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特開2024-64477パーツフィーダー用ボウル、パーツフィーダー、及びパーツフィーダー用ボウルの製造方法
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  • 特開-パーツフィーダー用ボウル、パーツフィーダー、及びパーツフィーダー用ボウルの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064477
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】パーツフィーダー用ボウル、パーツフィーダー、及びパーツフィーダー用ボウルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65G47/14 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173086
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】512051550
【氏名又は名称】株式会社 山一ハガネ
(71)【出願人】
【識別番号】594142218
【氏名又は名称】株式会社前畑精機
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新本 英治
(72)【発明者】
【氏名】大橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】岩本 仁志
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA01
3F080BA01
3F080BB05
3F080CB02
3F080CB10
3F080CB11
(57)【要約】
【課題】パーツフィーダーによって搬送されるパーツの切り出し速度向上を実現する。
【解決手段】パーツフィーダー用ボウル100は、底壁101と、底壁101の外周縁から立ち上がる外周壁102とを有するパーツ転動ポケット110と、外周壁102に設けられ、螺旋状に登り上がる複数の搬送スロープ121,122,123と、パーツ転動ポケット110に投入されたパーツ20を切り出す搬送スロープ121,122,123毎の入り口にあたる複数の切り出し口111,112,113と、搬送スロープ121,122,123毎の終端に位置して搬送スロープ121,122,123から搬送されてくるパーツ20を搬出する複数のパーツ搬出口131,132,133とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、前記底壁の外周縁から立ち上がる外周壁とを有するパーツ転動ポケットと、
前記外周壁に設けられ、螺旋状に登り上がる複数の搬送スロープと、
前記パーツ転動ポケットに投入されたパーツを切り出す前記搬送スロープ毎の入り口にあたる複数の切り出し口と、
前記搬送スロープ毎の終端に位置して前記搬送スロープから搬送されてくるパーツを搬出する複数のパーツ搬出口と、
を備えているパーツフィーダー用ボウル。
【請求項2】
複数の前記搬送スロープは、同一の螺旋軸上に設けられている請求項1に記載のパーツフィーダー用ボウル。
【請求項3】
前記搬出口は、上方向から見て、前記外周壁の周方向に分離されている請求項1及び2のいずれか一項に記載のパーツフィーダー用ボウル。
【請求項4】
請求項1及び2のいずれか一項に記載のパーツフィーダー用ボウルと、
前記パーツフィーダー用ボウルを振動させる加振部と、
を有するパーツフィーダー。
【請求項5】
請求項1及び2のいずれか一項に記載のパーツフィーダー用ボウルの製造方法であって、
現物合わせにより作製された前記パーツフィーダー用ボウルを原型として、
3次元印刷により作製したパーツフィーダー用ボウルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーツフィーダー用ボウル、パーツフィーダー、及びパーツフィーダー用ボウルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の製造や搬送において、人手を可及的に省き、自動化することが進められており、加工すべき部品の少なくとも向き及び姿勢のいずれか一方をそろえて一定の状態で工作機械に供給するパーツフィーダーなるものがある。
【0003】
パーツフィーダーでは、工作機械への供給のための搬送の動力源としては、一般的に振動を用いる。
【0004】
搬送時には、振動により搬送されるパーツの向きや姿勢が修正されることが知られており、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1には、パーツの搬送軌道内の一部にツイバ板を設け、搬送するパーツ毎に、ツイバ板の取り付け状態を変更することで、搬送時の向きや姿勢を希望通りに調整する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭48-33555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術においても、従来のパーツフィーダーでは、搬送されるパーツの搬送軌道が一つであることから、パーツの切り出し速度に限界があるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のパーツフィーダー用ボウルは、底壁と、前記底壁の外周縁から立ち上がる外周壁とを有するパーツ転動ポケットと、前記外周壁に設けられ、螺旋状に登り上がる複数の搬送スロープと、前記パーツ転動ポケットに投入されたパーツを切り出す前記搬送スロープ毎の入り口にあたる複数の切り出し口と、前記搬送スロープ毎の終端に位置して前記搬送スロープから搬送されてくるパーツを搬出する複数のパーツ搬出口と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パーツフィーダーのパーツ切り出し速度が速くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1のパーツフィーダー用ボウルの構成示す斜視図である。
