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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064393
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】リセット装置および半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/22 20060101AFI20240507BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20240507BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H03K17/22 B
H03K17/22 E
H03K17/00 B
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172951
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 艶争
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 繁美
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX21
5J055AX57
5J055AX58
5J055AX64
5J055BX41
5J055DX01
5J055EY01
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ01
5J055GX01
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】リセットの誤動作を防止する。
【解決手段】リセット装置1は、リセット入力信号発生回路1a、リセット素子1bおよび制御回路1cを有する。リセット入力信号発生回路1aは、リセット入力信号Aを発生する。リセット素子1bは、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh以上になる区間T1aではリセット信号Bを出力する(Hレベルでリセット)。また、リセット素子1bは、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満になる区間T2aでは非リセット信号Cを出力する(Lレベルで非リセット)。制御回路1cは、装置駆動時に区間T1aにおけるリセット入力信号Aのレベルを高電位レベルから低電位レベルに変化させ、区間T2aにおけるリセット入力信号Aをプルダウンする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リセット入力信号を発生するリセット入力信号発生回路と、
前記リセット入力信号のレベルが第1のレベル帯になる第1の区間ではリセット信号を出力し、前記リセット入力信号のレベルが前記第1のレベル帯との間が閾値で区分される第2のレベル帯になる第2の区間では非リセット信号を出力するリセット素子と、
フィードバック端子を通じて前記リセット素子よりフィードバック信号を受けて、装置起動時に前記第1の区間における前記リセット入力信号のレベルを所定期間で前記第1のレベル帯から前記第2のレベル帯に変化させ、前記第2の区間における、前記リセット入力信号のレベルを前記第2のレベル帯に維持する制御回路と、
を有するリセット装置。
【請求項2】
前記リセット入力信号発生回路はキャパシタであり、前記リセット素子は少なくとも1個のインバータ素子を有し、前記制御回路は前記リセット素子よりフィードバックされた信号をゲートに受ける少なくとも1個のトランジスタを有し、
前記リセット入力信号発生回路と前記制御回路は、第1の電圧を供給する第1端子と第2の電圧を供給する第2端子との間に直列に接続され、前記リセット素子は前記リセット入力信号発生回路と前記制御回路の接点を入力とする、
請求項1に記載のリセット装置。
【請求項3】
前記第1の電圧が電源電圧の場合は、前記第2の電圧は装置内部で生成される内部グランド電圧であり、前記第1の電圧が装置内部で生成される内部電源電圧の場合は、前記第2の電圧はグランド電圧である、請求項2に記載のリセット装置。
【請求項4】
前記第1のレベル帯は前記閾値レベル以上の高電位レベルであり、前記第2のレベル帯は前記閾値レベル未満の低電位レベルである、請求項3に記載のリセット装置。
【請求項5】
前記リセット素子は第1のインバータ素子と前記第1のインバータ素子の出力端子と入力端子が接続された第2のインバータ素子を含み、前記制御回路はトランジスタであって、
前記第1の電圧が、前記キャパシタの高電位端子、前記第1のインバータ素子の高電位端子および前記第2のインバータ素子の高電位端子に印加され、
前記キャパシタの低電位端子は、前記トランジスタの高電位端子および前記第1のインバータ素子の入力端子に接続され、
前記トランジスタのゲートは、前記第1のインバータ素子の出力端子に接続され、前記第1のインバータ素子の出力信号を前記フィードバックとして受け、
前記第2の電圧が、前記トランジスタの低電位端子、前記第1のインバータ素子の低電位端子および前記第2のインバータ素子の低電位端子に印加され、
前記第2のインバータ素子の出力端子から前記リセット信号または前記非リセット信号が出力される、
請求項4に記載のリセット装置。
【請求項6】
前記トランジスタは、デプレッション型のNチャネルMOSトランジスタである、請求項5に記載のリセット装置。
【請求項7】
前記リセット素子は第1のインバータ素子と前記第1のインバータ素子の出力端子と入力端子が接続された第2のインバータ素子を含み、前記制御回路はトランジスタと抵抗を含み、
前記第1の電圧が、前記キャパシタの高電位端子、前記第1のインバータ素子の高電位端子および前記第2のインバータ素子の高電位端子に印加され、
前記キャパシタの低電位端子は、前記トランジスタの高電位端子、前記抵抗の高電位端子および前記第1のインバータ素子の入力端子に接続され、
前記トランジスタのゲートは、前記第1のインバータ素子の出力端子に接続され、前記第1のインバータ素子の出力信号を前記フィードバックとして受け、
前記第2の電圧が、前記抵抗の低電位端子、前記トランジスタの低電位端子、前記第1のインバータ素子の低電位端子および前記第2のインバータ素子の低電位端子に印加され、
前記第2のインバータ素子の出力端子から前記リセット信号または前記非リセット信号が出力される、
請求項4に記載のリセット装置。
【請求項8】
前記抵抗は、デプレッション型のNチャネルMOSトランジスタであり、前記トランジスタは、エンハンスメント型のNチャネルMOSトランジスタである、請求項7に記載のリセット装置。
【請求項9】
前記第1のレベル帯は前記閾値レベル未満の低電位レベルであり、前記第2のレベル帯は前記閾値レベル以上の高電位レベルである、請求項3に記載のリセット装置。
【請求項10】
前記リセット素子はインバータ素子であり、前記制御回路は第1のトランジスタと第2のトランジスタを含み、
前記第1の電圧が、前記第1のトランジスタの高電位端子、前記第2のトランジスタの高電位端子および前記インバータ素子の高電位端子に対して印加され、
前記キャパシタの高電位端子は、前記トランジスタの低電位端子、抵抗の低電位端子および前記インバータ素子の入力端子に接続され、
前記トランジスタのゲートは、前記インバータ素子の出力端子に接続され、前記インバータ素子の出力信号を前記フィードバックとして受け、
前記第2の電圧が、前記キャパシタの低電位端子および前記インバータ素子の低電位端子に印加され、
前記インバータ素子の出力端子から前記リセット信号または前記非リセット信号が出力される、
請求項9に記載のリセット装置。
【請求項11】
前記抵抗は、デプレッション型のNチャネルMOSトランジスタであり、前記トランジスタは、エンハンスメント型のPチャネルMOSトランジスタである、請求項10に記載のリセット装置。
