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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064357
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】改修枠
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240507BHJP
   E06B 1/34 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172888
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】391016886
【氏名又は名称】日本フネン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】新居 耕治
(72)【発明者】
【氏名】河野 竜大
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KA06
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KD26
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】既設枠に対して簡単かつ精度よく取り付けることができる改修枠を提供する。
【解決手段】室内と室外との間を区切る開口Fhに設けられている既設枠Fを改修するために使用される改修枠1であって、改修枠1は、室外側から既設枠Fに取り付けられる外側枠10と、室内側から既設枠Fに取り付けられ、外側枠10に固定される内側枠20と、を備えており、内側枠20は、外側枠10に対して着脱可能に設けられている。既設枠Fの開口Fhに室外側から外側枠10を挿入し、既設枠Fの開口Fhに室内側から内側枠を挿入し、外側枠10と内側枠20と連結するだけで既設枠Fに改修枠1を設置できるので、改修枠1の施工を容易かつ短時間で行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内と室外との間を区切る開口に設けられている既設枠を改修するために使用される改修枠であって、
該改修枠は、
室外側から前記既設枠に取り付けられる外側枠と、
室内側から前記既設枠に取り付けられ、前記外側枠に固定される内側枠と、を備えており、
該内側枠は、
前記外側枠に対して着脱可能に設けられている
ことを特徴とする改修枠。
【請求項2】
前記外側枠は、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、
前記外側枠の一対の外側縦枠および外側上枠は、
前記既設枠における室外側に位置する面を覆うように配置される外側カバー部材と、
該外側カバー部材を前記既設枠に固定する固定部材と、を備えており、
前記内側枠が、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の内側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される内側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される内側下枠と、を備えており、
前記内側枠の一対の内側縦枠、内側上枠および内側下枠は、
前記既設枠の開口の内面を覆うように配置され、前記外側枠に固定される内面カバー部材を備えており、
前記外側枠に前記内側枠を固定した状態において、前記外側枠の外側カバー部材と前記内側枠の内面カバー部材との間に戸当たり部材を配置する戸当たり部が設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の改修枠。
【請求項3】
前記内側枠が、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の内側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される内側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される内側下枠と、を備えており、
前記内側枠の一対の内側縦枠および内側上枠は、
前記既設枠における室内側に位置する面を覆うように配置される内側カバー部材と、
前記既設枠の開口の内面を覆うように配置され、前記外側枠に固定される内面カバー部材と、を備えており、
前記内側下枠は、
前記既設枠の開口の内面を覆うように配置され、前記外側枠に固定される内面カバー部材を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の改修枠。
【請求項4】
前記一対の内側縦枠および内側上枠の内面カバー部材は、
見込み方向の長さが、該内側枠を前記外側枠に連結すると見込み方向において既設枠における室内側に位置する面と内側カバー部材との間に隙間が形成される長さを有している
ことを特徴とする請求項2または3記載の改修枠。
【請求項5】
前記外側枠は、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、
前記外側枠の一対の外側縦枠および外側上枠は、
前記既設枠における室外側に位置する面を覆うように配置される外側カバー部材と、
該外側カバー部材を前記既設枠に固定する固定部材と、を備えており、
前記外側枠の固定部材には、
該固定部材と前記既設枠の開口の内面との距離を調整する距離維持機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の改修枠。
【請求項6】
前記外側枠は、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、
