(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064484
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】同型コネクタと接続可能なコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/28 20060101AFI20240507BHJP
H01R 24/84 20110101ALI20240507BHJP
【FI】
H01R13/28
H01R24/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173099
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】吉原 佑哉
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB31
5E223AC21
5E223AC38
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB11
5E223EA02
5E223EA18
5E223EC02
5E223EC32
(57)【要約】
【課題】ハウジングの第一の面に配列された端子の脚部、及び、同ハウジングの第二の面に配列された端子の脚部の位置及び状態を、第一の面と第二の面の対向方向において容易に確認することができるコネクタ装置を提供する。
【解決手段】ハウジングと第一及び第二の端子を備える。第一の端子に設けた第一の接触部は、相手コネクタ装置の第二の相手端子と接触し得る状態で、ハウジングの第一の突き合わせ面に幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。第二の端子に設けた第二の接触部は、相手コネクタ装置の第一の相手端子と接触し得る状態で、奥行き方向において第一の突き合わせ面の対向側に位置する第二の突き合わせ面に、第一の端子の対応位置にて幅方向に沿って所定の間隔で配列されている。例えば、第一の端子に設けた第一の接地部は、屈曲部によって、幅方向において第一の接触部からずらして配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ装置であって、
互いに直交する、高さ方向、幅方向、及び奥行き方向を有するハウジングと、
前記ハウジングに保持される複数の第一の端子及び複数の第二の端子と、を備え、
前記第一の端子の一端側に設けた少なくとも第一の接触部は、前記コネクタ装置が相手コネクタ装置と接続されたときに前記相手コネクタ装置の第二の相手端子と接触し得る状態で、前記高さ方向と前記幅方向によって規定される前記ハウジングの第一の突き合わせ面に前記幅方向に沿って所定の間隔で配列されており、
前記第二の端子の一端側に設けた少なくとも第二の接触部は、前記コネクタ装置が前記相手コネクタ装置と接続されたときに前記相手コネクタ装置の第一の相手端子と接触し得る状態で、前記高さ方向と前記幅方向によって規定される前記ハウジングの第二の突き合わせ面であって前記奥行き方向において前記第一の突き合わせ面の対向側に位置する第二の突き合わせ面に、前記第一の端子の対応位置にて前記幅方向に沿って前記所定の間隔で配列されており、
前記第一の突き合わせ面又は前記第二の突き合わせ面を前記奥行き方向に沿って視たときに、前記第一の接地部の第一の接地面の少なくとも一部と、前記第二の接地部の第二の接地面の少なくとも一部を、同時に視認することができるように構成されていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記第一の端子の他端側に設けた第一の接地部は、前記第一の接触部との間に設けた屈曲部によって、前記幅方向において前記第一の接触部からずらして配置されており、
及び/又は、
