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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064431
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/54 20110101AFI20240507BHJP
   H01R 12/73 20110101ALI20240507BHJP
【FI】
H01R24/54
H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173014
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直樹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AB26
5E223AB31
5E223AC21
5E223BA12
5E223BA15
5E223BA17
5E223BB01
5E223CA13
5E223CA21
5E223CC09
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA23
5E223GA53
5E223GA81
(57)【要約】
【課題】コネクタに接続されるアダプタの傾きを所定角度以下に確実に規制することが可能な電気コネクタ組立体を提供する。
【解決手段】電気コネクタ組立体100は、第1コネクタ10とアダプタ50を備え、アダプタ50の筒状部51は、剛体からなる支持部52と、複数の弾性片53と、弾性片53の先端部から径方向外側へ突出する係合部54とを有し、第1コネクタ10は、開口12bを有する本体部11を備え、本体部11は、凹部14を形成する周壁12を有し、アダプタ50が嵌合した嵌合状態でアダプタ50が第1コネクタ10に対して所定角度だけ傾いたとき、支持部52が周壁12に当接してアダプタ50のさらなる傾きを規制する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、前記コネクタに対して嵌合方向に挿入されて前記コネクタと連結されるアダプタと、を備える電気コネクタ組立体であって、
前記アダプタは、一端側から他端側へ軸方向に延びる筒状部を備え、前記筒状部は、
剛体からなる略円筒形状の支持部と、
前記支持部から連続して前記アダプタの一端側へ軸方向に延びており、スリットにより互いに周方向に分離されて径方向に弾性的に撓むことが可能な複数の弾性片と、
前記弾性片の先端部の係合部と、を有し、
前記コネクタは、前記アダプタの一端側が挿入される開口を有する本体部を備え、前記本体部は、
前記コネクタの一端側から他端側へ前記嵌合方向に延びて他端側に前記開口を有する凹部を形成する周壁を有し、
前記アダプタが嵌合した嵌合状態で、前記アダプタが前記コネクタに対して前記嵌合方向から所定角度だけ傾いたとき、前記アダプタの支持部が前記コネクタの周壁に当接して前記アダプタのさらなる傾きを規制するように構成されている、電気コネクタ組立体。
【請求項2】
前記コネクタの本体部は、前記凹部の一端側で前記周壁の内周面から径方向外側に拡張する環状の拡張凹部をさらに備え、
前記アダプタの係合部は、前記弾性片の先端部から径方向外側へ突出しており、前記嵌合状態において前記コネクタの拡張凹部に弾性的に嵌合する、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
前記嵌合状態において、少なくとも前記アダプタが前記嵌合方向に沿って配置されているとき、前記アダプタの弾性片と前記コネクタの周壁との間に隙間が形成される、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項4】
前記コネクタの凹部は、一端側の内径よりも他端側の前記開口の内径の方が大きく形成されており、
前記アダプタの支持部の径方向外側面の方が、前記弾性片の径方向外側面よりも径方向外側に位置している、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
前記コネクタは、前記凹部内において一端側から他端側へ延びる中心導体と、前記中心導体を前記本体部に対して固定する絶縁体からなる固定部と、を備える、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項6】
前記アダプタは、前記支持部及び前記複数の弾性片の径方向内側で一端側から他端側へ延びる中心導電部と、前記中心導電部を前記支持部に対して固定する絶縁体からなる支持固定部と、を備える、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項7】
前記アダプタの他端側に連結される第2コネクタをさらに備える、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項8】
前記アダプタは、他端側において導電線が接続されるように構成されている、請求項1に記載の電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタを介してコネクタを接続する電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高周波信号用の同軸線をプリント配線基板に接続する電気コネクタ組立体が知られている。このような電気コネクタ組立体は、一方の基板に取り付けられる第1コネクタと、他方の基板に取り付けられる第2コネクタと、第1コネクタと第2コネクタとを互いに連結する外形略円柱形状のアダプタと、を備える。第1及び第2コネクタは、基板から垂直方向に突出するように取り付けられる。したがって、2つの基板は、電気コネクタ組立体の長さ分だけ離間して互いに略平行な状態で電気コネクタ組立体により接続される。
