(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064467
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240507BHJP
B65H 23/025 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H23/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173076
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和久
(72)【発明者】
【氏名】梅田 貴典
(72)【発明者】
【氏名】武井 大明
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BA01
2C060BC03
2C060BC15
3F104AA01
3F104BA02
3F104BA04
3F104CA15
3F104JA03
3F104JB01
3F104JB05
(57)【要約】
【課題】媒体の斜行搬送を抑制する。
【解決手段】搬送ローラー対56は、複数の第1ローラー561bと複数の第2ローラー562bとを有し、第1ローラー561bの第1接触面5611と第2ローラー562bの第2接触面5621とで媒体Mをニップし、第1ローラー561bを回転させるとともに第1ローラー561bの回転に伴って第2ローラー562bを従動回転させることで媒体Mを搬送し、第2ローラー562bの各々はテーパー構造を有し、第2ローラー562bのうちの少なくとも1つはテーパー構造の方向が第1方向における一方側であり、第2ローラー562bのうちの別の少なくとも1つはテーパー構造の方向が第1方向における他方側である印刷装置11。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に画像を形成する印刷部と、
前記媒体を収納する収納部と、
前記媒体を前記収納部から前記印刷部での印刷位置まで搬送する搬送ローラー対と、
を備え、
前記搬送ローラー対は、
第1方向に延設される第1軸と、前記第1軸に固定され前記第1軸が回転することに伴って回転する複数の第1ローラーと、前記第1軸と前記第1方向と交差する方向に並んで設けられるとともに前記第1方向に延設される第2軸と、前記第2軸に通されて前記第1ローラーと対向する各々の位置に設けられる複数の第2ローラーと、を有し、
前記第1ローラーの円周面の少なくとも一部である第1接触面と前記第2ローラーの円周面の少なくとも一部である第2接触面とで前記媒体をニップし、前記第1軸を回転させることに伴って前記第1ローラーを回転させるとともに前記第1ローラーの回転に伴って前記第2ローラーを従動回転させることで前記媒体を搬送し、
前記第2ローラーの各々は、前記第2軸から前記第2接触面までの厚みが前記第1方向において変化するテーパー構造を有し、
前記第2ローラーのうちの少なくとも1つは前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における一方側であり、前記第2ローラーのうちの別の少なくとも1つは前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における他方側であることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷装置において、
前記第2ローラーは、前記第2軸における前記第1方向の中央部を基準に、一方側に配置された一方側第2ローラーと他方側に配置された他方側第2ローラーとを有し、
前記一方側第2ローラーと前記他方側第2ローラーとは、前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が対称となるように配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載された印刷装置において、
前記一方側第2ローラーと前記他方側第2ローラーとは、前記中央部を基準に、前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における内側になるように配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2に記載された印刷装置において、
前記一方側第2ローラーと前記他方側第2ローラーとは、前記中央部を基準に、前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における外側になるように配置されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記テーパー構造は、前記第1方向における一方側に向かうにつれて前記第1方向と交差する交差方向における外周面の径が変化するように構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記テーパー構造は、前記第1方向における一方側に向かうにつれて前記第1方向と交差する交差方向における前記第2軸と接触する内周面の径が変化するように構成されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記第2ローラーの各々は、前記テーパー構造の形状が異なっていることを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載された印刷装置において、