前記第二の端子の他端側に設けた第二の接地部は、前記第二の接触部との間に設けた屈曲部によって、前記幅方向において前記第二の接触部からずらして配置されている、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記第一の端子の他端側に設けた第一の接地部の前記幅方向における幅が、前記第二の端子の他端側に設けた第二の接地部の前記幅方向における幅と異なる、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記第一の突き合わせ面又は前記第二の突き合わせ面を前記奥行き方向に沿って視たときに、前記第一の接地面と前記第二の接地面が、前記幅方向において交互に配置されている、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記第一の突き合わせ面又は前記第二の突き合わせ面を前記奥行き方向に沿って視たときに、前記第一の接地面と前記第二の接地面が、前記幅方向において互いに離間された状態で配置されている、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記第一の接地面と前記第二の接地面は、それぞれ、前記幅方向と前記奥行き方向によって規定される面に実質的に沿って延在する、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記第一の接地面は、前記第一の脚部の一端側を前記第二の突き合わせ面に接近する側に折り曲げることによって形成された面であり、
及び/又は、
前記第二の接地面は、前記第二の脚部の一端側を前記第一の突き合わせ面に接近する側に折り曲げることによって形成された面である、請求項6に記載のコネクタ装置。
【請求項8】
前記ハウジングに、前記高さ方向に沿って貫通する貫通穴が設けられており、
前記第一の端子と前記第二の端子を、前記貫通穴を通じて前記高さ方向に沿って視たときに、前記第一の接地面とは前記高さ方向において反対側の前記第一の接地部の第一の対向面の少なくとも一部と、前記第二の接地面とは前記高さ方向において反対側の前記第二の接地部の第二の対向面の少なくとも一部を、同時に視認することができるように構成されている、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項9】
前記コネクタ装置が前記相手コネクタ装置と接続されたときに前記相手コネクタ装置の第二の突き合わせ面の第二の係合手段と係合して、前記コネクタ装置と前記相手コネクタ装置とを少なくとも前記幅方向において位置決めする第一の係合手段が、前記コネクタ装置の第一の突き合わせ面に設けられ、
及び/又は、
前記コネクタ装置が前記相手コネクタ装置と接続されたときに前記相手コネクタ装置の第一の突き合わせ面の第一の係合手段と係合して、前記コネクタ装置と前記相手コネクタ装置とを少なくとも前記幅方向において位置決めする第二の係合手段が、前記コネクタ装置の第二の突き合わせ面に設けられている、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項10】
前記第一の係合手段と前記第二係合手段が、前記奥行き方向に沿って突出又は陥没する凸部又は凹部を利用して形成されている、請求項9に記載のコネクタ装置。
【請求項11】
前記コネクタ装置と前記相手コネクタ装置が同じ構造を有するコネクタ装置である、請求項1に記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対向配置されたハウジングの第一の面と第二の面にそれぞれ設けた端子を各端子の接地部において回路基板等に固定する構造を有するコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記コネクタ装置の一例として、特許文献1に、一対の無性コネクタで構成された相互接合型の電気コネクタが開示されている。この電気コネクタは、対向する接合面を有する一対の無性コネクタで構成されており、接合面は一対の無性コネクタが接合されたときに平面に沿って並列される。各接合面は、複数の溝を規定する複数の長手方向に離間したリブにより規定されており、ハウジングに設けたリブ間の各溝に各端子のコンタクト部が配置されている。これらのコンタクト部は、平らなコンタクト部と、コンタクト部からハウジングの壁に向かって延びる傾斜部を有しており、無性コネクタが接合面にて接合されたときに、接合面同士が突き合わされるとともに、傾斜部によって接合相手の無性コネクタの側に突出したコンタクト部同士が接続されるようになっている。
