(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064486
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】建築、土木用板材およびその板材を用いた連結構造体
(51)【国際特許分類】
E04F 13/12 20060101AFI20240507BHJP
E04B 9/04 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E04F13/12 D
E04B9/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173104
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】598024813
【氏名又は名称】JFE日建板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝彦
【テーマコード(参考)】
2E110
【Fターム(参考)】
2E110AA48
2E110AA50
2E110AB02
2E110AB03
2E110AB04
2E110AB22
2E110AB23
2E110DA10
2E110DB03
2E110DC06
2E110DC12
2E110EA06
2E110GA33W
2E110GB01W
2E110GB02W
2E110GB03W
2E110GB06W
(57)【要約】
【課題】ジョイント部での変形抵抗が高く、美的外観の良好な外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築し得る建築、土木用板材、その板材を用いた連結構造体を提案する。
【解決手段】幅方向の一端に受け継手を有し、幅方向のもう一端に差し込み継手を有する板材本体を備えた建築、土木用板材において、板材本体を、ベース壁部と、一対のサイド壁部とで構成し、受け継手を、受け部本体壁部と、固定壁部と、返し壁部とで構成する。差し込み継手は、差し込み本体壁部と、片持ち舌片とを有するものとし、受け継手には、差し込み継手の重ね合わせ状態で板材本体の長手方向に沿って伸延する幅狭の溝部を形成する開放幅に設定された差し込み空間が設けられ、片持ち舌片は、受け継手との重ね合わせ状態で狭幅の溝部を形成するか、または、差し込み本体壁部が該別の建築、土木用板材の受け部本体壁部に当接する差し込み長さを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一端に受け継手を有し、幅方向のもう一端に差し込み継手を有する板材本体を備え、隣接配置される他の建築、土木用板材の差し込み継手を該板材本体の受け継手に差し入れて連係させるとともに、該板材本体の差し込み継手を隣接配置される別の建築、土木用板材の受け継手に差し入れて連係させることにより板材同士を相互につなぎ合わせて建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板を構築する建築、土木用板材であって、
前記板材本体は、幅方向の中央部でその背面を下地材に近接または当接可能なベース壁部と、一端が該ベース壁部の端縁に屈曲部を介してつながり、他端が受け継手、差し込み継手のそれぞれにつながる一対のサイド壁部とを備え、
前記受け継手は、該一対のサイド壁部のうちの1のサイド壁部の端縁に片持ち支持される受け部本体壁部と、該受け部本体壁部の自由端に細溝を介して片持ち支持され、下地材に当接可能な固定壁部と、該固定壁部の自由端につながり、該受け部本体壁部、該固定壁部と協働してその内側に他の建築、土木用板材の差し込み継手を差し込む差し込み空間を区画形成する返し壁部とを有し、
前記差し込み継手は、該一対のサイド壁部のうちのもう1のサイド壁部に片持ち支持される差し込み本体壁部と、該固定壁部に沿う向きで該差し込み本体壁部の自由端につながり、少なくとも先端部分がスプリングバックを伴って別の建築、土木用板材の受け継手に差し込まれる片持ち舌片とを有し、
前記差し込み空間は、前記他の建築、土木用板材の差し込み継手が前記受け継手に差し込まれて重ね合わせ状態におかれた場合に、該他の建築、土木用板材の差し込み継手と該受け部本体壁部との相互間で前記板材本体の長手方向に沿って伸延する幅狭の溝部を形成する開放幅を有し、
前記片持ち舌片は、別の建築、土木用板材の受け継手に差し込まれて重ね合わせ状態におかれた場合に、該別の建築、土木用板材の差し込み継手と該差し込み本体壁部との相互間で板材本体の長手方向に沿って伸延する狭幅の溝部を形成するか、または、差し込み本体壁部が該別の建築、土木用板材の受け部本体壁部に当接する差し込み長さを有することを特徴とする建築、土木用板材。
【請求項2】
前記サイド壁部は、前記板材本体の長手方向に沿って伸延し、該サイド壁部を該板材本体の幅方向において屈曲させる少なくとも1つの屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載した建築、土木用板材。
【請求項3】
前記差し込み本体壁部は、前記差し込み継手が前記別の建築、土木用板材の受け継手に差し込まれた場合に該別の建築、土木用板材の受け継手に連係して該差し込み継手の、該受け継手からの引き抜けを防止する突起を有することを特徴とする請求項1または2に記載した建築、土木用板材。
【請求項4】
