(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064412
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240507BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240507BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20240507BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W40/02
B60W50/10
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172983
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤之
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BB03
3D241DC33Z
3D241DC38Z
3D241DC41Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】移動体の外界の特徴点が変化しても、指定駐車位置に継続的に自動駐車することが可能な移動体制御装置を提供する。
【解決手段】カメラ12と、タッチパネル42と、外界の認識データと所定の駐車位置とに基づいて車両10を所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する自動駐車制御部55と、を備える。自動駐車制御部55は、外界の認識データに基づく指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、外界の認識データと登録特徴点とに基づいて車両10を指定駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、自動駐車制御の実行時に外界の認識データに基づいて得られた特徴点と登録特徴点との一致率と、自動駐車制御の実行時に外界の認識データに基づいて得られた外界の照度と登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて登録特徴点の更新を行う。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける受付部と、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が所定の範囲内であり、かつ前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率が所定の範囲内である場合に前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記登録特徴点が得られた際の前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と対応付けて前記登録特徴点を登録し、
前記登録特徴点のうち、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度に対して所定範囲内の照度に対応付けられた対応登録特徴点を特定し、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記対応登録特徴点との一致率が所定の範囲内である場合に前記対応登録特徴点を更新する、
移動体制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記対応登録特徴点が存在しない場合、前記登録特徴点のいずれかに基づいて前記指定駐車位置への前記自動駐車制御を行う、
移動体制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記登録特徴点のいずれに基づいても前記移動体の自己位置認識が可能でない場合、前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける、
移動体制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
第1照度と対応付けられた第1登録特徴点と、前記第1照度より低い第2照度と対応付けられた第2登録特徴点と、を登録し、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記第1照度との一致率が所定範囲内である場合、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点の輝度が前記第1登録特徴点の輝度以下である場合は前記第1登録特徴点を更新せず、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記第2照度との一致率が所定範囲内である場合、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点の輝度が前記第2登録特徴点の輝度以上である場合は前記第2登録特徴点を更新しない、
移動体制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記移動体が特定の場所に位置する場合、
前記登録特徴点が得られた際の前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と対応付けずに前記登録特徴点を登録し、
前記自動駐車制御の実行時における前記外界の照度と前記登録特徴点が得られた際の前記外界の照度との一致率に関わらず、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が第1閾値以上である場合は前記登録特徴点の更新を行わず、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第1閾値未満である場合は前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第1閾値未満である場合であっても、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第1閾値より低い第2閾値未満である場合は前記登録特徴点の更新を行わない、
移動体制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第2閾値より低い第3閾値未満である場合は前記登録特徴点を新規に登録する制御を行う、
移動体制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第3閾値未満である場合は、前記登録特徴点を新規に登録するか否かの選択を前記移動体のユーザから受け付ける、
移動体制御装置。
【請求項12】
請求項9に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第2閾値以上である場合は前記登録特徴点に基づく前記自動駐車制御を実行し、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第2閾値未満である場合は前記登録特徴点に基づく前記自動駐車制御を実行しない、
移動体制御装置。
【請求項13】
移動体制御装置のプロセッサが、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御方法。
【請求項14】
移動体制御装置のプロセッサに、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
処理を実行させるための移動体制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて自動運転技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
従来、指定された所定の駐車スペースに車両を自動的に移動させて駐車させる自動駐車制御が知られている。特許文献1には、ユーザが自身で運転して所定の駐車スペースに車両を駐車させる手動運転駐車を行い、その手動運転駐車の間に車両周辺の特徴点情報を取得してメモリに記憶しておき、その特徴点情報に基づいて自動駐車制御を行う駐車支援装置が記載されている。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同じ駐車スペースに車両を駐車させる場合でも、例えば季節の変化、月日の経過、天候の変化、あるいは時間帯によって、取得される車両周辺の特徴点情報に相違点が生じる場合がある。したがって、メモリ記憶時の特徴点情報と次の自動駐車実行時の特徴点情報とにアンマッチが生じる場合には、それらの特徴点情報に基づいて目標の駐車スペースを認識することができず、自動駐車制御できないことが生じ得る。しかしながら、特許文献1には、季節の変化、月日の経過、天候の変化、あるいは時間帯に伴って特徴点情報に変化が生じた場合の車両の制御については記載されていない。したがって、この点について従来技術には改良の余地がある。
【0006】
本発明は、移動体の外界の特徴点が変化しても、指定駐車位置に継続的に自動駐車することが可能な移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける受付部と、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置である。
【0008】
本発明は、
移動体制御装置のプロセッサが、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御方法である。
【0009】
本発明は、
移動体制御装置のプロセッサに、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