【0003】
このような電気コネクタ組立体では、通常、第1コネクタとアダプタとはロック構造により嵌合するようになっており、第2コネクタとアダプタとはロック構造なしに連結されるようになっている。電気コネクタ組立体を接続するには、先ず一方の基板に取り付けられた第1コネクタにアダプタの一端部を挿入及び嵌合させ、次に一方の基板に対して他方の基板を位置合わせした状態から、一方の基板に他方の基板を押し付ける。これにより、アダプタの他端部が第2コネクタに挿入されるので、2つの基板を互いに接続することができる。
【0004】
通常、第1及び第2コネクタの基板への取り付け寸法誤差等を許容するため、アダプタの一端部が第1コネクタに嵌合した状態において、一端部に対して他端部が揺動可能である。すなわち、アダプタは、寸法誤差等に対応するように第1コネクタの軸方向に対して傾いた状態で配置可能である。一方、第2コネクタは、第1コネクタ側に向かって拡がる傘状の誘導部を有している。このため、2枚の基板を互いに向けて押し付けたときに、アダプタの他端部が誘導部の内面によって第2コネクタの中心軸方向に誘導されるので、アダプタの他端部は第2コネクタに適切に挿入される。
【0005】
しかしながら、アダプタの傾斜角度が大き過ぎると、2枚の基板を互いに向けて押し付けたときに、第2コネクタの誘導部がアダプタの他端部を第2コネクタの中心軸方向に誘導することができず、電気コネクタ組立体、特にアダプタが、破損してしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、特許文献1(特開2017-69133号公報)には、同様の電気コネクタ組立体において、アダプタが所定範囲を超えて傾くことを規制する構成を設けることが開示されている。具体的には、特許文献1のアダプタの一端部は、略円筒形状の構造体を有しており、この構造体に軸方向に先端まで延びるスリットが周方向に複数形成されることにより、径方向に弾性的に撓むことが可能な弾性片が形成されている。
【0007】
一方、特許文献1の第1コネクタは、アダプタの一端部を挿入するための凹部を形成する周壁を有する。特許文献1の電気コネクタ組立体は、アダプタが第1コネクタに対して傾いたとき、アダプタの弾性片が第1コネクタの周壁と当接可能なように設計されている。これにより、この電気コネクタ組立体では、弾性片と周壁とが当接することによってアダプタの傾きが規制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017-77637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の電気コネクタ組立体では、第1コネクタの周壁と当接するのが、アダプタの一端部に形成された弾性片である。このため、弾性片の撓みにより、第1コネクタの周壁は、弾性片を確実に規制することができないという問題があった。したがって、特許文献1の電気コネクタ組立体では、例えば、弾性片と周壁とが当接した状態でアダプタに対して径方向に外力が加わったとき、弾性片が撓むことによってアダプタが大きく傾いた状態に維持されてしまうおそれがあった。アダプタが許容範囲を超えて大きく傾いた状態では、アダプタが誘導部によって第2コネクタの中心軸方向に誘導されないので、第1及び第2コネクタを互いに接近させると、電気コネクタ組立体(特に、アダプタ)が座屈等により破損してしまう。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、コネクタに接続されるアダプタの傾きを所定角度以下に確実に規制することが可能な電気コネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの実施形態に係る電気コネクタ組立体は、コネクタと、コネクタに対して嵌合方向に挿入されてコネクタと連結されるアダプタと、を備える電気コネクタ組立体であって、アダプタは、一端側から他端側へ軸方向に延びる筒状部を備え、筒状部は、剛体からなる略円筒形状の支持部と、支持部から連続してアダプタの一端側へ軸方向に延びており、スリットにより互いに周方向に分離されて径方向に弾性的に撓むことが可能な複数の弾性片と、弾性片の先端部の係合部と、を有し、コネクタは、アダプタの一端側が挿入される開口を有する本体部を備え、本体部は、コネクタの一端側から他端側へ嵌合方向に延びて他端側に開口を有する凹部を形成する周壁を有し、アダプタが嵌合した嵌合状態で、アダプタがコネクタに対して嵌合方向から所定角度だけ傾いたとき、アダプタの支持部がコネクタの周壁に当接してアダプタのさらなる傾きを規制するように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コネクタに接続されるアダプタの傾きを所定角度以下に確実に規制することが可能な電気コネクタ組立体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の部分拡大断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体においてアダプタが傾斜していないときの嵌合状態を示す部分断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体においてアダプタが傾斜しているときの嵌合状態を示す部分断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の嵌合動作の説明図である。