前記片持ち舌片は、前記他の建築、土木用板材の差し込み継手が前記受け継手に差し込まれた場合に、該他の建築、土木用板材差し込み継手に連係して該差し込み継手の、該受け継手からの引き抜けを防止する突起を有することを特徴とする請求項1または2に記載した建築、土木用板材。
【請求項5】
前記板材本体は、底面側を凹状としてその底面側を外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板の表面とする断面形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載した建築、土木用板材。
【請求項6】
請求項1または2に記載した建築、土木用板材を複数枚用いて構成された連結構造体であって、
前記板材本体の幅方向の一端に設けられた受け継手に他の建築、土木用板材の差し込み継手を差し入れて連係させる一方、該板材本体の幅方向のもう一端に設けられた差し込み継手を別の建築、土木用板材の受け継手に差し入れることにより板材同士を相互に連係させることを特徴とする建築、土木用板材を用いた連結構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築するのに用いて好適な金属製の建築、土木用板材およびその板材を用いた連結構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築する際に用いられる従来の建築、土木用板材としては、板材の幅方向の一端に下ハゼ部を設け、幅方向のもう一端に上ハゼ部を設け、該上ハゼ部を、該下ハゼ部に嵌合させて板材同士をつなぎ合わせる構造からなる、例えば、特許文献1に開示された角波サイディングが知られている。
【0003】
ところで、従来の建築、土木用板材は、上ハゼ部がサイディング本体の外表面と同等のレベルまで隆起させた幅広の天板を備えたものからなっており、その内側には、比較的広い空間が形成されているために、板材に対して過大な風荷重(負圧、正圧等)が作用した場合、上ハゼ部の浮き上がりや口開き形状変形を引き起こして板材のジョイントが簡単に解除されてしまうことが懸念された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ジョイント部での板材の浮き上がりや口開きのような形状変形が抑制され、美観の良好な壁面に仕上げることができる建築、土木用板材およびその板材を用いた連結構造体を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、幅方向の一端に受け継手を有し、幅方向のもう一端に差し込み継手を有する板材本体を備え、隣接配置される他の建築、土木用板材の差し込み継手を該板材本体の受け継手に差し入れて連係させるとともに、該板材本体の差し込み継手を隣接配置される別の建築、土木用板材の受け継手に差し入れて連係させることにより板材同士を相互につなぎ合わせて建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板を構築する建築、土木用板材であって、前記板材本体は、幅方向の中央部でその背面を下地材に近接または当接可能なベース壁部と、一端が該ベース壁部の端縁に屈曲部を介してつながり、他端が受け継手、差し込み継手のそれぞれにつながる一対のサイド壁部とを備え、前記受け継手は、該一対のサイド壁部のうちの1のサイド壁部の端縁に片持ち支持される受け部本体壁部と、該受け部本体壁部の自由端に細溝を介して片持ち支持され、下地材に当接可能な固定壁部と、該固定壁部の自由端につながり、該受け部本体壁部、該固定壁部と協働してその内側に他の建築、土木用板材の差し込み継手を差し込む差し込み空間を区画形成する返し壁部とを有し、前記差し込み継手は、該一対のサイド壁部のうちのもう1のサイド壁部に片持ち支持される差し込み本体壁部と、該固定壁部に沿う向きで該差し込み本体壁部の自由端につながり、少なくとも先端部分がスプリングバックを伴って別の建築、土木用板材の受け継手に差し込まれる片持ち舌片とを有し、前記差し込み空間は、前記他の建築、土木用板材の差し込み継手が前記受け継手に差し込まれて重ね合わせ状態におかれた場合に、該他の建築、土木用板材の差し込み継手と該受け部本体壁部との相互間で前記板材本体の長手方向に沿って伸延する幅狭の溝部を形成する開放幅を有し、前記片持ち舌片は、別の建築、土木用板材の受け継手に差し込まれて重ね合わせ状態におかれた場合に、該別の建築、土木用板材の差し込み継手と該差し込み本体壁部との相互間で板材本体の長手方向に沿って伸延する狭幅の溝部を形成するか、または、差し込み本体壁部が該別の建築、土木用板材の受け部本体壁部に当接する差し込み長さを有することを特徴とする建築、土木用板材である。
【0007】
上記の構成からなる建築、土木用板材において、前記サイド壁部は、前記板材本体の長手方向に沿って伸延し、該サイド壁部を該板材本体の幅方向において屈曲させる少なくとも1つの屈曲部を有すること、前記差し込み本体壁部は、前記差し込み継手が前記別の建築、土木用板材の受け継手に差し込まれた場合に該別の建築、土木用板材の受け継手に連係して該差し込み継手の、該受け継手からの引き抜けを防止する突起を有すること、前記片持ち舌片は、前記他の建築、土木用板材の差し込み継手が前記受け継手に差し込まれた場合に、該他の建築、土木用板材差し込み継手に連係して該差し込み継手の、該受け継手からの引き抜けを防止する突起を有すること、さらに、前記板材本体は、底面側を凹状としてその底面側を外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板の表面とする断面形状を有すること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【0008】