【0003】
これら一対の無性コネクタが相互に接合されたとき、対向配置されたハウジングの第一の面と第二の面にそれぞれ設けた端子は、第一の面と第二の面のそれぞれに長手方向に沿って一列に配列されるとともに、第一の面と第二の面の対向方向において二列に配列される。これらの端子の端子テールはそれぞれ、回路基板に固定されるが、第一の面に長手方向に沿って一列に配列された端子の端子テールと、第二の面に長手方向に沿って一列に配列された端子の端子テールは、第一の面と第二の面の対向方向において略完全に重なり合う位置に位置づけられているため、回路基板への固定時に、これらの端子テールの位置及び状態等を確認することは不可能又は困難なものとなっている。この結果、例えば、不良品の発見が困難なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、ハウジングの第一の面に配列された端子の脚部、及び、同ハウジングの第二の面に配列された端子の脚部の位置及び状態を、第一の面と第二の面の対向方向において容易に確認することができるコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるコネクタ装置は、互いに直交する、高さ方向、幅方向、及び奥行き方向を有するハウジングと、前記ハウジングに保持される複数の第一の端子及び複数の第二の端子と、を備え、前記第一の端子の一端側に設けた少なくとも第一の接触部は、前記コネクタ装置が相手コネクタ装置と接続されたときに前記相手コネクタ装置の第二の相手端子と接触し得る状態で、前記高さ方向と前記幅方向によって規定される前記ハウジングの第一の突き合わせ面に前記幅方向に沿って所定の間隔で配列されており、前記第二の端子の一端側に設けた少なくとも第二の接触部は、前記コネクタ装置が前記相手コネクタ装置と接続されたときに前記相手コネクタ装置の第一の相手端子と接触し得る状態で、前記高さ方向と前記幅方向によって規定される前記ハウジングの第二の突き合わせ面であって前記奥行き方向において前記第一の突き合わせ面の対向側に位置する第二の突き合わせ面に、前記第一の端子の対応位置にて前記幅方向に沿って前記所定の間隔で配列されており、前記第一の突き合わせ面又は前記第二の突き合わせ面を前記奥行き方向に沿って視たときに、前記第一の接地部の第一の接地面の少なくとも一部と、前記第二の接地部の第二の接地面の少なくとも一部を、同時に視認することができるように構成されていることを特徴として有する。
この態様のコネクタ装置によれば、第一の接地面と第二の接地面の位置及び状態を奥行き方向において容易に確認することができるため、例えば、それら第一の接地面と第二の接地面の高さ方向における位置関係を比較して、それらの平坦度を測定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、ハウジングの第一の面に配列された端子の脚部、及び、同ハウジングの第二の面に配列された端子の脚部の位置及び状態等を、第一の面と第二の面の対向方向において容易に確認することができるコネクタ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好適な一実施形態によるコネクタ装置の上斜視図である。
【
図3】
図1のコネクタ装置の角度を変えて示した上斜視図である。
【
図7】
図1のコネクタ装置の一使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の例示的な実施形態を説明する。説明の便宜のため好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。
【0010】
図1に、本発明の好適な一実施形態によるコネクタ装置の上斜視図を、
図2に、その下斜視図を、
図3に、同コネクタ装置の角度を変えて示した上斜視図を、
図4に、その下斜視図を、
図5に、同コネクタ装置の正面図を、更に、
図6に、同コネクタ装置の底面図を、それぞれ示す。
【0011】
これらの図に示したコネクタ装置1は、典型的には、
