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特開2024-64468電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064468
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20240507BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240507BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240507BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G02F1/1343
G09F9/30 338
G09F9/30 349C
G09F9/30 348A
G09F9/00 338
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173077
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】江上 孝史
【テーマコード(参考)】
2H092
2H192
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H092GA28
2H092GA29
2H092HA04
2H092JA25
2H092JB54
2H092JB64
2H092JB66
2H092JB69
2H092KA04
2H092KA12
2H092KA22
2H092NA13
2H092NA18
2H092QA06
2H092QA07
2H092RA05
2H192AA24
2H192BC42
2H192CB02
2H192CB08
2H192CB34
2H192DA12
2H192DA43
2H192DA52
2H192DA63
2H192DA67
2H192EA04
2H192EA13
2H192EA15
2H192EA17
2H192FA73
2H192FB03
2H192FB05
2H192FB33
2H192JA06
2H192JA13
2H192JA17
2H192JA33
2H192JB02
5C094AA32
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA13
5C094DA15
5C094DB01
5C094ED15
5C094FA01
5C094FA02
5C094FA04
5C094FB12
5C094FB15
5C094HA02
5C094HA04
5C094HA05
5C094HA08
5G435AA16
5G435BB12
5G435CC09
5G435FF13
5G435HH12
5G435HH14
5G435KK05
5G435LL04
5G435LL06
5G435LL09
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】表示不具合が生じるおそれが抑制された電気光学装置、および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、光が透過する透過領域と、平面視で透過領域を囲み、本体部および前記本体部から第1方向に沿って延在する延在部を含む遮光領域と、が設けられており、前記本体部に設けられるチャネル領域を有し、前記第1方向に沿って延在する半導体層を含むトランジスターと、平面視で前記本体部に重なる部分を含む貫通孔が形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記貫通孔に設けられ、前記絶縁層から突出する突出部を有する導電部材と、前記絶縁層上に配置され、前記突出部を覆う第1容量電極と、前記第1容量電極と平面視で重なる第2容量電極と、を有する容量素子と、前記突出部の側面うちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過する透過領域と、平面視で透過領域を囲み、本体部および前記本体部から第1方向に沿って延在する延在部を含む遮光領域と、が設けられており、
前記本体部に設けられるチャネル領域を有し、前記第1方向に沿って延在する半導体層を含むトランジスターと、
平面視で前記本体部に重なる部分を含む貫通孔が形成された絶縁層と、
前記絶縁層の前記貫通孔に設けられ、前記絶縁層から突出する突出部を有する導電部材と、
前記絶縁層上に配置され、前記突出部を覆う第1容量電極と、前記第1容量電極と平面視で重なる第2容量電極と、を有する容量素子と、
前記突出部の側面うちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部と、
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記突出部の断面積は、前記絶縁層に向けて小さくなる、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記遮光領域には、定電位線が設けられており、
前記第1容量電極は、前記導電部材を介して前記定電位線に電気的に接続される。
請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記導電部材は、前記遮光領域の前記本体部に設けられる第1部分と、前記第1部分から前記第1方向に延在する第2部分と、前記第1部分から平面視で前記第1方向と交差する第2方向に延在する第3部分とを有する、
請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記絶縁部の厚さは、前記突出部の高さよりも小さい、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
画素電極と、
定電位線と、
前記定電位線上に設けられた絶縁層と、
前記絶縁層に形成された貫通孔に設けられ、前記絶縁層から突出する突出部を有する導電部材と、
前記絶縁層上に前記突出部を覆うように設けられ、前記導電部材を介して前記定電位線に電気的に接続された第1容量電極と、前記画素電極に電気的に接続された第2容量電極と、を有する容量素子と、
前記突出部の側面のうちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部と、
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
光が透過する透過領域と、平面視で透過領域を囲み、本体部および前記本体部から第1方向に沿って延在する延在部を含む遮光領域と、を含む電気光学装置の製造方法であって、
前記本体部に設けられるチャネル領域を有し、前記第1方向に沿って延在する半導体層を含むトランジスターを形成する工程と、
前記トランジスター上に絶縁層および犠牲層を形成する工程と、
前記絶縁層および前記犠牲層を貫通し、平面視で前記本体部に重なる部分を有する貫通孔を形成する工程と、
前記犠牲層の前記貫通孔に導電部材を形成する工程と、
前記犠牲層をエッチングすることにより、前記導電部材に前記絶縁層から突出する突出部を形成するとともに前記突出部の側面うちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部を形成する工程と、