【請求項12】
負荷に接続してスイッチングにより前記負荷を作動する出力スイッチと、
前記出力スイッチを駆動信号にもとづいてスイッチングする駆動回路と、
前記出力スイッチの異常状態を検出する異常検出回路と、
前記異常状態の検出時に前記出力スイッチを強制ターンオフさせる遮断回路と、
装置駆動用の制御信号の入力時に前記遮断回路による強制ターンオフの動作をリセット信号によってリセットする機能を有する請求項1から11のいずれか一項に記載のリセット装置からなるリセット回路と、
を有する半導体装置。
【請求項13】
前記遮断回路は、ラッチ回路と、オン時に前記駆動信号の前記出力スイッチへの入力を遮断し、オフ時に前記駆動信号の前記出力スイッチへの入力を非遮断にする遮断用スイッチとを有し、
前記ラッチ回路は、
前記異常状態が検出されて前記非リセット信号を受信している場合、前記遮断用スイッチをオンにして前記出力スイッチを強制ターンオフし、
前記異常状態が未検出で前記リセット信号を受信した場合、前記遮断用スイッチをオフにする、
請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記出力スイッチがハイサイドに位置する場合、前記制御信号の入力時に内部グランド電圧を出力する内部グランド回路をさらに備え、前記リセット回路は、前記内部グランド電圧が出力された場合の前記第1の区間で前記リセット信号を出力する、請求項12記載の半導体装置。
【請求項15】
前記出力スイッチがローサイドに位置する場合、前記制御信号の入力時に内部電源電圧を出力する内部電源回路をさらに備え、前記リセット回路は、前記内部電源電圧が出力された場合の前記第1の区間で前記リセット信号を出力する、請求項12記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リセット装置および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー出力スイッチ素子と、パワー出力スイッチ素子を駆動する駆動回路等を内蔵したIPS(Intelligent Power Switch)と呼ばれる半導体装置の開発が進んでいる。
【0003】
IPSは、例えば、トランスミッション、エンジンおよびブレーキなどの自動車電装システムに広く利用されており、小型化、高性能化および高信頼性に応える製品が要望されている。
【0004】
一方、IPSの運用時には、マイコン等から出力される制御信号が入力される。IPSでは、制御信号が入力された際に安定した状態で起動するように、IPS内部のリセット回路から出力されるリセット信号にもとづいて、IPS内部の状態を初期化するためのリセットが行われる。
【0005】
関連技術として、電源回路で生成される電圧を監視して電圧の立ち上がりを検出すると、論理部をリセットするリセット信号を生成して、電源電圧の立ち上げ直後の意図しないハイレベル信号の出力を抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-119622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のリセット回路によるリセット後は、リセット回路から出力されるリセット信号の出力レベルが固定レベルとなることで、IPSは通常動作を行う。一方、リセット後の通常動作区間において、例えば、短絡遮断等の他回路の作動によって、IPSの動作電圧が変動する場合がある。
【0008】
しかし、従来のリセット回路では、動作電圧の変動に追従して通常動作区間であってもリセット信号のレベルが固定されずに変動してしまい、リセットの誤動作が生じる可能性がある。通常動作区間においてIPSに対して誤ったリセットが行われると、IPS全体が誤動作してしまい、信頼性の低下を引き起こすという問題がある。
【0009】
1つの側面では、本発明は、動作電圧の変動が生じた場合でもリセットの誤動作の防止を図ったリセット装置および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、リセット装置が提供される。リセット装置は、リセット入力信号発生回路、リセット素子および制御回路を有する。リセット入力信号発生回路は、リセット入力信号を発生する。リセット素子は、リセット入力信号のレベルが第1のレベル帯になる第1の区間ではリセット信号を出力し、リセット入力信号のレベルが第1のレベル帯との間が閾値で区分される第2のレベル帯になる第2の区間では非リセット信号を出力する。制御回路は、フィードバック端子を通じてリセット素子よりフィードバック信号を受けて、装置起動時に第1の区間におけるリセット入力信号のレベルを所定期間で第1のレベル帯から第2のレベル帯に変化させ、第2の区間における、リセット入力信号のレベルを第2のレベル帯に維持する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、半導体装置が提供される。半導体装置は、出力スイッチ、駆動回路、異常検出回路、遮断回路およびリセット回路を有する。出力スイッチは、負荷に接続してスイッチングにより負荷を作動する。駆動回路は、出力スイッチを駆動信号にもとづいてスイッチングする。異常検出回路は、出力スイッチの異常状態を検出する。遮断回路は、異常状態の検出時に出力スイッチを強制ターンオフさせる。リセット回路は、装置駆動用の制御信号の入力時に遮断回路による強制ターンオフの動作をリセット信号によってリセットする機能を持ち、リセット入力信号発生回路、リセット素子および制御回路を有する。リセット入力信号発生回路は、リセット入力信号を発生する。リセット素子は、リセット入力信号のレベルが第1のレベル帯になる第1の区間ではリセット信号を出力し、リセット入力信号のレベルが第1のレベル帯との間が閾値で区分される第2のレベル帯になる第2の区間では非リセット信号を出力する。制御回路は、フィードバック端子を通じてリセット素子よりフィードバック信号を受けて、装置起動時に第1の区間におけるリセット入力信号のレベルを所定期間で第1のレベル帯から第2のレベル帯に変化させ、第2の区間における、リセット入力信号のレベルを第2のレベル帯に維持する。
【発明の効果】
【0012】
1側面によれば、リセットの誤動作を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のリセット装置を説明するための図である。
図2】本発明のリセット装置を説明するための図である。
図3】本発明の半導体装置の構成の一例を示す図である。
図4】内部GND回路の構成の一例を示す図である。
図5】リセット回路の構成の一例を示す図である。
図6】リセット回路の構成の一例を示す図である。
図7】リセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。
図8】電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
図9】電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
図10】リセット回路の構成の一例を示す図である。
図11】リセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。
図12】電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
図13】電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
図14】本発明の半導体装置の構成の一例を示す図である。
図15】内部電源回路の構成の一例を示す図である。
図16】リセット回路の構成の一例を示す図である。
図17】リセット回路の構成の一例を示す図である。
図18】リセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。
図19】電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
