(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064416
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20240507BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022172991
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福田 哲
(72)【発明者】
【氏名】安島 怜甫
(72)【発明者】
【氏名】松永 翼
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AK41A
4F100AK41B
4F100BA02
4F100DD01B
4F100DE01B
4F100EH20
4F100EJ38
4F100EJ41
4F100EJ42
4F100GB41
4F100JN01
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】本発明は、添加粒子による露光時の紫外光の散乱を低減し、レジストパターン壁面に生じる凹凸の発生を抑制できるドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
【解決手段】一方の表面を形成するA層、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成され、少なくとも一層の粒子を含有しない層を有し、少なくとも一方の表面を構成する層に粒子を含有するポリエステルフィルムであり、粒子を含む層をフィルム表面からマイクロスコープで観察した時に存在する粒子について、粒子の外接直方体の最も長い一辺の長さ(以下、粒子長径)別に個数カウントしたときに、粒子長径1.0μm以上の粒子数が総粒子数の25%未満であり、前記ポリエステルフィルムをドライフィルムレジストの支持体として用いてレジストパターンを形成した際に、レジストパターン壁面に発生する1μm以上4μm未満の凹凸が10個/1mm以下であることを特徴とする、ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の表面を形成するA層、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成され、少なくとも一層の粒子を含有しない層を有し、少なくとも一方の表面を構成する層に粒子を含有するポリエステルフィルムであり、粒子を含む層をフィルム表面からマイクロスコープで観察した時に存在する粒子について、粒子の外接直方体の最も長い一辺の長さ(以下、粒子長径)別に個数カウントしたときに、粒子長径1.0μm以上の粒子数が総粒子数の25%未満であり、前記ポリエステルフィルムをドライフィルムレジストの支持体として用いてレジストパターンを形成した際に、レジストパターン壁面に発生する1μm以上4μm未満の凹凸が10個/1mm以下であることを特徴とする、ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項2】
フィルムヘイズが1.0%未満である、請求項1に記載のドライフィルムレジスト用二軸配向ポリエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライフィルムレジスト(以下DFRと呼ぶ場合がある)は、プリント配線基板、半導体パッケージ、フレキシブル基板などの回路を形成するために用いられている。DFRは、感光層(フォトレジスト層)を、支持体としてのポリエステルフィルム上に積層させた後、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポイエステルフィルムなどからなる保護フィルム(カバーフィルム)で挟んだ構造をしている。このDFRを用いて導体回路を作成するには、一般的に次のような工程で行われる。
【0003】
DFRから保護フィルムを剥離し、露出したレジスト層の表面と、基板上の銅箔などの導電性基材層の表面とが密着するように、基板・導電性基材層とラミネートする工程。
【0004】
次に、導体回路パターンを焼き付けたフォトマスクを、ポリエステルフィルムからなる支持体上に置き、その上から、感光性樹脂を主体としたレジスト層に紫外線を照射して、露光させる工程。
【0005】
その後、フォトマスクおよびポリエステルフィルムを剥離した後、溶剤によってレジスト層中の未反応分を溶解、除去する工程。
【0006】
次いで、酸などでエッチングを行い、導電性基材層中の露出した部分を溶解、除去する工程。
【0007】
これらの工程の後には、レジスト層中の光反応部分とこの光反応部分に対応する導電性基材層部分がそのまま残り、その後、残ったレジスト層を除去する工程を経て、基材上の導体回路が形成されることになる。このため、支持体であるポリエステルフィルムには、紫外線を効率的に透過することが要求される。これにより、導体回路パターンが、正確にレジスト層上に反映される。特に、近年では、IT機器など小型化、軽量化などに伴い、プリント配線板の微細化、高密度化が進んでおり、配線の幅や配線の間隔が10μ未満といった微細パターンを形成し、高解像化を達成できるドライフィルムレジスト支持体用ポリエステルフィルムが要求されている。また、支持体としてのポリエステルフィルムは、支持体上にレジスト層を形成してレジストフィルムを製造する際のハンドリング性を良好にするために、適度なすべり性を有することが重要であるが、適度な滑り性を付与するために易滑剤としての粒子を含有させた場合、含有させた粒子が凝集し、露光工程時の紫外線照射の際、粒子による光の屈折と散乱が引き起こされ、レジストの解像度を低下させてしまうという問題が生じていた。