前記一対の外側縦枠は、
前記既設枠における室外側に位置する面を覆うように配置される外側カバー部材と、
該外側カバー部材を前記既設枠に固定する固定部材と、
前記外側カバー部材の前記既設枠に対する姿勢を調整する姿勢調整機構と、を備えており、
該姿勢調整機構は、
前記既設枠における室外側に位置する面に接触させる基準板材と、
該基準板材と直交し前記外側カバー部材に連結される連結板材と、
前記連結板材を前記外側カバー部材に対して前記既設枠の見込み方向に沿って移動固定可能に連結する連結機構と、を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の改修枠。
【請求項7】
前記外側枠が、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、
前記一対の外側縦枠と、前記外側上枠と、前記外側下枠と、が一体に形成されており、
前記内側枠が、
前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の内側縦枠と、
前記既設枠の上枠に設置される内側上枠と、
前記既設枠の下枠に設置される内側下枠と、を備えており、
前記一対の内側縦枠と、前記内側上枠と、前記内側下枠と、が一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の改修枠。
【請求項8】
前記内側枠は、
前記一対の内側縦枠と、前記内側上枠と、前記内側下枠と、が連結分離可能である
ことを特徴とする請求項7記載の改修枠。
【請求項9】
前記外側枠と前記内側枠とは、
両者を連結した状態で施工場所に搬入される
ことを特徴とする請求項1記載の改修枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改修枠に関する。さらに詳しくは、既設枠を残したまま、ドアを改修する際に使用される改修枠に関する。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅や集合マンションなどの居住用住宅の玄関などには、戸枠を備えたドアが設置されている。ドアは、居住用住宅を建設してから長期間経過すると、老朽化によって傷んだり見栄えが悪くなったりするので、ドアを交換しなければならなくなる場合がある。
また、ドア自体は老朽化していなくても、居住者が住宅をリフォームする際などに、遮音性や気密性、断熱性等の性能を向上したい、また、ドアのデザインを変更したいと希望する場合がある。
【0003】
しかるに、ドアの戸枠は、通常、モルタル等によって建物の壁等に強固に固定されている。このため、ドアを交換する場合には、壁等を一部壊して既設枠を取外さなければならない。そして、新しいドアを取り付ける際には、壊した壁等を復旧するととともに、再度、モルタル等によって壁に新しい戸枠を固定する作業が必要になる。したがって、ドア交換には多大な労力と費用が必要になっていた。
【0004】
そこで、既設枠はそのまま残して新設戸枠を設置する工法として、既設の戸枠(既設枠)に新設の戸枠(以下、新設枠という)を被せるように設置する工法が開発されている(特許文献1、2参照)。
【0005】
特許文献1には、建造物に設置されている既存建具枠に新規建具枠を外側から挿入し既存建具枠を包み込む形態で新規建具枠を碇着する改装用建具枠固定方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、既設枠の開口部に挿入され、開口部に配置される挿入壁を備えた枠本体と、枠本体を既設枠に固定する枠固定機構と、を備えた改修枠が開示されている。そして、枠固定機構に、既設枠の開口部に枠本体を挿入した状態において、枠本体の挿入壁の外面を既設枠の開口部の内面から離間する方向に付勢する付勢力を発生させる距離調整手段を設けたものが開示されている。かかる改修枠であれば、枠本体の挿入壁の外面と既設枠の開口部の内面との距離を調整することができるので、既設枠の変形の有無に係わらず、枠本体を精度よく設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-148052号公報
【特許文献2】特開2014-237959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、特許文献1の技術は、既設枠の外側の面(室外側の面)と内側の面(室内側の面)を一つの枠材で覆うように配置するものであるため、既設枠の大きさや既設枠の経年劣化による変形などが生じていた場合、新設枠の施工精度が低下し、施工が複雑になり施工時間を要するという問題が生じる。
【0009】
また、特許文献2の技術であれば、既設枠の経年劣化による変形などが生じていても、新設枠の施工精度の低下を防ぐことができる。しかし、特許文献2の技術では、枠固定機構に付勢力を発生させる機構を設けており、また、新設枠の室内側枠は既存枠に直接取付ける仕様としているため,新設枠の部品点数が多くなるし,施工にもある程度手間がかかる。また、既存枠の経年劣化による変形状態により新設枠の室外側と室内側のジョイント部分の見えかかり意匠が違ってくる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑み、既設枠に対して簡単かつ精度よく取り付けることができる改修枠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1発明の改修枠は、室内と室外との間を区切る開口に設けられている既設枠を改修するために使用される改修枠であって、該改修枠は、室外側から前記既設枠に取り付けられる外側枠と、室内側から前記既設枠に取り付けられ、前記外側枠に固定される内側枠と、を備えており、該内側枠は、前記外側枠に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする。
