(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064414
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240507BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240507BHJP
B60W 50/10 20120101ALI20240507BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W40/02
B60W50/10
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172985
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤之
(72)【発明者】
【氏名】笹島 豪
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼久 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】長友 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 達朗
(72)【発明者】
【氏名】別所 誠人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】足立 淳
(72)【発明者】
【氏名】赤池 桃佳
(72)【発明者】
【氏名】早川 和孝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241CE05
3D241DC33Z
3D241DC38Z
3D241DC41Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】移動体の外界の環境(時間帯による照度)が変化しても、指定駐車位置に精度よく自動駐車することが可能な移動体制御装置を提供する。
【解決手段】車両10の外界の認識データを取得する前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rと、車両10のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付けるタッチパネル42と、外界の認識データと所定の駐車位置とに基づいて車両10を所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する自動駐車制御部55と、を備える。自動駐車制御部55は、外界の認識データから算出した外界の照度に基づく複数のスロットパターンにより、指定駐車位置に関する特徴点を登録する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける受付部と、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
移動体制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の移動体制御装置において、
前記制御部は、前記特徴点の複数のパターンのうち、前記指定駐車位置への前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データから取得した前記照度に対応する特定のパターンを選択し、前記特定のパターンに基づいて前記指定駐車位置への前記自動駐車制御を行う、
移動体制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記特定のパターンに基づいて前記移動体の自己位置認識が可能でない場合は、前記特定のパターンに基づく前記指定駐車位置への前記自動駐車制御を行わない、
移動体制御装置。
【請求項4】
移動体制御装置のプロセッサが、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
移動体制御方法。
【請求項5】
移動体制御装置のプロセッサに、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
処理を実行させるための移動体制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて自動運転技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
従来、指定された所定の駐車スペースに車両を自動的に移動させて駐車させる自動駐車制御が知られている。特許文献1には、ユーザが自身で運転して所定の駐車スペースに車両を駐車させる手動運転駐車を行い、その手動運転駐車の間に車両周辺の特徴点情報を取得してメモリに記憶しておき、その特徴点情報に基づいて自動駐車制御を行う駐車支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、同じ駐車スペースに車両を駐車させる場合でも、例えば車両周辺の環境の違いによって取得される車両周辺の特徴点情報に相違点が生じる場合がある。したがって、メモリ記憶時の特徴点情報と次の自動駐車実行時の特徴点情報とに不一致が生じる場合には、目標の駐車スペースを認識することができず、自動駐車制御できないことがあり得る。しかしながら、特許文献1には、環境の違いにより取得される車両周辺の特徴点情報に相違点が生じる場合の車両の制御については記載されていない。したがって、この点について従来技術には改良の余地がある。
【0006】
本発明は、移動体の外界の環境が変化しても、指定駐車位置に精度よく自動駐車することが可能な移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムを提供することを目的とする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける受付部と、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