前記絶縁層上に、前記突出部を覆う第1容量電極と、前記第1容量電極と平面視で重なる第2容量電極とを形成することにより、前記第1容量電極および前記第2容量電極を含む容量素子を形成する工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の電気光学装置と、
前記電気光学装置の動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等の電子機器には、例えば、画素ごとに光学的特性を変更可能な液晶表示装置等の電気光学装置が用いられる。当該電気光学装置の例として、特許文献1に記載の電気光学装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の電気光学装置は、素子基板と対向基板とこれら基板の間に配置された液晶層等の電気光学層とを有する。素子基板は、複数の画素電極と、複数の画素電極のそれぞれに電気的に接続されたトランジスターとを備える。また、素子基板は、下部容量電極、上部容量電極、およびこれらの間に配置される誘電体層を有する容量素子を備える。
【0004】
特許文献1では、下部容量電極は、固定電位が印加された定電位線に電気的に接続される。具体的には、定電位線は下部容量電極の下層に配置されており、定電位線と下部容量電極との間には層間絶縁膜が配置される。定電位線と下部容量電極とは、当該層間絶縁膜を貫通するコンタクト部を介して接続されている。また、コンタクト部の一部は、層間絶縁膜から突出しており、コンタクト部を覆う下部電極は凹凸を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-33073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、コンタクト部が層間絶縁膜から突出している場合、コンタクト部の層間絶縁膜から突出した部分の側面に対する下部容量電極の付き周りが悪くなるおそれがある。このため、下部容量電極の一部に欠損が生じ、容量の信頼性が低下してしまうおそれがある。それゆえ、表示不具合が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置の一態様は、光が透過する透過領域と、平面視で透過領域を囲み、本体部および前記本体部から第1方向に沿って延在する延在部を含む遮光領域と、が設けられており、前記本体部に設けられるチャネル領域を有し、前記第1方向に沿って延在する半導体層を含むトランジスターと、平面視で前記本体部に重なる部分を含む貫通孔が形成された絶縁層と、前記絶縁層の前記貫通孔に設けられ、前記絶縁層から突出する突出部を有する導電部材と、前記絶縁層上に配置され、前記突出部を覆う第1容量電極と、前記第1容量電極と平面視で重なる第2容量電極と、を有する容量素子と、前記突出部の側面うちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部と、を備える。
【0008】
本発明の電気光学装置の一態様は、画素電極と、定電位線と、前記定電位線上に設けられた絶縁層と、前記絶縁層に形成された貫通孔に設けられ、前記絶縁層から突出する突出部を有する導電部材と、前記絶縁層上に前記突出部を覆うように設けられ、前記導電部材を介して前記定電位線に電気的に接続された第1容量電極と、前記画素電極に電気的に接続された第2容量電極と、を有する容量素子と、前記突出部の側面のうちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部と、を備える。
【0009】
本発明の電気光学装置の製造方法の一態様は、光が透過する透過領域と、平面視で透過領域を囲み、本体部および前記本体部から第1方向に沿って延在する延在部を含む遮光領域と、を含む電気光学装置の製造方法であって、前記本体部に設けられるチャネル領域を有し、前記第1方向に沿って延在する半導体層を含むトランジスターを形成する工程と、前記トランジスター上に絶縁層および犠牲層を形成する工程と、前記絶縁層および前記犠牲層を貫通し、平面視で前記本体部に重なる部分を有する貫通孔を形成する工程と、前記犠牲層の前記貫通孔に導電部材を形成する工程と、を形成する工程と、前記犠牲層をエッチングすることにより、前記導電部材に前記絶縁層から突出する突出部を形成するとともに前記突出部の側面うちの根元部分の一部または全部を覆う絶縁部を形成する工程と、前記絶縁層上に、前記突出部を覆う第1容量電極と、前記第1容量電極と平面視で重なる第2容量電極とを形成することにより、前記第1容量電極および前記第2容量電極を含む容量素子を形成する工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る電気光学装置の平面図である。
図2図1に示す電気光学装置のA-A線の断面図である。
図3図1の素子基板の電気的な構成を示す等価回路図である。
図4図2の表示領域における素子基板の一部を示している。
図5図2の電気光学装置の一部を拡大した図である。
図6図5に示す定電位線の平面図である。
図7図5に示す導電部材および絶縁部の平面図である。
図8図5に示す容量素子の平面図である。
図9図8のA2-A2線の断面を示す図である。
図10】絶縁部が設けられていない比較例を示す図である。
図11】実施形態に係る電気光学装置の製造方法の流れを示す図である。
図12】絶縁層形成工程を説明するための図である。
図13】貫通孔形成工程を説明するための図である。
図14】導電部材形成工程を説明するための図である。
図15】絶縁部形成工程を説明するための図である。
図16】容量素子形成工程を説明するための図である。
図17】容量素子の変形例を示す図である。
図18】電子機器の一例であるパーソナルコンピューターを示す斜視図である。
図19】電子機器の一例であるスマートフォンを示す平面図である。
図20】電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法または縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示す部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0012】
1.電気光学装置
1A.基本構成
図1は、実施形態に係る電気光学装置100の平面図である。図2は、図1に示す電気光学装置100のA-A線の断面図である。なお、図1では、対向基板3の図示を省略する。また、以下では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向とは反対の方向をX2方向と表記する。同様に、Y軸に沿う一方向をY1方向と表記し、Y1方向とは反対の方向をY2方向と表記する。Z軸に沿う一方向をZ1方向と表記し、Z1方向とは反対の方向をZ2方向と表記する。また、Y2方向は「第1方向」の例示である。X2方向は「第1方向に交差する第2方向」の例示である。
【0013】
また、本明細書において、「要素α上の要素β」とは、要素βが要素αの上方に位置することを意味する。したがって、「要素α上の要素β」とは、要素βが要素αに直接的に接触している場合のみならず、要素αと要素βとが離間している場合も含む。また、要素αと要素βとの「電気的な接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。
