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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064480
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/04 20060101AFI20240507BHJP
   B62L 3/02 20060101ALI20240507BHJP
   B62L 3/04 20060101ALI20240507BHJP
   B62K 19/38 20060101ALI20240507BHJP
   B62K 19/30 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60T17/04 Z
B62L3/02 D
B62L3/04 B
B62K19/38
B62K19/30
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173090
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 源也
(72)【発明者】
【氏名】木山 海人
【テーマコード(参考)】
3D049
3D212
【Fターム(参考)】
3D049AA01
3D049BB29
3D049CC02
3D049HH39
3D049HH43
3D049HH45
3D049KK16
3D049MM01
3D049PP02
3D049PP06
3D212BH08
3D212BH09
3D212BM06
3D212BM09
(57)【要約】
【課題】フロントフォークの収縮時においても2本のブレーキホースの良好な配索状態を維持することができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】前輪(WF)に制動力を与えるブレーキキャリパ(10)と、前輪ブレーキ操作子(27)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第1ブレーキホース(31)と、後輪ブレーキ操作子(28)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第2ブレーキホース(32)と、前記ブレーキキャリパ(10)および前記前輪(WF)を支持すると共に伸縮自在に構成されるフロントフォーク(7)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が車幅方向に並ぶように構成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(WF)に制動力を与えるブレーキキャリパ(10)と、前輪ブレーキ操作子(27)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第1ブレーキホース(31)と、後輪ブレーキ操作子(28)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第2ブレーキホース(32)と、前記ブレーキキャリパ(10)および前記前輪(WF)を支持すると共に伸縮自在に構成されるフロントフォーク(7)とを有する鞍乗型車両(1)において、
前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が車幅方向に並ぶことを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記フロントフォーク(7)は、伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、
前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する上側固定部(25)と、
前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する下側固定部(26)とを備え、
前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、車体側面視で重なることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記フロントフォーク(7)が伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、
前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する上側固定部(25a)と、
前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する下側固定部(26a)とを備え、
前記フロントフォーク(7)の伸長時に、前記上側固定部(25a)と前記下側固定部(26a)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が前後方向に並ぶことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、ねじりトルクを付与した状態で前記上側固定部(25a)および前記下側固定部(26a)に取り付けられることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)と、前記前輪(WF)との間に、ガード部材(50)が配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)より、前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)の方が後方に位置することを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)とを結ぶ線分(L)から前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)までの距離(T1)より、前記線分(L)から前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)までの距離(T2)の方が長いことを特徴とする請求項6に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記ガード部材(50)が、車体側面視で、四角形状とされることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記ガード部材(50)が、棒状部材で形成される先端部(53)と、板状部材で形成されると共に前記先端部(53)を支持する補強部(52)とを含むことを特徴とする請求項8に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記補強部(52)の上下の縁に折り曲げ部(52a)が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の鞍乗型車両。