処理を実行させるための移動体制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムによれば、移動体の外界の特徴点が変化しても、指定駐車位置に継続的に自動駐車することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の移動体制御装置を搭載した車両の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す車両の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】車両を自動駐車する際にナビゲーション装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】新たな駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
【
図6】カメラの撮像画像に基づいて生成された俯瞰画像に駐車位置を設定した図である。
【
図7】
図6に示す駐車位置に対する周辺の特徴点を示した図である。
【
図8】駐車位置に対して登録される登録内容の一例を示す図である。
【
図9】
図8の登録内容に含まれるマップの一例を示す図である。
【
図10】時間経過に伴い変化する対象物の外観と対象物の特徴点の一致率を示す図である。
【
図11】登録済み駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図11の制御において対応するスロットにマップが登録されていない場合の制御の一例を示すフローチャートである。
【
図13】外界の特徴点の一致率と更新との関係を示す図である。
【
図14】登録特徴点の自動更新により維持される特徴点の一致率を示す図である。
【
図15】
図11の制御において対応するスロットにマップが登録されていない場合の制御の他の一例を示すフローチャートである。
【
図16】輝度の比較に基づくマップ更新処理の一例である。
【
図17】車両10の位置に応じた、新たな駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
【
図18】車両10の位置に応じた、登録済み駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単かつ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、
図1及び
図2に示す車両10の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両10の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
<本発明の移動体制御装置を搭載した車両10>
図1は、本発明の移動体制御装置を搭載した車両10の側面図である。
図2は、
図1に示した車両10の上面図である。車両10は、本発明の移動体の一例である。
【0014】
車両10は、駆動源(図示略)と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪と、を有する自動車である。本実施形態では、車両10は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両10の駆動源は、例えば電動機である。なお、車両10の駆動源は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両10の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、双方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0015】
車両10は、さらにサイドミラー11L,11Rを備える。サイドミラー11L,11Rは、車両10の前席ドアの外側に設けられた、運転者が後方及び後側方を確認するためのミラー(バックミラー)である。サイドミラー11L,11Rは、それぞれ垂直方向に延びる回転軸によって車両10の本体に固定されており、この回転軸を中心に回転することにより開閉可能である。
【0016】
車両10は、さらに前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rを備える。前方カメラ12Frは、車両10の前方に設けられ、車両10の前方を撮像するデジタルカメラである。後方カメラ12Rrは、車両10の後方に設けられ、車両10の後方を撮像するデジタルカメラである。左側方カメラ12Lは、車両10の左のサイドミラー11Lに設けられ、車両10の左側方を撮像するデジタルカメラである。右側方カメラ12Rは、車両10の右のサイドミラー11Rに設けられ、車両10の右側方を撮像するデジタルカメラである。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、本発明の外界認識部の一例である。
【0017】
<車両10の内部構成>
図3は、
図1に示した車両10の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、車両10は、センサ群16と、ナビゲーション装置18と、制御ECU(Electronic Control Unit)20と、EPS(Electric Power Steering)システム22と、通信部24と、を有する。車両10は、さらに駆動力制御システム26と、制動力制御システム28と、を有する。センサ群16とナビゲーション装置18と制御ECU20とにより、本発明の移動体制御装置の一例を構成する。
【0018】
センサ群16は、制御ECU20による制御に用いられる各種の検出値を取得する。センサ群16には、前方カメラ12Frと、後方カメラ12Rrと、左側方カメラ12Lと、右側方カメラ12Rとが含まれる。また、センサ群16には、前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとが含まれる。また、センサ群16には、車輪センサ34a,34bと、車速センサ36と、操作検出部38とが含まれる。
【0019】
前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、車両10の周辺を撮像することにより、車両10の外界を認識するための認識データ(例えば、周辺画像)を取得する。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rによって撮像される周辺画像は、それぞれ前方画像、後方画像、左側方画像、右側方画像と称される。左側方画像と右側方画像とによって構成される画像を側方画像と称してもよい。
【0020】
前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとは、車両10の周辺に音波を発射すると共に、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群32aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群32aを構成するソナーは、車両10の左斜め前方、前方左側、前方右側及び右斜め前方にそれぞれ設けられている。後方ソナー群32bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群32bを構成するソナーは、車両10の左斜め後方、後方左側、後方右側及び右斜め後方にそれぞれ設けられている。左側方ソナー群32cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群32cを構成するソナーは、車両10の左側部前方及び左側部後方にそれぞれ設けられている。右側方ソナー群32dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群32dを構成するソナーは、車両10の右側部前方及び右側部後方にそれぞれ設けられている。
【0021】
車輪センサ34a,34bは、車両10の車輪の回転角度を検出する。車輪センサ34a,34bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ34a,34bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ34a,34bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられる。車輪の回転角度に基づいて、車両10の移動距離が算出される。車輪センサ34aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ34bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0022】
車速センサ36は、車両10の車体の速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御ECU20に出力する。車速センサ36は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0023】
操作検出部38は、操作入力部14を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御ECU20に出力する。操作入力部14には、例えばサイドミラー11L,11Rの開閉状態を切り替えるサイドミラースイッチや、シフトレバー(セレクトレバーやセレクタ)など各種のユーザインタフェースが含まれる。
【0024】
ナビゲーション装置18は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて車両10の現在位置を検出すると共に、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置18は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0025】
ナビゲーション装置18には、タッチパネル42と、スピーカ44とが備えられている。タッチパネル42は、制御ECU20の入力装置及び表示装置として機能する。スピーカ44は、車両10の搭乗者に対して各種の案内情報を音声で出力する。
【0026】