図20】電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
図21】リセット回路の構成の一例を示す図である。
図22】リセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。
図23】電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
図24】電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明のリセット装置を説明するための図である。リセット装置1は、リセット入力信号発生回路1a、リセット素子1bおよび制御回路1cを有する。
【0015】
リセット入力信号発生回路1aは、リセット入力信号Aを発生する。リセット素子1bは、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh以上になる区間T1a(第1の区間)ではリセット信号Bを出力する(Hレベルでリセット)。また、リセット素子1bは、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満になる区間T2a(第2の区間)では非リセット信号Cを出力する(Lレベルで非リセット)。
【0016】
制御回路1cは、装置駆動時に区間T1aにおけるリセット入力信号Aのレベルを高電位レベル(第1のレベル帯)から低電位レベル(第2のレベル帯)に変化させ、フィードバック端子を介して、区間T2aにおいてリセット素子1bよりフィードバックを受けて、リセット入力信号Aをプルダウンして非リセット信号Cのレベルを固定する。
【0017】
このようなリセット装置1の構成により、区間T2aの通常動作区間ではリセット入力信号Aがプルダウンされる。このため、リセット装置1の動作電圧の変動(例えば、動作電圧のオーバシュート)が生じた場合でも、動作電圧の変動に追従するリセット入力信号Aのレベルを閾値レベルTh未満に抑えることができ、区間T2aにおいて非リセット信号CがHレベルになることを抑制できる(区間T2aにおいてHレベルパルスが出力されるようなことがなくLレベル固定となる)。したがって、動作電圧の変動が生じた場合でもリセットの誤動作を防止することが可能になる。
【0018】
図2は本発明のリセット装置を説明するための図である。リセット装置2は、リセット入力信号発生回路2a、リセット素子2bおよび制御回路2cを有する。
リセット入力信号発生回路2aは、リセット入力信号Aを発生する。リセット素子2bは、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満になる区間T1b(第1の区間)ではリセット信号Bを出力する(Hレベルでリセット)。また、リセット素子2bは、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh以上になる区間T2b(第2の区間)では非リセット信号Cを出力する(Lレベルで非リセット)。
【0019】
制御回路2cは、装置駆動時に区間T1bにおけるリセット入力信号Aのレベルを低電位レベル(第1のレベル帯)から高電位レベル(第2のレベル帯)に変化させ、フィードバック端子を介して、区間T2bにおいてリセット素子2bよりフィードバックを受けて、リセット入力信号Aをプルアップして非リセット信号Cのレベルを固定する。
【0020】
このようなリセット装置2の構成により、区間T2bの通常動作区間ではリセット入力信号Aがプルアップされる。このため、リセット装置2の動作電圧の変動(例えば、動作電圧のアンダーシュート)が生じた場合でも、動作電圧の変動に追従するリセット入力信号Aのレベルを閾値レベルTh以上に保持することができ、区間T2bにおいて非リセット信号CがHレベルになることを抑制できる(区間T2bにおいてHレベルパルスが出力されるようなことがなくLレベル固定となる)。したがって、動作電圧の変動が生じた場合でもリセットの誤動作を防止することが可能になる。
【0021】
<半導体装置(ハイサイドIPS)の構成>
図3は本発明の半導体装置の構成の一例を示す図である。半導体装置10は、例えば、ハイサイドIPSに適用される装置である。半導体装置10は、入出力端子および電源端子として、入力端子IN0、出力端子OUT、電源端子Vin、基準電圧端子Vrを備える。
【0022】
入力端子IN0は、制御信号源5(マイコン等)に接続されて、制御信号源5から出力される制御信号INが入力される。出力端子OUTは、負荷3の一端に接続される。負荷3は例えば、自動車等に広く使用されているソレノイドバルブ等の誘導性負荷である。
【0023】
電源端子Vinは、電源4(バッテリ等)の正極端子に接続されて電源電圧Vccが印加される。基準電圧端子Vrは、電源4の負極端子および負荷3の他端に接続されて接地される(GNDに接続される)。
【0024】
また、半導体装置10は、出力スイッチM1、内部GND回路11、ゲート駆動回路(駆動回路)12、異常検出回路13、遮断回路14、リセット回路15および抵抗R1を備える。出力スイッチM1は、ハイサイド出力スイッチであって例えば、パワーMOSFETである。遮断回路14は、ラッチ回路として機能するSR型フリップフロップ14aと、遮断用スイッチとして機能するNチャネルMOSFETであるNMOSトランジスタ14bとを含む。
【0025】
電源端子Vinは、出力スイッチM1のドレインに接続され、さらに、内部GND回路11、ゲート駆動回路12、異常検出回路13、SR型フリップフロップ14aおよびリセット回路15の電源端子にそれぞれ接続される。出力スイッチM1のゲートは、抵抗R1の一端およびNMOSトランジスタ14bのドレインに接続される。
【0026】
抵抗R1の他端は、ゲート駆動回路12の出力端子に接続され、NMOSトランジスタ14bのゲートは、SR型フリップフロップ14aの出力端子Qに接続される。出力スイッチM1のソースは、NMOSトランジスタ14bのソースおよび出力端子OUTに接続される。
【0027】
ここで、電源端子Vinから供給される電源電圧Vccは、内部GND回路11、ゲート駆動回路12、異常検出回路13、リセット回路15およびSR型フリップフロップ14aのそれぞれに供給される。また、電源電圧Vccは、出力スイッチM1のドレインに供給される。
【0028】
一方、基準電圧端子Vrからの基準電圧(GND)は、内部GND回路11に供給される。内部GND回路11は、入力端子IN0に制御信号INが入力された場合、内部GND電圧(例えば、電源電圧Vcc-5V)を生成して出力する。内部GND回路11で生成された内部GND電圧(以下、内部GND)は、ゲート駆動回路12、異常検出回路13、リセット回路15およびSR型フリップフロップ14aのそれぞれの接地端子を介して供給される。
【0029】
ゲート駆動回路12は、出力スイッチM1を駆動するためのゲート駆動信号g1を生成し、抵抗R1を介して出力スイッチM1のゲートに出力する。異常検出回路13は、出力スイッチM1に流れる電流やチップ温度等を監視し、監視結果にもとづいて、出力スイッチM1が破壊されないように、出力スイッチM1の過電流状態や過熱状態等の異常状態の検出を行う。
【0030】
遮断回路14は、異常状態が検出された場合、出力スイッチM1をターンオフさせる遮断制御を行う。リセット回路15は、内部GND回路11で生成された内部GNDが供給される装置駆動時において、リセット信号を所定期間出力し、リセット信号によるリセット後は非リセット信号を出力する。
【0031】
<半導体装置の動作>
次に、半導体装置10の動作として、初期運用時、運用中における異常状態の未検出時および運用中における異常状態の検出時の各動作について具体的に説明する。
【0032】
(初期運用時)
電源電圧Vccおよび基準電圧のGNDが内部GND回路11に供給される。そして、制御信号INが内部GND回路11に入力されることで、内部GND回路11から内部GNDが生成されて、上述のような各構成部に供給される。