【請求項11】
前記ガード部材(50)は、前記補強部(52)を前記フロントフォーク(7)に支持するための支持部(51)を有し、
前記支持部(51)は、基部に向かうにつれて上下幅が大きくなることを特徴とする請求項9に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に係り、特に、前輪に制動力を与える前輪ブレーキキャリパおよび前輪ブレーキキャリパに油圧を供給するブレーキホースを備えた鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、前輪ブレーキ操作子であるブレーキレバーの操作に応じて前輪ブレーキキャリパに油圧を供給するほか、後輪ブレーキ操作子であるブレーキペダルの操作によっても前輪ブレーキキャリパに油圧を供給するようにした前後連動ブレーキシステムを備えた鞍乗型車両が知られている。
【0003】
特許文献1には、前後連動ブレーキシステムを備えた鞍乗型車両において、前輪ブレーキキャリパに2本のブレーキホースを接続した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-195023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、1つの前輪ブレーキキャリパに2本のブレーキホースを接続する構成では、特に、制動時等にフロントフォークが収縮した際に、2本のブレーキホース同士が接触したりブレーキホースが他の部品に接触することがないように配慮した配索構造が必要となる。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、フロントフォークの収縮時でも2本のブレーキホースの良好な配索状態を維持することができる鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、前輪(WF)に制動力を与えるブレーキキャリパ(10)と、前輪ブレーキ操作子(27)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第1ブレーキホース(31)と、後輪ブレーキ操作子(28)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第2ブレーキホース(32)と、前記ブレーキキャリパ(10)および前記前輪(WF)を支持すると共に伸縮自在に構成されるフロントフォーク(7)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が車幅方向に並ぶ点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記フロントフォーク(7)は、伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する上側固定部(25)と、前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する下側固定部(26)とを備え、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、車体側面視で重なる点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記フロントフォーク(7)が伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する上側固定部(25a)と、前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する下側固定部(26a)とを備え、前記フロントフォーク(7)の伸長時に、前記上側固定部(25a)と前記下側固定部(26a)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が前後方向に並ぶ点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、ねじりトルクを付与した状態で前記上側固定部(25a)および前記下側固定部(26a)に取り付けられる点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)と、前記前輪(WF)との間に、ガード部材(50)が配設されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)より、前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)の方が後方に位置する点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)とを結ぶ線分(L)から前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)までの距離(T1)より、前記線分(L)から前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)までの距離(T2)の方が長い点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記ガード部材(50)が、車体側面視で、四角形状とされる点に第8の特徴がある。
【0015】
また、前記ガード部材(50)が、棒状部材で形成される先端部(53)と、板状部材で形成されると共に前記先端部(53)を支持する補強部(52)とを含む点に第9の特徴がある。
【0016】
また、前記補強部(52)の上下の縁に折り曲げ部(52a)が設けられている点に第10の特徴がある。
【0017】
さらに、前記ガード部材(50)は、前記補強部(52)を前記フロントフォーク(7)に支持するための支持部(51)を有し、前記支持部(51)は、基部に向かうにつれて上下幅が大きくなる点に第11の特徴がある。
【発明の効果】
【0018】
