(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064463
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】ロール紙プリンター
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240507BHJP
B65H 16/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H16/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173072
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】石田 徹吾
【テーマコード(参考)】
2C060
3F052
【Fターム(参考)】
2C060BA03
2C060BA12
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA02
(57)【要約】
【課題】ロール紙を収容部へ収容し難いおそれがある。
【解決手段】ロール紙プリンターは、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容部を有するケースと、ケースの下方に位置するカバーヒンジを中心に回転可能であって、収容部を開閉するカバーと、紙をガイド可能な紙ガイドと、紙に当接可能であって、紙ガイドに向かって移動可能な突起と、を備え、カバーは、ロール紙をガイド可能なカバーガイドを有し、カバーガイドは、カバーヒンジへ向かって順に、第1カバーガイド、第2カバーガイド、第3カバーガイドを配置しており、カバーが閉じたとき、第1カバーガイド及び第2カバーガイドは、第1径のロール紙に当接可能である一方、第3カバーガイドは第1径のロール紙に当接せず、カバーが開いたとき、第3カバーガイドは、収容部へ向かって下方に傾斜しており、第1径のロール紙を載置して収容部へガイド可能である。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容部を有するケースと、
前記ケースの下方に位置するカバーヒンジを中心に回転可能であって、前記収容部を開閉するカバーと、
前記紙をガイド可能な紙ガイドと、
前記紙に当接可能であって、前記紙ガイドに向かって移動可能な突起と、を備え、
前記カバーは、前記ロール紙をガイド可能なカバーガイドを有し、
前記カバーガイドは、前記カバーヒンジへ向かって順に、第1カバーガイド、第2カバーガイド、第3カバーガイドを配置しており、
前記カバーが閉じたとき、前記第1カバーガイドは、第1径の前記ロール紙に当接可能である一方、前記第3カバーガイドは前記第1径の前記ロール紙に当接せず、
前記カバーが開いたとき、前記第3カバーガイドは、前記収容部へ向かって下方に傾斜しており、前記第1径の前記ロール紙を載置して前記収容部へガイド可能である、ロール紙プリンター。
【請求項2】
前記カバーが開いたとき、前記第1カバーガイドは、前記収容部へ向かって下方に傾斜している、請求項1に記載のロール紙プリンター。
【請求項3】
少なくとも前記第2カバーガイドは、シートで被覆されており、前記カバーガイドの他部に対して、前記ロール紙との摩擦が小さい、請求項1に記載のロール紙プリンター。
【請求項4】
前記第3カバーガイドは、前記ロール紙に当接して、回転可能であって、移動可能なローラーを有する、請求項1に記載のロール紙プリンター。
【請求項5】
前記カバーが閉じたとき、前記ローラーは、前記第1径より小さい径の前記ロール紙に当接可能である、請求項4に記載のロール紙プリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙プリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、ロール紙のカール(curl、巻き癖)を矯正する機構を備えるプリンターが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のプリンターでは、ロール紙のカールを矯正する機構などの構成により、ユーザーがロール紙を収容し難いおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ロール紙プリンターは、紙が巻かれたロール紙を収容可能な収容部を有するケースと、前記ケースの下方に位置するカバーヒンジを中心に回転可能であって、前記収容部を開閉するカバーと、前記紙をガイド可能な紙ガイドと、前記紙に当接可能であって、前記紙ガイドに向かって移動可能な突起と、を備え、前記カバーは、前記ロール紙をガイド可能なカバーガイドを有し、前記カバーガイドは、前記カバーヒンジへ向かって順に、第1カバーガイド、第2カバーガイド、第3カバーガイドを配置しており、前記カバーが閉じたとき、前記第1カバーガイド及び前記第2カバーガイドは、第1径の前記ロール紙に当接可能である一方、前記第3カバーガイドは前記第1径の前記ロール紙に当接せず、前記カバーが開いたとき、前記第3カバーガイドは、前記収容部へ向かって下方に傾斜しており、前記第1径の前記ロール紙を載置して前記収容部へガイド可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】カバーを閉じたときのロール紙プリンターの断面図。
【
図3】ロール紙が大径の場合のロール紙プリンターの断面図。
【
図4】ロール紙が中径の場合のロール紙プリンターの断面図。
【
図5】待機時、ロール紙が小径の場合のロール紙プリンターの断面図。
【
図6】印刷時、ロール紙が小径の場合のロール紙プリンターの断面図。
【
図8】ロール紙がニアエンドになった場合のロール紙プリンターの断面図。
【
図9】カバーを開いたときのロール紙プリンターの断面図。
【
図10】ロール紙を収容するときのロール紙プリンターの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1.ロール紙プリンターの構成
以下、実施形態に係るロール紙プリンター1について、
図1~