【0033】
リセット回路15は、内部GNDが供給されることで、Hレベルのリセット信号を所定期間出力する。また、異常検出回路13は、初期運用時において異常状態が未検出である場合、異常状態未検出を示すLレベルの検出信号d1を出力する。
【0034】
SR型フリップフロップ14aにおいて、セット端子SにLレベルの検出信号d1が入力され、リセット端子RにHレベルのリセット信号が入力されるので、(S、R)=(0、1)の入力論理となって、出力端子QからLレベル信号が出力される。
【0035】
このとき、NMOSトランジスタ14bのゲートにLレベル信号が入力するので、NMOSトランジスタ14bはオフになる。したがって、ゲート駆動信号g1の出力スイッチM1への入力は非遮断になるので、出力スイッチM1は、ゲート駆動信号g1にもとづいて駆動する。
【0036】
(異常状態の未検出時)
異常検出回路13は、異常状態が未検出であることを示すLレベルの検出信号d1を出力する。また、リセット回路15は、初期運用時におけるリセット動作後は、Lレベルの非リセット信号を出力する。
【0037】
SR型フリップフロップ14aにおいて、セット端子SにLレベルの検出信号d1が入力され、リセット端子RにLレベルの非リセット信号が入力されるので、(S、R)=(0、0)の入力論理となる。(S、R)=(0、0)のときは、入力論理が(0、0)に変化する前の状態の出力レベルが保持されるので、出力端子Qからは前の状態のLレベル信号が出力される。したがって、ゲート駆動信号g1の出力スイッチM1への入力は非遮断になるので、出力スイッチM1は、ゲート駆動信号g1にもとづいて駆動する。
【0038】
(異常状態の検出時)
異常検出回路13は、過電流状態または過熱状態等の異常状態を検出すると、Hレベルの検出信号d1を出力する。また、リセット回路15は、初期運用時におけるリセット動作後は、Lレベルの非リセット信号を出力している。
【0039】
SR型フリップフロップ14aにおいて、セット端子SにHレベルの検出信号d1が入力され、リセット端子RにLレベルの非リセット信号が入力されるので、(S、R)=(1、0)の入力論理となって、出力端子QからHレベル信号が出力される。
【0040】
このとき、NMOSトランジスタ14bのゲートにHレベル信号が入力するので、NMOSトランジスタ14bはオンする。したがって、ゲート駆動信号g1の出力スイッチM1への入力が遮断されるので、出力スイッチM1は、強制ターンオフされる。
【0041】
<内部GND回路の構成例>
図4は内部GND回路の構成の一例を示す図である。内部GND回路11は、ツェナーダイオードD1、PチャネルMOSFETであるPMOSトランジスタ11a、11b、NMOSトランジスタ11c、11dを含む。なお、ツェナーダイオードD1の降伏電圧Vzは例えば、5Vである。また、NMOSトランジスタ11cは、デプレッション型のNMOSトランジスタである。
【0042】
ツェナーダイオードD1のカソードは、電源端子Vinに接続され電源電圧Vccが印加される。ツェナーダイオードD1のアノードは、PMOSトランジスタ11aのソースに接続される。PMOSトランジスタ11bのソースからは、内部GNDが出力される。
【0043】
PMOSトランジスタ11aのゲートは、PMOSトランジスタ11bのゲート、PMOSトランジスタ11aのドレインおよびNMOSトランジスタ11cのドレインに接続される。NMOSトランジスタ11cのゲートは、NMOSトランジスタ11cのソースおよびNMOSトランジスタ11dのドレインに接続される。
【0044】
NMOSトランジスタ11dのゲートは、入力端子IN0に接続されて制御信号INが入力される。NMOSトランジスタ11dのソースは、PMOSトランジスタ11bのドレインおよび基準電圧端子Vrに接続される。
【0045】
<リセット回路の構成例#1a>
リセット回路15の構成として、図1に示したリセット装置1の機能を有する2つの構成例について図5図6を用いて説明する。
【0046】
図5はリセット回路の構成の一例を示す図である。リセット回路15aは、キャパシタC11、NMOSトランジスタm11、インバータ素子IC1、IC2を含む。NMOSトランジスタm11は、デプレッション型のNMOSトランジスタである。
【0047】
電源電圧Vcc(第1の電圧)は、キャパシタC11の一端、インバータ素子IC1、IC2の電源端子に対して印加される。キャパシタC11の他端は、NMOSトランジスタm11のドレインおよびインバータ素子IC1の入力端子に接続される。
【0048】
NMOSトランジスタm11のゲートは、インバータ素子IC1の出力端子およびインバータ素子IC2の入力端子に接続されて、インバータ素子IC1の出力信号のフィードバックを受ける。内部GND(第2の電圧)は、NMOSトランジスタm11のソースおよびインバータ素子IC1、IC2の接地端子に印加される。なお、インバータ素子IC1の入力端子にリセット入力信号Aが入力され、インバータ素子IC2の出力端子からリセット信号Bまたは非リセット信号Cが出力される。
【0049】
図6はリセット回路の構成の一例を示す図である。リセット回路15bは、キャパシタC12、抵抗R12、NMOSトランジスタm13およびインバータ素子IC1、IC2を含む。NMOSトランジスタm13は、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。
【0050】
電源電圧Vcc(第1の電圧)は、キャパシタC12の一端およびインバータ素子IC1、IC2の電源端子に対して印加される。キャパシタC12の他端は、抵抗R12の高電位側端子、NMOSトランジスタm13のドレインおよびインバータ素子IC1の入力端子に接続される。
【0051】
NMOSトランジスタm13のゲートは、インバータ素子IC1の出力端子およびインバータ素子IC2の入力端子に接続されて、インバータ素子IC1の出力信号のフィードバックを受ける。内部GND(第2の電圧)は、抵抗R12の低電位側端子、NMOSトランジスタm13のソースおよびインバータ素子IC1、IC2の接地端子に印加される。なお、インバータ素子IC1の入力端子にリセット入力信号Aが入力され、インバータ素子IC2の出力端子からリセット信号Bまたは非リセット信号Cが出力される。
【0052】
ここで抵抗R12は、高電位側をドレイン、低電位側をゲートおよびソースに接続されたNMOSトランジスタであってよい。
<リセット回路の動作>
図7はリセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。図5図6に示したリセット回路15a、15bの動作を示すタイミングチャートである。
【0053】
〔区間T0a〕制御信号INが未入力(Lレベル)のため、内部GND回路11では内部GNDが生成されておらず、内部GND回路11はHレベル出力となる。このため、インバータ素子IC1、IC2には内部GNDが供給されておらず非駆動状態である。
【0054】
また、リセット回路15aにおいて、電源電圧VccがキャパシタC11に印加されている。NMOSトランジスタm11は、デプレッション型のMOSトランジスタであるため、区間T0aにおいて微小なドレイン電流が流れるので、キャパシタC11には電荷が充電される。
【0055】
さらに、リセット回路15bにおいて、電源電圧VccがキャパシタC12に印加され、キャパシタC12には電荷が充電される。抵抗R12がNMOSトランジスタの場合、ゲートがソースショートしたデプレッション型MOSFETなので、ゲート・ソース間の電圧がゼロでドレイン電流が流れるので、やはりキャパシタC12には電荷が充電される。
【0056】
〔区間T1a(第1の区間)〕制御信号INが入力して、内部GND回路11で内部GNDが生成されて、内部GND回路11はLレベル出力となる。このため、インバータ素子IC1、IC2に内部GNDが供給されて駆動状態になる。
【0057】
