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特開2024-64432電気コネクタ、及び電気コネクタ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064432
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電気コネクタ、及び電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20240507BHJP
【FI】
H01R24/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173015
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 望
(72)【発明者】
【氏名】二宮 直樹
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AB21
5E223AC21
5E223BA12
5E223BA15
5E223BB01
5E223CA13
5E223CC09
5E223DA13
5E223GA08
5E223GA20
(57)【要約】
【課題】同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合する電気コネクタにおいて、同軸ケーブルを内部導体の端部に位置決めするように的確に誘導する。
【解決手段】電気コネクタ5は、嵌合方向Zに延びる内部導体55と、内部導体55の一端側を収容するように嵌合方向Zに延び、同軸ケーブル1が取り付けられる本体部51と、内部導体55の他端側を収容するように嵌合方向Zに延び、相手コネクタ7と嵌合する嵌合部53と、を有し、本体部51には、内部導体55の一端側を収容する収容空間62と、嵌合方向Zに直交する横方向Xに延びて収容空間62に連通し、中心導体11を内部導体55の一端に接続するように同軸ケーブル1を本体部51に取り付けるための取り付け孔64と、が形成され、本体部51の取り付け孔64は、収容空間62側の端部に、収容空間62に向けて縮径するテーパー部64bを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合して、前記同軸ケーブルと前記相手コネクタとを電気的に接続するための電気コネクタであって、
前記相手コネクタとの嵌合方向に延び、一端が前記同軸ケーブルの中心導体と接続され、他端が前記相手コネクタ内の導体と接続される内部導体と、
前記内部導体の一端側を収容するように前記嵌合方向に延びる筒形状を有し、前記同軸ケーブルが取り付けられる本体部と、
前記本体部よりも前記相手コネクタとの嵌合側に設けられ、前記内部導体の他端側を収容するように前記嵌合方向に延びる筒形状を有し、前記相手コネクタと嵌合する嵌合部と、
を有し、
前記本体部には、
前記内部導体の一端側を収容するように、前記嵌合方向に延びる前記筒形状の中空部分を構成する収容空間と、
前記嵌合方向に直交する横方向に延びて前記収容空間に連通し、前記同軸ケーブルの前記中心導体を前記内部導体の一端に接続するように、前記同軸ケーブルを前記本体部に取り付けるための取り付け孔と、
が形成され、
前記本体部の前記取り付け孔は、前記収容空間側の端部に、前記収容空間に向けて縮径するテーパー部を含む、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記本体部の前記取り付け孔は、前記同軸ケーブルの前記中心導体の外側の絶縁体の径に対応する一定の径にて前記横方向に延びる等径部を更に含み、
前記取り付け孔の前記テーパー部は、前記等径部を介して前記収容空間と連結されている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記本体部において前記取り付け孔の前記テーパー部を形成する面は、前記横方向に対して20度~40度の角度で傾斜している、
請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記内部導体は、前記嵌合方向及び前記横方向に延び、前記同軸ケーブルの前記中心導体を受け入れるスリットが一端に形成されている、
請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電気コネクタと、
前記電気コネクタの前記本体部の前記取り付け孔に挿入されることで、前記本体部に取り付けられ、前記電気コネクタの前記内部導体の一端に接続される中心導体を含む同軸ケーブルと、筒形状を有し、前記同軸ケーブルの外側に取り付けられて当該同軸ケーブルを保持するケーブル保持部材と、を有するケーブル組立体と、
を有する、
ことを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項6】