【0014】
図1および図2に示す電気光学装置100は、アクティブマトリクス駆動方式の透過型の電気光学装置である。図2に示すように、電気光学装置100は、素子基板2と、対向基板3と、枠状のシール部材4と、液晶層5とを有する。図2に示すように、素子基板2、液晶層5および対向基板3は、この順にZ1方向に並ぶ。なお、これらの重なる方向であるZ1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。また、図1に示す電気光学装置100の平面視での形状は四角形であるが、四角形以外の多角形または円形であってもよい。
【0015】
図2に示す素子基板2は、透光性を有する第1基板21と、透光性を有する積層体22と、透光性を有する複数の画素電極24と、透光性を有する第1配向膜29とを有する。第1基板21、積層体22、複数の画素電極24および第1配向膜29は、この順にZ1方向に積層される。なお、「透光性」とは、可視光に対する透過性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%以上であることをいう。
【0016】
第1基板21は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。積層体22は、透光性を有する複数の絶縁膜を含む。また、積層体22には、各種配線等が設けられる。画素電極24は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。画素電極24は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped tin oxide)等の透明導電材料を含む。なお、図示はしないが、素子基板2は、複数の画素電極24を平面視で囲む複数のダミー画素電極を有する。また、第1配向膜29は、透光性および絶縁性を有する。第1配向膜29は、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。第1配向膜29は、複数の画素電極24を覆うように配置される。第1配向膜29の材料は、例えばポリイミドおよび酸化ケイ素等である。
【0017】
対向基板3は、素子基板2に対向して配置される。対向基板3は、透光性を有する第2基板31と、透光性を有する無機絶縁層32と、透光性を有する共通電極33と、透光性を有する第2配向膜34とを有する。また、図示はしないが、対向基板3は、平面視で複数の画素電極24を囲む遮光性の見切りを有する。なお、「遮光性」とは、可視光に対する遮光性を意味し、好ましくは可視光の透過率が50%未満であることをいい、より好ましくは10%以下であることをいう。
【0018】
第2基板31、無機絶縁層32、共通電極33および第2配向膜34は、この順にZ2方向に積層される。第2基板31は、透光性および絶縁性を有する平板であり、例えばガラス基板または石英基板で構成される。無機絶縁層32は、透光性および絶縁性を有しており、例えば酸化ケイ素等のケイ素を含む無機材料で形成される。共通電極33は、複数の画素電極24に対して液晶層5を介して配置される対向電極である。共通電極33は、液晶層5に電界を印加するために用いられる。共通電極33は、透光性および導電性を有する。共通電極33は、例えば、ITO、IZOおよびFTO等の透明導電材料を含む。第2配向膜34は、透光性および絶縁性を有する。第2配向膜34は、液晶層5が有する液晶分子を配向させる。第2配向膜34の材料は、例えばポリイミドおよび酸化ケイ素等である。
【0019】
シール部材4は、素子基板2と対向基板3との間に配置される。シール部材4は、例えばエポキシ樹脂等の各種硬化性樹脂を含む接着剤等を用いて形成される。シール部材4は、ガラス等の無機材料で構成されるギャップ材を含んでもよい。
【0020】
液晶層5は、素子基板2、対向基板3およびシール部材4によって囲まれる領域内に配置される。液晶層5は、電界に応じて光学的特性が変化する電気光学層である。液晶層5は、正または負の誘電異方性を有する液晶分子を含む。液晶分子の配向は、液晶層5に印加される電圧に応じて変化する。
【0021】
図1に示すように、素子基板2には、複数の走査線駆動回路11と信号線駆動回路12と複数の外部端子13とが配置される。複数の外部端子13の一部は、図示しないが、走査線駆動回路11または信号線駆動回路12から引き回される配線に接続される。また、複数の外部端子13は、定電位Vcomが印加させる端子を含む。当該端子は、図示しない配線および導通材を介して、対向基板3の共通電極33に電極的に接続される。
【0022】
かかる電気光学装置100は、画像を表示する表示領域A10と、平面視で表示領域A10の外側に位置する周辺領域A20とを有する。表示領域A10には、行列状に配列される複数の画素Pが設けられる。複数の画素Pに対して複数の画素電極24が1対1で配置される。前述の共通電極33は、複数の画素Pで共通に設けられる。また、周辺領域A20は、平面視で表示領域A10を囲む。周辺領域A20には、走査線駆動回路11および信号線駆動回路12が配置される。
【0023】
本実施形態では、電気光学装置100は透過型である。具体的には、図2に示すように、光LLが対向基板3に入射した後、素子基板2から出射される間に変調することにより、画像が表示される。なお、素子基板2に入射した光が対向基板3から出射される間に変調することにより、画像が表示されてもよい。
【0024】
また、電気光学装置100は、例えば、後述するパーソナルコンピューターおよびスマートフォン等のカラー表示を行う表示装置に適用される。当該表示装置に適用される場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが適宜用いられる。また、電気光学装置100は、例えば、後述する投射型のプロジェクターに適用される。この場合、電気光学装置100は、ライトバルブとして機能する。なお、この場合、電気光学装置100に対してカラーフィルターが省略される。
【0025】
1B.素子基板2の電気的な構成
図3は、図1の素子基板2の電気的な構成を示す等価回路図である。図3に示すように、素子基板2は、複数のトランジスター23とn本の走査線241とm本の信号線242とn本の定電位線243とを有する。nおよびmはそれぞれ2以上の整数である。n本の走査線241とm本の信号線242との各交差に対応してトランジスター23が配置される。各トランジスター23は、例えばスイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)である。各トランジスター23は、ゲート、ソースおよびドレインを含む。
【0026】
n本の走査線241のそれぞれはX2方向に延在し、n本の走査線241はY2方向に等間隔で並ぶ。n本の走査線241のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のゲートに電気的に接続される。n本の走査線241は、図1に示す走査線駆動回路11に電気的に接続される。1~n本の走査線241には、走査線駆動回路11から走査信号G1、G2、…、およびGnが線順次で供給される。
【0027】
