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特開2024-64450印刷物生産システム、印刷物生産方法および印刷物生産プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064450
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷物生産システム、印刷物生産方法および印刷物生産プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240507BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240507BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 378
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173040
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石風呂 裕子
(72)【発明者】
【氏名】福地 悠人
(72)【発明者】
【氏名】小林 夕華
(72)【発明者】
【氏名】小林 綾子
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊文
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】表面に模様のある立体物を複製する場合のユーザーの使い勝手を向上させる。
【解決手段】印刷物の注文を受け付ける受付部と、前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合に、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる出力部と、前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産させる生産部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の注文を受け付ける受付部と、
前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合に、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる出力部と、
前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産させる生産部と、
を備える印刷物生産システム。
【請求項2】
前記注文について、前記印刷物ごとのプレビューを含む注文票を印刷させる印刷部をさらに備え、
前記注文票は、前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合には、前記第1プレビューを含む、
請求項1に記載の印刷物生産システム。
【請求項3】
前記注文について、前記印刷物ごとのプレビューを含む注文票を印刷させる印刷部をさらに備え、
前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれ、生産される立体の前記印刷物の種類が1つであれば、前記印刷部は、前記注文票に前記第1プレビューを印刷させ、
前記注文に1種類より多い所定種類の立体の前記印刷物の生産が含まれていれば、前記印刷部は、所定の立体の前記印刷物について前記第1プレビューに代えて第2プレビューを前記注文票に印刷する、
請求項1に記載の印刷物生産システム。
【請求項4】
前記第2プレビューは、立体の前記印刷物を1つの方向から見たプレビューである、
請求項3に記載の印刷物生産システム。
【請求項5】
前記第1プレビューは、立体の前記印刷物を展開して展開図状にしたプレビューである、
請求項1~請求項4のいずれかに記載の印刷物生産システム。
【請求項6】
印刷物の注文を受け付け、
前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合に、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させ、
前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産させる、
印刷物生産方法。
【請求項7】
コンピューターを、
印刷物の注文を受け付ける受付部、
前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合には、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる出力部、
前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産させる生産部、
として機能させる印刷物生産プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物生産システム、印刷物生産方法および印刷物生産プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の媒体に印刷を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、缶体に画像を印刷する印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-39737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
立体の媒体に画像が形成される場合において、完成された印刷物をユーザーが容易にイメージできる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための印刷物生産システムは、印刷物の注文を受け付ける受付部と、前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合に、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる出力部と、前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産する生産部と、を備える。
【0006】
上記の課題を解決するための印刷物生産方法は、印刷物の注文を受け付け、前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合に、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させ、前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産させる。
【0007】
上記の課題を解決するための印刷物生産プログラムは、コンピューターを、印刷物の注文を受け付ける受付部、前記注文に立体の前記印刷物の生産が含まれている場合には、印刷後の立体の前記印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる出力部、前記注文に基づいて、印刷を行って立体の前記印刷物及び平面の前記印刷物を生産する生産部、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷物生産システムのブロック図。