図7】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の嵌合動作の説明図である。
図8】本発明の別の実施形態に係る電気コネクタ組立体の説明図である。
図9】本発明の別の実施形態に係る電気コネクタ組立体においてアダプタが傾斜していないときの嵌合状態を示す部分断面図である。
図10】本発明の別の実施形態に係る電気コネクタ組立体においてアダプタが傾斜しているときの嵌合状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、電気コネクタ組立体を構成することを排除するものではない。
【0015】
まず、図1図5を参照して、本発明の一実施形態に係る電気コネクタ組立体の構成について説明する。図1は電気コネクタ組立体の説明図、図2は電気コネクタ組立体の断面図、図3は電気コネクタ組立体の部分拡大断面図である。図4は電気コネクタ組立体においてアダプタが傾斜していないときの嵌合状態を示す部分断面図、図5はアダプタが傾斜しているときの嵌合状態を示す部分断面図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体100は、例えば、5G基地局設備等のアンテナ装置6内において、複数のアンテナ素子が配置されたアンテナ基板である第1基板1と、RF基板である第2基板2とを互いに向かい合わせた状態で直接接続するために用いられる。図1の例では、第1基板1と第2基板2とが複数(図1では、4つ)の電気コネクタ組立体100により連結されている。
【0017】
図2に示すように、電気コネクタ組立体100は、第1基板1に取り付けられる第1コネクタ10と、第2基板2に取り付けられる第2コネクタ30と、これらコネクタを接続するアダプタ50(「インターポーザ」ともいう)とを備えている。第1コネクタ10,第2コネクタ30,アダプタ50は、それぞれの中心軸C1,C2,Caに沿う軸方向に延びる外側円筒形部分と中心部分からなる同軸構造を有している。図2では、これらの中心軸C1,C2,Caが一致する整列状態で(これら中心軸が一致するとき「中心軸C」という)、中心軸Cに沿う嵌合方向Z(図2では上下方向)で互いに連結されている。電気コネクタ組立体100は、連結された状態で嵌合方向Zにおいて、概ね10~30mmの高さを有する。
【0018】
電気コネクタ組立体100は、第1基板1及び第2基板2の高周波信号線に接続される中心導体部分と、外部からのノイズを防ぐ電磁シールドとして機能する外側導体部分とを有している。外部導体部分は、第1基板1及び第2基板2を介して接地される。なお、第1コネクタ10が第2基板2に取り付けられ、第2コネクタ30が第1基板1に取り付けられてもよい。本実施形態では、アダプタ50は、上下方向に対称の形状を有している。
【0019】
図2に示すように、第1コネクタ10は、外部導体部分としての本体部11と、中心導体部分としての中心導体18と、中心導体18を本体部11に対して固定する固定部19とを備える。本体部11は、略円筒形状を有し、軸方向に沿って一端側から他端側(図2では上側から下側)へ延びる。図2では、軸方向は中心軸Cの延びる方向であり、嵌合方向Zと一致している。中心導体18は、略円柱形状を有し、本体部11の内側で本体部11と同軸状に軸方向に沿って延びる。固定部19は、軸方向の厚さを有する略円盤形状を有し、中心導体18を本体部11に対して電気的に絶縁した状態で固定している。本体部11及び中心導体18は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、固定部19は、電気絶縁材料で形成されている。
【0020】
中心導体18は、基板に取り付けられる基部18aと、基部18aと連結しておりアダプタ50に挿入状態で接続される接続部18bとを有し、接続部18bは、本体部11の内部空間である凹部14から外部へ突出することなく、凹部14内に位置している。固定部19は、中心導体18の基部18aを挿入するために軸方向に貫通する取付孔19aを有している。
【0021】
本体部11は、略円筒形状の周壁12を有し、周壁12の内部には内周面13により略円筒形状の凹部14が形成されている。本体部11は、剛体からなり、容易に撓むことができないように構成されている。凹部14は、一端側の円形の開口12aから他端側の円形の開口12bまで貫通している。凹部14の一端側には、内周面13から径方向内側に向けて突出して延びる環状のフランジ部15が設けられている。固定部19は、一端側の開口12aから凹部14内に挿入されて、フランジ部15まで達している。フランジ部15は、底部を構成している。すなわち、他端側の開口12bから凹部14内にアダプタ50が挿入されたときに、フランジ部15の他端側の環状面15a(図2では下側の面)が、アダプタ50の先端部と当接する底部となる。
【0022】
凹部14は、他端側の開口12bからフランジ部15の間において、内周面13の内径が一定ではなく、軸方向で異なって形成されている。開口12bは、アダプタ50を挿入し易くするために、アダプタ50(筒状部51)の外径よりも大きな内径寸法を有している。そして、開口12bから一端側へ連続して、開口12bと略同じ内径を有する開口側内周面13aが延びている。内周面13aにより、拡径凹部14aが形成される。
【0023】
また、開口側内周面13aから一端側へ連続して徐々に縮径するように、誘導内周面13bが延びている。内周面13bにより、誘導凹部14bが形成される。さらに、誘導内周面13bから一端側へ連続して、略同一の内径寸法を有する底部側の支持内周面13cが延びている。支持内周面13cは、アダプタ50が凹部14内に挿入されたときにアダプタ50(弾性片53)と所定の径方向寸法だけ離間した状態となるように、内周面13の中で最も内径が小さく設定されている。支持内周面13cにより基準内径寸法の支持凹部14cが形成される。
