(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064494
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】半導体素子の製造方法、半導体層支持構造体、および半導体基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240507BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/304 631
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173115
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】十文字 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】小酒 達
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】北島 由隆
【テーマコード(参考)】
5F057
【Fターム(参考)】
5F057AA06
5F057BA17
5F057BB12
5F057BB18
5F057CA13
5F057DA11
5F057EC10
(57)【要約】
【課題】研磨時に半導体層にかかる負荷の低減を目的とする。
【解決手段】半導体素子の製造方法は、サファイヤ基板(11)上に、窒化物半導体を含む半導体層(12)と当該半導体層(12)上に形成された支持体(13)とをそれぞれ含む複数の島を形成する形成工程と、支持体(13)を、粘着部材(14)を介して保持基板(15)に接合する接合工程と、半導体層(12)にレーザ光を照射し、半導体層(12)をサファイヤ基板(11)から剥離する剥離工程と、半導体層(12)のサファイヤ基板(11)から分離された表面(12s)を研磨する研磨工程とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サファイヤ基板上に、窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島を形成する形成工程と、
前記支持体を、粘着部材を介して保持基板に接合する接合工程と、
前記半導体層にレーザ光を照射し、前記半導体層を前記サファイヤ基板から剥離する剥離工程と、
前記半導体層の前記サファイヤ基板から剥離された表面を研磨する研磨工程と
を有する半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記半導体層は、前記サファイヤ基板と反対側に、前記支持体が形成される形成面を有し、
前記形成面には、当該形成面と平行で且つ互いに直交する第1の方向および第2の方向に延在する溝部が形成され、
前記支持体の一部は前記溝部に入り込み、前記溝部の内面と接合されている
請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記支持体は、
前記半導体層上に形成される第1の支持体と、
前記第1の支持体上に形成される第2の支持体と
を有する
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記複数の島は、
前記サファイヤ基板上に窒化物半導体を含む半導体薄膜層を形成し、
前記半導体薄膜層を複数の半導体層に分割し、
前記複数の半導体層を覆うように支持体層を形成し、
前記支持体層を、前記半導体層に対応して複数の支持体に分割することにより形成する
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記支持体層を複数の支持体に分割する工程では、
前記サファイヤ基板の外周領域に位置する支持体の面積を、前記サファイヤ基板の中央領域に位置する支持体の面積よりも大きく形成する
請求項4に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記支持体のヤング率は、前記半導体層のヤング率よりも小さい
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記支持体の厚さは、前記半導体層の厚さよりも厚い
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項8】
前記粘着部材は、前記半導体層および前記支持体よりも柔らかい
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項9】
前記粘着部材の厚さは、前記半導体層の厚さと前記支持体の厚さとの合計よりも厚い
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項10】
前記粘着部材は、基材と、前記基材の前記支持体側の面に設けられた第1の粘着層と、前記第1の粘着層と反対側の面に設けられた第2の粘着層とを有する
請求項1または2に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項11】
窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島と、
前記複数の島の前記支持体が粘着部材によって接合された保持基板と
を有する半導体層支持構造体。
【請求項12】
前記半導体層は、前記支持体が形成される形成面を有し、
前記形成面には、当該形成面と平行で且つ互いに直交する第1の方向および第2の方向に延在する溝部が形成され、
