(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064398
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】モータの製造方法及びモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 15/12 20060101AFI20240507BHJP
H02K 1/32 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H02K15/12 E
H02K1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172959
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 瞬也
(72)【発明者】
【氏名】有賀 信雄
【テーマコード(参考)】
5H601
5H615
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB16
5H601CC01
5H601DD01
5H601DD11
5H601DD30
5H601EE13
5H601GA02
5H601GA22
5H601GA32
5H601GB05
5H601GB13
5H601GB34
5H601GB48
5H601GB49
5H601GC12
5H601GE02
5H601GE12
5H601KK14
5H601KK25
5H601KK30
5H615AA01
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP08
5H615RR01
5H615RR07
5H615SS09
5H615SS44
5H615TT03
5H615TT22
5H615TT26
5H615TT34
5H615TT35
5H615TT36
5H615TT39
(57)【要約】
【課題】冷却効率のよい流路を形成することができるモータの製造方法及びモータを提供する。
【解決手段】ステータの内部に冷却流体を通す流路を有するモータの製造方法であって、長尺の芯材を離型材で覆った上でその外周を取り巻くように壁材料を配置する壁材料配置工程13と、壁材料が配置された芯材を、ステータスロットにモータ軸方向に沿って配置する芯材配置工程14と、ステータに流動性を有する絶縁材料を流し込み、硬化させる絶縁材料硬化工程15と、絶縁材料の硬化後、芯材をステータスロットから引き抜き、絶縁材料に固着した壁材料を芯材から分離させてステータスロットに残存させることで、流路を区画して流路壁部を形成する流路壁部形成工程16と、を有する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータの内部に冷却流体を通す流路を有するモータの製造方法であって、
長尺の芯材を離型材で覆った上でその外周を取り巻くように壁材料を配置する壁材料配置工程と、
前記壁材料が配置された前記芯材を、ステータスロットにモータ軸方向に沿って配置する芯材配置工程と、
ステータに流動性を有する絶縁材料を流し込み、硬化させる絶縁材料硬化工程と、
前記絶縁材料の硬化後、前記芯材を前記ステータスロットから引き抜き、前記絶縁材料に固着した前記壁材料を前記芯材から分離させて前記ステータスロットに残存させることで、前記流路を区画して流路壁部を形成する流路壁部形成工程と、
を有する、モータの製造方法。
【請求項2】
前記芯材として、外周面にモータ軸方向に延びる凹凸が形成されたものを用い、前記壁材料配置工程では、外周面に前記芯材の凹凸に対応した凹凸が形成されるように前記離型材を配置し、内周面に前記離型材の凹凸に対応した凹凸が形成されるように前記壁材料が配置され、前記流路壁部形成工程では、内周面にモータ軸方向に延びる凹凸部が形成された前記流路壁部を形成する、請求項1に記載のモータの製造方法。
【請求項3】
ステータスロットに、ステータが備えるコイルを絶縁するために設けられている絶縁材料に固着した筒状体が、モータ軸方向に延びるように設けられ、