第2発明の改修枠は、第1発明において、前記外側枠は、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、前記外側枠の一対の外側縦枠および外側上枠は、前記既設枠における室外側に位置する面を覆うように配置される外側カバー部材と、該外側カバー部材を前記既設枠に固定する固定部材と、を備えており、前記内側枠が、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の内側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される内側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される内側下枠と、を備えており、前記内側枠の一対の内側縦枠、内側上枠および内側下枠は、前記既設枠の開口の内面を覆うように配置され、前記外側枠に固定される内面カバー部材を備えており、前記外側枠に前記内側枠を固定した状態において、前記外側枠の外側カバー部材と前記内側枠の内面カバー部材との間に戸当たり部材を配置する戸当たり部が設けられることを特徴とする。
第3発明の改修枠は、第1発明において、前記内側枠が、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の内側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される内側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される内側下枠と、を備えており、前記内側枠の一対の内側縦枠および内側上枠は、前記既設枠における室内側に位置する面を覆うように配置される内側カバー部材と、前記既設枠の開口の内面を覆うように配置され、前記外側枠に固定される内面カバー部材と、を備えており、前記内側下枠は、前記既設枠の開口の内面を覆うように配置され、前記外側枠に固定される内面カバー部材を備えていることを特徴とする。
第4発明の改修枠は、第2または第3発明において、前記一対の内側縦枠および内側上枠の内面カバー部材は、見込み方向の長さが、該内側枠を前記外側枠に連結すると見込み方向において既設枠における室内側に位置する面と内側カバー部材との間に隙間が形成される長さを有していることを特徴とする。
第5発明の改修枠は、第1発明において、前記外側枠は、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、前記外側枠の一対の外側縦枠および外側上枠は、前記既設枠における室外側に位置する面を覆うように配置される外側カバー部材と、該外側カバー部材を前記既設枠に固定する固定部材と、を備えており、前記外側枠の固定部材には、該固定部材と前記既設枠の開口の内面との距離を調整する距離維持機構が設けられていることを特徴とする。
第6発明の改修枠は、第1発明において、前記外側枠は、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、前記一対の外側縦枠は、前記既設枠における室外側に位置する面を覆うように配置される外側カバー部材と、該外側カバー部材を前記既設枠に固定する固定部材と、前記外側カバー部材の前記既設枠に対する姿勢を調整する姿勢調整機構と、を備えており、該姿勢調整機構は、前記既設枠における室外側に位置する面に接触させる基準板材と、該基準板材と直交し前記外側カバー部材に連結される連結板材と、前記連結板材を前記外側カバー部材に対して前記既設枠の見込み方向に沿って移動固定可能に連結する連結機構と、を備えていることを特徴とする。
第7発明の改修枠は、第1発明において、前記外側枠が、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の外側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される外側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される外側下枠と、を備えており、前記一対の外側縦枠と、前記外側上枠と、前記外側下枠と、が一体に形成されており、前記内側枠が、前記既設枠の一対の縦枠に設置される一対の内側縦枠と、前記既設枠の上枠に設置される内側上枠と、前記既設枠の下枠に設置される内側下枠と、が一体に形成されており、前記一対の内側縦枠と、前記内側上枠と、前記内側下枠と、が一体に形成されていることを特徴とする。
第8発明の改修枠は、第7発明において、前記内側枠は、前記一対の内側縦枠と、前記内側上枠と、前記内側下枠と、が連結分離可能であることを特徴とする。
第9発明の改修枠は、第1発明において、前記外側枠と前記内側枠とは、両者を連結した状態で施工場所に搬入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、既設枠の開口に室外側から外側枠を挿入し、既設枠の開口に室内側から内側枠を挿入し、外側枠と内側枠と連結するだけで既設枠に改修枠を設置できるので、改修枠の施工を容易かつ短時間で行うことができる。
第2、第3発明によれば、既設枠の実測精度や施工精度に応じて、改修枠の外側枠および内側枠を容易かつ精度よく設置することができる。また、外側枠および内側枠の設計の精度がそれほど高くなくても、施工精度を向上させることができる。
第4~第6発明によれば、既設枠に誤差が生じていても、改修枠の施工精度を高くできる。しかも、集合マンションなどの既設枠を改修する場合には、各住戸の既存枠にばらつきが生じている場合があるが、必要最低限の種類で改修枠を作ることができるし、施工精度も高められる。
第7発明によれば、外側枠および内側枠が一体に形成されているので、部品点数を少なくできるから、施工が容易になる。
