駆動列100は、遊星歯車機構170を有している。図12に示すように、カム機構300において、ストッパ370は、第2回転に伴う第1カム310の回転によって第1係合位置に移動すると、太陽ギヤ171に係合して太陽ギヤ171を自転不能とする一方、内歯ギヤ173から離隔して内歯ギヤ173を自転可能とする。内歯ギヤ173は、自転によって第1給送ローラ21に駆動力を伝達する。図13に示すように、ストッパ370は、第1回転に伴う第1カム310の回転によって第2係合位置に移動すると、内歯ギヤ173に係合して内歯ギヤ173を自転不能とする一方、太陽ギヤ171から離隔して太陽ギヤ171を自転可能とする。太陽ギヤ171は、自転によって第2給送ローラ25に駆動力を伝達する。このような具体的構成により、第1伝達状態と第2伝達状態との切り替えを確実性高く実行できる。
【0228】
また、この画像形成装置1において、図12及び図13に示すように、ストッパ370は、上記構成である当接片373、第1係合爪371及び第2係合爪372を一体に有している。これにより、第1係合爪371が太陽ギヤ171と係合すれば第2係合爪372が内歯ギヤ173から必ず離隔し、第2係合爪372が内歯ギヤ173と係合すれば第1係合爪371が太陽ギヤ171から必ず離隔する。その結果、この画像形成装置1は、ストッパ370が太陽ギヤ171と内歯ギヤ173とを同時に自転不能とすることがないので、第1駆動列100が破損し難い。
【0229】
さらに、この画像形成装置1において、制御部C1は、第1トレイ10が装置本体9に装着されたことを着脱センサS4が検出した場合、メインモータM1の回転及び停止を制御し、かつ図示しないクラッチについて駆動力の伝達及び遮断の切り替えを制御することにより、第1圧板11を上昇させ、第1トレイ10に支持された最上位のシートSHと第1給送ローラ21とを圧接させる。この構成により、第1トレイ10に支持されたシートSHを給送する場合において、予め第1圧板11を上昇させなくてもよいので、給送動作を簡素化できる。
【0230】
また、この画像形成装置1において、図1に示すように、第1給送ローラ21及び第2給送ローラ25は、感光体5から前方に離隔する位置にあり、第1トレイ10は、感光体5よりも下方の位置にある。この構成により、第1給送ローラ21、第2給送ローラ25及び第2トレイ30が互いに近い位置にあるので、第1駆動列100及びカム機構300の簡素化及び小型化を実現し易い。
【0231】
さらに、この画像形成装置1において、図8図14及び図15に示すように、カム機構300は、第2カム320、カムフォロア64及びアーム63によって第2圧板32を上下動させることで、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態と圧接状態とに切り替える。この構成により、カム機構300を簡素化し易い。
【0232】
また、この画像形成装置1において、図17のステップS211~S216に示すように、カム機構300は、第2トレイ30に支持された1枚以上のシートSHを給送する1つの印刷ジョブの実行中、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に維持し、印刷ジョブが終了すると、第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替える。この構成により、この画像形成装置1は、仮に印刷ジョブの実行中においてシートSHを1枚ずつ給送する毎に第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態と圧接状態とに切り替える制御を行う構成と比較して、圧接状態がばらつくことを抑制できる。その結果、この画像形成装置1は、印刷ジョブの開始から終了まで、第2トレイ30に支持されたシートSHを安定して給送できる。
【0233】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0234】
実施例では、本発明の画像形成装置を画像形成装置1として具体化したが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、画像形成装置の上方に画像読取装置を備えた複合機において、画像形成装置に本発明の構成を適用してもよい。
【0235】
実施例では、カム機構300が昇降機構6、カムギヤ301、ソレノイドレバー350及びストッパ370等を有し、第1駆動列100が遊星歯車機構170等を有しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、第1駆動列が遊星歯車機構とは異なる機構を有していてもよい。
【0236】
実施例では、1つのメインモータM1で第1給送ローラ21、第2給送ローラ25及びカム機構300を駆動するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、カム機構300をメインモータM1とは異なるモータによって駆動してもよい。
【0237】
実施例では、第2トレイ30が第2圧板32を有し、カム機構300が第2圧板32を上下動させることで、離隔状態と圧接状態とに切り替えるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、カム機構が第2給送ローラを上下動させることで、離隔状態と圧接状態とに切り替えてもよい。
【0238】
実施例ではストッパ370が1部材であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、ストッパは、太陽ギヤに係合可能な第1ストッパと、第1ストッパとは別体であって内歯ギヤに係合可能な第2ストッパと、を有していてもよい。
【0239】
実施例では、遊星歯車機構170において、遊星キャリアギヤ177に駆動力が入力され、太陽ギヤ171及び内歯ギヤ173がそれぞれ、ストッパ370によって自転可能な状態であって駆動力を出力する状態と、自転不能な状態と、に切り替わるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、遊星歯車機構において、太陽ギヤに駆動力が入力され、遊星キャリアギヤ及び内歯ギヤがそれぞれ、ストッパによって自転可能な状態であって駆動力を出力する状態と、自転不能な状態と、に切り替わってもよい。また、遊星歯車機構において、内歯ギヤに駆動力が入力され、太陽ギヤ及び遊星キャリアギヤがそれぞれ、ストッパによって自転可能な状態であって駆動力を出力する状態と、自転不能な状態と、に切り替わってもよい。
【0240】
実施例では、カムギヤ301の第1回転は、カムギヤ301の1周回転の半分であって、基準位置から180°である第1角度までの半回転であり、カムギヤ301の第2回転は、カムギヤ301の1周回転の残りの半分であって、180°である第1角度から基準位置までの半回転であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、カム機構300の第1回転及び第2回転を以下のように変更してもよい。すなわち、カム機構300は、カムギヤ301の1周回転のうちの、基準位置から90°である第1角度までの第1回転(1/4回転)に伴って、第2カム320が第2トレイ30及び第2給送ローラ25を圧接状態に切り替えるとともに、第1カム310が第1駆動列100を第2伝達状態に切り替え、また、カムギヤ301の1周回転のうちの、90°である第1角度から基準位置までの第2回転(3/4回転)に伴って、第2カム320が第2トレイ30及び第2給送ローラ25を離隔状態に切り替えるとともに、第1カム310が第1駆動列100を第1伝達状態に切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0241】
1…画像形成装置、SH…シート、10…第1トレイ
21…第1給送ローラ、30…第2トレイ、25…第2給送ローラ
M1…モータ(メインモータ)、100…第1駆動列
CL1…電磁クラッチ、300…カム機構、200…第2駆動列
301G…ギヤ歯、301…カムギヤ、X1…第1軸心
310…第1カム、320…第2カム、X2…第2軸心
171…太陽ギヤ、173…内歯ギヤ、175…遊星ギヤ
177…遊星キャリアギヤ、370…ストッパ、373…当接片
X3…第3軸心、371…第1係合爪、372…第2係合爪
9…装置本体、11…第1圧板、5…感光体
32…第2圧板、63…アーム、64…カムフォロア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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