(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064437
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】洗浄組成物の安定化方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/66 20060101AFI20240507BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240507BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240507BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240507BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240507BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A61K8/66
A61Q19/10
A61Q1/14
A61K8/73
A61K8/44
A61K8/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173022
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100123928
【弁理士】
【氏名又は名称】井▲崎▼ 愛佳
(74)【代理人】
【識別番号】100136308
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 優子
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 一宏
(72)【発明者】
【氏名】関 百華
(72)【発明者】
【氏名】升田 景子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB132
4C083AB282
4C083AB322
4C083AB352
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC232
4C083AC242
4C083AC252
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD222
4C083AD242
4C083AD332
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD471
4C083AD472
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC23
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】洗浄組成物の安定化方法を新たに提供する。
【解決手段】(A)糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類からなる群より選択される一種又は二種以上と、(B)水とを含有する洗浄組成物において、(C)加水分解酵素を配合することを特徴とする洗浄組成物の安定化方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類からなる群より選択される一種又は二種以上と、(B)水とを含有する洗浄組成物において、(C)加水分解酵素を配合することを特徴とする洗浄組成物の安定化方法。
【請求項2】
前記(C)加水分解酵素が、微生物由来の加水分解酵素である、請求項1に記載の洗浄組成物の安定化方法。
【請求項3】
前記(B)水の含有量が、洗浄組成物全量に対して20~50質量%である、請求項1又は2記載の洗浄組成物の安定化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄組成物の安定化方法に関する。より詳細には、洗浄組成物の臭いや色等の諸物性の変化を抑制する、洗浄組成物の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚等に適用される化粧料の外観(色)や臭い等の諸物性が経時的に変化してしまうと、化粧料本来の効用や魅力が低下する恐れや、使用者に不快感を与える恐れがあるため、商品価値が損なわれる。そのため化粧料の諸物性は経時的に安定であることが要請される一方、化粧料はその目的、用途、剤型等に応じて、特定の成分を配合することや、安定性以外の他の特性を充足することも要請されるため、これらを高度に両立するには、処方設計に多大な労力が必要となる場合が多い。
【0003】
例えば、アミノ酸及びその塩、ペプチド、タンパク質等の特定の保湿成分を配合した含水化粧料は、経時的に、特に高温条件下において、変臭や着色が生じる傾向があることが知られており、かかる化粧料の変臭や着色を抑制する方法としては、含水化粧料に対して、香料等を配合して変臭をマスキングする方法や、pHを調整する方法等が提案されている。また、含水化粧料に対して、水溶性還元剤やキレート剤を配合する安定化方法も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、香料等で変臭をマスキングする方法やpHを調整する従来の方法では、変臭等の抑制効果は限定的なものであり、未だ満足できるものではない。また、特許文献1の安定化方法によれば、変臭や着色を抑制し得るものの、水溶性還元剤やキレート剤を用いるため、皮膚への刺激が懸念されることに加えて、当該安定化方法を洗顔剤等の洗浄組成物に適用した場合には、泡立ちや水溶け性等の洗浄組成物に求められる基本特性を損なう懸念があるため、処方設計上の制約が大きい。従って、新たな安定化技術を開発し、その選択肢を拡充ないし多様化することが強く求められている。
【0006】
本発明は、かかる実情を背景とするものであり、特定の成分を含有する洗浄組成物において、経時的な物性の変化を抑制することができる、新たな安定化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、意外にも、特定の成分を含有する洗浄組成物に対し、加水分解酵素を配合することによって、洗浄組成物の経時的な物性変化を抑制できることを見出した。
【0008】
具体的には、糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類は、保湿効果等に優れた有用な成分として幅広く活用されているが、かかる成分と水とを含有する洗浄組成物においては、経時的に洗浄組成物の諸物性が変化する傾向があるところ、本発明者らは、かかる洗浄組成物に対し、加水分解酵素を配合することによって、当該物性変化を抑制できることを見出した。
【0009】
本発明は、以下の[1]~[3]を提供する。
[1](A)糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類からなる群より選択される一種又は二種以上と、(B)水とを含有する洗浄組成物において、(C)加水分解酵素を配合することを特徴とする洗浄組成物の安定化方法。
[2]前記(C)加水分解酵素が、微生物由来の加水分解酵素である、[1]に記載の洗浄組成物の安定化方法。
[3]前記(B)水の含有量が、洗浄組成物全量に対して20~50質量%である、[1]又は[2]に記載の洗浄組成物の安定化方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄組成物の経時的な物性変化を抑制することができる。例えば、本発明によれば、特定の保湿成分を含有しながらも、洗浄組成物の経時的な変臭や変色等を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)を用いて記載された数値範囲は、特に断らない限り、「X以上Y以下」を意味する。本明細書において段階的に記載されている数値範囲については、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値を、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例又は製剤例に示されている値に置き換えることもできる。
また、本明細書において「α及び/又はβ」(α,βは任意の構成又は成分)は、特に断らない限り、「αのみ」、「βのみ」、「α及びβの両方」の3通りの組み合わせを意味する。
【0013】
また、本明細書において「アミノ酸」とは、分子内にアミノ基とカルボキシ基とを持つ化合物を意味するものであり、当業者の通常の理解に沿うように解釈される。また、「アミノ酸誘導体」とは、アミノ酸を構成する基が修飾又は置換された構造を有する化合物を意味するものであり、当業者の通常の理解に沿うように解釈される。