前記第2ローラーの各々は、前記テーパー構造の形状が揃っていることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な印刷装置が使用されている。このうち、媒体を搬送する搬送ローラー対を備える印刷装置がある。例えば、特許文献1には、媒体であるロール紙を搬送するロール紙搬送ローラー対を複数備える印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の印刷装置のような、媒体を搬送する搬送ローラー対を備える従来の印刷装置においては、搬送ローラー対を構成するローラーの製造精度が低いことで媒体が斜行搬送する場合があった。特に、ロール紙のような長尺状の媒体を搬送可能な印刷装置においては、一度媒体が斜行搬送し始めるとその斜行搬送が延々と続く場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、媒体に画像を形成する印刷部と、前記媒体を収納する収納部と、前記媒体を前記収納部から前記印刷部での印刷位置まで搬送する搬送ローラー対と、を備え、前記搬送ローラー対は、第1方向に延設される第1軸と、前記第1軸に固定され前記第1軸が回転することに伴って回転する複数の第1ローラーと、前記第1軸と前記第1方向と交差する方向に並んで設けられるとともに前記第1方向に延設される第2軸と、前記第2軸に通されて前記第1ローラーと対向する各々の位置に設けられる複数の第2ローラーと、を有し、前記第1ローラーの円周面の少なくとも一部である第1接触面と前記第2ローラーの円周面の少なくとも一部である第2接触面とで前記媒体をニップし、前記第1軸を回転させることに伴って前記第1ローラーを回転させるとともに前記第1ローラーの回転に伴って前記第2ローラーを従動回転させることで前記媒体を搬送し、前記第2ローラーの各々は、前記第2軸から前記第2接触面までの厚みが前記第1方向において変化するテーパー構造を有し、前記第2ローラーのうちの別の少なくとも1つは前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における一方側であり、前記第2ローラーのうちの少なくとも1つは前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における他方側であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1の印刷装置の斜視図であって、切断屑収容部を脱離させた状態を表す図。
【
図4】
図1の印刷装置の電気的構成を表すブロック図。
【
図5】
図1の印刷装置の搬送ローラー対の近傍を表す斜視図。
【
図6】
図1の印刷装置の搬送ローラー対における第2ローラーを表す概略図。
【
図7】本発明の実施例2に係る印刷装置の搬送ローラー対における第2ローラーを表す概略図。
【
図8】本発明の実施例3に係る印刷装置の搬送ローラー対における第2ローラーを表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、媒体に画像を形成する印刷部と、前記媒体を収納する収納部と、前記媒体を前記収納部から前記印刷部での印刷位置まで搬送する搬送ローラー対と、を備え、前記搬送ローラー対は、第1方向に延設される第1軸と、前記第1軸に固定され前記第1軸が回転することに伴って回転する複数の第1ローラーと、前記第1軸と前記第1方向と交差する方向に並んで設けられるとともに前記第1方向に延設される第2軸と、前記第2軸に通されて前記第1ローラーと対向する各々の位置に設けられる複数の第2ローラーと、を有し、前記第1ローラーの円周面の少なくとも一部である第1接触面と前記第2ローラーの円周面の少なくとも一部である第2接触面とで前記媒体をニップし、前記第1軸を回転させることに伴って前記第1ローラーを回転させるとともに前記第1ローラーの回転に伴って前記第2ローラーを従動回転させることで前記媒体を搬送し、前記第2ローラーの各々は、前記第2軸から前記第2接触面までの厚みが前記第1方向において変化するテーパー構造を有し、前記第2ローラーのうちの別の少なくとも1つは前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における一方側であり、前記第2ローラーのうちの少なくとも1つは前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における他方側であることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、第2ローラーの各々はテーパー構造を有し、第2ローラーのうちの少なくとも1つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向における一方側であり、第2ローラーのうちの少なくとも1つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向における他方側である。テーパー構造を有することで搬送される媒体はテーパー構造の厚みが薄くなる方向に向かって移動しようとするが、搬送される媒体が第1方向における一方側に向かって移動させようとする第2ローラーと、搬送される媒体が第1方向における他方側に向かって移動させようとする第2ローラーと、を有することで、搬送される媒体が第1方向における一方側に向かうことも他方側に向かうことも抑制することができる。したがって、媒体の斜行搬送を抑制することができる。
【0009】
本発明の第2の態様の印刷装置は、前記第1の態様において、前記第2ローラーは、前記第2軸における前記第1方向の中央部を基準に、一方側に配置された一方側第2ローラーと他方側に配置された他方側第2ローラーとを有し、前記一方側第2ローラーと前記他方側第2ローラーとは、前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が対称となるように配置されている。
【0010】