図2】顧客端末のブロック図。
図3】スタッフ端末のブロック図。
図4】サーバーのブロック図。
図5】印刷制御端末のブロック図。
図6】印刷物生産処理のシーケンス図。
図7】注文受付画面の例を示す図。
図8】プレビュー画面の例を示す図。
図9】プレビュー画面の例を示す図。
図10】注文票の例を示す図。
図11】注文票の例を示す図。
図12】注文票の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷物生産システムの構成:
(1-1)顧客端末の構成:
(1-2)スタッフ端末の構成:
(1-3)サーバーの構成:
(1-4)印刷制御端末の構成:
(2)印刷物生産処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)印刷物生産システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷物生産システムの一例を模式的に示す図である。印刷物生産システム1は、顧客端末10,スタッフ端末20,サーバー30,印刷制御端末40を備える。また、顧客端末10,スタッフ端末20,印刷制御端末40のそれぞれには、各端末から印刷を指示して印刷を実行可能なプリンター51,52,50a,50bが接続されている。図示された装置の数は一例であり、数は限定されない。例えば、複数台表記されたプリンター50a,50bの数は、より多くても良いし、少なくても良い。1台表記された顧客端末10,スタッフ端末20,プリンター51,52等は複数であっても良い。
【0011】
これらの装置は、ネットワークを介して互いに通信することができる。ネットワークの態様は種々の態様であって良い。例えば、本実施形態において、顧客端末10は、スタッフ端末20やプリンター51と無線通信し、スタッフ端末20は、顧客端末やプリンター52と無線通信し、サーバー30と有線通信することが想定されているが、この態様に限定されない。
【0012】
本実施形態において、印刷物生産システムは、顧客からの注文によって印刷物を生産する際に用いられる。本実施形態において、顧客端末10,スタッフ端末20,プリンター51,52は、注文の受け付け等が行われる店頭に設置される。一方、サーバー30,印刷制御端末40,プリンター50a,50bは、店頭とは異なるバックヤードに設置される。バックヤードは店頭に繋がっている場所であっても良いし、印刷工場などの離れた場所であっても良い。
【0013】
本実施形態において、顧客は、店頭に設置された顧客端末10を用いて注文を行う。店頭のスタッフはスタッフ端末20を用いて注文の確定や決済を行う。注文に応じて生成された印刷データはサーバー30に送られる。サーバー30には印刷データが保存され、サーバー30は、印刷データに関する印刷の進捗管理等を実行する。バックヤードにおいては、印刷作業者が印刷制御端末40を用いて、顧客の注文に応じた印刷を実行する。
【0014】
注文によって生産される印刷物の種類は限定されず、本実施形態においては、立体の媒体(マグカップやスマートフォンケース等)および平面の媒体に印刷を行って印刷物が生産される例が想定されている。このため、プリンター50a,50bとしては、立体の媒体および平面の媒体を生産できる設備が用意される。プリンター50a,50bの態様は限定されないが、ここでは、プリンター50aが、昇華転写式のプリンターと、昇華転写紙に印刷した画像を昇華転写するためのプレス機(例えば、マグカップ等の円筒形の物体の表面に転写するためのマグプレス機、スマートフォンカバーに転写するためのプレス機等)を含む例が想定されている。立体の媒体への画像の形成は、本実施形態のように転写によって実現されても良いし、ロボットアーム等を用いて直接的に印刷されても良い。
【0015】
プリンター50bは平面の印刷用紙に印刷を行うプリンターである例が想定されている。本実施形態においては、プリンター51,52も平面の印刷用紙に印刷を行うプリンターである。プリンター51は、例えば、顧客による注文を識別するための注文番号等を示すレシート等を印刷するドキュメントプリンターである。プリンター52は、例えば、顧客に対して注文内容を示す注文票等を印刷するドキュメントプリンターである。
【0016】
以下、上述の印刷物生産システム1を構成する各装置を説明する。
(1-1)顧客端末の構成:
図2は、顧客端末10の構成を示すブロック図である。顧客端末10は、プロセッサー10aと、通信部10bと、不揮発性メモリー10cと、ディスプレイ10dと、入力部10eとを備える。プロセッサー10aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー10cに記録された種々のプログラムを実行し顧客端末10の各部やプリンター51を制御することができる。
【0017】
なお、プロセッサー10aは、単一のチップで構成されても良いし、複数のチップで構成されても良いし、様々な機能ブロックとともにSoCとして構成されていても良い。また、例えばCPUに替えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。本実施形態における各装置がプロセッサーを備える場合、そのプロセッサーは、プロセッサー10aと同様に種々の態様で実現可能である。
【0018】
通信部10bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。顧客端末10は、当該通信部10bを介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部10bは、顧客端末10に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0019】
ディスプレイ10dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部10eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、タッチパネル等で構成される。本実施形態において、顧客端末10は、タブレット端末であることが想定されているため、入力部10eは、主にタッチパネルが想定されるが、むろん、キーボードやマウス等が用いられても良い。いずれにしても、顧客としてのユーザーは、ディスプレイ10dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部10eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0020】
プロセッサー10aは、図示しない印刷物生産プログラムを実行する。印刷物生産プログラムが実行されると、プロセッサー10aは、受付部10a1,出力部10a2として機能する。受付部10a1は、印刷物の注文を受け付ける機能である。顧客は、注文に際して、ディスプレイ10dを視認しながら入力部10eを操作し、立体の媒体に形成される画像の指定や画像のサイズおよび位置の指定等を行う。受付部10a1は、指定された態様で媒体の画像を形成するための印刷データ10c1を生成する。印刷データ10c1には、注文の識別情報および印刷設定が対応付けられて不揮発性メモリー10cに記録される。当該処理の詳細は後述する。印刷設定には、少なくとも画像のサイズおよび位置を示す情報が含まれる。