図7に示すように対で使用される、言い換えれば、コネクタ装置と、これと全く同じ構造を有する相手コネクタ装置、言い換えれば、雌雄同型のコネクタ装置同士を、互いに接続させる。以下、便宜上、互に接続させるコネクタ装置1同士を区別する必要がある場合にのみ、一方のコネクタ装置1及びその部材の参照番号に「A」を付記し、他方のコネクタ装置1、即ち、相手コネクタ装置及びその部材の参照番号に「B」を付記する。
【0012】
本コネクタ装置1は、例えば、機器を配した基板(図示されていない)の縁にコネクタ装置1Aを少なくとも1つ設け、且つ、他の機器を配した他の基板(図示されていない)の縁に相手コネクタ装置1Bを少なくとも1つ設け、基板を互いに接近させることにより、これらのコネクタ装置1A、1Bを、更に言えば、基板に配した機器同士を接続するように使用される。但し、必ずしもコネクタ装置1Aと相手コネクタ装置1Bの対で使用する必要はなく、本コネクタ装置1を、これと接続することができる対応形状を有する他のコネクタ装置(図示されていない)と組み合わせて使用することもできる。また、3つ以上のコネクタ装置1を互いに接続させることもできる。
【0013】
コネクタ装置1(1A、1B)は、樹脂製のハウジング10と、ハウジング10に保持される複数の第一の端子40及び複数の第二の端子50を備える。ハウジング10は、互いに直交する、高さ方向「α」、幅方向「β」、及び奥行き方向「γ」を有し、全体として略矩形状を成し、幅方向「β」において左右対称形状を有する。幅方向「β」及び奥行き方向「γ」によって規定される「β-γ」面に、高さ方向「α」に沿って貫通する貫通穴30を設けてもよい。貫通穴30を設ける利点については後述する。ここで、高さ方向、幅方向、奥行き方向の各語は、単に、3方向を区別するための語であって、これらの語それ自体に何ら特別な意味はない。勿論、これらの各方向におけるハウジング10の寸法も特に限定されるものではなく、例えば、図示のように、幅方向「β」を長手方向、奥行き方向「γ」を短手方向としてもよいし、逆に、幅方向を短手方向、奥行き方向を長手方向等としてもよい。
【0014】
ハウジング10は、高さ方向「α」と幅方向「β」によって規定される第一の突き合わせ面11と、同様に高さ方向「α」と幅方向「β」によって規定される第二の突き合わせ面12を有する。第一の突き合わせ面11及び第二の突き合わせ面12は、奥行き方向「γ」において対向配置されており、第一の突き合わせ面11には、複数の第一の端子40が、リブ22の間に形成された各溝23に1つずつ、幅方向「β」に沿って所定の間隔で配列され、同様に、第二の突き合わせ面12には、複数の第二の端子50が、リブ26の間に形成された各溝27に1つずつ、第一の端子40の対応位置にて幅方向「β」に沿って第一の端子40と同じ所定の間隔で配列されている。更に、ハウジング10の高さ方向「α」における底部には、コネクタ装置1を基板等に設置する際に使用される脚部20が設けられている。脚部20は、第一の端子40及び第二の端子50と基板等との間の距離を一定にする、それらの間の距離を保って端子の破壊を防ぐ等の機能を有する。
【0015】
コネクタ装置1Aと相手コネクタ装置1Bは、高さ方向「α」、奥行き方向「γ」、又は、高さ方向「α」及び奥行き方向「γ」を含む斜め方向に沿う、いずれの方向においても接続させることができる。コネクタ装置1Aが相手コネクタ装置1Bと接続されたとき、コネクタ装置1Aの第二の突き合わせ面12Aは、相手コネクタ装置1Bの第一の突き合わせ面11Bと突き合わされる、又は、コネクタ装置1Aの第一の突き合わせ面11Aは、相手コネクタ装置1Bの第二の突き合わせ面12Bと突き合わされる。。この結果、例えば、コネクタ装置1Aの第二の突き合わせ面12Aに配列された第二の端子50と、相手コネクタ装置1Bの第一の突き合わせ面11Bに配列された第一の端子40が、一対一対応で電気的且つ物理的に接続される。また、このとき、第二の突き合わせ面12Aの幅方向「β」の両端に設けた側端部19と、第一の突き合わせ面11Bの幅方向「β」の両端に設けた側端部18が、衝突し、第一の端子40と第二の端子50との間に過剰な力が加わることは防止される。
【0016】