本態様によれば、第2ローラーの各々は、第2軸における第1方向の中央部を基準に、テーパー構造の厚みが薄くなる方向が対称となるように配置されている。このため、搬送される媒体が第1方向における一方側に向かうことも他方側に向かうことも特に効果的に抑制することができる。したがって、媒体の斜行搬送を効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明の第3の態様の印刷装置は、前記第2の態様において、前記一方側第2ローラーと前記他方側第2ローラーとは、前記中央部を基準に、前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における内側になるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第2ローラーの各々は、第2軸における第1方向の中央部を基準に、テーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向における内側になるように配置されている。このため、第2軸における第1方向の中央部に向けて搬送される媒体を向かわせつつ搬送することができ、特にコシの強い媒体を使用する場合において、媒体の斜行搬送を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明の第4の態様の印刷装置は、前記第2の態様において、前記一方側第2ローラーと前記他方側第2ローラーとは、前記中央部を基準に、前記テーパー構造の前記厚みが薄くなる方向が前記第1方向における外側になるように配置されていることを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第2ローラーの各々は、第2軸における第1方向の中央部を基準に、テーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向における外側になるように配置されている。このため、第2軸における第1方向の両側の端部に向けて搬送される媒体に張力をかけつつ搬送することができ、特にコシの弱い媒体を使用する場合において、皺などを生じさせることなく媒体の斜行搬送を効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明の第5の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記テーパー構造は、前記第1方向における一方側に向かうにつれて前記第1方向と交差する交差方向における外周面の径が変化するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、テーパー構造は、第1方向における一方側に向かうにつれて交差方向における外周面の径が変化するように構成されている。すなわち、第2ローラーの外周側の構造を変える。作業者が外周側にアクセスすることは容易であることで外周側の構造を第1方向において変えるのは容易であるため、テーパー構造を有する第2ローラーを簡単に製造することができる。
【0017】
本発明の第6の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記テーパー構造は、前記第1方向における一方側に向かうにつれて前記第1方向と交差する交差方向における前記第2軸と接触する内周面の径が変化するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、テーパー構造は、第1方向における一方側に向かうにつれて交差方向における第2軸と接触する内周面の径が変化するように構成されている。すなわち、第2ローラーの内周側の構造を変える。このため、第1方向における外周側の構造を変えることが難しい場合などにおいて、テーパー構造を有する第2ローラーを製造することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記第2ローラーの各々は、前記テーパー構造の形状が異なっていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、第2ローラーの各々は、テーパー構造の形状が異なっている。このため、例えば、第1方向において中央部から端部に向けて徐々にテーパー構造の厚みを大きくすることができるなど、使用する媒体や装置構成などに応じて、第2ローラーの各々の形状を特に好ましい形状とすることができる。
【0021】
本発明の第8の態様の印刷装置は、前記第1または第2の態様において、前記第2ローラーの各々は、前記テーパー構造の形状が揃っていることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、第2ローラーの各々は、テーパー構造の形状が揃っている。したがって、例えば、第2ローラーとして同じ形状のローラーを複数使用することができ、搬送ローラー対を簡単かつ低コストで製造することができる。
【0023】
[実施例1]
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、
図1から
図3を参照して本発明の実施例1に係る印刷装置11の概要について説明する。本実施形態の印刷装置11は、媒体Mに液体としてのインクを吐出して印刷するインクジェット方式の印刷装置である。媒体Mは、例えば、ロール紙Rであり、ロール状に巻き重ねられた長尺の媒体である。
【0024】
以降の図面では、印刷装置11が水平面上に載置された状態とし、水平面に沿う方向として、印刷装置11の前後方向をX軸に沿った方向とし、左右方向(又は幅方向)をY軸に沿った方向とする。また、水平面に対して鉛直方向(上下方向)をZ軸に沿った方向とする。また、+X方向を前方向、-X方向を後方向、+Y方向を右方向、-Y方向を左方向、+Z方向を上方向、-Z方向を下方向とする。
【0025】
