(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064372
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】キャビネット図面作成支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/12 20200101AFI20240507BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20240507BHJP
【FI】
G06F30/12
G06F30/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172917
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 明寛
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DA03
5B146DE03
5B146DE05
5B146DG02
5B146DL04
5B146DL08
5B146EC02
(57)【要約】
【課題】複数の面を表す図面データが入力された場合でも、面と面名称を紐付けやすくすること。
【解決手段】入力される入力用図面データを読み込み可能な読込手段と、面名称を指定可能な面名称指定手段と、入力用図面データを読み込むことにより端末に出力される図面上の特定の領域を指定可能な領域指定手段と、面名称指定手段により指定された指定面名称と、領域指定手段により指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される認定面データとを紐付け可能な紐付け手段と、を備えるキャビネット図面作成支援システムとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される入力用図面データを読み込み可能な読込手段と、
面名称を指定可能な面名称指定手段と、
入力用図面データを読み込むことにより端末に出力される図面上の特定の領域を指定可能な領域指定手段と、
面名称指定手段により指定された指定面名称と、領域指定手段により指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される認定面データとを紐付け可能な紐付け手段と、
を備えるキャビネット図面作成支援システム。
【請求項2】
キャビネットの種類に関する情報を入力するために用いられる入力手段と、
入力手段を用いて入力された情報からキャビネットの種類を特定可能な種類特定手段と、
キャビネットの種類と紐付くようにキャビネットの寸法情報を記録したデータベースと、
種類特定手段を用いて特定されたキャビネットにおける面の寸法情報をデータベースから抽出可能な寸法情報抽出手段と、
寸法情報抽出手段を用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段により指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な照合手段と、
を備え、
紐付け手段は、
抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内の図面データに存在すると判定されるとともに、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称と、面名称指定手段により指定された面名称である指定面名称とが合致した場合に、面名称と領域指定手段により指定した領域とを紐付け可能な請求項1に記載のキャビネット図面作成支援システム。
【請求項3】
照合手段は、
領域指定手段により指定した領域内に属する線の端部の点からX軸方向とY軸方向に仮想線を伸ばし、仮想線同士の交点同士の距離と、寸法情報抽出手段により抽出された面の寸法情報と、を照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な請求項2に記載のキャビネット図面作成支援システム。
【請求項4】
照合手段は、
端末に出力される図面上の複数の閉じた形状にわたるように領域指定手段で領域が指定された場合にも、
寸法情報抽出手段を用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段により指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能である請求項2又は3に記載のキャビネット図面作成支援システム。
【請求項5】
キャビネットの種類に関する情報を入力するために用いられる入力手段と、
入力手段を用いて入力された情報からキャビネットの種類を特定可能な種類特定手段と、
キャビネットの種類と紐付くようにキャビネットの寸法情報を記録したデータベースと、
種類特定手段を用いて特定されたキャビネットにおける面の寸法情報をデータベースから抽出可能な寸法情報抽出手段と、
寸法情報抽出手段を用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段により指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な照合手段と、
を備え、
面名称指定手段は、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在すると照合手段で判定された場合に、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称が1つであれば面名称を自動で指定し、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称が複数であれば面名称の情報を選択候補として表示し、表示された選択候補から選択して面名称を指定可能とする請求項1に記載のキャビネット図面作成支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット図面作成支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