図10を参照して説明する。なお、図中における方向を、三次元座標系を用いて説明する。説明の便宜上、Z軸の正方向を上方向、上方、又は単に上と称し、負方向を下方向、下方、又は単に下と称し、X軸の正方向を右方向、右方、又は単に右と称し、負方向を左方向、左方、又は単に左と称し、Y軸の正方向を前方向、前方、又は単に前と称し、負方向を後方向、後方、又は単に後と称して説明する。
【0008】
実施形態に係るロール紙プリンター1は、例えば、POS(Point Of Sale)システムに使用される。POSシステムは、ショッピングセンター、百貨店、コンビニエンスストア、車内販売等の小売業や、レストランや、喫茶店、居酒屋等の飲食業等の業務に使用されるシステムである。POSシステムで使用されるロール紙プリンター1は、商品やサービスに応じて、領収書、クーポン、チケットなどを印刷する。
【0009】
図1は、カバー10が前方に開いた状態であって、収容部12にロール紙Rが収容されていないときのロール紙プリンター1の斜視図を示している。ロール紙プリンター1は、水平面であるテーブルなどに、底面を下に設置されている。ここでは、ロール紙プリンター1がカバー10をケース11の側面の一方向である前方へ開くことができる姿勢である、いわゆる縦置き姿勢を示す。ロール紙Rの残量を検出するセンサー6は、ロール紙Rがないので、収容部12において上方に向かって進出した位置A0にある。
なお、収容部12の左右方向の幅は幅Wであり、幅Wまでのロール紙Rを収容することができる。幅Wは、例えば80mmである。
カバー10は、収容部12を開閉可能である。ユーザーは、カバー10を前方へ向かって開けると収容部12にアクセス可能となる。
【0010】
図2は、カバー10が閉じた状態であって、収容部12にロール紙Rが収容されていないときのロール紙プリンター1の断面図を示している。なお、
図2~
図6、
図8は、カバー10が閉じた状態のロール紙プリンター1の断面図を示し、
図9~
図10は、カバー10が開いた状態のロール紙プリンター1の断面図を示している。
ロール紙プリンター1は、センサー6及び収容部12に加え、ヘッド2、搬送ローラーであるプラテン3、紙ガイド4、突起5、カッター14を含んで構成されている。また、ロール紙プリンター1は、各部を制御可能なプロセッサーを含む制御部(不図示)が備えられている。
ケース11には、ヘッド2、突起5、センサー6、収容部12、カッター14の固定刃14bが搭載されている。一方、カバー10には、プラテン3、紙ガイド4、当接部材であるローラー7、カバーガイド9、カッター14の可動刃14aが搭載されている。
【0011】
カバー10は、カバーヒンジ10aによりケース11の側面に取り付けられる。カバー10は、カバーヒンジ10aを中心に回転可能である。カバーヒンジ10aは、ケース11の上方に位置するヘッド2に対し反対の位置にある。すなわち、カバーヒンジ10aは、ケース11の下方であって、底面の近くに位置する。
カバー10が閉じると、カバー10とケース11との境界に、矩形の形状をした排出口13が形成される。
また、カバー10が閉じると、カバー10に搭載されたプラテン3は、ケース11に搭載されたヘッド2に対して対向する位置となる。
さらに、このとき、カバー10に搭載されたカッター14の可動刃14aは、ケース11に搭載された固定刃14bに対して対向する位置となる。
【0012】
センサー6は、収容部12に搭載され、ロール紙Rの残量を検出可能に構成されている。センサー6は、レバー形状をしていて、センサーヒンジ6aを中心に回転可能である。本実施形態では、センサー6が回転する角度が小さいため、近似的に、センサー6が上下方向に移動可能とみなすことができる。以下では、センサー6が上方向又は下方向に移動するものとして説明する。また、センサー6は、後述の第3収容部12cに対して進退可能に構成される。
センサーヒンジ6aの周囲にはバネなどの弾性部材(不図示)が取り付けられており、センサー6を時計回りへ回転させるように押している。センサー6は、弾性部材により上方へ押されている。
センサー6には、センサー6の位置を検出可能な検出器(不図示)が含まれている。なお、検出器は、スイッチなどの機械方式でもよく、フォトセンサーなどの光学方式でもよい。センサー6は、ニアエンドセンサーとも称される。
【0013】
後述の
図8に示すように、ロール紙Rの径が小さくなっていくと、センサー6は、弾性部材の押力により、最も上方に上がった位置A0になる。また、収容部12にロール紙Rが収容されていないときも、センサー6は位置A0になる。
センサー6は、位置A0のとき、ロール紙Rに巻かれている紙Pの残量が少なくなった状態である、いわゆるニアエンド(Near End)を検出することができる。このように、センサー6は、ロール紙Rの残量を検出することができる。制御部は、センサー6により、ロール紙Rの残量として、ニアエンドであるか否かを知ることができる。
【0014】
一方、センサー6は、位置A0以外のときには、ニアエンドを検出しない。つまり、センサー6は、位置A0以外のときには、ロール紙Rの残量が十分にあることを検出することができることとなる。
【0015】
ロール紙プリンター1は、センサー6がニアエンドを検出した場合であっても、ロール紙Rの残量がある範囲で、引き続き印刷をすることが可能である。ロール紙プリンター1は、表示装置(不図示)を備えており、ニアエンドを表示することができる。
ユーザーは、表示装置のニアエンドの表示を視認すると、顧客が会計のために並んでいる場合など、印刷が必要な場合には、引き続き印刷を継続することができる。ユーザーは、印刷が終了したときや、顧客が途切れたときを見計らって、新しいロール紙Rをロール紙プリンター1に収容することができる。
【0016】
なお、ロール紙プリンター1は、紙Pの有無を検出可能な紙検出センサー(不図示)を、別途、紙ガイド4、又は突起5に搭載するように構成してもよい。制御部は、紙検出センサーにより、ロール紙プリンター1に紙Pがない状態であるか否かを判断し、印刷可能か否かを判断することができる。制御部は、センサー6がニアエンドを検出した場合であって、紙検出センサーにより紙Pがないことを検出した場合には、印刷を中止することができる。
【0017】
収容部12及びカバーガイド9は、印刷により紙Pが消費されて径が変化していくロール紙Rを、ガイド可能に構成される。