【0008】
これらの露光阻害を低減するため、特許文献1にはポリエステルフィルム内部を観察したときの長径10μm以上の凝集体個数と2μm以上10μm未満の凝集体個数を一定範囲内とすることを特徴とするドライフィルムレジスト用ポリエステルフィルムが提案されている。また、特許文献2にはポリエステルフィルムに配合する帯電防止剤の金属触媒量を制限することで、帯電防止剤由来の金属触媒の粗大物形成を抑制し、欠陥の少ないレジストを形成する二軸配向ポリエステルフィルムが提案されている。また、特許文献3にはポリエステルフィルムに粒子を含有した塗布層を設け、塗布層の表面を観察した時の粒径30~80nm、100~400nmの粒子および粒径1μmを超える粒子個数を一定範囲内とすることを特徴とするドライフィルムレジスト基材用ポリエステルフィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2022-19775号広報
【特許文献2】特開2019-152828号広報
【特許文献3】特開2019-143132号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、これら前記の提案でも、現像後のレジストパターニングのゆがみや、レジストパターン壁面に生じる凹凸などの欠陥が十分に解消できず、これらのDFRを用いた導体回路を作成する工程において歩留まり悪化につながる問題がある。レジストパターニングのゆがみや壁面の凹凸の発生要因としては、ポリエステルフィルム内部に添加された粒子の凝集体を核として、延伸過程で形成される気泡(ボイド)が挙げられ、この粒子凝集体を含有するボイドが存在すると、露光工程で照射された紫外線が散乱し、パターン通りにレジストが硬化しない。ベースフィルムに含有させる粒子の凝集を防ぎ、上記の粒子凝集体含有ボイドを減らすために、粒子の添加量を少なく、また、サイズを小さくした結果、フィルム製造工程や上記DFR製造工程にて収率が低下、特に、すべり性が悪化したことで巻取りに関わる問題が目立って発生している
これらの事情に鑑み、本発明は、添加粒子により適正なすべり性を付与した上で、フィルム表面に存在する総粒子中の粒子長径1.0μm以上の粒子凝集体比率を制御することで、露光時の紫外光の散乱を低減し、ハンドリング性を維持したうえで、レジストパターン壁面に生じる凹凸の発生を抑制できるドライフィルムレジスト支持体に好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。
【0012】
(1)一方の表面を形成するA層、他方の表面を形成するB層の少なくとも2層から構成され、少なくとも一層の粒子を含有しない層を有し、少なくとも一方の表面を構成する層に粒子を含有するポリエステルフィルムであり、
粒子を含む層をフィルム表面からマイクロスコープで観察したときに存在する粒子について、粒子の外接直方体の最も長い一辺の長さ(以下、粒子長径)別に個数カウントしたときに、粒子長径1.0μm以上の粒子数が総粒子数の25%未満であり、前記ポリエステルフィルムをドライフィルムレジストの支持体として用いてレジストパターンを形成した際に、レジストパターン壁面に発生する1μm以上4μm未満の凹凸が10個/1mm以下であることを特徴とする、ドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルム。
【0013】
(2)フィルムヘイズが1.0%未満である、請求項1に記載のドライフィルムレジスト用二軸配向ポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、添加粒子の凝集体による露光時の紫外光線の屈折や散乱を低減し、レジストパターン壁面に生じる凹凸の発生を抑制し、導体回路を作成する工程において歩留まりの良いドライフィルムレジスト支持体用二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のドライフィルムレジスト用二軸配向ポリエステルフィルム(以下、単に「本発明の二軸配向ポリエステルフィルム」ということがある)は、少なくとも2層の積層構造を有しており、少なくとも一層の粒子を含有しない層を有し、少なくとも一方の表面を構成する層に粒子を含み、粒子を含む層の表面をマイクロスコープにより観察したときに存在する粒子について、粒子長径1.0μm以上の粒子数が総粒子数の25%未満である。粒子長径1.0μm以上の粒子数が総粒子数の25%以上の場合、DFRとして導体回路を形成する際に、レジスト面から照射された紫外光線が屈折や散乱し、レジストパターン壁面に凹凸を生ぜしめることがある。
【0016】