前記支持体の一部は、前記溝部に入り込み、前記溝部の底部および側面と接合されている
請求項11に記載の半導体層支持構造体。
【請求項13】
前記支持体は、
前記半導体層上に形成される第1の支持体と、
前記第1の支持体上に形成される第2の支持体と
を有する
請求項11または12に記載の半導体層支持構造体。
【請求項14】
前記粘着部材は、前記半導体層および前記支持体よりも柔らかい
請求項11または12に記載の半導体層支持構造体。
【請求項15】
サファイヤ基板と、
前記サファイヤ基板上に形成され、窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島と、
前記複数の島の前記支持体が粘着部材によって接合された保持基板と
を有する半導体基板。
【請求項16】
前記半導体層は、前記サファイヤ基板と反対側に、前記支持体が形成される形成面を有し、
前記形成面には、当該形成面と平行で且つ互いに直交する第1の方向および第2の方向に延在する溝部が形成され、
前記支持体の一部は、前記溝部に入り込み、前記溝部の底部および側面と接合されている
請求項15に記載の半導体基板。
【請求項17】
前記支持体は、
前記半導体層上に形成される第1の支持体と、
前記第1の支持体上に形成される第2の支持体と
を有する
請求項15または16に記載の半導体基板。
【請求項18】
前記粘着部材は、前記半導体層および前記支持体よりも柔らかい
請求項15または16に記載の半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体素子の製造方法、半導体層支持構造体、および半導体基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体層の表面を研磨により平坦化する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-86388号公報(要約参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体層の表面の平坦性の向上に伴い、研磨時に半導体層にかかる負荷(応力等)が増加する傾向にある。そのため、研磨時に半導体層にかかる負荷の低減が求められている。
【0005】
本開示は、研磨時に半導体層にかかる負荷の低減を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体素子の製造方法は、サファイヤ基板上に、窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島を形成する形成工程と、前記支持体を、粘着部材を介して保持基板に接合する接合工程と、前記半導体層にレーザ光を照射し、前記半導体層を前記サファイヤ基板から剥離する剥離工程と、前記半導体層の前記サファイヤ基板から剥離された表面を研磨する研磨工程とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半導体層が支持体に支持された状態で、半導体層の表面を研磨するため、研磨時に半導体層にかかる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】実施の形態1の半導体素子の製造方法において、サファイヤ基板上に半導体薄膜層を形成した状態を概略的に示す斜視図(A)および断面図(B)である。
【
図3】実施の形態1の半導体素子の製造方法において、サファイヤ基板上で分離された半導体層を概略的に示す平面図である。
【
図4】実施の形態1の半導体素子の製造方法における、半導体薄膜層の個片化工程、支持体層の形成工程、および支持体層の個片化工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【
図5】実施の形態1の半導体素子の製造方法において、支持体を粘着部材を介して保持基板に接合した状態を概略的に示す断面図である。
【
図6】
図5の粘着部材の構成例を概略的に示す断面図(A),(B)である。
【
図7】実施の形態1の半導体素子の製造方法における、半導体層のサファイヤ基板からの剥離工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【
図8】実施の形態1の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨工程を概略的に示す断面図(A)および斜視図(B)である。
【
図9】実施の形態1の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨後の半導体層支持構造体を概略的に示す断面図である。
【
図10】実施の形態1の半導体素子の製造方法における、半導体層のシリコン基板への接合工程と、粘着部材の除去工程と、支持体の除去工程とを概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【
図11】実施の形態1の研磨工程におけるスラリーの流れを概略的に示す図である。
【
図12】比較例の半導体層の研磨状態と、実施の形態1の半導体層の研磨状態とを概略的に示す図(A)~(D)である。
【
図13】実施の形態2の半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図14】実施の形態2の半導体素子の製造方法における、半導体薄膜層の個片化工程、第1の支持体層の形成工程、第1の支持体層の個片化工程、第2の支持体層の形成工程、および第2の支持体層の個片化工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C),(D),(E)である。