コネクタ装置1Aが相手コネクタ装置1Bと接続されたときに、コネクタ装置1Aと相手コネクタ装置1Bを互いに対して位置決めするため、係合手段を設けてもよい。例えば、コネクタ装置1Aの第一の突き合わせ面11Aには、第一の係合手段、例えば、奥行き方向「γ」に沿って突出するとともに高さ方向「α」に沿って延びる凸部15Aが、これに対応して、相手コネクタ装置1Bの第二の突き合わせ面12Bには、第二の係合手段、例えば、奥行き方向「γ」に沿って陥没するとともに高さ方向「α」に沿って延びる凹部16Bが、それぞれ設けられている。同様に、コネクタ装置1Aの第二の突き合わせ面12Aには、第二の係合手段、例えば、奥行き方向「γ」に沿って陥没するとともに高さ方向「α」に沿って延びる凹部16Aが、これに対応して、相手コネクタ装置1Bの第一の突き合わせ面11Bには、第一の係合手段、例えば、奥行き方向「γ」に沿って突出するとともに高さ方向「α」に沿って延在する凸部15Bが、それぞれ設けられている。
【0017】
上記の構成を有する第一及び第二の係合手段は、コネクタ装置1Aと相手コネクタ装置1Bとを、特に幅方向「β」において互いに位置決めする機能を有するが、例えば、凸部の高さ方向「α」における途中位置に少なくとも1つの窪部を設け、これに対応して、凹部の高さ方向「α」における途中位置に少なくとも1つの突部を設けることにより、横方向「β」のみならず、「α」方向においても位置決めすることができる。但し、この場合、コネクタ装置1Aと相手コネクタ装置1Bは、奥行き方向「γ」に沿ってのみ接続させることができる。
【0018】
図8に、第一の端子40の斜視図を、
図9に、第二の端子50の斜視図を、それぞれ示し、更に、
図10に、
図5の一部部分拡大図を、
図11に、
図5のA-A線断面図を、
図12に、
図7のB-B線断面図を、それぞれ示す。
【0019】
第一の端子40は、一枚の薄い金属板を打ち抜き、折り曲げることによって形成されている。第一の端子40は、主に、基部41と、基部41の一端側に設けた第一の接触部43と、基部41の他端側に設けた第一の接地部45と、更に、基部41と第一の接地部45の間を繋ぐ脚部47を含む。
【0020】
基部41は、第一の端子40の略中央に位置する部分であって、他の部分よりも若干幅広に形成されている。第一の接触部43を設けた一方の側における基部41の幅は、第一の接地部45を設けた他方の側における基部41の幅より、若干小さく設定されている。第一の端子40をハウジング10に保持する際、基部41は、ハウジング10の収容空間24に、一方の側から他方の側に向って、高さ方向「α」に沿って圧入固定される。より確実にハウジング10に固定するため、基部41の幅方向の外縁に、外方に突出した圧入突起41aを設けている。収容空間24は、奥行き方向「γ」においてリブ22よりもハウジング10の内方「γ1」、即ち、第一の端子40がハウジング10に保持された状態にあるときに、対向する突き合わせ面(第二の突き合わせ面12)に接近する側、言い換えれば、奥行き方向「γ」において基部41に対して第一の接地部45が設けられた側に配置され(
図12参照)、且つ、幅方向「β」において溝23よりも幅広に形成されている。
【0021】
第一の接触部43は、コネクタ装置1Aが相手コネクタ装置1Bと接続されたときに第二の端子50と弾性接触し得る片持ち梁状の弾性変位部である。第一の接触部43は、基部41を折曲部41bにおいて外方「γ2」、即ち、第一の端子40がハウジング10に保持された状態にあるときに、対向する突き合わせ面(第二の突き合わせ面12)から遠ざかる側、言い換えれば、奥行き方向「γ」において第一の接地部45が設けられた側とは基部41に対して反対側に折り曲げることによって形成されている。第一の接触部43の中央付近には外方「γ2」に向って凸部を形成するように突出した接点43aが形成されている。第一の端子40がハウジング10に保持されたとき、第一の接触部43は、接点43a及びその周辺を除き、ハウジング10の溝23に収容され(
図11参照)、一方、接点43a及びその周辺は、ハウジング10のリブ22よりも外方「γ1」に多少突出した状態とされる。コネクタ装置1Aが相手コネクタ装置1Bと接続されたとき、第一の接触部43は、接点43a及びその近傍において第二の端子50と弾性接触して、内方「γ1」に弾性変形し得る。弾性接触の際にかかる負荷を軽減するため、接点43aと折曲部41bの間に付加的に小さな折曲部43bを設けてもよい。