また、本明細書において、「ペプチド類」とは、2つ以上のアミノ酸がペプチド結合で連結された化合物、及びペプチドから派生する関連化合物を意味するものであり、ペプチドから派生する関連化合物には複数のペプチドがらせん構造をとるものも含んでよく、当業者の通常の理解に沿うように解釈される。
【0014】
<<洗浄組成物の安定化方法>>
以下、本発明の一実施形態に係る洗浄組成物の安定化方法(以下、「本安定化方法」という場合がある)について説明する。但し、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
本安定化方法は、(A)糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類からなる群より選択される一種又は二種以上と、(B)水とを含有する洗浄組成物において、(C)加水分解酵素を配合する方法を特徴とする。
【0015】
(A)糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類(以下、「(A)成分」という場合がある)は、保湿効果等に優れた有用な成分として共通の性質を有するものであり、幅広く活用されているが、かかる(A)成分と(B)水(以下、「(B)成分」という場合がある)とを含有する洗浄組成物においては、経時的に諸物性が変化する傾向がある。例えば、(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物は、当該組成物の臭いが経時的に変化する傾向や、当該組成物の色が経時的に変化する傾向等がある。
とりわけ、洗浄組成物を高温条件下に保管する場合や、光照射条件下に保管する場合等には、当該外部環境による影響も相俟って洗浄組成物の臭いや色の変化が助長される。
【0016】
これまで、本技術分野において、外用組成物の安定化方法に関する研究が鋭意進められてきたが、未だ安定化方法の選択肢は限られているのが実情である。とりわけ、(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物における臭いや色等の経時的な安定性に着目した研究は十分に行われていない。かかる洗浄組成物に対して、(C)加水分解酵素(以下、「(C)成分」という場合がある)を配合することによって、経時的な安定性に優れる洗浄組成物を提供し得ることは、本発明者らが初めて見出した知見である。
【0017】
本安定化方法によれば、洗浄組成物の臭いや色等の物性変化を抑制することができるため、安定性に優れる洗浄組成物を提供することができる。そして、本安定化方法によれば、使用者に不快感を与えることなく、経時的な商品価値を維持することができるため、その実用的価値が高い。
更に、本安定化方法によれば、洗浄組成物の安定性を害する傾向がある(A)成分を含有しながらも、洗浄組成物の物性変化を抑制できるため、(A)成分に起因する優れた保湿効果等の効用を十分得ることができる点でも実用的価値が高い。
【0018】
しかも、洗浄組成物におけるプロテアーゼやリパーゼ等の(C)加水分解酵素は、角質除去等の洗浄作用を奏する成分であり、洗浄組成物の処方設計を制約する要因とはならないため、本安定化方法を用いることにより、処方設計の自由度が高まる点においても実用的価値が高い。
【0019】
以上のとおり、本安定化方法は、洗浄組成物の処方設計における制約が小さく、経時的に安定で、皮膚汚れを落とす洗浄力が高く、かつ保湿効果にも優れる洗浄組成物を提供し得ることができるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の実施形態に係る各成分等について詳細に説明する。
【0020】
<(A)成分>
本安定化方法に係る洗浄組成物は、(A)糖類、アミノ酸及びその塩、アミノ酸誘導体並びにペプチド類からなる群より選択される一種又は二種以上を含有する。なお、本安定化方法における(A)成分は、保湿成分として洗浄組成物に含有させることが好ましいが、これに限るものではない。
【0021】
本安定化方法における(A)成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~10質量%であり、好ましくは0.01~7質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。または、0.001~2質量%、0.01~1質量%、0.05~0.5質量%等であってもよい。
【0022】
[糖類]
糖類としては、例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、配糖体及び糖アルコール等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0023】
単糖としては、例えば、D-エリトルロース、D-エリトロース、D-トレオース等のテトロース類;D-アラビノース、L-アラビノース、D-キシロース、D-リキソース、L-リキソース、D-リボース等のアルドペントース類;D-キシルロース、L-キシルロース、D-リブロース、L-リブロース等のケトペントース類;D-ガラクトース、L-ガラクトース、D-グルコース、D-タロース、D-マンノース等のアルドヘキソース類;L-ソルボース、D-タガトース、D-プシコース、D-フルクトース等のケトヘキソース類;D-アピオース、D-ハマメロース等の分枝糖類;リボース、アラビノース、キシロース、ラムノース等のペントース;グルコース、ガラクトース、フルクトース等のヘキソース等が挙げられる。
【0024】
二糖、オリゴ糖としては、上述した単糖又はその誘導体を、1種含むホモオリゴ糖、又は二種以上を含むヘテロオリゴ糖が挙げられる。ホモオリゴ糖としては、例えば、キシロビオース、キシロトリオース、キシロテトラオース、キシロペンタオース等のキシロオリゴ糖類;アガロビオース、カラビオース等のガラクトオリゴ糖類;マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソマルトテトラオース、ソホロース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース、トレハロース、ネオトレハロース、イソトレハロース等のグルコオリゴ糖類;マンノオリゴ糖類;イヌロビオース、イヌロトリオース、イヌロテトラオース、イヌロペンタオース等のフルクトオリゴ糖類等が挙げられる。
ヘテロオリゴ糖としては、ビシアノース、イソプリメベロース、サンブビオース、プリメベロース、リコテトラオース、ソラビオース、メリビオース、マンニノトリオース、ラクトース、リコビオース、リコトリオース、エピセロビオース、スクロース、ツラノース、マルツロース、イソケストース、エルロース、ケストース、ゲンチアノース、ラクツロース、エピゲンチビオース、イソリクノース、ウンベリフェロース、セサモース、ラフィノース、リクノース、ロビノビオース、シラノビオース、ルチノース、カコトリオース、ソラトリオース、α-グルカンオリゴサッカリド(マルトース・ショ糖縮合物、重合度が2~10のグルコースオリゴマー)等が挙げられる。
【0025】
多糖としては、例えば、キサンタンガム、セルロース、グアーガム、ジェランガム、タマリンドガム、スターチ、プルラン、デキストラン、シクロデキストリン、デキストリン、フルクタン、マンナン、寒天、カラギーナン、キチン、キトサン、ペクチン、アルギン酸、デンプン、グリコーゲン、ヒアルロン酸等が挙げられる。多糖には、これらの糖がメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アセチル基、ステアロキシ基、グリセロール、プロピレングリコール等で置換された誘導体も含まれる。これらの置換基は、単独で又は複数の組合せで置換することができる。置換基を有する多糖としては、具体的には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセチル化ヒアルロン酸、アルギン酸プロピレングリコール、ヒアルロン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0026】
配糖体としては、例えば、アルブチン、アスコルビン酸グルコシド、アルキルグルコシド、グルコシルセラミド、アントシアニン、ルチン、ヘスペリジン、ダイジン、α-グルコシルグリセロール(グリシルグルコシド)等が挙げられる。
【0027】
糖アルコールとしては、例えば、キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ラクチトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールが挙げられる。
【0028】
本安定化方法における糖類の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~10質量%であり、好ましくは0.01~7質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。または、0.001~2質量%、0.01~1質量%、0.05~0.5質量%等であってもよい。