図3に示すm本の信号線242のそれぞれはY2方向に延在し、m本の信号線242はX2方向に等間隔で並ぶ。m本の信号線242のそれぞれは、対応する複数のトランジスター23のソースに電気的に接続される。m本の信号線242は、図1に示す信号線駆動回路12に電気的に接続される。1~m本の信号線242には、信号線駆動回路12から画像信号S1、S2、…、およびSmが並行に供給される。
【0028】
図3に示すn本の走査線241とm本の信号線242とは、互いに電気的に絶縁されており、平面視で格子状に配置される。隣り合う2つの走査線241と隣り合う2つの信号線242とで囲まれる領域が画素Pに対応する。画素Pごとにトランジスター23、画素電極24および容量素子25が設けられる。画素電極24は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。各画素電極24は、対応するトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0029】
n本の定電位線243のそれぞれはX2方向に延在し、n本の定電位線243はY2方向に等間隔で並ぶ。また、n本の定電位線243は、n本の走査線241およびm本の信号線242に対して電気的に絶縁されており、これらに対して間隔をもって配置される。各定電位線243には、定電位Vcomが印加される。n本の定電位線243のそれぞれは、対応する容量素子25が有する2つの電極のうちの一方に電気的に接続される。各容量素子25は、画素電極24の電位を保持するための蓄積容量である。容量素子25は、トランジスター23に対して1対1で設けられる。また、各容量素子25が有する2つの電極のうちの他方は、対応する画素電極24に電気的に接続される。したがって、容量素子25の一方の電極には定電位Vcomが印加され、他方の電極はトランジスター23のドレインに電気的に接続される。
【0030】
走査信号G1、G2、…、およびGnが順次アクティブとなり、n本の走査線241が順次選択されると、選択される走査線241に接続されるトランジスター23がオン状態となる。すると、m本の信号線242を介して表示すべき階調に応じた大きさの画像信号S1、S2、…、およびSmが、選択される走査線241に対応する画素Pに取り込まれ、画素電極24に印加される。これにより、画素電極24と図2に共通電極33との間に形成される液晶容量に、表示すべき階調に応じた電圧が印加され、印加される電圧に応じて液晶分子の配向が変化する。また、容量素子25によって、印加される電圧が保持される。このような液晶分子の配向の変化によって光が変調され階調表示が可能となる。
【0031】
1C.素子基板2の一部の構造
図4は、図2の表示領域A10における素子基板2の一部を示している。図4に示すように、表示領域A10は、複数の透過領域A11と、遮光領域A12とを有する。複数の透過領域A11は、平面視で行列状に配置される。遮光領域A12の平面視での形状は、複数の透過領域A11を囲む枠状である。各透過領域A11は、画素電極24が配置される領域であり、光が透過する領域である。一方、遮光領域A12には、トランジスター23が配置される。また、図4では示さないが、遮光領域A12には、図3に示す走査線241、信号線242および定電位線243等の各種配線と、容量素子25とが配置される。
【0032】
遮光領域A12は、複数の本体部A121と、複数の第1延在部A122と、複数の第2延在部A123とを含む。第1延在部A122は、「延在部」に相当する。各本体部A121は、平面視で4つの画素電極24の間に位置する四角形の部分であり、かつ遮光領域A12のうち幅の広い部分である。また、各第1延在部A122は、本体部A121からY2方向に延びている部分である。各第2延在部A123は、本体部A121からX2方向に延びる部分である。具体的には、各第1延在部A122は、Y2方向に並ぶ2つの本体部A121の間に位置し、これらを接続する。各第2延在部A123は、X2方向に並ぶ2つの本体部A121の間に位置し、これらを接続する。
【0033】
図5は、図2の電気光学装置100の一部を拡大した図である。図5は、図4中のA1-A1線断面に相当する。図5に示すように、素子基板2は、第1基板21と、積層体22と、画素電極24と、第1配向膜29とを有する。積層体22は、複数の絶縁膜221、222、223、224、225、226、227および228を有する。絶縁膜221、222、223、224、225、226、227および228はこの順に第1基板21から積層される。また、絶縁膜227は、「絶縁層」に相当する。絶縁膜221~228は、透光性および絶縁性を有する。絶縁膜221~228の各材料は、例えば、酸化シリコンおよび酸窒化シリコン等のケイ素を含む無機材料である。
【0034】
かかる積層体22には、トランジスター23、走査線241、信号線242、定電位線243および中継電極244が配置される。走査線241、信号線242、定電位線243および中継電極244のそれぞれは、例えば、アルミニウム膜と窒化チタン膜との積層体で構成される。アルミニウム膜を含むことで、窒化チタン膜のみで構成される場合に比べて低抵抗化を図ることができる。なお、走査線241、信号線242、定電位線243および中継電極244は、上記材料以外の材料で形成されてもよいし、単層であってもよい。
【0035】
図5に示す第1基板21上には、絶縁膜221が配置される。絶縁膜221上には、遮光層110が配置される。遮光層110は、トランジスター23の半導体層231への光の入射を防ぐために設けられる。遮光層110の材料は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)等の金属、金属窒化物ならびに金属シリサイド等が挙げられる。これらの中でも、遮光層110はタングステンを含むことが好ましい。タングステンは、各種金属の中でも、耐熱性に優れ、かつ、例えば製造時の熱処理によってもOD(Optical Density)値が低下し難い。よって、遮光層110がタングステンを含むことで、遮光層110によって半導体層231への光の入射を効果的に防ぐことができる。なお、遮光層110はバックゲートとして用いられる。
【0036】
絶縁膜222上には、トランジスター23が配置される。トランジスター23は、半導体層231と、ゲート電極232と、ゲート絶縁膜233とを有する。半導体層231は絶縁膜222上に配置される。ゲート電極232と半導体層231との間にはゲート絶縁膜233が配置される。
【0037】
半導体層231は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有する。具体的には、半導体層231は、ドレイン領域231a、ソース領域231b、チャネル領域231c、低濃度ドレイン領域231dおよび低濃度ソース領域231eを有する。図4に示すように、半導体層231は、Y2方向に沿って延びる。半導体層231のチャネル領域231cは、平面視で遮光領域A12の本体部A121に設けられる。また、図5に示す半導体層231は、例えば、ポリシリコンで形成される。チャネル領域231cを除く領域には、導電性を高める不純物がドープされる。低濃度ドレイン領域231d中の不純物濃度は、ドレイン領域231a中の不純物濃度よりも低い。低濃度ソース領域231e中の不純物濃度は、ソース領域231b中の不純物濃度よりも低い。
