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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064492
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】配車システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240507BHJP
   B61D 41/04 20060101ALI20240507BHJP
   B61D 37/00 20060101ALI20240507BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20240507BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240507BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240507BHJP
【FI】
G08G1/00 D
B61D41/04
B61D37/00 G
G08G1/127 B
G01C21/34
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173112
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 雅一
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2F129AA05
2F129BB03
2F129DD15
2F129EE79
2F129EE84
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF63
2F129FF68
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA06
5H181AA14
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF01
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF33
5H181LL09
5H181MA37
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】乗客の不満を少なくすることができる技術を提供する。
【解決手段】制御部は、前の乗客が旅客車両から降車した後に検出部により検出される旅客車両の車内状態を示す状態情報に基づいて、旅客車両の車内状態を所定の目標状態に改善する必要があると判断する場合は、旅客車両を所定の車両基地に回送する制御を実行し、旅客車両の回送中に乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、乗客が希望する乗車希望時刻と、旅客車両の車内状態が車両基地で目標状態に改善された後に旅客車両が乗車希望位置に到着する時刻である到着予想時刻とを比較し、到着予想時刻が乗車希望時刻より遅い場合は、乗客用端末が乗客から受け付ける所定の選択肢に応じて旅客車両の配車の態様を変えてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅客車両と、前記旅客車両と通信可能な乗客用端末とを備え、乗客が希望する乗車希望時刻に乗車希望位置まで前記旅客車両を配車するための配車システムであって、
前記旅客車両は、前記旅客車両の車内状態を検出する検出部と、制御部とを備え、
前記制御部は、前の乗客が前記旅客車両から降車した後に前記検出部により検出される前記旅客車両の車内状態を示す状態情報に基づいて、前記旅客車両の車内状態を所定の目標状態に改善する必要があると判断する場合は、前記旅客車両を所定の車両基地に回送する制御を実行し、前記旅客車両の回送中に前記乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、乗客が希望する前記乗車希望時刻と、前記旅客車両の車内状態が前記車両基地で前記目標状態に改善された後に前記旅客車両が前記乗車希望位置に到着する時刻である到着予想時刻とを比較し、前記到着予想時刻が前記乗車希望時刻より遅い場合は、前記乗客用端末が乗客から受け付ける所定の選択肢に応じて前記旅客車両の配車の態様を変える、配車システム。
【請求項2】
請求項1に記載の配車システムであって、
前記選択肢は、(1)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に改善された後に配車する、(2)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に改善されなくても配車する、又は(3)乗車希望を取り消す、のいずれかである、配車システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配車システムであって、