前記筒状体は、内周形状がモータ軸方向において均一に形成されており、内部に冷却流体を通す流路を有する、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの内部に冷却流体を通す流路を有するモータの製造方法及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機や自動車の電動化において、モータとしては軽量で大出力(高出力密度)のものが求められる。そのため、ステータやロータの発熱密度が高くなり、モータの温度上昇が問題となる。そこで、ステータの内部に冷却流体を流すための流路を形成し、モータの温度上昇を抑制している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモータでは、上記のように、冷却流体を流すための流路を備えているものの、必ずしも冷却効率のよい流路とはなっておらず、改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、冷却効率のよい流路を形成することができるモータの製造方法及びモータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの製造方法は、ステータの内部に冷却流体を通す流路を有するモータの製造方法であって、長尺の芯材を離型材で覆った上でその外周を取り巻くように壁材料を配置する壁材料配置工程と、前記壁材料が配置された前記芯材を、ステータスロットにモータ軸方向に沿って配置する芯材配置工程と、ステータに流動性を有する絶縁材料を流し込み、硬化させる絶縁材料硬化工程と、前記絶縁材料の硬化後、前記芯材を前記ステータスロットから引き抜き、前記絶縁材料に固着した前記壁材料を前記芯材から分離させて前記ステータスロットに残存させることで、前記流路を区画して流路壁部を形成する流路壁部形成工程と、を有することを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、流路壁部の横断面積をモータ軸方向で均一に形成できるため、流路に冷却流体を流した場合に、流動抵抗になる箇所が生じにくく、スムーズ(安定的)に冷却流体を流路に流してステータの温度を効率よく下げることができる。よって、冷却効率のよい流路を形成することができる。
【0008】
また、本発明のモータの製造方法は、前記芯材として、外周面にモータ軸方向に延びる凹凸が形成されたものを用い、前記壁材料配置工程では、外周面に前記芯材の凹凸に対応した凹凸が形成されるように前記離型材を配置し、内周面に前記離型材の凹凸に対応した凹凸が形成されるように前記壁材料が配置され、前記流路壁部形成工程では、内周面にモータ軸方向に延びる凹凸部が形成された前記流路壁部を形成する構成であってもよい。
【0009】
上記のように、流路壁部の内周面にモータ軸方向に延びる凹凸部を形成することで、冷却流体との接触面積を増大して冷却能力を向上させることができる。
【0010】
また、本発明のモータは、ステータスロットに、ステータが備えるコイルを絶縁するために設けられている絶縁材料に固着した筒状体が、モータ軸方向に延びるように設けられ、前記筒状体は、内周形状がモータ軸方向において均一に形成されており、内部に冷却流体を通す流路を有することを特徴とする。
【0011】
上記構成では、筒状体の内周形状がモータ軸方向において均一に形成されているため、流路に冷却流体を流した場合に、流動抵抗になる箇所が生じにくく、スムーズ(安定的)に冷却流体を流路に流してステータの温度を効率よく下げることができる。よって、冷却効率のよい流路を形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、冷却流体がスムーズに流れる流路を形成することによって、冷却効率のよい流路を形成することができるモータの製造方法及びモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】モータを構成するステータを軸方向から見た正面図である。
【
図5】樹脂を用いてステータをモールド成形した正面図である。
【
図8】
図5~
図7で示したモールド成形した状態から芯材をステータスロットから引き抜いた状態のステータの正面図である。
【
図11】壁材料が配置された芯材を示す一部断面にした側面図である。
【
図13】本発明のモータの製造方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のモータの一実施形態を、図面に基づいて説明を行う。
【0015】
モータ1は、
図1に示すように、動力を発生するモータ部2を収納するためのハウジング3を備えている。ハウジング3の内部には、冷却流体を流すための流路を形成する後述する壁材料19(
図10参照)を備えている。尚、
図1では、壁材料19は示していない。
【0016】
ハウジング3には、冷却流体の入口INと出口OUTとを備えている。入口INには、外部に設けられた冷却流体を貯留する貯留部であるタンクからポンプにより供給される冷却流体を案内する案内用配管(図示せず)が接続され、出口OUTには、流路Rを流れて後述するコイル122を冷却した冷却流体をタンクに戻すための排出用配管(図示せず)が接続されている。この実施形態では、冷却流体として、冷却油を用いているが、冷却水やその他の冷却媒体であってもよい。