【0021】
本実施形態において、顧客は顧客端末10を用いて画像の指定等を行うため、顧客は2次元のディスプレイ10d上に表示された画像によって、画像が形成された立体の媒体、すなわち、完成された印刷物をイメージする。しかし、単一の方向のみから立体の媒体を見た場合の画像や立体の媒体を展開した画像のみを用いて印刷設定を行うと、完成品をイメージすることが困難な場合がある。そこで、本実施形態においては、印刷後の立体の印刷物における複数の面をプレビューできるように構成されている。
【0022】
出力部10a2は、このようなプレビューを実行するための機能である。すなわち、出力部10a2は、注文に立体の印刷物の生産が含まれている場合に、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる機能である。立体を単一の方向から見た場合の図、例えば、斜視図がプレビューとして表示された場合、当該斜視図に現れていない面の様子が不明である。そこで、本実施形態において出力部10a2は、立体の媒体に対して画像が形成された状態で、複数の方向から立体を見た場合の画像を生成し、ディスプレイ10d上に表示させる。この結果、顧客としてのユーザーは、完成された印刷物を容易にイメージすることができる。当該処理の詳細は後述する。顧客による注文が確定すると、印刷データ10c1がスタッフ端末20に送信され、決済が行われる。
【0023】
(1-2)スタッフ端末の構成:
図3は、スタッフ端末20の構成を示すブロック図である。スタッフ端末20は、プロセッサー20aと、通信部20bと、不揮発性メモリー20cと、ディスプレイ20dと、入力部20eとを備える。プロセッサー20aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー20cに記録された種々のプログラムを実行しスタッフ端末20の各部やプリンター52を制御することができる。不揮発性メモリー20cには、顧客端末10から送信された印刷データ10c1が保存される。
【0024】
通信部20bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。スタッフ端末20は、当該通信部20bを介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部20bは、スタッフ端末20に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0025】
ディスプレイ20dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部20eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、タッチパネル等で構成される。本実施形態において、スタッフ端末20は、タブレット端末であることが想定されているため、入力部20eは、主にタッチパネルが想定されるが、むろん、キーボードやマウス、10キー等が用いられても良い。いずれにしても、店頭のスタッフとしてのユーザーは、ディスプレイ20dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部20eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0026】
本実施形態においてはタブレット端末によって構成されるスタッフ端末20が、図示しないPOS(Point Of Sales)システムに接続されている。プロセッサー20aは、注文の受け付けや決済のための処理を行うことができ、顧客による購入意思が確定した場合に、プロセッサー20aはPOSシステムに決済処理を行わせる。
【0027】
決済処理が行われると、プロセッサー20aは、注文された印刷物の内容を示す注文票を印刷する。このため、プロセッサー20aは、図示しない印刷物生産プログラムを実行する。印刷物生産プログラムが実行されると、プロセッサー20aは、印刷部20a1として機能する。印刷部20a1は、決済された注文について、印刷物ごとのプレビューを含む注文票を印刷させる。プレビューは、印刷物の生産前に完成品の様子を確認するための画像であり、種々の態様であって良い。例えば、印刷される画像と媒体とを重ねて示す画像等がプレビューとなり得る。
【0028】
但し、本実施形態において、顧客に対して提供される注文票は、立体の印刷物の数に応じて異なるプレビューが表示される。具体的には、注文に立体の印刷物の生産が含まれ、生産される印刷物の種類が1つであれば、印刷部20a1は、注文票に第1プレビューを印刷させる。このため、印刷部20a1は、印刷データ10c1を参照し、立体の媒体に対して画像が形成された状態で、複数の方向から立体を見た場合の画像を生成する。立体の印刷物以外に、平面の印刷物が注文に含まれる場合、印刷部20a1は、当該平面の印刷物を示す画像を生成する。印刷部20a1は、生成した画像を注文票の既定エリアに並べ、注文票を印刷するためのデータを生成する。そして、印刷部20a1は、当該データに基づいてプリンター52を制御し、第1プレビューを含む注文票を印刷する。
【0029】
一方、注文に1種類より多い所定種類の立体の印刷物の生産が含まれていれば、印刷部20a1は、所定の立体の印刷物について第1プレビューに代えて第2プレビューを注文票に印刷する。本実施形態において、所定種類は2種類であり、第2プレビューは、印刷後の立体の印刷物における一つの面を示すプレビュー(例えば、斜視図等)である。従って、2種類以上の立体の印刷物の生産が注文されている場合、印刷部20a1は、印刷データ10c1を参照し、立体の媒体に対して画像が形成された状態を、一つの方向から立体を見た場合の画像を生成する。立体の印刷物以外に、平面の印刷物が注文に含まれる場合、印刷部20a1は、当該平面の印刷物を示す画像を生成する。印刷部20a1は、生成した画像を注文票の既定エリアに並べ、注文票を印刷するためのデータを生成する。そして、印刷部20a1は、当該データに基づいてプリンター52を制御し、第2プレビューを含む注文票を印刷する。
【0030】
複数の方向から立体の印刷物を見た画像は、複数の面にわたる画像になり、不明瞭にならないように印刷するためには、ある程度の大きさの印刷領域が必要である。注文に、所定種類の立体の印刷物の生産が含まれる場合に、複数の方向から立体の印刷物を見た画像を、全ての種類の印刷物について並べて印刷するためには、大きな印刷領域が必要になる。このため、本実施形態において、注文に、所定種類の立体の印刷物の生産が含まれる場合には、第2プレビューを含む注文票を顧客に渡すように構成されている。この結果、顧客は、注文された印刷物を容易に把握することができる。また、第2プレビューは、一つの方向から立体を見た場合の画像であるため、顧客は、注文の識別番号や媒体の名称が印刷されている場合等と比較して、比較的容易に、注文の内容を把握することができる。
【0031】