印刷装置11は、直方体状の筐体12、及び印刷装置11の各部を支持する本体フレーム16を備える。筐体12は、前面に開口する開口部13を備えている。また、筐体12には、印刷されて切断された媒体Mを排出する排出口14が設置されている。なお、排出口14は排出部28を構成する。
【0026】
印刷装置11は、ロール紙Rを収納し、また収納したロール紙Rを繰り出す収納部40を備えている。収納部40は、開口部13を通じて筐体12から前方向に引き出し可能に設置される。収納部40は、筐体12に収納された場合、印刷装置11の外装の一部を構成する前板部42と、ロール紙Rを回転自在に支持する一対の支持壁43と、を備えている。
【0027】
排出部28の下方には、切断部27による切断で生じる媒体Mの切断屑を収容する箱状の切断屑収容部80を備えている。切断屑収容部80は、ロール紙Rの前方向で、着脱可能に筐体12の前面に設置されている。切断屑収容部80は、筐体12に取り付けられることで開口部13を塞ぐ。切断屑収容部80は、筐体12に取り付けられた場合、印刷装置11の外装の一部を構成する外壁81を備えている。
【0028】
切断屑収容部80が筐体12から取り外された場合、収納部40が筐体12から引き出し可能な状態となる。収納部40が筐体12から引き出された状態で、ロール紙Rを交換する。
【0029】
また、筐体12の前方には、印刷装置11を操作するための操作部15が設けられる。操作部15は、Y軸に沿った方向に横長のパネルであり、印刷装置11をオン又はオフする際に操作される電源ボタン15aや、各種の操作情報を入力可能な入力ボタン15bや、印刷装置11の操作状態などの表示や印刷装置11の操作ボタンが設けられた操作パネル15cが設けられる。操作パネル15cは、タッチパネルである。また、外部に向けて音を発するスピーカー15dが設けられる。
【0030】
図3に示すように、印刷装置11は、図中、二点鎖線で示す、媒体Mが搬送される搬送経路30を備える。印刷装置11は、搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する搬送部31と、媒体Mに記録を行う印刷部20と、媒体Mを切断する切断部27と、を備える。
【0031】
印刷部20は、収納部40から搬送される媒体Mに画像を形成する。印刷部20は、媒体Mに向かってインクを吐出するノズル23を有するヘッド22と、ヘッド22を搭載するキャリッジ21と、を備える。キャリッジ21は、Y軸に沿って延在するガイドフレーム100と、ガイドフレーム100に取り付けられ、Y軸に沿って延在するガイド軸24とによって支持される。キャリッジ21は、モーター等の駆動源によってガイド軸24に沿って移動可能である。すなわち、キャリッジ21は、Y軸に沿った方向に往復移動可能である。ヘッド22と対向する位置には、媒体Mを支持する支持部25が設けられる。
【0032】
ヘッド22は、キャリッジ21と共に媒体Mの幅方向に往復移動しながらインクを吐出することで、支持部25に支持された媒体Mに画像を形成する。本実施形態では、印刷部20として、ヘッド22が幅方向に往復移動するシリアルヘッド方式を例示したが、ヘッド22が幅方向に延在して固定配列されたラインヘッド方式の印刷部であってもよい。
【0033】
搬送経路30は、媒体Mが移動可能な空間であり、複数の部材により構成される。搬送経路30は、最上流に位置してロール紙Rを繰り出す収納部40から、最下流に位置する排出部28(排出口14)まで続く。印刷部20及び支持部25などは、搬送経路30上に配置される。
【0034】
切断部27は、支持部25より下流に位置すると共に、排出口14より上流に位置する。本実施形態の切断部27は、幅方向(左右方向)に往復移動可能な可動刃27aと、移動しない固定刃27bと、を備える。可動刃27aは、搬送経路30の上方に設けられ、固定刃27bは搬送経路30の下方に設けられる。切断部27は、媒体Mを切断位置で幅方向にわたって切断する。切断位置は、固定刃27bの刃先の位置である。
【0035】
本実施形態の搬送経路30は、媒体Mの搬送方向上流側から、ロール紙Rから繰り出される媒体Mが搬送される第1経路30aと、媒体Mが湾曲しながら搬送される湾曲経路30bと、ヘッド22(支持部25)に向けて媒体Mが搬送される第2経路30cと、支持部25の下流から排出部28に向けて媒体Mが搬送される第3経路30dと、を有する。
【0036】
さらに、搬送経路30は、反転経路30eを備える。反転経路30eは、第2経路30cから分岐する分岐点P1と、第1経路30aに合流する合流点P2とを結ぶ通路である。湾曲経路30bを介して搬送される媒体Mの搬送方向において、合流点P2は、分岐点P1より上流に位置する。すなわち、反転経路30eは、湾曲経路30bの上流側に合流する。反転経路30eは、単票状の媒体Mを反転させて、媒体Mの両面に記録を行うための経路である。
【0037】
搬送部31は、収納部40から印刷部20を経由して、切断部27及び排出部28に至る搬送経路30に沿って媒体Mを搬送する。搬送部31は、第1経路30a上に設けられる供給ローラー対32、湾曲経路30bを形成する中間ローラー33、湾曲経路30bの中間ローラー33の外周面に沿って配置された搬送ローラーに相当する従動ローラー34、第2経路30c上に設けられる上流側搬送ローラー対35を備えている。
【0038】
従動ローラー34は、回転自在に設けられ、中間ローラー33との間に媒体Mを挟んで従動回転する。本実施形態では、従動ローラー34は複数備えている。これにより、反転された媒体Mを湾曲経路30bに沿って円滑に搬送させることができる。
【0039】
搬送部31は、さらに第3経路30d上に下流側第1搬送ローラー対36、下流側第2搬送ローラー対37、及び下流側第3搬送ローラー対38を備えている。下流側第2搬送ローラー対37は、切断部27より上流に位置する。下流側第3搬送ローラー対38は、切断部27より下流に位置する。
【0040】