【0022】
第一の接地部45は、コネクタ装置1を基板等に設置した際にそれら基板等に接地され半田付け等により固定される部分である。第一の接地部45は、脚部47の一端側を内方「γ1」に折り曲げることによって形成されており、第一の端子40がハウジング10に保持されたとき、幅方向「β」と奥行き方向「γ」によって規定される「β-γ」面に実質的に沿って延在する。ここで「実質的」とは、平坦な基板面に対する第一の接地部45の固定が妨げられない程度を意味する。第一の接地部45の一方の面は、基板3、4(
図12参照)に接地される第一の接地面45aを形成し、第一の接地面45aとは高さ方向「α」において反対側の第一の対向面45bは、貫通穴30を通じて視認可能な状態で位置付けられている。
【0023】
脚部47は、基部41と第一の接地部45を繋ぐ部分であって、第一の接地部45を、幅方向「β」において第一の接触部43からずらした位置に配置する働きを有する。脚部47は、略水平に内方「γ1」に延びる水平部46と、略垂直部48から成る。略垂直部48は、高さ方向「α」に延びるとともに、第一の接触部43と第一の接地部45との間、更に言えば、水平部46と第一の接地部45との間に設けた屈曲部48a、48bを利用して、第一の接地部45を、幅方向「β」にずらすように形成されている。
【0024】
第二の端子50は、第一の端子40と同様に、一枚の薄い金属板を打ち抜き、折り曲げることによって形成されている。第二の端子50は、主に、基部51と、基部51の一端側に設けた第二の接触部53と、基部51の他端側に設けた第二の接地部55と、更に、基部51と第二の接地部55の間を繋ぐ脚部57を含む。
【0025】
基部51は、第二の端子50の略中央よりも若干、第二の接地部55に近い側に位置する部分であって、他の部分よりも若干幅広に形成されている。第二の端子50をハウジング10に保持する際、基部51は、ハウジング10の収容空間28に、第二の接触部53を設けた一方の側から第一の接地部45を設けた他方の側に向って、高さ方向「α」に沿って圧入固定される。より確実にハウジング10に固定するため、基部51の幅方向の外縁に、外方に突出した圧入突起51aを設けている。収容空間28は、奥行き方向「γ」においてリブ26よりもハウジング10の内方「γ2」、即ち、第二の端子50がハウジング10に保持された状態にあるときに、対向する突き合わせ面(第一の突き合わせ面11)に接近する側、言い換えれば、奥行き方向「γ」において基部51に対して第二の接地部55が設けられた側に配置され(
図12参照)、且つ、幅方向「β」において溝27よりも幅広に形成されている。
【0026】
第二の接触部53は、コネクタ装置1Aが相手コネクタ装置1Bと接続されたときに第一の端子40と接触し得るストリップ状の固定部である。第二の接触部53は、内方「γ2」とは反対の外方「γ1」に延びる第一の水平部54を介して基部51と連結されている。ハウジング10に保持されたとき、第二の端子50は、ハウジング10の載置面29に載置され、ハウジング10の溝27に完全に収容される。コネクタ装置1Aが相手コネクタ装置1Bと接続されたとき、第二の接触部53は、接触面53aにおいて第一の端子40と接触し得る。
【0027】
第二の接地部55は、コネクタ装置1を基板等に設置した際にそれらの基板等に接地され半田付け等により固定される部分である。第二の接地部55は、脚部57の一端側を内方「γ2」に折り曲げることによって形成されており、第二の端子50がハウジング10に保持されたとき、幅方向「β」と奥行き方向「γ」によって規定される「β-γ」面に実質的に沿って延在する。ここで「実質的」とは、平坦な基板面に対する第二の接地部55の固定が妨げられない程度を意味する。第二の接地部55の一方の面は、基板3、4(
図12参照)に接地される第二の接地面55aを形成し、第二の接地面55aとは高さ方向「α」において反対側の第二の対向面55bは、貫通穴30を通じて視認可能な状態で位置付けられている。
【0028】
脚部57は、基部51と第二の接地部55を繋ぐ部分である。脚部57は、略水平に内方「γ2」に延びる第二の水平部56と、垂直部58から成る。垂直部58は、高さ方向「α」にのみ延びている。
【0029】
図10乃至