なお、本実施形態において、印刷物の種類は印刷設定によって定義される。すなわち、印刷設定が異なる印刷物は、異なる種類の印刷物である。例えば、同一の画像であっても形成される媒体が異なるならば、印刷物の種類が異なる。また、同一の画像が形成される場合であっても、立体の媒体上での画像の位置が異なるならば、印刷物の種類が異なる。以上の処理の詳細は後述する。注文票は、顧客に渡される。従って、顧客としてのユーザーは、完成された印刷物を容易にイメージすることができる。なお、注文票は、顧客に加え、印刷制御端末40を操作する印刷作業者に渡されても良い。また、所定種類の立体の印刷物の生産が含まれている場合に、顧客の要望等に応じて、第1プレビューによって印刷物を表現した注文票が印刷されても良い。スタッフ端末20において、決済処理の実行が指示されると、プロセッサー20aは、不揮発性メモリー20cに記録された印刷データ10c1と、をサーバー30に送信する。
【0032】
(1-3)サーバーの構成:
図4は、サーバー30の構成を示すブロック図である。サーバー30は、プロセッサー30aと、通信部30bと、不揮発性メモリー30cとを備える。プロセッサー30aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー30cに記録された種々のプログラムを実行しサーバー30の各部やネットワークに接続された各装置を制御することができる。
【0033】
通信部30bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。サーバー30は、当該通信部30bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部30bは、サーバー30に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0034】
サーバー30の不揮発性メモリー30cには、各種の情報が蓄積される。例えば、スタッフ端末20から送信される印刷データ10c1が不揮発性メモリー30cに記録される。また、不揮発性メモリー30cには、注文された生産を管理するための管理データ30c1が記録される。
【0035】
管理データ30c1は、注文の進捗を示す情報であり、本実施形態においては、注文の識別情報毎に、印刷前、印刷中、印刷済等の進捗を示す情報が生成され、管理データ30c1として記録される。プロセッサー30aは、スタッフ端末20から印刷データ10c1が送信されると、当該印刷データ10c1についての注文の識別情報に対して、ステータスが印刷前であることを示す情報を対応付けた管理データ30c1を生成する。
【0036】
後述する印刷作業者の操作により、当該印刷データ10c1の印刷が開始されると、印刷制御端末40から印刷の開始を示す情報が送信され、プロセッサー30aは、当該注文の識別情報に対して対応付けられたステータスを印刷前から印刷中に更新する。当該印刷が終了すると、印刷制御端末40から印刷の終了を示す情報が送信され、プロセッサー30aは、当該注文の識別情報に対して対応付けられたステータスを印刷中から印刷済に更新する。当該管理データ30c1は、スタッフ端末20や印刷制御端末40から任意のタイミングで参照可能である。
【0037】
(1-4)印刷制御端末の構成:
図5は、印刷制御端末40の構成を示すブロック図である。印刷制御端末40は、プロセッサー40aと、通信部40bと、不揮発性メモリー40cと、ディスプレイ40dと、入力部40eとを備える。プロセッサー40aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー40cに記録された種々のプログラムを実行し印刷制御端末40の各部やプリンター50a,50bを制御することができる。不揮発性メモリー40cには、印刷作業者が指示した注文についての印刷データ10c1が保存される。
【0038】
通信部40bは、外部機器と各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。印刷制御端末40は、当該通信部40bを介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部40bは、印刷制御端末40に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0039】
ディスプレイ40dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部40eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス等で構成される。本実施形態において、印刷制御端末40は、据置型のコンピューターであることが想定されているため、入力部40eは、主にキーボードやマウスが想定されるが、むろん、タッチパネル等が用いられても良い。いずれにしても、印刷作業者としてのユーザーは、ディスプレイ40dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部40eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0040】
本実施形態において、立体の媒体に画像を形成するためのプリンター50aは、上述のように、昇華転写式のプリンターと、昇華転写紙に印刷した画像を立体の媒体に昇華転写するためのプレス機によって構成される。そして、本実施形態において、昇華転写紙を立体の媒体に転写する際の転写位置は、印刷作業者によって調整される。すなわち、立体の媒体上に形成される画像の位置は、印刷作業者の調整によって変動し得る。このため、立体の媒体の印刷データ10c1に含まれる印刷設定に含まれる画像の位置は、立体の媒体上に画像を形成する際に、プリンター50a側で自動調整できるパラメーターではなく、印刷作業者によって手動で調整される。
【0041】
一方、顧客は、印刷物において媒体上に形成される画像の位置等をイメージした上で注文を行う。従って、印刷作業者が顧客の意図を把握することなく立体の媒体に画像を形成すると、顧客の注文と異なる印刷物が生産され得る。そこで、本実施形態においては、印刷制御端末40においても、第1プレビューの表示および印刷を行うように構成されている。
【0042】
このような処理を行うため、プロセッサー40aは、図示しない印刷物生産プログラムを実行する。印刷物生産プログラムが実行されると、プロセッサー40aは、生産部40a1,出力部40a2,印刷部40a3として機能する。
【0043】
生産部40a1は、印刷設定に基づいて、立体の媒体に画像を形成して印刷物を生産させる機能である。生産部40a1は、入力部40eを用いて印刷作業者が指示した注文の印刷データ10c1を参照し、印刷設定に基づいて、プリンター50a,50bに印刷指示を行う。プリンター50a,50bにおいては、当該印刷指示に応じて印刷データ10c1が示す画像を印刷する。
【0044】
出力部40a2は、出力部10a2と同一の機能を有する。すなわち、出力部10a2は、印刷データ10c1に基づいて、立体の媒体に対して画像が形成された状態で、複数の方向から立体を見た場合の画像を生成し、ディスプレイ10d上に表示させる。この結果、印刷作業者としてのユーザーは、完成された印刷物を容易にイメージすることができる。
【0045】