長径粒子1.0μm以上の粒子数を総粒子数の25%未満とする方法は特に限定されるものではなく、ポリエステルフィルムに含有させる粒子種、粒子径を制御する方法や、溶融製膜時に用いる異物捕集フィルターのメッシュサイズを制御する方法が挙げられる。また、粒子を含む層に混合する粒子含有マスターペレットの粒子濃度を薄めた低濃度粒子マスターペレットを作成し、フィルム中の粒子量が変化しないように低濃度マスターペレットの混合比率を高くすることは、フィルム中の粒子量が変化しないためにすべり性が悪化することなく、粒子含有マスターペレット作成時に起こる粒子凝集を抑制し、フィルム中の粒子の分散性を良好に保つことができるため好適である。
【0017】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ドライフィルムレジストの支持体として用いて導体回路を形成した際の直線回路部の回路壁面に発生する1μm以上4μm未満の壁面凹凸が10個/1mm以下である。回路壁面に発生する1μm以上4μm未満の壁面凹凸が10個/1mmを超えると、回路短絡や欠損による歩留まりが悪化するため好ましくない。また、回路壁面に発生する凹凸が4μm以上となると、近年の配線の幅や配線の間隔が10μ未満といった微細回路形成することができないため好ましくなく、回路壁面に発生する凹凸が1μm未満であれば回路短絡や欠損には影響しないため問題ない。
【0018】
さらに、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムでは、フィルムヘイズは1.0%未満であることが好ましい。フィルムヘイズが1.0%以上であると、ポリエステルフィルムにレジスト層を積層した後、紫外線を露光するにあたってのレジスト層の支持体であるポリエステルフィルムによる紫外光線の散乱が大きくなるため、現像後のレジストのパターニングにゆがみや、抜け、レジストパターン壁面の状態が悪化する場合や、ポリエステルフィルムの透過率が阻害される場合がある。
【0019】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸配向していることが必要である。本発明における、二軸配向とは、二次元方向に延伸された状態(広角X線回折で二軸配向のパターンを示すもの)を指す。延伸は、逐次二軸延伸、同時二軸延伸を採用することができる。逐次二軸延伸は、長手方向(縦)および幅方向(横)に延伸する工程を。縦-横の1回ずつ実施することもできるし、縦-横-縦-横など、2回ずつ以上実施することもできる。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、ポリエステル樹脂を主成分とするとは、少なくとも70%モル以上が、ジカルボン酸とジオール、およびそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体または低重合体からの重合により得られるポリエステルである。本発明では、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0021】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、などであり、特にはテレフタル酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、イソフタル酸など他の芳香族ジカルボン酸、あるいは脂肪酸を一部共重合してもよい。
【0022】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、などを挙げることができ、中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0023】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルとしては、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポチエチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体等を挙げることができ、特に、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0024】
本発明に使用するポリエステルは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつつ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分としてジアルキルエステルを用い、これとジオール成分とでエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させることによって製造する方法などが採用できる。この際、必要に応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることもできる。
【0025】
上記ポリエステルの固有粘度は下限0.5dl/g、上限0.8dl/gが好ましい。さらに好ましくは下限0.55dl/g、上限0.70dl/gである。