図2】実施形態1のパーツフィーダー用ボウルの示す上面図である。
図3】実施形態1のパーツフィーダー用ボウルにおける第2切り出し口の構成を示す図である。
図4】実施形態1のパーツフィーダーの構成を示す斜視図である。
図5】実施形態2のパーツフィーダー用ボウルの構成を示す斜視図である。
図6】実施形態2のパーツフィーダーの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下に、本発明のパーツフィーダー10を具体化した実施形態1について、図1図4に基づいて説明する。パーツフィーダー10は、図4に示すように、パーツフィーダー用ボウル100と、加振部である振動機140とを有している。振動機140は、上端部に搭載したパーツフィーダー用ボウル100を振動させる。
【0012】
<パーツフィーダー用ボウルの構成例>
パーツフィーダー用ボウル100は、図1に示すように、全体が円筒形となっており、底壁101と、底壁101の外周縁から立ち上がる外周壁102とを備え、上部が開口されている。
【0013】
パーツフィーダー用ボウル100は、ABS樹脂で形成された底壁101と外周壁102によって構成されたパーツ転動ポケット110を備えている。パーツ転動ポケット110は、パーツ群が投入され、パーツに振動を与える。底壁101と外周壁102の材料や形状や大きさ等は、搬送するパーツによって適宜決定される。
【0014】
パーツ転動ポケット110の外周壁102には、内周から連続して螺旋状に登り上がるABS樹脂で形成された3本の搬送スロープ121,122,123が設けられている。各搬送スロープ121,122,123は、同一の螺旋軸上に設けられている。
【0015】
なお、搬送スロープ121,122,123は、外周壁102の内周側に設けられることに限定されるものではなく、外周壁102の外周側に設けてもよい。ただし、搬送スロープは、外周壁102の内周側に設けた方が外周側に設けた場合に比べて、パーツフィーダー用ボウル100の全体の大きさが小さくなるので、好ましい。搬送スロープの数は、3本に限るものではなく、2本以上の複数本であればよい。搬送スロープの材料や形状や大きさ等は、搬送するパーツによって適宜決定される。
【0016】
各搬送スロープ121,122,123の始端は、切り出し口111,112,113である。切り出し口111,112,113は、パーツを搬送スロープ121,122,123に導入する入り口である。パーツは、少なくとも向き及び姿勢のいずれか一方が揃った状態で搬送スロープ121,122,123に導入される。
【0017】
各搬送スロープ121,122,123の終端は、パーツ搬出口131,132,133である。パーツ搬出口131,132,133は、搬送スロープ121,122,123から搬送されてくるパーツを搬出する。切り出し口111,112,113の数、及びパーツ搬出口131,132,133の数は、搬送スロープ121,122,123の数と同一になる。
【0018】
第2切り出し口112は、図3に示すように、底壁101と外周壁102が接する位置にある。第2切り出し口112は、パーツ30の少なくとも向き及び姿勢のいずれか一方が揃うように、希望するパーツの少なくとも向き及び姿勢のいずれか一方に合わせて形成されている。
【0019】
パーツフィーダー用ボウル100において、第1切り出し口111及び第3切り出し口113も、同様の形状である。切り出し口111,112,113やパーツ搬出口131,132,133の形状や大きさ等は、パーツの少なくとも向き及び姿勢のいずれか一方が揃った状態となるように搬送するパーツによって適宜決定される。
【0020】
各切り出し口111,112,113は、図2に示すように、底壁101の周縁に等間隔に離れて設けられている。各切り出し口111,112,113の位置は、底壁101の周方向に十分に分離しているほうが良く。その場合、パーツの切り出しがスムーズになる。
【0021】
各パーツ搬出口131,132,133は、図1及び図2に示すように、上方向から見て、外周壁102の周方向において、略同一の位置に設けられている。このように、パーツフィーダー用ボウル100は、上方向から見て、各パーツ搬出口131,132,133を外周壁102の周方向における略同一の位置に設けることによって、同一の搬出経路に対応しやすく、搬出経路の先にある工作機械へのパーツの切り出し速度が速くなる。
【0022】
<実証試験>
ここで、本発明の効果である切り出し速度を確認した実証試験について説明する。実施形態1のパーツフィーダー用ボウル100は、板金を用いて手作業による現物合わせで作製された原型から、3Dプリンタにより複製されることで作製した。
【0023】