印刷部40a3は、決済された注文について、印刷物ごとのプレビューを含む注文票を印刷させる。プレビューは、印刷物の生産前に完成品の様子を確認するための画像であり、種々の態様であって良い。例えば、印刷される画像と媒体とを重ねて示す画像等がプレビューとなり得る。
【0046】
但し、注文に立体の印刷物の生産が含まれている場合、注文票には、当該立体についての第1プレビューが含まれる。すなわち、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す第1プレビューが注文票に印刷される。このため、印刷部40a3は、印刷データ10c1を参照し、立体の媒体に対して画像が形成された状態で、複数の方向から立体を見た場合の画像を生成し、注文票を印刷するためのデータを生成する。そして、印刷部40a3は、当該データに基づいてプリンター52を制御し、第1プレビューを含む注文票を印刷する。当該処理の詳細は後述する。
【0047】
立体の媒体に画像を形成して印刷物を生産する場合、プリンター50aによって昇華転写紙に画像が印刷される。印刷作業者は、当該昇華転写紙を立体の媒体に当ててプレス機によって画像を立体の媒体に昇華転写させる。この際、媒体の位置、向き、姿勢や昇華転写紙を当てる位置、昇華転写紙上に画像が印刷された位置、等に任意性がある。そこで、印刷作業者は、注文票を参照して立体の媒体に画像を形成する位置を把握する。そして、印刷作業者は、媒体の位置、向き、姿勢や昇華転写紙を当てる位置等を調整し、プレス機によって立体の媒体に画像を形成する位置が顧客の注文通りになるように設定する。このような調整の後に、印刷作業者は、プレス機によるプレスを実行する。以上の作業により、顧客の注文通りに立体の媒体に画像が形成された印刷物が生産される。
【0048】
なお、スタッフ端末20で印刷された注文票は顧客に利用され、印刷制御端末40で印刷された注文票は印刷作業者に利用される。このため、本実施形態においては、それぞれの注文票が異なり得る。すなわち、顧客用の注文票においては、所定種類の立体の印刷物の生産が含まれている場合に第2プレビュー、すなわち、一方向から立体の印刷物を見た場合の画像が注文票に印刷される。この結果、顧客に渡される注文票において、過度に大きいスペースを占めないようにすることができる。
【0049】
一方、印刷作業者用の注文票においては、立体の印刷物の種類によらず、第1プレビュー、すなわち、複数の方向から立体の印刷物を見た場合の画像を含む注文票が印刷される。この結果、印刷作業者用は、注文票に基づいて、完成された印刷物を容易にイメージすることができ、各印刷物において顧客の意図を把握した上で画像の形成位置を調整することが可能になる。
【0050】
(2)印刷物生産処理:
図6は、印刷物生産処理のシーケンス図である。顧客が店頭で印刷物の注文を開始することで当該注文に関する印刷物生産処理が開始される。顧客が注文作業を開始すると、プロセッサー10aは、受付部10a1の機能により、注文を受け付ける(ステップS100)。具体的には、顧客は、店頭においてある媒体のサンプルやディスプレイ10dに表示される媒体の画像等を参照しながら、所望の画像を形成させる媒体を選択する。また、顧客は、リムーバブルメモリー等に保存された画像を選択し、顧客端末10に転送する。
【0051】
媒体には、立体の媒体、平面の媒体が含まれ、一人の顧客によって複数の種類の媒体への画像の形成が注文される場合もある。平面の媒体に画像が形成される場合、顧客は、媒体の種類、印刷対象の画像(ファイル名等)、画像のサイズおよび位置、印刷部数を印刷設定として入力する。立体の媒体に画像が形成される場合、顧客は、媒体の種類、形成対象の画像(ファイル名等)、画像のサイズおよび位置、印刷物の個数を印刷設定として入力する。
【0052】
受付部10a1は、顧客が入力した印刷設定に画像を対応付け、印刷データ10c1として不揮発性メモリー10cに保存する。図7は、立体の媒体に形成する画像のサイズおよび位置を決定する際に、顧客端末10のディスプレイ10dに表示される注文受付画面である。注文受付画面には、媒体Mを平面に展開した画像が表示される。なお、図7に示す例において、媒体Mはマグカップである。
【0053】
顧客は、入力部10eを操作し、自身が選択した画像IMに対してトリミング、拡大、縮小等を行ってサイズを決定し、位置を調整して媒体Mに画像IMを重ねる。このような処理により、顧客は、立体の媒体に対してどのように画像を重ねるのか、考えながら注文内容を検討することができ、画像IMのサイズおよび位置を決定することができる。顧客は、図7の画面以外の画面で、上述の印刷設定も入力する。
【0054】
図7に示す画面は、立体の媒体Mが展開されて表示されているため、立体の印刷物の様子が分かりづらい。そこで、本実施形態においては、注文の確定前にプレビューを行うことが可能であり、図7示す例ではプレビューを行うか否かを指示するための指示ボタンB1が設けられている。
【0055】
出力部10a2は、顧客がプレビュー指示を行ったか否か判定しており(ステップS105)、プレビュー指示を行ったと判定された場合、出力部10a2は、プレビュー表示を行う(ステップS110)。プレビューは、印刷物の各種類について実行可能であり、立体の印刷物、平面の印刷物のそれぞれついて実行可能である。平面の印刷物であれば、出力部10a2が、印刷媒体の画像に対して印刷される画像を重ねてディスプレイ10d上に表示することによってプレビューを実行する。
【0056】
立体の印刷物であれば、出力部10a2は、印刷データ10c1を参照し、媒体の種類、印刷対象の画像、画像のサイズおよび位置を取得する。そして、出力部10a2は、これらの情報に基づいて、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す第1プレビューを示す画像を生成し、ディスプレイ10d上に表示する。本実施形態において、第1プレビューは、複数の方向のそれぞれから印刷後の立体の印刷物を見た場合の画像であり、複数の斜視図と、複数の展開図を含んでいる。図8は、図7に示す例のプレビュー画面を示し、図9は他の例のプレビュー画面を示している。これらの図においては、斜視図PV1~PV5、展開図DV1~DV3が含まれている。斜視図PV1と斜視図PV2とは同一の方向から立体の印刷物を見た画像であり大きさが異なっている。斜視図PV2~PV5は異なる方向から立体の印刷物を見た画像であり、立体の媒体の画像形成領域の全方位が網羅されている。展開図DV1~DV3は立体の媒体の画像形成領域を平面に展開し、かつ、分割して得られる図である。
【0057】
プレビュー画面に含まれる各図は、種々の処理によって生成されて良く、例えば、予め決められた媒体の表面の位置と、斜視図上での位置との対応関係に基づいて生成可能である。具体的には、注文受付画面上での媒体Mの表面の画素(例えば、図7に示す画素P1)と、斜視図上での画素(例えば、図8に示す画素P2)とが対応しているなどのように、対応関係を定義する。このような対応関係を媒体の表面の各位置と、斜視図上での各位置と、について定義しておけば、任意の画像が立体の表面の任意の位置に配置された場合の斜視図を生成することができる。
【0058】