【0017】
モータ1は、後述のステータ12の径方向内側に後述のロータ11が回転自在にハウジング3内の略中心に軸支された回転軸4に一体回転するように取り付けられて、インナーロータ型に構成されている。モータ1は、例えば、航空用電動機、ロボットなどのアクチュエータの駆動源として用いられる他、ポンプやコンプレッサの駆動源、フライホイール蓄電装置として用いてもよいし、その他の目的で用いてもよい。
【0018】
ハウジング3は、金属材料で構成され、
図1に示すように、軸方向両端が開口された円筒状のハウジング本体31と、ハウジング本体31の軸方向両端の開口を閉じる一対の蓋体32,33と、を備えている。ハウジング本体31の軸方向一端部の周方向1箇所に、前記冷却流体の入口INが形成され、ハウジング本体31の軸方向他端部の周方向1箇所に、前記冷却流体の出口OUTが形成されている。冷却流体の入口INからの冷却流体は、後述する隔壁20Aと一方の蓋体32とハウジング本体31とで形成される入口側空間K1に入ってから、
図10に示す複数の流路壁部(壁材料19で形成される)の一端へ入り込む。複数の流路壁部の一端に入り込んだ冷却流体は、それぞれの他端から後述する隔壁20Aと他方の蓋体33とハウジング本体31とで形成される出口側空間K2に排出され、出口側空間K2に連通する出口OUTへ排出される。
【0019】
一対の蓋体32,33のそれぞれには、回転軸4を貫通する貫通孔32K,33Kが形成されるとともに、貫通孔32K,33Kに貫通した回転軸4を回転自在に支持する軸受けとしてのベアリング5,6が円筒状の位置決め部材7,8に内嵌されている。位置決め部材7,8と隔壁20Aとの間には、隔壁20Aの軸方向両端と蓋体32,33との間から冷却油が漏れないようにシールするためのOリング9,10が配置されている。隔壁20Aは、後述するように、ステータスロット123Sを含むステータ12に流動性を有し絶縁性を有する絶縁材料を流し込んだ時の絶縁材料で形成される。
【0020】
モータ部2は、一端部が負荷に接続される回転軸4に一体回転するように外嵌されたロータ11と、ロータ11の外面に径方向で対向するように隙間を空けて配置された隔壁20Aと、隔壁20Aとハウジング本体31との間に固定されるステータ12と、を備えている。つまり、ロータ11に対してステータ12が径方向外側に位置する。ロータ11には、複数の永久磁石(図示せず)が周方向に沿って設けられている。
【0021】
ステータ12は、
図2に示すように、ボビン121と、コイル122と、ステータコア123と、を備えている。
【0022】
ボビン121は、合成樹脂等の絶縁材料から形成され、径方向に突出する角筒状の本体121Aと、本体121Aの径方向両端に一体形成されるフランジ121B,121Bと、を備えている。本体121Aにコイル122が集中巻き形式で巻き付けられている。
【0023】
ステータコア123は、複数の電磁鋼板を積層して構成され、円環状のステータ本体123Aと、ステータ本体123Aの内周面から径方向内側に放射状に延びる複数のティース123Bと、を備え、周方向で隣り合うティース123B,123B間にステータスロット123S(この実施形態では、ティース123Bと同数の12個)が形成される。ステータ本体123Aの内周面123a(
図2の拡大図参照)がボビン121の本体121Aの外側のフランジ121Bに当接するまで、各ティース123Bにボビン121を挿入する。ボビン121を挿入すると、各ティース123Bの先端がボビン121から径方向内側に突出する。ボビン121を各ティース123Bに挿入する前に、ボビン121の本体121Aにコイル122を巻き付けておくことになる。
【0024】
ステータ(モータ)の製造方法について説明する。
【0025】
ステータの製造方法は、
図13に示すように、壁材料配置工程13と、芯材配置工程14と、絶縁材料硬化工程15と、流路壁部形成工程16と、を備えている。
【0026】
壁材料配置工程13は、
図11及び
図12に示すように、長尺で金属製(例えば、ステンレス製)の芯材17の外面の全長に亘って離型材18を配置した上でその外周を取り巻くように壁材料19を配置する工程である。尚、
図11及び
図12では、芯材17、離型材18、壁材料19を分かり易くするために厚みを誇張して記載しているが、実際には、薄い厚みに構成される。
【0027】
芯材17は、軸心方向において略四角形状に形成された角柱状に構成され、ステータ本体123Aの軸方向の長さよりも長い寸法に設定されている(
図3及び
図4参照)。尚、芯材17の外面に配置されている離型材18は、