前記旅客車両は、自動運転車両である、配車システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の配車システムであって、
前記制御部は、前記旅客車両の回送中に前記乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、前記検出部により検出される前記旅客車両の車内状態を示す前記状態情報を前記乗客用端末に送信する、配車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、配車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているシステムは、乗客から乗車希望を受け付ける場合に、車両運行スケジュールを作成し、作成された車両運行スケジュールを乗客に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-280734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗客が乗車する旅客車両では、例えば、前の乗客が旅客車両の座席の上にゴミを落とす等により、旅客車両の車内状態が悪化することがある。その場合に、例えば所定の車両基地(例えば、タクシーの営業基地)で旅客車両の車内を清掃する等により、旅客車両の車内状態を改善することがある。しかしながら、旅客車両を車両基地に回送するためには時間を要する。また、旅客車両の車内を清掃するためにも時間を要する。このような状態で次の乗客からの乗車希望が受け付けられる場合は、旅客車両が次の乗客の乗車希望位置に到着する時刻が遅くなることが考えられる。そのため、乗客が不満を感じることがある。そこで本明細書は、乗客の不満を少なくすることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様では、配車システムが、旅客車両と、前記旅客車両と通信可能な乗客用端末とを備えている。配車システムは、乗客が希望する乗車希望時刻に乗車希望位置まで前記旅客車両を配車するためのシステムである。前記旅客車両は、前記旅客車両の車内状態を検出する検出部と、制御部とを備えていてもよい。前記制御部は、前の乗客が前記旅客車両から降車した後に前記検出部により検出される前記旅客車両の車内状態を示す状態情報に基づいて、前記旅客車両の車内状態を所定の目標状態に改善する必要があると判断する場合は、前記旅客車両を所定の車両基地に回送する制御を実行し、前記旅客車両の回送中に前記乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、乗客が希望する前記乗車希望時刻と、前記旅客車両の車内状態が前記車両基地で前記目標状態に改善された後に前記旅客車両が前記乗車希望位置に到着する時刻である到着予想時刻とを比較し、前記到着予想時刻が前記乗車希望時刻より遅い場合は、前記乗客用端末が乗客から受け付ける所定の選択肢に応じて前記旅客車両の配車の態様を変えてもよい。
【0006】
この構成によれば、旅客車両の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅い場合は、乗客用端末が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両の配車の態様を変えることにより、乗客の不満を少なくすることができる。例えば、選択肢に応じて、旅客車両の車内状態が目標状態に改善された後に配車することにより、旅客車両の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅くても、乗客は車内状態が改善された旅客車両に乗車することができるので、乗客の不満を少なくすることができる。また、選択肢に応じて、旅客車両の車内状態が目標状態に改善されなくても配車することにより、旅客車両が乗車希望位置に到着する時刻を早めることができる。これにより、乗客の不満を少なくすることができる。
【0007】
第2の態様では、上記第1の態様において、前記選択肢が、(1)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に改善された後に配車する、(2)前記旅客車両の車内状態が前記目標状態に改善されなくても配車する、又は(3)乗車希望を取り消す、のいずれかであってもよい。
【0008】
この構成によれば、乗客の不満を少なくすることができる。例えば、旅客車両の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅い場合は、選択肢に応じて乗車希望を取り消すことにより、乗客の不満を少なくすることができる。或いは、旅客車両の車内状態が目標状態に改善された後に配車することにより、乗客の不満を少なくすることができる。或いは、旅客車両の車内状態が目標状態に改善されなくても配車することにより、乗客の不満を少なくすることができる。