タッチパネル42は、制御ECU20に対する各種の指令を入力することができるように構成されている。例えば、ユーザは、タッチパネル42を介して、車両10の駐車支援に関する指令を入力することが可能である。また、タッチパネル42は、制御ECU20の制御内容に関する各種の画面を表示するように構成されている。例えば、タッチパネル42には、車両10の駐車支援に関する画面が表示される。具体的には、タッチパネル42には、車両10の駐車支援を要求する駐車支援ボタンが表示される。駐車支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による駐車を要求する自動駐車ボタンや、運転者の操作で駐車する際の補助を要求する駐車補助ボタンが含まれる。なお、タッチパネル42以外の構成要素、例えばスマートフォン等を入力装置又は表示装置として用いるようにしてもよい。タッチパネル42(ナビゲーション装置18)やスマートフォンは、本発明の受付部の一例である。
【0027】
なお、「駐車」は、例えば「パーキング」と同義である。例えば、「駐車」は、乗員の乗り降りを伴う停止であり、交通信号等での一時的な停止は除く。また、「駐車位置」とは移動体を停止させる位置、すなわちパーキングする位置のことである。
【0028】
制御ECU20は、入出力部50と、演算部52と、記憶部54とを有する。演算部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。演算部52は、記憶部54に記憶されているプログラムに基づいて各部を制御することにより各種の制御を行う。また、演算部52は、入出力部50を介して、制御ECU20に接続される各部との間で信号を入出力する。
【0029】
演算部52は、車両10の自動駐車を制御するための自動駐車制御部55を有する。自動駐車制御部55は、本発明の制御部の一例である。自動駐車制御部55は、ステアリング110の操作を自動駐車制御部55の制御によって自動で行う自動操舵による車両10の駐車支援を行う。自動操舵の支援では、アクセルペダル(図示せず)、ブレーキペダル(図示せず)及び操作入力部14の操作が自動で行われる。また、自動駐車制御部55は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び操作入力部14の操作を運転者が行って車両10を手動駐車させる際の補助支援を行う。
【0030】
例えば、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データと、ユーザから指定された所定の駐車位置とに基づいて、車両10を指定された所定の駐車位置に駐車させる自動駐車の制御を行う。
【0031】
また、自動駐車制御部55は、ユーザから指定された所定の駐車位置を指定駐車位置として記憶部54に登録する。自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データに基づいて指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として記憶部54に登録する。自動駐車制御部55は、車両10の外界の認識データと、ユーザから指定された指定駐車位置の登録特徴点とに基づいて、車両10を指定駐車位置に駐車させる自動駐車の制御を行う。
【0032】
指定駐車位置に関する特徴点には、指定駐車位置そのものの特徴点や、指定駐車位置の周辺の特徴点等が含まれる。指定駐車位置そのものの特徴点としては、例えば、指定駐車位置内に「駐車」という文字が表示されているような特徴点等が挙げられる。指定駐車位置の周辺の特徴点としては、例えば、周辺に存在する特徴的な建築物や、障害物等が挙げられる。
【0033】
また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られる特徴点と、実行時以前に取得され既に登録されている登録特徴点との一致率を検出し、その一致率に応じて登録特徴点の更新を行う。自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第1閾値(例えば80%)以上である場合は、登録特徴点の更新を行わない。自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第1閾値未満であり、第1閾値よりも低い第2閾値(例えば60%)以上である場合は、登録特徴点の更新を行う。自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第2閾値未満であり、第2閾値よりも低い第3閾値(例えば30%)以上である場合は、登録特徴点の更新を行わない。自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第3閾値未満である場合は、登録特徴点の新規登録を行う。ただし、登録特徴点を新規に登録するか否かは、車両10のユーザにより選択される。自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第2閾値以上である場合は、登録特徴点に基づいて車両10の自動駐車を実行する。自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第2閾値未満である場合は、登録特徴点に基づく車両10の自動駐車を実行しない。なお、一致率の閾値を示す各数値(%)は、あくまで目安としての一数値例である。
【0034】
EPSシステム22は、舵角センサ100と、トルクセンサ102と、EPSモータ104と、レゾルバ106と、EPS ECU108と、を有する。舵角センサ100は、ステアリング110の舵角θstを検出する。トルクセンサ102は、ステアリング110に加わるトルクTQを検出する。
【0035】
EPSモータ104は、ステアリング110に連結されたステアリングコラム112に対して駆動力又は反力を付与することにより、乗員によるステアリング110の操作支援や駐車支援時の自動操舵を可能とする。レゾルバ106は、EPSモータ104の回転角度θmを検出する。EPS ECU108は、EPSシステム22の全体の制御を司る。EPS ECU108には、入出力部(図示せず)と、演算部(図示せず)と、記憶部(図示せず)とが備えられている。
【0036】
通信部24は、他の通信装置120との間で無線通信を行うことを可能とするものである。他の通信装置120とは、基地局や、他車両の通信装置や、車両10の搭乗者が所持するスマートフォン等の情報端末などである。
【0037】
駆動力制御システム26には、駆動ECU130が備えられている。駆動力制御システム26は、車両10の駆動力制御を実行する。駆動ECU130は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のエンジン等を制御することによって、車両10の駆動力を制御する。
【0038】
制動力制御システム28には、制動ECU132が備えられている。制動力制御システム28は、車両10の制動力制御を実行する。制動ECU132は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両10の制動力を制御する。
【0039】
<自動駐車制御部55による自動駐車制御>
次に、自動駐車制御部55による車両10の自動駐車制御について
図4から
図13を参照して説明する。
【0040】
図4は、車両10を自動駐車する際に、ナビゲーション装置18のタッチパネル42に表示される「自動駐車メニュー」の一例を示す図である。自動駐車メニューの画像は、タッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をタッチ操作することにより表示される。自動駐車ボタン60は、例えば、車両10を駐車させようとするユーザが駐車場の近くまで来たときに、自動駐車メニューを表示させるためにタッチ操作する。
【0041】
図4に示すように、自動駐車メニューの画像には、新規登録ボタン61と、登録済み駐車位置画像ボタン62が表示される。新規登録ボタン61は、新たに指定駐車位置として登録する駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62は、既に登録されている指定駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62としては、例えば、No.1画像ボタン62aに示すように自宅の駐車場を指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンや、No.2画像ボタン62bに示すように駐車頻度の高いコインパーキングを指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンなどが挙げられる。登録済み駐車位置画像ボタン62に表示されている画像は、登録した際の車両10の例えば前方カメラ12Frで撮像された画像である。
【0042】
[新たな駐車位置への自動駐車制御]
先ず、新規登録ボタン61がタッチ操作されたときの自動駐車制御部55による自動駐車制御について
図5から
図9を参照して説明する。
【0043】
図5は、新たな駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
図6は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得される車両10の外界の認識データにより生成された俯瞰画像71(合成画像)に駐車位置76を設定した図である。
図7は、
図6に示す駐車位置76に対する周辺の特徴点を示した図である。
図8は、駐車位置に対して登録される登録内容の一例を示す図である。
図9は、
図8の登録内容に含まれるマップの一例を示す図である。自動駐車制御部55は、新規登録ボタン61がタッチ操作されると、
図5に示す処理を開始する。
【0044】
まず、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データから外界の照度を算出し、算出された照度が予め設定されている複数のスロットのどのスロットに対応するか判定する(ステップS11)。複数のスロットは、例えば、照度が高い「日中」、照度が低い「夜間」などのように周囲環境の明るさの高低により区別して設定されている。
【0045】
例えば、