ここで、収納部40の構成について説明する。収納部40は、ロール紙Rが筐体12の幅方向に延びる支軸41を介して回転可能に支持される。支軸41は、正逆両方向に回転駆動可能に構成される。そのため、ロール紙Rは、支軸41を介して正逆両方向に回転駆動される。また、収納部40には、ロール紙Rから繰り出される媒体Mを、第1経路30aに向かって搬送するためのロール紙搬送路50が設けられる。ロール紙搬送路50は、搬送経路30の一部である。
【0041】
ロール紙搬送路50は、支軸41を介して支持されたロール紙Rの前側から下方に向かって延びてから後方向に屈曲し、ロール紙Rの下方向及び後方向を回り込んでロール紙Rよりも高い位置まで上方向に向かって第1経路30aまで延びる。また、ロール紙搬送路50は、その上流端部、すなわちロール紙搬送路50におけるロール紙Rの前方向で、斜め下方向の位置に、ほぼ直角に曲がる屈曲部50aを有する。ロール紙搬送路50における屈曲部50aの下流側には、ロール紙Rから繰り出される媒体Mの曲がり癖を矯正するデカールを行うためのデカール機構51が設けられる。
【0042】
ロール紙搬送路50におけるデカール機構51よりも下流側には、ロール紙Rに搬送力を付与するロール紙搬送ローラー対56が適宜間隔を置いて設置される。
図3には、ロール紙搬送ローラー対56として、ロール紙搬送ローラー対56a、ロール紙搬送ローラー対56b及びロール紙搬送ローラー対56cが表されている。ここで、ロール紙搬送ローラー対56a、ロール紙搬送ローラー対56b及びロール紙搬送ローラー対56cは、各々同様の構成をしており、その詳細な構成については後述する。
【0043】
ロール紙搬送ローラー対56が回転駆動することにより、媒体Mがロール紙Rから繰り出されて、第1経路30aに搬送される。ロール紙搬送ローラー対56は、搬送部31の一部である。ロール紙搬送ローラー対56、供給ローラー対32、中間ローラー33、従動ローラー34、上流側搬送ローラー対35、下流側第1搬送ローラー対36、下流側第2搬送ローラー対37、及び下流側第3搬送ローラー対38は、媒体Mを挟んだ状態で回転することにより媒体Mを搬送する。
【0044】
搬送部31の各ローラーが正転駆動されることにより媒体Mを上流から下流に搬送し、逆転駆動されることにより媒体Mを下流から上流に搬送する。本実施形態では、搬送経路30に沿って、搬送方向に相当し下流に向かう方向を順送方向D1といい、上流に向かう方向を逆送方向D2という。なお、本明細書において「搬送方向」とは、特に断りがない場合は「順送方向D1」を意味するが、断りがある場合は「順送方向D1」と「逆送方向D2」との両方を含む場合がある。
【0045】
印刷装置11は、搬送される媒体Mへの加熱を行う加熱部60を備えている。加熱部60は、湾曲経路30bに設置される中間ローラー33に対向して位置し、3つの従動ローラー34において、最も下流側の従動ローラー34の直ぐ下流側に設置されている。加熱部60は、媒体Mの巻癖を矯正するために構成されている。本実施形態の加熱部60は、発熱するヒーター61と、発熱したヒーター61の熱を媒体Mに吹き付けるファン62とで構成されている。
【0046】
ヘッド22の上流側には、搬送される媒体Mの先端部を検出可能な検出部85を備える。本実施形態では、検出部85は、搬送経路30上におけるヘッド22と上流側搬送ローラー対35との間に配置される。検出部85は、例えば、光学式センサーであり、発光可能な発光部及び受光可能な受光部を有する。発光部は、光学式センサーの下方に向けて発光し、受光部は、媒体Mに反射した反射光を受光する。発光部は、LED(Light Emitting Diode)やレーザー発光素子等で構成される。また、受光部は、フォトトランジスターやフォトIC等で構成される。受光部は、受光した受光量を電圧値として取得する。そして、受光量としての電圧値に媒体Mの有無を判断するための閾値が設けられ、当該閾値を基準にして媒体Mの有無が判断される。これにより媒体Mの先端部の検出が可能となる。
【0047】
また、印刷装置11は、収納部40から印刷部20を経由して排出部28に至る搬送経路30上に読取部90を備える。本実施形態では、読取部90は、湾曲経路30bと印刷部20のヘッド22との間であって、第2経路30c上に配置される。ここで、第2経路30cは、湾曲経路30bの上端部から印刷部20のヘッド22からインクが吐出される吐出面であるヘッド22の-Z方向端面に向けて下方に傾斜している。そして、読取部90少なくとも一部は、高さ方向において湾曲経路30bの上端部とヘッド22の吐出面との間に配置される。本実施形態では、読取部90は、湾曲経路30bの上端部とヘッド22の吐出面との間に配置される。これにより、印刷装置11の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0048】
読取部90は、画像が形成された媒体Mを撮像するものである。例えば、読取部90は、印刷部20によって印刷されたテストパターンを撮像する。読取部90は、例えば、密着光学方式のセンサー(CIS:Contact Image Sensor)である。読取部90は、ライン型センサーであり、フォトセンサー、光源部及びレンズ等を有する。読取部90は、媒体Mの幅方向における領域を撮像することができる。また、読取部90は、排出部28からより離れた位置に配置されるため、外乱光の影響が少なく、撮像機能を確保することができる。
【0049】
ここで、テストパターンは、印刷部20のノズル23からインクを吐出させて、各ノズル23に対応する複数の直線の集合からなるノズルチェックパターンを有している。印刷されたテストパターンによりノズル23の吐出状態を確認することができる。本実施形態では、読取部90によってテストパターンの画像データを取得し、取得された画像データに基づいて、制御部58がノズル23の吐出状態の良否判断を行う。制御部58がノズル23の吐出状態が良と判断した場合は印刷処理を実行する。一方、ノズル抜け等によりノズル23の吐出状態が否と判断した場合はクリーニング等のメンテナンス処理を実行することができる。ここで、「ノズル抜け」とは、ノズル23からインクが適切に吐出されない状態をいう。