【0024】
さらに、図3に示すように、内周面13のうち、フランジ部15と隣接する部位である底部内周面13dは、アダプタ50をロックするために支持内周面13cよりも径方向外側に拡張されている。底部内周面13dにより、拡張凹部14dが形成される。すなわち、凹部14には、支持凹部14cを基準内径寸法として、アダプタ50の挿入用に拡径された拡径凹部14aと、アダプタ50を中心軸C側へ誘導するための誘導凹部14bと、アダプタ50をロックするために径方向外側に拡張された拡張凹部14dとが設けられている。
【0025】
また、図2に示すように、第2コネクタ30は、外部導体部分としての本体部31と、中心導体部分としての中心導体38と、中心導体38を本体部31に対して固定する固定部39とを備える。本体部31は、軸方向に沿って他端側から一端側(図2では下側から上側)へ延びる円筒部31Bと、円筒部31Bから一端側に向かうに連れて拡径する拡径部31Aを有する。中心導体38は、中心導体18と同一であり、略円柱形状を有し、本体部31の内側で本体部31と同軸状に軸方向に沿って延びる。固定部39は、固定部19と同一であり、軸方向の厚さを有する略円盤形状を有し、中心導体38を本体部31に対して電気的に絶縁した状態で固定している。本体部31及び中心導体38は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、固定部39は、電気絶縁材料で形成されている。
【0026】
中心導体38は、中心導体18と同様に、基板に取り付けられる基部38aと、基部38aと連結しておりアダプタ50に挿入された状態で接続される接続部38bとを有し、接続部38bは、本体部31の内部空間である凹部34から外部へ突出することなく、凹部34内に位置している。固定部39は、中心導体38の基部38aを挿入するために軸方向に貫通する取付孔39aを有している。
【0027】
本体部31の円筒部31Bは、略円筒形状の周壁32Bを有し、周壁32Bの内部には内周面33Bにより略円筒形状の凹部34Bが形成されている。また、拡径部31Aは、円筒部31Bと連続し、一端側に向けて拡径する周壁32Aを有し、周壁32Aの内部には内周面33Aにより略切頭円錐形状の凹部34Aが凹部34Bと連続するように形成されている。凹部34A,34Bからなる凹部34は、一端側の円形の開口32aから他端側の円形の開口32bまで貫通している。凹部34の他端側には、内周面33Bから径方向内側に向けて突出して延びる環状のフランジ部35が設けられている。固定部39は、他端側の開口32bから凹部34内に挿入されて、フランジ部35まで達している。フランジ部35は、底部を構成している。すなわち、一端側の開口32aから凹部34内にアダプタ50が挿入されたときに、フランジ部35の一端側の環状面35a(図2では上側の面)が、アダプタ50の先端部と当接する底部となる。
【0028】
凹部34Aは、一端側の開口32aから他端側に向けて縮径しており、内周面33Aは、誘導部として機能する。すなわち、アダプタ50が挿入されるときにアダプタ50の先端部が内周面33Aと当接して、アダプタ50を中心軸Cの方へ誘導するように構成されている。一方、凹部34Bは、一端側から他端側に向けて嵌合方向Zに沿って略同一の内径寸法を有する。また、第1コネクタ10と異なり、凹部34Bの底部付近には、拡張凹部が設けられていない。したがって、アダプタ50は、凹部34B内に挿入されたとき、アダプタ50の先端部が凹部34Bの内周面33Bへ向けて拡がろうとする弾性力によって本体部31と弾性的に当接して、第2コネクタ30と連結される。このとき、アダプタ50(弾性片53)と凹部34Bの内周面33Bとの間に径方向に所定寸法の間隙が形成される。
【0029】
また、図2に示すように、アダプタ50は、外部導体部分としての筒状部51と、内部導体部分としての中心導電部57と、中心導電部57を筒状部51に対して固定する支持固定部59とを備える。アダプタ50は、図2の上下方向において対称形状を有する。筒状部51は、略円筒形状を有し、軸方向に沿って一端側から他端側(図2では上側から下側)へ延びる。中心導電部57は、略円柱形状を有し、筒状部51の内側で筒状部51と同軸状に軸方向に沿って延びる。支持固定部59は、軸方向に離間して2か所に配置されており、軸方向の厚さを有する略円盤形状を有し、中心導電部57を筒状部51に対して電気的に絶縁した状態で固定している。筒状部51及び中心導電部57は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、支持固定部59は、電気絶縁材料で形成されている。
【0030】
中心導電部57は、軸方向に延びる連結部57aと、連結部57aの軸方向の両側から軸方向に一端側及び他端側に延びる接続部57b,57bとを有する。接続部57bは、第1コネクタ10及び第2コネクタ30の中心導体18,38の接続部18b,38bを受け入れる接続凹部57cを有している。接続部18b,38bが接続部57bの接続凹部57cに挿入されると、接続部18b,38bは、接続部57bと接触して電気的に接続する。支持固定部59は、中心導電部57の接続部57bを挿入するために軸方向に貫通する取付孔59aを有している。
【0031】