図6に示す俯瞰画像71のように、自宅の駐車場72の前に車両10が停車される。そして、新たな指定駐車位置を登録するために、新規登録ボタン61がタッチされると、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって外界の認識データが取得されて外界の照度が算出される。なお、俯瞰画像71には、運転者の住居(建築物)73と、複数の植栽(障害物)74a~74fが撮像されている。駐車場72は、建築物73と障害物74a~74fとの間に指定されている。なお、俯瞰画像71で表示される車両は、車両10を上方から見た様子を示す画像であり、予め生成(撮像)されて記憶部54等に記憶されている車両画像75である。
【0046】
次に、自動駐車制御部55は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受け付ける(ステップS12)。
【0047】
駐車位置の手動設定は、
図6に示すように、車両10を駐車する領域を示す矩形状の駐車位置76をタッチパネル42上でタッチ操作して、車両10を駐車させたい目標駐車位置へスライド移動させることにより設定する。
【0048】
ステップS12において、駐車位置76の手動設定を受け付けると、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rにより取得された外界の認識データから、指定された駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点に基づいて車両10を駐車位置76に自動駐車する(ステップS13)。
【0049】
例えば、
図7に示す俯瞰画像71のように、自動駐車制御部55は、指定された駐車位置76に関する特徴点として、駐車位置76に近い側の建築物73の輪郭の位置を示す建築物特徴点77a~77dや、駐車位置76の周囲に存在する障害物74a~74fの位置を示す障害物特徴点78a~78f等を検出する。
【0050】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS13で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点とステップS12で設定された駐車位置76とで構成されるマップと、ステップS11で判定された照度に対応するスロットと、を対応付けて記憶部54に登録する(ステップS14)。また、このとき、自動駐車制御部55は、ステップS11において算出した照度も対応付けて記憶部54に登録する。
【0051】
指定された駐車位置76に対して登録される内容は、例えば、
図8の対応テーブル81に示すように、照度に対応するスロットとして照度が高い「日中」、照度が低い「夜間」などのように複数のパターンに分類されている。また、「日中」、「夜間」のスロットにそれぞれ対応して、駐車位置76とその駐車位置76に関する特徴点とのマップが、例えば「マップa」、「マップb」のように登録される。
【0052】
具体的には、駐車位置76とその駐車位置76に関する特徴点とのマップは、
図9に示すマップ91のように、
図7の俯瞰画像71において検出された建築物特徴点77a~77d及び障害物特徴点78a~78fと手動設定された駐車位置76との関連を示すマップとして登録される。なお、
図8の対応テーブル81には、説明の便宜上、「日中」に対応して「マップa」、「夜間」に対応して「マップb」が登録されているが、本例は新規登録ボタン61がタッチ操作された場合の処理であるため、実際に上記ステップS14で登録されるマップは登録時の照度に対応するスロットのマップのみである。
【0053】
これにより、ユーザが指定する駐車位置76が外界の照度に対応する特徴点を備えた指定駐車位置として記憶部54に登録されるとともに、登録済み駐車位置画像ボタン62の一つとして自動駐車メニューに表示される。
【0054】
[登録済み駐車位置への自動駐車制御]
次に、登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されたときの自動駐車制御部55による自動駐車制御について
図10から
図13を参照して説明する。
【0055】
図10は、時間経過に伴い変化する駐車位置周辺の対象物の外観と対象物の特徴点の一致率を示す図である。
図10に示すように、車両10が駐車される外界に存在する建築物73(73A~73C)や障害物74(74A~74C)は、経年劣化や季節変化によりその外観に変化が生じる。そして、建築物73(73A~73C)や障害物74(74A~74C)の外観が変化した場合、車両10の前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得される外界の認識データにも変化が生じる。
【0056】
したがって、例えば、建築物73A及び植栽(障害物)74Aの認識データから特徴点を検出して登録しておいても、時間経過や季節変化により、建築物73B及び植栽(障害物)74B、さらには建築物73C及び植栽(障害物)74Cのように外観が変化すると、それらの認識データから検出される特徴点も変化し、特徴点の一致率Mが徐々に低下する。このため、車両10を指定駐車位置に駐車する場合、認識データから検出される指定駐車位置周辺の特徴点が時間経過や季節変化により変化すると、登録してある特徴点に基づいた指定駐車位置への車両10の自動駐車が正確にできなくなってしまう場合がある。
【0057】
そこで、本例の自動駐車制御部55による自動駐車制御では、駐車位置の特徴点が登録されている指定駐車位置に車両10を自動駐車させる場合、その自動駐車の実行時に取得する指定駐車位置に関する特徴点と登録されている特徴点との一致率に応じて登録されている特徴点の更新を行うようにした。
【0058】
さらに、本例の自動駐車制御部55による自動駐車制御では、自動駐車の実行時に取得する外界の照度と、登録されている特徴点に対応する照度との一致率に応じて登録されている特徴点の更新を行うようにした。これにより、例えば「日中」に対応する登録特徴点が、夜間に得られた特徴点によって上書きされてしまう等の事態を防止し、外界の照度に応じて照度を適切に更新することができる。
【0059】
図11は、登録済み駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。
図12は、
図11の制御において対応するスロットにマップが登録されていない場合の制御の一例を示すフローチャートである。
図13は、特徴点の一致率と登録特徴点の更新との関係を示す図である。
【0060】
自動駐車制御部55は、
図4に示す自動駐車メニューの登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されると、
図11の処理を開始する。本例では車両10の運転者によってNo.1画像ボタン62aがタッチ操作されたものとする。
【0061】
自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データから外界の照度を算出する(ステップS19)。
【0062】
次に、自動駐車制御部55は、No.1画像ボタン62aの指定駐車位置に対して、ステップS19で判定された外界の照度に対応するスロットにマップが登録されているか否か判定する(ステップS20)。具体的には、自動駐車制御部55は、特徴点が登録されているスロット(例えば「日中」と「夜間」)のうち、ステップS19により算出した照度に対して所定範囲(例えば差が所定値以内)内の照度に対応付けられたスロットがあるか否かを判定する。
【0063】
ステップS20において、対応するスロットにマップが登録されている場合(ステップS20:Yes)には、自動駐車制御部55は、ステップS19で判定された外界の照度に対応するスロットに登録されたマップの特徴点を登録特徴点として取得する。また、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rにより現在の指定駐車位置に関する特徴点(以下、実行時特徴点と称する。)を取得する。そして、自動駐車制御部55は、取得した実行時特徴点と、取得した登録特徴点との一致率を算出する(ステップS21)。次に、自動駐車制御部55は、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が80%以上であるか否か判定する(ステップS22)。
【0064】
ステップS22において、一致率が80%以上である場合(ステップS22:Yes)には、自動駐車制御部55は、登録特徴点を表す特徴点マップ(例えば、
図8に示す特徴点マップ91)に基づいて、運転者により指定された指定駐車位置に車両10を自動駐車する(ステップS23)。そして、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が80%以上の場合には、
図13に示すように、指定駐車位置における外界の特徴点にほぼ変化がないと判定し、記憶部54にそれまで登録されている登録特徴点を表す特徴点マップをそのまま維持して、特徴点マップの更新は行わない。
【0065】
ステップS22において、一致率が80%以上ではない場合(ステップS22:No)には、自動駐車制御部55は、一致率が60%以上であるか否か判定する(ステップS24)。ステップS24において、一致率が60%以上である場合(ステップS24:Yes)には、自動駐車制御部55は、ステップS21で取得した実行時特徴点を表す特徴点マップに基づいて、指定駐車位置に車両10を自動駐車する(ステップS25)。
【0066】
次に、自動駐車制御部55は、運転者が指定した指定駐車位置に対してそれまで登録されていた登録特徴点を表す特徴点マップであって、ステップS20においてあると判定した対応するスロットの特徴点マップを、実行時特徴点を表す特徴点マップに更新する(ステップS26)。また、このとき、自動駐車制御部55は、ステップS19において算出した照度も対応付けて記憶部54に登録する。すなわち、自動駐車制御部55は、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が60%以上80%未満の場合には、
図13に示すように、指定駐車位置における外界の特徴点に変化が生じたと判定し、記憶部54に登録されていた特徴点マップを現在の特徴点マップに更新する。なお、この場合、特徴点マップ全体を更新してもよいが、特徴点マップの中の相違する特徴点のみを更新するようにしてもよい。