【0009】
第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、前記旅客車両が、自動運転車両であってもよい。
【0010】
旅客車両が自動運転車両である場合は、旅客車両の車両状態の改善作業を行うドライバーが存在しないことが考えられる。そのため、旅客車両の車両状態の改善作業を行うためには、旅客車両が車両基地に回送される必要があり、旅客車両の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅くなることがある。そのため、上記の構成が特に有効である。
【0011】
第4の態様では、上記第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記制御部が、前記旅客車両の回送中に前記乗客用端末が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、前記検出部により検出される前記旅客車両の車内状態を示す前記状態情報を前記乗客用端末に送信してもよい。
【0012】
この構成によれば、旅客車両の車内状態を示す状態情報を乗客用端末に送信することにより、乗客が旅客車両の車内状態を確認することができる。そのため、例えば、旅客車両の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅い場合に、乗客が旅客車両の車内状態を状態情報によって確認することにより、旅客車両の車内状態に応じて乗客が選択肢を検討することができる。これにより、乗客の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の配車システムのブロック図。
図2】実施例の旅客車両側の処理のフローチャート(1)。
図3】実施例の旅客車両側の処理のフローチャート(2)。
図4】実施例の乗客用端末側の処理のフローチャート(1)。
図5】実施例の乗客用端末側の処理のフローチャート(2)。
図6】実施例の配車画面を示す図。
図7】実施例の選択画面を示す図。
図8】実施例の準備画面を示す図。
図9】実施例の取消画面を示す図。
図10】変形例の旅客車両側の処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例の配車システムについて図面を参照して説明する。図1は、実施例の配車システム2のブロックである。図1に示すように、配車システム2は、旅客車両10と乗客用端末30を備えている。旅客車両10と乗客用端末30は、通信ネットワーク90(例えばインターネット)を介して互いに通信可能である。配車システム2は、乗客が希望する乗車希望時刻に乗車希望位置まで旅客車両10を配車するためのシステムである。
【0015】
旅客車両10は、例えば、ガソリン自動車、電気自動車、ハイブリッド自動車等である。また、旅客車両10は、自動運転車両である。旅客車両10は、車内カメラ12(検出部の一例)と、通信部14と、制御部16とを備えている。車内カメラ12は、旅客車両10の車内を撮像する装置である。車内カメラ12は、例えば、旅客車両10のバックミラーに取り付けられており、旅客車両10の車内全体を撮像範囲に含めた状態で車内を撮像することができる。通信部14は、通信ネットワーク90を介して、旅客車両10と乗客用端末30との通信を実行する。制御部16は、例えば、CPUとメモリ(例えば、ROM、RAM等)を備えており、所定のプログラムに従って旅客車両10に関する制御や処理を実行する。また、制御部16は、GPS(Global Positioning System)の技術により旅客車両10の現在位置を特定することができる。また、制御部16は、旅客車両10の自動運転を制御する。
【0016】
乗客用端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット等である。乗客用端末30は、タッチパネル32と、通信部34と、制御部36とを備えている。タッチパネル32は、配車システム2に関する様々な情報を表示すると共に、様々な情報入力を受け付ける。通信部34は、通信ネットワーク90を介して、乗客用端末30と旅客車両10との通信を実行する。制御部36は、例えば、CPUとメモリ(例えば、ROM、RAM等)を備えており、所定のプログラムに従って乗客用端末30に関する制御や処理を実行する。
【0017】
(旅客車両側の処理;図2図3