第1の特徴によれば、前輪(WF)に制動力を与えるブレーキキャリパ(10)と、前輪ブレーキ操作子(27)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第1ブレーキホース(31)と、後輪ブレーキ操作子(28)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第2ブレーキホース(32)と、前記ブレーキキャリパ(10)および前記前輪(WF)を支持すると共に伸縮自在に構成されるフロントフォーク(7)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が車幅方向に並ぶので、フロントフォークの伸縮量が大きい車両においても、フロントフォークの収縮時に第1ブレーキホースと第2ブレーキホースとが接触することを防ぐことが可能となる。これにより、接触によるブレーキホースの摩耗を抑制できる。また、フロントフォークの収縮時に2本のブレーキホースが前後に並ぶ構成に比して、ブレーキホースの長さを抑えて他の部品との接触を防ぐことができる。
【0019】
第2の特徴によれば、前記フロントフォーク(7)は、伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する上側固定部(25)と、前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する下側固定部(26)とを備え、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、車体側面視で重なるので、フロントフォークの収縮時に、2本のブレーキホースが重なって見えることで外観性を向上させることが可能となる。
【0020】
第3の特徴によれば、前記フロントフォーク(7)が伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する上側固定部(25a)と、前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する下側固定部(26a)とを備え、前記フロントフォーク(7)の伸長時に、前記上側固定部(25a)と前記下側固定部(26a)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が前後方向に並ぶので、2本のブレーキホースが前後に並ぶことで、ブレーキホースが車幅方向外側に飛び出す量が低減され、車幅方向外側の障害物(木の枝等)への接触を抑制できる。
【0021】
第4の特徴によれば、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、ねじりトルクを付与した状態で前記上側固定部(25a)および前記下側固定部(26a)に取り付けられるので、第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースを、フロントフォークの伸長時には前後方向に並び、フロントフォークの収縮時には車幅方向に並ぶようにすることができる。
【0022】
第5の特徴によれば、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)と、前記前輪(WF)との間に、ガード部材(50)が配設されているので、第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースが前輪に接触することを防ぐことが可能となる。
【0023】
第6の特徴によれば、前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)より、前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)の方が後方に位置するので、フロントフォークが収縮した場合でも、第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースがガード部材を乗り越えることがなく、前輪との接触を防ぐことができる。
【0024】
第7の特徴によれば、前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)とを結ぶ線分(L)から前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)までの距離(T1)より、前記線分(L)から前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)までの距離(T2)の方が長いので、フロントフォークが収縮した場合でも、第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースがガード部材を乗り越えることがなく、前輪との接触を防ぐことができる。
【0025】
第8の特徴によれば、前記ガード部材(50)が、車体側面視で、四角形状とされるので、ガード部材の強度を高めることが可能となる。
【0026】
第9の特徴によれば、前記ガード部材(50)が、棒状部材で形成される先端部(53)と、板状部材で形成されると共に前記先端部(53)を支持する補強部(52)とを含むので、補強部によってガード部材の剛性を高めることが可能となる。
【0027】
第10の特徴によれば、前記補強部(52)の上下の縁に折り曲げ部(52a)が設けられているので、折り曲げ部によって補強部の剛性を高め、ガード部材の強度をより一層高めることができる。
【0028】
第11の特徴によれば、前記ガード部材(50)は、前記補強部(52)を前記フロントフォーク(7)に支持するための支持部(51)を有し、前記支持部(51)は、基部に向かうにつれて上下幅が大きくなるので、フロントフォークに対するガード部材の取り付け強度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】主な外装部品を取り外した自動二輪車の右側面図である。
図3】フロントフォークの周辺構成を示す左側面図である。
図4】フロントフォークの周辺構成を示す斜視図である。
図5】第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースの配索構成を示す左側面図である。
図6】第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースの配索構成を示す斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るブレーキホースの配索構造を示す斜視図である。
図8】ブレーキホースの配索構造を示す左側面図である。
図9】フロントフォークが収縮した状態を示す左側面図である。