【0026】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含まれる粒子としては、有機、無機の粒子を用いることができるが、有機系としては、例えば、ポリイミド系樹脂、オレフィンあるいは変性オレフィン系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂など、無機系としては、例えば、真球状シリカ、酸化珪素、炭酸カルシウム、凝集アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、クレー、タルク、硫酸バリウムなどが挙げられる。これらの粒子の採用に当たっては、光線透過率およびヘイズ値の上昇を抑制するため、粒子表面を界面活性剤などで表面改質し、ポリエステルとの親和性を改善する方法が添加粒子周辺でのボイド発生を抑制する点で好ましい。また、粒子形状が球状に近く、ポリエステルとの屈折率に差が少ないほうが、フィルム層内を紫外線が通過する際の散乱項を抑制することができる。特に、コロダイルシリカ、有機粒子が好ましく、シリコーン粒子、架橋ポリスチレン粒子が好適である。中でも、乳化重合で調整された、スチレン-ジビニルゼンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は粒子形状が真球に近く、粒子径分布が均一であることから、均一な突起形成を図ることが可能な点で好ましい。スチレン-ジビニルゼンゼン共重合体からなる架橋ポリスチレン粒子は、少なくとも一方の粒子を含有する表面層を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましい。
【0027】
また、粒子を含有する表面を構成する層には、凝集アルミナを併用することも望ましい形態の一つである。ここで、凝集アルミナは、平均一次粒子径が5nm以上30nm未満の粒子が数個から数百個凝集したものを表す。凝集アルミナの平均一次粒径は、8nm以上15nm未満であることがより好ましい。当該凝集アルミナは、無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解法、あるいはアルコキシドアルミナの加水分解などによって製造されたものが採用できる。凝集アルミナは、結晶型としてδ(デルタ)型、シータ(シータ)型、γ(ガンマ)型などが知られているが、とくにδ型アルミナが好適に使用できる。これらの凝集アルミナについて、ポリエステル重合時に添加することで使用に供せるが、例えば、ポリエステル重合時の原料の一部であるエチレングリコールのスラリーとして、サンドグラインダーなどの粉砕、分散を行い、精密濾過を行うことによって、平均二次粒子径が0.01μm以上0.2μm未満の凝集アルミナを得ることができる。このようにして得られた凝集アルミナをフィルム中に添加した場合、二軸延伸によって、面方向に配置されるため、実質的突起を形成せず、表面粗さへの影響が少なく、また、透過性が良いため、光線透過率およびヘイズの劣化を抑制できる。凝集アルミナを含有せしめることにより、フィルム表面の地肌補強効果が大きく得られ、耐摩耗性が向上し、延伸等のロールとの接触時に発生する凹み欠点を抑制するという効果が得られる。ここで平均一次粒子径とは、凝集アルミナ粒子を構成する凝集前のアルミナ単体の体積平均粒子径であり、平均二次粒子径とは、凝集アルミナ粒子の体積平均粒子径を言う。
【0028】
凝集アルミナは粒子を含有する表面層を構成するポリエステル樹脂組成物に含有させることが好ましく、その含有量は粒子を含有する表面層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.1質量%以上5質量%未満が好ましい。含有量が0.1質量%を下回る場合、前述した地肌補強効果が十分に得られず、ハンドリング時のロールとの接触時に発生する凹み欠点が発生しやすくなる問題や、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布ムラが発生することや、塗布後の巻取り時に噛みこんだ空気が抜けにくくなることによる、巻きずれを起こすことがある。含有量が5質量%以上の場合、凝集アルミナ同士がさらに凝集しやすい傾向となり、露光工程での光の入射角が不均一になることによる光の反射や散乱の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。
【0029】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の粒子を含有する表面層には、体積平均粒子径DAが0.2μm未満の粒子Aと、体積平均粒子径DBが0.2μm以上0.5μm未満の粒子Bを含む2種類上の粒子を含むことが好ましい。なお、体積平均粒子径とは、後述する方法で求められる粒子の円相当径のデータの大きいほうからの上位2%の中間値を表す。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含有する粒子の体積平均粒子径が0.5μm以上の場合、粒子による影響がレジストパターンを形成する際のノイズとなり、レジストパターンの欠けを誘発する場合がある。また、含有する粒子の体積平均粒子径が0.2μm未満では、レジスト塗布工程にてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布ムラが発生しやすい。また、塗布後の巻取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることにより、巻きずれを起こすことがある。さらに具体的には、粒子Aとして凝集アルミナを、粒子Bとして架橋ボリスチレン粒子とを併用して含有させることにより、良好なハンドリング性を得ることが可能となる。
【0030】