第8発明によれば、内側枠を連結分離できるので、施工場所の室内側の空間が狭い場合でも、内側枠を分離すれば施工作業が容易になる。
第9発明によれば、一つの既設枠の改修の際に一つの部品を搬入するだけでよくなるので、改修枠の搬送が容易となる。既設枠に外枠を設置すれば、施工現場で分離した外枠から分離した内枠を元の状態に戻すだけで内枠の設置ができるので、改修枠の施工が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付けた状態の概略横断面図である。
図2】本実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付けた状態の概略縦断面図である。
図3】(A)は外側枠10および内側枠20を既設枠Fに固定する構造の説明図であり、(B)は(A)のB-B線部分拡大矢視図であり、(C)は(B)のC-C線断面矢視図である。
図4】本実施形態の改修枠1の外側枠10と内側枠20とを連結した状態の概略説明図であり、(A)は外側枠10側から見た概略斜視図であり、(B)は内側枠20側から見た概略斜視図である。
図5】本実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付けた状態を室外側から見た概略斜視図である。
図6】本実施形態の改修枠1の外側枠10を既設枠Fに取り付ける前の状態を室外側から見た概略斜視図である。
図7】本実施形態の改修枠1の内側枠20を既設枠Fに取り付ける前の状態を室内側から見た概略斜視図である。
図8】(A)は本実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付けた状態を戸尻側から見た概略説明図であり、(B)は外側枠10を既設枠Fに取り付けた状態を戸尻側から見た概略縦断面図であり、(C)は外側枠10と内側枠20を既設枠Fに取り付けた状態を戸尻側から見た概略縦断面図である。
図9】(A)は本実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付けた状態を戸先側から見た概略説明図であり、(B)は外側枠10を既設枠Fに取り付けた状態を戸先側から見た概略縦断面図であり、(C)は外側枠10と内側枠20を既設枠Fに取り付けた状態を戸先側から見た概略縦断面図である。
図10】(A)は距離維持機構18の位置保持ねじ19を設置し固定用ねじ10fを設置していない状態の概略説明図であり、(B)は開口hが内面カバー部材22によって覆われている状態の概略説明図である。
図11】(A)は姿勢調整機構15の概略説明図であり、(B)は(A)の状態において内側枠20が設けられた状態の概略説明図である。
図12】他の実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付けた状態の概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の改修枠は、居住用建物の室内と室外とを連通する入口に設けられているドアの戸枠を改修するために使用される枠であり、既設枠を残したままで設置することができるものである。
【0015】
<既設枠Fの説明>
まず、本実施形態の改修枠1を説明する前に、本実施形態の改修枠1を使用して改修する既設枠Fについて説明する。
【0016】
なお、本実施形態の改修枠1は、ドアが室外側に開く場合、ドアが室内側に開く場合のいずれの場合にも適用できるが、以下では、ドアが室外側に開く場合を代表として説明する。
また、図1では、左右方向が既設枠Fの幅方向であり、上方が室外、下方が室内、となるように記載している。また、図2では、上下方向が既設枠Fの上下方向であり、左方が室外、右方が室内、となるように記載している。
【0017】
図6において、符号EWは既設枠Fが取り付けられている住戸の玄関側壁を示している。この玄関側壁EWに既設枠Fが取り付けられている。既設枠Fは、一対の縦枠Fa,Fa、上枠Fb、および下枠Fcを備えている。
【0018】
図1および図2に示すように、各枠Fa~Fcは、玄関側壁EWに対して室内側に位置する室内側見付け壁Fiと、玄関側壁EWに対しての室外側に位置する室外側見付け壁Foと、両見付け壁Fi,Fo間に位置する開口形成壁Frと、を備えている。そして、各枠Fa~Fcの開口形成壁Frに囲まれた空間に、戸が配置される既設開口Fhが形成されている。
【0019】
上述した、既設枠Fの各枠Fa~Fcの室内側見付け壁Fiの表面が特許請求の範囲にいう既設枠における室内側に位置する面に相当する。既設枠Fの各枠の室外側見付け壁Foの表面が特許請求の範囲にいう既設枠における室外側に位置する面に相当する。既設枠Fの開口形成壁Frの表面が特許請求の範囲にいう既設枠の開口の内面に相当する。
【0020】
<本実施形態の改修枠1>
図1図2図5に示すように、本実施形態の改修枠1は、既設枠Fに取り付けられるものである。この改修枠1は、外側枠10と、内側枠20と、を備えている。
【0021】
<外側枠10>
図4図6に示すように、外側枠10は、一対の外側縦枠10a,10aと、外側上枠10bと、外側下枠10cと、から構成されている。一対の外側縦枠10a,10aは、既設枠Fの一対の縦枠Fa,Faに設置される枠である(図5図6参照)。外側上枠10bは、一対の外側縦枠10a,10aの上端間を連結するように設けられる枠であり、外側下枠10cは、一対の外側縦枠10a,10aの下端間を連結するように設けられる枠である。つまり、外側枠10は、一対の外側縦枠10a,10aと、外側上枠10bと、外側下枠10cと、によって囲まれた空間10hを有している。したがって、外側枠10を既設枠Fに取り付けると、既設枠Fの開口Fhの内側にドアD(図1および図2参照)が取り付けられる空間10hを設けることができる。
【0022】
以下、各枠10a~10cの構造を説明するが、図1および図2に示すように、外側枠10の各枠10a~10cは実質的に同様の構造を有しているので、以下では、図1に基づいて、縦枠10aの構造を代表として説明する。