また、リセット回路15aにおいて、NMOSトランジスタm11のゲート・ソース間の電位差が大きくなってドレイン電流がより流れることになるので、キャパシタC11に充電されていた電荷が放電して、リセット入力信号Aのレベルが下降していく。
【0058】
リセット回路15bにおいて、キャパシタC12に充電されていた電荷が放電して、リセット入力信号Aのレベルが下降していく。抵抗R12がNMOSトランジスタの場合、そのゲート・ソース間の電位差が大きくなってドレイン電流がより流れることになるので、やはりキャパシタC12に充電されていた電荷が放電して、リセット入力信号Aのレベルが下降していく。
【0059】
なお、区間T1aにおけるリセット入力信号Aのレベルは、閾値レベルTh以上であるため、インバータ素子IC1の出力はLレベルであり、インバータ素子IC2の出力(リセット出力)はHレベルである。すなわち、区間T1aにおいて、リセット信号Bが出力される(Hレベルでリセット)。
【0060】
〔区間T2a(第2の区間)〕リセット入力信号Aのレベルがさらに下降して閾値レベルTh未満となる(なお、時定数が短くなるため下降の傾きは急峻になる)。このとき、インバータ素子IC1の出力はHレベルであり、インバータ素子IC2の出力(リセット出力)はLレベルである。すなわち、区間T2aにおいて、非リセット信号Cが出力される(Lレベルで非リセット)。
【0061】
また、リセット回路15aにおいて、インバータ素子IC1の出力はHレベルであるからNMOSトランジスタm11がオンして、キャパシタC11から電荷が引き抜かれた状態になる。したがって、インバータ素子IC1の入力であるリセット入力信号Aはプルダウンされた状態になる。
【0062】
さらに、リセット回路15bにおいて、インバータ素子IC1の出力はHレベルでありNMOSトランジスタm13がオンして、キャパシタC12から電荷が引き抜かれた状態になる。したがって、インバータ素子IC1の入力であるリセット入力信号Aはプルダウンされた状態になる。
【0063】
<リセット回路の対策前・対策後の動作>
図8は電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
【0064】
〔波形W1a〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してオーバシュートが生じたとする。
〔波形W2a〕電源電圧Vccのオーバシュートに対してリセット入力信号が追従し、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThを超えてしまう。
【0065】
〔波形W3a〕通常動作区間では、本来、リセット入力信号はLレベルに固定されるはずが、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThを超えてしまうことにより、非リセット信号にHレベルパルスが出現して、通常動作区間においてリセット誤動作が生じる。
【0066】
図9は電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
〔波形W1b〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してオーバシュートが生じたとする。
【0067】
〔波形W2b〕リセット回路15aまたはリセット回路15bの構成により、通常動作区間ではリセット入力信号Aはプルダウンされた状態になる。このため、電源電圧Vccのオーバシュートが生じた場合でも、オーバシュートに追従するリセット入力信号Aの変動レベルは閾値レベルTh未満に抑えられている。
【0068】
〔波形W3b〕電源電圧Vccのオーバシュートが生じた場合でも、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルThを超えることはないので、非リセット信号CはLレベル固定が維持され、リセット誤動作が防止されている。
【0069】
<リセット回路の構成例#2a>
リセット回路15の構成として、図2に示したリセット装置2の機能を有する構成例について図10を用いて説明する。
【0070】
図10はリセット回路の構成の一例を示す図である。リセット回路15cは、キャパシタC13、抵抗R14、PMOSトランジスタm15、インバータ素子IC3を含む。PMOSトランジスタm15は、エンハンスメント型のPMOSトランジスタである。
【0071】
電源電圧Vcc(第1の電圧)は、抵抗R14の高電位側端子、PMOSトランジスタm15のソースおよびインバータ素子IC3の電源端子に対して印加される。キャパシタC13の一端は、抵抗R14の低電位側端子、PMOSトランジスタm15のドレインおよびインバータ素子IC3の入力端子に接続される。
【0072】
PMOSトランジスタm15のゲートは、インバータ素子IC3の出力端子に接続されて、インバータ素子IC3の出力信号のフィードバックを受ける。内部GND(第2の電圧)は、キャパシタC13の他端およびインバータ素子IC3の接地端子に印加される。なお、インバータ素子IC3の入力端子にリセット入力信号Aが入力され、インバータ素子IC3の出力端子からリセット信号Bまたは非リセット信号Cが出力される。
【0073】
ここで抵抗R14は、高電位側をドレイン、低電位側をゲートおよびソースに接続されたNMOSトランジスタであってよい。
図11はリセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。図10に示したリセット回路15cの動作を示すタイミングチャートである。
【0074】
〔区間T0b〕制御信号INが未入力(Lレベル)のため、内部GND回路11では内部GNDが生成されておらず、内部GND回路11はHレベル出力となる。このため、インバータ素子IC3には内部GNDが供給されておらず非駆動状態である。
【0075】
キャパシタC13には電荷が充電される。抵抗R14がNMOSトランジスタの場合、ゲートがソースショートしたデプレッション型MOSFETなので、ゲート・ソース間の電圧がゼロで所定のドレイン電流が流れることにより、やはりキャパシタC13には電荷が充電される。PMOSトランジスタm15は、ゲートが閾値電圧に達しないためオフ状態になる。
【0076】
〔区間T1b(第1の区間)〕制御信号INが入力して、内部GND回路11で内部GNDが生成されて、内部GND回路11はLレベル出力となる。このため、インバータ素子IC3に内部GNDが供給されて駆動状態になる。また、キャパシタC13にも内部GNDが供給されるので、キャパシタC13に充電されていた電荷が放電する。
【0077】
このとき、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満に一旦下降するが、抵抗R14に流れる電流によってキャパシタC13には再び電荷が充電されていき、リセット信号Aのレベルは上昇していく。抵抗R14がNMOSトランジスタの場合、そのゲートおよびソースから流れる電流によって、やはりキャパシタC13には再び電荷が充電されていき、リセット入力信号Aのレベルは上昇していく。
【0078】
区間T1bではリセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満にあるので、インバータ素子IC3からHレベルのリセット信号Bが出力される(Hレベルでリセット)。なお、PMOSトランジスタm15は、オフ状態である。
【0079】
〔区間T2b(第2の区間)〕リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh以上になると、インバータ素子IC3からLレベルの非リセット信号Cが出力される。このとき、PMOSトランジスタm15のゲートが閾値電圧に達して、ゲート電位はソース電位よりも低くなるのでオンする。PMOSトランジスタm15がオンすることで、キャパシタC13に電荷が蓄積される状態が維持されることになり、リセット入力信号Aがプルアップされた状態になる。
【0080】
図12は電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