収容部12は、カバーヒンジ10aへ向かう順であって、上方から下方の順に配置された、第1収容部12a、第2収容部12b、第3収容部12c、第4収容部12dを含んで構成される。カバーガイド9は、カバーヒンジ10aへ向かう順であって、上方から下方の順に配置された、第1カバーガイド9a、第2カバーガイド9b、第3カバーガイド9cを含んで構成される。
【0018】
第1収容部12a、及び、第1カバーガイド9aは、後述のように、プラテン3により紙Pが引き出されることに伴って回転するロール紙Rが、上方へ跳ね上がったときなどに当接して抑えることができる。
また、ロール紙プリンター1がカバー10を上方に開くことができる姿勢である、いわゆる横置き姿勢のとき、凹形状の第2収容部12bは、ロール紙Rを安定的に支持することができる。
【0019】
ローラー7は、カバーガイド9の下方の部分である第3カバーガイド9cに取り付けられる。ローラー7は、カバーヒンジ10aの上方に位置する。ローラー7は、軸7aを中心に回転可能である。後述のように、ローラー7は、第3カバーガイド9cに対して前後方向へ移動可能に構成される。ロール紙Rに当接して押されていないとき、ローラー7は位置B0にある。
突起5は、紙Pのカールを矯正する機構である。突起5は、バネなどの突起用弾性部材(不図示)の弾性力により、紙ガイド4に向かって押されている。突起5は、紙Pに当接していないとき、最も紙ガイド4に向かって突出した位置M0にある。
【0020】
2.ロール紙の径について
2-1.ロール紙が大径の場合について
図3は、第1径であり大径である外径D1のロール紙Rが、収容部12に収容されており、印刷時のロール紙プリンター1を示している。外径D1は、例えば83mmである。ロール紙Rは、収容部12の第3収容部12c、及び、カバーガイド9の第2カバーガイド9bに当接してガイドされる位置C1にある。
【0021】
紙Pは、例えば長尺状の感熱紙である。紙Pは、ヘッド2に接する表面に感熱材料が塗布されていて、ヘッド2により画像の印刷が可能である。紙Pの裏面は、プラテン3に当接する面である。
ロール紙Rは、紙Pの表面が外側に、裏面が内側になるようにして、巻芯R0に巻かれている。紙Pは、ロール紙Rの巻芯R0の近くに巻かれているほど、つまりロール紙Rの外径が小さい部分に巻かれているほど、カールが強くなる。巻芯R0の外径は、例えば18mmである。なお、本実施形態では、外径を単に径とも称する。
紙Pの幅は、例えば80mmである。収容部12の右には、使用する紙Pに対応するロール紙Rの幅に合わせて仕切り板(不図示)が挿入可能となっている。仕切り板により、幅が80mmより小さい、例えば58mmのロール紙Rも、左右を安定的に収容部12へ収容可能となっている。なお、仕切り板は、収容部12の左に挿入可能としてもよく、収容部12の左右に挿入可能としてもよい。
【0022】
プラテン3は、プラテン用モーター(不図示)により矢印で示す反時計回りに回転し、紙Pを搬送方向Fへ搬送する。このとき、プラテン3によりロール紙Rから紙Pが引き出されることに伴い、ロール紙Rも反時計回りに回転される。
搬送方向Fの上流から下流へ向かって、収容部12、対向する紙ガイド4及び突起5、プラテン3及びヘッド2、カッター14、排出口13が、順に配置される。
【0023】
突起5及び紙ガイド4は、プラテン3の搬送方向Fの上流において、紙Pをガイド可能である。突起5は、紙Pに当接可能であって、紙ガイド4に向かって移動可能である。
裏面に向かってカールしている紙Pに対して、突起5は、表面から当接して紙Pのカールを矯正するように作用する。突起5は、紙Pの表面に当接して屈曲させつつ、プラテン3により搬送される紙Pをしごくようにしてカールを矯正することができる。
ロール紙Rが径D1のように大きいとき、ロール紙Rのイナーシャ(Inertia、慣性)により負荷が大きくなり、プラテン3により搬送される紙Pの張力も大きくなる。突起5は、紙Pの張力を受けて、突起用弾性部材の弾性力に抗い、紙ガイド4から離反する方向へ移動する。
図3では、突起5は、紙ガイド4から最も離反した位置M1にある。
【0024】
位置M1の突起5は、紙Pを屈曲させる角度が大きくなり、カールを矯正する作用が弱くなる。一方、紙Pは、ロール紙Rの径が大きい部分に巻かれているので、カールは弱い。このように、突起5は、径D1のロール紙Rから引き出されたカールが弱い紙Pに対応し、適切にカールを矯正することができる。
また、ロール紙Rが回転する際、前後に移動したり、跳ね上がるなどして、イナーシャや、ロール紙Rの外周Sと収容部12との間の摩擦等の負荷の状況が変化することにより、負荷変動が発生することがある。突起5は、紙ガイド4に向かって紙Pを押しつつ、紙ガイド4に対して進退しながら、この負荷変動による紙Pの張力の変化を緩衝することもできる。
【0025】
ヘッド2は、例えば、左右方向へ複数の発熱体が並んでいるライン型のサーマルヘッドである。ヘッド2の複数の発熱体は、印刷データに基づき選択されて発熱し、感熱紙である紙Pに画像を印刷することができる。
【0026】
プラテン3及びヘッド2は、ロール紙Rから引き出された紙Pを挟んで、互いに対向する位置にある。プラテン3は紙Pの裏面に当接して搬送可能となり、ヘッド2は紙Pの表面に当接して印刷可能となる。
紙Pを介してヘッド2に対向する位置にあるプラテン3は、プラテンローラーともいう。
カッター14の可動刃14a及び固定刃14bは、紙Pを間にして対向する位置となる。可動刃14aが固定刃14bに向かって移動し、双方の間にある紙Pを切断することができる。切断された紙Pは、排出口13から排出される。なお、可動刃14aはケース11に搭載され、固定刃14bはカバー10に搭載されるようにしてもよい。
【0027】
センサー6は、ロール紙Rの外周Sに当接することができる。センサー6は、径D1のロール紙Rに押されて、第3収容部12cの面の位置でもある、下方に下がった位置A1になる。センサー6は、位置A1に基づき、ロール紙Rの残量が十分あることを検出することができる。
なお、径D1のロール紙Rは径が大きいため、カバー10の下方に位置する第3カバーガイド9c及びローラー7に対して、当接しない位置C1にある。ローラー7は、収容部12にロール紙Rが収容されていないときと同様に、位置B0にある。
【0028】
ところで、上述のように、プラテン3が紙Pを搬送するとき、ロール紙Rも紙Pが引き出されて、収容部12内で反時計回りに回転する。この回転に伴い、ロール紙Rには前方向へ移動させるような力が働く。