前記ケーブル組立体は、前記電気コネクタの前記本体部への挿入側の端部に、前記中心導体が露出された第1部分を有し、当該第1部分よりも前記挿入側と反対側に、前記中心導体の外側の絶縁体が露出された第2部分を有し、当該第2部分よりも前記挿入側と反対側に、少なくとも前記絶縁体を覆うように前記ケーブル保持部材が取り付けられた第3部分を有し、
前記電気コネクタの前記本体部の前記取り付け孔は、前記ケーブル組立体の前記第2部分を保持するために、当該第2部分の径に対応する一定の径にて前記横方向に延びる第1等径部と、前記ケーブル組立体の前記第3部分を保持するために、当該第3部分の径に対応する一定の径にて前記横方向に延びる第2等径部と、を更に含み、
前記取り付け孔の前記テーパー部は、前記第1等径部と前記第2等径部との間に形成されている、
請求項5に記載の電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合する電気コネクタ、及び、そのような電気コネクタを含む電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合して、同軸ケーブルと相手コネクタとを電気的に接続するための電気コネクタが知られている。この種の電気コネクタとして、相手コネクタとの嵌合方向に直交する横方向から同軸ケーブルが取り付けられるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、一端が同軸ケーブルに接続され且つ他端が相手コネクタに接続される内部導体を収容するように嵌合方向に延びる収容空間と、この収容空間に対して横方向から連通し、同軸ケーブルを内部導体の一端に接続するように当該同軸ケーブルを取り付けるための取り付け孔と、を有する断面略L字形状の電気コネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-220187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記の特許文献1に記載されたような電気コネクタに同軸ケーブルを取り付けるときには、同軸ケーブルの中心導体が電気コネクタの内部導体の端部に的確に接続されるように、同軸ケーブルを配置する必要がある。具体的には、電気コネクタの内部導体の端部に形成された、同軸ケーブルの中心導体を接触させるべき接続部などに、同軸ケーブルの中心導体を位置決めする必要がある。
【0006】
しかしながら、同軸ケーブルの取り付け時において、同軸ケーブルの中心導体を電気コネクタの内部導体の端部(接続部など)に的確に位置決めすることは容易ではない。中心導体は細く、また内部導体の端部も小さいため、非常に細かな作業が必要となるからである。同軸ケーブルの中心導体が電気コネクタの内部導体の端部に的確に位置決めされないと、中心導体が内部導体の端部以外の箇所に突き当たることで座屈したり、中心導体が他の導体に接触することで最悪ショートしたりする可能性がある。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合する電気コネクタ及び電気コネクタ組立体において、同軸ケーブルが電気コネクタの内部導体の端部に的確に位置決めされるように同軸ケーブルを誘導することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態に係る電気コネクタは、同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合して、同軸ケーブルと相手コネクタとを電気的に接続するための電気コネクタであって、相手コネクタとの嵌合方向に延び、一端が同軸ケーブルの中心導体と接続され、他端が相手コネクタ内の導体と接続される内部導体と、内部導体の一端側を収容するように嵌合方向に延びる筒形状を有し、同軸ケーブルが取り付けられる本体部と、本体部よりも相手コネクタとの嵌合側に設けられ、内部導体の他端側を収容するように嵌合方向に延びる筒形状を有し、相手コネクタと嵌合する嵌合部と、を有し、本体部には、内部導体の一端側を収容するように、嵌合方向に延びる筒形状の中空部分を構成する収容空間と、嵌合方向に直交する横方向に延びて収容空間に連通し、同軸ケーブルの中心導体を内部導体の一端に接続するように、同軸ケーブルを本体部に取り付けるための取り付け孔と、が形成され、本体部の取り付け孔は、収容空間側の端部に、収容空間に向けて縮径するテーパー部を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同軸ケーブルが取り付けられる共に相手コネクタと嵌合する電気コネクタ及び電気コネクタ組立体において、同軸ケーブルが電気コネクタの内部導体の端部に的確に位置決めされるように同軸ケーブルを誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体が適用されたアンテナ装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る電気コネクタ組立体の組み立て前の状態を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係るケーブル保持部材を取り付ける前の同軸ケーブルの平面図である。