【0023】
図1に示すように、縦枠10aは、外側カバー部材11と固定部材12とを有している。
【0024】
<外側カバー部材11>
図1に示すように、外側カバー部材11は、既設枠Fに外側枠10を設置すると、既設枠Fにおける室外側見付け壁Foを覆うように配置されるものである。外側カバー部材11は、室外側見付け壁Foの外方に配置される表面壁11aを備えている。表面壁11aの幅、つまり、表面壁11aの見付け方向の幅はとくに限定されない。例えば、図1に示すように、表面壁11aの幅は、室外側見付け壁Foの見付け方向の幅(室外側見付け壁Foの幅)よりもその幅が広くてもよいし、室外側見付け壁Foの幅と同じ幅でもよいし、室外側見付け壁Foの幅よりも狭くてもよい。
【0025】
この表面壁11aの見付け方向の内方の端縁には内側壁11bが連結されている。この内側壁11bは、見込み方向の外方端縁が表面壁11aの内方の端縁に連結されており、既設枠Fに外側枠10を設置すると、見込み方向の内方端縁が室外側見付け壁Foよりも内方に位置するように形成されている。図1および図3(A)に示すように、この内側壁11bの見込み方向の内方端縁には底壁11dが設けられている。この底壁11dは、その室外側の面が内側壁11bと交差する面となるように設けられている。より詳しくは、底壁11dは、内側壁11bから見付け方向の内方に突出するように設けられている。この底壁11dの室外側の面が、改修枠10を既設枠Fに取り付けると、戸当たり部の底となる部分である。また、底壁11dの見付け方向の内方端縁には、この内方端縁から見込み方向に沿って室内側に延びる連結用壁11fが設けられている。この連結用壁11fは、後述する内側枠20の内面カバー部材22が連結される部分である。
【0026】
この表面壁11aの見付け方向の外方の端縁には外側壁11cが連結されている。この外側壁11cは、見込み方向の外方端縁が表面壁11aの外方の端縁に連結されており、既設枠Fに外側枠10を設置すると、見込み方向の内方端縁が室外側見付け壁Foよりも外方に位置するように形成されている。なお、外側壁11cの見込み方向の内方端縁は、玄関側壁EWと接触するように設けられていてもよいし、玄関側壁EWとの間に若干の隙間ができるように設けられていてもよい。いずれの場合も、外側壁11cの見込み方向の内方端縁と玄関側壁EWとの間を密閉するシール材が設けられる(図1参照)。
【0027】
<固定部材12>
図1および図3(A)に示すように、固定部材12は、内側壁11bの見込み方向の内方の端部(図1では底壁11d)に固定されている。この固定部材12は、外側カバー部材11を既設枠F(図1では縦枠Fa)に固定するために設けられている。具体的には、固定部材12は、固定用壁12aと、設置壁12bと、から構成されている。設置壁12bは、固定部材12を底壁11dに連結するものであり、設置壁12bの見付け方向の外方の端部(開口形成壁Fr側の端部)に固定用壁12aが連結されている。この固定用壁12aは、連結用壁11fよりも既設枠Fの開口形成壁Fr側であって、固定部材12の設置壁12bを底壁11dに連結すると、内側壁11bの表面(内面)と平行となるように設けられている。つまり、固定用壁12aは、既設枠Fに外側枠10を設置すると、既設枠Fの開口形成壁Frと平行となるように設けられている。固定用壁12aには、固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとを連結する固定用ねじ10fが挿通される固定用孔12h(図10図11参照)が設けられている。また、連結用壁11fには固定用ねじ10fと対応する位置には開口h(図10図11参照)が設けられている。この開口hは、固定用ねじ10fを固定用孔12hに挿通し固定用ねじ10fを既設枠Fの開口形成壁Frに連結する作業を行うために設けられている。
【0028】
外側枠10は以上のような構造を有しているので、既設枠Fに外側枠10を設置すると、既設枠Fの室外側見付け壁Foと開口形成壁Frの室外側見付け壁Fo側の部分を外側カバー部材11によって覆うことができる。その状態で、連結用壁11fの開口hを通して、固定用ねじ10fによって固定用壁12aを既設枠Fの開口形成壁Frに固定すれば、外側枠10を既設枠Fに設置することができる。
【0029】
なお、外側枠10の各枠10a~10cのうち、下側枠10cだけは外側カバー部材11の内側壁11bの内側に補強部材11sが設けられており、人が外側下枠10cを踏んだりした場合でも外側下枠10cが損傷することを防止している(図2参照)。補強部材11sの構成はとくに限定されず、上記のような外側下枠10cの損傷を防止できる機能を有するものであればよい。例えば、図2に示すように、断面略クランク状の板材を補強部材11sとして採用することができる。具体的には、補強部材11sとしては、固定部材12の固定用壁12aと連結された連結部と、連結部と直交し内側壁11bの内面(図2では下面)と面接触し内側壁11bを支える支持部と、この支持部の先端(図2では左端部)と直交し表面壁11aの内面(図2では下面)と接触するように設けられる補強壁と、を有する構造をするものを使用することができる。なお、かかる補強部材11sが設けられた場合には、外側カバー部材11の内側壁11bは、補強部材11sの連結部を介して固定部材12の固定用壁12aに連結される。
【0030】
また、外側枠10の各枠10a~10cのうち、外側下枠10cは外側カバー部材11における内側壁11bだけで形成される場合がある(図8図9図12参照)。例えば、既設枠Fの下枠Fcが建物の床にほぼ埋まっている場合には、外側カバー部材11を内側壁11bだけで形成し、下枠Fcの外方に突出した部分の内面(図8図9における下枠Fcの上面)上に内側壁11bが配置されるようにすればよい。この場合でも、外側下枠10cに補強部材11sを設けて、この補強部材11sによって外側カバー部材11の内側壁11bを支持してもよい(図12参照)。