筒状部51は、略円筒形状の支持部52と、支持部52の軸方向の両側から一端側及び他端側に延びる複数の弾性片53と、弾性片53の先端部から径方向外側へ突出する係合部54とを有する。本実施形態では、周方向に4つのスリット55が形成され、それぞれ軸方向に延びており、これにより4つの弾性片53及び係合部54が形成されている。隣接する弾性片53及び係合部54は、スリット55により互いに周方向に分離している。本実施形態では、アダプタ50の一端側と他端側では、スリット55が周方向に互いに45°だけシフトして形成されている。このように構成された筒状部51では、弾性片53は、径方向に弾性的に撓むことが可能であるが、支持部52は、剛体からなる略円筒形状の構造を有するため容易に撓むことができないように構成されている。
【0032】
支持固定部59は、一端側及び他端側からアダプタ50内に挿入されて、支持部52の軸方向の両側にそれぞれ固定される。支持固定部59の取付孔59aに中心導電部57の連結部57aが挿入された状態で固定されるので、中心導電部57と筒状部51とは、電気絶縁状態で同軸的に配置されている。
【0033】
弾性片53は、第1コネクタ10及び第2コネクタ30と連結されていない状態では、先端側ほど径方向外側にやや拡がった状態である。アダプタ50が第1コネクタ10及び第2コネクタ30に挿入されると、弾性片53は、直接的に又は係合部54を介して間接的に、それぞれの内周面と当接することにより、軸方向に沿って延びるように径方向内側へ弾性的に圧縮される。
【0034】
具体的には、アダプタ50が第2コネクタ30に連結されるときには、アダプタ50の弾性片53が第2コネクタ30の凹部34に挿入されることにより嵌合状態となる。すなわち、アダプタ50の弾性片53が第2コネクタ30の凹部34に挿入されると、係合部54が徐々に縮径する内周面33A及び略一定内径の内周面33Bと当接することにより、弾性片53は軸方向と略平行な位置まで径方向内側へ戻されるので、戻された反力としての弾性力により係合部54と内周面33Bとが係合する。
【0035】
一方、アダプタ50が第1コネクタ10に連結されるときには、弾性片53が第1コネクタ10の凹部14に挿入されることにより嵌合状態となる。すなわち、アダプタ50の弾性片53が第1コネクタ10の凹部14に挿入されると、係合部54が徐々に縮径する内周面13b及び略一定内径の内周面13cと当接することにより、弾性片53は軸方向と略平行な位置まで径方向内側へ戻される。さらに挿入されると、係合部54が拡張凹部14dに嵌まり込んで底部内周面13dと当接する。この状態では、弾性片53は軸方向と略平行な位置に維持されるので、径方向内側へ戻された反力としての弾性力により係合部54と底部内周面13dとが係合する。
【0036】
さらにこのとき、係合部54が拡張凹部14dに嵌まり込むので、底部内周面13dと誘導内周面13bとの段差に係合部54が引っ掛かることより、アダプタ50が抜け止め状態でロックされる。係合部54が段差に引っ掛かっていれば、係合部54が完全に拡張凹部14d内に入っていなくてもロック状態となる。なお、嵌合状態又はロック状態において、係合部54の少なくとも一部が拡張凹部14d内にあればよい。すなわち、係合部54が内周面13dに直接接触しなくてもよく、この場合、弾性片53又は係合部54が段差付近で内周面13cと接触する。
【0037】
図4では、アダプタ50と第1コネクタ10の中心軸Cが一致した状態で、アダプタ50が第1コネクタ10に嵌合方向Zに沿って嵌合されている。このような嵌合状態で弾性片53の全体と支持部52の一部が凹部14内に挿入された状態となるように、周壁12の高さが設定されている。また、アダプタ50と凹部14との間に径方向の隙間があるように凹部14の内径が設定されている。
【0038】
さらに、図3に示すように、アダプタ50の係合部54の軸方向の長さよりも、第1コネクタ10の拡張凹部14dの軸方向の長さの方が、遊びdの分だけ大きく設定されている。このため、係合部54が拡張凹部14dに嵌まり込んでロックされた嵌合状態においても、遊びdと弾性片53の撓みにより、アダプタ50は、第1コネクタ10に対して移動又は揺動可能である。すなわち、アダプタ50は、その中心軸Caを第1コネクタ10の中心軸C1に対して傾けるように変位可能である。
【0039】
図5は、アダプタ50が第1コネクタ10に対して最大傾斜角度Aまで傾いた状態を示している。この例では、アダプタ50の中心軸Caは、第1コネクタ10の中心軸C1に対して3°だけ傾いている。すなわち、アダプタ50が最大傾斜角度Aだけ傾いたときに、アダプタ50の剛体部分である支持部52が第1コネクタ10の剛体部分である周壁12と当接するように構成されている。このとき、アダプタ50の係合部54は第1コネクタ10の拡張凹部14d内にあってロック状態が維持されている。すなわち、支持部52が周壁12に当接しなければ、アダプタ50は、ロック状態を維持したまま、さらに傾斜又は揺動することが可能であった。しかしながら、本実施形態では、支持部52が周壁12に当接することにより、アダプタ50が最大傾斜角度Aを超えて傾くことが規制されている。
【0040】
次に、図6及び図7を参照して、電気コネクタ組立体100の嵌合動作について説明する。図6及び図7は電気コネクタ組立体の嵌合動作の説明図である。まず、アダプタ50は、図5と同様に、第1コネクタ10に挿入され嵌合状態となっている。図6(A)では、アダプタ50の中心軸Caは、第1コネクタ10の中心軸C1に対して最大傾斜角度A(3°)だけ傾いた状態となっている。この状態で、第1コネクタ10の中心軸C1と第2コネクタ30の中心軸C2とを互いに嵌合方向Zと平行に位置合わせしている。
【0041】