ロール紙Rは、この力によりカバーガイド9の第2カバーガイド9bへ向かって押されることとなる。この結果、ロール紙Rは、外周Sが第2カバーガイド9bを擦りながら回転する。
【0029】
このとき、ロール紙Rのイナーシャや、ロール紙Rの外周S、及び、第2カバーガイド9bとの間の摩擦等の負荷により、センサー6がロール紙の残量を正確に検出できないおそれがある。
すなわち、ロール紙Rのイナーシャや、ロール紙Rの外周S、及び、第2カバーガイド9bとの間の摩擦等の負荷が大きい場合、プラテン3が紙Pを搬送する際の負荷及び負荷変動も大きくなる。このため、プラテン3が紙Pを搬送する際、ロール紙Rも前後に移動したり、場合によっては上に跳ね上がることがある。特に、プラテン3が紙Pの搬送を開始する際、顕著になる。このとき、センサー6が、位置A1から上方へ移動すると、誤ってニアエンドを検出するおそれがある。なお、以下では、摩擦等の負荷に、ロール紙Rのイナーシャに基づく負荷も含むものとする。
第1収容部12a、及び、第1カバーガイド9aは、プラテン3により紙Pが引き出されることに伴って回転するロール紙Rが、上方へ跳ね上がったときなどに当接して抑えることができる。
【0030】
カバーガイド9は、例えば、ポリエチレンなどの樹脂で構成されている。一方、カバーガイド9において、少なくともロール紙Rの外周Sに当接する部分である第2カバーガイド9bは、例えば、超高分子量ポリエチレン(Ultra High Molecular Weight Polyethylene)を含むシート(不図示)により被覆されている。超高分子量ポリエチレンを含むシートは、いわゆる低摩擦シートとも称される。
超高分子量ポリエチレンは、通常のポリエチレンの分子量が2~30万のところ、分子量を100~700万まで高めたものである。超高分子量ポリエチレンのシートは、ポリエチレンのカバーガイド9に比べて、当接するものとの間の摩擦を低減することができる。
このように、カバー10はロール紙Rをガイド可能なカバーガイド9を有している。カバーガイド9の少なくとも一部である第2カバーガイド9bは、超高分子量ポリエチレンを含むシートで被覆されており、ポリエチレンなどの樹脂で形成されたカバーガイド9の他部に比較して、ロール紙Rの外周Sとの摩擦が小さくなる。
【0031】
超高分子量ポリエチレンを含むシートにより被覆されている第2カバーガイド9bにより、ロール紙Rが回転する際、外周Sとの摩擦の負荷を低減することができる。この結果、プラテン3が紙Pを搬送する際の負荷及び負荷変動を小さくすることができる。
そして、このシートが被覆された第2カバーガイド9bにより、プラテン3が紙Pを搬送する際、ロール紙Rが前後に移動したり、跳ね上がることを抑制することができる。ロール紙Rが前後や上へ移動することが抑制されることにより、センサー6も位置A1から上方へ移動することが抑制され、ロール紙の残量をより正確に検出することができる。
なお 、外径D1のロール紙Rが、第2カバーガイド9bに当接する構成と代えて、外径D1のロール紙Rが、第1カバーガイド9aに当接して第2カバーガイド9bとは当接しない構成としてもよい。この場合、カバー10が閉じることで第1カバーガイド9aが外径D1のロール紙Rの上方の空間を塞いでロール紙Rと当接するのでロール紙Rの上方への跳ね上がりを当接して抑えることができる。このとき、第1カバーガイド9aに超高分子量ポリエチレンを含むシートで被覆してもよい。
【0032】
2-2.ロール紙が中径の場合について
紙Pが印刷されて消費されていき、大径である径D1より小さい、第2径であり中径である径D2のロール紙Rになっていく。径D2は、例えば60mmである。
図4は、径D2のロール紙Rが収容部12に収容されており、印刷時のロール紙プリンター1を示している。
ロール紙Rは、収容部12の第3収容部12c、及び、カバーガイド9の第3カバーガイド9cに当接してガイドされる位置C2になる。径D2のロール紙Rの重心の位置である巻芯R0の位置も、径D1のときよりも前下方向へ移動する。
【0033】
ロール紙Rが径D2の場合、センサー6は先端がロール紙Rの外周Sに当接し、径D1の場合の位置A1より下方に下がった位置A2になる。センサー6は、位置A2に基づき、引き続きロール紙Rの残量が十分あることを検出することができる。
【0034】
上述のように、ロール紙Rが収容部12内で回転するとき、ロール紙Rには前方向の第3カバーガイド9cへ移動させるような力が働く。
径D2のロール紙Rは位置C2にあり、外周Sが第3カバーガイド9cに搭載されたローラー7に当接するようになる。このとき、ローラー7は、位置B0にある。
ローラー7は、ロール紙Rの外周Sに当接しながら滑らかに回転することができる。回転するローラー7により、ロール紙Rが回転する際の摩擦等の負荷を低減することができる。この結果、プラテン3が紙Pを搬送する際の負荷及び負荷変動を小さくすることができる。
そして、ローラー7により、ロール紙Rが前後に移動したり、跳ね上がることを抑制することができる。ロール紙Rが前後や上へ移動することが抑制されることにより、センサー6も位置A2から上方へ移動することが抑制され、ロール紙の残量をより正確に検出することができる。
【0035】
紙Pの張力は、ロール紙Rが径D1の場合に比べ、径が小さくなった径D2の場合の方が小さくなる。この結果、突起5は、小さくなった紙Pの張力により、さらに紙ガイド4へ向かい、位置M1から位置M2へ移動する。
位置M1に比べて位置M2の突起5は、紙Pを屈曲させる角度が小さくなり、カールを矯正する作用が強くなる。一方、紙Pは、ロール紙Rが中径の部分に巻かれているので、カールは強くなる。このように、突起5は、径D2のロール紙Rから引き出されたカールが強くなった紙Pに対応し、適切にカールを矯正することができる。
また、この場合にも、突起5は、紙ガイド4に向かって紙Pを押しつつ、紙ガイド4に対して進退しながら、負荷変動による紙Pの張力の変化を緩衝することができる。
【0036】
2-3.ロール紙が小径の場合について
紙Pが印刷されてさらに消費されていくと、中径である径D2よりさらに小さい、第3径であり小径である径D3のロール紙Rになっていく。径D3は、例えば30mmである。
図5は、径D3のロール紙Rが収容部12に収容されており、印刷していない待機時のロール紙プリンター1を示している。一方、
図6は、径D3のロール紙Rを印刷するときのロール紙プリンター1を示している。