移動体制御装置である。
【0008】
本発明は、
移動体制御装置のプロセッサが、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
移動体制御方法である。
【0009】
本発明は、
移動体制御装置のプロセッサに、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
処理を実行させるための移動体制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムによれば、移動体の外界の環境が変化しても、指定駐車位置に精度よく自動駐車することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の移動体制御装置を搭載した車両の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す車両の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】車両を自動駐車する際にナビゲーション装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】新たな駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
【
図6】カメラの撮像画像に基づいて生成された俯瞰画像に駐車位置を設定した図である。
【
図7】
図6に示す駐車位置に対する周辺の特徴点を示した図である。
【
図8】駐車位置に対して登録される登録内容の一例を示す図である。
【
図9】
図8の登録内容に含まれるマップの一例を示す図である。
【
図10】登録済み駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の移動体制御装置、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単かつ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、
図1及び
図2に示す車両10の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両10の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
<本発明の移動体制御装置を搭載した車両10>
図1は、本発明の移動体制御装置を搭載した車両10の側面図である。
図2は、
図1に示した車両10の上面図である。車両10は、本発明の移動体の一例である。
【0014】
車両10は、駆動源(図示略)と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪と、を有する自動車である。本実施形態では、車両10は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両10の駆動源は、例えば電動機である。なお、車両10の駆動源は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両10の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、双方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0015】
車両10は、さらにサイドミラー11L,11Rを備える。サイドミラー11L,11Rは、車両10の前席ドアの外側に設けられた、運転者が後方及び後側方を確認するためのミラー(バックミラー)である。サイドミラー11L,11Rは、それぞれ垂直方向に延びる回転軸によって車両10の本体に固定されており、この回転軸を中心に回転することにより開閉可能である。
【0016】
車両10は、さらに前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rを備える。前方カメラ12Frは、車両10の前方に設けられ、車両10の前方を撮像するデジタルカメラである。後方カメラ12Rrは、車両10の後方に設けられ、車両10の後方を撮像するデジタルカメラである。左側方カメラ12Lは、車両10の左のサイドミラー11Lに設けられ、車両10の左側方を撮像するデジタルカメラである。右側方カメラ12Rは、車両10の右のサイドミラー11Rに設けられ、車両10の右側方を撮像するデジタルカメラである。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、本発明の外界認識部の一例である。
【0017】
<車両10の内部構成>
図3は、
図1に示した車両10の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、車両10は、センサ群16と、ナビゲーション装置18と、制御ECU(Electronic Control Unit)20と、EPS(Electric Power Steering)システム22と、通信部24と、を有する。車両10は、さらに駆動力制御システム26と、制動力制御システム28と、を有する。
【0018】
センサ群16は、制御ECU20による制御に用いられる各種の検出値を取得する。センサ群16には、前方カメラ12Frと、後方カメラ12Rrと、左側方カメラ12Lと、右側方カメラ12Rとが含まれる。また、センサ群16には、前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとが含まれる。また、センサ群16には、車輪センサ34a,34bと、車速センサ36と、操作検出部38とが含まれる。