【0029】
[アミノ酸及びその塩]
アミノ酸及びその塩としては、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸及びそれらの塩が挙げられる。具体的には、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トレオニン、セリン、プロリン、ヒドロキシプロリン、トリプトファン、チロキシン、メチオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、ピロリドンカルボン酸、テアニン、サルコシン、トラネキサム酸等の中性アミノ酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸;リジン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸を挙げられる。塩の場合、これらアミノ酸のカルボキシル基に対する対塩基としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。なお、アミノ酸及びその塩は、L-アミノ酸、D-アミノ酸及び両者の混合のいずれでもよい。
【0030】
本安定化方法におけるアミノ酸及びその塩の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~10質量%であり、好ましくは0.01~7質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。または、0.001~2質量%、0.01~1質量%、0.05~0.5質量%等であってもよい。
【0031】
[アミノ酸誘導体]
アミノ酸誘導体としては、例えば、アミノ酸の一部がアセチル化、エステル化等により修飾された化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、トリメチルグリシン、N-ラウロイルグリシン、N-ラウロイルアラニン、ヤシ油脂肪酸グリシン、ヤシ油脂肪酸メチルアラニン、ヤシ油脂肪酸グルタミン酸、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0032】
本安定化方法におけるアミノ酸誘導体の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.1~15質量%であり、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~8質量%である。または、0.01~5質量%、0.05~3質量%、0.1~2質量%等であってもよい。
【0033】
[ペプチド類]
ペプチド類としては、天然又は合成のいずれでもよく、また鎖状、環状等の構造もいずれでもよく、その構成アミノ酸の種類及び配列にも特に制限はない。具体的には、以下に限定されないが、例えば、ジペプチド類(グリシルグリシン等);トリペプチド類(グルタチオン);テトラペプチド類;オリゴペプチド類;マメ科植物タンパク加水分解物;シルクタンパク分解物;真珠タンパク分解物;コラーゲン加水分解物(水溶性コラーゲン)、低分子コラーゲン、コラーゲンペプチド、加水分解コラーゲン、アテロコラーゲン、サクシニルアテロコラーゲン等のコラーゲン誘導体;化学修飾(アセチル化、パルミトイル化、ミリストイル化、ニコチノイル化、ウルソロイル化、アゼラオイル化、ビオチン化等)を含むペプチド、又はこれらの塩等が挙げられる。
【0034】
ペプチド類のなかでも、数平均分子量が100~500000のペプチド類が好ましく、数平均分子量が100~10000のペプチド類がより好ましく、数平均分子量が100~1000のペプチド類が更に好ましく、数平均分子量が100~500のペプチドが更により好ましい。なお、数平均分子量は、公知の方法により測定することができる。一般的には、数平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィ(GPC)法や分析窒素値の計算によって算出することができる。
【0035】
本安定化方法におけるペプチド類の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~2質量%であり、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%である。
【0036】
<(B)成分>
(B)成分としては、通常、外用組成物及び/又は化粧料に用いられる水であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、精製水が好ましく用いられる。
【0037】
本安定化方法における(B)成分の含有量は、洗浄組成物全量に対し、20~50質量%が好ましく、25~50質量%がより好ましく、28~48質量%が更により好ましいく、30~46質量%が特に好ましい。
【0038】
<(C)成分>
本安定化方法は、(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物に対して、(C)加水分解酵素を配合することが重要である。(C)成分を配合することにより、洗浄組成物の諸物性を安定化することができる。
【0039】
(C)成分としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ジアスターゼ、デキストラナーゼ、リゾチーム等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。これらのなかでも、プロテアーゼ、リパーゼが好ましい。
【0040】
プロテアーゼとしては、酸性、中性、又はアルカリ性のプロテアーゼのいずれでもよく、また、動物由来、植物由来、又は微生物由来のプロテアーゼ等のいずれでもよい。プロテアーゼの具体例としては、例えば、パパイン、キモパパイン、ブロメライン、フィシン、ペプシン等の植物由来のプロテアーゼ、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン等の動物由来のプロテアーゼ、細菌等の微生物が生産する微生物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。微生物由来のプロテアーゼとしては、例えば、バチルス属(Bacillus)、ペニバチルス属(Paenibacillus)、ジオバチルス属(Geobacillus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、リゾプス属(Rhizopus)、リゾムコール属(Rhizomucor)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)等の微生物が生産するプロテアーゼ等が挙げられる。これらのなかでも、植物由来のプロテアーゼ、微生物由来のプロテアーゼが好ましく、より好ましくは微生物由来のプロテアーゼである。
【0041】
リパーゼとしては、酸性、中性、又はアルカリ性のリパーゼのいずれでもよく、また、動物由来、植物由来、又は微生物由来のリパーゼ等のいずれでもよい。リパーゼの具体例としては、例えば、ホスホリパーゼ、フィターゼ等が挙げられる。微生物由来のリパーゼとしては、例えば、リゾプス属(Rhizopus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ムコール属(Mucour)、ジオトリケム属(Geotrichum)、キャンディダ属(Candida)、シュードモナス属(Pseudomonas)、ペニシリウム属(Penicillium)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)等の微生物が生産するリパーゼ等が挙げられる。
【0042】
(C)成分の市販品としては、例えば、「ビオプラーゼ(登録商標)〔例えば、ビオプラーゼ XL-416F〕」、「プロテアーゼ〔例えば、プロテアーゼ CL-15〕」(以上、ナガセケムテックス社製)、「プロテアーゼN」、「プロテアーゼS」、「パパインW-40」(以上、天野製薬社製)、「ビオソーク」(大和化成社製)、「アルカラーゼ(登録商標)」、「エスペラーゼ(登録商標)」、「サビナーゼ(登録商標)」、「デュラザイム(登録商標)」、「ズブチリシンA」(以上、ノボザイムズ・ジャパン社製)、「リリパーゼ(登録商標)〔例えば、リリパーゼ A-10D〕」(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
【0043】
本安定化方法における(C)成分の配合量は、その酵素活性(U/g)、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.01~5質量%、0.05~3質量%、0.08~2質量%、0.1~1質量%等である。
【0044】