図10】ガード部材を左斜め後方から見た斜視図である。
図11】ガード部材の右側面図である。
図12】ガード部材を後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。また、図2は主な外装部品を取り外した自動二輪車1の右側面図である。自動二輪車1は、パワーユニットPの駆動力をドライブチェーン43を介して後輪WRに伝達して走行する鞍乗型車両である。
【0031】
車体フレームFの上部前端に設けられるヘッドパイプ40には、左右一対のフロントフォーク7が操舵可能に支持されている。伸縮自在に構成されるフロントフォーク7の下端部には、前輪車軸8によって前輪WFが回転自在に軸支されている。車体フレームFの下部後端には、リヤクッション(不図示)に吊り下げられたスイングアーム13を上下揺動可能に軸支するピボット12が設けられている。スイングアーム13の後端部には、後輪車軸14によって後輪WRが回転自在に軸支されている。
【0032】
ピボット12の前方の車体フレームFには、エンジンと変速機とを一体に構成したパワーユニットPが搭載されており、車体フレームFの上部には、燃料タンク29が支持されている。燃料タンク29の全体およびパワーユニットPの上方寄りの部分は、車幅方向左右に連なる車体カバー11によって覆われている。パワーユニットPの燃焼ガスは、排気管41を介して車体後部のマフラ16に送られる。
【0033】
フロントフォーク7の上端部には、前輪WFを操舵する操向ハンドル2が取り付けられている。バックミラー3を支持する操向ハンドル2の前方には、ヘッドライト5を支持するフロントカウル4が配設されている。フロントカウル4の下部には、前輪WFの上方を覆うフロントフェンダ6が配設されている。燃料タンク29の後方には、乗員が着座するシート19が配設されている。シートカウル18の後部には、後輪WRの上方を覆うリヤフェンダ15および尾灯装置17が取り付けられている。
【0034】
車幅方向左側のフロントフォーク7の下方寄りの位置には、前輪WFに固定されるブレーキディスク9に制動力を与える前輪ブレーキキャリパ10が取り付けられている。一方、車幅方向右側のスイングアーム13の後方寄りの位置には、後輪WRに固定されるブレーキディスク42に制動力を与える後輪ブレーキキャリパ30が取り付けられている。
【0035】
車幅方向右側の操向ハンドル2には、運転者が右手で操作する前輪ブレーキ操作子としてのブレーキレバー27が取り付けられている。また、パワーユニットPの車幅方向右側には、運転者が右足で操作する後輪ブレーキ操作子としてのブレーキペダル28が配設されている。
【0036】
本実施形態に係る自動二輪車1は、ブレーキレバー27の操作に応じて前輪ブレーキキャリパ10に油圧が供給される一方、ブレーキペダル28の操作に応じては、後輪ブレーキキャリパ30および前輪ブレーキキャリパ10の両方に油圧が供給される、いわゆる前後連動ブレーキシステムを備えている。このため、前輪ブレーキキャリパ10には、ブレーキレバー27を操作した際に油圧が供給される第1ブレーキホースと、ブレーキペダル28を操作した際に油圧が供給される第2ブレーキホースとが接続されている(図3,4参照)。
【0037】
図3は、フロントフォーク7の周辺構成を示す左側面図である。また、図4はフロントフォーク7の周辺構成を示す斜視図である。図3,4では、乗員が跨った停車時等の軽荷重状態において、フロントフォーク7が伸長している場合を示す。フロントフォーク7の内部にはスプリングが収納されており、フロントフォーク7は、走行中に路面の凹凸に合わせて伸縮を繰り返すほか、特に、前輪WFに制動力を与えた際やジャンプからの着地時等に大きく収縮した状態となる。
【0038】
フロントフォーク7は、前輪車軸8および前輪ブレーキキャリパ10を支持するアウタチューブ7aと、アウタチューブ7aに対して伸縮自在に構成される伸縮部7bとを有する。本実施形態に係る伸縮部7bは、アウタチューブ7aに対して摺動可能に挿入されるインナチューブと、インナチューブを覆う蛇腹状のカバーとからなる。
【0039】
前輪ブレーキキャリパ10の前方には、信号ハーネス21に接続された車輪速センサ20が配設されている。前輪ブレーキキャリパ10の後部には、ブレーキレバー27の操作に応じて油圧を供給する第1ブレーキホース31(グレー着色部)と、ブレーキペダル28の操作に応じて油圧を供給する第2ブレーキホース32(点描ハッチング部)とが接続されている。
【0040】
第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32は、上下2カ所の固定部で互いに束ねられて車体側に固定されている。詳しくは、伸縮部7bの上方寄りに位置する上側固定部25は、ステー22によって車体カバー11に固定されており、伸縮部7bの下方に位置する下側固定部26は、アウタチューブ7aに支持されるガード部材50に固定されている。
【0041】
本実施形態に係る上側固定部25および下側固定部26は、それぞれ第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32を車幅方向に並べた状態で車体側に固定している。これにより、上側固定部25と下側固定部26との間の区間では、フロントフォーク7の伸長時や収縮時(図4,5参照)にかかわらず、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が車幅方向に並んで配設されることとなる。
【0042】
図5は、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32の配索構成を示す左側面図である。また、図6は第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32の配索構成を示す斜視図である。図5,6では、制動時等の高荷重状態において、フロントフォーク7が収縮している場合を示す。フロントフォーク7の収縮時には、上側固定部25と下側固定部26との間の距離が狭まることで、上側固定部25と下側固定部26との間の区間の第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が、後方側を凸にして湾曲する。
【0043】
