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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064370
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
   B64C 17/02 20060101AFI20240507BHJP
   B64D 9/00 20060101ALI20240507BHJP
   B64C 27/08 20230101ALI20240507BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B64C17/02
B64D9/00
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172915
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】中川 勇
(72)【発明者】
【氏名】阿部 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】利根川 大
(72)【発明者】
【氏名】森崎 雄貴
(57)【要約】
【課題】種々の環境下で柔軟に荷役を行うことが可能な汎用性の高い飛行体を提供する。
【解決手段】飛行体は、機体と、機体に設けられ、貨物を吊架可能な吊架部と、吊架部に併設されたウエイトと、吊架部を機体の中心軸と交差する第一方向に移動可能に支持するとともに、第一方向における吊架部の移動した側とは反対側に向かってウエイトを移動させる移動機構と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体に設けられ、貨物を吊架可能な吊架部と、
前記吊架部に併設されたウエイトと、
前記吊架部を前記機体の中心軸と交差する第一方向に移動可能に支持するとともに、前記第一方向における前記吊架部の移動した側とは反対側に向かってウエイトを移動させる移動機構と、
を備える飛行体。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記機体に固定され、前記第一方向に延びる主レールと、
該主レールに入れ子状に接続されて前記第一方向に進退動可能であるとともに前記吊架部を支持する第一副レールと、
前記主レールに入れ子状に接続されて前記第一方向に進退動可能であるとともに前記ウエイトを支持する第二副レールと、
を有する請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記移動機構は、前記吊架部、及び前記ウエイトを、前記機体の輪郭線の外側まで移動させることが可能である請求項1又は2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記移動機構は、前記吊架部、及び前記ウエイトを、前記機体の前記中心軸回りに回動可能に支持する回動部をさらに有する請求項1に記載の飛行体。
【請求項5】
前記移動機構に併設されたリミットスイッチと、
該リミットスイッチのオンオフ状態に基づいて前記移動機構を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記リミットスイッチは、前記吊架部が前記機体の前記中心軸上にある際にはオン状態とされ、前記吊架部が前記機体の前記中心軸上から離れた場合にオフ状態とされ、
前記制御部は、前記リミットスイッチが前記オン状態である場合には、前記移動機構による前記ウエイトの移動を規制する請求項1に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチコプターやドローン等の無人の飛行体を用いて、建築資材や貨物等を運搬する技術に注目が集まっている。下記特許文献1に記載された技術では、遠隔操作可能な飛行体を使って、資材の大きさや形状に限定されることなく、安定して資材を空中運搬することが可能とされている。具体的には、この飛行体は、機体の中心下部に吊架部を有する。吊架部によって貨物を吊り下げた状態で運搬と積み下ろしができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-007371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の吊架部を機体の中心下部に有する場合、例えば壁等の障害物の近傍で貨物の積み下ろしを行おうとすると、機体自体の大きさが妨げとなって、貨物を壁際に十分に近づけることができない。このため、飛行体の使用できる環境が限定的になってしまうという課題があった。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、種々の環境下で柔軟に荷役を行うことが可能な汎用性の高い飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る飛行体は、機体と、前記機体に設けられ、貨物を吊架可能な吊架部と、前記吊架部に併設されたウエイトと、前記機体に対して該機体の中心軸と交差する第一方向に移動可能に支持するとともに、前記第一方向における前記吊架部の移動した側とは反対側に向かってウエイトを移動させる移動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、種々の環境下で柔軟に荷役を行うことが可能な汎用性の高い飛行体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る飛行体の構成を示す側面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る移動機構の構成を示す上面図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る飛行体において、移動機構を伸長させた際の様子を示す側面図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る飛行体の変形例を示す側面図である。