【0019】
前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、車両10の周辺を撮像することにより、車両10の外界を認識するための認識データ(例えば、周辺画像)を取得する。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rによって撮像される周辺画像は、それぞれ前方画像、後方画像、左側方画像、右側方画像と称される。左側方画像と右側方画像とによって構成される画像を側方画像と称してもよい。
【0020】
前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとは、車両10の周辺に音波を発射すると共に、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群32aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群32aを構成するソナーは、車両10の左斜め前方、前方左側、前方右側及び右斜め前方にそれぞれ設けられている。後方ソナー群32bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群32bを構成するソナーは、車両10の左斜め後方、後方左側、後方右側及び右斜め後方にそれぞれ設けられている。左側方ソナー群32cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群32cを構成するソナーは、車両10の左側部前方及び左側部後方にそれぞれ設けられている。右側方ソナー群32dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群32dを構成するソナーは、車両10の右側部前方及び右側部後方にそれぞれ設けられている。
【0021】
車輪センサ34a,34bは、車両10の車輪の回転角度を検出する。車輪センサ34a,34bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ34a,34bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ34a,34bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられる。車輪の回転角度に基づいて、車両10の移動距離が算出される。車輪センサ34aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ34bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0022】
車速センサ36は、車両10の車体の速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御ECU20に出力する。車速センサ36は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0023】
操作検出部38は、操作入力部14を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御ECU20に出力する。操作入力部14には、例えばサイドミラー11L,11Rの開閉状態を切り替えるサイドミラースイッチや、シフトレバー(セレクトレバーやセレクタ)など各種のユーザインタフェースが含まれる。
【0024】
ナビゲーション装置18は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて車両10の現在位置を検出すると共に、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置18は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0025】
ナビゲーション装置18には、タッチパネル42と、スピーカ44とが備えられている。タッチパネル42は、制御ECU20の入力装置及び表示装置として機能する。スピーカ44は、車両10の搭乗者に対して各種の案内情報を音声で出力する。
【0026】
タッチパネル42は、制御ECU20に対する各種の指令を入力することができるように構成されている。例えば、ユーザは、タッチパネル42を介して、車両10の駐車支援に関する指令を入力することが可能である。また、タッチパネル42は、制御ECU20の制御内容に関する各種の画面を表示するように構成されている。例えば、タッチパネル42には、車両10の駐車支援に関する画面が表示される。具体的には、タッチパネル42には、車両10の駐車支援を要求する駐車支援ボタンが表示される。駐車支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による駐車を要求する自動駐車ボタンや、運転者の操作で駐車する際の補助を要求する駐車補助ボタンが含まれる。なお、タッチパネル42以外の構成要素、例えばスマートフォン等を入力装置又は表示装置として用いるようにしてもよい。タッチパネル42(ナビゲーション装置18)やスマートフォンは、本発明の受付部の一例である。
【0027】
なお、「駐車」は、例えば「パーキング」と同義である。例えば、「駐車」は、乗員の乗り降りを伴う停止であり、交通信号等での一時的な停止は除く。また、「駐車位置」とは移動体を停止させる位置、すなわちパーキングする位置のことである。
【0028】
制御ECU20は、入出力部50と、演算部52と、記憶部54とを有する。演算部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。演算部52は、記憶部54に記憶されているプログラムに基づいて各部を制御することにより各種の制御を行う。また、演算部52は、入出力部50を介して、制御ECU20に接続される各部との間で信号を入出力する。