【0038】
ゲート電極232は、例えば、ポリシリコンに導電性を高める不純物がドープされることにより形成される。なお、ゲート電極232は、金属、金属酸化物および金属化合物の導電性を有する材料を用いて形成されてもよい。また、ゲート絶縁膜233は、例えば、熱酸化またはCVD(chemical vapor deposition)法等で成膜される酸化ケイ素膜で構成される。
【0039】
絶縁膜223には、走査線241が配置される。走査線241は、絶縁膜223に設けられたコンタクトホール271を介してゲート電極232に電気的に接続される。また、走査線241は、絶縁膜222および223に設けられたコンタクトホール272を介して遮光層110に電気的に接続される。
【0040】
絶縁膜224上には、中継電極244が配置される。中継電極244は、絶縁膜223および224に設けられたコンタクトホール273を介して半導体層231のドレイン領域231aに電気的に接続される。
【0041】
絶縁膜225上には、信号線242が配置される。信号線242は、絶縁膜223~225を貫通するコンタクトホール274を介して半導体層231のソース領域231bに電気的に接続される。また、絶縁膜226上には、定電位線243が配置される。
【0042】
絶縁膜227上には、容量素子25が配置される。容量素子25は、第1容量電極251と第2容量電極252とこれらの間に配置された誘電体層253とを有する。第1容量電極251は絶縁膜227上に配置され、第1容量電極251と第2容量電極252との間に上に誘電体層253が配置される。第2容量電極252は、平面視で第1容量電極251に重なっている。第1容量電極251および第2容量電極252のそれぞれは、導電性のポリシリコン、金属シリサイド、金属あるいは金属化合物などの導電材料で形成される。本実施形態では、第1容量電極251および第2容量電極252のそれぞれは、窒化チタン(TiN)で形成される。また、誘電体層253は、高誘電率材料であるHigh-Kで形成される。
【0043】
「絶縁層」としての絶縁膜227には、貫通孔20が設けられる。貫通孔20には、導電部材6が設けられる。導電部材6は、絶縁膜227から液晶層5に向かって突出する突出部60を有する。突出部60の周りには、絶縁性を有する絶縁部7が設けられる。絶縁部7は、導電部材6に接触している。また、導電部材6は、第1容量電極251に接触しており、第1容量電極251は、導電部材6を介して定電位線243に電気的に接続される。
【0044】
導電部材6の材料としては、特に限定されないが、例えば、タングステン、チタン、クロム、鉄およびアルミニウム等の金属、金属窒化物ならびに金属シリサイド等が挙げられる。本実施形態では、導電部材6は、タングステンで形成される。また、絶縁部7の材料は、例えば、酸化ケイ素および酸窒化ケイ素等のケイ素を含む無機材料である。本実施形態では、絶縁部7の材料は、酸化ケイ素である。なお、絶縁部7の材料は窒化ケイ素であてもよい。
【0045】
絶縁膜228上には、画素電極24が配置される。画素電極24は、絶縁膜228に設けられコンタクトホール275を介して第2容量電極252に電気的に接続される。また、画素電極24は、絶縁膜225~228を貫通するコンタクトホール276を介して中継電極244に電気的に接続される。
【0046】
前述のコンタクトホール271~276の各材料としては、特に限定されないが、例えば、タングステン、チタン、クロム、鉄およびアルミニウム等の金属、金属窒化物ならびに金属シリサイド等が挙げられる。
【0047】
図6は、図5に示す定電位線243の平面図である。図6に示す定電位線243は、図4に示す遮光領域A12に配置される。定電位線243は、Y1方向に沿って延びる。定電位線243は、複数の第1定電位部2431と複数の第2定電位部2432と複数の第3定電位部2433とを有する。各第1定電位部2431は、図4に示す本体部A121に設けられる。各第1定電位部2431は、半導体層231のチャネル領域231cに平面視で重なる。また、図6に示す各第2定電位部2432は、図4に示す第1延在部A122に設けられる。各第2定電位部2432は、Y1方向に並ぶ2つの第1定電位部2431の間に位置する。また、図6に示す各第3定電位部2433は、図4に示す第2延在部A123に設けられる。
【0048】
また、前述したコンタクトホール275および276のそれぞれは、平面視で第1定電位部2431および第2定電位部2432に重ならず、平面視で第1定電位部2431および第2定電位部2432と異なる箇所に設けられる。このため、画素電極24と半導体層231のドレイン領域231aとの電気的な接続、および画素電極24と第2容量電極252との電気的な接続を容易に行うことができる。
【0049】
図7は、図5に示す導電部材6および絶縁部7の平面図である。図7に示すように、導電部材6は、第1部分61と第2部分62と第3部分63とを有する。第1部分61は、図4に示す本体部A121に設けられる。図7に示す第1部分61の平面視での形状は、図4に示す本体部A121の外形に沿った四角形の枠状である。図7に示す第2部分62は、図4に示す第1延在部A122に設けられており、第1部分61に接続される。別の言い方をすると、第2部分62は、第1部分61からY2方向に延びる。また、図7に示す第3部分63は、図4に示す第2延在部A123に設けられており、第1部分61に接続される。別の言い方をすると、第3部分63は、第1部分61からX2方向に延びる。
【0050】
なお、貫通孔20の平面視での形状は、導電部材6の平面視での形状と同様である。貫通孔20は、第1孔部201と第2孔部202と第3孔部203とを含む。第1孔部201は、図4に示す本体部A121と重なり、平面視で枠状をなす。図7に示す第2孔部202は、第1孔部201からY2方向に延びており、図4に示す第1延在部A122に設けられる。図7に示す第3孔部203は、第1孔部201からX2方向に延びており、図4に示す第2延在部A123に設けられる。また、図7に示す第1孔部201には導電部材6の第1部分61が設けられ、第2孔部202には第2部分62が設けられ、第3孔部203には第3部分63が設けられる。
【0051】
図7に示すように、絶縁部7は、平面視で導電部材6を囲むように設けられる。また、絶縁部7は、導電部材6の外形に沿って設けられる。具体的には、絶縁部7は、枠状の第1部分61の内側側壁および外側側壁に沿って設けられ、かつ、第2部分62および第3部分63の外側側壁に沿って設けられる。かかる絶縁部7は、第1容量電極251の導電部材6およびその近傍に対する付き周り向上のために設けられる。
【0052】
図8は、図5に示す容量素子25の平面図である。図8に示す容量素子25は、第1素子部254と第2素子部255と第3素子部256とを含む。図8に示す第1素子部254は、図4に示す本体部A121に設けられる。図8に示す第2素子部255は、図4に示す第1延在部A122に設けられる。図8に示す第2素子部255は、図4に示す第2延在部A123に設けられる。また、図8に示す容量素子25は、平面視で図6に示す定電位線243に重なる。したがって、図8に示す第1素子部254は、平面視で図6に示す半導体層231のチャネル領域231cに重なる。
【0053】