顧客等が作成したキャビネットの図面データ(2次元の線分の集合体である線情報)を取込み、図面データを解析するシステムが開発されている。例えば特許文献1には、顧客等が作成したキャビネットの図面データを取込み、図面データを解析することでデータベースに登録しているキャビネットを特定し、穴加工を加えた図面を出力するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、キャビネットの六面図などを描く場合には、扉面、左側面、右側面、背面、上面、下面等の面が各々別で描かれるが、顧客等が作成したキャビネットの図面データを取り込んだだけではどの面をどの部分に描いたものであるのかを判断することができないことがある。これに対して特許文献1には、顧客等が作成したキャビネットの図面データ内の文字(仕様表などに記載される文字)をOCRで解析することにより、どの面を描いた図であるのかを認識させることが記載されている。しかしながら、この方式では、OCRのような文字を認識する機能が必要となる。また、面名称を表す文字が図面上のどこの図を表すのかを判断することが難しい。このため、入力されるデータに複数の面が描かれている場合は、どの面がどの面名称に対応するものであるのかを特定することが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、複数の面を表す図面データが入力された場合でも、面と面名称を紐付けやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、入力される入力用図面データを読み込み可能な読込手段と、面名称を指定可能な面名称指定手段と、入力用図面データを読み込むことにより端末に出力される図面上の特定の領域を指定可能な領域指定手段と、面名称指定手段により指定された指定面名称と、領域指定手段により指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される認定面データとを紐付け可能な紐付け手段と、を備えるキャビネット図面作成支援システムとする。
【0007】
また、キャビネットの種類に関する情報を入力するために用いられる入力手段と、入力手段を用いて入力された情報からキャビネットの種類を特定可能な種類特定手段と、キャビネットの種類と紐付くようにキャビネットの寸法情報を記録したデータベースと、種類特定手段を用いて特定されたキャビネットにおける面の寸法情報をデータベースから抽出可能な寸法情報抽出手段と、寸法情報抽出手段を用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段により指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な照合手段と、を備え、紐付け手段は、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内の図面データに存在すると判定されるとともに、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称と、面名称指定手段により指定された面名称である指定面名称とが合致した場合に、面名称と領域指定手段により指定した領域とを紐付け可能な構成とすることが好ましい。
【0008】
また、照合手段は、領域指定手段により指定した領域内に属する線の端部の点からX軸方向とY軸方向に仮想線を伸ばし、仮想線同士の交点同士の距離と、寸法情報抽出手段により抽出された面の寸法情報と、を照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、照合手段は、端末に出力される図面上の複数の閉じた形状にわたるように領域指定手段で領域が指定された場合にも、寸法情報抽出手段を用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段により指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能である構成とすることが好ましい。
【0010】
また、キャビネットの種類に関する情報を入力するために用いられる入力手段と、入力手段を用いて入力された情報からキャビネットの種類を特定可能な種類特定手段と、キャビネットの種類と紐付くようにキャビネットの寸法情報を記録したデータベースと、種類特定手段を用いて特定されたキャビネットにおける面の寸法情報をデータベースから抽出可能な寸法情報抽出手段と、寸法情報抽出手段を用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段により指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な照合手段と、を備え、面名称指定手段は、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在すると照合手段で判定された場合に、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称が1つであれば面名称を自動で指定し、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称が複数であれば面名称の情報を選択候補として表示し、表示された選択候補から選択して面名称を指定可能とする構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、複数の面を表す図面データが入力された場合でも、面と面名称を紐付けやすくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態におけるキャビネット図面作成支援システムと面名称決定システムなどとの関係例を示す概念図である。