本実施形態では、フロントフォーク7の収縮時に、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が車幅方向に並ぶので、フロントフォーク7の伸縮量が大きい車両でも、フロントフォーク7の収縮時に第1ブレーキホース31と第2ブレーキホース32とが接触することを防ぐことが可能となり、接触によるブレーキホースの摩耗を抑制できる。また、フロントフォークの収縮時に2本のブレーキホースが前後に並ぶ構成に比して、ブレーキホースの長さを抑えて他の部品との接触を防ぐことができる。さらに、本実施形態では、フロントフォーク7の収縮時に、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が車体側面視で重なるので、2本のブレーキホースが重なって見えることで外観性を向上させることが可能となる。
【0044】
図7は、本発明の第2実施形態に係るブレーキホースの配索構造を示す斜視図である。また、図8は本発明の第2実施形態に係るブレーキホースの配索構造を示す左側面図である。本実施形態では、上側固定部25aおよび下側固定部26aが、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32を前後方向に並ぶように車体側に固定する点に特徴がある。
【0045】
これにより、フロントフォーク7の伸長時には、上側固定部25aと下側固定部26aとの間の区間の第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が、前後方向に並んで配索されることとなる。その結果、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が車幅方向外側に飛び出す量が低減され、車幅方向外側の障害物(木の枝等)への接触を抑制できる。
【0046】
一方、フロントフォーク7の収縮時には、上側固定部25aと下側固定部26aとの間の区間の第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32の位置関係が、前後方向から車幅方向に変化する。これは、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が、上側固定部25aおよび下側固定部26aに対してねじりトルクを付与した状態で取り付けられているためであり、フロントフォーク7の収縮に伴って湾曲する際にねじりトルクが開放されることで、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32の位置関係が前後方向から車幅方向に遷移することとなる。また、ねじりトルクの量を管理することで、伸長、伸縮時の第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32の位置がいつも同じ位置(軌跡)になるようコントロールすることができる。
【0047】
すなわち、この第2実施形態においても、フロントフォーク7の収縮時には、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が車幅方向に並ぶこととなるので、フロントフォーク7の伸縮量が大きい車両でも、フロントフォーク7の収縮時に第1ブレーキホース31と第2ブレーキホース32とが接触することを防ぐことができる。
【0048】
図9は、第1実施形態に係る上側固定部25および下側固定部26において、フロントフォーク7が収縮した状態を示す左側面図である。前記したように、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32と、前輪WFとの間には、アウタチューブ7aに支持されるガード部材50が配設されている。これにより、フロントフォーク7の伸長時または収縮時にかかわらず、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32が前輪WFに接触することを防ぐことが可能となる。
【0049】
また、フロントフォーク7の収縮時において、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32の後側頂点31cより、ガード部材50の後側頂点50cの方が後方に位置するように構成されている。これにより、フロントフォーク7が収縮した場合でも、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32がガード部材50を乗り越えることがなく、前輪WFとの接触を防ぐことができる。
【0050】
さらに、フロントフォーク7の収縮時において、上側固定部25の中心25cと下側固定部26の中心26cとを結ぶ線分Lから第1ブレーキホース31および前記第2ブレーキホース32の後側頂点31cまでの距離T1より、線分Lからガード部材50の後側頂点50cまでの距離T2の方が長くなるように構成されている。これにより、フロントフォーク7が収縮した場合でも、第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32がガード部材50を乗り越えることがなく、前輪WFとの接触を防ぐことができる。
【0051】
図10は、ガード部材50を左斜め後方から見た斜視図である。また、図11はガード部材50の右側面図であり、図12はガード部材50を後方から見た斜視図である。鉄やアルミ等の金属で構成されるガード部材50は、車体側面視で、前後方向に長い略四角形状とされる。
【0052】
詳しくは、ガード部材50は、アウタチューブ7aに支持するための支持部51と、板状部材からなる補強部52と、棒状部材からなる先端部53とからなり、互いに溶着されることでガード部材50を構成している。下側固定部26を構成するクランプ60は、補強部52に対してねじ等の締結部材によって固定される。第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32は、グロメット61を介してクランプ60に支持されている。
【0053】
ガード部材50は、主にフロントフォーク7の収縮時にブレーキホース31,32が前輪WFに接触することを防ぐ先端部53を棒状部材としており、これにより、後方側の軽量化を図っている。また、車体側面視で略U字状をなす補強部52を板状部材とすることで先端部53の支持強度を高めている。また、ガード部材50の上下の縁には、補強部52の剛性を高めるための折り曲げ部52aが設けられており、支持部51は基部に向かうにつれて上下幅が大きくなる形状とされている。これにより、ガード部材50の強度およびアウタチューブ7aに対する取り付け強度を高めることを可能としている。
【0054】