図12により明らかなように、上記構成を有するコネクタ装置1によれば、コネクタ装置1を、第一の突き合わせ面11又は第二の突き合わせ面12を奥行き方向「γ」に沿って視たときに、第一の接地部45の第一の接地面45aと、第二の接地部55の第二の接地面55aを、更に、脚部20の接地面20aを、同時に視認することができる。この結果、例えば、第一の接地面45aと第二の接地面55aの高さ方向「α」における位置関係を比較して、それらの平坦度を容易に且つ確実に測定することができる。
【0030】
また、
図10,
図11より明らかなように、上記構成を有するコネクタ装置1によれば、第一の端子40と第二の端子50を、貫通穴30を通じて高さ方向「α」に沿って視たときに、第一の接地面45aとは高さ方向「α」において反対側の第一の接地部45の第一の対向面45bと、第二の接地面55aとは高さ方向「α」において反対側の第二の接地部55の第二の対向面55bを、同時に視認することができる。この結果、例えば、第一の対向面45bと第二の対向面55bのコネクタ装置1の内部における状態を、光学器具等を利用して容易に測定し、検査等することができる。
【0031】
これらの測定等を容易に且つ確実に行うため、第一の接地面45aと第二の接地面55aは、幅方向「β」において交互に配置されているのが好ましい。また、第一の接地面45aと第二の接地面55aは、幅方向「β」において互いに離間された状態で配置されているのが好ましい。
【0032】
本発明の更に別の態様、特徴及び効果は、本発明を実施するよう意図された最良の態様を含めて、多数の特定の実施形態及び実施例を示すだけで、以下の詳細な説明から容易に明らかとなろう。例えば、屈曲部を設ける代わりに、又は、屈曲部を設けるとともに、第一の端子40の他端側に設けた第一の接地部45の幅方向「β」における幅と、第二の端子50の他端側に設けた第二の接地部55の幅方向「β」における幅を、互いに異なるものとすることにより、更に言えば、例えば、視認者(視認装置)の手前側に位置する接地部をより小さく、一方、奥側に位置する接地部をより大きく設定することにより、第一の接地部45の第一の接地面45aの少なくとも一部と、第二の接地部55の第二の接地面55aの少なくとも一部を、同時に視認することができるようにしてもよい。又、第一の端子40の他端側に設けた第一の接地部45の幅方向「β」における幅と、第二の端子50の他端側に設けた第二の接地部55の幅方向「β」における幅を、同じ大きさとした場合でも、例えば、手前側に位置する接地部を、脚部(47)の半分未満の幅として、幅方向「β」における左右いずれか一方の側に形成し、これに対応して、奥側に位置する接地部を、脚部(57)の半分未満の幅として、幅方向「β」における左右いずれか他方の側に形成することにより、第一の接地部45の第一の接地面45aの全部と、第二の接地部55の第二の接地面55aの全部を同時に視認することができる。更に、本発明は、他の及び異なる実施形態で構成することもでき、そしてその多数の細部は、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、種々の明らかな観点において変更することができる。従って、図面及び説明は、例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
例えば、測定等が不可能とならない限り、幅方向「β」において同じ端子の接地面が複数配置されていてもよいし、また、第一の接地面45aと第二の接地面55aが、幅方向「β」において重なりを有していてもよい。また、第一の端子に代えて、第二の端子に、屈曲部を設けてもよいし、また、それらの双方に屈曲部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 コネクタ装置
10 ハウジング
11 第一の突き合わせ面
12 第二の突き合わせ面
20 脚部
30 貫通穴
40 第一の端子
43 第一の接触部
43a 接点
45 第一の接地部
45a 第一の接地面
45b 第一の対向面
47 脚部
48a 第一の屈曲部
48b 第二の屈曲部
50 第二の端子
53 第二の接触部
55 第二の接地部
55a 第二の接地面
55b 第二の対向面
57 脚部