【0067】
ステップS24において、一致率が60%以上ではない場合(ステップS24:No)には、自動駐車制御部55は、一致率が30%以上であるか否か判定する(ステップS27)。ステップS27において、一致率が30%以上である場合(ステップS27:Yes)には、自動駐車制御部55は、ステップS21で取得した実行時特徴点を表す特徴点マップに基づいて、車両10を駐車位置76に自動駐車する(ステップS28)。
【0068】
そして、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が30%以上60%未満の場合には、
図13に示すように、指定駐車位置における外界の特徴点に過度な変化が生じたと判定し、記憶部54にそれまで登録されている登録特徴点を表す特徴点マップをそのまま維持して、特徴点マップの更新は行わない。一致率が30%以上60%未満の場合とは、例えば、大雨や雪が降ったために一時的に大きく特徴点が変化した場合等が想定される。これらの場合、短い期間の経過後(数日後)には、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が60%以上に戻ると考えられるため登録特徴点を表す特徴点マップを維持することとする。
【0069】
ステップS27において、一致率が30%以上ではない場合(ステップS27:No)には、自動駐車制御部55は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受け付ける(ステップS29)。手動設定を受け付ける報知及び手動設定の方法は、ステップS28における報知及び方法と同様である。
【0070】
ステップS29において、駐車位置76(
図6参照)の設定を受け付けると、自動駐車制御部55は、実行時特徴点を取得し、取得した実行時特徴点に基づいて車両10を駐車位置76に自動駐車する(ステップS30)。
【0071】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS29で取得した実行時特徴点を表す特徴点マップを新たな指定駐車位置の特徴点マップとして新規登録するように運転者に促す(ステップS31)。例えば、自動駐車制御部55は、
図7に示すような俯瞰画像をタッチパネル42に表示させるとともに、「駐車場所を登録することで、駐車の成功率が上がる可能性があります。登録しますか?」などと表示させる。その際に、登録する場合にタッチ操作する「登録ボタン」と、登録しない場合にタッチ操作する「非登録ボタン」を表示してもよい。
【0072】
次に、自動駐車制御部55は、特徴点マップを新規登録する操作を運転者から受け付けたか否かを判定する(ステップS32)。ステップS32において、マップの新規登録の操作を受け付けた場合(ステップS32:Yes)には、自動駐車制御部55は、ステップS30で取得した実行時特徴点を表す特徴点マップを、ステップS20においてあると判定した対応するスロットに、新たな指定駐車位置の特徴点マップとして新規登録する(ステップS33)。
【0073】
すなわち、自動駐車制御部55は、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が30%未満の場合には、
図13に示すように、両特徴点は不一致であると判定し、運転者によって手動設定された駐車位置の現在の特徴点マップを記憶部54に新規登録する。これにより、運転者がタッチ操作したNo.1画像ボタン62aの指定駐車位置とは別の新たな駐車位置が登録済みの指定駐車位置の一つとして
図4の自動駐車メニューに新たに追加表示される。
【0074】
ステップS32において、マップの新規登録の操作を受け付けなかった場合(ステップS32:No)には、自動駐車制御部55は、特徴点マップを新規登録せずに本自動駐車制御の処理を終了する。なお、本自動駐車制御において挙げた一致率の閾値(%)は、一例であり適宜変更し得る。
【0075】
ステップS20において、対応するスロットにマップが登録されていない場合(ステップS20:No)には、
図12に示すように、自動駐車制御部55は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受け付ける(ステップS34)。自動駐車制御部55は、駐車位置の手動設定を受け付けることを運転者に知らせるために、タッチパネル42に
図6と同様の俯瞰画像を表示するとともに、例えば「自動駐車させるためのデータが不十分です。設定を行ってください。」と表示する。駐車位置の手動設定の方法は、上述した
図5におけるステップS12と同様である。
【0076】
ステップS34において、駐車位置76(
図6参照)の手動設定を受け付けると、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rにより取得された外界の認識データから、指定された駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点に基づいて車両10を駐車位置76に自動駐車する(ステップS35)。この自動駐車の処理は、上述した
図5におけるステップS13と同様の処理である。例えば、自動駐車制御部55は、
図7に示すように、指定された駐車位置76に関する建築物特徴点77a~77dや障害物特徴点78a~78f等を検出する。
【0077】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS35で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点に基づいて生成されるマップの新規登録を運転者に促す(ステップS36)。例えば、自動駐車制御部55は、
図7に示すような俯瞰画像をタッチパネル42に表示させるとともに、「明るいシーンでの駐車場所を登録することで、駐車の成功率が上がる可能性があります。登録しますか?」、「暗いシーンでの駐車場所を登録することで、駐車の成功率があがる可能性があります。登録しますか?」などと表示させる。その際に、登録する場合にタッチ操作する「登録ボタン」と、登録しない場合にタッチ操作する「非登録ボタン」を表示してもよい。
【0078】
次に、自動駐車制御部55は、運転者がマップを新規登録する操作を行ったか否かの判定を行う(ステップS37)。
【0079】
ステップS37において、マップの新規登録の操作を行った場合(ステップS37:Yes)には、自動駐車制御部55は、ステップS35で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点とステップS34で手動設定された駐車位置とで構成されるマップと、ステップS19で算出された照度に対応するスロットと、を対応付けて記憶部54に登録する(ステップS38)。
【0080】
これにより、No.1画像ボタン62aの指定駐車位置に対して設けられている
図8に示す対応テーブル81に、照度に対応するスロットとその特徴点を示すマップが追加して登録される。
【0081】
ステップS37において、マップの新規登録の操作を行わなかった場合(ステップS37:No)には、自動駐車制御部55は、マップを登録せずに本自動駐車制御の処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、移動体制御装置の自動駐車制御部55は、外界の認識データに基づく指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、外界の認識データと登録特徴点とに基づいて車両10を指定駐車位置に自動駐車させ、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られた実行時特徴点とそれまでに登録されている登録特徴点との一致率に応じて登録特徴点の更新を行う。
【0083】
この構成によれば、時間経過等によって登録特徴点が変化した場合に、登録していた登録特徴点を一致率に応じて適宜更新することができる。例えば、
図14に示すように、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が更新閾値以上であるときに車両10の指定駐車位置に対する自動駐車を実行すると登録特徴点を自動更新することができ、高い一致率Mを維持することができる。これにより、指定駐車位置周辺の建築物や障害物(植栽)の外観が時間経過や季節変化により変化しても、適宜更新される登録特徴点に基づいて指定駐車位置への継続的な自動駐車制御を可能にすることができる。
【0084】
また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が例えば80%以上である場合は、登録特徴点の更新を行わない。そして、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が80%未満であり60%以上である場合は、登録特徴点の更新を行う。これにより、登録特徴点の変化が小さい場合は登録特徴点の更新を行わないことで自動駐車制御部55の処理量を低減しつつ、登録特徴点の変化がある程度大きい場合は登録特徴点を更新し、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御を可能にすることができる。
【0085】
また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が60%未満であり30%以上である場合は、登録特徴点の更新を行わない。これにより、大雨や雪が降ったために実行時特徴点が登録特徴点に対して一時的に大きく変化した場合には、登録特徴点を更新しないことで、通常時における指定駐車位置への継続的な自動駐車制御を可能にすることができる。また、現在駐車しようとしている駐車位置が、登録していた指定駐車位置と異なる可能性がある場合に、登録特徴点を更新しないことで、登録特徴点の更新が誤って行われてしまう事態を防止することが可能となる。
【0086】
また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が30%未満である場合は、登録特徴点の新規登録を行う。これにより、駐車しようとしている駐車位置が、登録していた指定駐車位置と異なる可能性が高い場合に、登録特徴点を新規に登録させることで、駐車しようとしている駐車位置への自動駐車制御を次回の駐車時から実行することができる。