【0037】
まず、
図5の待機時のロール紙プリンター1について説明する。プラテン3は紙Pを搬送していなく、ロール紙Rも回転していない。従って、ロール紙Rには前方向へ移動させるような力は働いていない。
ロール紙Rは、収容部12の第4収容部12d、及び、カバーガイド9の第3カバーガイド9cのローラー7に当接してガイドされた位置C3になる。特に、ロール紙Rの後方は、凹形状の第4収容部12dの後縁にガイドされる。ロール紙Rは、ローラー7、及び、第4収容部12dの後縁に挟まれる。径D3のロール紙Rの重心の位置である巻芯R0の位置も、径D2のときよりもさらに前下方向へ移動する。
【0038】
ロール紙Rが径D3の場合、センサー6はロール紙Rの外周Sに当接し、径D2の場合の位置A2より上方に上がった位置A3になる。センサー6は、位置A3に基づき、引き続きロール紙Rの残量が十分あることを検出することができる。
【0039】
ロール紙Rの外周Sが、第3カバーガイド9cのローラー7に当接した状態となっている。ここでは、ロール紙Rには前方向へ移動させるような力は働いていないので、ロール紙Rはローラー7を前方向に押していない。このとき、ローラー7は、押されていないので、位置B0にある。ロール紙Rの外周Sは、第3カバーガイド9cに当接しない。
【0040】
次に、
図6の印刷時のロール紙プリンター1について説明する。ロール紙Rは、収容部12の第4収容部12d、及び、カバーガイド9の第3カバーガイド9cのローラー7に当接してガイドされる位置C4になる。印刷時のロール紙Rの重心の位置である巻芯R0の位置も、待機時のときよりも前下方向へ移動する。
【0041】
印刷時、センサー6はロール紙Rの外周Sに当接し、待機時の場合の位置A3より上方に上がった位置A4になる。センサー6は、位置A4に基づき、ロール紙Rの残量が十分あることを検出することができる。
【0042】
印刷時、プラテン3は紙Pを搬送するので、ロール紙Rが収容部12内で回転する。上述のように、ロール紙Rには前方向へ移動させるような力が働く。径D3のロール紙Rは、外周Sがローラー7に当接し、さらにローラー7を前方向へ押すように移動する。ローラー7は、ロール紙Rに押されて、位置B0から位置B1へと前方へ移動する。
ローラー7は、ロール紙Rに押されて位置B0から位置B1へ移動しつつ、ロール紙Rの外周Sに当接しながら滑らかに回転することができる。回転するローラー7により、ロール紙Rが回転する際の摩擦等の負荷を低減することができ、プラテン3が紙Pを搬送する際の負荷及び負荷変動を抑制することができる。
そして、ロール紙Rが前後や上へ移動することが抑制されることにより、センサー6も位置A4から上方へ移動することが抑制され、ロール紙の残量をより正確に検出することができる。
【0043】
ところで、センサー6は、回転するロール紙Rの外周Sと当接している。センサー6が、ロール紙Rの外周Sと当接する部分を、接触点と称する。
図6の例では、センサー6の先端がロール紙Rの外周Sと当接しており、接触点はセンサー6の先端となる。プラテン3が紙Pを搬送して、ロール紙Rが収容部12で回転する際、ロール紙Rは、接触点、及び、接触点の位置に対向する部分に挟まれることとなる。
【0044】
仮に、第3カバーガイド9cにローラー7がないとした場合、接触点の位置に対向する部分は、ロール紙Rが第3カバーガイド9cと直接当接する部分となる。ロール紙Rが回転しようとする際、第3カバーガイド9cとの間で大きな摩擦が発生する。この摩擦の負荷が力のモーメントとして作用し、ロール紙Rが第3カバーガイド9cと当接する部分に対向する位置である接触点において、ロール紙Rがセンサー6の先端に食い込むように作用してしまう。
これは、プラテン3による紙Pの搬送に対し、大きな負荷、及び、大きな負荷変動が発生する要因となり得る。この結果、ロール紙Rが前後や上へ移動することがあり、センサー6も位置A4から上方へ移動することがあり、誤ってニアエンドを検出してしまうおそれがある。
【0045】
また、このとき、プラテン3による紙Pの搬送に伴って、ロール紙Rが搬送方向Fへ引っ張られると、センサー6の先端もロール紙Rに食い込んだ状態で、共に搬送方向Fへ引っ張られるおそれがある。センサー6が、搬送方向Fへ引っ張られ、位置A4より上方に上がった位置A0になると、誤ってニアエンドを検出してしまう。
【0046】
実施形態では、ローラー7は、接触点の位置に対し、ロール紙Rを挟んで対向する位置に配置される。ローラー7は、ロール紙Rの外周Sに当接しながら滑らかに回転することができる。回転するローラー7により、センサー6の先端がロール紙Rに食い込むことを抑制することができ、ロール紙Rが回転する際の摩擦等の負荷を低減することができる。この結果、プラテン3が紙Pを搬送する際の負荷及び負荷変動を小さくすることができる。
なお、ローラー7の位置は、ロール紙Rの巻芯R0を中心として、接触点の位置と成す角度が180度となる位置でなくてもよい。この角度は、150度~210度の範囲でもよい。
【0047】
また、仮に、センサー6の先端がロール紙Rに食い込んだ状態となったとしても、ロール紙Rが搬送方向Fへ引っ張られる際、ローラー7は、ロール紙Rと共に回転することが可能である。
さらに、ローラー7は、前方向であって、搬送方向Fに対して交わる方向である、位置B0から位置B1へ向かって移動することができる。センサー6の先端がロール紙Rに食い込むことを、緩和することができる。
【0048】
このように、接触点の位置に対してロール紙Rを挟んで対向する位置にあるローラー7は、ロール紙Rが前後や上へ移動することや、センサー6が引っ張られて上方へ移動することを抑制することができる。この結果、センサー6は、より正確にロール紙の残量を検出することができる。
なお、上述では、ローラー7は、カバー10のカバーガイド9に搭載された例で説明した。ローラー7は、接触点の位置に対し、ロール紙Rを挟んで対向する位置にあればよく、例えば、前下から上方へ延長した第4収容部12dやケース11に搭載されてもよい。
【0049】
なお、印刷時、ロール紙Rの外周Sは、ローラー7の他、第3カバーガイド9cにも当接する場合がある。第3カバーガイド9cにも、ロール紙Rの外周Sに当接する部分に、超高分子量ポリエチレンを含むシートを被覆するようにしてもよい。このシートを被覆した第3カバーガイド9cにより、ロール紙Rが回転する際の摩擦の負荷を低減することができる。