なお、第1基板1及び第2基板2にそれぞれ対応する複数の第1及び第2コネクタが配置される場合、各コネクタの基板への取付位置の誤差により、対応するすべての第1及び第2コネクタの中心軸C1,C2を一致させることはできない。このため、図6及び図7では、アダプタ50が最大傾斜角度Aだけ傾いている状態で、中心軸C1,C2は嵌合方向Zと平行であるが、嵌合方向Zと垂直な横方向Xに対して横方向の許容距離B(例えば、0.4mm)だけずれている。
【0042】
図6(A)の状態から第1コネクタ10と第2コネクタ30を嵌合方向Zに接近させていくと、アダプタ50の他端側の弾性片53が第2コネクタ30の拡径する周壁32Aの内部にある誘導部としての傘状の内周面33Aと当接する。本実施形態では、許容距離Bだけずれていても、弾性片53が内周面33Aと当接するように、開口32aの内径が設定されている。
【0043】
図6(B)では、更なる接近により、アダプタ50の他端側が内周面33Aによって第2コネクタ30の径方向の中心にある中心導体38に向けて誘導されている。具体的には、アダプタ50の中心軸Caは、中心軸C1に対して最大傾斜角度よりも小さい角度(2°)まで戻されている。図6(C)では、更なる接近により、さらに小さい角度(1°)まで戻されている。
【0044】
さらに、図7(A)では、更なる接近により、中心軸Caが嵌合方向Z及び中心軸C1と平行になるまで戻されている。すなわち、傾き角度は0°になっている。この状態でアダプタ50の中心軸Caと第2コネクタ30の中心軸C2は平行だが、嵌合方向Zに対して直交するX方向に許容距離B(0.4mm)だけずれている。ここからさらに接近させると、アダプタ50の弾性片53が第2コネクタ30の内周面33Aによって、第2コネクタ30の略円筒形状の周壁32Bの内部にある凹部34Bの入り口まで誘導される。また、アダプタ50の中心導電部57の接続部57bは、第2コネクタ30の中心導体38の接続部38bと当接する。この状態では、アダプタ50の中心軸Caは、X方向に逆向きの傾き角度(-2°)である。
【0045】
図7(B)の状態からさらに第1コネクタ10と第2コネクタ30が接近すると、弾性片53が弾性的に撓みながら、第2コネクタ30の凹部34B内に挿入され、凹部34Bの底部であるフランジ部35まで到達する。これにより、電気コネクタ組立体100の連結が終了する。
【0046】
次に、図8図10を参照して、本発明の別の実施形態に係る電気コネクタ組立体200について説明する。図8は電気コネクタ組立体の説明図、図9は電気コネクタ組立体においてアダプタが傾斜していないときの嵌合状態を示す部分断面図、図10はアダプタが傾斜しているときの嵌合状態を示す部分断面図である。
【0047】
なお、理解の容易のため、電気コネクタ組立体200において、電気コネクタ組立体100と共通する要素については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。図8に示すように、電気コネクタ組立体200は、例えば、電気コネクタ組立体100と同様の5G基地局設備のアンテナ装置7内において、先端部にアンテナ素子8が接続された同軸ケーブル9の基端部と、RF基板である第2基板2とを互いに直接接続するために用いられる。図8の例では、第2基板2と複数の同軸ケーブル9が電気コネクタ組立体200により連結されている。
【0048】
図9に示すように、電気コネクタ組立体200は、第2基板2に実装された第1コネクタ10と、同軸ケーブル9に接続された第3コネクタ70を備える。第3コネクタ70は、コネクタ本体71と、コネクタ本体71から嵌合方向Zに延びるアダプタ80とを備えている。第3コネクタ70は、上記実施形態におけるアダプタ50と第2コネクタ30とが一体に形成され部品に相当し、アダプタ80は、アダプタ50と構造が類似している。
【0049】
コネクタ本体71は、外部導体部分を構成しており、外形略円盤状の本体部72と、本体部72に対してX方向に延びるように取り付けられた円筒形状の固定部材76とを備えている。固定部材76は、コード管とも呼ばれる。本体部72を構成する周壁73内には、嵌合方向Zに向けて延びる略円筒形状の凹部74が形成されている。凹部74は、嵌合方向Zの両側において開口しており、図9の上方の開口74aには、蓋体71Aが取り付けられて塞がれており、下方の開口74bは、アダプタ80と連通している。また、周壁73の側面には、周壁73をX方向に貫通する取付孔73aが設けられている。
【0050】
固定部材76は、導電性材料で形成されており、取付孔73aに差し込まれて固定されることにより、本体部72と電気的に導通している。導電線としての同軸ケーブル9は、中心導体9aと、外部導体9bと、中心導体9aと外部導体9bの間を絶縁する絶縁体と、これらを覆う被覆を備えている。固定部材76は、同軸ケーブル9を内部に挿通させて支持している。同軸ケーブル9の外部導体9bは、固定部材76に半田等によって電気的に接続されている。一方、同軸ケーブル9の中心導体9aは、取付孔73aを貫通して延びて、凹部74内でアダプタ80に半田等によって電気的に接続されている。
【0051】
アダプタ80は、外部導体部分としての筒状部81と、内部導体部分としての中心導電部87と、中心導電部87を筒状部81に対して固定する支持固定部89とを備える。筒状部81は、略円筒形状を有し、軸方向に沿って一端側から他端側(図9では下側から上側)へ延びる。中心導電部87は、略円柱形状を有し、筒状部81の内側で筒状部81と同軸状に軸方向に沿って延びる。支持固定部89は、軸方向の厚さを有する略円盤形状を有し、中心導電部87を筒状部81に対して電気的に絶縁した状態で固定している。筒状部81及び中心導電部87は、導電体材料(例えば、金属)で形成されており、支持固定部59は、電気絶縁材料で形成されている。
【0052】