〔波形W1c〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してアンダーシュートが生じたとする。
【0081】
〔波形W2c〕電源電圧Vccのアンダーシュートに対してリセット入力信号が追従し、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThより下がってしまう。
〔波形W3c〕通常動作区間では、本来、リセット入力信号はLレベルに固定されるはずが、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThより下がってしまうことにより、非リセット信号にHレベルパルスが出現して、通常動作区間においてリセット誤動作が生じる。
【0082】
図13は電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
〔波形W1d〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してアンダーシュートが生じたとする。
【0083】
〔波形W2d〕リセット回路15cの構成により、通常動作区間ではリセット入力信号Aはプルアップされた状態になる。このため、電源電圧Vccのアンダーシュートが生じた場合でも、アンダーシュートに追従するリセット入力信号Aの変動レベルは閾値レベルTh以上に保持されている。
【0084】
〔波形W3d〕電源電圧Vccのアンダーシュートが生じた場合でも、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満になることはないので、非リセット信号CはLレベル固定が維持され、リセット誤動作が防止されている。
【0085】
<半導体装置(ローサイドIPS)の構成>
図14は本発明の半導体装置の構成の一例を示す図である。半導体装置20は、例えば、ローサイドIPSに適用される装置である。半導体装置20は、入出力端子および電源端子として、入力端子IN0、出力端子OUT、電源端子Vin、基準電圧端子Vrを備える。
【0086】
入力端子IN0は、制御信号源5に接続されて、制御信号源5から出力される制御信号INが入力される。出力端子OUTは、負荷3の一端に接続される。電源端子Vinは、電源4の正極端子および負荷3の他端に接続されて電源電圧Vccが印加される。基準電圧端子Vrは、電源4の負極端子に接続されて接地される(GNDに接続される)。
【0087】
また、半導体装置20は、出力スイッチM2、内部電源回路21、ゲート駆動回路22、異常検出回路23、遮断回路24、リセット回路25および抵抗R2を備える。出力スイッチM2は、ローサイド出力スイッチであって例えば、パワーMOSFETである。遮断回路24は、ラッチ回路として機能するSR型フリップフロップ24aと、遮断用スイッチとして機能するNMOSトランジスタ24bとを含む。
【0088】
基準電圧端子Vrは、出力スイッチM2のソースに接続され、さらに、内部電源回路21、ゲート駆動回路22、異常検出回路23、SR型フリップフロップ24aおよびリセット回路25の接地端子にそれぞれ接続される。出力スイッチM2のゲートは、抵抗R2の一端およびNMOSトランジスタ24bのドレインに接続される。
【0089】
抵抗R2の他端は、ゲート駆動回路22の出力端子に接続され、NMOSトランジスタ24bのゲートは、SR型フリップフロップ24aの出力端子Qに接続される。出力スイッチM2のドレインは、出力端子OUTに接続される。
【0090】
ここで、基準電圧端子Vrから供給される基準電圧(GND)は、内部電源回路21、ゲート駆動回路22、異常検出回路23、リセット回路25およびSR型フリップフロップ24aのそれぞれに供給される。また、基準電圧(GND)は、出力スイッチM2のソースに供給される。
【0091】
一方、電源端子Vinからの電源電圧Vccは、内部電源回路21に供給される。内部電源回路21は、入力端子IN0に制御信号INが入力された場合、内部電源電圧(例えば、5V)を生成して出力する。内部電源回路21で生成された内部電源電圧(以下、内部電源Va)は、ゲート駆動回路22、異常検出回路23、リセット回路25およびSR型フリップフロップ24aのそれぞれの電源端子を介して供給される。
【0092】
ゲート駆動回路22は、出力スイッチM2を駆動するためのゲート駆動信号g2を生成し、抵抗R2を介して出力スイッチM2のゲートに出力する。異常検出回路23は、出力スイッチM2に流れる電流やチップ温度等を監視し、監視結果にもとづいて、出力スイッチM2が破壊されないように、出力スイッチM2の過電流状態や過熱状態等の異常状態の検出を行う。
【0093】
遮断回路24は、異常状態が検出された場合、出力スイッチM2をターンオフさせる遮断制御を行う。リセット回路25は、内部電源回路21で生成された内部電源Vaが供給されると、リセット信号を所定期間出力し、リセット信号によるリセット後は非リセット信号を出力する。
【0094】
<半導体装置の動作>
次に、半導体装置20の動作として、初期運用時、運用中における異常状態の未検出時および運用中における異常状態の検出時の各動作について具体的に説明する。
【0095】
(初期運用時)
電源電圧Vccおよび基準電圧のGNDが内部電源回路21に供給される。そして、制御信号INが内部電源回路21に入力されることで、内部電源回路21から内部電源Vaが生成されて、上述のような各構成部に供給される。
【0096】
リセット回路25は、内部電源Vaが供給されることで、Hレベルのリセット信号を所定期間出力する。また、異常検出回路23は、初期運用時において異常状態が未検出である場合、異常状態未検出を示すLレベルの検出信号d2を出力する。
【0097】
SR型フリップフロップ24aにおいて、セット端子SにLレベルの検出信号d2が入力され、リセット端子RにHレベルのリセット信号が入力されるので、(S、R)=(0、1)の入力論理となって、出力端子QからLレベル信号が出力される。
【0098】
このとき、NMOSトランジスタ24bのゲートにLレベル信号が入力するので、NMOSトランジスタ24bはオフになる。したがって、ゲート駆動信号g2の出力スイッチM2への入力は非遮断になるので、出力スイッチM2は、ゲート駆動信号g2にもとづいて駆動する。
【0099】
(異常状態の未検出時)
異常検出回路23は、異常状態が未検出であることを示すLレベルの検出信号d2を出力する。また、リセット回路25は、初期運用時におけるリセット動作後は、Lレベルの非リセット信号を出力する。
【0100】
SR型フリップフロップ24aにおいて、セット端子SにLレベルの検出信号d2が入力され、リセット端子RにLレベルの非リセット信号が入力されるので、(S、R)=(0、0)の入力論理となる。(S、R)=(0、0)のときは、入力論理が(0、0)に変化する前の状態の出力レベルが保持されるので、出力端子Qからは前の状態のLレベル信号が出力される。したがって、ゲート駆動信号g2の出力スイッチM2への入力は非遮断になるので、出力スイッチM2は、ゲート駆動信号g2にもとづいて駆動する。
【0101】
(異常状態の検出時)
異常検出回路23は、過電流状態または過熱状態等の異常状態を検出すると、Hレベルの検出信号d2を出力する。また、リセット回路25は、初期運用時におけるリセット動作後は、Lレベルの非リセット信号を出力している。
【0102】
SR型フリップフロップ24aにおいて、セット端子SにHレベルの検出信号d2が入力され、リセット端子RにLレベルの非リセット信号が入力されるので、(S、R)=(1、0)の入力論理となって、出力端子QからHレベル信号が出力される。
【0103】
このとき、NMOSトランジスタ24bのゲートにHレベル信号が入力するので、NMOSトランジスタ24bはオンする。したがって、ゲート駆動信号g2の出力スイッチM2への入力が遮断されるので、出力スイッチM2は、強制ターンオフされる。
【0104】
<内部電源回路の構成例>