図4】本発明の実施形態に係るケーブル組立体の軸方向に沿った断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る電気コネクタの嵌合方向に沿った断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る電気コネクタ及びケーブル組立体の嵌合方向に沿った断面図である。
図7図6中の矢印A1方向から見た、本発明の実施形態に係る電気コネクタ等の一部分を示す上面図である。
図8】本発明の実施形態に係る電気コネクタ及びケーブル組立体の一部分についての嵌合方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、各実施形態は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、電気コネクタを構成することを排除するものではない。
【0012】
[電気コネクタ組立体の構成]
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る電気コネクタ組立体の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る電気コネクタ組立体が適用されたアンテナ装置の概略構成図であり、図2は、本実施形態に係る電気コネクタ組立体の組み立て前の状態を示す平面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100は、例えば5G基地局設備等のアンテナ装置200に適用される。この電気コネクタ組立体100は、同軸ケーブル1と、この同軸ケーブル1に接続された電気コネクタ5、7と、を有している。具体的には、図2に示すように、電気コネクタ組立体100では、同軸ケーブル1が電気コネクタ5に接続され、この電気コネクタ5が電気コネクタ7(以下適宜「相手コネクタ7」と呼ぶ。)に嵌合して、同軸ケーブル1と電気コネクタ5と相手コネクタ7とが電気的に接続されるようになっている。このような電気コネクタ組立体100は、図1に示すように、アンテナ装置200内において複数用いられることで、複数のアンテナ素子300とRF基板である基板400とを電気的に接続して、高周波信号の伝送を行うようになっている。
【0014】
より具体的には、図2に示すように、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100は、上記の同軸ケーブル1がケーブル保持部材2に保持されるようになっている。特に、電気コネクタ組立体100は、中心導体11、絶縁体12及び外被14などを有する同軸ケーブル1と、略円筒形状を有し、同軸ケーブル1の外側に取り付けられて当該同軸ケーブル1を保持するケーブル保持部材2(コード管とも呼ばれる)と、を含むケーブル組立体3を用いている。
【0015】
また、電気コネクタ組立体100の電気コネクタ5は、内部導体(不図示)の一端側を収容するように嵌合方向Zに延びる筒形状を有し、ケーブル組立体3が取り付けられる本体部51を有する。加えて、電気コネクタ5は、この本体部51と連結部52を介して連結され、内部導体の他端側を収容するように嵌合方向Zに延びる筒形状を有し、相手コネクタ7と嵌合する嵌合部53を有する。電気コネクタ5の本体部51には、嵌合方向Zに直交する横方向Xからケーブル組立体3が取り付けられるようになっている。なお、ケーブル組立体3は、電気コネクタ5の本体部51に取り付けられた後に、その外側(特にケーブル保持部材2の部分の外側)に熱収縮チューブ(不図示)が取り付けられる。
【0016】
他方で、相手コネクタ7は、電気コネクタ5の嵌合部53を受け入れて当該嵌合部53と嵌合することで、電気コネクタ5と接続される。具体的には、相手コネクタ7も内部導体(不図示)を有しており、このような嵌合がなされると、電気コネクタ5の内部導体と相手コネクタ7の内部導体とが接続される。また、相手コネクタ7は、基板400に実装されている。そのため、電気コネクタ5と相手コネクタ7とが嵌合すると、電気コネクタ5と基板400とが相手コネクタ7を介して接続されるようになる。
【0017】
[ケーブル組立体の構成]