【
図15】実施の形態2の半導体素子の製造方法における、半導体層のサファイヤ基板からの剥離工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【
図16】実施の形態2の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨工程を概略的に示す断面図(A)および斜視図(B)である。
【
図17】実施の形態2の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨後の半導体層支持構造体を概略的に示す断面図である。
【
図18】実施の形態2の半導体素子の製造方法における、半導体層のシリコン基板への接合工程と、粘着部材の除去工程と、第2の支持体の除去工程と、第1の支持体の除去工程とを概略的に示す断面図(A),(B),(C),(D)である。
【
図19】実施の形態3の半導体素子の製造方法における、サファイヤ基板上で分離された半導体層を示す平面図である。
【
図20】実施の形態3の半導体素子の製造方法における、半導体層上の支持体を示す平面図である。
【
図21】実施の形態3の半導体素子の製造方法における、半導体薄膜層の個片化工程、支持体層の形成工程、および支持体層の個片化工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【
図22】実施の形態3の半導体素子の製造方法における支持体層の個片化工程を概略的に示す、
図21(C)とは別の断面における断面図である。
【
図23】実施の形態3の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨工程を概略的に示す断面図(A)および斜視図(B)である。
【
図24】実施の形態4の半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図25】実施の形態4の半導体素子の製造方法において、サファイヤ基板上で分離された半導体層を概略的に示す平面図(A)、および1つの半導体層を拡大して示す平面図(B)である。
【
図26】実施の形態4の半導体素子の製造方法における、半導体薄膜層の個片化工程、半導体層への溝部の形成工程、支持体層の形成工程、および支持体層の個片化工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C),(D)である。
【
図27】実施の形態4の半導体素子の製造方法において、支持体を粘着部材を介して保持基板に接合した状態を概略的に示す断面図である。
【
図28】実施の形態4の半導体素子の製造方法における、半導体層と支持体とを含む島の例を示す図(A),(B)である。
【
図29】実施の形態4の半導体素子の製造方法における、半導体層のサファイヤ基板からの剥離工程を概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【
図30】実施の形態4の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨工程を概略的に示す断面図(A)および斜視図(B)である。
【
図31】実施の形態4の半導体素子の製造方法における、半導体層の研磨後の支持構造体を概略的に示す断面図である。
【
図32】実施の形態4の半導体素子の製造方法における、半導体層のシリコン基板への接合工程と、粘着部材の除去工程と、支持体の除去工程とを概略的に示す断面図(A),(B),(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態に係る半導体素子の製造方法、並びに、半導体素子の製造に用いる半導体層支持構造体について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
≪実施の形態1≫
図1は、実施の形態1の半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すステップS101では、成長基板としてのサファイヤ基板11上に半導体薄膜層12aを形成する。
図2(A)および(B)は、サファイヤ基板11上に半導体薄膜層12aを形成した状態を概略的に示す斜視図および断面図である。
【0011】
<半導体層の形成工程>
サファイヤ基板11は、その表面に半導体薄膜層12aをエピタキシャル成長させる成長基板であり、ここでは円形のウエハである。なお、半導体薄膜層12aをエピタキシャル成長させることができれば、サファイヤ基板以外の成長基板を用いてもよい。
【0012】
半導体薄膜層12aは、窒化物半導体からなる層であり、より具体的にはGaN(窒化ガリウム)からなる層である。半導体薄膜層12aは、サファイヤ基板11上にGaN層の単結晶をエピタキシャル成長させることによって形成することができる。なお、半導体薄膜層12aは、窒化物半導体からなる層には限定されず、窒化物半導体以外の半導体をさらに含んでいてもよい。
【0013】
半導体薄膜層12aは、LED(発光ダイオード)として用いられる場合には、例えば、バッファ層、n型GaN層、n型AlGaN層、InGaN層、p型AlGaN層、p型GaN層を積層した積層体とすることができる。
【0014】
<半導体薄膜層の個片化工程>
続くステップS102(