図15は内部電源回路の構成の一例を示す図である。内部電源回路21は、ツェナーダイオードD2、インバータ素子IC0、PMOSトランジスタ21aおよびNMOSトランジスタ21b、21c、21dを含む。なお、ツェナーダイオードD2の降伏電圧Vzは例えば、5Vである。また、NMOSトランジスタ21bは、デプレッション型のNMOSトランジスタである。
【0105】
インバータ素子IC0の入力端子は、入力端子IN0に接続されて制御信号INが入力される。電源端子Vinは、インバータ素子IC0の電源端子およびPMOSトランジスタ21aのソースに接続されて電源電圧Vccが印加される。
【0106】
インバータ素子IC0の出力端子は、PMOSトランジスタ21aのゲートに接続され、PMOSトランジスタ21aのドレインは、NMOSトランジスタ21bのドレインに接続される。
【0107】
NMOSトランジスタ21bのゲートは、NMOSトランジスタ21bのソース、NMOSトランジスタ21cのドレイン、NMOSトランジスタ21cのゲートおよびNMOSトランジスタ21dのゲートに接続される。
【0108】
NMOSトランジスタ21cのソースは、ツェナーダイオードD2のカソードに接続され、NMOSトランジスタ21dのソースから内部電源Vaが出力される。基準電圧端子Vrは、ツェナーダイオードD2のアノードおよびインバータ素子IC0の接地端子に接続される。
【0109】
<リセット回路の構成例#1b>
リセット回路25の構成として、図1に示したリセット装置1の機能を有する2つの構成例について図16図17を用いて説明する。
【0110】
図16はリセット回路の構成の一例を示す図である。リセット回路25aは、キャパシタC21、NMOSトランジスタm21、インバータ素子IC11、IC12を含む。NMOSトランジスタm21は、デプレッション型のNMOSトランジスタである。
【0111】
内部電源Va(第1の電圧)は、キャパシタC21の一端、インバータ素子IC11、IC12の電源端子に対して印加される。キャパシタC21の他端は、NMOSトランジスタm21のドレインおよびインバータ素子IC11の入力端子に接続される。
【0112】
NMOSトランジスタm21のゲートは、インバータ素子IC11の出力端子およびインバータ素子IC12の入力端子に接続され、インバータ素子IC11の出力信号のフィードバックを受ける。基準電圧であるGND(第2の電圧)は、NMOSトランジスタm21のソースおよびインバータ素子IC11、IC12の接地端子に印加される。なお、インバータ素子IC11の入力端子にリセット入力信号Aが入力され、インバータ素子IC12の出力端子からリセット信号Bまたは非リセット信号Cが出力される。
【0113】
図17はリセット回路の構成の一例を示す図である。リセット回路25bは、キャパシタC22、抵抗R22、NMOSトランジスタm23およびインバータ素子IC11、IC12を含む。NMOSトランジスタm23は、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。
【0114】
内部電源Va(第1の電圧)は、キャパシタC22の一端およびインバータ素子IC11、IC12の電源端子に対して印加される。キャパシタC22の他端は、抵抗R22の高電位側端子、NMOSトランジスタm23のドレインおよびインバータ素子IC11の入力端子に接続される。
【0115】
NMOSトランジスタm23のゲートは、インバータ素子IC11の出力端子およびインバータ素子IC12の入力端子に接続され、インバータ素子IC11の出力信号のフィードバックを受ける。基準電圧であるGND(第2の電圧)は、抵抗R22の低電位側、NMOSトランジスタm23のソースおよびインバータ素子IC11、IC12の接地端子に印加される。なお、インバータ素子IC11の入力端子にリセット入力信号Aが入力され、インバータ素子IC12の出力端子からリセット信号Bまたは非リセット信号Cが出力される。
【0116】
ここで抵抗R22は、高電位側をドレイン、低電位側をゲートおよびソースに接続されたNMOSトランジスタであってよい。
<リセット回路の動作>
図18はリセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。図16図17に示したリセット回路25a、25bの動作を示すタイミングチャートである。
【0117】
〔区間T10a〕制御信号INが未入力(Lレベル)のため、内部電源回路21では内部電源Vaが生成されておらず、内部電源回路21はLレベル出力となる。このため、インバータ素子IC11、IC12には内部電源Vaが供給されておらず非駆動状態である。また、リセット回路25aのキャパシタC21およびリセット回路25bのキャパシタC22には電荷が蓄積されていない状態である。
【0118】
〔区間T11a(第1の区間)〕制御信号INが入力して、内部電源回路21で内部電源Vaが生成されて、内部電源回路21はHレベル出力となる。このため、インバータ素子IC11、IC12に内部電源Vaが供給されて駆動状態になる。
【0119】
リセット回路25aにおいて、内部電源VaがキャパシタC21に印加される。NMOSトランジスタm21は、デプレッション型のMOSトランジスタであるため、内部電源Vaの立ち上げ時には微小なドレイン電流が流れるので、キャパシタC21には電荷が充電される。その後、NMOSトランジスタm21のゲート・ソース間の電位差が大きくなってドレイン電流がより流れることになるので、キャパシタC21に充電されていた電荷が放電して、リセット入力信号Aのレベルが下降していく。
【0120】
リセット回路25bにおいて、内部電源VaがキャパシタC22に印加されキャパシタC22には電荷が充電され、その後キャパシタC22に充電されていた電荷が放電して、リセット入力信号Aのレベルが低下していく。抵抗R22がNMOSトランジスタの場合、デプレッション型のMOSトランジスタであるため、内部電源Vaの立ち上げ時には微小なドレイン電流が流れるので、やはりキャパシタC22には電荷が充電される。その後、NMOSトランジスタである抵抗のゲート・ソース間の電位差が大きくなってドレイン電流がより流れることになるので、キャパシタC22に充電されていた電荷が放電して、リセット入力信号Aのレベルが下降していく。
【0121】
なお、区間T11aにおけるリセット入力信号Aのレベルは、閾値レベルTh以上であるため、インバータ素子IC11の出力はLレベルであり、インバータ素子IC12の出力(リセット出力)はHレベルである。すなわち、区間T11aにおいて、リセット信号Bが出力される(Hレベルでリセット)。
【0122】
〔区間T12a(第2の区間)〕リセット入力信号Aのレベルがさらに下降して閾値レベルTh未満となる。このとき、インバータ素子IC11の出力はHレベルであり、インバータ素子IC12の出力(リセット出力)はLレベルである。すなわち、区間T12aにおいて、非リセット信号Cが出力される(Lレベルで非リセット)。
【0123】
また、リセット回路25aにおいて、インバータ素子IC11の出力はHレベルであるからNMOSトランジスタm21がオンして、キャパシタC21から電荷が引き抜かれた状態になる。したがって、インバータ素子IC11の入力であるリセット入力信号Aはプルダウンされた状態になる。
【0124】
さらに、リセット回路25bにおいて、インバータ素子IC11の出力はHレベルでありNMOSトランジスタm23がオンして、キャパシタC22から電荷が引き抜かれた状態になる。したがって、インバータ素子IC11の入力であるリセット入力信号Aはプルダウンされた状態になる。
【0125】
<リセット回路の対策前・対策後の動作>
図19は電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
【0126】
〔波形W1c〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してオーバシュートが生じたとする。
〔波形W2c〕内部電源Vaが変動してオーバシュートが生じる。