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係るケーブル組立体3の構成について説明する。図3は、ケーブル保持部材2を取り付ける前の同軸ケーブル1の平面図であり、図4は、同軸ケーブル1にケーブル保持部材2が取り付けられたケーブル組立体3の軸方向に沿った断面図である。
【0018】
図3に示すように、同軸ケーブル1は、ケーブル保持部材2を取り付ける前に、先端部分(電気コネクタ5への挿入側の部分であり、以下では挿入側を単に「前側」と呼び、この挿入側(前側)と反対側を単に「後ろ側」と呼ぶ。)において、中心導体11が露出され、この中心導体11が露出された部分の後ろ側において、絶縁体12が露出され、この絶縁体12が露出された部分の後ろ側において、外部導体13が露出される。この外部導体13が露出された部分の更に後ろ側は、外被14がある元の同軸ケーブル1の状態となっている。なお、同軸ケーブル1の絶縁体12として誘電体を用いてもよい。
【0019】
続いて、図4に示すように、ケーブル組立体3は、図3に示したような状態にある同軸ケーブル1に対して金属製のケーブル保持部材2が取り付けられたものである。このケーブル保持部材2は、概説すると、軸方向に延びると共に略円筒形状を有する、径が異なる2つの筒状部21、23(筒状部21のほうが筒状部23よりも径が大きい)が連結されて構成されている。これら筒状部21、23は、連通する貫通孔24、25、26を含んでおり、これら貫通孔24、25、26内に同軸ケーブル1が収容される。また、筒状部21において筒状部23との連結部分付近の外周面には、径方向外側に突出する環状のフランジ部22が設けられている。
【0020】
詳しくは、貫通孔24は、同軸ケーブル1の絶縁体12の径に対応する径(絶縁体12の径よりも僅かに大きい径)を有しており、貫通孔25は、同軸ケーブル1の外部導体13の径に対応する径(外部導体13の径よりも僅かに大きい径)を有しており、貫通孔25は、同軸ケーブル1の外被14の径に対応する径(外被14の径よりも僅かに大きい径)を有している。これにより、ケーブル保持部材2を同軸ケーブル1に取り付けると、ケーブル保持部材2は、貫通孔24の部分において、同軸ケーブル1の絶縁体12が露出された部分を収容し、貫通孔25の部分において、同軸ケーブル1の外部導体13が露出された部分を収容し、貫通孔26の部分において、同軸ケーブル1の外部導体13が露出された部分及び外被14の部分を収容するようになっている。
【0021】
このようなケーブル保持部材2を同軸ケーブル1に取り付けるときには、ケーブル保持部材2の後ろ側から(つまり貫通孔26から)、同軸ケーブル1が前側へと挿入されていく。こうして同軸ケーブル1をケーブル保持部材2内に挿入していくと、同軸ケーブル1において外部導体13が露出された部分の前端が、貫通孔24と貫通孔25との境界(つまり貫通孔の径が外部導体13の径に対応する径から絶縁体12の径に対応する径へと切り替わる部分)に形成された環状面27に突き当たることで、同軸ケーブル1がこれ以上ケーブル保持部材2内を進入できなくなる。したがって、同軸ケーブル1は、外部導体13が露出された部分が環状面27に突き当たるまで、ケーブル保持部材2内に挿入されることとなる。ここで、環状面27の径方向内側の縁端には、前側に向けて縮径する縮径部28が形成されており、この縮径部28は、同軸ケーブル1をケーブル保持部材2内に挿入するときに、絶縁体12が環状面27に突き当たって損傷することを防止する。例えば、縮径部28を形成する面は、軸方向に対して45度傾斜している。
【0022】
なお、以下では、ケーブル保持部材2が取り付けられた同軸ケーブル1から成るケーブル組立体3において、中心導体11が露出された部分を、「第1部分3a」と呼び、この第1部分3aよりも後ろ側の絶縁体12が露出された部分を、「第2部分3b」と呼び、この第2部分3bよりも後ろ側の、露出された絶縁体12を少なくとも覆うようにケーブル保持部材2が取り付けられた前側の部分を、「第3部分3c」と呼ぶ。
【0023】
このようにしてケーブル保持部材2内に同軸ケーブル1が挿入された後に、ケーブル保持部材2の筒状部23の一部分に形成された窓部29から、同軸ケーブル1において外部導体13が露出された部分に対して半田付け(符号17参照)が行われる。その結果、同軸ケーブル1の外部導体13とケーブル保持部材2の筒状部23とが、半田17により、しっかりと接合されることとなる。そして、同軸ケーブル1の外部導体13とケーブル保持部材2との電気的な接続が確保されることとなる。以上のような工程により、電気コネクタ5に取り付け可能なケーブル組立体3が完成する(図2参照)。
【0024】
[電気コネクタの構成]
次に、図5乃至図7を参照して、本実施形態に係る電気コネクタ5の構成について説明する。図5は、本実施形態に係る電気コネクタ5の嵌合方向Zに沿った断面図であり、図6は、上述したケーブル組立体3が取り付けられた電気コネクタ5の嵌合方向Zに沿った断面図であり、図7は、図6中の矢印A1方向から見た、電気コネクタ5等の一部分を示す上面図である。