【0029】
演算部52は、車両10の自動駐車を制御するための自動駐車制御部55を有する。自動駐車制御部55は、本発明の制御部の一例である。自動駐車制御部55は、ステアリング110の操作を自動駐車制御部55の制御によって自動で行う自動操舵による車両10の駐車支援を行う。自動操舵の支援では、アクセルペダル(図示せず)、ブレーキペダル(図示せず)及び操作入力部14の操作が自動で行われる。また、自動駐車制御部55は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び操作入力部14の操作を運転者が行って車両10を手動駐車させる際の補助支援を行う。
【0030】
例えば、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データと、ユーザから指定された所定の駐車位置とに基づいて、車両10を指定された所定の駐車位置に駐車させる自動駐車の制御を行う。
【0031】
また、自動駐車制御部55は、ユーザから指定された所定の駐車位置を指定駐車位置として記憶部54に登録する。自動駐車制御部55は、車両10の外界の認識データから外界の照度を算出し、算出された外界の照度に応じて例えば複数のスロット(時間帯)を生成する。自動駐車制御部55は、登録する指定駐車位置に対して、スロット毎に指定駐車位置に関する特徴点を対応させて登録する。
【0032】
外界の認識データから算出される照度とは、外界の環境の実際の照度のことであり、露出設定等で変わる画像の照度のことではない。照度は、例えば時間帯(昼間と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化する環境の明るさのことである。照度を算出するための外界の認識データは、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像される車両10の周辺の周辺画像である。ただし、照度センサで検出した値を照度として用いてもよい。また、照度は、ルクス(Lx)等の特定の単位系の数値に限らない。指定駐車位置に関する特徴点には、指定駐車位置そのものの特徴点や、指定駐車位置の周辺の特徴点等が含まれる。指定駐車位置そのものの特徴点としては、例えば、指定駐車位置内に「駐車」という文字が表示されているような特徴点等が挙げられる。指定駐車位置の周辺の特徴点としては、例えば、周辺に存在する特徴的な建築物や、障害物等が挙げられる。
【0033】
また、自動駐車制御部55は、ユーザから指定された指定駐車位置への自動駐車制御の実行時に外界の認識データから外界の照度を取得し、その照度に対応したスロットに対応付けて登録されている指定駐車位置に関する特徴点が含まれたマップを、記憶部54の登録データの中から選択する。その照度に対応したスロットとは、実行時に取得された照度と一致又は近似する照度のスロットのことをいう。
【0034】
また、自動駐車制御部55は、マップが登録されているスロットで構成される特定のスロットパターンを選択し、そのスロットパターンに基づいて車両10の自己位置認識が可能であるか判定する。自己位置認識とは、登録されている指定駐車位置に関する特徴点を含むマップと現在のカメラ画像との照合により、指定駐車位置に対する車両10の相対位置を認識することをいう。自動駐車制御部55は、車両10の自己位置認識が可能な場合は、選択した特定のスロットパターンに基づいて、指定駐車位置への自動駐車制御行う。自動駐車制御部55は、車両10の自己位置認識が可能でない場合は、選択した特定のスロットパターンに基づく指定駐車位置への自動駐車制御を行わない。
【0035】
また、自動駐車制御部55は、外界の照度に対応するスロットに指定駐車位置に関する特徴点を含むマップが登録されてなく、特定のスロットパターンが存在しない場合には、マップが登録されている他のスロットパターンの中のいずれかのスロットパターンに基づいて車両10の自己位置認識が可能であるか判定する。自動駐車制御部55は、自己位置認識が可能な場合はそのスロットパターンに基づいて指定駐車位置への自動駐車制御行い、自己位置認識が可能でない場合は指定駐車位置への自動駐車制御を行わない。
【0036】
また、自動駐車制御部55は、登録されているいずれのスロットパターンに基づいても車両10の自己位置を認識することができない場合、車両10のユーザから所定の駐車位置の手動設定を受け付けて、マップが登録された新しいスロットパターンを生成し登録する。
【0037】
EPSシステム22は、舵角センサ100と、トルクセンサ102と、EPSモータ104と、レゾルバ106と、EPS ECU108と、を有する。舵角センサ100は、ステアリング110の舵角θstを検出する。トルクセンサ102は、ステアリング110に加わるトルクTQを検出する。
【0038】
EPSモータ104は、ステアリング110に連結されたステアリングコラム112に対して駆動力又は反力を付与することにより、乗員によるステアリング110の操作支援や駐車支援時の自動操舵を可能とする。レゾルバ106は、EPSモータ104の回転角度θmを検出する。EPS ECU108は、EPSシステム22の全体の制御を司る。EPS ECU108には、入出力部(図示せず)と、演算部(図示せず)と、記憶部(図示せず)とが備えられている。
【0039】
通信部24は、他の通信装置120との間で無線通信を行うことを可能とするものである。他の通信装置120とは、基地局や、他車両の通信装置や、車両10の搭乗者が所持するスマートフォン等の情報端末などである。
【0040】