また、例えば、本安定化方法における(C)成分の配合量は、洗浄組成物の酵素活性が、好ましくは0.01~5.0U/g、より好ましくは0.1~4.0U/g、更により好ましくは0.5~3.0U/g、特に好ましくは1.0~2.0U/gになる量を配合することができる。
【0045】
なお、前記単位「U/g」における「U(ユニット)」とは、プロテアーゼ又はリパーゼが有する活性を示しており、1ユニットは、至適条件下(温度30℃で、最も化学反応が進む酸性度)で毎分1マイクロモル(μmоl)の基質を変化させることができる酵素量(1マイクロモル毎分)として定義されるものである。
【0046】
本安定化方法における(C)成分に対する(A)成分の質量比(A/C)は、好ましくは0.001~1000であり、より好ましくは0.05~65、更により好ましくは0.1~50である。
【0047】
(C)成分は、固定化された状態、即ち担体に固定化される等の方法によって固定化された加水分解酵素、又は、固定化されていない状態、即ち担体に固定化される等の方法によって固定化されていない加水分解酵素のいずれでもよいが、固定されてない状態の加水分解酵素が好ましい。なお、酵素が固定化される担体としては、通常、酵素の固定化に用いられる公知の担体が挙げられる。例えば、種々のイオン交換樹脂等の有機高分子化合物、セラミック等の無機多孔質等が挙げられる。また、酵素を固定化する方法としては、公知の各種方法を採用できる。例えば、包括固定化法、無機担体共有結合法、有機担体共有結合法、物理的吸着法等が挙げられる。
【0048】
<その他の成分>
本安定化方法における洗浄組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A)~(C)成分を除く他の成分を、更に配合することができる。以下に限定されないが、例えば、界面活性剤、多価アルコール、pH調整剤、基剤、増粘剤、防腐剤・保存剤、酸化防止剤、キレート剤、着色剤、香料等を配合することができる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0049】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、通常、外用組成物及び/又は化粧料に用いられる界面活性剤であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、天然由来の界面活性剤等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0050】
界面活性剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、1~30質量%、5~25質量%、10~20質量%等である。
【0051】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、及びステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩;スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキル塩;スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウリル二ナトリウム等のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアルキル塩;ラウリルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ナトリウム、セチルリン酸ジエタノールアミン等のモノアルキルリン酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸トリエタノールアミン等のポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩;ラウリルグリコール酢酸ナトリウム(ドデカン-1,2-ジオール酢酸ナトリウム)、ラウリルグリコール酢酸カリウム、ミリスチルグリコール酢酸ナトリウム、ミリスチルグリコール酢酸カリウム、パルミチルグリコール酢酸ナトリウム、パルミチルグリコール酢酸カリウム、ステアリルグリコール酢酸ナトリウム、ステアリルグリコール酢酸カリウム、ベヘニルグリコール酢酸ナトリウム、ベヘニルグリコール酢酸カリウム等のアルキルエーテルグリコール酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム塩等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩等が挙げられる。
【0052】
アニオン性界面活性剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、1~30質量%、2~25質量%、2.5~20質量%、2.5~15質量%等が好ましい。
【0053】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;親油型モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(2E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(4E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(9E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(10E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(23E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(25E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(32E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(45E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(55E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(75E.O.)、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(250E.O.)等のエチレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80(HCO-80)等の硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;カプリル酸N-メチルエタノールアミド、カプリン酸N-メチルエタノールアミド、ラウリン酸N-メチルエタノールアミド、ラウリン酸N-エチルエタノールアミド、ラウリン酸N-メチルプロパノールアミド、ラウリン酸N-エチルプロパノールアミド、ラウリン酸N-メチルイソプロパノールアミド、ラウリン酸N-エチルイソプロパノールアミド、ミリスチン酸N-メチルエタノールアミド、パルミチン酸N-メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-エチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-エチルプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-エチルイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、パーム核油脂肪酸N-エチルエタノールアミド、ステアリン酸N-メチルエタノールアミド、ステアリン酸N-エチルエタノールアミド、オレイン酸N-メチルエタノールアミド、オレイン酸N-エチルエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0054】
ノニオン性界面活性剤のHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance値)は、特に限定されないが、例えば、8~19であり、9~18が好ましく、9.5~17がより好ましい。
【0055】
前記HLB値は、親水性-親油性のバランスを示す指標であり、例えば、小田・寺村らによる下記(式1)で計算されるものである。
HLB値=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10・・・(式1)
Σ無機性値/Σ有機性値は、IOB(Inorganic-OrganicBalance)と呼ばれ、各種原子及び官能基毎に設定された「無機性値」、「有機性値」に基づいて、界面活性剤等の有機化合物を構成する原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することにより算出することができる(甲田善生著、「有機概念図-基礎と応用-」、第11~17頁、三共出版、1984年発行参照)。