【0025】
図5に示すように、電気コネクタ5は、主に、ケーブル組立体3が取り付けられる本体部51と、この本体部51よりも嵌合側に設けられ、相手コネクタ7(不図示)と嵌合する嵌合部53と、これら本体部51と嵌合部53とを連結する連結部52と、これら本体部51、連結部52及び嵌合部53内に収容された内部導体55と、を有する。具体的には、本体部51、連結部52及び嵌合部53は、金属製で一体成形されており、嵌合方向Zに延びる筒形状を有し、この筒形状の中空部分の中央に内部導体55を収容する。また、内部導体55は、嵌合方向Zに延び、一端が同軸ケーブル1の中心導体11と接続され、他端が相手コネクタ7の内部導体(不図示)と接続されるようになっている。そして、本体部51は、内部導体55において同軸ケーブル1と接続される一端側を収容し、嵌合部53は、内部導体55において相手コネクタ7と接続される他端側を収容する。ここで、内部導体55は、高周波信号を伝送するように構成される一方で、本体部51、連結部52及び嵌合部53は、このような内部導体55による高周波信号の伝送に関して、外部からのノイズを防ぐ電磁シールドとしての外部導体を構成する。
【0026】
詳しくは、電気コネクタ5の嵌合部53は、複数のスリット53bにより互いに周方向に離間された複数の弾性片53aを有している。嵌合部53の弾性片53aは、当該嵌合部53が相手コネクタ7と嵌合したときに、径方向内側に撓むことで、元に戻ろうとする反力(弾性力)を相手コネクタ7に付与する。これにより、電気コネクタ5の嵌合部53と相手コネクタ7との嵌合状態が保持されるようになっている。また、電気コネクタ5の連結部52は、径方向内側に、内部導体55を固定する支持固定部57を有している。この支持固定部57は、軸方向の厚さを有する略円盤形状を有し、内部導体55を電気的に絶縁した状態で固定している。
【0027】
また、電気コネクタ5の本体部51は、当該本体部51を構成する周壁61内に、嵌合方向Zに延び、略円形横断面を有する収容空間62が形成されている。収容空間62の上部(嵌合側と反対側の端部)には、蓋体(不図示)を取り付けるための開口部63が設けられている。この開口部63は、本体部51にケーブル組立体3が取り付けられた後に、蓋体が取り付けられて塞がれるようになっている。また、周壁61の側面には、周壁61を横方向Xに貫通して収容空間62に連通し、略円形横断面を有する取り付け孔64が形成されている。この取り付け孔64は、同軸ケーブル1の中心導体11を内部導体55の一端(後述する接続部55b)に接続するように、ケーブル組立体3を本体部51に取り付けるための孔である。
【0028】
詳しくは、取り付け孔64は、図5及び図6に示すように、ケーブル組立体3において絶縁体12が露出された第2部分3bを保持するために、絶縁体12の径に対応する一定の径(絶縁体12の径よりも僅かに大きい径)にて横方向Xに延びる第1等径部64aを有する。また、取り付け孔64は、ケーブル組立体3において露出された絶縁体12を少なくとも覆うようにケーブル保持部材2が取り付けられた第3部分3c(ケーブル保持部材2の前側部分)を保持するために、この第3部分3cの径に対応する一定の径(第3部分3cの径よりも僅かに大きい径)にて横方向Xに延びる第2等径部64cを有する。第2等径部64cの径は、第1等径部64aの径よりも大きい。
【0029】
加えて、取り付け孔64は、第1等径部64aの後端(収容空間62と反対側の端部)と第2等径部64cの前端(収容空間62側の端部)とを連結するように設けられ、収容空間62に向けて縮径するように形成されたテーパー部64bを有する。このテーパー部64bを形成する面は、横方向Xに対して、好ましくは20度~40度、より好ましくは25度~35度(好適な例では30度)という緩やかな角度で傾斜している。このような緩やかな角度にて形成されたテーパー部64bによれば、ケーブル組立体3を本体部51に取り付けるべく取り付け孔64に挿入するときに、取り付け孔64のテーパー部64b内への同軸ケーブル1の中心導体11及び絶縁体12の進入を的確に誘導することができる。
【0030】
ここで、上記したような取り付け孔64内へのケーブル組立体3の挿入作業について説明する。本体部51の取り付け孔64には、所定の治具(不図示)を用いて、ケーブル組立体3が挿入される。この場合、図6に示すように、ケーブル組立体3の第3部分3cの前端21aが、テーパー部64bと第2等径部64cとの境界(つまり取り付け孔64の径が第3部分3cの径に対応する径から絶縁体12の径に対応する径へと切り替わる部分)に形成された環状面65に突き当たるまで、ケーブル組立体3が取り付け孔64内に挿入される。こうして取り付け孔64内へのケーブル組立体3の挿入が完了した状態においては、取り付け孔64の第1等径部64a及びテーパー部64bには、ケーブル組立体3において絶縁体12が露出された第2部分3bが保持され、取り付け孔64の第2等径部64cには、ケーブル組立体3においてケーブル保持部材2が取り付けられた第3部分3c(ケーブル保持部材2の前側部分)が保持される。これにより、本体部51の取り付け孔64において、同軸ケーブル1及びケーブル保持部材2を含むケーブル組立体3を確実に保持することができる。