【0087】
また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が30%未満である場合は、登録特徴点を新規に登録するか否かの選択を車両10のユーザから受け付ける。これにより、駐車しようとしている駐車位置が、登録していた指定駐車位置と異なる可能性が高い場合に、ユーザはその駐車位置を指定駐車位置とする必要がある場合にのみ登録特徴点を新規登録することができるため、登録特徴点の不要な新規登録を抑制することができる。
【0088】
また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が60%以上である場合は登録特徴点に基づいて車両10の自動駐車を実行し、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が60%未満である場合は登録特徴点に基づく車両10の自動駐車を実行しない。自動駐車制御が可能な一致率(60%値以上)であっても、登録特徴点に対してある程度変化している場合(一致率が80%未満)には登録特徴点を更新することで、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御を可能にすることができる。
【0089】
また、自動駐車制御部55は、季節の変化等によって登録特徴点が変化した際、登録特徴点が得られた際の照度と現在の照度との違いを考慮して登録特徴点を更新することができる。例えば、自動駐車制御部55は、登録特徴点のうち、自動駐車の実行時に得られた現在の外界の照度に対して所定範囲内の照度に対応付けられた対応登録特徴点を特定し、その対応登録特徴点と自動駐車の実行時に得られた特徴点との一致率が所定の範囲内である場合に、対応登録特徴点を更新する。一方、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時に得られた特徴点との一致率が所定の範囲内である登録特徴点であっても、現在の外界の照度との差異が大きい照度に対応する登録特徴点については更新を行わない。これにより、例えば「日中」に対応する登録特徴点が、夜間に得られた特徴点によって上書きされてしまう等の事態を防止し、外界の照度に応じて照度を適切に更新することができる。
【0090】
図15は、
図11の制御において対応するスロットにマップが登録されていない場合の制御の他の一例を示すフローチャートである。
図11のステップS20において、対応するスロットにマップが登録されていない場合(ステップS20:No)には、自動駐車制御部55は、
図15に示す処理を実行してもよい。まず、自動駐車制御部55は、No.1画像ボタン62aの指定駐車位置において、マップが登録されている他のスロットパターンの中のいずれかのスロットパターンに基づき自己位置認識処理を行う(ステップS47)。自己位置認識処理は、現在の外界認識により得られている特徴点の中から登録特徴点を検出できるか否かを判定することにより、登録特徴点に対応する空間における車両10の位置を推定する処理である。
【0091】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS47の自己位置認識処理において、自己位置を認識することができたか否かの判定を行う(ステップS48)。
【0092】
ステップS48において、自己位置の認識ができた場合(ステップS48:Yes)には、自動駐車制御部55は、その自己位置の認識ができたスロットパターンに基づいて、運転者により指定されたNo.1画像ボタン62aの指定駐車位置に車両10を自動駐車する(ステップS49)。この自動駐車においても、自動駐車制御部55は、例えば、
図7に示すように、指定された駐車位置76に関する建築物特徴点77a~77dや障害物特徴点78a~78f等を検出する。
【0093】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS49で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点と運転者によって指定されているNo.1画像ボタン62aの指定駐車位置とで構成されるマップと、
図11のステップS19で算出された照度に対応するスロットと、を対応付けて記憶部54に登録する(ステップS50)。
【0094】
一方、ステップS48において、自己位置の認識ができなかった場合(ステップS48:No)には、自動駐車制御部55は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受け付ける(ステップS51)。なお、ステップS51からステップS55までの各処理は、
図12に示す自動駐車制御のステップS34からステップS38までの各処理と同様の処理である。このため、ステップS51からステップS55までの説明は省略する。
【0095】
以上説明したように、変形例の自動駐車制御部55は、指定駐車位置への自動駐車制御の実行時に外界の認識データから取得した照度に対応するスロットに、指定駐車位置に関する特徴点で構成されるマップが存在しない場合、マップが存在する他のスロットパターンの中のいずれかのスロットパターンに基づいて指定駐車位置への車両10の自動駐車制御を行う。これにより、現在の車両10の外界の照度に対応するマップを備えたスロットパターンが存在しない場合でも自動駐車制御を実行することが可能になり、自動駐車制御の実行頻度を向上させることができる。
【0096】
また、自動駐車制御部55は、マップを備える複数のスロットパターンのいずれに基づいても車両10の自己位置を認識できない場合、車両10のユーザが所定の駐車位置を指定する駐車位置の手動設定を受け付ける。これにより、現在の照度に基づくスロットパターンを指定駐車位置に対して新たに登録することができ、次回以降の駐車時に新たなスロットパターンを含めて自動駐車制御を実行することが可能となる。
【0097】
図16は、輝度の比較に基づくマップ更新処理の一例である。自動駐車制御部55は、マップを更新する際(例えば
図11のステップS26)に、例えば
図16に示す処理を実行してもよい。ここでは、例えば
図8に示した例のように、対応テーブル81には、「日中」スロットと「夜間」スロットがあるものとする。「日中」スロットの「マップa」は、第1照度と対応付けられた第1登録特徴点の一例である。「夜間」スロットの「マップb」は、第1照度より低い第2照度と対応付けられた第2登録特徴点の一例である。
【0098】
まず、自動駐車制御部55は、更新対象のマップのスロット(現在の照度に対応するスロット)が「日中」スロットであるか否かを判断する(ステップS61)。更新対象のマップのスロットが「日中」スロットである場合(ステップS61:Yes)、自動駐車制御部55は、現在の特徴点の輝度が、「日中」スロットの特徴点の輝度より大きいか否かを判断する(ステップS62)。現在の特徴点の輝度とは、自動駐車時に得られた1つ以上の特徴点の輝度の代表値(例えば平均値)である。スロットの特徴点の輝度は、そのスロットに対応付けて登録されたマップに含まれる1つ以上の特徴点の輝度の代表値(例えば平均値)である。
【0099】
ステップS62において、現在の特徴点の輝度が「日中」スロットの特徴点の輝度より大きい場合(ステップS62:Yes)、自動駐車制御部55は、「日中」スロットのマップを現在の特徴点によって更新し(ステップS63)、一連の処理を終了する。現在の特徴点の輝度が「日中」スロットの特徴点の輝度以下である場合(ステップS62:No)、自動駐車制御部55は、「日中」スロットのマップを更新せずに一連の処理を終了する。
【0100】
ステップS61において、更新対象のマップのスロットが「日中」スロットでない場合(ステップS61:No)、すなわち更新対象のマップのスロットが「夜間」スロットである場合、自動駐車制御部55は、現在の特徴点の輝度が、「夜間」スロットの特徴点の輝度より小さいか否かを判断する(ステップS64)。
【0101】
ステップS64において、現在の特徴点の輝度が「夜間」スロットの特徴点の輝度より小さい場合(ステップS64:Yes)、自動駐車制御部55は、「夜間」スロットのマップを現在の特徴点によって更新し(ステップS65)、一連の処理を終了する。現在の特徴点の輝度が「夜間」スロットの特徴点の輝度以上である場合(ステップS64:No)、自動駐車制御部55は、「夜間」スロットのマップを更新せずに一連の処理を終了する。
【0102】
図16において説明したように、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られた外界の照度と第1照度(「日中」スロットの特徴点に対応付けられた照度)との一致率が所定範囲内であっても、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られた特徴点の輝度が第1登録特徴点(「日中」スロットの「マップa」)の輝度以下である場合は第1登録特徴点を更新しないようにしてもよい。また、自動駐車制御部55は、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られた外界の照度と第2照度(「夜間」スロットの特徴点に対応付けられた照度)との一致率が所定範囲内であっても、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られた特徴点の輝度が第2登録特徴点(「夜間」スロットの「マップb」)の輝度以上である場合は第2登録特徴点を更新しないようにしてもよい。
【0103】
これにより、高い照度(例えば日中)に対応する第1登録特徴点と低い照度(例えば夜間)に対応する第2登録特徴点との差が登録特徴点の更新に伴って小さくなることを抑制し、登録特徴点に基づく自動駐車が困難になる事態を防止することができる。
【0104】
図17は、車両10の位置に応じた、新たな駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。自動駐車制御部55は、新規登録ボタン61がタッチ操作されると、
図17に示す処理を開始してもよい。
【0105】