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも一方の粒子を含有する表面層に含まれる添加粒子の体積平均粒径が0.2μm以上0.5μm以下の粒子Bの合計含有量は、粒子を含有する表面層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.01質量%以上0.1質量%未満であることが好ましい。合計含有量が0.01質量%を下回る場合、レジスト塗布工程においてハンドリング性が悪化し、塗布が不安定となり、塗布ムラが発生しやすい。また、塗布後の巻取り時に、噛み込んだ空気が抜けにくくなることにより、巻きずれを起こすことがある。合計含有量が0.1質量%以上の場合、粒子同士が凝集しやすい傾向となり、延伸されると凝集した粒子を核としてボイド(空隙)を形成し、レジスト面から照射された紫外光線がポリエステルフィルムとボイドの界面での反射や屈折の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。
【0031】
本発明の二軸配向ポリエステルに添加する体積平均粒径が0.2μm以上0.5μm以下の粒子Bは、粒子Bを含有するマスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを混合して上記合計含有量となるよう調整するが、粒子Bを含有するマスターペレットに対する粒子Bの含有量は0.2質量%以上2.0質量%未満であることが好ましい。粒子含有マスターペレット内の粒子B含有量が0.2質量%未満の場合、二軸配向ポリエステルフィルムの粒子を含有する表面層に含まれる粒子B含有量を、粒子を含有する表面層を構成するポリエステル樹脂組成物全体に対して0.01質量%以上0.1質量%未満とする際に粒子Bを含有するマスターペレットの混合率が高くなり、粒子Aを含有するマスターペレットや必要に応じて混合する他の粒子マスターペレットや帯電防止剤を含むペレットを混合することができなくなる。また、粒子含有マスターペレット内の粒子B含有量が2.0質量%以上の場合、マスターペレット作成時に粒子同士が凝集しやすく、二軸配向ポリエステルフィルムとしたときに粒子凝集と凝集した粒子を核としたボイド(空隙)が形成され、レジスト面から照射された紫外光線がポリエステルフィルムとボイドの界面での反射や屈折の影響により、レジストパターンの抜けが生じることがある。
【0032】
次に本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。共押出し法による溶融製膜におけるポリエステルに不活性粒子を含有せしめる方法としては、例えばジオール成分であるエチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、例えば2μm以上もしくは5μm以上の粗大粒子を95%以上捕集できる高精度濾過を行った後、このエチレングリコールスラリーをポリエステル重合完結前の任意段階で添加する。ここで、粒子を添加する際には、例えば、粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が良好であり、粗大突起の発生を抑制でき好ましい。また粒子の水スラリーを直接、所定のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の二軸混練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明の効果に有効である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で所定濃度の粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。この際、粒子を含有しないPETの固有粘度を粒子含有ペレットの固有粘度よりも高く調整しておくことで、上記した粒子含有ボイドの密度を制御することができる。また、粒子含有ペレットの固有粘度が粒子を含有しないPETの固有粘度よりも高い場合や同じ場合は、粒子の分散性が低下し粒子間距離が近くなることにより、粒子含有ボイドの密度が高くなる傾向にある。
【0033】
このようにして、各層のために準備した、粒子含有マスターペレットと粒子などを実質的に含有しないペレットを所定の割合で混合し、乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、公知の溶融積層用押出機に供給する。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造における押出機は、一軸、二軸の押出機を用いることができる。また、ペレットの乾燥工程を省くために、押出機に真空引きラインを設けた、ベント式押出機を用いることもできる。また、中間層を設ける場合には、最も押出量が多くなるため、ペレットを溶融する機能と、溶融したペレットを一定温度に保つ機能をそれぞれの押出機で分担する、いわゆるタンデム押出機を用いることができる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおける表面を構成する層の押出しには、二軸式ベント式押出機を用いることが、粒子の分散性を良好に保ち、粒子の凝集を抑制することができるため、好ましい。
【0034】