【0031】
他方で、電気コネクタ5の内部導体55は、図5に示すように、嵌合方向Zに延びる連結部55aと、連結部55aの嵌合方向Zの両側から軸方向に一端側及び他端側に延びる接続部55b、55dと、を有する。具体的には、他端側にある接続部55dは、相手コネクタ7の内部導体(不図示)を受け入れる接続凹部55eを有している。また、一端側にある接続部55bの端部には、図6及び図7に示すように、嵌合方向Z及び横方向Xに延びるスリット(切欠、溝)55cが形成されており、このスリット55c内に、同軸ケーブル1の中心導体11が挿入されるようになっている。接続部55bのスリット55cの幅(嵌合方向Z及び横方向Xに直交する長さ)は、同軸ケーブル1の中心導体11の径よりも僅かに大きい。このようなスリット55c内に中心導体11が挿入された状態で半田付けされることで、内部導体55と中心導体11との電気的な接続が確保されるようになっている。
【0032】
そして、このような半田付けが完了した後に、収容空間62の上部の開口部63に蓋体が取り付けられて(圧入される)、当該開口部63が塞がれ、更に、ケーブル組立体3の外側(特にケーブル保持部材2の部分の外側)に熱収縮チューブが取り付けられるようになっている。これにより、ケーブル組立体3において、同軸ケーブル1の外部導体13に付与された半田17及びケーブル保持部材2の窓部29などが熱収縮チューブで覆われることとなる。
【0033】
[作用及び効果]
次に、上述した本実施形態に係る電気コネクタ5及び電気コネクタ組立体100の作用及び効果について説明する。
【0034】
本実施形態に係る電気コネクタ5は、同軸ケーブル1が取り付けられる共に相手コネクタ7と嵌合して、同軸ケーブル1と相手コネクタ7とを電気的に接続するものであり、相手コネクタ7との嵌合方向Zに延び、一端が同軸ケーブル1の中心導体11と接続され、他端が相手コネクタ7の内部導体と接続される内部導体55と、内部導体55の一端側を収容するように嵌合方向Zに延びる筒形状を有し、同軸ケーブル1が取り付けられる本体部51と、本体部51よりも相手コネクタ7の嵌合側に設けられ、内部導体55の他端側を収容するように嵌合方向Zに延びる筒形状を有し、相手コネクタ7と嵌合する嵌合部53と、を有し、本体部51には、内部導体55の一端側を収容するように、嵌合方向Zに延びる筒形状の中空部分を構成する収容空間62と、嵌合方向Zに直交する横方向Xに延びて収容空間62に連通し、同軸ケーブル1の中心導体11を内部導体55の一端に接続するように、同軸ケーブル1を本体部51に取り付けるための取り付け孔64と、が形成され、本体部51の取り付け孔64は、収容空間62側の端部(端付近)に、収容空間62に向けて縮径するテーパー部64bを含む。
【0035】
また、本実施形態に係る電気コネクタ組立体100は、上記の電気コネクタ5と、電気コネクタ5の本体部51の取り付け孔64に挿入されることで、本体部51に取り付けられ、電気コネクタ5の内部導体55の一端に接続される中心導体11を含む同軸ケーブル1と、筒形状を有し、同軸ケーブル1の外側に取り付けられて当該同軸ケーブル1を保持するケーブル保持部材2と、を有するケーブル組立体3と、を有する。なお、図1及び図2では、電気コネクタ組立体100に相手コネクタ7が含まれていたが、この相手コネクタ7を電気コネクタ組立体100に含めなくてもよい。
【0036】
このような本実施形態による作用及び効果について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、本実施形態に係る電気コネクタ5及びケーブル組立体3の一部分についての嵌合方向Zに沿った断面図である。具体的には、図8では、電気コネクタ5の取り付け孔64にケーブル組立体3が挿入される様子を示している。
【0037】
図8に示すように、ケーブル組立体3を電気コネクタ5の本体部51に取り付けるべく取り付け孔64に挿入していくと(矢印A2)、まず、ケーブル組立体3の前側部分にある中心導体11及び絶縁体12、つまり第1部分3a及び第2部分3bが、比較的大きな径を有する第2等径部64cを通過していく。この後、ケーブル組立体3の中心導体11の前端(第1部分3aの前端)が、比較的小さな径を有するテーパー部64b内を進入し始める。この場合、基本的には、テーパー部64bの径が中心導体11の径よりも十分大きいので、中心導体11の前端がテーパー部64bに接触することなく、中心導体11がテーパー部64b内に進入していく傾向にある。しかしながら、たとえ中心導体11の前端がテーパー部64bに接触したとしても、このテーパー部64bの面が緩やかに傾斜しているので、テーパー部64b内への中心導体11の進入が当該テーパー部64bの傾斜面によって誘導されることとなる。