中心導電部87は、軸方向に延びる連結部87aと、連結部87aの軸方向の両側から軸方向に一端側及び他端側に延びる接続部87b,87dとを有する。接続部87bは、第1コネクタ10の中心導体18の接続部18bを受け入れる接続凹部87cを有している。接続部18bが接続部87bの接続凹部87cに挿入されると、接続部18bは、接続部87bと接触して電気的に接続する。一方、接続部87dは、凹部74内で同軸ケーブル9の中心導体9aに半田等により電気的に接続される。支持固定部89は、中心導電部87の連結部87aを挿入するために軸方向に貫通する取付孔89aを有している。
【0053】
筒状部81は、略円筒形状の支持部82と、支持部82の軸方向の一端側から軸方向に延びる複数の弾性片83と、弾性片83の先端部から径方向外側へ突出する係合部84とを有する。本実施形態では、周方向に4つのスリット85が形成され、それぞれ軸方向に延びており、これにより4つの弾性片83及び係合部84が形成されている。隣接する弾性片83及び係合部84は、スリット85により互いに周方向に分離している。このように構成された筒状部81では、弾性片83は、径方向に弾性的に撓むことが可能であるが、支持部82は、剛体からなる略円筒形状の構造を有するため容易に撓むことができないように構成されている。
【0054】
支持固定部89は、一端側からアダプタ80内に挿入されて固定される。支持固定部89の取付孔89aに中心導電部87の連結部87aが挿入された状態で固定されるので、中心導電部87と筒状部81とは、電気絶縁状態で同軸的に配置されている。
【0055】
上述のように、アダプタ80とアダプタ50は、類似した構造を有しており、特に、弾性片83,係合部84,接続部87bは、それぞれ弾性片53,係合部54,接続部57bと同構造であり同一寸法を有する。したがって、アダプタ80とアダプタ50とは、第1コネクタ10に対して、同様な嵌合状態で連結される。
【0056】
図9では、アダプタ80の中心軸Cbと第1コネクタ10の中心軸C1とが一致した状態で、アダプタ80が第1コネクタ10に嵌合している。この状態では、係合部84が拡張凹部14dによりロックされる。また、弾性片83の全体と支持部82の一部が凹部14内に挿入された状態となる。また、アダプタ80と凹部14との間に径方向の隙間が形成される。
【0057】
一方、図10は、アダプタ80が第1コネクタ10に対して最大傾斜角度Aまで傾いた状態を示している。この例では、アダプタ80の中心軸Cbは、第1コネクタ10の中心軸C1に対して0.9°だけ傾いている。すなわち、アダプタ80が最大傾斜角度Aだけ傾いたときに、アダプタ80の剛体部分である支持部82が第1コネクタ10の剛体部分である周壁12と当接するように構成されている。したがって、この実施形態では、支持部82の外径が、上記実施形態の支持部52の外径よりもやや大きく設定されている。このとき、ロック状態は維持されている。すなわち、支持部82が周壁12に当接しなければ、アダプタ80は、ロック状態を維持したまま、さらに傾斜又は揺動することが可能であった。しかしながら、本実施形態では、支持部82が周壁12に当接することにより、アダプタ80が最大傾斜角度Aを超えて傾くことが規制されている。
【0058】
次に、上述した本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200の作用及び効果について説明する。
【0059】
本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200は、第1コネクタ10と、第1コネクタ10に対して嵌合方向Zに挿入されて第1コネクタと連結されるアダプタ50,80と、を備え、アダプタ50,80は、一端側から他端側へ軸方向に延びる筒状部51,81を備え、筒状部51,81は、剛体からなる略円筒形状の支持部52,82と、支持部52,82から連続してアダプタ50,80の一端側へ軸方向に延びており、スリット55,85により互いに周方向に分離されて径方向に弾性的に撓むことが可能な複数の弾性片53,83と、弾性片53,83の先端部の係合部54,84と、を有し、第1コネクタ10は、アダプタ50,80の一端側が挿入される開口12bを有する本体部11を備え、本体部11は、第1コネクタ10の一端側から他端側へ嵌合方向Zに延びて他端側に開口12bを有する凹部14を形成する周壁12を有し、アダプタ50,80が嵌合した嵌合状態でアダプタ50,80が第1コネクタ10に対して嵌合方向Zから所定角度Aだけ傾いたとき、アダプタ50,80の支持部52,82が第1コネクタ10の周壁12に当接してアダプタ50,80のさらなる傾きを規制するように構成されている。
【0060】
このように構成された本実施形態によれば、第1コネクタ10にアダプタ50,80が挿入されたとき、弾性片53,83が凹部14に弾性的に嵌まり込んだ嵌合状態となる。この状態において、アダプタ50,80は、第1コネクタ10に対して、揺動するように傾くことが可能であるが、本実施形態では、アダプタ50,80が所定角度Aだけ傾いたときに、共に剛体からなる支持部52,82と周壁12とが直接当接するように構成されている。これにより、アダプタ50,80は、第1コネクタ10に対する最大傾斜角度Aが確実に規定されるため、傾斜状態でアダプタ50,80に外力が掛かったとしてもアダプタ50,80の傾きを最大傾斜角度A以下に確実に規制することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200では、第1コネクタ10の本体部11は、凹部14の一端側で周壁12の内周面13cから径方向外側に拡張する環状の拡張凹部14dをさらに備え、アダプタ50,80の係合部54,84は、弾性片53,83の先端部から径方向外側へ突出しており、嵌合状態において第1コネクタ10の拡張凹部14dに弾性的に嵌合する。このように構成された本実施形態によれば、第1コネクタ10にアダプタ50,80が挿入されたとき、弾性片53,83によって係合部54,84が径方向外側の拡張凹部14dに弾性的に嵌まり込んで、第1コネクタ10とアダプタ50,80とが互いにロックされた嵌合状態とすることができる。