押出機で溶融して押出したポリマーは、フィルターにより濾過する。ごく小さな異物もフィルム中に入ると粗大突起欠陥となるため、フィルターには例えば2μm以上もしくは5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いることが有効である。続いて、スリット状のスリットダイからシート状に押し出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、複数の押出機、複数層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば矩形合流部を有する合流ブロック)を用いて積層し、口金からシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、背圧の安定化および厚み変動の抑制の観点からポリマー流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する方法は有効である。
【0035】
延伸方法は同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であってもよい。逐次延伸の場合、長手方向の延伸温度は好ましくは90℃以上130℃未満、更に好ましくは105℃以上110℃未満である。延伸温度が90℃未満になるとフィルムが破断しやすく、延伸温度が130℃以上になるとフィルム表面が熱ダメージを受けやすくなるため好ましくない。また、延伸ムラ、およびキズを防止する観点からは延伸する前に予熱ゾーンを設け、段階的に加熱することが有効で有り、長手方向の予熱温度は65℃~135℃が好ましく、更に好ましくは70℃~130℃である。
【0036】
長手方向の延伸倍率は好ましくは3倍以上4.5倍未満、更に好ましくは3.5倍以上4.3倍未満である。
【0037】
得られた一軸延伸フィルムは一旦冷却される。冷却温度は18℃以上40℃以下が好ましく、更に好ましくは21℃以上35℃以下である。冷却を行うことで幅寸法安定性が安定し、本発明の平滑なフィルム表面であったとしても、フィルム搬送ロールでのキズの防止とシワを抑制することができる。
【0038】
引き続き公知のステンターオーブンにより幅方向に延伸されて二軸延伸フィルムとなる。フィルムはステンターオーブン内のレール上を走行するクリップに把持された状態で、オーブン中で再び樹脂のガラス転移温度以上に加熱され、クリップが走行するレールの広がりに伴い幅方向に延伸される。このとき、幅方向の延伸倍率は好ましくは3.2倍以上5倍未満、更に好ましくは4.0倍以上4.6倍未満である。
【0039】
ここで、フィルムの表面粗さと表面傾斜を制御するために、段階的にフィルムを加熱することが重要である。一軸延伸フィルムを幅手方向に延伸する前に90℃以上110℃以下で加熱し、十分にガラス転移温度以上に加熱されたフィルムを105℃以上110℃以下で幅手方向に延伸することで、フィルムの延伸が容易となり、フィルム表面を形成する粒子による微少な延伸ムラを抑制することができる。
【0040】
次に、得られた二軸延伸フィルムの熱処理を行うことができる。熱処理は幅方向の延伸に引き続き同じステンターオーブン内で行っても、幅方向の延伸を行ったステンターオーブンとは別のオーブンで行ってもよい。熱処理の温度は、好ましくは170℃以上250℃以下である。熱処理を行うことにより、その後の加工工程や最終製品として使用する時に高温下に晒されたときの寸法安定性が向上するため好ましい。また、熱処理時に幅方向にフィルムを0%より大きく8%以下の条件で弛緩させ、さらに寸法安定性を向上させることも好ましい。
【0041】
二軸延伸後のフィルムは、オーブンから出るときに冷却することが好ましい。冷却温度は100℃以上130℃以下が好ましく、更に好ましくは110℃以上125℃以下である。冷却をすることで幅寸法が安定し、本発明の平滑なフィルム表面であったとしても、フィルム搬送ロールでのキズの防止とシワを抑制することができる。
【0042】
続いて、エッジを切断して巻き取った後、中間製品を得る。この搬送工程にて、フィルムの厚みを測定し、該データをフィードバックして用いて、ダイ厚みなどの調整によってフィルム厚みを調整し、また、欠点検出器による異物検知を行う。
【0043】
エッジの切断時には、切粉の発生を抑制することが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて好ましい。エッジの切断には丸刃、シェアー刃、ストレート刃を使用するが、ストレート刃を用いる場合は、刃がフィルムに当たる箇所を常に同じ箇所にさせないことが、刃の摩耗を抑制できるため好ましい形態である。このため、刃を上限までオシレーションする機構を有することが好ましい。また、フィルム切断箇所に吸引装置を設けて、発生した切り粉や、切断後のフィルム端部同士が削れて発生する削れ粉を吸引することが好ましい。
【0044】
中間製品はスリット工程により適切な幅・長さにスリットして巻き取り、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのロールが得られる。スリット工程におけるフィルムの切断時も、先述のエッジの切断と同様な切断の方式から選定できる。
【0045】
中間製品を所望の幅にスリットし、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る。こうして得られる本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、良好な透過性、すべり性を有するため、ドライフィルムレジスト支持体用に好適に用いることができる。