次に、旅客車両10で実行される旅客車両側の処理について説明する。旅客車両側の処理は、例えば、前の乗客が旅客車両10から降車すると開始される。乗客の降車は、例えば、旅客車両10のドアに設けられているセンサ(不図示)により検出される。図2に示すように、旅客車両側の処理のS2では、旅客車両10の制御部16が、車内カメラ12を介して旅客車両10の車内状態を示す車内画像情報(状態情報の一例)を取得する。車内カメラ12は、前の乗客が旅客車両10から降車した後に旅客車両10の車内を撮像する。車内カメラ12は、例えば、旅客車両10の座席、床、ドリンクホルダー、ダッシュボード等を撮像範囲に含めた状態で旅客車両10の車内を撮像する。車内カメラ12が旅客車両10の車内を撮像することにより、旅客車両10の車内状態を示す車内画像情報が取得される。旅客車両10では、前の乗客が旅客車両10の座席の上にゴミを落とす等により、前の乗客が降車した後の旅客車両10の座席の上にゴミが残っていることがある。この場合、S2で取得される車内画像情報では、旅客車両10の座席の上にゴミが存在している。
【0018】
続くS4では、制御部16が、上記のS2で取得される車内画像情報と、所定の基準画像情報とを比較する。続くS6では、制御部16が、車内画像情報と基準画像情報との比較に基づいて、旅客車両10の車内状態を所定の目標状態に改善する必要があるか否かを判断する。例えば、車内画像情報では旅客車両10の座席の上にゴミが存在しており、基準画像情報では旅客車両10の座席の上にゴミが存在していない場合は、制御部16は、旅客車両10の車内状態を目標状態に改善する必要があると判断する。一方、車内画像情報で旅客車両10の座席の上にゴミが存在していない場合は、制御部16は、旅客車両10の車内状態を目標状態に改善する必要がないと判断する。目標状態は、例えば、旅客車両10の座席の上にゴミが存在していない状態である。旅客車両10の車内状態を目標状態(例えば、座席の上にゴミが存在していない状態)に改善する必要があると判断される場合(S6でYESの場合)は、処理はS8に進む。一方、旅客車両10の車内状態を目標状態に改善する必要がないと判断される場合(S6でNOの場合)は、処理はS10に進む。S6でNOのS10では、制御部16が、旅客車両10をその場で待機させる制御を実行する。
【0019】
一方、S6でYESの後のS8では、制御部16が、旅客車両10を所定の車両基地(例えば、タクシー会社の営業基地)に回送する制御を実行する。制御部16は、自動運転制御により旅客車両10を車両基地に移動させる。車両基地は、旅客車両10の車内状態を目標状態に改善するための場所である。旅客車両10の車内状態を目標状態に改善するための作業が車両基地で行われる。例えば、車両基地に駐在する作業員が、車両基地に回送された旅客車両10の座席を清掃してゴミを除去することにより、旅客車両10の車内状態を目標状態(例えば、座席の上にゴミが存在していない状態)に改善する。旅客車両10の車内状態の改善が終了した場合は、改善終了情報が制御部16のメモリに保存される。例えば、改善作業を行う作業員が、改善作業が終了した後に、旅客車両10に設けられている所定の終了ボタン(不図示)を押すことにより、改善終了情報が制御部16のメモリに保存される。
【0020】
(乗客用端末側の処理;図4図5
次に、旅客車両側の処理の説明を中断して、乗客用端末側の処理について説明する。乗客用端末側の処理は、例えば、乗客用端末30にインストールされている所定のアプリケーションソフトが起動されると開始される。図4に示すように、乗客用端末側の処理のS52では、乗客用端末30の制御部36が、乗車希望が受け付けられたか否かを判断する。乗車希望は、旅客車両10への乗車を希望する乗客が乗客用端末30のタッチパネル32を操作することにより受け付けられる。旅客車両10への乗車を希望する乗客は、例えば、タッチパネル32に表示される乗車希望のボタン(不図示)を押すことにより乗車希望の意思を表示する。また、旅客車両10への乗車を希望する乗客は、タッチパネル32をタッチ操作することにより乗車希望時刻(例えば、12:00)を入力する。また、旅客車両10への乗車を希望する乗客は、タッチパネル32をタッチ操作することにより乗車希望位置(例えば、自宅前等)を入力する。タッチパネル32で乗車希望が受け付けられた場合(YESの場合)は、処理はS54に進む。乗車希望が受け付けられない場合(NOの場合)は、処理は待機する。
【0021】
続くS54では、制御部36が、上記のS52で受け付けられた乗車希望の旨を示す乗車希望情報を旅客車両10に送信する。また、制御部36は、タッチパネル32で入力された乗車希望時刻を特定するための乗車希望時刻情報と、乗車希望位置を特定するための乗車希望位置情報とを旅客車両10に送信する。
【0022】
(旅客車両側の処理;図2図3
次に、乗客用端末側の処理の説明を中断して、再び旅客車両10で実行される旅客車両側の処理について説明する。図3に示すように、旅客車両側の処理のS12(図2のS8又はS10に続く処理)では、旅客車両10の制御部16が、乗客用端末30から送信される乗車希望情報、乗車希望時刻情報及び乗車希望位置情報(図4のS54参照)を受信したか否かを判断する。乗車希望情報、乗車希望時刻情報及び乗車希望位置情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS14に進む。一方、乗車希望情報、乗車希望時刻情報及び乗車希望位置情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理はS40に進む。