【0038】
この後、中心導体11がテーパー部64b及び第1等径部64aを通過していくと、次に、ケーブル組立体3の中心導体11の後ろの絶縁体12の前端(第2部分3bの前端)が、比較的小さな径を有するテーパー部64b内を進入し始める。この場合、テーパー部64bが絶縁体12と同程度の径を有するので、絶縁体12の前端がテーパー部64bの面に接触する傾向にあるが、このテーパー部64bの面が緩やかに傾斜しているので、テーパー部64b内への絶縁体12の進入が当該テーパー部64bの傾斜面によって誘導されることとなる。これにより、テーパー部64bに対して絶縁体12が適切に位置決めされて、絶縁体12をテーパー部64b内に確実に進入させることができる。
【0039】
こうして絶縁体12をテーパー部64bの傾斜面により誘導してテーパー部64b内に確実に進入させることで、この絶縁体12よりも前側にある中心導体11を、テーパー部64b及び第1等径部64aの先の収容空間62内にある、内部導体55の接続部55bに対して、的確に位置決めすることができる。具体的には、接続部55bのスリット55c内に中心導体11を的確に挿入することができる(図7参照)。したがって、中心導体11がスリット55c内に挿入されずに接続部55bの壁に突き当たることで座屈したり、中心導体11が周壁61の内周面に接触してショートしたりすることを確実に抑制できる。
【0040】
ここで、電気コネクタ組立体100においては、同軸ケーブル1の中心導体11と、この中心導体11の外側にある導体(電気コネクタ5の本体部51やケーブル保持部材2や外部導体13など)との距離を一定に保つことが、同軸ケーブル1が伝送する高周波信号のノイズ対策の観点から重要である。この距離が変わると、高周波信号にノイズが含まれてしまう可能性がある。一方で、本実施形態では、同軸ケーブル1を電気コネクタ5の本体部51の取り付け孔64に取り付けた状態においては、取り付け孔64のテーパー部64bにおいて、同軸ケーブル1の中心導体11と外部導体としての電気コネクタ5の本体部51との距離が変わってしまい、ノイズが発生する可能性がある。しかしながら、取り付け孔64にテーパー部64bを形成せずに、このテーパー部64bの部分を径が一定である等径部にて構成すると(つまり第1等径部64aをテーパー部64bの部分まで延長すると)、電気コネクタ5の内部導体55の接続部55bに対して中心導体11を的確に位置決めすることができずに、上述したような中心導体11の座屈やショートなどが発生してしまう可能性がある。
【0041】
したがって、本実施形態では、高周波信号のノイズをある程度許容することとし、中心導体11の座屈やショートなどの防止を優先すべく、取り付け孔64内への絶縁体12の進入を誘導するために、この取り付け孔64にテーパー部64bを設けることとした。この場合、本実施形態では、取り付け孔64において収容空間62側の部分を全てテーパー部64bにて形成せずに、収容空間62とテーパー部64bとの間に径が一定である第1等径部64aを設けている。そのため、本実施形態によれば、取り付け孔64内への絶縁体12の誘導を確保しつつ、高周波信号のノイズ増大を抑制することができる。また、本実施形態では、テーパー部64bの面を横方向Xに対して20度~40度という緩やかな傾斜角にて形成しているので、取り付け孔64のテーパー部64b内への同軸ケーブル1の絶縁体12の進入を効果的に誘導することができる。
【0042】
なお、上述した実施形態及び変形例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る電気コネクタ及び電気コネクタ組立体は、高周波信号の伝送を行うための電子基板や同軸ケーブルを接続する等の用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 同軸ケーブル
2 ケーブル保持部材
3 ケーブル組立体
3a 第1部分
3b 第2部分
3c 第3部分
5 電気コネクタ
7 電気コネクタ(相手コネクタ)
11 中心導体
12 絶縁体
13 外部導体
21、23 筒状部
24、25、26 貫通孔
51 本体部
52 連結部
53 嵌合部
55 内部導体
55b 接続部
55c スリット
61 周壁
62 収容空間
64 取り付け孔
64a 第1等径部
64b テーパー部
64c 第2等径部
100 電気コネクタ組立体
200 アンテナ装置
300 アンテナ素子
400 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8