【0056】
ノニオン性界面活性剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、1~20質量%、1.5~15質量%、2~12質量%、2.5~10質量%、2.5~8質量%等が好ましい。
【0057】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルメチルアンモニウム、セチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0058】
両性界面活性剤としては、例えば、N-ラウロイル-N'-カルボキシメチル-N'-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ラウラミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒドロキシアルキル(C12-14)ヒドロキシエチルサルコシン等が挙げられる。
【0059】
天然由来の界面活性剤としては、例えば、レシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、胆汁酸等が挙げられる。
【0060】
<多価アルコール>
多価アルコールとしては、通常、外用組成物及び/又は化粧料に用いられる多価アルコールを用いることができる。多価アルコールの価数(水酸基の数)は、特に制限されないが、例えば、2~20価、好ましくは2~10価、より好ましくは2~6価、更により好ましくは2~4価である。また、多価アルコールの分子量は、特に制限されないが、例えば、分子量50~1000、好ましくは分子量50~600、より好ましくは分子量75~300である。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0061】
多価アルコールの具体例としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
前記ポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量150~4000のポリエチレングリコールが挙げられる。なかでも、平均分子量150~1000のポリエチレングリコールが好ましい。具体的には、ポリエチレングリコール200(PEG-4)、ポリエチレングリコール300(PEG-6)、ポリエチレングリコール400(PEG-8)、ポリエチレングリコール600(PEG-12)、ポリエチレングリコール1000(PEG-20)、ポリエチレングリコール4000(PEG―75)等が挙げられる。なお、当該平均分子量は、例えば、医薬部外品原料規格2006 ポリエチレングリコールの項に記載の平均分子量試験に準じて求めることができる。これらの多価アルコールは単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0062】
多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、1~60質量%であり、10~50質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましく、15~35質量%が更により好ましい。
【0063】
<pH調整剤>
pH調整剤としては、通常、外用組成物及び/又は化粧料に用いられるpH調整剤であれば、特に制限なく用いることができる。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機塩基、塩酸、硫酸等の無機酸、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム等の有機酸等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0064】
pH調整剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.1~10質量%、0.3~8質量%、0.5~7質量%等である。
【0065】
<基剤>
基剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベース等)、オゾケライト、軽質流動パラフィン等の炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコーン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジン等のシリコーン油;ヤシ油、オリーブ油、コメヌカ油、シアバター、ローズヒップ油、アーモンド油等の油脂;ホホバ油、ミウロウ、キャンデリラロウ、及びラノリン等のロウ類;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、フィトステロール、及びコレステロール等の高級アルコール;ジオキサン;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、及びテトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のエステル類等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
基剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、1~30質量%であり、好ましくは3~25質量%、より好ましくは5~20質量%である。
【0066】
<増粘剤>
増粘剤としては、例えば、ビニル系増粘剤(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等)、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ポリエチレングリコール、マクロゴール、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
増粘剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~5質量%であり、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.05~1質量%である。
【0067】
<防腐剤・保存剤>
防腐剤・保存剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、カプリン酸グリセリル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、クロルフェネシン等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
防腐剤・保存剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~2.5質量%であり、好ましくは0.005~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0068】
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
酸化防止剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~2.5質量%であり、好ましくは0.005~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0069】
<キレート剤>
キレート剤としては、例えば、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
キレート剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~2.5質量%であり、好ましくは0.005~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0070】
<着色剤>
着色剤としては、例えば、無機顔料、天然色素等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
着色剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~1質量%であり、好ましくは0.005~0.1質量%、より好ましくは0.01~0.05質量%である。
【0071】
<香料>
香料としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペノイド類が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
香料の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~2.5質量%であり、好ましくは0.005~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0072】