【0023】
S12でNOの後のS40では、制御部16が、旅客車両10の車内状態の改善が終了したか否かを判断する。制御部16は、改善終了情報が制御部16のメモリに保存されている場合は、旅客車両10の車内状態の改善が終了したと判断する。一方、制御部16は、改善終了情報がメモリに保存されていない場合は、車内状態の改善が終了していないと判断する。車内状態の改善が終了したと判断される場合(YESの場合)は、処理はS42に進む。車内状態の改善が終了していないと判断される場合(NOの場合)は、処理はS12に戻る。S40でYESの後のS42では、制御部16が、旅客車両10を車両基地で待機させる制御を実行する。S42の後、処理はS12に戻る。
【0024】
S12でYESの後のS14では、制御部16が、旅客車両10が回送中であるか否かを判断する。旅客車両10が回送中であるか否かは、例えば、旅客車両10が自動運転制御により車両基地へ移動中か否かにより判断される。旅客車両10が回送中である場合(YESの場合)は、処理はS16に進む。旅客車両10が回送中でない場合(NOの場合)は、処理はS32に進む。旅客車両側の処理において、旅客車両10が回送中でない場合は、旅客車両10は車両基地又は前の乗客が降車した場所で待機中である。
【0025】
S14でNOの後のS32では、制御部16が、旅客車両10を乗車希望位置に配車可能であることを示す配車可能情報を乗客用端末30に送信する。続くS34では、制御部16が、上記のS12で受信した乗車希望位置情報により特定される乗車希望位置に旅客車両10を移動させる。制御部16は、自動運転制御により旅客車両10を乗車希望位置に移動させる。
【0026】
一方、上記のS14でYESの後のS16では、制御部16が、所定の到着予想時刻を算出する。所定の到着予想時刻は、車両基地へ回送中の旅客車両10が車両基地に到着し、車両基地で作業員が旅客車両10の車内状態の改善作業を行い、改善作業が終了した後に旅客車両10が乗車希望位置へ移動し、その旅客車両10が乗車希望位置に到着すると予想される時刻である。制御部16は、所定の計算プログラムに従って到着予想時刻を算出する。なお、変形例では、車両基地で車内状態の改善作業を行う作業員が、作業中又は作業後に、旅客車両10の入力部(例えば、カーナビゲーション)に到着予想時刻を入力してもよい。
【0027】
続くS18では、制御部16が、上記のS16で算出した到着予想時刻が、上記のS12で受信した乗車希望時刻情報により特定される乗車希望時刻(例えば、12:00)より遅いか否かを判断する。到着予想時刻が乗車希望時刻より遅い場合(YESの場合)は、処理はS20に進む。到着予想時刻が乗車希望時刻より早い場合(NOの場合)は、処理はS32に進む。S18でYESの後のS20では、制御部16が、旅客車両10の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅いことを示す配車遅延情報を乗客用端末30に送信する。一方、S18でNOの後のS32では、制御部16が、旅客車両10を乗車希望位置に配車可能であることを示す配車可能情報を乗客用端末30に送信する。続くS34では、制御部16が、旅客車両10を自動運転制御により乗車希望位置に移動させる。
【0028】
(乗客用端末側の処理;図4
次に、旅客車両側の処理の説明を再び中断して、乗客用端末側の処理について再び説明する。図4に示すように、乗客用端末側の処理のS56では、乗客用端末30の制御部36が、旅客車両10から送信される配車可能情報(図3のS32参照)を受信したか否かを判断する。配車可能情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS58に進む。S58では、制御部36が、例えば図6に示すような所定の配車画面SC1をタッチパネル32に表示する。
【0029】
一方、配車可能情報を受信しない場合(S6でNOの場合)は、処理はS60に進む。S60では、制御部36が、旅客車両10から送信される配車遅延情報(図3のS20参照)を受信したか否かを判断する。配車遅延情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS62に進む。配車遅延情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理はS56に戻る。
【0030】
S60でYESの後のS62では、制御部36が、例えば図7に示すような所定の選択画面SC2をタッチパネル32に表示する。選択画面SC2は、第1の選択肢と、第2の選択肢と、第3の選択肢とのいずれかを選択するための画面である。選択画面SC2は、第1の選択肢を選択するための第1の選択肢ボタンB1と、第2の選択肢を選択するための第2の選択肢ボタンB2と、第3の選択肢を選択するための第3の選択肢ボタンB3とを含む。第1の選択肢は、例えば、旅客車両10の車内状態が目標状態に改善された後に配車するという選択肢である。第2の選択肢は、例えば、旅客車両10の車内状態が目標状態に改善されなくても配車するという選択肢である。第3の選択肢は、例えば、乗車希望を取り消すという選択肢である。