展開図であれば、印刷データ10c1が示す画像を立体の印刷物の各面に対応した領域毎にトリミングし、立体の印刷物を平面に展開した画像を既定の領域毎に分割した画像に重ねることによって生成可能である。これらの処理は一例であり、例えば、3Dモデルによって仮想空間上に構成された立体の媒体に画像を重ね、任意の視点から眺めた画像が生成されても良い。
【0059】
図8図9のそれぞれにおいては、同一の媒体に対する画像形成のプレビュー画面を示しているが、それぞれにおいて形成対象となっている画像は異なる。図8においては、画像の形成領域であるマグカップの側面のほぼ全面にわたって画像が配置されている。一方、図9においては、マグカップの側面の半分程度にわたって画像が配置されている。本実施形態においては、立体の印刷物のプレビューにおいて、図8図9のように複数の方向から見た場合の画像が示されるため、図9のように画像の形成領域の一部のみに画像が形成される印刷物であっても、ユーザーは、完成された印刷物を容易にイメージすることができる。
【0060】
プレビューが表示されると、受付部10a1は、ステップS100における注文内容の確定指示が行われたか否か判定する(ステップS115)。確定指示は、例えば、顧客が、入力部10eにより、図8図9のプレビュー画面に表示された確定指示ボタンB3に対して操作を行うことによって実施される。受付部10a1が当該確定維持ボタンB3に対する操作を受け付けると、確定指示が行われたと判定する。顧客が、入力部10eによりャンセルボタンB4に対して操作を行った場合、受付部10a1は、確定指示が行われたと判定しない。なお、なお、確定指示は、図7に示すボタンB2によって行われてもよい。
【0061】
ステップS115において、注文内容の確定指示が行われたと判定された場合、プロセッサー10aは、ステップS100で生成された印刷データ10c1をスタッフ端末20に送信する(ステップS120)。
【0062】
印刷データ10c1がスタッフ端末20に送信されると、プロセッサー20aは、当該印刷データ10c1を受信し、送信し、決済処理を行う(ステップS200)。すなわち、プロセッサー20aは、通信部20bを介して印刷データ10c1を受信し、不揮発性メモリー20cに保存する。また、プロセッサー20aは、通信部20bを介して印刷データ10c1をサーバー30に送信する。サーバーは、送信された印刷データ10c1を受信し、不揮発性メモリー30cに保存する(ステップS300)。さらに、プロセッサー20aは、通信部20bを介して図示しないPOSシステムと通信を行い、顧客の注文についての決済を行う。
【0063】
次に、プロセッサー20aは、印刷部20a1の機能により、注文票を印刷する。このためにまず、印刷部20a1は、立体が1種類であるか否かを判定する(ステップS205)。具体的には、印刷部20a1は、ステップS200で受信した印刷データ10c1を参照し、注文された印刷物の媒体に立体の媒体が含まれるか否か判定する。立体の媒体が含まれる場合、印刷部20a1は、注文された立体の印刷物の種類が1種類であるか否かを判定する。
【0064】
立体が1種類である場合、印刷部20a1は、第1プレビューを含む注文票を印刷する(ステップS210)。具体的には、印刷部20a1は、印刷データ10c1が示す立体の印刷物について、媒体の種類、印刷対象の画像、画像のサイズおよび位置を取得する。そして、印刷部20a1は、これらの情報に基づいて、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す第1プレビューを示す画像を生成する。当該画像の生成処理は、ステップS110での処理と同様の処理によって実現可能である。但し、画像のピクセル数等はS110の処理と異なっていてもよい。
【0065】
第1プレビューを示す画像が生成されると、印刷部20a1は、所定のフォーマットの注文票の既定の位置に当該画像を配置して印刷を行うためのデータを生成する。なお、注文に、平面の印刷物が含まれる場合、印刷部20a1は、印刷媒体の画像に対して印刷される画像を重ねたアイコン画像を生成し、注文票の既定の位置に配置する。
【0066】
注文票を印刷するためのデータが生成されると、印刷部20a1は、当該データをプリンター52に送信する。プリンター52が当該データを受け取ると、プリンター52は注文票を印刷用紙に印刷する。注文票は顧客に受け渡される。図10は、立体が1種類である場合に印刷される注文票の例を示している。図10に示す例においては、注文票の上部に、注文番号、印刷物の受け渡し予定、受け付けを担当したスタッフに関する情報、支払いの有無、受け渡しが行われたか否か、顧客の情報を記入する部分が含まれる。
【0067】
これらの情報の下部に、プレビューが含まれる。プレビューにおいて、印刷物には番号が対応付けられ、各番号に対応付けて商品名とともにプレビューが示されている。また、各番号の注文について、印刷物の数量が示されている。図10においては、2種類の印刷物の注文が行われた場合の注文票の例を示している。番号1の注文は、立体の媒体であるマグカップに画像を形成する注文であり、図8と同様の斜視図の1つと、媒体を平面に展開し、画像形成領域を複数の面に分割した画像と、が含まれている。また、印刷対象の画像も含まれている。番号2の注文は、スナップ写真を印刷用紙に印刷する注文であり、印刷対象の画像が示されている。
【0068】
立体の印刷物の第1プレビューは、注文票において大きな面積を占めるが、注文された立体が1種類である場合、図10に示されるように、1枚の注文票に第1プレビューを表示することは可能である。さらに、平面の印刷物のプレビューであれば、1枚の注文票に追記することができる。この注文票によれば、顧客は、容易に立体の印刷物の完成品をイメージすることが可能である。
【0069】
ステップS205において立体が1種類であると判定されない場合、印刷部20a1は、第2プレビューを含む注文票を印刷する(ステップS215)。具体的には、印刷部20a1は、印刷データ10c1が示す立体の印刷物について、媒体の種類、印刷対象の画像、画像のサイズおよび位置を取得する。そして、印刷部20a1は、これらの情報に基づいて、印刷後の立体の印刷物の斜視図を示す第2プレビューを示す画像を生成する。当該斜視図の生成処理は、ステップS110での処理と同様の処理によって実現可能である。但し、画像のピクセル数等はS110の処理と異なっていてもよい。
【0070】
第2プレビューを示す斜視図が各立体の印刷物について生成されると、印刷部20a1は、所定のフォーマットの注文票の既定の位置に当該斜視図を並べて配置して印刷を行うためのデータを生成する。なお、注文に、平面の印刷物が含まれる場合、印刷部20a1は、印刷媒体の画像に対して印刷される画像を重ねたアイコン画像を生成し、注文票の既定の位置に配置する。
【0071】
注文票を印刷するためのデータが生成されると、印刷部20a1は、当該データをプリンター52に送信する。プリンター52が当該データを受け取ると、プリンター52は注文票を印刷用紙に印刷する。注文票は顧客に受け渡される。図11は、立体が1種類ではない場合に印刷される注文票の例を示している。図11においても、注文票のフォーマットは図10のフォーマットと同様である。図11においては、3種類の印刷物の注文が行われた場合の注文票の例を示している。番号1,2の注文は、立体の媒体であるマグカップに画像を形成する注文であり、図8と同様の斜視図によって各注文のイメージが表されている。番号2の注文は、スナップ写真を印刷用紙に印刷する注文であり、印刷対象の画像が示されている。