本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記(A)~(C)成分を除く他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例としては、以下に限定されないが、例えば、保湿成分、スクラブ剤、血行促進剤、収斂成分、紫外線吸収成分、抗菌成分、抗炎症剤、ビタミン類、細胞賦活化成分等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
【0073】
<保湿成分>
保湿成分としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素、ベンゾレイン尿素、ヒドロシキ尿素(ヒドロシキウレア)、グリコリル尿素(ヒダントイン)等の尿素化合物、カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、シソエキス、ヨクイニン(ハトムギ)エキス、ツボクサ葉エキス、海藻エキス、ビワ葉エキス、コンフリーエキス、ビルベリー葉エキス、サンゴ草抽出液、セイヨウシロヤナギ樹皮エキス、ローズマリーエキス、ダイズエキス、ダイズ芽エキス、チンピエキス、オレンジエキス、グレープフルーツエキス、レモンエキス、ユキノシタエキス、エーデルワイスエキス等の植物抽出エキス等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
保湿成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~20質量%であり、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.05~10質量%である。
【0074】
<スクラブ剤>
スクラブ剤としては、例えば、アプリコット核粉末、アーモンド殻粉末、アンズ核粉末、塩化ナトリウム粒、オリーブ核粉末、海水乾燥物粒、キャンデリラワックス、くるみ殻粉末、さくらんぼ核粉末、サンゴ粉末、炭粉末(桐炭、備長炭、竹炭、ヒノキ木炭、ヤシ殻炭及びこれらの活性炭、並びにこれらの薬用炭)、はしばみ殻粉末、ポリエチレン末、無水ケイ酸、カオリン等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
スクラブ剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.01~15質量%であり、好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは0.1~5質量%である。
【0075】
<血行促進剤>
血行促進剤としては、例えば、アセチルコリン、イクタモール、カフェイン、カプサイシン、カンタリスチンキ、γ-オリザノール、ショオウキョウチンキ、ジンゲロン、セファランチン、センブリエキス、タンニン酸、トウガラシチンキ、トラゾリン、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
血行促進剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~5質量%であり、好ましくは0.005~3質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0076】
<収斂成分>
収斂成分としては、例えば、硫酸亜鉛、ヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛及びタンニン酸等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
収斂成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~20質量%であり、好ましくは0.01~15質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。
【0077】
<紫外線吸収成分>
紫外線吸収成分としては、例えば、オクチルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、メトキシケイヒ酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
紫外線吸収成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、1~30質量%であり、好ましくは3~25質量%、より好ましくは5~20質量%である。
【0078】
<抗菌成分>
抗菌成分としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、ピロクトオラミン、ミコナゾール等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
抗菌成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~2.5質量%であり、好ましくは0.005~2質量%、より好ましくは0.01~1質量%である。
【0079】
<抗炎症剤>
抗炎症剤としては、例えば、非ステロイド系抗炎症剤、又はステロイド系抗炎症剤等が挙げられる。具体的には、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、アラントイン、イプシロンアミノカプロン酸、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、インドメタシン、フェルビナク、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、スプロフェン、アズレン、グアイアズレン、吉草酸酢酸デキサメタゾン、デキサメタゾン、吉草酸酢酸プロドニゾロン(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)、酢酸プロドニゾロン、プロドニゾロン、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ウフェナマート、ブフェキサマク、及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
抗炎症剤の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~5質量%であり、好ましくは0.005~4.5質量%、より好ましくは0.01~3質量%である。
【0080】
<ビタミン類>
ビタミン類としては、例えば、dl-α-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム等のビタミンE類、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5'-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル等のビタミンB2類、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル等のニコチン酸類、アスコルビゲン-A、L-アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル等のビタミンC類、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、フィロキノン、ファルノキノン等のビタミンK類、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩等のビタミンB1類、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5'-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン等のビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン等のビタミンB12類、葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテサイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオシチン等のビオチン類、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、3-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸誘導体であるビタミンC類、レチノール、水素添加レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸等のビタミン様作用因子等が挙げられる。これらは、単独で、若しくは2種以上併せて用いることができる。