駆動力制御システム26には、駆動ECU130が備えられている。駆動力制御システム26は、車両10の駆動力制御を実行する。駆動ECU130は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のエンジン等を制御することによって、車両10の駆動力を制御する。
【0041】
制動力制御システム28には、制動ECU132が備えられている。制動力制御システム28は、車両10の制動力制御を実行する。制動ECU132は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両10の制動力を制御する。
【0042】
<自動駐車制御部55による自動駐車制御>
次に、自動駐車制御部55による車両10の自動駐車制御について
図4から
図10を参照して説明する。
【0043】
図4は、車両10を自動駐車する際に、ナビゲーション装置18のタッチパネル42に表示される「自動駐車メニュー」の一例を示す図である。自動駐車メニューの画像は、タッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をタッチ操作することにより表示される。自動駐車ボタン60は、例えば、車両10を駐車させようとするユーザが駐車場の近くまで来たときに、自動駐車メニューを表示させるためにタッチ操作する。
【0044】
図4に示すように、自動駐車メニューの画像には、新規登録ボタン61と、登録済み駐車位置画像ボタン62が表示される。新規登録ボタン61は、新たに指定駐車位置として登録する駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62は、既に登録されている指定駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62としては、例えば、No.1画像ボタン62aに示すように自宅の駐車場を指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンや、No.2画像ボタン62bに示すように駐車頻度の高いコインパーキングを指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンなどが挙げられる。登録済み駐車位置画像ボタン62に表示されている画像は、登録した際の車両10の例えば前方カメラ12Frで撮像された画像である。
【0045】
[新たな駐車位置への自動駐車制御]
先ず、新規登録ボタン61がタッチ操作されたときの自動駐車制御部55による自動駐車制御について
図5から
図9を参照して説明する。
【0046】
図5は、新たな駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
図6は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得される車両10の外界の認識データにより生成された俯瞰画像71(合成画像)に駐車位置76を設定した図である。
図7は、
図6に示す駐車位置76に対する周辺の特徴点を示した図である。
図8は、駐車位置に対して登録される登録内容の一例を示す図である。
図9は、
図8の登録内容に含まれるマップの一例を示す図である。自動駐車制御部55は、新規登録ボタン61がタッチ操作されると、
図5に示す処理を開始する。
【0047】
最初に、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データから外界の照度を算出し、算出された照度が予め設定されている複数のスロットのどのスロットに対応するか判定する(ステップS11)。複数のスロットは、例えば、照度が高い「日中」、照度が低い「夜間」などのように周囲環境の明るさの高低により区別して設定されている。
【0048】
例えば、
図6に示す俯瞰画像71のように、自宅の駐車場72の前に車両10が停車される。そして、新たな指定駐車位置を登録するために、新規登録ボタン61がタッチされると、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって外界の認識データが取得されて外界の照度が算出される。なお、俯瞰画像71には、運転者の住居(建築物)73と、複数の植栽(障害物)74a~74fが撮像されている。駐車場72は、建築物73と障害物74a~74fとの間に指定されている。なお、俯瞰画像71で表示される車両は、車両10を上方から見た様子を示す画像であり、予め生成(撮像)されて記憶部54等に記憶されている車両画像75である。
【0049】
次に、自動駐車制御部55は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受け付ける(ステップS12)。
【0050】
駐車位置の手動設定は、
図6に示すように、車両10を駐車する領域を示す矩形状の駐車位置76をタッチパネル42上でタッチ操作して、車両10を駐車させたい目標駐車位置へスライド移動させることにより設定する。
【0051】
ステップS12において、駐車位置76の手動設定を受け付けると、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rにより取得された外界の認識データから、指定された駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点に基づいて車両10を駐車位置76に自動駐車する(ステップS13)。
【0052】
例えば、
図7に示す俯瞰画像71のように、自動駐車制御部55は、指定された駐車位置76に関する特徴点として、駐車位置76に近い側の建築物73の輪郭の位置を示す建築物特徴点77a~77dや、駐車位置76の周囲に存在する障害物74a~74fの位置を示す障害物特徴点78a~78f等を検出する。