まず、自動駐車制御部55は、車両10の位置情報を取得する(ステップS71)。例えば、自動駐車制御部55は、車両10のGPS、撮像画像の解析、オドメトリ等を用いて車両10の位置情報を取得する。
【0106】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS71によって取得した位置情報が示す位置が、特定の場所か否かを判断する(ステップS72)。特定の場所は、例えば予め設定された、地下駐車場や立体駐車場(屋内駐車場)などの、時間帯によって照度の変化が少ない場所である。特定の場所はユーザによって設定可能であってもよい。特定の場所でない場合(ステップS72:No)、自動駐車制御部55は、
図5に示した自動駐車制御へ移行する。
【0107】
ステップS72において、特定の場所である場合(ステップS72:Yes)、自動駐車制御部55は、ステップS73へ移行する。ステップS73~S75は、
図5に示したステップS12~S14と同様の処理である。ただし、ステップS75において、自動駐車制御部55は、ステップS74で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点とステップS12で設定された駐車位置76とで構成されるマップとを、照度やスロットと対応付けずに登録する(ステップS75)。
【0108】
図18は、車両10の位置に応じた、登録済み駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。自動駐車制御部55は、
図4に示す自動駐車メニューの登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されると、
図18の処理を開始してもよい。
【0109】
まず、自動駐車制御部55は、
図17のステップS71と同様に、車両10の位置情報を取得する(ステップS81)。例えば、自動駐車制御部55は、車両10のGPS、撮像画像の解析、オドメトリ等を用いて車両10の位置情報を取得する。
【0110】
次に、
図17のステップS72と同様に、自動駐車制御部55は、ステップS81によって取得した位置情報が示す位置が、特定の場所か否かを判断する(ステップS82)。この特定の場所は、
図17のステップS72において説明した場所である。特定の場所でない場合(ステップS82:No)、自動駐車制御部55は、
図11に示した自動駐車制御へ移行する。
【0111】
ステップS82において、特定の場所である場合(ステップS82:Yes)、自動駐車制御部55は、ステップS83へ移行する。ステップS83~S95は、
図11に示したステップS21~S33と同様の処理である。ただし、ステップS88において、自動駐車制御部55は、運転者が指定した指定駐車位置に対してそれまで登録されていた登録特徴点を表す特徴点マップ(照度やスロットと対応付いていない特徴点マップ)を、実行時特徴点を表す特徴点マップに更新する(ステップS88)。また、ステップS95において、自動駐車制御部55は、照度やスロットとは関係なく、ステップS83で取得した実行時特徴点を表す特徴点マップを、スロットと関係なく、新たな指定駐車位置の特徴点マップとして新規登録する(ステップS95)。
【0112】
図17,
図18において説明したように、自動駐車制御部55は、車両10が特定の場所に位置する場合、登録特徴点が得られた際の外界の認識データに基づいて得られた外界の照度と対応付けずに登録特徴点を登録してもよい。この場合、自動駐車制御部55は、車両10が特定の場所に位置する場合、自動駐車制御の実行時における外界の照度と、登録特徴点が得られた際の外界の照度との一致率に関わらず、自動駐車制御の実行時に外界の認識データに基づいて得られた特徴点と登録特徴点との一致率に応じて登録特徴点の更新を行う。これにより、照度の変化が少ない特定の場所(例えば地下駐車場など)では照度に基づく判定を行わないことで、より効率よく適切な特徴点の登録及び更新を行うことができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0114】
例えば、上記実施形態では、自動駐車制御部55の自動操舵によって車両10を自動駐車する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、運転者の操作によって車両10を駐車させる際の補助を行う駐車支援に本発明を適用するようにしてもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの俯瞰画像(合成画像)を用いて車両10の駐車位置や駐車位置及び周辺の特徴点を説明しているが、これに限定されない。例えば、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rのうちのいずれかのカメラで撮像された画像を用いて説明してもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、自動駐車制御部55が俯瞰画像71等を車両10のタッチパネル42に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、自動駐車制御部55は、通信部24を介して、車両10の搭乗者が所持する情報端末(例えばスマートフォン等)の表示画面上に俯瞰画像71等を表示するようにしてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、指定駐車位置の登録特徴点を表す特徴点マップや外界の照度に基づくスロットなどの情報を車両10の記憶部54に登録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、車両10と通信可能に接続されるスマートフォンやサーバ等の他装置の記憶部にこれらの情報を登録するようにしてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、外界の照度に応じて「日中」と「夜間」のスロットに分類しているが、これに限定されない。例えば、直接的な照度の高低に応じて「高」と「低」などのスロットに分類してもよい。さらに、「高」「中」「底」のように3通り以上のスロットに分類してもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、登録済みの駐車位置に車両10を駐車させる際に、ユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62をタッチ操作する場合(
図4のNo.1画像ボタン62aを選択してタッチ操作する場合)を説明したが、これに限定されない。例えば、車両10を自動駐車する際にタッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をユーザがタッチ操作すると、自動駐車の実行時に撮像される俯瞰画像と登録済みの俯瞰画像とを比較して、今回どこの駐車位置に駐車させようとしているのかを自動駐車制御部55が自動判断し、例えば
図12の処理を開始するようにしてもよい。これにより、車両10のユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62の中から今回駐車させる駐車位置のボタンを見つけて選択する操作をなくすることができる。
【0120】
また、上記実施形態では、移動体を車両(四輪の自動車)とした例を説明したが、これに限らない。例えば、二輪車、セグウェイ等の車両であってもよい。さらに、本発明の思想は、車両に限らず、駆動源を備えて駆動源の動力により移動可能なロボット、船舶、航空機などにも適用することができる。
【0121】
なお、前述した実施形態で説明した移動体制御方法は、予め用意された移動体制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本移動体制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本移動体制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本移動体制御プログラムを実行するコンピュータは、移動体制御装置に含まれるものであってもよいし、移動体制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら移動体制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0122】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0123】
(1) 移動体(車両10)の外界の認識データを取得する外界認識部(前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12R)と、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける受付部(タッチパネル42)と、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部(自動駐車制御部55)と、を備え、
前記制御部は、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【0124】
(1)によれば、季節の変化等によって登録特徴点が変化した場合に、登録していた登録特徴点を更新することができる。また、移動体の外界の照度が時間帯(日中と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、照度の違いを考慮して登録特徴点を更新することができる。このため、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御が可能になる。
【0125】
(2) (1)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が所定の範囲内であり、かつ前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率が所定の範囲内である場合に前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【0126】