【0062】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200では、嵌合状態において、少なくともアダプタ50,80が嵌合方向に沿って配置されているとき、アダプタ50,80の弾性片53,83と第1コネクタ10の周壁12との間に隙間が形成される。このように構成された本実施形態によれば、嵌合状態において、アダプタ50,80を第1コネクタ10に対して傾けることが可能であるので、取り付け寸法誤差を許容して電気コネクタ組立体100,200の接続を容易にすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200では、第1コネクタ10の凹部14は、一端側の内径よりも他端側の開口12bの内径の方が大きく形成されており、アダプタ50,80の支持部52,82の径方向外側面の方が、弾性片53,83の径方向外側面よりも径方向外側に位置している。このように構成された本実施形態によれば、第1コネクタ10の開口12bを通して凹部14内にアダプタ50,80を挿入し易くしつつ、支持部52,82を周壁12に当接させ易くすることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200では、第1コネクタ10は、凹部14内において一端側から他端側へ延びる中心導体18と、中心導体18を本体部11に対して固定する絶縁体からなる固定部19と、を備える。このように構成された本実施形態によれば、第1コネクタ10に同軸線を接続することが可能であり、特に高周波信号の伝送に有利である。
【0065】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100,200では、アダプタ50,80は、支持部52,82及び複数の弾性片53,83の径方向内側で一端側から他端側へ延びる中心導電部57,87と、中心導電部57,87を支持部52,58に対して固定する絶縁体からなる支持固定部59,89と、を備える。このように構成された本実施形態によれば、アダプタ50、80に同軸線を接続することが可能であり、特に高周波信号の伝送に有利である。
【0066】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100は、アダプタ50の他端側に連結される第2コネクタ30をさらに備える。このように構成された本実施形態によれば、第1コネクタ10と第2コネクタ30をアダプタ50によって連結する際に、アダプタ50の傾きを規制して、接続時におけるアダプタ50の破損(座屈等)を防止することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体200では、アダプタ80は、他端側において導電線(同軸ケーブル9)が接続されるように構成されている。このように構成された本実施形態によれば、アダプタ80に導電線を接続することにより、直接的に導電線を第1コネクタ10に接続することが可能であると共に、アダプタ80の傾きが規制された状態でアダプタ80を第1コネクタ10に接続することができる。
【0068】
なお、本発明の個々の実施形態は、独立したものではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る電気コネクタ組立体は、高周波信号の伝送を行うための電子基板や同軸ケーブルを接続する等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1:第1基板、 2:第2基板、
6、7:アンテナ装置、 8:アンテナ素子、 9:同軸ケーブル、
10:第1コネクタ、 11:本体部、 12:周壁、 12a、12b:開口、
13、13a、13b、13c、13d:内周面、
14、14a、14b、14c、14d:凹部、
15:フランジ部、 15a:環状面、
18:中心導体、 18a:基部、 18b:接続部、
19:固定部、 19a:取付孔、
30:第2コネクタ、 31:本体部、 31A:拡径部、 31B:円筒部、
32A、32B:周壁、 32a、32b:開口、
33A、33B:内周面、 34、34A、34B:凹部、
35:フランジ部、 35a:環状面、
38:中心導体、 38a:基部、 38b:接続部、
39:固定部、 39a:取付孔、
50:アダプタ、 51:筒状部、 52:支持部、 53:弾性片、
54:係合部、 55:スリット、
57:中心導電部、 57a:連結部、 57b:接続部、 57c:接続凹部、
59:支持固定部、 59a:取付孔
70:第3コネクタ、 71:コネクタ本体、 71A:蓋体、
72:本体部、 73:周壁、 73a:取付孔、
74:凹部、 74a、74b:開口、 76:固定部材、
80:アダプタ、 81:筒状部、 82:支持部、
83:弾性片、 84:係合部、 85:スリット、
87:中心導電部、 87a:連結部、 87b:接続部、 87c:接続凹部、
87d:接続部、 89:支持固定部、 89a:取付孔、
100、200:電気コネクタ組立体
C、C1、C2、Ca、Cb:中心軸、
X:横方向、 Z:嵌合方向、 A:最大傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10