図示しない比較用の従来のパーツフィーダー用ボウルは、切り出し口と、搬送スロープと、パーツ搬出口を1つのみにするだけで、それ以外は、パーツフィーダー用ボウル100と同様に複製することで作製した。この比較用のパーツフィーダー用ボウルは、搬出速度計測において、切り出し口等の数量の以外の差異が生じないようにした。
【0024】
実施形態1のパーツフィーダー用ボウル100と、比較用の従来のパーツフィーダー用ボウルを、図4に示すように、パーツフィーダー用ボウルを振動させる加振部である同一の振動機140に搭載し、パーツの切り出し速度を測定した。結果、切り出し速度は、単純に切り出し口数と比例するような単純な関係でないものの、実施形態1のパーツフィーダー用ボウル100を用いたほうが、従来のパーツフィーダー用ボウルよりも、2.5倍切り出し速度が速くなることが分かった。
【0025】
諸条件により、切り出し速度が安定しない場合は、切り出し口等が2つだけでは、明確な効果を発揮できないおそれがある。このため、切り出し口、搬送スロープ、及びパーツ搬出口のセットは、3セット以上設けられていることが好ましい。
【0026】
〔実施形態2〕
以下に、本発明のパーツフィーダー20を具体化した実施形態2について、図5及び図6に基づいて説明する。パーツフィーダー20は、図6に示すように、パーツフィーダー用ボウル200と、加振部である振動機240とを有している。パーツフィーダー用ボウル200は、図5及び図6に示すように、全体が円筒形となっており、底壁201と外周壁202を備え、上部が開口されている。振動機240は、上端部に搭載したパーツフィーダー用ボウル200を振動させる。
【0027】
パーツフィーダー用ボウル200は、図5に示すように、実施形態1のパーツフィーダー用ボウル100と、略同じ構成で形成されており、搬送スロープ221,222,223の設置位置や、材料や形状や大きさ等に関する限定等も同じである。パーツフィーダー用ボウル200は、パーツ群が投入され、パーツに振動を与えるパーツ転動ポケット210を備えている。
【0028】
実施形態1のパーツフィーダー用ボウル100と異なる点は、各パーツ搬出口231,232,233の位置が、パーツフィーダー用ボウル200の上方向から見て、外周壁202の周方向の離れた位置に形成されていることである。
【0029】
パーツフィーダー20は、従来よりも切り出し速度が速くなるとともに、各パーツ搬出口231,232,233の位置に対応した搬出ラインを通じて、複数の工作機械へのパーツの同時搬送が可能になるという効果を奏する。
【0030】
実施形態1及び2のパーツフィーダー用ボウル100,200は、板金の手作業による現物合わせにより、パーツの搬送が可能になるように原型を作製し、この原型から、3Dプリンタにより、3次元印刷することで作製した。
【0031】
従来、パーツフィーダー用ボウルを、パーツの少なくとも向き及び姿勢の少なくとも一方をそろえて一定の状態で搬出できるよう作製するには、図面に落とし込めないような微妙な調整が必要なため、手作業による現物合わせで板金を調整する必要であった。
【0032】
このため、二つと同じものができず、切り出し速度等も異なるものとなっていた。よって、複数の生産ラインにおいては、それぞれ異なる能力のパーツフィーダーを用いるしかなく、生産能力を同じにすることは困難であるので、生産管理を困難にしていた。
【0033】
このため、本発明のパーツフィーダー用ボウルの製造法では、手作業による現物合わせで作製したパーツフィーダー用ボウルを原型として、3次元印刷している。この製造方法により、同じ能力のパーツフィーダー用ボウルが複数作製可能になり、複数の生産ラインにおいて、生産管理を容易にするという効果を奏する。
【0034】
また、この製造方法は、パーツフィーダー用ボウルの製造に限るものではなく、あらゆる現物合わせが必須の製品に対して有効である。例えば、https://www.bernolin.fr/japan/resin.htmにあるように、高品質の楽器のリコーダーは、合成樹脂製であっても、仕上げを現物合わせすることで、品質を維持している。
【0035】
しかしながら、手作業がともなうため、パーツフィーダー用ボウルと同様に量産ができず、且つコストが高くなるという問題があった。この問題は、本発明のパーツフィーダー用ボウルの製造法を転用することで、問題の解消が図れる。
【0036】
すなわち、量産に向く製造法で所定の品質を維持することができず、現物合わせでのみ所定の品質を保てる製品製造法として、現物合わせで作製した製品を原型として、3次元印刷することである。これにより、所定の品質を維持できるとともに、量産が可能になるという効果を奏する。
【0037】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、パーツフィーダー用ボウル及びパーツフィーダーに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10,20…パーツフィーダー
100,200…パーツフィーダー用ボウル
101,201…底壁
102,202…外周壁
110,210…パーツ転動ポケット
111,112,113,211,212,213…切り出し口(111…第1切り出し口、112…第2切り出し口、113…第3切り出し口)
121,122,123,221,222,223…搬送スロープ(121…第1搬送スロープ、122…第2搬送スロープ、123…第3搬送スロープ)
131,132,133,231,232,233…パーツ搬出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6