【
図2】実施形態の面名称決定システムにおける各手段などの関係を示す概念図である。
【
図3】端末の画面に表示された図に表された4つの面のそれぞれに領域を指定した状態を示す画面の例である。なお、画面の右端には面名称の指定に用いることができるように、複数の面名称が表示されている。
【
図4】キャビネットの側面図が表されている面を囲うように指定領域を定めた例を示す図である。
【
図5】
図4で指定した指定領域で特定された直線同士の交点の例を示す図である。ただし、丸を付した個所が直線同士の交点である。
【
図6】複数の面にわたるように領域を指定した例を示す図である。
【
図7】図面データの読み込みから紐付けまでの例を示すフローである。
【
図8】領域指定を行った箇所に入力された箱の種類情報から特定された寸法情報に該当する情報が存在するか否かを確認して、面名称と紐付けするデータが存在するか否かを判定することを示すフローである。ただし、破線は利用者側で面名称を指定可能なタイミングを表している。
【
図9】領域指定を行った箇所に入力された箱の種類情報から特定された寸法情報に該当する情報が存在するか否かを確認して、面名称と紐付けするデータが存在するか否かを判定することを示すフローである。ただし、紐付けする面名称は面の大きさを基に演算によりシステムで特定しようとするものであり、演算をしても面名称の候補が複数存在する場合は、候補を列挙し、その中から利用者が選択したものを紐付けする面名称とするようにしている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1及び
図2に示されていることから理解されるように、本実施形態のキャビネット図面作成支援システム1は、「入力される入力用図面データを読み込み可能な読込手段Rem」と、「面名称を指定可能な面名称指定手段Sdm」と、「入力用図面データを読み込むことにより端末に出力される図面上の特定の領域を指定可能な領域指定手段Adm」と、「面名称指定手段Sdmにより指定された指定面名称と、領域指定手段Admにより指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される認定面データとを紐付け可能な紐付け手段Awm」と、を備えている。このため、複数の面を表す図面データが入力された場合でも、面と面名称を紐付けやすくすることが可能となる。
【0014】
ここで、実施形態のキャビネット図面作成支援システム1の概略について説明をする。
図1に示すことから理解されるように、実施形態のキャビネット図面作成支援システム1は、キャビネットを構成する特定の面に相当する部分に名称を定めることができる面名称決定システムNDS、基本的なキャビネットに対してオプションを追加した場合の構成を定めることが可能なオプション指定システムOPS、基本的なキャビネットに対して追加で設ける穴の場所や形状などを特定可能な穴加工システムHDS、入力した仕様から図面を出力することが可能な図面作成システムCDSなどを備えている。ただし、キャビネット図面作成支援システム1は、これらを全て備える構成である必要はないし、他のシステムを含んでいる構成としてもよい。例えば、
図1に示す例では発注作業のために利用される発注システムODSをキャビネット図面作成支援システム1とは別に設けているが、発注システムODSをキャビネット図面作成支援システム1に備えるようにしてもよい。また、本実施形態では面名称決定システムNDS、オプション指定システムOPS、穴加工システムHDS、図面作成システムCDSの順にフローが流れるが、オプション指定システムOPS、面名称決定システムNDS、穴加工システムHDS、図面作成システムCDSの順にフローが流れる形態であってもよい。
【0015】
実施形態のキャビネット図面作成支援システム1は、特に面名称決定システムNDSが特徴的であるため、以下では、面名称決定システムNDSについて細かく説明をする。
図2に示すことから理解されるように、実施形態のキャビネット図面作成支援システム1は、面名称決定システムNDSに入力用図面データやキャビネット種類情報を取り込むことができる。また、面名称決定システムNDSに入力用図面データやキャビネット種類情報を取り込むことで、対象の特定などをおこなうことができる。
【0016】
入力用図面データは、線情報を豊富に備えたデジタルデータであるDXFデータが好ましいが、紙に描かれた図をスキャナーなどでスキャンして得られた画像やPDFデータであってもよい。ただし、その場合は、線情報に変換する機能をキャビネット図面作成支援システム1などに備えるようにするのが好ましい。
【0017】
キャビネット種類情報は、キャビネットの種類を特定できる情報であり、品番や製品名が典型例である。また、一つの種類に限定することができる程度の情報の集合体であってもよい。この場合、大きさ、機能、性能、利用目的などの情報の集合体とすることが例示できる。キャビネット種類情報は、上記した例に限る必要はないが、利用者の利便性を考慮すると、利用者が入力しやすいものであるのが好ましい。なお、キャビネット種類情報の入力のタイミングは入力用図面データの取り込み前でもよいし、取り込み後でもよい。
【0018】