【0050】
紙Pの張力は、ロール紙Rが径D2の場合に比べ、径が小さくなった径D3の場合の方が小さくなる。この結果、突起5は、小さくなった紙Pの張力により、さらに紙ガイド4へ向かい、位置M2から位置M3へ移動する。
位置M2に比べて位置M3の突起5は、紙Pを屈曲させる角度がより小さくなり、カールを矯正する作用がより強くなる。一方、紙Pは、ロール紙Rがより小径の部分に巻かれているので、カールはより強くなる。このように、突起5は、径D3のロール紙Rから引き出されたカールがより強くなった紙Pに対応し、適切にカールを矯正することができる。
また、この場合も、突起5は、紙ガイド4に向かって紙Pを押しつつ、紙ガイド4に対して進退しながら、負荷変動による紙Pの張力の変化を緩衝することができる。
【0051】
ここで、
図7を用いて、ローラー7について詳しく説明する。
図7では、ローラー7にローラー8を加えた複数のローラーを有する実施形態を示している。ローラー7及びローラー8は、同様の構成であるので、ローラー7を中心に説明する。
ローラー7は、プラスチックなどの樹脂で円柱形状に形成される。ローラー7は軸7aを含んで構成される。ローラー7は、円柱の円の中心に軸7aが通されて固定される。
【0052】
カバーガイド9の第3カバーガイド9cには、ローラー7を支持する支持部97が形成される。支持部97は、軸受97a、開口97bを含んで構成される。軸受97aは、軸7aを回転可能に支持する。ローラー7は、開口97bを介して、前後方向へ移動可能である。
軸7aは弾性力を有する弾性部材であり、前後方向へ弾性変形可能である。軸7aは、例えば、炭素鋼や合金鋼などのばね鋼材を用いて、軸状に形成される。
ローラー7は、軸7aの弾性力により、ロール紙Rを後方向へ押すことができる。軸7aは、ロール紙Rに押されたとき、ロール紙Rを後方向へ押しつつ、前方向へ弾性変形可能である。
このように、ローラー7は、弾性力を有する軸7aによりカバー10に回転可能に支持されており、軸7aを弾性変形させつつ移動可能である。
【0053】
ローラー8は、ローラー7と同様の構成である。ローラー8は軸8aを含んで構成される。カバーガイド9の第3カバーガイド9cには、ローラー8を支持する支持部98が形成される。支持部98は、軸受98a、開口98bを含んで構成される。
【0054】
ローラー7,ローラー8は、ロール紙Rの幅方向である左右方向へ並んで、第3カバーガイド9cに取り付けられる。右に配置されたローラー7、及び、左に配置されたローラー8は、左右方向にバランス良くロール紙Rを押しつつ、回転可能であり、移動可能である。
例えば、ロール紙Rが収容部12に収容可能な最大の幅Wの場合、ローラー7及びローラー8に当接する。幅Wのロール紙Rは、ローラー7及びローラー8により弾性力を受けながら、左右方向にバランス良く前後方向へ移動することができる。ロール紙Rの最大の幅Wは、例えば、80mmである。
【0055】
なお、ロール紙Rが最小の幅W1の場合、一方のローラー8のみに当接するようにしてもよい。ロール紙Rは、ローラー8により弾性力を受けながら、左右方向にバランス良く前後方向へ移動することができる。ロール紙Rの最小の幅W1は、例えば、58mmである。また、最小の幅W1のロール紙Rの径が小さくなって軽くなった場合、ローラー7及びローラー8の2つの弾性力が作用するので、収容部12内のロール紙Rの挙動によっては、跳ね上がるおそれがある。一方のローラー8のみに当接するようにすると、1つの弾性力のみが作用するので、ロール紙Rが跳ね上がることを抑制することができる。
このように、複数のローラー7、ローラー8のうち、少なくとも一部であるローラー8は、収容部12に収容可能な最小の幅W1のロール紙Rの外周Sに当接可能である。
なお、ローラー7は、ロール紙Rに当接可能であって、移動可能な当接部材であればよく、回転しない構成であってもよい。当接部材は、例えば、ロール紙Rに当接する面が、円柱形状、楕円柱形状、又は、滑らかな突起形状に形成されてもよい。このとき、軸7aに代わって、弾性変形可能であって、当接部材を押しつつ前後方向へ移動可能とする、バネやゴムなどで構成してもよい。当接部材は、プラスチックなどの樹脂で形成され、超高分子量ポリエチレンを含むシートで表面を被覆するようにしてもよい。
【0056】
ロール紙プリンター1は、ロール紙Rの左を基準に収容部12に収容し、紙Rの左を基準に搬送及び印刷する、いわゆる左基準として構成されている。幅Wより小さい幅W1のロール紙Rの場合、ロール紙Rの左端が収容部12に当接し、右端が収容部12に挿入された仕切り板に当接するように、収容される。
制御部は、紙Rの左を基準として、使用するロール紙Rの幅に対応した印刷領域を設定し、この印刷領域の範囲内で印刷をするように、ヘッド2を制御する。この結果、ヘッド2は、例えば紙Rの最小の幅W1をはみ出して印刷することがない。
【0057】
収容部12の左に収容されたロール紙Rの残量を検出するため、
図1に示すように、収容部12内の左側にセンサー6が配置されている。ロール紙Rが最小の幅W1であっても、左側に配置されたセンサー6は、左側に収容されたロール紙Rに当接可能である。そして、左側に配置されたローラー8は、最小の幅W1のロール紙Rに当接可能である。
【0058】
なお、ロール紙プリンター1が右基準に構成されている場合には、上述の位置関係が、左右逆になる。
また、上述では、ローラー7及びローラー8の2個の例で説明した。この場合、ローラー7、ローラー8を含むローラーは、カバー10に複数搭載され、ロール紙Rの幅方向に並んでいる。このローラーの数は、複数種類の幅のロール紙Rに対応する場合には2個以上でもよく、1種類の幅のみに対応する場合には1個でもよい。ローラー7、ローラー8を含むローラーは、カバー10に複数搭載され、ロール紙Rの幅方向に並んでいる。
【0059】
2-4.ロール紙がニアエンドの場合について
紙Pが印刷されてさらに消費されていくと、小径である径D3よりさらに小さい、第4径でありセンサー6によりニアエンドが検出される径D4のロール紙Rになっていく。径D4は、例えば20mmである。
図8は、径D4のロール紙Rが収容部12に収容されており、印刷時のロール紙プリンター1を示している。
【0060】