また、図8に示すように、第1素子部254は平面視で第1部分61に重なり、第2素子部255は平面視で第2部分62に重なり、第3素子部256は平面視で第3部分63に重なる。また、容量素子25は、導電部材6を覆うように設けられているため、第1素子部254は、中央に凹部250を有する。
【0054】
図9は、図8のA2-A2線の断面を示す図である。図9に示すように、定電位線243は、例えば、チタンナイトライド層2434、アルミニウム層2435およびチタンナイトライド層2436の積層体で構成される。また、絶縁膜227は、例えば、シリコン酸化膜2271およびシリコン窒化膜2272の積層体で構成される。なお、チタンナイトライドの代わりに、タングステンシリサイドを用いてもよい。
【0055】
絶縁膜227に形成された貫通孔20には、導電部材6が設けられる。導電部材6は絶縁膜227から突出する突出部60を有する。突出部60の断面積は、「絶縁層」としての絶縁膜227に向けて小さくなっている。別の言い方をすると、突出部60の幅は、絶縁膜227に向けて小さくなっている。すなわち、突出部60は、いわゆる逆テーパ状をなす。また、別の見方をすると、詳細な図示はしないが、平面視で頂面601と根元部分603が重なっている。
【0056】
また、突出部60は、頂面601および側面602を有する。頂面601と側面602とは接続される。頂面601は、X-Y平面に平行な面である。側面602は、Z1方向に沿う線分に対して傾斜している。また、絶縁膜227の上面と側面602とのなす角度は、90°以下である。本実施形態では、当該角度は鋭角である。
【0057】
側面602の根元部分603の一部または全部には、絶縁部7が設けられる。本実施形態では、根元部分603の全部が絶縁部7で覆われている。なお、根元部分603とは、側面602のうち突出部60の突出方向での中心から絶縁膜227までの間の部分をいう。また、本実施形態では、側面602のうち根元部分603と頂面601との間の領域の一部も絶縁部7で覆われている。絶縁部7は、突出部60の根元部分603を覆うサイドウォールである。また、絶縁部7は、突出部60の根元部分603を覆う側面、側壁または側面の壁であると捉えられる。なお、絶縁部7は、絶縁膜227から頂面601の高さまで設けられていてもよい。
【0058】
突出部60の根元部分603に絶縁部7が設けられていることで、突出部60の側面602およびその近傍での第1容量電極251の付き周りを従来よりも向上させることができる。このため、第1容量電極251の一部に欠損が生じるおそれを低減でき、容量の信頼性の低下を抑制することができる。この結果、表示不具合が生じるおそれが抑制された信頼性の高い電気光学装置100を提供することができる。
【0059】
図10は、絶縁部7が設けられていない比較例を示す図である。図10に示すように、導電部材6の周りに絶縁部7が設けられていない場合、突出部60の側面602およびその近傍における第1容量電極251の付き周りが悪い。このため、第1容量電極251の一部に欠損H0が生じてしまう。特に、導電部材6がいわゆる逆テーパ状であると、突出部60の側面602での第1容量電極251の付きまわりが特に悪くなってしまう。
【0060】
この比較例に対し、本実施形態では、導電部材6の根元部分603に絶縁部7が設けられている。このため、絶縁部7が設けられていない場合に比べ、突出部60の側面602およびその近傍における第1容量電極251の付き周りを向上させることができる。具体的には、突出部60を覆うように絶縁膜227上に第1容量電極251を成膜する場合、突出部60のうち頂面601の陰になる部分が絶縁部7で埋められるため、第1容量電極251の付き周り低下が抑制される。
【0061】
また、前述のように、突出部60の断面積は、絶縁膜227に向けて小さくなっている。すなわち、突出部60は、いわゆる逆テーパ状をなす。逆テーパ状である場合に絶縁部7が設けられていないと、突出部60の側面602およびその近傍における第1容量電極251の付き周りが特に悪くなってしまう。このため、突出部60が逆テーパ状である場合に絶縁部7が設けられていることで、第1容量電極251の一部に欠損が生じるおそれをより効果的に低減することができる。
【0062】
なお、突出部60は逆テーパ状でなくてもよい。この場合であっても、絶縁部7を設けることで第1容量電極251の欠損の発生を抑制する効果を発揮することができる。したがって、側面602と絶縁膜227の上面とのなす角度が、90°である場合、または90°以上である場合にも、絶縁部7を設けることによる効果は発揮される。
【0063】
図9に示すように、絶縁部7の厚さは特に限定されないが、絶縁部7の最大厚さWは、突出部60の高さTよりも小さいことが好ましい。最大厚さWは、X-Y平面に沿った最大長さである。高さTは、Z1方向に沿った長さである。最大厚さWが高さT以上である場合、絶縁部7が巨大化するだけで、絶縁部7を設けることによる効果の更なる向上は見られない。なお、本実施形態では、絶縁部7の最大厚さWは、突出部60の高さTよりも低いが、突出部60の高さT以上でもよい。また、本実施形態では、絶縁部7の厚さは、絶縁膜227に向かって小さくなるが、大きくなってもよいし、一定であってもよい。
【0064】
また、前述のように、本実施形態では、絶縁部7は、側面602の根元部分603の全部に設けられる。具体的には、図7に示すように、絶縁部7は、根元部分603の全域に設けられている。このため、根元部分603の全部において絶縁部7を設けたことによる効果が発揮される。
【0065】
なお、絶縁部7は、根元部分603の一部にのみ設けられていてもよい。その場合、例えば、少なくとも角部に設けられていることが好ましい。角部は、特に第1容量電極251を成膜し難い箇所である。よって、角部に絶縁部7が設けられていることで、第1容量電極251の欠損の発生を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、前述のように、第1容量電極251は、導電部材6を介して定電位線243に電気的に接続される。絶縁部7が設けられることで第1容量電極251に欠損が生じ難くなるため、導電部材6による第1容量電極251と定電位線243との電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、前述のように、導電部材6は、第1部分61と第2部分62と第3部分63とを有する。このため、導電部材6が第1部分61のみで構成される場合に比べ、容量素子25の大容量化を図ることができる。
【0068】
また、第1部分61は、遮光領域A12の本体部A121に設けられる。本体部A121は、第1延在部A122および第2延在部A123に比べて平面積が大きい。このため、導電部材6が第1部分61を有することで、第1容量電極251の面積を大きくすることができ、よって、静電容量を大きくとることができる。さらに、第1部分61は平面視で枠状である。このため、第1部分61の平面視形状が例えば四角形である場合に比べ、第1容量電極251および第2容量電極252は複数の凹凸を有する。それゆえ、第1容量電極251および第2容量電極252の面積を大きくすることができる。よって、容量素子25の静電容量をさらに大きくとることができる。
【0069】