実施形態の面名称決定システムNDSでは、取り込んだ入力用図面データを、読込手段Remを用いて読み込む。これにより、利用者側で扱おうとしている図面を面名称決定システムNDSで特定することができる。面名称決定システムNDSで特定された図面は利用者の使用する端末などに表示することができるため、利用者は入力した入力用図面データに関する作業をしていることを確認することができる。
【0019】
また、利用者は、端末に表示された内容の一部分を指定するように領域指定を行うことができる(
図3参照)。このようにすることで、面名称を定める部分を領域が指定された部分内に絞ることができる。
【0020】
一方、入力手段Ipmを用いてキャビネット種類情報が面名称決定システムNDSに入力されることで、キャビネットの種類特定手段Tsmは、データベースDBにある多数の情報の中から特定のキャビネットに関する情報を選択することができる。また、面名称決定システムNDSは、キャビネットに関する情報の中から寸法に関する情報を抽出することができる寸法情報抽出手段Ssmを備えている。このため、実施形態のキャビネット図面作成支援システム1は、種類特定手段Tsmと寸法情報抽出手段Ssmを用いることで、キャビネット種類情報で特定できるキャビネットの寸法情報を抽出することができる。
【0021】
実施形態では、寸法情報抽出手段Ssmで抽出された情報と、領域指定手段Admで指定された領域内に属する情報を照合手段Dtmにより照合する。これにより、領域指定手段Admで指定された領域内に属する情報の中に、寸法情報抽出手段Ssmで抽出された情報が含まれているか否かを確認する。より具体的には、寸法情報抽出手段Ssmで抽出された情報の中でも、面に関する情報について、領域指定手段Admで指定された領域内に属する情報の中に含まれているか否かを確認する。
【0022】
実施形態では、照合手段Dtmにより、抽出された寸法情報に合致する情報が指定された領域内の図面データに存在するかどうかを判定した結果、存在しないと判定された場合、その結果を知らせるために出力をする。例えば、領域指定手段Admで特定された情報の中には面を特定できる情報が存在しない旨のメッセージを出力する。
【0023】
照合手段Dtmにより、抽出された寸法情報に合致する情報が指定された領域内の図面データに存在するかどうかを判定した結果、存在すると判定された場合、その面がどのような面であるのかを特定する。
【0024】
面は名称により種類を区別することができるため、面の名称である面名称を紐づけるための動作を実行する。なお、面名称は面名称指定手段Sdmを用いて指定することが可能である。また、実施形態のキャビネット図面作成支援システム1は、複数の面名称を記憶している。このため、あらかじめ記憶された複数の面名称の中から選択して面名称を指定することが可能である。
【0025】
面名称指定手段Sdmにより指定された面名称である「指定面名称」と、領域指定手段Admにより指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される「認定面データ」とを紐付けるために、実施形態のキャビネット図面作成支援システム1では、紐付け手段Awmを備えている。
【0026】
照合手段Dtmにより抽出された寸法情報に合致する情報が指定された領域内の図面データに存在するかどうかを判定した結果、存在すると判定された場合、ただちに、領域指定手段Admにより指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される「認定面データ」と、面名称指定手段Sdmにより指定された「指定面名称」を紐付け手段Awmで紐付けるようにしてもよいが、更に判定を行ったうえで、それらを紐付けるようにしてもよい。
【0027】
例えば、さらに合致した寸法情報に関する面名称として記憶された「格納面名称」と、利用者が面名称指定手段Sdmを用いて指定した「指定面名称」とが合致した場合に、面名称と領域指定手段Admにより指定した領域とを紐付けることが可能なようにしてもよい。例えば、データベースDBに記憶された情報に、抽出された寸法に関する「格納面名称」が記憶されていれば、その情報と「指定面名称」を比較して確認をすることができる。このようにすれば、利用者が不適切な面名称を指定した場合、紐付けが行われないため、紐付けされた情報の信頼性をあげることができる。
【0028】
このようなことを可能とするために、キャビネット図面作成支援システム1は、「キャビネットの種類に関する情報を入力するために用いられる入力手段Ipm」と、「入力手段Ipmを用いて入力された情報からキャビネットの種類を特定可能な種類特定手段Tsm」と、「キャビネットの種類と紐付くようにキャビネットの寸法情報を記録したデータベースDB」と、「種類特定手段Tsmを用いて特定されたキャビネットにおける面の寸法情報をデータベースDBから抽出可能な寸法情報抽出手段Ssm」と、「寸法情報抽出手段Ssmを用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段Admにより指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な照合手段Dtm」と、を備え、紐付け手段Awmは、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内の図面データに存在すると判定されるとともに、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称と、面名称指定手段Sdmにより指定された面名称である指定面名称とが合致した場合に、面名称と領域指定手段Admにより指定した領域とを紐付け可能な構成とするのが好ましい。
【0029】