ロール紙Rは、ローラー7及び第4収容部12dの後縁から外れていき、収容部12の第4収容部12d内に当接してガイドされる位置C5になる。径D4のロール紙Rの重心の位置である巻芯R0の位置も、径D3のときよりも前下方向へ移動する。
凹形状の第4収容部12dは、下方向よりロール紙Rを安定的に支持することができる。ローラー7は、ロール紙Rとの当接から外れていき、位置B0になる。
【0061】
ロール紙Rが径D4になっていくと、センサー6は、ロール紙Rの外周Sとの当接から外れていき、最も上方に上がった位置A0になる。センサー6は、位置A0になるとニアエンドを検出することができる。制御部は、表示装置によりニアエンドを表示することができる。センサー6の位置A0は、収容部12にロール紙Rが収容されていないときと同様の位置である。
ユーザーは、表示装置のニアエンドの表示を視認し、新しいロール紙Rを収容部12に収容することができる。なお、ロール紙プリンター1は、ニアエンドを検出しても、ロール紙Rの残量がある範囲で、引き続き印刷することも可能である。
【0062】
上述のように、プラテン3が紙Pを搬送するとき、ロール紙Rも紙Pが引き出されて、収容部12内で反時計回りに回転する。このとき、ロール紙Rには前方向へ移動させるような力が働く。
しかし、ロール紙Rは、凹形状の第4収容部12dにより、前方向へ移動しないように安定的に支持される。
【0063】
仮に、ロール紙Rが前方向へ移動しても、ロール紙Rは、ローラー7に当接することができる。ローラー7は、ロール紙Rに押されて位置B0から位置B1へ移動しつつ、ロール紙Rの外周Sに当接しながら滑らかに回転することができる。
この場合、回転するローラー7により、ロール紙Rが回転する際の摩擦等の負荷を低減することができる。この結果、プラテン3が紙Pを搬送する際の負荷及び負荷変動を小さくすることができる。
なお、このときも、センサー6は位置A0にあり、ロール紙Rの外周Sとの当接から外れた状態を維持可能となっている。センサー6は、引き続きニアエンドを検出することができる。
【0064】
紙Pの張力は、ロール紙Rが径D3の場合に比べ、径が小さくなった径D4の場合の方が小さくなる。この結果、突起5は、小さくなった紙Pの張力により、さらに紙ガイド4へ向かい、位置M3から位置M4へ移動する。
位置M3に比べて位置M4の突起5は、紙Pを屈曲させる角度がより小さくなり、カールを矯正する作用がより強くなる。一方、紙Pは、ロール紙Rがより小径の部分に巻かれているので、カールはより強くなる。このように、突起5は、径D4のロール紙Rから引き出されたカールがより強くなった紙Pに対応し、適切にカールを矯正することができる。
また、この場合も、突起5は、紙ガイド4に向かって紙Pを押しつつ、紙ガイド4に対して進退しながら、負荷変動による紙Pの張力の変化を緩衝することができる。
【0065】
3.ロール紙Rの収容について
図9、
図10は、カバー10が前方へ開いた状態のロール紙プリンター1の断面図を示す。
図9は、ロール紙プリンター1にロール紙Rがない状態を示す。ローラー7は、カバーガイド9の第3カバーガイド9cに搭載される。ローラー7は、弾性力を有する軸7aにより、移動可能に支持される。ローラー7は、ロール紙Rに当接していないので、移動する前の位置である位置B0にある。
図10は、ユーザーがロール紙Rを収容部12へ収容しようとして、前方へ開いたカバー10のカバーガイド9へロール紙Rを載置した状態を示す。ローラー7は、ロール紙Rに押されて位置B0から位置B1へ移動する。
【0066】
図9及び
図10のいずれの場合も、ケース11に搭載された突起5は、紙Pに当接していないので、最も突出した位置M0にある。
カバー10は、ケース11に対して90度近い角度で前方へ開いており、収容部12が十分に開放されている。
ユーザーは、ロール紙Rを収容部12へ収容する際、前方へ開いたカバー10のカバーガイド9へ載置すればよい。そして、ユーザーは、カバーガイド9へ載置したロール紙Rを後方の収容部12へ向かって転がす又は滑らせるだけで、簡単に収容部12へ収容することができる。
なお、センサー6は、収容部12にロール紙Rがないので、上方に向かって進出した位置A0にある。
【0067】
このように、突起5は最も突出した位置M0にあるが、ユーザーがロール紙Rを収容部12へ収容する際、突起5は邪魔にならない。すなわち、ユーザーがロール紙Rを持ち上げて収容部12へ収容するなどの動作が不要であり、ユーザーの指やロール紙Rが突起5に触れるおそれがない。
さらに、カバー10が前方へ開いており、収容部12が十分に開放されている。ユーザーは、突起5が邪魔になることなく、開放された収容部12へ、容易にロール紙Rを収容することができる。
【0068】
ユーザーがロール紙Rを収容部12へ収容する際、カバーガイド9は収容部12へ向かって転がす又は滑らせるようにロール紙Rを支持しつつ、ガイド可能に構成される。カバーガイド9がロール紙Rをガイドする構成について詳しく説明する。
カバーガイド9は、カバーヒンジ10aへ向かう順であって、カバー10が開いた状態における収容部12へ向かう順に、第1カバーガイド9a、第2カバーガイド9b、第3カバーガイド9cを配置している。
上述のように、カバー10が閉じたときは、第1カバーガイド9a及び第2カバーガイド9bは、跳ね上がったときも含めて、大径である第1径D1のロール紙Rに当接可能である。一方、第3カバーガイド9cは第1径D1のロール紙Rに当接しない。
【0069】
一方、カバー10が開いたとき、第1カバーガイド9aは、収容部12へ向かって下方に傾斜する姿勢となる。換言すると、第1カバーガイド9aは
図9の紙面において右下へ向かって傾斜している。
第1カバーガイド9aは、この傾斜に沿って、第1径D1を含むロール紙Rを、第2カバーガイド9b及び第3カバーガイド9cを経由して、収容部12へ向かってガイド可能である。すなわち、第1カバーガイド9aへ載置されたロール紙Rは、第1カバーガイド9aに沿って収容部12へ向かい、容易に転がることができる。
ユーザーは、第1カバーガイド9aの収容部12へ向かう下方の傾斜により、ロール紙Rを収容部12へ転がり落とすようにして、容易に収容することができる。
【0070】
上述のように、少なくとも第2カバーガイド9bは、超高分子量ポリエチレンを含むシートで被覆されており、カバーガイド9の他部に対して、ロール紙Rとの摩擦がより小さくなるように構成されている。