【0050】
次に、印刷装置11の制御部58の構成について
図4を参照して説明する。
図4に示すように、印刷装置11は、印刷装置11で実行される各種動作を制御する制御部58を備える。制御部58は、操作部15、収納部40、搬送部31、印刷部20、切断部27、読取部90、検出部85と電気的に接続されている。
【0051】
制御部58は、CPU581と、メモリー582と、制御回路583と、I/F(インターフェイス)584と、を有する。CPU581は演算処理装置である。メモリー582は、CPU581のプログラムを格納する領域または作業領域等を確保する記憶装置であり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。
【0052】
制御部58は、情報処理端末等の外部からI/F584を介して印刷データ等を取得すると、CPU581が各駆動部等を制御する。なお、搬送部31を構成する供給ローラー対32、中間ローラー33、上流側搬送ローラー対35、下流側第1搬送ローラー対36、下流側第2搬送ローラー対37、下流側第3搬送ローラー対38、ロール紙搬送ローラー対56は、それぞれ駆動制御可能に構成される。
【0053】
次に、本実施例の印刷装置11における要部であるロール紙搬送ローラー対56の具体的な構成について
図5及び
図6を参照して詳細に説明する。なお、
図6では、第2ローラー562bの構造的特徴をわかりやすくするため、該構造的特徴を誇張して表すとともに第2ローラー562bの数を減らして表すなど一部を簡略化して表した概念的な概略図となっている。ここで、上記のように、本実施例の印刷装置11は、媒体Mに画像を形成する印刷部20と、媒体Mを収納する収納部40と、を備えているが、ロール紙搬送ローラー対56は、媒体Mを収納部40から印刷部20での印刷位置まで搬送する搬送ローラー対であると表現することができる。
【0054】
上記のように、本実施例の印刷装置11は、ロール紙搬送ローラー対56として、ロール紙搬送ローラー対56a、ロール紙搬送ローラー対56b及びロール紙搬送ローラー対56cを有している。そして、ロール紙搬送ローラー対56a、ロール紙搬送ローラー対56b及びロール紙搬送ローラー対56cはいずれも同様の構成をしている。このため、以下の説明は、ロール紙搬送ローラー対56a、ロール紙搬送ローラー対56b及びロール紙搬送ローラー対56cのいずれにも当てはまる。
【0055】
各々のロール紙搬送ローラー対56は、制御部58の制御により駆動する駆動ローラー561と、駆動ローラー561と対向する位置に設けられ駆動ローラー561の回転に伴って従動回転する従動ローラー562と、を有している。さらに詳細には、
図5で表されるように、駆動ローラー561は、第1方向としてのY軸方向に延設される第1軸561aと、第1軸561aに固定され前記第1軸が回転することに伴って回転する複数の第1ローラー561bと、を有している。また、従動ローラー562は、第1軸561aと第1方向と交差する方向に並んで設けられるとともに第1方向に延設される第2軸562aと、第2軸562aに通されて第1ローラー561bと対向する各々の位置に設けられる複数の第2ローラー562bと、を有している。
【0056】
また、ロール紙搬送ローラー対56は、第1ローラー561bの円周面である第1接触面5611と第2ローラー562bの円周面である第2接触面5621とで媒体Mをニップし、第1軸561aを回転させることに伴ってこれに固定された第1ローラー561bを回転させるとともに第1ローラー561bの回転に伴って第2ローラー562bを従動回転させることで媒体Mを搬送する。ただし、このような構成に限定されず、第1ローラー561bの円周面の少なくとも一部である第1接触面5611と第2ローラー562bの円周面の少なくとも一部である第2接触面5621とで媒体Mをニップして媒体Mを搬送する構成であればよい。
【0057】
ここで、例えば、本実施例の印刷装置11に適用可能な
図6で表される従動ローラー562においては、第2ローラー562bの各々は、円錐の頂部をカットしたような形状をしており、その全体が、第2軸562aから第2接触面5621までの厚みTが第1方向(Y軸方向)において変化するテーパー構造をしている。ただし、第2ローラー562bの各々は、全体がテーパー構造をしている構成ではなくてもよく、第2軸562aから第2接触面5621までの厚みTが第1方向(Y軸方向)において変化するテーパー構造を第2ローラー562bの少なくとも一部に有していればよい。
【0058】
そして、本実施例の印刷装置11の従動ローラー562においては、第2ローラー562bのうちの少なくとも1つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向(Y軸方向)における一方側であり、第2ローラー562bのうちの少なくとも1つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向(Y軸方向)における他方側である。具体的には、
図6で表されるように、
図6で表される従動ローラー562は、中央部PCを基準にして第2ローラー562bのうちの右側2つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向がY軸方向における-Y方向側であり、中央部PCを基準にして第2ローラー562bのうちの左側2つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向がY軸方向における+Y方向側である。
【0059】