ところで、キャビネットの上面と下面、正面と背面、右側面と左側面などは寸法では区別できない場合がある。この場合、キャビネット図面作成支援システム1側では、面名称を一つに絞り切ることができない。このように、面名称として複数の選択肢が存在する場合、それらを表示し、利用者が選択できるようにするのが好ましい。
【0030】
このようなことを可能とするために、キャビネット図面作成支援システム1は、「キャビネットの種類に関する情報を入力するために用いられる入力手段Ipmと」、「入力手段Ipmを用いて入力された情報からキャビネットの種類を特定可能な種類特定手段Tsm」と、「キャビネットの種類と紐付くようにキャビネットの寸法情報を記録したデータベースDB」と、「種類特定手段Tsmを用いて特定されたキャビネットにおける面の寸法情報をデータベースDBから抽出可能な寸法情報抽出手段Ssm」と、「寸法情報抽出手段Ssmを用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段Admにより指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な照合手段Dtm」と、を備え、面名称指定手段Sdmは、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在すると照合手段Dtmで判定された場合に、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称が1つであれば面名称を自動で指定し、合致した寸法情報に関する面名称として記憶された格納面名称が複数であれば面名称の情報を選択候補として表示し、表示された選択候補から選択して面名称を指定可能とする構成であるのが好ましい。
【0031】
ここで、領域指定手段Admによる指定した領域内に属する図面データと、寸法情報抽出手段Ssmを用いて抽出された寸法情報と、の照合例について説明をする。例えば、
図4に示すように領域を指定したとする。この領域内に属する図面データとして、
図5では、領域指定手段Admにより指定した領域内に属する線同士の交点、領域内に属する線と領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線の交点、領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線同士の交点、を利用するようにしている。ただし、領域指定手段Admにより指定した領域内に属する線の端部の点からX軸方向とY軸方向に仮想線を伸ばし、それらの交点だけを利用するようにしてもよい。
【0032】
例えば、
図5におけるAAは領域指定手段Admにより指定した領域内に属する線同士の交点であり、BBは領域内に属する線と領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線の交点であり、CCは領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線同士の交点である。
【0033】
図5に示す例では、交点の一例として複数の交点が描かれているが、これらの交点間の距離と寸法情報抽出手段Ssmを用いて抽出された寸法情報とを比較して、寸法情報と合致する交点の組み合わせが存在するか否かを判定する。なお、本明細書における合致とは、寸分違わぬ一致を意味してはいない。例えば、数字のいくつかの桁までが一緒であるならば、合致すると判定するなど、演算処理において、同程度とすることがおかしくない程度に一致していれば、合致すると判定してよい。
【0034】
図5に示す例では、直交する座標軸としてX軸とY軸を取っており、領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線は、X軸方向又はY軸方向に延びる線のみを伸ばして仮想直線とするようにしているが、必ずしもこの例のようにする必要はない。
【0035】
また、実施形態では、交点同士の組み合わせにより、領域指定手段Admにより指定された領域内に存在する面を構成するデータとして抽出される認定面データを構成することができるか否かを判定できるようにしているが、領域指定手段Admにより指定された領域内に存在する交点の全ての組み合わせを用いて、認定面データを構成することができるか否かを判定するようにしてもよいし、領域指定手段Admにより指定された領域内に存在する交点の一部の組み合わせを用いて、認定面データを構成することができるか否かを判定するようにしてもよい。
【0036】
例えば、大きさの限界などからして、あらかじめ一部の交点の組み合わせについては、照合手段Dtmによる演算を実施しなくても認定面データとなりえないことがいえるような場合には、そのような交点を用いた演算は省略するようにするのが好ましい。また、単に演算の負荷を抑えるために、一定のパターンのみしか検討しないようにしてもよい。例えば、交点のうち左下の端に位置することになるものと、右上の端に位置することになるものから四角形のサイズを計算し、この四角形のサイズと指定面の寸法情報(外形サイズ)が一致した場合、その四角形の位置にキャビネットの面が作図されていると判定するようにしてもよい。
【0037】
ところで、複数の交点の中から基準点を定め、位置関係を定義する際の基準として用いることが好ましい。例えば、左下端に位置する交点を基準点とする。この基準点から他の交点に至るまでのX軸方向の距離及びY軸方向の距離を、寸法情報抽出手段Ssmを用いて抽出された寸法情報との比較に利用するのが好ましい。なお、基準点を設ければ、その後の工程で行われ得る、穴加工などの位置指定にも基準点を利用することができる。
【0038】