【0053】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS13で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点とステップS12で設定された駐車位置76とで構成されるマップと、ステップS11で算出された照度に対応するスロットと、を対応付けて記憶部54に登録する(ステップS14)。
【0054】
指定された駐車位置76に対して登録される内容は、例えば、
図8の対応テーブル81に示すように、照度に対応するスロットとして照度が高い「日中」、照度が低い「夜間」などのように複数のパターンに分類されている。また、「日中」、「夜間」のスロットにそれぞれ対応して、駐車位置76とその駐車位置76に関する特徴点とのマップが、例えば「マップa」、「マップb」のように登録される。
【0055】
具体的には、駐車位置76とその駐車位置76に関する特徴点とのマップは、
図9に示すマップ91のように、
図7の俯瞰画像71において検出された建築物特徴点77a~77d及び障害物特徴点78a~78fと手動設定された駐車位置76との関連を示すマップとして登録される。なお、
図8の対応テーブル81には、説明の便宜上、「日中」に対応して「マップa」、「夜間」に対応して「マップb」が登録されているが、本例は新規登録ボタン61がタッチ操作された場合の処理であるため、実際に上記ステップS14で登録されるマップは登録時の照度に対応するスロットのマップのみである。
【0056】
これにより、ユーザが指定する駐車位置76が外界の照度に対応する特徴点を備えた指定駐車位置として記憶部54に登録されるとともに、登録済み駐車位置画像ボタン62の一つとして自動駐車メニューに表示される。
【0057】
[登録済み駐車位置への自動駐車制御]
次に、登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されたときの自動駐車制御部55による自動駐車制御について
図10を参照して説明する。
【0058】
図10は、登録済み駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。自動駐車制御部55は、
図4に示す自動駐車メニューの登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されると、
図10に示す処理を開始する。本例では車両10の運転者によってNo.1画像ボタン62aがタッチ操作されたものとする。
【0059】
自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データから外界の照度を判定する(ステップS21)。この判定処理は、上述した
図5におけるステップS11と同様の処理である。
【0060】
次に、自動駐車制御部55は、No.1画像ボタン62aの指定駐車位置に対して、ステップS21で判定された外界の照度に対応するスロットにマップが登録されているか否か判定する(ステップS22)。
【0061】
ステップS22において、対応するスロットにマップが登録されている場合(ステップS22:Yes)には、自動駐車制御部55は、マップが登録されたスロットパターンと現在のカメラ画像とに基づいて、指定駐車位置に対する車両10の相対位置を認識するための自己位置認識処理を行う(ステップS23)。
【0062】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS23の自己位置認識処理において、自己位置を認識することができたか否かの判定を行う(ステップS24)。
【0063】
ステップS24において、自己位置の認識ができた場合(ステップS24:Yes)には、自動駐車制御部55は、このマップが登録されているスロットパターンに基づいて、車両10の運転者によって指定されたNo.1画像ボタン62aの指定駐車位置に車両10を自動駐車する(ステップS25)。
【0064】
ステップS24において、自己位置の認識ができなかった場合(ステップS24:No)には、自動駐車制御部55は、現在の登録されているデータでは車両10を認識することができないことを、例えばタッチパネル42あるいはスピーカ44を介して運転者に通知する(ステップS26)。すなわち、対応するスロットにマップが登録されている場合であっても、自己位置の認識ができなかった場合には、自動駐車制御部55は、指定駐車位置への車両10の自動駐車を行わない。
【0065】
一方、ステップS22において、対応するスロットにマップが登録されていない場合(ステップS22:No)には、自動駐車制御部55は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受け付ける(ステップS27)。自動駐車制御部55は、駐車位置の手動設定を受け付けることを運転者に知らせるために、タッチパネル42に
図6と同様の俯瞰画像を表示するとともに、例えば「自動駐車させるためのデータが不十分です。設定を行ってください。」と表示する。駐車位置の手動設定の方法は、上述した
図5におけるステップS12と同様である。
【0066】
ステップS27において、駐車位置76(
図6参照)の手動設定を受け付けると、自動駐車制御部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rにより取得された外界の認識データから、指定された駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点に基づいて車両10を駐車位置76に自動駐車する(ステップS28)。この自動駐車の処理は、上述した
図5におけるステップS13と同様の処理である。例えば、自動駐車制御部55は、
図7に示すように、指定された駐車位置76に関する建築物特徴点77a~77dや障害物特徴点78a~78f等を検出する。
【0067】