このように、本実施例の印刷装置11は、第2ローラー562bの各々はテーパー構造を第2接触面5621に有し、第2ローラー562bのうちの少なくとも1つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向における一方側であり、第2ローラー562bのうちの少なくとも1つはテーパー構造の厚みが薄くなる方向が第1方向における他方側である。テーパー構造を有することで搬送される媒体Mはテーパー構造の厚みが薄くなる方向に向かって移動しようとする。しかしながら、本実施例の印刷装置11は、搬送される媒体Mが第1方向における一方側に向かって移動させようとする第2ローラー562bと、搬送される媒体Mが第1方向における他方側に向かって移動させようとする第2ローラー562bと、を有することで、搬送される媒体Mが第1方向における一方側に向かうことも他方側に向かうことも抑制することができる。したがって、本実施例の印刷装置11は、媒体Mの斜行搬送を抑制することができる。
【0060】
ここで、本実施例の印刷装置11においては、第2ローラー562bの各々はすべて同じ金型を用いて同じ形状に形成されている。別の表現をすると、第2ローラー562bの各々は、テーパー構造の形状が揃っている。すなわち、第2ローラー562bとして同じ形状のローラーを複数使用することができているので、ロール紙搬送ローラー対56を簡単かつ低コストで製造することができている。
【0061】
そして、本実施例の印刷装置11は、
図6で表されるように、第2ローラー562bの各々は、第2軸562aにおける第1方向の中央部PCを基準に、テーパー構造の厚みが薄くなる方向が対称となるように配置されている。このため、搬送される媒体Mが第1方向における一方側に向かうことも他方側に向かうことも特に効果的に抑制することができる。したがって、本実施例の印刷装置11は、媒体Mの斜行搬送を効果的に抑制することができる。
【0062】
なお、「テーパー構造の厚みが薄くなる方向が対称」とは、概ね対称であればよい意味である。例えば、第2ローラー562bの数が偶数の場合は、厳密な中央部PCからの設置距離が異なっていても、テーパー構造の厚みが薄くなる方向が一方側に向かうものと他方側に向かいものの数が同数であればよい。また、第2ローラー562bの数が奇数の場合は、厳密な中央部PCからの設置距離が異なっていてもよいうえ、テーパー構造の厚みが薄くなる方向が一方側に向かうものと他方側に向かいものの数が1つ違いであればよい。
【0063】
さらに詳細には、本実施例の印刷装置11においては、
図6で表されるように、第2ローラー562bの各々は、中央部PCを基準に、テーパー構造の厚みTが薄くなる方向が第1方向における内側になるように配置されている。このような構成とすることで、第2軸562aにおける第1方向の中央部PCに向けて搬送される媒体Mを向かわせつつ搬送することができ、例えば写真専用用紙など特にコシの強い媒体Mを使用する場合において、媒体Mの斜行搬送を効果的に抑制することができる。
【0064】
以下に、第2ローラー562bの構成についてさらに詳細に説明する。
図6で表されるように、本実施例の第2ローラー562bは、媒体Mと接触する外周面としての第2接触面5621と、第2軸562aに通されるとともに第2軸562aと接触する内周面5622と、を有している。内周面5622は第2軸562aに固定されているのではなく、第2ローラー562bは第2軸562aに対して内周面5622が摺動しつつ回転することが可能な構成となっている。そして、第2ローラー562bがこのような構成となっていることで、第2ローラー562bが第2軸562aに対して第1方向に移動しないように、移動留め563が第2軸562aにおける第2ローラー562bの各々の両側に取り付けられている。このように移動留め563が設けられることで、第2ローラー562bの各々は、第1ローラー561bと対向する位置から外れることが抑制される。
【0065】
そして、第2ローラー562bのテーパー構造は、第1方向における一方側に向かうにつれて第1方向と交差する交差方向における外周面(第2接触面5621)の径が変化するように構成されている。別の表現をすると、第1方向における第2ローラー562bの外周側の構造を変えることでテーパー構造を形成している。第2ローラー562bを製造及び2次加工などする場合などにおいて、作業者が第2ローラー562bの外周側にアクセスすることは容易であるため、外周側の構造を第1方向において変えるのは容易である。このため、このような構成とすることで、テーパー構造を有する第2ローラー562bを簡単に製造することができる。
【0066】
一方で、本実施例の印刷装置11においては、第2ローラー562bのテーパー構造は、第1方向における一方側に向かうにつれて第1方向と交差する交差方向における第2軸562aと接触する内周面5622の径が変化するようにも構成されている。このような構成とすることで、断面視で角度が急なテーパー構造を有する第2ローラー562bを簡単に製造することができる。
【0067】
このように、本実施例の印刷装置11においては、第2ローラー562bのテーパー構造は、外周面(第2接触面5621)と内周面5622との両方の径が変化するようにも構成されている。しかしながら、このような構成に限定されない。第2ローラー562bの外周側の構造のみを変える構成や第2ローラー562bの内周側の構造のみを変える構成のテーパー構造としてもよい。第2ローラー562bの内周側の構造のみを変える構成とすることで、第1方向における外周側の構造を変えることが難しい場合などにおいても、テーパー構造を有する第2ローラー562bを製造することができる。
【0068】