また、本発明は、上記の構成からなる建築、土木用板材を複数枚用いて構成された連結構造体であって、前記板材本体の幅方向の一端に設けられた受け継手に他の建築、土木用板材の差し込み継手を差し入れて連係させる一方、該板材本体の幅方向のもう一端に設けられた差し込み継手を別の建築、土木用板材の受け継手に差し入れることにより板材同士を相互に連係させることを特徴とする建築、土木用板材を用いた連結構造体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、板材のジョイント部分では、板材同士が重ね合わせ状態におかれ、かつ、板材の長手方向に沿う幅狭の溝部が形成されるか、目地なしとなるため過大な荷重が作用しても板材が簡単に浮き上がったり口開きの如き形状変形を起こすことはない。
【0010】
また、本発明によれば、板材本体がベース壁部と、一対のサイド壁部で構成されていることにより建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を、オーロラ(光のカーテン)のような変化に富んだ外表面に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にしたがう建築、土木用板材の実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。
【
図2】
図1に示した建築、土木用板材の正面図である。
【
図3】
図2に示した建築、土木用板材の背面図である。
【
図4】
図2に示した建築、土木用板材の平面図である。
【
図5】
図2に示した建築、土木用板材の底面図である。
【
図6】
図2に示した建築、土木用板材の右側面図である。
【
図7】
図2に示した建築、土木用板材の左側面図である。
【
図8】本発明にしたがう建築、土木用板材を用いて構成された連結構造体の要部を示した図である。
【
図9】本発明にしたがう建築、土木用板材を用いて構成された連結構造体の外観斜視図である。
【
図10】本発明にしたがう建築、土木用板材の固定要領を示した図である。
【
図11】本発明にしたがう建築、土木用板材の固定要領を示した図である。
【
図12】(a)(b)は、本発明にしたがう建築、土木用板材の他の実施の形態を要部について示した図である。
【
図13】(a)(b)は、本発明にしたがう建築、土木用板材の他の実施の形態を要部について示した図である。
【
図14】(a)(b)は、本発明にしたがう建築、土木用板材の他の実施の形態を要部について示した図である。
【
図15】(a)~(d)は、本発明にしたがう建築、土木用板材の他の実施の形態を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう建築、土木用板材の実施の形態を模式的に示した外観斜視図である。また、
図2は、
図1に示した建築、土木用板材の正面図、
図3は、
図2に示した建築、土木用板材の背面図、
図4は、
図2に示した建築、土木用板材の平面図、
図5は、
図2に示した建築、土木用板材の底面図、
図6は、
図2に示した建築、土木用板材の右側面図、
図7は、
図2に示した建築、土木用板材の左側面図である。また、
図8は、本発明にしたがう建築、土木用板材を用いて構成された連結構造体の要部を示した図であり、
図9は、本発明にしたがう建築、土木用板材を用いて構成された連結構造体の外観斜視図である。
【0013】
本発明にしたがう建築、土木用板材は、隣接配置される他の建築、土木用板材の差し込み継手を、板材本体の幅方向の一端に設けられた受け継手に差し入れて連係させる一方、板材本体の差し込み継手を隣接配置される別の建築、土木用板材の受け継手に差し入れて連係させることにより板材同士を相互につなぎ合わせて建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築するものであって、外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築するに当たっては、同一の構成からなる建築、土木用板材を複数枚用いることを前提とする。
【0014】
なお、本発明において、隣接配置される他の建築、土木用板材、隣接配置される別の建築、土木用板材とは、本発明にしたがう建築、土木用板材と同様の構成からなる建築、土木用板材をいうものとする。
【0015】
建築、土木用板材は、厚さが0.5~0.8mm程度のめっき鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板またはそれらの塗装、被覆金属板等からなる単一の板材を用い、それにプレス成形、ロール成形等の成形加工を適宜施すことにより製造される。高さ寸法(山高)や幅寸法(働き幅)、長さについては、任意に変更される。
【0016】
図1~9における符号1は、矩形形状をなす例で示した板材本体、2は、板材本体1の幅方向の一端に設けられた受け継手、3は、板材本体1の幅方向のもう一端に設けられた差し込み継手である。
【0017】
板材本体1は、幅方向の中央部でその背面(平面側)を下地材(胴縁、ボード類)に近接または当接させることができるベース壁部1aと、一端がベース壁部1aの端縁に屈曲部4を介してつながり、他端が受け継手2、差し込み継手3にそれぞれつながる一対のサイド壁部1bから構成されている。ベース壁部1aは、本実施の形態では、ベース壁部1aの幅方向の中心が板材本体1の幅方向の中心に位置するものを例として示したが、ベース壁部1aは、幅方向の中心が板材本体1の幅方向の中心からずれた、いわゆる偏心タイプとしてもよい。