図5】本開示の第二実施形態に係る飛行体の要部拡大図である。
図6】本開示の第二実施形態に係る制御部の機能ブロック図である。
図7】本開示の第二実施形態に係る制御部の制御フローを示すフローチャートである。
図8】本開示の第二実施形態に係る制御部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
以下、本開示の第一実施形態に係る飛行体1について、図1から図3を参照して説明する。この飛行体1は、例えば建設現場等で、貨物80としての建設資材を運搬するために用いられる。なお、建設資材以外の貨物80の運搬に用いることも可能である。
【0010】
(飛行体1の構成)
図1に示すように、飛行体1は、機体10と、移動機構20と、吊架部30と、ウエイト40と、を備える。
【0011】
(機体10の構成)
機体10は、機体本体11と、推力装置12と、を有する。機体本体11は、中心軸Xを中心とする円盤状、又は多角形板状、矩形板状をなしている。ここで言う中心軸Xとは、機体10の幾何学的な重心を通る線を指す。機体本体11の内部には、送受信装置、バッテリー、ジャイロセンサー等の様々な装置が格納されている。
【0012】
推力装置12は、機体本体11から外側に向かって突出するアーム部13と、このアーム部13の先端に取り付けられたファン14と、を有する。推力装置12の数は設計や仕様に応じて適宜決定されてよい。ファン14は、プロペラ15と、電動機16と、を有し、電動機16に電流を供給することでプロペラ15が回転駆動される。プロペラ15が回転することによって空気が圧送され、主として中心軸X方向への揚力と、この揚力に交差する方向への推進力が発生する。つまり、プロペラ15の推力方向は可変であることが望ましい。
【0013】
(移動機構20の構成)
機体本体11の下部には、移動機構20が設けられている。移動機構20は、後述する吊架部30、及びウエイト40を第一方向Dに移動可能に支持する装置である。図2に示すように、移動機構20は、主レール21と、第一副レール22と、第二副レール23と、を有する。主レール21は、第一方向Dに延びるとともに、機体本体11の下部に固定されている。ここで言う第一方向Dとは、機体10の中心軸Xに直交する水平方向を指す。
【0014】
第一副レール22、及び第二副レール23は、主レール21に対して入れ子状に接続されている。第一副レール22は、主レール21の下面側で第一方向Dに進退動可能である。第二副レール23は、主レール21の上面側で第一方向Dに進退動可能である。なお、図2の例では、それぞれ1つずつの第一副レール22、及び第二副レール23を有する構成について示しているが、設計や仕様に応じて、それぞれ複数ずつの第一副レール22、及び第二副レール23を設けることも可能である。
【0015】
第一副レール22、及び第二副レール23は、不図示の駆動源によって第一方向Dに進退動可能である。駆動源への指令信号は、遠隔にいる操縦者の送信機によって生成・送信される。つまり、機体10の操縦と合わせて、移動機構20の動作を遠隔から行うことが可能とされている。
【0016】
(吊架部30の構成)
吊架部30は、上記の第一副レール22の下面に設けられている。吊架部30は、例えばフック状をなしており、貨物80を下方に吊架することが可能な器具である。第一副レール22が第一方向Dに移動すると、吊架部30、及び貨物80も当該第一方向Dに移動する。
【0017】
(ウエイト40の構成)
第二副レール23には、ウエイト40が一体に取り付けられている。ウエイト40は、例えばタングステン等の密度の高い金属材料で形成されていることが望ましい。第二副レール23が第一方向Dに移動するとウエイト40も当該第一方向Dに移動する。より具体的には、上記の吊架部30、及び貨物80が第一方向Dの一方側に移動した場合には、第二副レール23、及びウエイト40は第一方向Dの他方側に移動するように構成されている。つまり、吊架部30、及び貨物80の移動によって生じる重心の移動、及びモーメントが、反対方向へのウエイト40の移動によって是正されるように構成されている。したがって、望ましくは、第一副レール22の移動量と、第二副レール23の移動量は同等であるか、又は比例関係にある。
【0018】
また、図3に示すように、第一副レール22、及び第二副レール23は、機体10の輪郭線(つまり、機体10を中心軸X方向から見た場合における中心軸Xに対する径方向の最も外側の線)よりもさらに外側にまで延びることが可能である。つまり、吊架部30、及び貨物80を、機体10の輪郭線よりも外側まで移動させることが可能とされている。
【0019】
(作用効果)
続いて、上記の飛行体1による貨物80の運搬について説明する。飛行体1によって貨物80を運搬する際には、まず吊架部30に貨物80を取り付ける。この作業は飛行体1をホバリングさせた状態で行うことが望ましい。その後、遠隔操縦によって飛行体1を目的地まで飛行させる。目的地に到着したら、吊架部30と貨物80の接続を解除して、当該貨物80を下ろす。これにより、通常時の貨物80の運搬が完了する。