また、貫通孔20に導電部材6が設けられることで、貫通孔20を形成する壁面に沿って容量素子25を形成しなくて済む。このため、ガバレッジ不良の問題を回避することができる。また、貫通孔20に導電部材6が設けられることで、貫通孔20に容量素子25が設けられる場合に比べ、貫通孔20の幅を狭くすることができる。
【0070】
2.電気光学装置100の製造方法
図11は、実施形態に係る電気光学装置100の製造方法の流れを示す図である。図11では、電気光学装置100の製造工程のうち、素子基板2の一部の製造工程を示す。なお、電気光学装置100のうち以下に示す素子基板2の一部の構成以外は、公知の方法により製造される。
【0071】
図11に示すように、電気光学装置100の製造方法は、トランジスター形成工程S11と、絶縁層形成工程S12と、貫通孔形成工程S13と、導電部材形成工程S14と、絶縁部形成工程S15と、容量素子形成工程S16とを有する。以下、各工程を順次説明する。
【0072】
トランジスター23の形成前に、まず、第1基板21上に絶縁膜221、遮光層110、および絶縁膜222を形成する。次に、トランジスター形成工程S11では、絶縁膜222上に、トランジスター23を形成する。トランジスター23の各部は公知の方法で形成される。その後、トランジスター23上に、走査線241、中継電極244、信号線242、定電位線243、および絶縁膜223~226を形成するとともに、コンタクトホール271~274を形成する。なお、走査線241、中継電極244、信号線242、定電位線243、は、チタンナイトライド層2434とアルミニウム層2435とチタンナイトライド層2436とを順番に成膜し、パターニングすることにより形成される。
【0073】
図12は、絶縁層形成工程S12を説明するための図である。絶縁層形成工程S12では、図12に示すように定電位線243上に「絶縁層」としての絶縁膜227、および犠牲層229を形成する。例えば、シリコン酸化膜2271およびシリコン窒化膜2272を成膜することにより絶縁膜227が形成される。また、シリコン窒化膜2272上に、例えばシリコン酸化膜を成膜することにより犠牲層229が形成される。シリコン酸化膜2271、シリコン窒化膜2272、および犠牲層229は、例えば、熱酸化、またはCVD法等の蒸着法で形成される。
【0074】
図13は、貫通孔形成工程S13を説明するための図である。貫通孔形成工程S13では、図13に示すように絶縁膜227および犠牲層229を貫通する貫通孔20を形成する。犠牲層229上に貫通孔20に対応する形状のマスクを形成し、絶縁膜227および犠牲層229をエッチングすることにより貫通孔20が形成される。貫通孔20は、定電位線243に向かって断面積が小さくなるよう形成される。なお、このエッチングの際、定電位線243の一部が除去される。
【0075】
図14は、導電部材形成工程S14を説明するための図である。導電部材形成工程S14では、図14に示すように貫通孔20に導電部材6が形成される。例えば、導電部材6は、スパッタ法、またはCVD法等の蒸着法によりタングステン等の金属を貫通孔20に堆積させることで形成される。かかる工程により、前述の遮光領域A12の本体部A121と重なる第1部分61を有する導電部材6が形成される。
【0076】
図15は、絶縁部形成工程S15を説明するための図である。絶縁部形成工程S15では、犠牲層229をエッチングすることにより、導電部材6に突出部60が形成されるとともに絶縁部7が形成される。当該エッチングではウエットエッチングが用いられる。ウエットエッチングでは、導電部材6が除去され難く、犠牲層229が除去され易いエッチング液が用いられる。例えばBHF(バッファードフッ酸)、またはDHF(希フッ酸)等のフッ素系のエッチング液が用いられる。また、絶縁部形成工程S15では、犠牲層229の一部を残すことにより絶縁部7が形成されるエッチング条件とする。かかる工程により、前述の突出部60の側面602の根元部分603を覆う絶縁部7が形成される。なお、絶縁部7は、突出部60の根元部分603に絶縁部7となる材料を堆積させることにより形成されてもよい。また、絶縁部7は、根元部分603に絶縁部7となる材料を成膜または付着させることにより形成されてもよい。絶縁部7は、根元部分604に加え、根元部分604の上方にも形成されてもよい。
【0077】
図16は、容量素子形成工程S16を説明するための図である。容量素子形成工程S16では、図16に示すように、導電部材6および絶縁部7を覆うように絶縁膜227上に第1容量電極251aが形成され、第1容量電極251a上に誘電体層253aが形成され、誘電体層253a上に第2容量電極252aが形成される。その後、第1容量電極251a、誘電体層253aおよび第2容量電極252aを一括でエッチングすることにより、前述の第1容量電極251、誘電体層253および第2容量電極252を含む容量素子25が形成される。一括でエッチングすることで、複数の容量素子25を高精細にかつ簡単に形成することができる。なお、第1容量電極251aおよび第2容量電極252aは、例えば、スパッタリング法または蒸着法により形成される。誘電体層253aは、例えば、熱酸化、またはCVD法等の蒸着法で形成される。
【0078】
次に、容量素子25上に絶縁膜228が形成された後、図4に示すコンタクトホール275および276が形成される。その後、画素電極24および第1配向膜29が形成される。以上により、素子基板2が製造される。また、対向基板3を公知の方法により形成し、素子基板2と対向基板3との間にシール部材4を配置し、これらの間に液晶層5を形成する。以上により電気光学装置100が製造される。
【0079】
以上説明した電気光学装置100の製造方法によれば、突出部60の根元部分603に絶縁部7を簡単に形成することができる。このため、突出部60の側面602およびその近傍での第1容量電極251の付き周りを従来よりも向上させることができる。よって、第1容量電極251の一部に欠損が生じるおそれを低減でき、容量の信頼性の低下を抑制することができる。それゆえ、表示不具合が生じるおそれが抑制された信頼性の高い電気光学装置100を得ることができる。
【0080】
2.変形例
以上に例示した実施形態は多様に変形され得る。前述の実施形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0081】
図17は、容量素子25の変形例を示す図である。図17に示す容量素子25Aでは、誘電体層253Aおよび第2容量電極252Aが第1容量電極251の端面を覆うように設けられる。誘電体層253Aは第1容量電極251の端面に接触しており、第2容量電極252Aは誘電体層253Aを覆っている。かかる構成によれば、第1容量電極251と第2容量電極252Aとが互いに対向する面積を前述の実施形態の第1容量電極251および第2容量電極252に比べて広くすることができる。よって、実施形態の容量素子25に比べて静電容量をより大きくすることができる。
【0082】
前述の説明では、導電部材6は、第1部分61、第2部分62および第3部分63を有するが、例えば第2部分62および第3部分63は省略してもよい。
【0083】
前述の各実施形態では、アクティブマトリクス方式の電気光学装置100が例示されるが、これに限定されず、電気光学装置100の駆動方式は、例えば、パッシブマトリクス方式等でもよい。
【0084】