【0127】
〔波形W3c〕内部電源Vaのオーバシュートに対してリセット入力信号が追従し、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThを超えてしまう。
〔波形W4c〕通常動作区間では、本来、リセット入力信号はLレベルに固定されるはずが、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThを超えてしまうことにより、非リセット信号にHレベルパルスが出現して、通常動作区間においてリセット誤動作が生じる。
【0128】
図20は電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
〔波形W1d〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してオーバシュートが生じたとする。
【0129】
〔波形W2d〕内部電源Vaが変動してオーバシュートが生じる。
〔波形W3d〕リセット回路25aまたはリセット回路25bの構成により、通常動作区間ではリセット入力信号Aはプルダウンされた状態になる。このため、電源電圧Vccおよび内部電源Vaのオーバシュートが生じた場合でも、オーバシュートに追従するリセット入力信号Aの変動レベルは閾値レベルTh未満に抑えられている。
【0130】
〔波形W4d〕電源電圧Vccおよび内部電源Vaのオーバシュートが生じた場合でも、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルThを超えることはないので、非リセット信号CはLレベル固定が維持され、リセット誤動作が防止されている。
【0131】
<リセット回路の構成例#2b>
リセット回路25の構成として、図2に示したリセット装置2の機能を有する構成例について図21を用いて説明する。
【0132】
図21はリセット回路の構成の一例を示す図である。リセット回路25cは、キャパシタC23、抵抗R24、PMOSトランジスタm25、インバータ素子IC13を含む。PMOSトランジスタm25は、エンハンスメント型のPMOSトランジスタである。
【0133】
内部電源Va(第1の電圧)は、抵抗R24の高電位側端子、PMOSトランジスタm25のソースおよびインバータ素子IC13の電源端子に対して印加される。キャパシタC23の一端は、抵抗R24の低電位側端子、PMOSトランジスタm25のドレインおよびインバータ素子IC13の入力端子に接続される。
【0134】
PMOSトランジスタm25のゲートは、インバータ素子IC13の出力端子に接続され、インバータ素子IC13の出力信号のフィードバックを受ける。基準電圧であるGND(第2の電圧)は、キャパシタC23の他端およびインバータ素子IC13の接地端子に印加される。なお、インバータ素子IC13の入力端子にリセット入力信号Aが入力され、インバータ素子IC13の出力端子からリセット信号Bまたは非リセット信号Cが出力される。
【0135】
ここで抵抗R24は、高電位側をドレイン、低電位側をゲートおよびソースに接続されたNMOSトランジスタであってよい。
図22はリセット回路の動作のタイミングチャートを示す図である。図21に示したリセット回路25cの動作を示すタイミングチャートである。
【0136】
〔区間T10b〕制御信号INが未入力(Lレベル)のため、内部電源回路21では内部電源Vaが生成されておらず、内部電源回路21はLレベル出力となる。このため、インバータ素子IC13には内部電源Vaが供給されておらず非駆動状態である。また、リセット回路25cのキャパシタC23には電荷が蓄積されていない状態である。
【0137】
〔区間T11b(第1の区間)〕制御信号INが入力して、内部電源回路21で内部電源Vaが生成されて、内部電源回路21はHレベル出力となる。このため、インバータ素子IC13に内部電源Vaが供給されて駆動状態になる。また、キャパシタC23に電荷が充電される。抵抗R24がNMOSトランジスタである場合、内部電源VaがNMOSトランジスタのドレインに印加されてドレイン電流が流れるので、やはりキャパシタC23に電荷が充電される。このため、リセット入力信号Aのレベルが上昇していく。なお、区間T11bではリセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満にあるので、インバータ素子IC13からHレベルのリセット信号Bが出力される(Hレベルでリセット)。なお、PMOSトランジスタm15は、オフ状態である。
【0138】
〔区間T12b(第2の区間)〕リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh以上になると、インバータ素子IC13からLレベルの非リセット信号Cが出力される。このとき、PMOSトランジスタm25のゲートが閾値電圧に達して、ゲート電位はソース電位よりも低くなるのでオンする。PMOSトランジスタm25がオンすることでキャパシタC23に電荷が蓄積される状態が維持されることになり、リセット入力信号Aがプルアップされた状態になる。
【0139】
図23は電源電圧の変動が生じた場合にリセット回路が誤動作する対策前のタイミングチャートを示す図である。
〔波形W1e〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してアンダーシュートが生じたとする。
【0140】
〔波形W2e〕内部電源Vaが変動してアンダーシュートが生じる。
〔波形W3e〕電源電圧Vccおよび内部電源Vaのアンダーシュートに対してリセット入力信号が追従し、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThより下がってしまう。
【0141】
〔波形W4e〕通常動作区間では、本来、リセット入力信号はLレベルに固定されるはずが、リセット入力信号のレベルが閾値レベルThより下がってしまうことにより、非リセット信号にHレベルパルスが出現して、通常動作区間においてリセット誤動作が生じる。
【0142】
図24は電源電圧の変動が生じた場合でもリセット回路の誤動作を防止した対策後のタイミングチャートを示す図である。
〔波形W1f〕通常動作区間において、電源電圧Vccが変動してアンダーシュートが生じたとする。
【0143】
〔波形W2f〕内部電源Vaが変動してアンダーシュートが生じる。
〔波形W3f〕リセット回路25cの構成により、通常動作区間ではリセット入力信号Aはプルアップされた状態になる。このため、電源電圧Vccおよび内部電源Vaのアンダーシュートが生じた場合でも、アンダーシュートに追従するリセット入力信号Aの変動レベルは閾値レベルTh以上に保持されている。
【0144】
〔波形W4f〕電源電圧Vccおよび内部電源Vaのアンダーシュートが生じた場合でも、リセット入力信号Aのレベルが閾値レベルTh未満になることはないので、非リセット信号CはLレベル固定が維持され、リセット誤動作が防止されている。
【0145】
以上説明したように、本発明によれば、リセット回路によるリセット後、リセット回路に入力されるリセット入力信号をプルダウンまたはプルアップすることにより、非リセット信号のレベルを固定する構成とした。
【0146】
これにより、動作電圧が変動した場合でも非リセット信号のレベルが変動することがなく、リセット誤動作を精度よく防止することができる。また、通常動作区間において安定した動作が可能になるため、製品の特性を確保して信頼性を高めることが可能になる。
【0147】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0148】
1 リセット装置
1a リセット入力信号発生回路
1b リセット素子
1c 制御回路
A リセット入力信号
B リセット信号
C 非リセット信号
T1a 第1の区間
T2a 第2の区間
Th 閾値レベル
図1
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