【0031】
<距離維持機構18>
図3(B)、(C)および図8に示すように、外側枠10の固定部材12には、距離維持機構18が設けられている。この距離維持機構18は、固定部材12の固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離、つまり、外側カバー部材11の内側壁11bと外側枠10の外側縦枠10a,10aと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離を一定に保つために設けられている。言い換えれば、対向する枠10a、10a間の距離や対向する枠10b、10c間の距離、つまり、対向する枠10a、10aの外側カバー部材11の内側壁11b間の距離や、対向する枠10b、10cの外側カバー部材11の内側壁11b間の距離を一定に保つために設けられている。
【0032】
この距離維持機構18は、固定部材12の固定用壁12aに設けられたねじ穴12nと、この位置保持ねじ19に螺合した位置保持ねじ19によって形成されている。ねじ穴12nは、連結用壁11fの開口hが設けられている位置に、その中心軸が固定用ねじ10fが挿通される固定用孔12hの中心軸と平行となるように形成されている。
【0033】
かかる距離維持機構18を外側枠10に設けておけば、固定部材12の固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離を一定に保つことができる。つまり、位置保持ねじ19をねじ穴12nにねじ込んで、位置保持ねじ19を固定用壁12aの既設枠Fの開口形成壁Fr側の面から一定の長さだけ突出させておく(図3(C)参照)。この状態で、固定用ねじ10fによって固定部材12の固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとを連結すれば、固定用ねじ10fをねじ込んでも、固定用壁12aは位置保持ねじ19の突出量以上は開口形成壁Frに接近しない。つまり、固定部材12の固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離を位置保持ねじ19の突出量に保持できる。
【0034】
なお、距離維持機構18は、固定部材12の固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離との距離を一定に保つことができればよく、必ずしも上記のような構造に限られない。しかし、上記のような構造とすれば、既設枠Fの状態に合わせて、固定部材12の固定用壁12aと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離を自由にかつ簡単に調整できる。また、固定用ねじ10fの締め付けが過剰になって、固定部材12が必要以上に既設枠Fの開口形成壁Frに接近することを防止できるので、施工ミスを防止でき,且つ施工精度を確保できる。
【0035】
また、図2図8図9図12に示すように、外側下枠10cにおける外側カバー部材11の内側壁11bの外面(図2図8図9図12の下側の面)が既設枠Fの開口形成壁Frの内面と直接(または補強部材11sと介して)接触するように設けられる場合であれば、外側下枠10cには距離維持機構18は必ずしも設けなくてもよい。もちろん、外側下枠10cに距離維持機構18を設けても、位置保持ねじ19が固定部材12の固定用壁12aから突出しないようにすれば、外側カバー部材11の内側壁11bの外面と既設枠Fの開口形成壁Frの内面と接触するように設けることができる。距離維持機構18が設けられた外側縦枠10aや外側上枠10bであっても、固定部材12の固定用壁12aから位置保持ねじ19が突出しないようにすれば、外側カバー部材11の内側壁11bの外面が既設枠Fの開口形成壁Frの内面と接触した状態となるように設けることができる(図1の左側の外側縦枠10a参照)。
【0036】
<内側枠20>
図4および図7に示すように、内側枠20は、一対の内側縦枠20a,20aと、内側上枠20bと、内側下枠20cと、から構成されている。一対の内側縦枠20a,20aは、既設枠Fの一対の縦枠Fa,Faであって外側枠10の一対の外側縦枠10a,10aの内方に配置される枠である。内側上枠20bは、一対の内側縦枠20a,20aの上端間を連結するように設けられる枠であって外側上枠10bの内方に配置される枠である。内側下枠20cは、一対の内側縦枠20a,20aの下端間を連結するように設けられる枠であって外側下枠10cの内方に配置される枠である。つまり、内側枠20は、外側枠10の空間10hに配置されるものである。
【0037】
以下、各枠20a~20cの構造を説明するが、内側枠20の各枠20a~20cは実質的に同様の構造を有しているので、以下では、図1に基づいて、内側縦枠20aの構造を代表として説明する。
【0038】
図1に示すように、縦枠20aは、内側カバー部材21と内面カバー部材22とを有している。なお、内側枠20の各枠20a~20cのうち、下側枠20cだけは内側カバー部材21を有しておらず、内面カバー部材22だけを有している(図2参照)。
【0039】
<内面カバー部材22>
図1および図2に示すように、内面カバー部材22は、既設枠Fの開口形成壁Frの内方に設けられる部材である。つまり、内面カバー部材22は、既設枠Fの開口形成壁Frを覆うように設けられる部材である。この内面カバー部材22は、見込み方向における室外側の端部を外側枠10の連結用壁11fに重ねた状態で、連結ねじ1aによって連結用壁11fと連結される部材である。この内面カバー部材22は、連結ねじ1aによって連結用壁11fに連結すると、その見込み方向における室内側の端部が既設枠Fにおける室内側見付け壁Fiよりも内方(室内側)に位置するように設けられている。