図3及び
図4では、省略している。
【0028】
壁材料19は、高熱伝導率の樹脂(樹脂の主成分が例えばエポキシ樹脂)で、かつ、0.5mm以下の薄い厚みを有するものから構成され、芯材17の軸方向の長さよりも短くステータ本体123Aの軸方向の長さと略同じくらいの長さ(
図3及び
図4参照)に設定されている。この壁材料19の内側に冷却流体を流す流路が形成され、壁材料19が後述する流路壁部を構成する。尚、壁材料19として、TIM(Thermal Interface Material)を用いてもよい。
【0029】
芯材配置工程14は、壁材料19が配置された芯材17を、周方向に並んだティース123B,123B間に形成されるステータスロット123Sにモータ軸方向に沿って配置する工程である。具体的には、ステータスロット123Sのボビン121に巻かれたコイル122の巻線間に流路を形成するための複数の隙間Dに、壁材料19が配置された芯材17をモータ軸方向に沿って配置する。芯材17は、ステータスロット123Sのコイル122の巻線間に形成される4箇所の隙間Dにそれぞれ挿入されて保持される(
図2の拡大図参照)。芯材17の外面に配置されている離型材18は、
図2では、省略している。
【0030】
絶縁材料硬化工程15は、ステータスロット123Sを含むステータ12に流動性を有し絶縁性を有する絶縁材料を流し込み、硬化させてステータ12及びコイル122をモールド成形する工程である。
図5~
図9に、流し込んだ絶縁材料が固化して形成されたモールド部20を示し、このモールド部20は、ステータ本体123Aからモータ軸方向両端へ突出するコイル122及びボビン121の突出部121T(
図3参照)を樹脂にてモールドしている。絶縁材料としては、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等の樹脂材料を用いることができる。芯材17の外面に配置されている離型材18は、
図5~
図7では、省略している。このモールド部20が形成される時に、ステータコア123の内側を閉じる隔壁20Aが同時に形成される(
図10参照)。
【0031】
流路壁部形成工程16は、絶縁材料の硬化後、芯材17をステータスロット123Sのコイル122の巻線間から引き抜き(
図8及び
図9参照)、芯材17から絶縁材料に固着した壁材料19を分離させてステータスロット123Sのコイル122の巻線間に残存させることで、流路を壁材料19で区画して流路壁部を形成する工程である。前記のように芯材17を引き抜いた時に、離型材18の一部は、壁材料19と共にステータスロット123Sに残存することがある。この残存した離型材18は、そのままでもよいし、洗浄により除去してもよい。流路壁部を構成する壁材料19は、内部に冷却流体を流す流路を有する断面が角型の筒状体に構成されている。この筒状体は、内周形状がモータ軸方向において均一に形成されている。
【0032】
このようにモータを構成するステータを製造することによって、流路壁部の横断面積をモータ軸方向で均一に形成できるため、流路に冷却流体を流した場合に、流動抵抗になる箇所が生じにくく、スムーズ(安定的)に冷却流体を流路に流してステータ(特にコイル122)の温度を効率よく下げることができる。よって、冷却効率のよい流路を形成することができる。製造されたステータ12にロータ11を組み付けてハウジング3で覆うことによって、モータを製造することができる。
【0033】
前記芯材17として、外周面にモータ軸方向に延びる凹凸(図示せず)が形成されたものを用いてもよい。この凹凸が形成された芯材17を用いる場合には、壁材料配置工程13において、外周面に芯材17の凹凸に対応した凹凸が形成されるように離型材18を配置し、内周面に離型材18の外周面の凹凸に対応した凹凸が形成されるように壁材料19を配置する。壁材料が配置された前記芯材17を、前述したように、ステータスロット123Sのコイル122の巻線間にモータ軸方向に沿って配置してから、ステータに流動性を有する絶縁材料を流し込み、絶縁材料を硬化させた後、芯材17をステータスロット123Sのコイル122の巻線間から引き抜き、絶縁材料に固着した壁材料19を芯材17から分離させてステータスロット123Sのコイル122の巻線間に残存させることで、壁材料19で冷却流体が流れる流路を区画して流路壁部を形成する。これにより、流路壁部を構成する壁材料19の内周面にモータ軸方向に延びる凹凸部を形成することができる。したがって、冷却流体との接触面積を増大させることにより、冷却能力を向上させることができる。
【0034】