次に、自動駐車制御部55は、ステップS28で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点に基づいて生成されるマップの新規登録を運転者に促す(ステップS29)。例えば、自動駐車制御部55は、
図7に示すような俯瞰画像をタッチパネル42に表示させるとともに、「明るいシーンでの駐車場所を登録することで、駐車の成功率が上がる可能性があります。登録しますか?」、「暗いシーンでの駐車場所を登録することで、駐車の成功率があがる可能性があります。登録しますか?」などと表示させる。その際に、登録する場合にタッチ操作する「登録ボタン」と、登録しない場合にタッチ操作する「非登録ボタン」を表示してもよい。
【0068】
次に、自動駐車制御部55は、運転者がマップを新規登録する操作を行ったか否かの判定を行う(ステップS30)。
【0069】
ステップS30において、マップの新規登録の操作を行った場合(ステップS30:Yes)には、自動駐車制御部55は、ステップS28で検出した指定された駐車位置76に関する特徴点とステップS27で手動設定された駐車位置とで構成されるマップと、ステップS21で算出された照度に対応するスロットと、を対応付けて記憶部54に登録する(ステップS31)。
【0070】
これにより、No.1画像ボタン62aの指定駐車位置に対して設けられている
図8に示す対応テーブル81に、照度に対応するスロットとその特徴点を示すマップが追加して登録される。
【0071】
ステップS30において、マップの新規登録の操作を行わなかった場合(ステップS30:No)には、自動駐車制御部55は、マップを登録せずに本自動駐車制御の処理を終了する。
【0072】
以上説明したように、移動体制御装置の自動駐車制御部55は、外界の認識データと所定の駐車位置とに基づいて車両10を所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する。そして、外界の認識データから算出した外界の照度に基づく複数のスロットパターンにより、指定駐車位置に関する特徴点を含むマップを登録する。この構成によれば、指定駐車位置に関する特徴点が、外界の照度に基づく複数のスロットパターンで登録されるため、車両10の外界の照度が時間帯(昼間と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、指定駐車位置への自動駐車制御を実行することができる。
【0073】
また、自動駐車制御部55は、特徴点の複数のスロットパターンのうち、指定駐車位置への車両10の自動駐車制御の実行時に外界の認識データから取得した照度に対応する特定のスロットパターンを選択し、選択した特定のスロットパターンに基づいて指定駐車位置への車両10の自動駐車制御を行う。これにより、車両10の外界の照度に応じた適切な特徴点のスロットパターンを選択することができ、自動駐車制御の精度を向上させることができる。
【0074】
また、自動駐車制御部55は、指定駐車位置への自動駐車制御の実行時に外界の認識データから取得した照度に対応する特定のスロットパターンに基づいて車両10の自己位置認識が可能でない場合は、その対応する特定のスロットパターンに基づく指定駐車位置への自動駐車制御を行わない。このように、車両10の自己位置認識が可能でない場合は自動駐車制御を行わないことで安全性を維持することができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態では、外界の照度に応じて「日中」と「夜間」のスロットに分類しているが、これに限定されない。例えば、直接的な照度の高低に応じて「高」と「低」などのスロットに分類してもよい。さらに、「高」「中」「底」のように3通り以上のスロットに分類してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、自動駐車制御部55の自動操舵によって車両10を自動駐車する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、運転者の操作によって車両10を駐車させる際の補助を行う駐車支援に本発明を適用するようにしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの俯瞰画像(合成画像)を用いて車両10の駐車位置や駐車位置及び周辺の特徴点を説明しているが、これに限定されない。例えば、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rのうちのいずれかのカメラで撮像された画像を用いて説明してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、自動駐車制御部55が俯瞰画像71等を車両10のタッチパネル42に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、自動駐車制御部55は、通信部24を介して、車両10の搭乗者が所持する情報端末(例えばスマートフォン等)の表示画面上に俯瞰画像71等を表示するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、指定駐車位置に関する特徴点を含むマップや外界の照度に基づくスロットなどの情報を車両10の記憶部54に登録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、車両10と通信可能に接続されるスマートフォンやサーバ等の他装置の記憶部にこれらの情報を登録するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、登録済みの駐車位置に車両10を駐車させる際に、ユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62をタッチ操作する場合(