【0020】
ところで、図3に示すように、壁等の障害物90の近傍に貨物80を運搬したいという要請もある。この場合、従来は、吊架部30が機体10の中心軸Xの位置に設けられることが一般的であったことから、飛行体1の寸法体格が妨げとなって、貨物80を十分に障害物90に近接させることが難しかった。その結果、飛行体1による荷役作業が制約を受け、作業効率の向上を図ることができないという課題があった。この課題を解決するために、本実施形態に係る飛行体1では、上述の各構成を採用している。
【0021】
上記構成によれば、移動機構20を動作させて、貨物80が吊架された吊架部30を第一方向Dに移動させることで、機体10の中心軸Xから離れた位置でも当該貨物80を積み下ろしすることができる。この時、貨物80が中心軸Xの位置から離れたことによって機体10の重心移動やモーメントが生じても、移動機構20によってウエイト40を第一方向Dの反対側(つまり、貨物80の移動した側とは反対側)に移動させることで、重心位置の変化を是正し、モーメントを打ち消すことが可能となる。これにより、障害物90の近傍でも、機体10の姿勢に不用意な変化を生じることなく、安定的に貨物80の積み下ろしを行うことができる。したがって、荷役作業に際しての飛行体1の汎用性が高まり、作業効率を大きく向上させることが可能となる。
【0022】
さらに、上記構成によれば、主レール21に対して、第一副レール22と第二副レール23とが第一方向Dに入れ子状に接続されていることで、これら第一副レール22と第二副レール23の移動方向を第一方向Dのみに限定することができる。したがって、操縦者は、障害物90に対する機体10の向きさえ決定すれば、移動機構20によってどの方向に貨物80を移動させるかを決定する必要がない。つまり、移動機構20の操作が単純化されるため、飛行体1による荷役作業をより容易に行うことができる。さらに、これら主レール21、第一副レール22、及び第二副レール23が互いに入れ子状に接続されていることで、主レール21上に第一副レール22と第二副レール23が格納された状態での寸法体格を小さく抑えることもできる。これにより、飛行体1の空力性能の低下が最小限に抑えられ、航続距離や航行速度を従前どおりに維持することができる。
【0023】
また、上記構成によれば、吊架部30を機体10の輪郭線の外側まで移動させることができるため、機体10と障害物90との距離を取りつつも、貨物80をさらに障害物90等に近づけて積み下ろしすることが可能となる。特に、推力装置12は回転するプロペラ15を有することから、障害物90に接触した際の損傷が懸念される。上記構成によれば、プロペラ15を障害物90から大きく離間させた状態で荷役作業を行うことができる。これにより、機体10や障害物90自体に損傷が発生する可能性を大きく低減することが可能となる。加えて、吊架部30の移動に伴ってウエイト40も同等の距離だけ反対側に移動するため、重心位置の変化やモーメントの発生も最小限に抑えることができる。
【0024】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第一実施形態では、移動機構20が機体本体11に対して固定されている例について説明した。しかしながら、変形例として図4に示すように、移動機構20を機体本体11に対して回動可能に支持する回動部50をさらに設けることも可能である。回動部50を動作させることによって、移動機構20自体が機体10の中心軸X回りに回動できるように構成されている。この構成によれば、回動部50によって吊架部30、及びウエイト40を回動させることで、機体10自体の姿勢や向きを変えずに、貨物80が積み下ろしされる位置や方向を柔軟に調節することができる。これにより、荷役作業の正確性や効率性をさらに向上させることが可能となる。
【0025】
また、上記第一実施形態では、ウエイト40が第二副レール23に固定されている例について説明した。しかしながら、ウエイト40が第二副レール23に対して着脱可能に取り付けられていてもよい。この場合、貨物80の重量に応じて、重さの異なる複数のウエイト40の中から最適なものを選択して第二副レール23に取り付けることができる。したがって、貨物80の重量によらず、安定的に重心位置の是正を行うことができる。その結果、荷役作業に対する飛行体1の汎用性をより一層向上させることが可能となる。
【0026】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図5から図8を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0027】
(リミットスイッチ60の構成)
図5に示すように、本実施形態に係る飛行体1では、移動機構20にリミットスイッチ60が取り付けられている。このリミットスイッチ60は、一例として、吊架部30が機体10の中心軸X上に位置している際にはオン状態となり、中心軸Xから離れた場合にオフ状態となる。また、このリミットスイッチ60は、移動機構20を制御する制御部70に電気的に接続されている。つまり、リミットスイッチ60のオンオフ状態を示す電気信号が、当該制御部70に送られるように構成されている。
【0028】
(制御部70の構成)