【0018】
一対のサイド壁部1bは、板材本体1の長手方向に沿って伸延し、該サイド壁部1bを板材本体1の幅方向において屈曲させる屈曲部K1~K3を有している。板材本体1は、ここでは、底面側を凹状としてその底面側を外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等の表面とする断面形状を有する2山タイプのものを例として示したが、本発明の建築、土木用板材は、図示した形状には限定されない。
【0019】
また、受け継手2は、サイド壁部1bの端縁に片持ち支持される受け部本体壁部2aと、該受け部本体壁部2aの自由端2a1に横向き配置でつながる細溝5を介して片持ち支持され、下地材に当接可能な固定壁部2bと、該固定壁部2bの自由端2b1につながる返し壁部2cとを有するもので構成されている。受け部本体壁部2a、固定壁部2b、返し壁部2cは、それらが協働してその内側に他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′を差し込む差し込み空間Mを区画形成している。返し壁部2cは、雨水等の侵入を防止する水切り片としても機能する。差し込み空間Mは、コの字断面形状をなしており、他の建築、土木用板材材S1の差し込み継手3′が受け継手2に差し込まれた場合に、該他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′と該受け部本体壁部2aとの相互間で板材本体1の長手方向に沿って伸延する幅狭の溝部6を形成する開放幅Wに設定されている。返し壁部2cは、変形強度を高めるために先端部にヘミング加工を施しておくことができる。
【0020】
また、差し込み継手3は、サイド壁部1bに片持ち支持される差し込み本体壁部3aと、固定壁部2bに沿う向きで該差し込み本体壁部3aの自由端3a1につながる片持ち舌片3bとを有するものである。片持ち舌片3bは、少なくとも先端部分3b1が細溝5に位置しその部位でのスプリングバックを伴って別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し込まれるものであり、差し込み継手3が、別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し込まれた場合に、該別の建築、土木用板材S2の差し込み継手3′と該差し込み本体壁部3aとの相互間で板材本体1の長手方向に沿って伸延する狭幅の溝部6を形成するか、差し込み本体壁部3aが、別の建築、土木用板材S2の受け部本体壁部2a′に当接する差し込み長さLを有する。
【0021】
本発明にしたがう建築、土木用板材を用いて外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等の連結構造体を構築するには、
図8に示すように、該板材本体1の差し込み継手3を別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し入れて連係させる一方、他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′を板材本体1の受け継手2に差し入れて連係させればよく、このとき、別の建築、土木用板材S2の受け継手2′の固定壁部2b′と片持ち舌片3bとは重ね合わせ状態におかれ、受け継手2の固定壁部2bと他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′の片持ち舌片3b′とは重ね合わせ状態におかれることになり、板材に過大な負圧が作用したとしても、その部位で板材が簡単に浮き上がることはない。
【0022】
板材本体1は、
図10に示すように、差し込み継手3を別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し入れた状態で受け継手2の固定壁部2bにビスBを打ち込んで下地材に固定したのち他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′を差し込んで板材同士を相互につなぎ合わせることができ、また、
図11に示すように、差し込み継手3を別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し入れた状態で他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′を受け継手2に差し込み、溝部6を通して該差し込み継手3′および固定壁部2bを貫通するようにビスBを打ち込んで下地材に固定することもできる。
【0023】
図10に示したものは、ビスBが他の建築、土木用板材S1の片持ち舌片3b′によって覆い隠される非露出タイプとしたものであり、これによれば見栄えがよいため、建屋の内壁や天井を構築する場合に好適であり、ビスBが他の建築、土木用板材S1の片持ち舌片3b′の表面において露出する
図11に示す露出タイプのものにおいては、板材の連結強度を高めることが可能であって、建屋の外壁、土木・インフラ工事の内外装板等を構築する場合に好適である。なお、固定壁部2bと片持ち舌片3b′との間には、止水性の改善を図るため、EPDM(エチレンプロピレン)系等のシール部材7を設けておくことができる。
【0024】