「電気光学装置」の駆動方式は、縦電界方式に限定されず、横電界方式でもよい。なお、横電界方式としては、例えばIPS(In Plane Switching)モードが挙げられる。また、縦電界方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Virtical Alignment)、PVAモードおよびOCB(Optically Compensated Bend)モードが挙げられる。
【0085】
3.電子機器
電気光学装置100は、各種電子機器に用いることができる。
【0086】
図18は、電子機器の一例であるパーソナルコンピューター2000を示す斜視図である。パーソナルコンピューター2000は、各種の画像を表示する電気光学装置100と、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設置される本体部2010と、制御部2003と、を有する。制御部2003は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0087】
図19は、電子機器の一例であるスマートフォン3000を示す平面図である。スマートフォン3000は、操作ボタン3001と、各種の画像を表示する電気光学装置100と、制御部3002と、を有する。操作ボタン3001の操作に応じて電気光学装置100に表示される画面内容が変更される。制御部3002は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0088】
図20は、電子機器の一例であるプロジェクターを示す模式図である。投射型表示装置4000は、例えば、3板式のプロジェクターである。電気光学装置1rは、赤色の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1gは、緑の表示色に対応する電気光学装置100であり、電気光学装置1bは、青色の表示色に対応する電気光学装置100である。すなわち、投射型表示装置4000は、赤、緑および青の表示色に各々対応する3個の電気光学装置1r、1g、1bを有する。制御部4005は、例えばプロセッサーおよびメモリーを含み、電気光学装置100の動作を制御する。
【0089】
照明光学系4001は、光源である照明装置4002からの出射光のうち赤色成分rを電気光学装置1rに供給し、緑色成分gを電気光学装置1gに供給し、青色成分bを電気光学装置1bに供給する。各電気光学装置1r、1g、1bは、照明光学系4001から供給される各単色光を表示画像に応じて変調するライトバルブ等の光変調器として機能する。投射光学系4003は、各電気光学装置1r、1g、1bからの出射光を合成して投射面4004に投射する。
【0090】
以上の電子機器は、前述の電気光学装置100と、制御部2003、3002または4005と、を備える。前述の電気光学装置100は容量の信頼性に優れている。このため、表示不具合が生じるおそれが抑制されている。よって、電気光学装置100を備えることで、パーソナルコンピューター2000、スマートフォン3000または投射型表示装置4000の表示品位を高めることができる。
【0091】
なお、本発明の電気光学装置が適用される電子機器としては、例示した機器に限定されず、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、車載用の表示器、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、およびPOS(Point of sale)端末等が挙げられる。さらに、本発明が適用される電子機器としては、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、またはタッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0092】
以上、好適な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されない。また、本発明の各部の構成は、前述の実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成に置換でき、また、任意の構成を付加できる。
【0093】
また、前述した説明では、本発明の電気光学装置の一例として液晶表示装置について説明したが、本発明の電気光学装置はこれに限定されない。例えば、本発明の電気光学装置は、イメージセンサー等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0094】
1b…電気光学装置、1g…電気光学装置、1r…電気光学装置、2…素子基板、3…対向基板、4…シール部材、5…液晶層、6…導電部材、7…絶縁部、11…走査線駆動回路、12…信号線駆動回路、13…外部端子、20…貫通孔、21…第1基板、22…積層体、23…トランジスター、24…画素電極、25…容量素子、25A…容量素子、29…第1配向膜、31…第2基板、32…無機絶縁層、33…共通電極、34…第2配向膜、60…突出部、61…第1部分、62…第2部分、63…第3部分、100…電気光学装置、110…遮光層、201…第1孔部、202…第2孔部、203…第3孔部、221…絶縁膜、222…絶縁膜、223…絶縁膜、224…絶縁膜、225…絶縁膜、226…絶縁膜、227…絶縁膜、228…絶縁膜、229…犠牲層、231…半導体層、231a…ドレイン領域、231b…ソース領域、231c…チャネル領域、231d…低濃度ドレイン領域、231e…低濃度ソース領域、232…ゲート電極、233…ゲート絶縁膜、241…走査線、242…信号線、243…定電位線、244…中継電極、250…凹部、251…第1容量電極、251a…第1容量電極、252…第2容量電極、252A…第2容量電極、252a…第2容量電極、253…誘電体層、253A…誘電体層、253a…誘電体層、254…第1素子部、255…第2素子部、256…第3素子部、271…コンタクトホール、272…コンタクトホール、273…コンタクトホール、274…コンタクトホール、275…コンタクトホール、276…コンタクトホール、601…頂面、602…側面、603…根元部分、2000…パーソナルコンピューター、2001…電源スイッチ、2002…キーボード、2003…制御部、2010…本体部、2271…シリコン酸化膜、2272…シリコン窒化膜、2431…第1定電位部、2432…第2定電位部、2433…第3定電位部、2434…チタンナイトライド層、2435…アルミニウム層、2436…チタンナイトライド層、3000…スマートフォン、3001…操作ボタン、3002…制御部、4000…投射型表示装置、4001…照明光学系、4002…照明装置、4003…投射光学系、4004…投射面、4005…制御部、A10…表示領域、A11…透過領域、A12…遮光領域、A121…本体部、A122…第1延在部、A123…第2延在部、A20…周辺領域、C1…外側角部、C2…内側角部、C3…角部、C4…角部、C5…接続部、C6…接続部、H0…欠損、LL…光、P…画素、S11…トランジスター形成工程、S12…絶縁層形成工程、S13…貫通孔形成工程、S14…導電部材形成工程、S15…絶縁部形成工程、S16…容量素子形成工程、T…高さ、W…最大厚さ。
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