【実施例0046】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。
【0047】
(測定方法)
(1)添加粒子の体積平均粒子径
フィルム表面を構成する層に添加する粒子の粒子径については次のように測定する。フィルムからポリマーをプラズマ低温灰化処理法で除去し、粒子を露出させる。処理条件は、ポリマーは灰化されるが粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。処理後の試料を走査型電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所製 S-4000型)で観察し、粒子画像をイメージアナライザ(株式会社ニレコ製 LUZEX_AP)に取り込み、等価円相当径を測定し、粒子の体積平均粒子径を求める。SEMの倍率は粒子径により、5000~20000倍から適宜選択する。任意に観察箇所をかえて、少なくとも粒子数5000個の粒子の体積粒子径を測定し、その平均値を体積平均粒子径とした。
【0048】
フィルム表面を構成しない層については、フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM:株式会社日立製作所製H-600型)を用いて、粒子径により、3,000~20,000倍で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて1,000個の粒子の等価円相当径を測定し、その平均値を体積平均粒子径とした。
【0049】
なお、粒子の体積平均粒子径を測定する際に、SEMおよびTEMで観察した際に5,000倍で10視野確認しても、粒子が認められなかった場合には、粒子を実質的に含有しないと判断する。
【0050】
(2)フィルム表面に存在する粒子長径1.0μ以上の粒子比率
二軸配向ポリエステルフィルムを5cm×5cmに切り出し、粒子を含有する層の表面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス製VK-H7000)で1500倍の対物レンズを用いて、長手方向500μm×幅方向500μmの画像を取り込む。取り込んだ画像を2値化処理し、解析ソフト(キーエンス製VK-H7000内蔵ソフト「コンタミ解析」)を用いて、フィルム表面に存在する粒子数を計測した。同様の作業を5視野分繰り返し、その合計個数から、全検出粒子個数のうちの粒子長径1.0μm以上の粒子個数比率を求めた。なお、本発明でいう粒子長径とは、前記レーザー顕微鏡により検出される粒子径が最も長く測定される長さを指す。
【0051】
(3)レジストパターン壁面凹凸数
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおけるレジストの解像度の目視評価方法は、以下のような手順で行った。
(i)片面鏡面研磨した6インチSiウエハー上に、東京応化(株)製のネガレジスト“PMER N-HC600”を塗布し、大型スピナーで回転させることによって厚み7μmのレジスト層を作製した。次いで、窒素循環の通風オーブンを用いて70℃の温度条件で、約20分間の前熱処理を行った。
(ii)ポリエステルフィルムのA層側表面をレジスト層と接触するように重ね、ゴム製のローラーを用いて、レジスト層上にポリエステルフィルムをラミネートし、その上に、クロム金属でパターニングされたフォトマスクを配置し、そのフォトマスク上からI線ステッパーを用いて露光を行った。
(iii)レジスト層からポリエステルフィルムを剥離した後、現像液N-A5が入った容器にレジスト層を入れ約1分間の現像を行った。その後、現像液から取り出し、水で約1分間の洗浄を行った。
(iv)現像後に作成されたレジストパターンの状態を走査型電子顕微鏡SEMを用いて倍率1,000倍で視野を変えながら直線回路部分を合計1mm分観察し、レジストパターン壁面に生じた1μm以上4μm未満の凹凸の個数をカウントした。
【0052】
(4)フィルムの厚み
フィルムロールよりフィルムを巻き出して、デジタルマイクロメータMDC-25MJ((株)ミツトヨ製)を用いてフィルム幅方向と平行に引いた直線上にある10点の厚みを測定し、その平均値をフィルム厚み(μm)とした。
【0053】
(5)フィルムヘイズ
JIS K7105-1981に準じ、フィルム幅方向の中央部から、長手4.0×幅3.5cmの寸法に切り出したものをサンプルとし、ヘイズを、ヘイズメータ(スガ試験機製HGM-2DP(C光源用))を用いて測定する。
【0054】
(6)導体回路の歩留まり評価
二軸配向ポリエステルフィルムをドライフィルムレジストの支持体として用いたDFRを使用して導体回路を作成する工程において実施したオープンショート試験の結果から、オープン不良またはショート不良の発生率が5%未満のものを◎、5%以上10%未満のものを〇、10%以上のものを×と評価した。
【0055】
(原料)
(ポリエステルAの作成)
テレフタル酸86.5重量部とエチレングリコール37.1重量部を255℃で、水を留出しながらエステル化反応を行う。エステル化反応終了後、トリメチルリン酸0.02重量部、酢酸マグネシウム0.06重量部、酢酸リチウム0.01重量部、三酸化アンチモン0.0085重量部を添加し、引き続いて、真空下、290℃まで加熱、昇温して重縮合反応を行い、固有粘度0.63dl/gのポリエステルペレットを得た。(ポリエステルA)。