【0031】
図5に示すように、S62(図4参照)に続くS64では、制御部36が、第1の選択肢が選択されたか否かを判断する。タッチパネル32の選択画面SC2(図7参照)に表示される第1の選択肢ボタンB1が押されると第1の選択肢(旅客車両10の車内状態が目標状態に改善された後に配車するという選択肢)が選択される。第1の選択肢が選択された場合(YESの場合)は、処理はS66に進む。S66では、制御部36が、第1の選択肢が選択されたことを示す第1の選択肢情報を旅客車両10に送信する。続くS68では、制御部36が、例えば図8に示すような所定の準備画面SC3をタッチパネル32に表示する。一方、第1の選択肢が選択されない場合(S64でNOの場合)は、処理はS70に進む。
【0032】
S70では、制御部36が、第2の選択肢が選択されたか否かを判断する。タッチパネル32の選択画面SC2(図7参照)に表示される第2の選択肢ボタンB2が押されると第2の選択肢(旅客車両10の車内状態が目標状態に改善されなくても配車するという選択肢)が選択される。第2の選択肢が選択された場合(YESの場合)は、処理はS72に進む。S72では、制御部36が、第2の選択肢が選択されたことを示す第2の選択肢情報を旅客車両10に送信する。続くS82では、制御部36が、例えば図6に示すような所定の配車画面SC1をタッチパネル32に表示する。一方、第2の選択肢が選択されない場合(S70でNOの場合)は、処理はS74に進む。
【0033】
続くS74では、制御部36が、第3の選択肢が選択されたか否かを判断する。タッチパネル32の選択画面SC2(図7参照)に表示される第3の選択肢ボタンB3が押されると第3の選択肢(乗車希望を取り消すという選択肢)が選択される。第3の選択肢が選択された場合(YESの場合)は、処理はS76に進む。S76では、制御部36が、第3の選択肢が選択されたことを示す第3の選択肢情報を旅客車両10に送信する。続くS78では、制御部36が、例えば図9に示すような所定の取消画面SC4をタッチパネル32に表示する。一方、第3の選択肢が選択されない場合(S74でNOの場合)は、処理はS64に戻る。
【0034】
(旅客車両側の処理;図2図3
次に、乗客用端末側の処理の説明を再び中断して、旅客車両10で実行される旅客車両側の処理について再び説明する。図3に示すように、旅客車両側の処理のS22では、旅客車両10の制御部16が、乗客用端末30から送信される第1の選択肢情報(図5のS66参照)を受信したか否かを判断する。第1の選択肢情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS24に進む。第1の選択肢情報を受信しない場合(NOの場合)は、処理はS28に進む。
【0035】
S22でYESの後のS24では、制御部16が、車両基地に回送された旅客車両10の車内状態の改善が終了したか否かを判断する。制御部16は、改善終了情報が制御部16のメモリに保存されている場合は、旅客車両10の車内状態の改善が終了したと判断する。一方、制御部16は、改善終了情報がメモリに保存されていない場合は、車内状態の改善が終了していないと判断する。車内状態の改善が終了したと判断される場合(YESの場合)は、処理はS26に進む。車内状態の改善が終了していないと判断される場合(NOの場合)は、処理は待機する。S26では、制御部16が、改善終了情報を乗客用端末30に送信する。続くS34では、制御部16が、旅客車両10を自動運転制御により乗車希望位置に移動させる。
【0036】
上記のS22でNOの後のS28では、制御部16が、乗客用端末30から送信される第2の選択肢情報(図5のS72参照)を受信したか否かを判断する。第2の選択肢情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS34に進む。S34では、制御部16が、旅客車両10を自動運転制御により乗車希望位置に移動させる。一方、第2の選択肢情報を受信しない場合(S28でNOの場合)は、処理はS30に進む。
【0037】
S30では、制御部16が、乗客用端末30から送信される第3の選択肢情報(図3のS76参照)を受信したか否かを判断する。第3の選択肢情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS38に進む。第3の選択肢情報を受信しない場合(NOの場合)、処理はS22に戻る。S30でYESの後のS38では、制御部16が、旅客車両10を乗車希望位置へ移動させずに車両基地で待機させる。S38の後、旅客車両側の処理が終了する。
【0038】