図6に示すように、制御部70は、スイッチ判定部71と、規制信号生成部72と、移動機構駆動部73と、記憶部74と、を有する。スイッチ判定部71は、リミットスイッチ60から送信されたオンオフ状態を示す電気信号の入力を受け付け、当該リミットスイッチ60がオン状態にあるか、オフ状態にあるかを判定する。つまり、吊架部30が中心軸X上に位置しているか否かが判定される。規制信号生成部72は、リミットスイッチ60がオン状態にある場合に、移動機構20によるウエイト40の移動を規制する信号を生成して、移動機構駆動部73に送信する。この規制信号を受けた移動機構駆動部73は、ウエイト40の移動ができないように電気的にロックされた状態となる。記憶部74は、上述の各機能ブロックの間で授受される信号を一時的、又は恒常的に記憶しておくために用いられる。
【0029】
次いで、図7を参照して制御部70の制御フローについて説明する。同図に示すように、ステップS1では、スイッチ判定部71によって、リミットスイッチ60がオン状態にあるか、オフ状態にあるかが判定される。ステップS1でNoと判定された場合には、再びこのステップS1を繰り返して実行する。一方で、ステップS1でYesと判定された場合には、ステップS2で規制信号生成部72が、上記の規制信号を生成して移動機構駆動部73に送信する。これにより、ウエイト40の移動が規制された状態となる(ステップS3)。
【0030】
(作用効果)
上記構成によれば、リミットスイッチ60がオン状態にあるとき、即ち、吊架部30が機体10の中心軸X上にある場合には、制御部70によって移動機構20によるウエイト40の移動が規制される。これにより、不用意なウエイト40の移動による機体10の姿勢変化を抑制することができる。したがって、荷役作業の安全性をさらに向上させることが可能となる。また、飛行体1の操縦者は、移動機構20の動作状態をモニターし続ける必要がないため、飛行体1自体の移動のみに専念することができる。したがって、飛行体1の操縦をより容易なものとすることができる。これにより、新規の操縦者育成に際しても長時間を要することがなく、人材配置の効率化も同時に実現することが可能となる。最終的には、荷役作業のさらなる効率化と省力化を実現することができる。
【0031】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記の制御部70の制御では、リミットスイッチ60の状態のみを入力信号として受け付ける例について説明した。しかしながら、入力信号として、機体10に設けられたジャイロセンサーやGPSセンサーの信号を用いることも可能である。例えば、ジャイロセンサーによって機体10の姿勢に大きな変化が生じたと判定されている場合には、移動機構20の動作に不適な状態であると考えられる。この場合にも、制御部70によって移動機構20の動作を規制する構成を採ることが望ましい。また、GPSセンサーを備える場合には、当該GPSセンサーによって目的地の位置情報と現在地とを照合し、目的地以外の場所では移動機構20が動作しないように構成することが考えられる。いずれの構成であっても、不適切な状況における移動機構20の動作が回避され、荷役の安全性や効率性をさらに向上させることが可能となる。
【0032】
なお、本開示の実施形態における制御部70の処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0033】
本開示の実施形態における記憶部74、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部74、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0034】
上述した運行管理システムによる処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ100が読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータ100が読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータ100の具体例を以下に示す。
【0035】
図8に示すように、コンピュータ100は、CPU101と、メインメモリ102と、ストレージ103と、インターフェース104と、を備える。
例えば、上述の運行管理システムはコンピュータ100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ103に記憶されている。CPU101は、プログラムをストレージ103から読み出してメインメモリ102に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU101は、プログラムに従って、上述した記憶部74に対応する記憶領域をメインメモリ102に確保する。
【0036】
ストレージ103の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ103は、コンピュータ100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース104または通信回線を介してコンピュータ100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ100が当該プログラムをメインメモリ102に展開し、上記処理を実行してもよい。なお、ストレージ103は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0037】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータ100にすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0038】