上記したように、本実施形態に係る鞍乗型車両によれば、前輪ブレーキキャリパ10に第1ブレーキホース31および第2ブレーキホース32を接続する構成において、フロントフォーク7の収縮時に、2本のブレーキホース31,32が車幅方向に並ぶように構成されているので、フロントフォーク7の伸縮量が大きい車両においても、フロントフォーク7の収縮時に第1ブレーキホース31と第2ブレーキホース32とが接触することを防ぐことが可能となる。
【0055】
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
(構成1)
前輪(WF)に制動力を与えるブレーキキャリパ(10)と、前輪ブレーキ操作子(27)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第1ブレーキホース(31)と、後輪ブレーキ操作子(28)の操作に応じて前記ブレーキキャリパ(10)に油圧を供給する第2ブレーキホース(32)と、前記ブレーキキャリパ(10)および前記前輪(WF)を支持すると共に伸縮自在に構成されるフロントフォーク(7)とを有する鞍乗型車両(1)において、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が車幅方向に並ぶことを特徴とする鞍乗型車両。
【0056】
(構成2)
前記フロントフォーク(7)は、伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する上側固定部(25)と、前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を左右に並べて固定する下側固定部(26)とを備え、前記フロントフォーク(7)の収縮時に、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、車体側面視で重なることを特徴とする構成1に記載の鞍乗型車両。
【0057】
(構成3)
前記フロントフォーク(7)が伸縮自在な伸縮部(7b)を有し、前記伸縮部(7b)の上方寄りの位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する上側固定部(25a)と、前記伸縮部(7b)の下方の位置で前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)を前後に並べて固定する下側固定部(26a)とを備え、前記フロントフォーク(7)の伸長時に、前記上側固定部(25a)と前記下側固定部(26a)との間に位置する前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が前後方向に並ぶことを特徴とする構成1に記載の鞍乗型車両。
【0058】
(構成4)
前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)が、ねじりトルクを付与した状態で前記上側固定部(25a)および前記下側固定部(26a)に取り付けられることを特徴とする構成1~3に記載の鞍乗型車両。
【0059】
(構成5)
前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)と、前記前輪(WF)との間に、ガード部材(50)が配設されていることを特徴とする構成1~4に記載の鞍乗型車両。
【0060】
(構成6)
前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)より、前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)の方が後方に位置することを特徴とする構成5に記載の鞍乗型車両。
【0061】
(構成7)
前記フロントフォーク(7)の収縮時において、前記上側固定部(25)と前記下側固定部(26)とを結ぶ線分(L)から前記第1ブレーキホース(31)および前記第2ブレーキホース(32)の後側頂点(31c)までの距離(T1)より、前記線分(L)から前記ガード部材(50)の後側頂点(50c)までの距離(T2)の方が長いことを特徴とする構成5~6に記載の鞍乗型車両。
【0062】
(構成8)
前記ガード部材(50)が、車体側面視で、四角形状とされることを特徴とする構成5~7に記載の鞍乗型車両。
【0063】
(構成9)
前記ガード部材(50)が、棒状部材で形成される先端部(53)と、板状部材で形成されると共に前記先端部(53)を支持する補強部(52)とを含むことを特徴とする構成5~8に記載の鞍乗型車両。
【0064】
(構成10)
前記補強部(52)の上下の縁に折り曲げ部(52a)が設けられていることを特徴とする構成9に記載の鞍乗型車両。
【0065】
(構成11)
前記ガード部材(50)は、前記補強部(52)を前記フロントフォーク(7)に支持するための支持部(51)を有し、前記支持部(51)は、基部に向かうにつれて上下幅が大きくなることを特徴とする構成5~10に記載の鞍乗型車両。
【0066】
なお、自動二輪車の形態、前輪ブレーキキャリパの構造、第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースの材質や長さ、上側固定部および下側固定部の構造や配置等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースは、それぞれブレーキケーブルであってもよい。また、後輪ブレーキ操作子は、前記したようなブレーキペダルに限られず、車幅方向左側の操向ハンドルに取り付けられるブレーキレバーや、低床フロアから突出するフットペダルであってもよい。本発明に係るブレーキホースの配策構造は、自動二輪車に限られず、三輪車や四輪車等の種々の鞍乗型車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…自動二輪車(鞍乗型車両)、7…フロントフォーク、7b…伸縮部、10…ブレーキキャリパ、25,25a…上側固定部、26,26a…下側固定部、27…ブレーキレバー(前輪ブレーキ操作子)、28…ブレーキペダル(後輪ブレーキ操作子)、31…第1ブレーキホース、32…第2ブレーキホース、31c…第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースの後側頂点、50…ガード部材、50c…ガード部材の後側頂点、51…支持部、52…補強部、52a…折り曲げ部、53…先端部、L…上側固定部と下側固定部とを結ぶ線分、T1…線分から第1ブレーキホースおよび第2ブレーキホースの後側頂点までの距離、T2…線分からガード部材の後側頂点までの距離、WF…前輪
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