図1)では、サファイヤ基板11上の半導体薄膜層12aを、フォトリソグラフィによりパターニングし、複数の半導体層12に分離(個片化)する。なお、半導体層12は、半導体薄膜(または半導体薄膜片)とも称する。
【0015】
図3は、分離後の半導体層12を示す平面図である。半導体層12は、互いに直交する2方向に延在する溝部101によって、グリッド状に分離されている。半導体層12は、例えば、1辺が1mm~10mmの正方形である。但し、半導体層12の形状は正方形に限らず、長方形であってもよく、他の形状であってもよい。
【0016】
図3に示した例では、サファイヤ基板11上に29個の半導体層12が配列されており、チップ部(個片化部)P1~P29を構成している。これらのうち、25個のチップ部P2~P11,P13~P17,P19~P28は、5行5列に形成されている。また、1行目の中央(チップ部P4)、1列目の中央(チップ部P13)、5列目の中央(チップ部P17)および5行目の中央(チップ部P26)のそれぞれの外周側に、チップ部P1,P12,P18,P29が形成されている。但し、チップ部の数および配列は、この例には限定されない。
【0017】
図4(A),(B),(C)は、サファイヤ基板11上の半導体薄膜層12aの個片化工程、支持体層13aの形成工程、および支持体層13aの個片化工程を概略的に示す断面図である。
図4(A)~(C)は、
図3に示した符号A-Aにおける断面図に相当する。
【0018】
<支持体層の形成工程>
ステップS103(
図1)では、
図4(B)に示すように、サファイヤ基板11上で分離された半導体層12を覆うように、支持体層13aを形成する。支持体層13aは、樹脂で形成される。より具体的には、支持体層13aは、エポキシ樹脂である「EPON_SU-8」をベースにしたネガティブ型のフォトレジストで形成される。
【0019】
<支持体層の個片化工程>
続くステップS104(
図1)では、
図4(C)に示すように、支持体層13aをフォトリソグラフィによりパターニングし、半導体層12と同様に、複数の支持体13に分離(個片化)する。すなわち、支持体13は、半導体層12と同様に、溝部101によって互いに分離される。
【0020】
これにより、サファイヤ基板11上には、半導体層12と支持体13とが積層された複数の島(積層構造体)が形成される。
【0021】
半導体層12の厚さは、例えば1μm~10μmの範囲内である。一方、支持体13の厚さは、半導体層12の厚さよりも厚く(より望ましくは2倍以上であり)、例えば10μm~100μmの範囲内である。
【0022】
また、半導体層12のヤング率は、例えば200GPaである。一方、支持体13のヤング率は、半導体層12のヤング率よりも小さく、例えば2.7GPaである。言い換えると、支持体13は半導体層12よりも柔らかく、変形し易い。
【0023】
<ガラス基板への接合工程>
続くステップS105(
図1)では、半導体層12上の支持体13を、粘着部材14を介して、ガラス基板15に接合する。
図5は、支持体13を、粘着部材14を介してガラス基板15に接合した状態を概略的に示す断面図である。
【0024】
ガラス基板15は、サファイヤ基板11と半導体層12と支持体13とを保持する保持基板である。なお、保持基板として必要な強度および耐溶剤性を有していれば、ガラス基板の代わりに、他の材質の保持基板を用いてもよい。
【0025】
支持体13を粘着部材14によりガラス基板15に接合することにより、サファイヤ基板11と、半導体層12および支持体13からなる複数の島(積層構造体)と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、半導体基板100が形成される。
【0026】
粘着部材14は、半導体層12および支持体13よりも柔らかい。粘着部材14は、その一部または全部が後述する粘着層で形成されており、粘着層は粘弾性を有する。半導体層12と支持体13とからなる島および粘着部材14が、ガラス基板15等を介して、半導体層12と支持体13との積層方向に荷重を受けた場合には、粘着部材14が半導体層12および支持体13よりも変形し易い。
【0027】
そのため、例えば後述する研磨工程において、半導体層12と支持体13とからなる島および粘着部材14が、研磨装置のキャリア50(
図8(A))から上記積層方向に荷重を受けた場合には、粘着部材14が変形し易く、半導体層12に加わる応力等を吸収することができる。
【0028】
図6(A),(B)は、粘着部材14の構成例を概略的に示す断面図である。
図6(A)に示した例では、粘着部材14は粘着シートとして構成されている。この場合、粘着部材14は、基材141と、基材141の支持体13側の面に設けられた第1の粘着層142と、基材141のガラス基板15側の面に設けられた第2の粘着層143とを有する。
【0029】
基材141は、ヤング率が1GPa以上であることが望ましい。基材141の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン等である。
【0030】
基材141がポリエステル(一例として、ポリエチレンテレフタレート(PET))で形成されている場合、ヤング率は、例えば4.6~5.1GPaである。基材141の厚さは、例えば100μmである。
【0031】
粘着層142,143は、50℃での貯蔵弾性率が0.03~0.15MPaである粘着剤で形成されている。粘着層142,143のそれぞれの厚さは、約1μm~10μm以下である。粘着層142,143の材質は、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤である。