なお、本実施例の第2ローラー562bは、弾性をあまり有さない硬い樹脂で構成され、2次加工をせずに構成することが可能な構成となっている。一方、本実施例の駆動ローラー561に用いられる第1ローラー561bは、弾性を有するゴムで構成され、2次加工を行うことを前提として構成されている。このため、本実施例の第1ローラー561bは高精度に形状を整えられるので、本実施例の第2ローラー562bのようにテーパー構造を有する構成とはなっておらず、円筒形となっている。しかしながら、例えば、2次加工をせずに第1ローラー561bを構成する場合などにおいては、第1ローラー561bにテーパー構造を設けるなどしてもよい。なお、2次加工をせずに構成することが可能な構成のローラーを本実施例のようなテーパー構造を有する構成とすることで、成形しやすく、また、量産しやすくなる。
【0069】
[実施例2]
以下に、実施例2の印刷装置11について
図7を参照して説明する。
図7は、実施例1の印刷装置11における
図6に対応する図である。本実施例の印刷装置11は、以下で説明する構成以外については、実施例1の印刷装置11と同様である。このため、本実施例の印刷装置11は、下記の説明箇所以外については実施例1の印刷装置11と同様の特徴を有している。そこで、
図6では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0070】
図6で表されるように、実施例1の印刷装置11においては、第2ローラー562bの各々は、中央部PCを基準に、テーパー構造の厚みTが薄くなる方向が第1方向における内側になるように配置されていた。一方、
図7で表されるように、本実施例の印刷装置11においては、第2ローラー562bの各々は、中央部PCを基準に、テーパー構造の厚みTが薄くなる方向が第1方向における外側になるように配置されている。このため、本実施例の印刷装置11は、第2軸562aにおける第1方向の両側の端部PEに向けて搬送される媒体Mに張力をかけつつ搬送することができ、特にコシの弱い媒体Mを使用する場合において、皺などを生じさせることなく媒体Mの斜行搬送を効果的に抑制することができる。
【0071】
なお、本実施例の印刷装置11においては、第2ローラー562bの各々は、第2軸562aに対する配置が異なるだけで、それ以外は、実施例1の印刷装置11の第2ローラー562bと全く同様である。このため、本実施例の印刷装置11は、上記特性以外は、実施例1の印刷装置11と同様の特性を有している。
【0072】
[実施例3]
以下に、実施例3の印刷装置11について
図8を参照して説明する。
図8は、実施例1の印刷装置11における
図6に対応する図である。本実施例の印刷装置11は、以下で説明する構成以外については、実施例1及び実施例2の印刷装置11と同様である。このため、本実施例の印刷装置11は、下記の説明箇所以外については実施例1及び実施例2の印刷装置11と同様の特徴を有している。そこで、
図6では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0073】
上記のように、実施例1及び実施例2の印刷装置11においては、従動ローラー562における第2ローラー562bの各々は、全て同じ形状をしていた。一方、
図8で表されるように、本実施例の印刷装置11においては、従動ローラー562は異なる形状の第2ローラー562bを有している。別の表現をすると、本実施例の印刷装置11においては、第2ローラー562bの各々は、テーパー構造の形状が異なっている。
【0074】
第2ローラー562bの各々でテーパー構造の形状を異ならせることで、例えば、
図8で表される本実施例のように、第1方向において中央部PCから端部PEに向けて徐々にテーパー構造の厚みTを大きくすることができるなど、使用する媒体Mや装置構成などに応じて、第2ローラー562bの各々の形状を特に好ましい形状とすることができる。なお、「第2ローラー562bの各々は、テーパー構造の形状が異なっている」とは、テーパー構造の形状が異なっている第2ローラー562bを1つでも有していればよいという意味であり、一部の第2ローラー562b同士が同じであっても構わないという意味である。
【0075】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。また、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
11…印刷装置、12…筐体、13…開口部、14…排出口、15…操作部、15a…電源ボタン、15b…入力ボタン、15c…操作パネル、15d…スピーカー、16…本体フレーム、20…印刷部、21…キャリッジ、22…ヘッド、23…ノズル、24…ガイド軸、25…支持部、27…切断部、27a…可動刃、27b…固定刃、28…排出部、30…搬送経路、30a…第1経路、30b…湾曲経路、30c…第2経路、30d…第3経路、30e…反転経路、31…搬送部、32…供給ローラー対、33…中間ローラー(第2搬送部)、34…従動ローラー(第2搬送部)、35…上流側搬送ローラー対(第1搬送部、第2搬送部)、36…下流側第1搬送ローラー対(第1搬送部)、37…下流側第2搬送ローラー対、38…下流側第3搬送ローラー対、40…収納部、41…支軸、42…前板部、43…支持壁、50…ロール紙搬送路、50a…屈曲部、51…デカール機構、56…ロール紙搬送ローラー対、56a…ロール紙搬送ローラー対、56b…ロール紙搬送ローラー対、56c…ロール紙搬送ローラー対、58…制御部(処理部、判断部)、60…加熱部、61…ヒーター、62…ファン、80…切断屑収容部、81…外壁、85…検出部、90…読取部、100…ガイドフレーム、561…駆動ローラー、561a…第1軸、561b…第1ローラー、562…従動ローラー、562a…第2軸、562b…第2ローラー、563…移動留め、581…CPU、582…メモリー、583…制御回路、584…I/F、5611…第1接触面、5621…第2接触面(外周面)、5622…内周面、D1…順送方向(搬送方向、第1搬送方向)、D2…逆送方向(搬送方向、第1搬送方向)、PC…中央部、PE…端部、R…ロール紙、T…厚み