なお、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びこれらに類する処理装置を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0039】
<付記>
各実施形態に記載の飛行体1は、例えば以下のように把握される。
【0040】
(1)第1の態様に係る飛行体1は、機体10と、前記機体10に設けられ、貨物80を吊架可能な吊架部30と、前記吊架部30に併設されたウエイト40と、前記吊架部30を前記機体10の中心軸Xと交差する第一方向Dに移動可能に支持するとともに、前記第一方向Dにおける前記吊架部30の移動した側とは反対側に向かってウエイト40を移動させる移動機構20と、を備える。
【0041】
上記構成によれば、貨物80が吊架された吊架部30を第一方向Dに移動させることで、機体10の中心軸Xから離れた位置でも当該貨物80を積み下ろしすることができる。この時、貨物80が中心軸Xの位置から離れたことによって機体10の重心移動が生じても、移動機構20によってウエイト40を第一方向Dの反対側に移動させることで、重心位置を是正することが可能となる。
【0042】
(2)第2の態様に係る飛行体1は、(1)の飛行体1であって、前記移動機構20は、前記機体10に固定され、前記第一方向Dに延びる主レール21と、該主レール21に入れ子状に接続されて前記第一方向Dに進退動可能であるとともに前記吊架部30を支持する第一副レール22と、前記主レール21に入れ子状に接続されて前記第一方向Dに進退動可能であるとともに前記ウエイト40を支持する第二副レール23と、を有する。
【0043】
上記構成によれば、主レール21に対して、第一副レール22と第二副レール23とが第一方向Dに入れ子状に接続されていることで、これら第一副レール22と第二副レール23の移動方向を第一方向Dのみに限定することができる。つまり、移動機構20の操作が単純化されるため、飛行体1の操縦を容易に行うことができる。さらに、これらが入れ子状に接続されていることで、第一副レール22と第二副レール23が格納された状態での寸法体格を小さく抑えることもできる。
【0044】
(3)第3の態様に係る飛行体1は、(1)又は(2)の飛行体1であって、前記移動機構20は、前記吊架部30、及び前記ウエイト40を、前記機体10の輪郭線の外側まで移動させることが可能である。
【0045】
上記構成によれば、吊架部30を機体10の輪郭線の外側まで移動させることができるため、機体10と障害物90との距離を取りつつも、貨物80をさらに障害物90等に近づけて積み下ろしすることが可能となる。また、これに伴ってウエイト40も同等の距離だけ移動するため、重心位置の変化を最小限に抑えることができる。
【0046】
(4)第4の態様に係る飛行体1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る飛行体1であって、前記移動機構20は、前記吊架部30、及び前記ウエイト40を、前記機体10の前記中心軸X回りに回動可能に支持する回動部50をさらに有する。
【0047】
上記構成によれば、回動部50によって吊架部30、及びウエイト40を回動させることで、機体10の姿勢を変えずに、貨物80が積み下ろしされる位置や方向を柔軟に調節することができる。
【0048】
(5)第5の態様に係る飛行体1は、(1)から(4)のいずれか一態様に係る飛行体1であって、前記移動機構20に併設されたリミットスイッチ60と、該リミットスイッチ60のオンオフ状態に基づいて前記移動機構20を制御する制御部70と、をさらに備え、前記リミットスイッチ60は、前記吊架部30が前記機体10の前記中心軸X上にある際にはオン状態とされ、前記吊架部30が前記機体10の前記中心軸X上から離れた場合にオフ状態とされ、前記制御部70は、前記リミットスイッチ60が前記オン状態である場合には、前記移動機構20による前記ウエイト40の移動を規制する。
【0049】
上記構成によれば、リミットスイッチ60がオン状態にあるとき、即ち、吊架部30が機体10の中心軸X上にある場合には、制御部70によって移動機構20によるウエイト40の移動が規制される。これにより、不用意なウエイト40の移動による機体10の姿勢変化を抑制することができる。また、操縦者は、飛行体1自体の移動のみに専念することができる。したがって、荷役作業のさらなる効率化を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…飛行体
10…機体
11…機体本体
12…推力装置
13…アーム部
14…ファン
15…プロペラ
16…電動機
20…移動機構
21…主レール
22…第一副レール
23…第二副レール
30…吊架部
40…ウエイト
50…回動部
60…リミットスイッチ
70…制御部
71…スイッチ判定部
72…規制信号生成部
73…移動機構駆動部
74…記憶部
80…貨物
90…障害物
100…コンピュータ
101…CPU
102…メインメモリ
103…ストレージ
104…インターフェース
D…第一方向
X…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8