【0072】
図11に示す例において、立体の印刷物の第2プレビューは、各印刷物について1個の斜視図で示されており、各印刷物の斜視図が占める面積は第1プレビューと比較して小さい。このため、1枚の注文票に複数の印刷物の第2プレビューを並べることができる。従って、顧客に受け渡す注文票をコンパクトにすることができる。
【0073】
サーバー30に印刷データ10c1が保存されると、印刷作業者による作業を実施可能になる。作業が行われる場合、印刷作業者は、印刷制御端末40を操作し、印刷の開始を指示する。印刷の開始が指示されると、印刷制御端末40のプロセッサー40aは、印刷対象の指定を受け付ける(ステップS400)。すなわち、プロセッサー40aは、印刷作業者に処理対象となる注文を指定させる。具体的には、プロセッサー40aは、サーバー30に対して、印刷前の注文の問合せを行う。サーバー30のプロセッサー30aは、不揮発性メモリー30cの管理データ30c1を参照し、印刷前の注文の印刷データ10c1を特定し、印刷制御端末40に送信する(ステップS305)。プロセッサー40aは、当該印刷データ10c1を受信し、印刷前の注文を選択可能にディスプレイ40d上に表示させる。表示態様は限定されず、例えば、注文の識別情報が一覧表示されても良いし、印刷対象の画像が一覧表示されても良い。いずれにしても、印刷作業者は、入力部40eを操作して、印刷対象を指定する。
【0074】
印刷対象が指定されると、プロセッサー40aは、出力部40a2の機能により、プレビューを表示させる(ステップS405)。本実施形態において、出力部40a2は、ステップS400において指定を受け付けたそれぞれの印刷物についてプレビューを表示させる。そして、出力部10a2は、印刷物が立体であれば第1プレビューを表示し、印刷物が平面であれば、印刷対象を示す画像を表示する。第1プレビューを表示するための画像は、ステップS110と同様の処理によって実施可能である。第1プレビューとして表示される画像は、複数の方向から立体の媒体を見た場合の画像であれば良く、限定されないが、例えば、図8図9と同様の画像で構成されて良い。注文に複数の印刷物が含まれる場合、印刷作業者の指示に応じて表示対象の印刷物が切り替わるように構成されて良い。以上の表示によれば、印刷作業者としてのユーザーは、印刷物の完成品を容易にイメージすることができる。
【0075】
次に印刷部40a3は、プレビューを含む注文票を印刷する(ステップS410)。立体の印刷物が注文に含まれる場合、本実施形態においては、立体の印刷物の種類が所定種類であるか否かにかかわらず、第1プレビューが印刷される。印刷物が平面であれば、印刷用紙に対して印刷対象を示す画像が重ねられた画像が印刷される。なお、第1プレビューを示す画像の生成処理は、ステップS110での処理と同様の処理によって実現可能である。但し、画像のピクセル数等はS110の処理と異なっていてもよい。また、注文票のフォーマットは、ステップS210と同様であって良い。但し、立体の印刷物の種類が所定種類であるか否かにかかわらず、注文された立体の印刷物の全てについて第1プレビューが印刷される。
【0076】
プレビューを示す画像が生成されると、印刷部40a3は、注文票の既定の位置に当該画像を配置して印刷を行うためのデータを生成する。注文票を印刷するためのデータが生成されると、印刷部40a3は、当該データをプリンター50bに送信する。プリンター50bが当該データを受け取ると、プリンター50bは注文票を印刷用紙に印刷する。注文票は印刷作業者によって参照される。図12は、印刷される注文票の例を示している。図12に示す例においては、注文番号の下に、第1プレビューが印刷されている。図12に示す第1プレビューは、図10に示す第1プレビューと同一の種類の画像によって構成されている。なお、本例において、注文された印刷物のプレビューが1枚の注文票に入らない場合には、2枚以上の注文票が印刷される。
【0077】
立体の印刷物の第1プレビューは、注文票において大きな面積を占めるが、本実施形態において、全ての立体の印刷物について第1プレビューが印刷される。印刷作業者は、顧客の意図を反映した印刷物を生産する必要があるため、注文票の面積効率よりも、印刷作業者が正確に顧客の意図を把握することができるように、全ての立体の印刷物について第1プレビューが印刷されるように構成されている。この注文票によれば、印刷作業者は、全ての立体の印刷物について容易に完成品をイメージすることが可能である。
【0078】
注文票が印刷されると、プロセッサー40aは、生産部40a1の機能により、印刷処理を行う(ステップS415)。すなわち、生産部40a1は、ステップS400で受け付けた印刷対象の印刷データ10c1を参照し、印刷設定を特定する。そして、生産部40a1は、当該印刷設定によって印刷データ10c1に含まれる画像を印刷するためのデータを生成し、プリンター50a,50bに送信する。プリンター50a,50bが当該データを受け取ると、印刷を実行する(ステップS500)。
【0079】
印刷対象が立体の媒体の印刷物を含む場合、画像は昇華転写紙に印刷される。この場合、印刷作業者は、ステップS405によってディスプレイ40d上に表示された画像、または、ステップS410によって印刷された注文票を参照して、転写位置の設定を行う。すなわち、印刷作業者は、プレス機に対して立体の媒体をセットし、ディスプレイ40d上に表示された画像または注文票を参照して、昇華転写紙の転写位置を調整する。転写位置が調整されると、印刷作業者は、プレス機を操作して、画像を転写し、立体の媒体に画像を形成させる(ステップS505)。なお、印刷対象に立体の媒体である印刷物が含まれない場合、ステップS505はスキップされて良い。
【0080】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上記実施形態で示したプリンターの種類は、一例に過ぎず、他にも立体の媒体に画像を形成するための各種のプリンターが採用されてもよい。平面の媒体に画像を形成するためのプリンターの種類も限定されない。
【0081】
また、印刷物生産システムの装置構成は、図1に示す構成に限定されない。例えば、店舗、バックヤードのそれぞれに存在する装置は、図1に示す構成と異なっていてもよい。また、図1に示す各端末は、機能を共有するより少数の端末であっても良いし、より多数の端末であっても良い。例えば、顧客端末10とスタッフ端末20とは同一の端末であっても良いし、サーバー30と印刷制御端末40とは同一の端末であっても良い。さらに、サーバー30がクラウドサーバーであるなど、各端末がより多数の端末で構成されても良い。
【0082】
また、立体の印刷物を展開して展開図状にした第1プレビューは、上述の図8図9に示す展開図DV1~DV3のような態様に限定されない。例えば、直方体などのように複数の平面を有する立体であれば、当該直方体の展開図によって第1プレビューが構成されて良い。さらに、スマートフォン用のケースなどのように、曲面を含む面によって凹部を形成する立体であれば、曲面を平面に変換し、切断して平面上に示すなどして展開図を構成可能である。以上の構成によれば、複数の方向から立体の印刷物を見た場合の画像を容易に把握することが可能になる。