(2)によれば、移動体の外界の照度に応じた適切な特徴点を選択でき、自動駐車制御の精度を向上できる。
【0127】
(3) (2)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記登録特徴点が得られた際の前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と対応付けて前記登録特徴点を登録し、
前記登録特徴点のうち、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度に対して所定範囲内の照度に対応付けられた対応登録特徴点を特定し、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記対応登録特徴点との一致率が所定の範囲内である場合に前記対応登録特徴点を更新する、
移動体制御装置。
【0128】
(3)によれば、移動体の外界の照度に応じた適切な特徴点を選択でき、自動駐車制御の精度を向上できる。
【0129】
(4) (3)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記対応登録特徴点が存在しない場合、前記登録特徴点のいずれかに基づいて前記指定駐車位置への前記自動駐車制御を行う、
移動体制御装置。
【0130】
(4)によれば、現在の移動体の外界の照度に対応する特徴点が存在しない場合でも自動駐車制御を実行可能にし、自動駐車制御の実行頻度を向上できる。
【0131】
(5) (4)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記登録特徴点のいずれに基づいても前記移動体の自己位置認識が可能でない場合、前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける、
移動体制御装置。
【0132】
(5)によれば、現在の照度に基づく特徴点を新たに登録し、次回以降の駐車時に自動駐車制御を実行することが可能となる。
【0133】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
第1照度と対応付けられた第1登録特徴点と、前記第1照度より低い第2照度と対応付けられた第2登録特徴点と、を登録し、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記第1照度との一致率が所定範囲内である場合、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点の輝度が前記第1登録特徴点の輝度以下である場合は前記第1登録特徴点を更新せず、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記第2照度との一致率が所定範囲内である場合、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点の輝度が前記第2登録特徴点の輝度以上である場合は前記第2登録特徴点を更新しない、
移動体制御装置。
【0134】
(6)によれば、高い照度(例えば日中)に対応する第1登録特徴点と低い照度(例えば夜間)に対応する第2登録特徴点との差が登録特徴点の更新に伴って小さくなることを抑制し、登録特徴点に基づく自動駐車制御が困難になる事態を防止することができる。
【0135】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記移動体が特定の場所に位置する場合、
前記登録特徴点が得られた際の前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と対応付けずに前記登録特徴点を登録し、
前記自動駐車制御の実行時における前記外界の照度と前記登録特徴点が得られた際の照度との一致率に関わらず、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【0136】
(7)によれば、照度の変化が少ない特定の場所(例えば地下駐車場など)では照度に基づく判定を行わないことで、より効率よく適切な特徴点の登録及び更新を行うことができる。
【0137】
(8) (1)~(7)のいずれかに記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が第1閾値以上である場合は前記登録特徴点の更新を行わず、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第1閾値未満である場合は前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御装置。
【0138】
(8)によれば、登録特徴点の変化が小さい場合は登録特徴点の更新を行わないことで処理量を低減しつつ、登録特徴点の変化が大きい場合は登録特徴点を更新し、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御が可能になる。
【0139】
(9) (8)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第1閾値未満である場合であっても、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第1閾値より低い第2閾値未満である場合は前記登録特徴点の更新を行わない、
移動体制御装置。
【0140】
(9)によれば、一時的に大雪が降った等、登録特徴点の変化が過度に大きい場合は、登録特徴点を更新しないことで、通常時における指定駐車位置への継続的な自動駐車制御が可能になる。また、現在駐車しようとしている駐車位置が、登録していた指定駐車位置と異なる可能性がある場合に、登録特徴点を更新しないことで、登録特徴点の更新が誤って行われてしまう事態を防止することが可能となる。
【0141】
(10) (9)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第2閾値より低い第3閾値未満である場合は前記登録特徴点を新規に登録する制御を行う、
移動体制御装置。
【0142】
(10)によれば、駐車しようとしている駐車位置が、登録していた指定駐車位置と異なる可能性がある場合に、登録特徴点を新規に登録させることで、駐車しようとしている駐車位置への次回の駐車時から自動駐車制御が実行可能になる。
【0143】
(11) (10)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第3閾値未満である場合は、前記登録特徴点を新規に登録するか否かの選択を前記移動体のユーザから受け付ける、
移動体制御装置。
【0144】
(11)によれば、駐車しようとしている駐車位置が、登録していた指定駐車位置と異なる可能性がある場合に、ユーザはその駐車位置を指定駐車位置とする必要がある場合にのみ登録特徴点を新規登録することができるため、登録特徴点の不要な新規登録を防止することができる。
【0145】
(12) (9)から(11)のいずれかに記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第2閾値以上である場合は前記登録特徴点に基づく前記自動駐車制御を実行し、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率が前記第2閾値未満である場合は前記登録特徴点に基づく前記自動駐車制御を実行しない、
移動体制御装置。
【0146】
(12)によれば、自動駐車制御が可能な一致率(第2閾値以上)であっても、登録特徴点の変化が大きい場合(一致率が第1閾値未満)である場合は登録特徴点を更新し、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御が可能になる。
【0147】
(13) 移動体制御装置のプロセッサが、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
移動体制御方法。
【0148】
(13)によれば、季節の変化等によって登録特徴点が変化した場合に、登録していた登録特徴点を更新することができる。また、移動体の外界の照度が時間帯(日中と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、照度の違いを考慮して登録特徴点を更新することができる。このため、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御が可能になる。
【0149】
(14) 移動体制御装置のプロセッサに、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データに基づく前記指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として登録し、前記外界の認識データと前記登録特徴点とに基づいて前記移動体を前記指定駐車位置に駐車させるための前記自動駐車制御を行い、
前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた特徴点と前記登録特徴点との一致率と、前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データに基づいて得られた前記外界の照度と前記登録特徴点に対応付けられた照度との一致率と、に応じて前記登録特徴点の更新を行う、
処理を実行させるための移動体制御プログラム。
【0150】
(14)によれば、季節の変化等によって登録特徴点が変化した場合に、登録していた登録特徴点を更新することができる。また、移動体の外界の照度が時間帯(日中と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、照度の違いを考慮して登録特徴点を更新することができる。このため、指定駐車位置への継続的な自動駐車制御が可能になる。
【符号の説明】
【0151】
10 車両(移動体)
12Fr 前方カメラ(外界認識部)
12Rr 後方カメラ(外界認識部)
12L 左側方カメラ(外界認識部)
12R 右側方カメラ(外界認識部)
42 タッチパネル(受付部)
55 自動駐車制御部(制御部)