ところで、特開2021-13213号公報に記載された構成において、冷却効率を追求しようとすると、コイル表面に流路を形成することが望ましい。しかし、型をコイル表面に接触させることになるため、型の引き抜き時にコイル被膜が削れ、絶縁が保てない可能性があった。また、絶縁を保とうとすると、型とコイル表面間に隙間を設ける必要があり、冷却効率が十分に得られない問題が発生する可能性があった。前記隙間は、注型成形の流動性を考慮すると、0.5mm以上の大きさが必要である。前記隙間が、0.5mmより小さいと、成形樹脂が流れるか流れないか管理できないことから、流路形状が不均一になる可能性もある。
【0035】
上記問題点を考慮して本実施形態では、芯材17の引抜時に、コイル被膜の表面を傷つけなくなる。これにより、ステータの絶縁性が確保できる。また、コイルと流路間の距離を小さくでき(0.5mm以下)、熱抵抗が小さくなることで冷却能力が向上する。また、流路の寸法精度が出ることや、流路毎の寸法変化が小さい流路になるため、安定した流路が得られ、設計での損失余裕が小さくなり、高出力密度化も期待できる。更にまた、流路とコイルの隙間を管理できる。
【0036】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
前記実施形態では、インナーロータ型のモータを用いたが、アウターロータ型のモータ等であってもよい。また、集中巻き形式の他、分布巻き形式にも本発明は適用できる。
【0038】
また、前記実施形態では、ボビン121を備えたが、ボビンを省略してもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、芯材17を軸心方向において略四角形状に形成したが、円形状、楕円形状、多角形状等であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態の離型材としては、シリコンをベースとして離型材の他、フッ素系の離型材であってもよい。この離型材を覆うフッ素チューブが設けられてもよい。この場合、芯材17とフッ素チューブ間の摺動性が改善され、チューブの破損を抑制できる。また、離型材は、フッ素チューブから構成してもよい。フッ素チューブのように離型材に厚みがあり流動性のない固体状でコイル被膜よりも硬度が低いものであれば、必ずしも壁材料をステータスロット内に残存させる必要がない。この場合、コイル表面に流路を形成することができ冷却効率が上がる。更に、このフッ素チューブを覆う離型材が設けられてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、壁材料19に用いる樹脂としては、樹脂の主成分がエポキシ樹脂を用いたが、絶縁材料で使用するワニスと同じものを用いてもよいし、TIM(Thermal Interface Material)を用いてもよいし、金属材料を用いてもよい。また、壁材料19の絶縁性を高めるために、絶縁紙やマイカ等を用いることもできる。また、壁材料19を、ポリイミドやポリアミド樹脂等の樹脂フィルム状のスリーブとしてもよい。この場合、ピンホールがなく、しかも薄くできるため、熱伝導性、絶縁性、導体占積率の向上が可能となり、冷却能力が更に向上する。更にまた、壁材料19を、ガラスクロスやテトロンクロス等の繊維とワニスとの複合構造であってもよい。この複合構造の場合には、流路の強度だけでなく、巻線間の機械強度や絶縁性の向上が可能となる。
【0042】
また、前記実施形態では、ステータスロット123Sのコイル122の巻線間に流路を形成するための複数の隙間Dに芯材17を配置したが、ステータスロット123Sのどの位置に芯材17を配置してもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、絶縁材料として樹脂材料を用いたが、ワニスを用いてもよい。ワニスを用いる場合には、
図10に示す隔壁20Aを形成することができないため、ワニスを硬化させた後に、別体形成された円筒状の隔壁をステータ12の内側に設けることになる。
【符号の説明】
【0044】
1…モータ、2…モータ部、3…ハウジング、4…回転軸、5,6…ベアリング、7,8…位置決め部材、9,10…Oリング、11… ロータ、12…ステータ、13…壁材料配置工程、14…芯材配置工程、15…絶縁材料硬化工程、16…流路壁部形成工程、17…芯材、18…離型材、19…壁材料(流路壁部)、20…モールド部、20A…隔壁、31…ハウジング本体、32,33…蓋体、32K,33K…貫通孔、121…ボビン、121A…本体、121B…フランジ、121T…突出部、122…コイル、123…ステータコア、123A…ステータ本体、123B…ティース、123S…ステータスロット、123a…内周面、D…隙間、IN…入口、K1…入口側空間、K2…出口側空間、OUT…出口、R…流路