【0040】
<内側カバー部材21>
図1および図2に示すように、内面カバー部材22における見込み方向における室内側の端部には、内側カバー部材21が連結されている。この内側カバー部材21は、既設枠Fに内側枠20を設置すると(つまり外側枠10の連結用壁11fに内面カバー部材22を連結すると)、既設枠Fにおける室内側見付け壁Fiを覆うように配置されるものであり、内側枠20を既設枠Fに設置すると、その表面が室内側見付け壁Fiと平行となるように設けられている。この内側カバー部材21の幅、つまり、内側カバー部材21の見付け方向の幅はとくに限定されない。図1および図2に示すように、内側カバー部材21の幅は、室内側見付け壁Fiを覆うことができるように形成されていればよい。また、内側カバー部材21は、室内側見付け壁Fi全体を覆い隠すことができなくてもよいし、室内側見付け壁Fi全体を覆い隠すことができるように設けてもよい。内側カバー部材21が室内側見付け壁Fi全体を覆い隠すことができない場合には、内側カバー部材21の見付け方向における外端と玄関側壁EWとの間はシール材などによって埋めるようにすればよい。
【0041】
内側枠20は以上のような構造を有しているので、既設枠Fに内側枠20を設置すると、既設枠Fの室内側見付け壁Fiと開口形成壁Frの室内側見付け壁Fi側の部分を内側枠20によって覆うことができる。その状態で連結ねじ1aによって外側枠10の固定部材12の連結用壁11fに内側枠20の内面カバー部材22を連結ねじ1aによって連結すれば、内側枠20を外側枠10に設置することができる(図8(C)、図9(C)参照)。言い換えれば、内側枠20を既設枠Fに設置することができる。すると、外側枠10と内側枠20によって、つまり、改修枠1によって既設枠Fの開口Fhの内面を完全に覆い隠すことができるし、固定用ねじ10fによって外側枠10(具体的には固定部材12)を既設枠Fの開口形成壁Frに連結するために外側カバー部材11の連結用壁11fに設けられている開口hも内側枠20(具体的には内面カバー部材22)によって覆い隠すことができる。
【0042】
とくに、内面カバー部材22の長さをある程度長くしておけば、既設枠Fに外側枠10を設置したのち内側枠20を外側枠10に連結した際に、内側カバー部材21と既設枠Fとの干渉を防止しやすくなる。具体的には、内面カバー部材22の見込み方向の長さを、内側枠20を外側枠10に連結すると、見込み方向において既設枠Fの室内側見付け壁Fiと内側カバー部材21との間に隙間が形成される長さにする。すると、内側枠20を外側枠10に連結すれば、見込み方向において内側カバー部材21と既設枠Fの室内側見付け壁Fiとの間には隙間ができる状態で内側枠20を設置することができる。つまり、内側枠20を外側枠10に連結する際に、特別な調整などをしなくても、内側カバー部材21と既設枠Fとが干渉しないので、内側枠20を外側枠10に連結する作業が容易になる。例えば、既設枠Fの室内側見付け壁Fiが変形して傾いているような場合でも、内側カバー部材21が既設枠Fと接触することを防止できる。しかも、既設枠Fの両見付け壁Fi,Fo間の距離が内面カバー部材22の長さがよりも短い既設枠Fであれば、形状や大きさ(見込み方向の長さ)が異なる既設枠Fであっても、一つの改修枠1で改修することも可能になるので、改修枠1の汎用性を高くできる。なお、上記のような構造とした場合、内側カバー部材21と既設枠Fの室内側見付け壁Fiとの間には隙間ができるが、その隙間にはスポンジゴムなどのシール材を配置することによって、隙間を埋めることができる。
【0043】
<本実施形態の改修枠1の施工>
上述した構成の本実施形態の改修枠1を既設枠Fに取り付ける施工作業を説明する。
【0044】
なお、本実施形態の改修枠1(以下単に改修枠1という場合がある)は、通常、外側枠10と内側枠20とが連結ねじ1aによって連結された状態で施工現場に搬送されるので、外側枠10と内側枠20とが連結された改修枠1の状態で搬送される場合を説明する。もちろん、本実施形態の改修枠1を搬送する際には、外側枠10と内側枠20とを分離した状態で搬送してもよい。
【0045】
外側枠10と内側枠20とが連結された改修枠1(図4参照)が施工現場に搬入されると、両者を連結している連結ねじ1aが取り外され、外側枠10と内側枠20が分離される。すると、既設枠Fに室内側から取り付けられる内側枠20は、外側枠10を既設枠Fに設置する前に室内に搬入される。なお、内側枠20は、外側枠10を既設枠Fに設置してから室内に搬入してもよい。
【0046】
ついで、室外側から外側枠10が既設枠Fに挿入され(図6参照)、既設枠Fの表面を覆うように外側枠10が配置される。具体的には、外側枠10の外側カバー部材11の表面壁11aが既設枠Fの室外側見付け壁Foの表面の外側に位置し、外側枠10の外側カバー部材11の内壁11b、連結壁11fおよび固定部材12が既設枠Fの開口形成壁Frの表面の内側(開口Fh内側)に位置するように配置される(図8(B)、図9(B)参照)。
【0047】
外側枠10が所定の位置に配置されると、距離維持機構18によって、固定部材12と既設枠Fの開口形成壁Frとの距離が一定の距離に維持される。具体的には、距離維持機構18の位置保持ねじ19が固定部材12にねじ込まれ、その先端が既設枠Fの開口形成壁Frに接触する状態となるように調整される(図3(C)参照)。そして、距離維持機構18の位置保持ねじ19によって固定部材12と既設枠Fの開口形成壁Frとの距離が一定の距離に維持されると、固定用ねじ10fによって固定部材12と既設枠Fとか固定される。つまり、外側枠10と既設枠Fとか固定される。
【0048】