いずれにせよ、キャビネット図面作成支援システム1の照合手段Dtmは、領域指定手段Admにより指定した領域内に属する線同士の交点、領域内に属する線と領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線の交点、領域内に属する線を伸ばすことにより得ることができる仮想直線同士の交点、のいずれかに属する交点同士の距離と、寸法情報抽出手段Ssmにより抽出された面の寸法情報と、を照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な構成とするのが好ましい。このような構成を採用すれば、図面データの2次元の線という図面の最低限の情報から判定が可能となるので、OCRなどを用いて図面データの文字情報を読み取る必要もなく、照合を容易に行うことができる。
【0039】
また、照合手段Dtmは、領域指定手段Admにより指定した領域内に属する線の端部の点からX軸方向とY軸方向に仮想線を伸ばし、仮想線同士の交点同士の距離と、寸法情報抽出手段Ssmにより抽出された面の寸法情報と、を照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能な構成とすることが好ましい。
【0040】
ところで、領域指定手段Admで領域を指定する場合、
図3に示すことから理解されるように、領域内に一つの面のみが収まるように指定されるのが好ましいが、利用者がそのように指定するとは限らない。例えば、
図6に示すように複数の面にまたがって領域を指定することもあり得る。このように指定された場合には、領域内に一つの面のみが収まるように指定された場合と、異なる制御をすることも考えられる。
【0041】
いずれにせよ、キャビネット図面作成支援システム1の照合手段Dtmは、端末に出力される図面上の複数の閉じた形状にわたるように領域指定手段Admで領域が指定された場合にも、「寸法情報抽出手段Ssmを用いて抽出された寸法情報と、領域指定手段Admにより指定された領域内に属する図面データとを照合し、抽出された寸法情報に合致する認定面データとすることが可能な情報が指定された領域内に属する図面データに存在するかどうかを判定可能」である構成としてもよい。このようにすれば、閉じた形状が面に相当する場合への対応が可能となるとともに、利用者が誤って複数の閉じた形状にわたるように領域指定手段Admで領域が指定された場合でも、利用者が本来意図した正しい領域と面名称を紐付けることができる場合がある。
【0042】
ここで、入力用図面データの読み込みから紐付けまでの例について説明をする。最も簡単に言えば、例えば、入力用図面データの読み込みの後に、面名称指定手段Sdmを用いた指定面名称の決定と、領域指定手段Admを用いた領域の指定の双方をおこない、それらを紐付ける(
図7参照)。面名称指定手段Sdmを用いた指定面名称の決定と、領域指定手段Admを用いた領域の指定は、その順番はいずれが先でも構わない。なお、領域指定手段Admを用いた領域の指定は、入力用図面データの読み込みの後に行われるが、面指定は入力用図面データの読み込み前であっても構わない。
【0043】
また、領域内に属する交点間の距離の計算と寸法情報の抽出を行い、計算結果と抽出結果を照合する例について説明をする。
図8に示す例では、入力用図面データの読み込み後に領域指定を行い、この領域内における交点間の縦方向及び横方向の差を求める演算を行う。一方、キャビネット種類情報の入力がなされることにより、キャビネット種類の特定ができるため、その種類のキャビネットの寸法情報を抽出する。そして、領域内における交点間の距離に関する演算の結果と抽出された寸法情報に関し合致しているか否かを判定する。合致していないと判定されれば、エラーの判定を示す出力をし、合致していると判定されれば、この交点の組み合わせを、面を構成するデータとして抽出される認定面データとし、指定面名称と紐付ける。
【0044】
面名称指定手段Sdmを用いた面名称の指定は、紐付けの前の段階でされていればよく、
図8に示す例でいえば、破線内のいずれのタイミングで行われるようにしてもよい。ただし、キャビネットの種類特定をすれば、指定面名称の候補を限定することができるため、キャビネットの種類特定がされた後に、特定されたキャビネットで使用される面名称のみを端末に表示するようにプログラムなどを用いて制御し、利用者は、その限定された面名称の中から、面名称を選択できるようにするのが好ましい(
図3参照)。このようにすれば、指定されたキャビネットに該当しない面名称を使用してしまうことを防ぐことができるし、表示される選択肢の数を抑制することも可能となる。
【0045】
この例では、利用者が自ら面名称の指定を行っているが、面名称の指定は必ずしも利用者が行わなくてもよい。例えば、
図9に示す例では、面名称の指定は利用者で行われないまま、領域内における交点間の距離に関する演算の結果と抽出された寸法情報に関し合致しているか否かを判定し、合致がある場合で、その寸法に該当する格納面名称が1つの場合、その格納面名称が面名称として自動的に指定されて指定面名称となり、抽出された寸法情報に合致した交点の組み合わせを(認定面データとして)指定面名称と紐付ける。
【0046】
ただし、合致がある場合で、その寸法に該当する格納面名称が複数の場合、それらを面名称候補として表示し、利用者がその候補の中から面名称を選択できるようにする。利用者が選択した面名称と抽出された寸法情報に合致した交点の組み合わせを(認定面データとして)紐付ける。もちろん、指定面名称と認定面データとの紐付けは、このような方法に限る必要はない。
【0047】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 キャビネット図面作成支援システム
Rem 読込手段
Sdm 面名称指定手段
Adm 領域指定手段
Awm 紐付け手段
Ipm 入力手段
Tsm 種類特定手段
DB データベース
Ssm 寸法情報抽出手段
Dtm 照合手段