ビタミン類の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~25質量%であり、好ましくは0.01~20質量%、より好ましくは0.05~15質量%である。
【0081】
<細胞賦活化成分>
細胞賦活化成分としては、例えば、グリコール酸、乳酸等のα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、感光素301号等が挙げられる。
細胞賦活化成分の含有量は、他の成分の種類や量、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、洗浄組成物全量に対して、例えば、0.001~5質量%であり、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.05~1質量%である。
【0082】
[洗浄組成物のpH]
本安定化方法における洗浄組成物のpHは、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、例えば、pH6.0~12.0又はpH7.0~12.0であり、pH8.0~12.0が好ましく、より好ましくはpH9.0~11.5であり、pH9.0~11.0が更により好ましい。
なお、前記pHは、pHメータ(例えば、pH METER F-52(HORIBA社製))を用いて室温(23℃)にて測定される。
【0083】
本安定化方法における洗浄組成物の有用性をより一層高める観点から、好ましい実施形態としては、例えば、洗浄組成物のpHを、(C)成分の至適pH付近に制御することが挙げられる。これにより、角質除去効果や皮脂除去効果等の洗浄効果に優れたものとなる。
なお、前記(C)成分の至適pH付近とは、洗浄組成物のpHが、(C)成分の至適pHの±2.0、好ましくは±1.5、更により好ましくは±1.0であることを意味する。また、(C)成分の至適pHとは、酵素活性が最大を示すpHを意味し、公知の方法により測定することができる。以下に限定されないが、例えば、0.6質量%ミルクカゼイン5mLに対して1mLの(C)成分を加え、pH調整剤を用いてpHを4.0~12.0の間に調整し、30℃、10分間反応させた時、酵素の相対活性が最も高くなるpHを至適pHとして定めることができる。
【0084】
また、本安定化方法における洗浄組成物の好ましい実施形態としては、例えば、(C)成分としてアルカリ性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性リパーゼを含有し、洗浄組成物のpHを9.0以上とすることが挙げられる。これにより、より一層、角質除去効果や皮脂除去効果等の洗浄効果に優れたものとなる。なお、アルカリ性プロテアーゼとは、至適pHがアルカリ領域にあるものを意味し、例えば、至適pHが9.0以上のプロテアーゼである。また、アルカリ性リパーゼとは、至適pHがアルカリ領域にあるものを意味し、例えば、至適pHが9.0以上のリパーゼである。例えば、至適pHが9.0~11.0のアルカリ性プロテアーゼ及び/又はアルカリ性リパーゼを用い、洗浄組成物のpHを9.0~11.0に設定することが挙げられる。
【0085】
[洗浄組成物の粘度]
本安定化方法における洗浄組成物の粘度(25℃)は、剤形等に応じて適宜設定でき、限定はされないが、例えば、チューブ型の容器に充填した際に吐出させやすく、また、指先や掌から垂れ落ちずに泡立てやすいという観点から、30,000~2,000,000mPa・sが好ましく、60,000~1,800,000mPa・sがより好ましく、100,000~1,500,000mPa・sが更に好ましく、150,000~1,300,000mPa・sが更により好ましく、150,000~1,000,000mPa・sが最も好ましい。
【0086】
前記粘度(25℃)は、第17改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)にて測定した粘度をいう。具体的には、TV-10M(東機産業社製)を使用して測定される値をいい、ローターや回転速度等の条件の選定は、本機の取扱説明書に準拠し、25℃における粘度を測定する。より具体的には、M4ローターを用い、回転速度0.3rpm、測定時間180秒間の条件下において、25℃における粘度を測定する。
【0087】
単一円筒形回転粘度計に関する説明を以下に記載する。単一円筒形回転粘度計は、液体中の円筒を一定角速度で回転させたときのトルクを測定する粘度計である。あらかじめ粘度計校正用標準液を用いて実験的に装置定数KBを定めることにより、液体の粘度ηを次式によって算出する。
η=KB×T/ω
η:液体の粘度(mPa・s)
KB:装置定数(rad/cm3)
ω:角速度(rad/s)
T:円筒面に作用するトルク(10-7N・m)
【0088】
[洗浄組成物の製剤形態]
本安定化方法における洗浄組成物は、前記各成分を配合し、必要に応じて更なる成分を配合して、常法に従い、種々の形態に調製される。(A)成分、(B)成分、(C)成分を混合する順序は特に限定されないが、例えば、(A)成分及び(B)を含む相に対して、(C)成分を配合することができる。
製剤形態は特に限定されず、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔剤、シャンプー等の任意の剤形であり得る。更に、クレンジング、リンスインシャンプー、コンディショナー等の形態であってもよい。また、本発明の実施形態に係る洗浄組成物は、ゲル状、ペースト状等の任意の形状であり得る。
【0089】
[洗浄組成物の用途]
本安定化方法における洗浄組成物は、皮膚用洗浄組成物や毛髪用洗浄組成物として好適に用いられる。なかでも、皮膚(頭皮を含む)の油脂、汗等の体液や汚れ等を除去するために用いられるのが有用であり、なかでも、顔用洗浄組成物(洗顔剤)として特に好適に用いることができる。本安定化方法における洗浄組成物の使用方法としては、例えば、洗浄組成物と水とを合わせて掌で泡立てて皮膚等に塗布して使用される。
【0090】
[洗浄組成物の容器]
本安定化方法における洗浄組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した容器に充填し、使用することができる。当該容器としては、例えば、ボトル型、チューブ型、ジャー型、ディスペンサー型、パウチ袋、及びチアパック等が挙げられる。また、容器を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)、及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらの材料から成形される容器は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮して、例えば、容器表面に各種コーティング処理を施すこともできる。また、前記材料から成形されたフィルム等を積層して容器を成形することもできる。
【0091】
これらの各種容器のなかでも、使用者が手で容器を握って圧力を加えることにより容器の内容物(洗浄組成物)を押し出して使用することが可能な容器が好ましく、例えば、チューブ型の容器やボトル型の容器が好ましい。なかでも、本発明の効果を顕著に奏する観点からは、チューブ型の容器が特に好ましい。チューブ型の容器としては、公知のチューブ型の容器を用いることができる(例えば、限定されないが、特開2000-272643号公報、特開2004-148628号公報、特開2005-022682号公報等を参照)。チューブ型の容器の具体的な一例としては、例えば、洗浄組成物が収容される本体と、キャップを有する容器が挙げられる。当該本体は、ポリエチレン等の合成樹脂製の単層又は積層シート(シートの総厚みは、例えば、約0.1~1mm程度)を丸め、両端部を重ね合わせて熱シールして円筒状に形成された胴部と、当該胴部の一端を扁平状に熱シールして形成された底シール部と、当該胴部の他端に設けられたヘッド部とを有する。当該ヘッド部は、肩部と、当該肩部の略中央に設けられた排出口部とを有し、当該排出口部はキャップにより開閉自在に被覆されている。使用者は、手で当該胴部を握って圧力を加えることにより容器の内容物(洗浄組成物)を押し出して使用することが可能であるため、使用性に優れる洗浄組成物を提供できる点で極めて有用である。また、チューブ型の容器に充填された洗浄組成物は、バリア性ないし衛生面にも優れており、且つ、軽量で携帯性にも優れているため、これらの点からも極めて有用である。
【0092】
[変色抑制方法及び/又は変臭抑制方法]
前記のとおり、本安定化方法は、洗浄組成物の処方設計における制約が小さく、経時的に安定で、皮膚汚れを落とす洗浄力が高く、かつ保湿効果にも優れる洗浄組成物を得ることができるという優れた効果を奏するものである。
そして、本安定化方法の好ましい実施形態としては、使用者に不快感を与えることがなく、経時的な商品価値を維持する観点から、洗浄組成物の変色を抑制する変色抑制方法や洗浄組成物の変臭を抑制する変臭抑制方法が挙げられる。特に好ましい実施形態としては、洗浄組成物の変色及び変臭抑制方法である。