外側枠10と既設枠Fとが固定されると、室内側から内側枠20が既設枠Fに挿入され(図7参照)、内側枠20が配置される。具体的には、内側枠20の内面カバー部材22が、見付け方向において外側枠10の外側カバー部材11と重なるように配置される(図8(C)、図9(C)参照)。このとき、内面カバー部材22の見込み方向の先端部が、外側カバー部材11の底壁11dよりも室外側に突出した状態となるように配置する(図1図2図3(A)参照)。すると、外側カバー部材11の内側壁11bと底壁11dと内面カバー部材22とによって囲まれた空間に、室外側に開口を有し既設枠Fの各枠Fa~Fcに沿って伸びる、戸当たり部材Pが配置される戸当たり部PAが形成される(図3(A)参照)。
【0049】
最後に、改修枠1を施工現場に搬入したときの状態になるように、外側枠10と内側枠20とを連結ねじ1aによって連結すれば(図8(C)、図9(C)参照)、既設枠Fを覆うように改修枠1を既設枠Fに設置することができる。
【0050】
以上のように、本実施形態の改修枠1では、既設枠Fの室外側から開口Fhに外側枠10の外側カバー部材11の内側壁11bを挿入して外側枠10を既設枠Fに固定し、既設枠Fの室内側から開口Fhに内側枠20の内面カバー部材22を挿入して内面カバー部材22を外側カバー部材11に連結するだけで、改修枠1を既設枠Fに固定できるので、改修枠1の設置が容易になる。
【0051】
しかも、外側枠10の各枠10a~10cは、距離維持機構18によって外側カバー部材11の内側壁11bと既設枠Fの開口形成壁Frとの距離を一定に保つことができる。つまり、一対の外側縦枠10a,10a間の距離を(つまり改修枠1の開口10hの幅)を適切な距離に維持できるし、外側上枠10bと外側下枠10c間の距離(つまり改修枠1の10hの幅高さ)を適切な距離に維持できるので、改修枠1の開口10hを適切な形状に維持することができる。
【0052】
<姿勢調整機構15>
既設枠Fは長年の使用により縦枠Faは鉛直方向に対して傾いている場合がある。かかる傾きは、ドアを蝶番で連結する吊元となる縦枠Faで発生しやすい。改修枠1は既設枠Fの各枠Fa~Fcを基準として設置するので、縦枠Faが傾いていると、改修枠1の外側枠10の外側縦枠10aも傾いてしまう。
【0053】
かかる問題を解消する上では、外側枠10の外側縦枠10aに傾きを調整する姿勢調整機構15を設けることが望ましい。姿勢調整機構15としては、例えば、以下のような構成を採用することができる。なお、図9(B)、(C)に示すように、姿勢調整機構15は、外側縦枠10aの長手方向(つまり上下方向)に沿って一定の間隔を空けて複数設けられる。
【0054】
図1に示すように、姿勢調整機構15は、外側枠10の外側縦枠10aの外側カバー部材11の内側壁11bに連結された位置調整板材16を備えている。
【0055】
位置調整板材16は、略L字状の部材である。具体的には、位置調整板材16は、基準板材16bと連結板材16aとを有しており、基準板材16bと連結板材16aは、その外面が平坦面であって両者の外面が直交するように形成されている。この位置調整板材16の連結板材16aにはネジ穴が形成されている。一方、外側枠10の外側縦枠10aの外側カバー部材11の内側壁11bには、見込み方向に延びる長孔hが形成されており、この長孔hを通して、姿勢調整位置保持ねじ17が連結板材16aのネジ穴に螺合している(図11参照)。つまり、姿勢調整位置保持ねじ17によって位置調整板材16の連結板材16aが外側枠10の外側縦枠10aの外側カバー部材11の内側壁11bに連結されている。なお、外側枠10の外側縦枠10aの外側カバー部材11の内側壁11bに連結された状態では、位置調整板材16は、その基準板材16bの外面が外側カバー部材11の表面壁11aと逆方向を向くように設けられている。つまり、外側枠10を既設枠Fに配置すると、既設枠Fの縦枠Faにおける室外側見付け壁Foと対向するように、位置調整板材16の基準板材16bが設けられている。
【0056】
姿勢調整機構15が以上のような構成を有しているので、以下のようにすれば、既設枠Fの縦枠Faが傾いていても、姿勢調整機構15によって外側枠10の外側縦枠10aをほぼ鉛直に設置することができる。なお、以下の調整は、外側枠10を既設枠Fに固定する前に行われる。
【0057】
まず、外側枠10を既設枠Fに配置する際に、基準板材16bの外面が既設枠Fの室外側見付け壁Foと接触するように配置する。その状態で、外側枠10の外側縦枠10aの鉛直方向に対する傾きを確認する。
【0058】
もし、外側枠10の外側縦枠10aが鉛直方向に対して傾いている場合には、姿勢調整位置保持ねじ17を緩めて、位置調整板材16に対して外側枠10の外側カバー部材11を見込み方向に移動させる。例えば、外側枠10の外側縦枠10aに対して上部が室外側に倒れている状態となっていれば、外側枠10の外側カバー部材11の下部を上部に対して室外側に移動させる。すると、外側枠10の外側カバー部材11の表面壁11aの表面をほぼ鉛直な面とすることができる。その状態で姿勢調整位置保持ねじ17を締めて位置調整板材16の連結板材16aを固定し、外側枠10を既設枠Fに固定すれば、既設枠Fの縦枠Faが傾いていても、外側枠10の外側縦枠10aを鉛直に設置できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の改修枠は、戸建住戸やマンション等の集合住宅などの住戸のドアの改修に適している。
【符号の説明】
【0060】
1 改修枠
1h 開口
10 外側枠
10a 外側縦枠
10b 外側上枠
10c 外側下枠
10f 固定用ねじ
11 外側カバー部材
12 固定部材
12n ねじ穴
12h 固定用孔
15 姿勢調整機構
16 位置調整板材
16a 連結板材
16b 基準板材
18 距離維持機構
19 位置保持ねじ
20a 内側縦枠
20b 内側上枠
20c 内側下枠
21 内側カバー部材
22 内面カバー部材
F 既設枠
Fh 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12