第2カバーガイド9bは、このようなシートにより、ロール紙Rとの間の摩擦を小さくすることができる。第2カバーガイド9bは、第1径D1を含むロール紙Rを、第3カバーガイド9cを経由して、収容部12へ向かってガイド可能である。このとき、第2カバーガイド9bへ載置されたロール紙Rは、第2カバーガイド9bに沿って滑りながら収容部12へ向かうことができる。
ユーザーは、第2カバーガイド9bに被覆した摩擦を小さくするシートにより、ロール紙Rを滑らせて収容部12へ転がり落とすことができ、容易に収容することができる。
【0071】
なお、実施形態では、カバー10が開いたとき、第2カバーガイド9bは収容部12へ向かって下方に傾斜していないが、傾斜するようにしてもよい。ロール紙Rは、より転がり易く又は滑り易くなる。
また、実施形態では、第1カバーガイド9a及び第3カバーガイド9cは、超高分子量ポリエチレンを含むシートで被覆されていないが、第1カバーガイド9a及び第3カバーガイド9cの少なくとも一部を、このシートで被覆するようにしてもよい。ロール紙Rは、より転がり易く又は滑り易く、収容部12へ向かうことができる。
【0072】
カバー10が開いたとき、第3カバーガイド9cは、収容部12へ向かって下方に傾斜する姿勢となる。換言すると、第3カバーガイド9cは
図9の紙面において右下へ向かって傾斜している。
第3カバーガイド9cは、この傾斜に沿って、第1径D1を含むロール紙Rを収容部12へ向かってガイド可能である。第3カバーガイド9cへ載置されたロール紙Rは、第3カバーガイド9cに沿って、収容部12へ向かい、容易に転がることができる。
ユーザーは、第3カバーガイド9cの収容部12へ向かう下方の傾斜により、ロール紙Rを収容部12へ転がり落とすことができ、容易に収容することができる。
【0073】
また、第3カバーガイド9cが、収容部12へ向かって下方に傾斜することにより、収容部12の開口を広くすることができる。ユーザーは、収容部12の開口が広くなったことにより、第1径D1を含むロール紙Rを収容し易くなる。
特に、ケース11から最も突出した位置M0に突起5があっても、収容部12の開口が広いので、突起5が邪魔をすることなく、ユーザーが第1径D1を含むロール紙Rを収容し易い。
【0074】
さらに、上述のように、第3カバーガイド9cには、弾性力を有する軸7aによりローラー7が回転可能であって移動可能に搭載されている。
図10に示すように、ローラー7は、第3カバーガイド9cに載置されたロール紙Rに押されて位置B0から位置B1へ移動した状態で、ロール紙Rの外周Sに当接しながら滑らかに回転することができる。
上述では、ローラー7の例で説明したが、
図7に示すローラー8の場合も同様である。さらに、第3カバーガイド9cに複数のローラーが搭載された場合もそれぞれについて同様である。
【0075】
上述のように、本実施形態のロール紙プリンター1は、ロール紙Rを収容可能な収容部12を有するケース11と、ケースの下方に位置するカバーヒンジ10aを中心に回転可能であって、収容部12を開閉するカバー10と、紙Pをガイド可能な紙ガイド4と、紙に当接可能であって、紙ガイド4に向かって移動可能な突起5と、を備える。
カバー10は、ロール紙Rをガイド可能なカバーガイド9を有し、カバーガイド9は、カバーヒンジ10aへ向かって順に、第1カバーガイド9a、第2カバーガイド9b、第3カバーガイド9cを配置する。
【0076】
カバー10が閉じたとき、第1カバーガイド9a及び第2カバーガイド9bは、第1径D1のロール紙Rに当接可能である。このとき、第3カバーガイド9cは第1径D1のロール紙Rに当接しない。
一方、カバー10が開いたとき、第3カバーガイド9cは、収容部12へ向かって下方に傾斜しており、第1径D1のロール紙Rを載置して収容部12へガイド可能である。
【0077】
このような構成のロール紙プリンター1により、カバー10が開いたとき、収容部12が十分開放される。ケース11から最も突出した位置M0に突起5があっても、ユーザーは、突起5に邪魔されることなく、第1径D1を含むロール紙Rを収容部12へ容易に収容することができる。
さらに、ユーザーは、第3カバーガイド9cの収容部12へ向かう下方の傾斜により、ロール紙Rを収容部12へ転がり落とすことができ、容易に収容することができる。第3カバーガイド9cの傾斜は、収容部12の開口を広くする効果もある。
【0078】
以上、本実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0079】
例えば、上述では、ヘッド2は、サーマルヘッドの例で説明したが、印刷方式は問わない。例えば、ヘッド2はインクジェットヘッドでもよい。この場合、インクジェットヘッドはプラテン3に当接して紙Pを挟むことができないので、プラテン3に対向して紙Pを挟む従動ローラーを、ケース11に搭載すればよい。
【0080】
上述では、ローラー7はプラスチックなどの樹脂で構成するとしたが、ゴムであってもよく、金属であってもよい。
また、ローラー7と当接する紙Pの面は、印刷する面でなくてもよい。ロール紙Rは、紙Pの印刷する面が内側になるように巻かれる。この場合、ヘッド2及びプラテン3の位置は、上述の図に示した位置に対して逆になる。
【0081】
ロール紙Rが大径である径D1より小さいときに、プラテン3により紙Pが引き出されることに伴って回転するロール紙Rが、上方へ跳ね上がったときなどに当接して抑えるガイドとして第3カバーガイド9cを機能させてもよい。センサー6は弾性部材により上方に押されており、紙Pが引き出されることでロール紙Rは軽くなるので、特にロール紙Rが径D3となってセンサー6の先端がロール紙Rの外周Sと当接するときに、ロール紙Rは上方へ跳ね上がりやすい。例えばロール紙Rが径D3であるときに、ロール紙Rの外周Sの上方を覆うガイドとして第3カバーガイド9cを機能させることで、ロール紙Rが上方へ跳ね上がったときなどに当接して抑えることができる。
【符号の説明】
【0082】
1…ロール紙プリンター、2…ヘッド、3…プラテン、4…紙ガイド、5…突起、6…センサー、7,8…ローラー、7a,8a…軸、9…カバーガイド、9a…第1カバーガイド、9b…第2カバーガイド、9c…第3カバーガイド、10…カバー、11…ケース、12…収容部、12a…第1収容部、12b…第2収容部、12c…第3収容部、12d…第4収容部、97…支持部、F…搬送方向、P…紙、R…ロール紙、S…外周。