また、上記のS34に続くS36では、制御部16が、旅客車両10が乗車希望位置に到着したか否かを判断する。旅客車両10が乗車希望位置に到着した場合(YESの場合)は、旅客車両側の処理が終了する。旅客車両10が乗車希望位置に到着しない場合(NOの場合)は、処理は待機する。
【0039】
(乗客用端末側の処理;図4図5
次に、再び乗客用端末30で実行される乗客用端末側の処理について説明する。図5に示すように、乗客用端末側の処理のS68に続くS80では、乗客用端末30の制御部36が、旅客車両10から送信される改善終了情報(図3のS26参照)を受信したか否かを判断する。改善終了情報を受信した場合(YESの場合)は、処理はS82に進む。改善終了情報を受信しない場合(NOの場合)、処理は待機する。S82では、制御部36が、例えば図6に示すような所定の配車画面SC1をタッチパネル32に表示する。乗客用端末側の処理は、S82、S78、又はS58(図4参照)の後に終了する。
【0040】
(効果)
以上、実施例の配車システム2について説明した。以上の説明から明らかなように、配車システム2では、旅客車両10の制御部16が、前の乗客が旅客車両10から降車した後に車内カメラ12により撮像される旅客車両10の車内状態を示す車内画像情報に基づいて、旅客車両10の車内状態を目標状態に改善する必要があると判断する場合は、旅客車両10を車両基地に回送する制御を実行する。制御部16は、旅客車両10の回送中に乗客用端末30が乗客から乗車希望を受け付ける場合に、乗客が希望する乗車希望時刻と、旅客車両10の車内状態が車両基地で目標状態に改善された後に旅客車両10が乗車希望位置に到着する時刻である到着予想時刻とを比較し、到着予想時刻が乗車希望時刻より遅い場合は、乗客用端末30が乗客から受け付ける選択肢に応じて旅客車両10の配車の態様を変える。
【0041】
乗客から受け付ける選択肢は、(1)旅客車両10の車内状態が目標状態に改善された後に配車する、(2)旅客車両10の車内状態が目標状態に改善されなくても配車する、又は(3)乗車希望を取り消す、のいずれかである。
【0042】
この構成によれば、乗客の不満を少なくすることができる。例えば、乗客から受け付ける選択肢に応じて、旅客車両10の車内状態が目標状態に改善された後に配車することにより、旅客車両10の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅くても、乗客は車内状態が改善された旅客車両10に乗車することができるので、乗客の不満を少なくすることができる。また、乗客から受け付ける選択肢に応じて、旅客車両10の車内状態が目標状態に改善されなくても配車することにより、旅客車両10が乗車希望位置に到着する時刻を早めることができる。また、旅客車両10の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅い場合は、選択肢に応じて乗車希望を取り消すことができる。これにより、乗客の不満を少なくすることができる。
【0043】
また、旅客車両10が自動運転車両である場合は、旅客車両10の車両状態の改善作業を行うドライバーが存在しないことが考えられる。そのため、旅客車両10の車両状態の改善作業を行うためには、旅客車両10が車両基地に回送される必要があり、旅客車両10の到着予想時刻が乗客の乗車希望時刻より遅くなることがある。そのため、上記の構成が特に有効である。
【0044】
(変形例)
(1)上記の実施例では、旅客車両10の車内状態を検出する検出部の一例として車内カメラ12について説明したが、この構成に限定されない。変形例では、検出部として、旅客車両10の車内の臭いを検出する臭いセンサ(不図示)が用いられてもよい。この場合、臭いセンサにより検出される旅客車両10の車内の臭いの状態を示す情報が「状態情報」の一例である。
【0045】
(2)変形例では、図10に示すように、旅客車両10の制御部16が、S12の処理の後にS102の処理を実行してもよい。S102では、制御部16が、S2(図2参照)で取得される車内画像情報を乗客用端末30に送信する。乗客用端末30の制御部36は、旅客車両10から送信される車内画像情報(S102参照)をタッチパネル32に表示する。制御部36は、旅客車両10から車内画像情報を受信した後にそれを自動的にタッチパネル32に表示してもよい。或いは、制御部36は、受信した車内画像情報をメモリに保存してもよい。制御部36は、乗客がタッチパネル32をタッチ操作した場合に、メモリに保存された車内画像情報をタッチパネル32に表示してもよい。
【0046】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
2:配車システム、10:旅客車両、12:車内カメラ、14:通信部、16:制御部、30:乗客用端末、32:タッチパネル、34:通信部、36:制御部、90:通信ネットワーク
図1
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