【0083】
受付部は、印刷物の注文を受け付けることができればよい。すなわち、受付部は、生産対象となる印刷物を特定するための情報を受け付けることができればよい。注文は、少なくとも生産対象の印刷物を示していれば良いが、他の情報、例えば、印刷設定が含まれていても良い。印刷設定は、印刷物に画像を形成するために必要な設定に関する情報を含み、例えば、画像の形成に必要な各種の情報や、印刷画質や印刷速度、使用するインクの種類、画像形成の方法など、種々の情報が含まれて良い。
【0084】
出力部は、注文に立体の印刷物の生産が含まれている場合には、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す第1プレビューを出力させる。すなわち、受付部が、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す状態を出力させることにより、出力を視認したユーザーが立体の印刷物の完成品を容易にイメージできればよい。
【0085】
第1プレビューは、印刷後の立体の印刷物における複数の面を示していればよい。すなわち、立体をある方向から見た場合、立体に形成された画像が隠れてしまうことがあるため、立体を複数の方向から見た状態を出力することにより、隠れ得る面への印刷の様子をプレビューできるように構成されていれば良い。
【0086】
複数の面は、各面に形成される画像が、重複しないか、少なくとも一部は重複しない状態になるように決められれば良い。すなわち、複数の面は、立体の印刷物に形成される画像を少なくとも一部が重複しないように複数に分割するように決められていれば良い。また、複数の面は、予め決められていても良いし、画像や印刷領域の大きさに応じて可変であっても良い。印刷後の立体の印刷物における複数の面を示す第1プレビューは、上述の実施形態のような展開図等であっても良いし、立体の印刷物を複数の異なる視点から見た場合の各画像であっても良い。後者としては、6面図の少なくとも2図以上を第1プレビューとする構成が挙げられる。むろん、図法は限定されないし、印刷物における曲面が平面に変換されて出力されても良い。立体の媒体の種類によって第1プレビューの図法が異なっていてもよい。
【0087】
第1プレビューは、注文に立体の印刷物の生産が含まれている場合に、必ず出力されても良いし、注文に立体の印刷物の生産が含まれており、さらに他の条件を満たす場合に出力されても良い。後者としては、注文された印刷物の種類が複数種類である場合には、まず注文の一覧が出力され、さらに、ユーザーが指示した場合に第1プレビューが出力される構成等が挙げられる。第1プレビューを出力する態様は、種々の態様であって良く、ディスプレイ上に表示出力されても良いし、印刷用紙等の印刷媒体上に印刷出力されても良いし、プロジェクターによって投影出力されても良い。いずれにしても、注文に立体の印刷物の生産が含まれている場合には、平面の印刷物では出力されない第1プレビューが出力され得るように構成されていれば良い。
【0088】
生産部は、注文に基づいて、印刷を行って立体の印刷物及び平面の印刷物を生産させることができればよい。すなわち、印刷物は立体の物体、平面の物体のいずれでも良く、少なくとも一方を一つ以上生産するように注文され、生産部は当該注文に応じて、プリンターに印刷物を生産させることやプリンターに昇華転写紙に印刷させて印刷作業者に転写をさせることができればよい。
【0089】
印刷は、立体または平面の媒体に直接実施されてもよいし、直接実施されなくてもよい。後者としては、印刷媒体に印刷された画像が媒体に転写されるなどして印刷物が生産される構成が想定される。媒体に対して画像を形成するための態様は任意であるが、その工程のいずれかの段階で印刷が用いられる。このため、生産される物体を印刷物と呼んでいる。立体または平面の媒体は、画像を形成可能な物体であればよく、上述の実施形態における例に限定されない。立体の媒体としては、例えば、缶体、看板、フォトフレーム、3Dプリンターで製造された物体など、各種の媒体が想定される。平面の媒体としては、印刷用紙や布など、各種の媒体が想定される。むろん、媒体の材質は、限定されない。
【0090】
印刷部は、印刷物ごとの第1プレビューを含む注文票を印刷させることができればよい。1個の注文票には、1個の印刷物の第1プレビューが含まれていても良いし、複数の印刷物の第1プレビューが含まれていても良い。但し、第1プレビューは、印刷物毎のプレビューであるため、同一の印刷物の第1プレビューは、複数の注文票に分かれないようにレイアウトされることが好ましい。なお、上述の実施形態においては、複数のコンピューターに印刷部が設けられているが、いずれか一方のコンピューターに印刷部が設けられる構成であっても良い。
【0091】
第2プレビューは、立体の前記印刷物を1つの方向から見たプレビューであればよい。従って、上述の実施形態のような斜視図に限定されず、例えば、6面図のいずれか1図であっても良い。
第1プレビューで出力するか第2プレビューで出力するかの判断は上述の判断に限られない。プレビューも2種類に限られるものではない。例えば3種類のプレビューを使う場合は、立体の印刷物の数が増えるにつれて、第1プレビューの出力、第3プレビューの出力、第2プレビューの出力のようにプレビューの態様を変えていってもよい。第3プレビューは、第1プレビューよりも占める領域が狭くあらわされる画像の数も少ないが、第2プレビューよりも占める領域が広くあらわされる画像の数も多い、というものであってもよいし、いくつかの立体の印刷物は第1プレビューと同じ態様で表すが、残りの立体の印刷物は第2プレビューと同じ態様で表すというようなものでもよい。また、立体の印刷物の数が増えると第1プレビューでから第2プレビューに切り替えるが、さらに数が増えて第2プレビューでも表示される一画面からあふれたり、印刷される印刷用紙からあふれたりする場合は、再び第1プレビューに切り替えてもよい。その場合でも数が増えると第1プレビューでから第2プレビューに再度切り替えて、印刷される印刷用紙が2ページを超えないようにしてもよい。
【0092】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各要素が上述した装置とは異なる装置に設けられる場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0093】
1…印刷物生産システム、10…顧客端末、10a…プロセッサー、10a1…受付部、10a2…出力部、10b…通信部、10c…不揮発性メモリー、10c1…印刷データ、10d…ディスプレイ、10e…入力部、20…スタッフ端末、20a…プロセッサー、20a1…印刷部、20b…通信部、20c…不揮発性メモリー、20d…ディスプレイ、20e…入力部、30…サーバー、30a…プロセッサー、30b…通信部、30c…不揮発性メモリー、30c1…管理データ、40…印刷制御端末、40a…プロセッサー、40a1…生産部、40a2…出力部、40a3…印刷部、40b…通信部、40c…不揮発性メモリー、40d…ディスプレイ、40e…入力部、50a,50b,51,52…プリンター
図1
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