【0056】
(ポリエステルBの作成)
上記と同様にポリエステルを製造するにあたり、エステル交換後、体積平均粒子径0.06μm、体積形状係数f=0.51、モース硬度7の球状シリカをそれぞれ添加し、重縮合反応を行い、粒子をポリエステルに対し1.0重量%含有するシリカ含有マスターペレットを得た(ポリエステルB)。なお、用いる球状シリカは、エタノールとエチルシリケートとの混合溶液を攪拌しながら、この混合溶液に、エタノール、純水、および塩基性触媒としてアンモニア水からなる混合溶液を添加し、得られた反応液を攪拌して、エチルシリケートの加水分解反応およびこの加水分解生成物の重縮合反応を行なった後に、反応後の攪拌を行い、単分散シリカ粒子を得た。
【0057】
(ポリエステルC、D、E、Fの作成)
モノマーを吸着させる方法によって得た体積平均粒子径0.30μm、体積形状係数f=0.51のジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子の水スラリーを、上記の実質的に粒子を含有しないホモポリエステルペレットに、ベント式二軸混練機を用いて含有させ、体積平均粒子径0.30μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子をポリエステルに対し0.2重量%含有するマスターペレットを得る(ポリエステルC)。また、体積平均粒子径0.3μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有マスターペレットは、ポリエステルに対しそれぞれ2.0重量%、3.0重量%含有するマスターペレットを同様にして得た(ポリエステルD、E)。さらに、体積平均粒子径0.45μmのジビニルベンゼン/スチレン共重合架橋粒子含有マスターペレットは、ポリエステルに対し1.0重量%含有するマスターペレットを同様にして得た(ポリエステルF)。
【0058】
(ポリエステルGの作成)
さらに、凝集アルミナとしてδ型-アルミナを10質量%のエチレングリコールスラリーとし、サンドグラインダーを用い、粉砕、分散処理を行い、さらに捕集効率95%の3μmフィルターを用いて濾過し、これを前記と同様に調整したエステル交換反応物に添加し、引き続き三酸化アンチモンを加え、重縮合反応を行い、凝集アルミナを1.5重量%含有する、固有粘度0.62dl/gのマスターペレットを得た。(ポリエステルG)。
【0059】
(実施例1)
各層について表1に示した配合で調合した原料の混合物を、ブレンダー内で攪拌した後、A層、B層の原料は攪拌後の原料を、A層用、B層用のベント付き二軸押出機に供給し、C層の原料は120~140℃で1時間以上減圧乾燥し、C層用の一軸押出機に供給した。続いて、275℃で溶融押出し、A層、B層は5μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルター、B層は2μm以上の異物を95%以上捕集する高精度なフィルターにて濾過した後、矩形の3層用合流ブロックで合流積層し、A層とB層がフィルム表面となるよう3層積層した。その後、285℃に保ったスリットダイを介し冷却ロール上に静電印可キャスト法を用いて表面温度23℃のキャスティングドラムに巻き付け冷却固化して未延伸積層フィルムを得た。
【0060】
この未延伸フィルムを68~132℃の加熱ロールで予熱後、表面粗さRaが0.2μmの延伸ロールを用いて104~110℃で長手方向4倍に延伸し、続けて、延伸温度よりも81~89℃下げて、一軸延伸後のフィルムを冷却させた。さらに、引き続いてステンタにて104~111℃の熱風下で幅方向に4.3倍延伸後、定張下、232℃で3秒間熱処理し、その後、長手方向に0.1%、幅方向に3.3%の弛緩処理を施し、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムの中間製品を得た。この中間製品をスリッターにてスリットし、厚さ16μmの二軸配向ポリエステルフィルムのロールを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示した。このように本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは粒子を含む層のフィルム表面に存在する粒子長径1.0μm以上の粒子率が低く、レジスト壁面の直線性および導体回路形成時の歩留まりの良い、ドライフィルムレジスト支持体に好適なものであった。
【0061】
(実施例2)
A層、B層、C層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1に劣るものの、ドライフィルムレジスト支持体に好適なものであった。
【0062】
(実施例3)
フィルムの層構成および各層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは実施例1に劣るものの、ドライフィルムレジスト支持体に好適なものであった。
【0063】
(比較例1~4)
フィルムの層構成および各層の組成を表1に記載のように変更する以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0064】
【0065】