図4のNo.1画像ボタン62aを選択してタッチ操作する場合)を説明したが、これに限定されない。例えば、車両10を自動駐車する際にタッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をユーザがタッチ操作すると、自動駐車の実行時に撮像される俯瞰画像と登録済みの俯瞰画像とを比較して、今回どこの駐車位置に駐車させようとしているのかを自動駐車制御部55が自動判断し、例えば
図10の処理を開始するようにしてもよい。これにより、車両10のユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62の中から今回駐車させる駐車位置のボタンを見つけて選択する操作をなくすることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、移動体を車両(四輪の自動車)とした例を説明したが、これに限らない。例えば、二輪車、セグウェイ等の車両であってもよい。さらに、本発明の思想は、車両に限らず、駆動源を備えて駆動源の動力により移動可能なロボット、船舶、航空機などにも適用することができる。
【0083】
なお、前述した実施形態で説明した移動体制御方法は、予め用意された移動体制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本移動体制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本移動体制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本移動体制御プログラムを実行するコンピュータは、移動体制御装置に含まれるものであってもよいし、移動体制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら移動体制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0084】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0085】
(1) 移動体(車両10)の外界の認識データを取得する外界認識部(前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12R)と、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付ける受付部(タッチパネル42)と、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部(自動駐車制御部55)と、を備え、
前記制御部は、前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
移動体制御装置。
【0086】
(1)によれば、指定駐車位置に関する特徴点を、外界の照度に基づく複数のパターンで登録するため、移動体の外界の照度が時間帯(昼間と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、指定駐車位置への自動駐車制御を実行できる。
【0087】
(2) (1)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記特徴点の複数のパターンのうち、前記指定駐車位置への前記自動駐車制御の実行時に前記外界の認識データから取得した前記照度に対応する特定のパターンを選択し、前記特定のパターンに基づいて前記指定駐車位置への前記自動駐車制御を行う、
移動体制御装置。
【0088】
(2)によれば、移動体の外界の照度に応じた適切な特徴点のパターンを選択でき、自動駐車制御の精度を向上できる。
【0089】
(3) (2)に記載の移動体制御装置であって、
前記制御部は、前記特定のパターンに基づいて前記移動体の自己位置認識が可能でない場合は、前記特定のパターンに基づく前記指定駐車位置への前記自動駐車制御を行わない、
移動体制御装置。
【0090】
(3)によれば、移動体の自己位置認識が可能でない場合は自動駐車制御を行わないことで、安全性を向上できる。
【0091】
(4) 移動体制御装置のプロセッサが、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
移動体制御方法。
【0092】
(4)によれば、指定駐車位置に関する特徴点を、外界の照度に基づく複数のパターンで登録するため、移動体の外界の照度が時間帯(昼間と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、指定駐車位置への自動駐車制御を実行できる。
【0093】
(5) 移動体制御装置のプロセッサに、
移動体の外界の認識データを取得し、
前記移動体のユーザから所定の駐車位置の指定を受け付け、
前記外界の認識データと前記所定の駐車位置とに基づいて前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を行い、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録し、
前記外界の認識データから算出した前記外界の照度に基づく複数のパターンにより、前記指定駐車位置に関する特徴点を登録する、
処理を実行させるための移動体制御プログラム。
【0094】
(5)によれば、指定駐車位置に関する特徴点を、外界の照度に基づく複数のパターンで登録するため、移動体の外界の照度が時間帯(昼間と夜間など)や天候(晴天と曇天など)等により変化しても、指定駐車位置への自動駐車制御を実行できる。
【符号の説明】
【0095】
10 車両(移動体)
12Fr 前方カメラ(外界認識部)
12Rr 後方カメラ(外界認識部)
12L 左側方カメラ(外界認識部)
12R 右側方カメラ(外界認識部)
42 タッチパネル(受付部)
55 自動駐車制御部(制御部)