【0093】
なお、前記「変臭」とは、洗浄組成物の調製後に、洗浄組成物の臭いが経時的に変化することを意味するものであり、「変色」とは、洗浄組成物の調製後に、洗浄組成物の色が経時的に変化することを意味するものである。
【0094】
また、本安定化方法の応用としては、例えば、低温環境下において発生し得る析出を抑制する方法や、経時的な使用感の変化を抑制する方法も挙げられる。
【0095】
<<洗浄組成物用安定化剤>>
本発明の一実施形態としては、前記(C)成分を有効成分とする、前記(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物用の安定化剤(以下、「本安定化剤」という場合がある)が挙げられる。本安定化剤を含有する洗浄組成物は安定性に優れるものとなる。
【0096】
本安定化剤の好ましい実施形態としては、以下に限定されないが、洗浄組成物の商品価値を維持する観点から、洗浄組成物の臭いの変化を抑制する変臭抑制剤、洗浄組成物の色の変化を抑制する変色抑制剤が挙げられる。
【0097】
本安定化剤を用いることにより、洗浄組成物の臭いや色等の物性変化を抑制できるため、使用者の不快感を助長することなく、商品価値を経時的に維持することができる。
【実施例0098】
以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例等を示す表1、表2及び製剤例の含有量の単位は質量%であり、全て純分換算した値である。また、各組成物の合計量は100質量%である。
【0099】
まず、(A)成分として下記の原料を用意した。
<(A)成分>
[糖類]
・糖類(1)…α-グルカンオリゴサッカリド(マルトース・ショ糖縮合物)
(BIOECOLIA、solabia社製)
・糖類(2)…グリコーゲン
(バイオグリコーゲン、グリコ栄養食品社製)
[アミノ酸又はその誘導体]
・アミノ酸(1)…グルタミン酸
(PURE L-GLUTAMIC ACID、味の素社製)
・アミノ酸(2)…トリメチルグリシン
(アミノコート、旭化成ファインケム社製)
[ペプチド類]
・ペプチド類(1)…加水分解ケラチン
(Promois WK-H、成和化成社製、純分含有量25%の水溶液)
・ペプチド類(2)…加水分解コラーゲン
(Promois W-32U、成和化成社製、純分含有量20%の水溶液)
【0100】
また、(B)成分、(C)成分、その他の成分として下記の原料を用意した。
<B成分>
・精製水
<(C)成分>
・加水分解酵素…プロテアーゼ
(プロテアーゼCL-15、ナガセケムテックス社製)
<他の成分>
・界面活性剤…ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム
(ビューライトLCA-25N、三洋化成工業社製、純分含有量28%の水溶液)
・多価アルコール…濃グリセリン
(濃グリセリン、花王社製)
・pH調整剤…リン酸水素ナトリウム
(リン酸水素ニナトリウム(無水)、和光純薬社製)
・pH調整剤…リン酸二水素カリウム
(リン酸二水素カリウム(無水)、和光純薬社製)
【0101】
<試験例1 保存安定性(熱安定性)評価試験>
下記表1に示す処方の洗浄組成物(実施例1-1~4、比較例1-1~4)を常法により調製し、下記のとおり保存安定性(熱安定性)を評価した。
【0102】
実施例及び比較例の各組成物20gをガラス製ねじ口瓶(容量30ml)に収容し、試験サンプルを得た。得られた試験サンプルを、遮光条件下において、40℃で1週間保存することにより、加温エージング後の試験サンプルを得た。
【0103】
まず、専門評価パネラー5名にて、加温エージング前後の試験サンプルを比較し、においの変化を下記基準に従って評価した。
・全くにおいの変化がない ・・・3点
・ややにおいの変化がある ・・・2点
・においの変化がある ・・・1点
・とてもにおいの変化がある・・・0点
【0104】
次に、各評価パネラーのスコアに基づいて平均スコアを算出し、以下に従って評価した。その結果を表1に示す。
◎:2点以上3点以下
〇:1点より大きく2点未満
×:1点以下
【0105】
【0106】
表1に示すとおり、(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物に対して、(C)加水分解酵素を配合していない比較例1-1~4では、40℃で1週間保管した後、変臭が生じていることが確認された。
他方、(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物に対して、(C)加水分解酵素を配合した実施例1-1~4は、40℃で1週間保管した後においても、変臭が抑制されていることが確認された。
【0107】
<試験例2 保存安定性(光安定性)評価試験>
下記表2に示す処方の洗浄組成物(実施例2-1~3、比較例2-1~3)を常法により調製し、下記のとおり保存安定性(光安定性)を評価した。
【0108】
表2に示す実施例の各組成物2mlをマイクロプレートに充填し、サンテスターを用い、紫外光照度765(W/m2)、24時間照射することにより、積算照射量約66000kJ/m2の光を曝光した。光照射後の実施例の各組成物について、プレートリーダーを用い、波長460nmにおける吸光度(A)を測定した。
また、表2に示す比較例の各組成物についても、前記と同様の条件により、光照射後、プレートリーダーを用い、波長460nmにおける吸光度(A’)を測定した。
なお、波長460nmは黄色の補色の吸収波長であり、460nmでの吸光度が大きいほど黄変の度合いが大きいことを示唆するものである。
【0109】
他方、前記実施例の対照として表2に示すコントロール1の組成物を常法により調製した。前記組成物2mlをマイクロプレートに充填し、サンテスターを用い、紫外光照度765(W/m2)、24時間照射することにより、積算照射量約66000kJ/m2の光を曝光した。光照射後の組成物について、プレートリーダーを用い、波長460nmにおける吸光度(AC)を測定した。
また、前記比較例の対照として表2に示すコントロール2の組成物を常法により調製した。コントロール2についても、前記と同様の条件により、光照射後、プレートリーダーを用い、波長460nmにおける吸光度(A’C)を測定した。
【0110】
前記試験におけるマイクロプレートは「CORNING Costar,3513,12ウェル 透明 TC-Treated マイクロプレートs,Individually Wrapped,Sterile」、サンテスターは「SUNTEST XLS+、光源1700Wキセノン空冷ランプ:東洋精機製作所社製」、プレートリーダーは「MICROPLATE READER SH-9000Lab:コロナ電気社製)」を用いた。
【0111】
前記で得られた各吸光度に基づいて下記式によりΔAを求め、下記基準にて評価した。その結果を表2に示す。なお、ΔAが大きいほど、実施例に対して比較例の着色度合いが大きく、実施例の着色改善度が高いことを示している。
ΔA={[吸光度(A’)-吸光度(A’C)]-[吸光度(A)-吸光度(AC)]}
(評価基準)
〇:ΔA>0
×:ΔA≦0
【0112】
なお、前記の評価は、対応する実施例及び比較例毎に行われるものである(実施例2-1及び比較例2-1、実施例2-2及び比較例2-2、実施例2-3及び比較例2-3)。例えば、実施例2-1の評価においては、実施例2-1の吸光度を(A1)、比較例2-1の吸光度を(A’1)、コントロール1の吸光度を(AC)、コントロール2の吸光度を(A’C)とする、下記式に基づいてΔAを求め、着色抑制度合いを評価する。
ΔA={[吸光度(A’1)-吸光度(A’C)]-[吸光度(A1)-吸光度(AC)]}
【0113】
【0114】
表2に示すとおり、(A)及び(B)成分を含有する洗浄組成物に対して、(C)加水分解酵素を配合した実施例2-1~3は、(C)加水分解酵素を配合していない比較例2-1~3に比較して、着色が抑制されていることが確認された。
なお、コントロール1、コントロール2については光照射前後で色の変化はなく、更にコントロール2は(C)加水分解酵素を配合していないコントロール1と比較しても色の違いは見られなかった。
【0115】
以上により、本発明のように、(A)成分及び(B)成分を含有する洗浄組成物に対して、(C)加水分解酵素を配合する方法によれば、洗浄組成物の安定性が高まることが確認された。
【0116】
以下に、本発明の製剤例を示す。製剤例は、いずれも安定性に優れるものであった。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
製剤例中の「プロテアーゼ」は、「プロテアーゼCL-15、ナガセケムテックス社製」である。
本発明の洗浄組成物の安定化方法は、皮膚用洗浄組成物や毛髪用洗浄組成物の安定化方法として好適に用いられる。なかでも、顔用洗浄組成物(洗顔剤)の安定化方法として特に好適に用いることができる。