本発明にしたがう建築、土木用板材において、差し込み空間Mは、他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′が受け継手2に差し込まれた場合に、該他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′との相互間で板材本体1の長手方向に沿って伸延する幅狭の溝部6を形成することができる開放幅Wに設定されており、また、差し込み継手3の片持ち舌片3bは、別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し込まれた場合に、該別の差し込み継手3′と該差し込み本体壁部3aとの相互間で板材本体1の長手方向に沿って伸延する狭幅の溝部6を形成するか、差し込み本体壁部3aが別の建築、土木用板材S2の受け部本体壁部2a′に当接する差し込み長さLを有しているため、板材のジョイント部での変形抵抗が高く、風荷重等の外力が作用しても口開きによる形状変形を起こすことがない利点を有している。溝部6の幅は、ビスBが他の建築、土木用板材S1の片持ち舌片3b′の表面において露出する露出タイプを適用する場合においてビスBの打ち込みが容易になるように10~30mm程度に設定するのが望ましく、また、溝部6の深さは、25~45mm程度になるように高さ寸法(山高)を設定するのが望ましく、溝部6の幅と深さとの比は、1.0~5.0程度に設定するのが好ましい。
【0025】
図12(a)(b)は、本発明にしたがう建築、土木用板材の他の実施形態を要部について示した図である。差し込み本体壁部3aには差し込み継手3が別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し込まれた場合に該別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に連係して該差し込み継手3の、該受け継手2′からの引き抜けを防止する突起8を設けておくことができ、これにより、片持ち舌片3bによってビスBを覆い隠す非露出タイプのジョイント構造において板材の連結強度を高めることができる。なお、かかる突起8は、片持ち舌片3bに設けてもよい。
【0026】
図13(a)(b)は、返し壁部2cを延長するとともにその先端部を、他の建築、土木用板材S1の差し込み継手3′の差し込み本体壁部3a′に向けて屈曲させた腰折れ構造からなるものである。かかる建築、土木用板材によれば、止水性能をより一層高めることができる。
【0027】
図14(a)(b)は、差し込み継手3が別の建築、土木用板材S2の受け継手2′に差し込まれた場合に、差し込み本体壁部3aが別の建築、土木用板材S2の受け部本体壁部2a′に当接するように、片持ち舌片3bの長さを短縮した構造からなるものである。かかる建築、土木用板材にあっては、目地のない外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築することができる。
【0028】
図15(a)~(d)は、本発明にしたがう建築、土木用板材の他の実施の形態を模式的に示した図である。
図15(a)は、直線基調をなすサイド壁部1bを備え、板材本体1の底面側を凹状とした1山タイプの建築、土木用板材であり、
図15(b)は、屈曲部K1~K5により屈曲させたサイド壁部1bを備え、板材本体1の底面側を凹状とした3山タイプの建築、土木用板材であり、
図15(c)は、屈曲部K1~K6により屈曲させたサイド壁部1bを備え、板材本体1の底面側を凹状とした4山タイプの建築、土木用板材であり、
図15(d)は、屈曲部K1~K10により屈曲させたサイド壁部1bを備え、板材本体1の底面側を凹状とした5山タイプの建築、土木用板材である。
【0029】
本発明にしたがう建築、土木用板材は、サイド壁部1bを屈曲部K1~K10により任意に屈曲させて、板状本体1を底面側で凹状となる断面形状とすることにより負圧が作用してもアーチ効果により高耐力を期待することができる。また、かかる形状を付与することにより建築、土木用板材を固定する胴縁の本数も削減し得る。とくに、本発明にしたがう建築、土木用板材を用いた外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等は、オーロラ(光のカーテン)のような変化に富んだ仕上がりとなる。
【0030】
本発明では、建築、土木用板材を、建屋の外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築する場合を例として説明したが、建屋の屋根を葺きあげる屋根材として用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、ジョイント部での板材の浮き上がりや形状変形が抑制され、美観の良好な外壁、内壁、天井または土木・インフラ工事の内外装板等を構築し得る建築、土木用板材およびその板材を用いた連結構造体が提供できる。
【符号の説明】
【0032】
1 板材本体
1a ベース壁部
1b サイド壁部
2、2′ 受け継手
2a、2a′ 受け部本体壁部
2a1 自由端
2b、2b′ 固定壁部
2b1 自由端
2c 返し壁部
3、3′ 差し込み継手
3a、3a′ 差し込み本体壁部
3a1 自由端
3b、3b′ 片持ち舌片
3b1 先端部分
4 屈曲部
5 細溝
6 溝部
7 シール部材
8 突起
M 差し込み空間
B ビス
K1~K10 屈曲部
W 開放幅
L 差し込み長さ
S1 他の建築、土木用板材
S2 別の建築、土木用板材