【0032】
粘着部材14が粘着シートの場合、粘着部材14の厚さは、半導体層12の厚さ(1μm~10μm)と支持体13の厚さ(10μm~100μm)との合計よりも厚い。
【0033】
このような粘着部材14(粘着シート)としては、例えば、熱剥離式の粘着シートを用いることができる。熱剥離式の粘着シートは、常温で粘着力を発揮し、加熱すると粘着力を消失するため、後述する粘着部材14の除去(ステップS109)を簡単に行うことができる。
【0034】
一方、
図6(B)に示した例では、粘着部材14は基材を有さず、粘着層140の一層で構成されている。粘着層140の厚さ、材質および貯蔵弾性率は、
図6(A)に示した粘着層142,143と同様である。
【0035】
<半導体層の剥離工程>
続くステップS106(
図1)では、半導体層12にレーザ光を照射し、半導体層12をサファイヤ基板11から剥離する。
図7(A)~(C)は、半導体層12のサファイヤ基板11からの剥離工程を概略的に示す断面図である。
【0036】
サファイヤ基板11はレーザ光を透過するため、
図7(A)に示すように、半導体基板100のサファイヤ基板11側から、半導体層12にレーザ光(符号Lで示す)を照射することができる。
【0037】
レーザ光はサファイヤ基板11と半導体層12との界面に照射され、半導体層12のレーザ光が照射された部分が局所的に加熱されて昇華する。これにより、
図7(B)に示すように、半導体層12がサファイヤ基板11から剥離する。このようにレーザ光を用いて半導体層12をサファイヤ基板11から剥離する方法を、レーザーリフトオフと称する。
【0038】
これにより、半導体層12と支持体13とからなる複数の島が粘着部材14を介してガラス基板15で支持された中間構造体(研磨前構造体)110が得られる。半導体層12のサファイヤ基板11から剥離した表面12s(後述するステップS108でシリコン基板21に接合される接合面)は、剥離工程でのレーザ光の照射により表面粗さが粗くなっている。
【0039】
<半導体層の研磨工程>
続くステップS107(
図1)では、半導体層12の表面12sを研磨する。
図8(A),(B)は、半導体層12の表面12sの研磨工程を概略的に示す断面図および斜視図である。
【0040】
図8(A)に示すように、研磨装置は、中間構造体110を保持するキャリア50と、中間構造体110の半導体層12を研磨する研磨プレート60とを有する。キャリア50は、例えば、研磨プレート60と対向する円板部52と、これを支持する支軸51とを有する。研磨工程では、中間構造体110のガラス基板15を、キャリア50の円板部52の底面に固定する。
【0041】
図8(B)に示すように、研磨プレート60は、その表面に研磨パッド61を有し、当該表面に直交する回転軸Axを中心として矢印Rで示す方向に回転する。研磨プレート60の回転に加えて、キャリア50を支軸51を中心に回転させてもよい。
【0042】
キャリア50は研磨プレート60に向けて押圧され、半導体層12の表面12sが研磨プレート60の研磨パッド61に押し当てられる。研磨プレート60の研磨パッド61上には、砥粒(研磨剤)を含むスラリーが供給される。
【0043】
研磨方法は、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)を用いる。CMPは、砥粒が有する表面化学作用、またはスラリーに含まれる化学成分の作用によって、スラリーと研磨対象物との相対運動による機械的研磨(表面除去)効果を増大させ、極めて平滑な研磨面を得る技術である。
【0044】
この実施の形態1では、スラリーが、半導体層12と支持体13とを含む島の間の溝部101を流れるため、研磨効果が増大し、半導体層12の表面12sを、表面粗さが10nm以下となるように容易に平滑化することができる。
【0045】
また、半導体層12が、この半導体層12よりも厚く且つヤング率が低い支持体13に支持されているため、半導体層12が研磨時に受ける負荷(応力など)が低減され、半導体層12の表面12sの割れや欠けの発生を防止することができる。
【0046】
以上の研磨工程により、
図9に示すように、半導体層12と支持体13とからなる複数の島が、粘着部材14を介してガラス基板15で支持された、半導体層支持構造体120が得られる。
【0047】
図10(A),(B),(C)は、半導体層12のシリコン基板21への接合工程、粘着部材14の除去工程、および支持体13の除去工程を示す模式図である。
【0048】
<シリコン基板への接合工程>
続くステップS108(
図1)では、キャリア50から取り外した半導体層支持構造体120の半導体層12の表面12sを、
図10(A)に示すように、転写基板としてのシリコン基板21に接合する。
【0049】
シリコン基板21は、シリコン(Si)で形成された基板であり、成長基板としてのサファイヤ基板11とは異種の基板である。半導体層12の表面12sは、表面粗さが10nm以下となる高い平滑性を有するため、分子間力によってシリコン基板21の表面に接合される。
【0050】
なお、シリコン基板21には、予め配線パターン等を形成しておいてもよい。また、シリコン基板21の代わりに、他の材質の転写基板を用いてもよい。
【0051】
<粘着部材の除去工程>
続くステップS109(
図1)では、
図10(B)に示すように、粘着部材14を除去する。粘着部材14として熱剥離式の粘着シート(
図6(A))を用いた場合には、所定の温度まで加熱して粘着部材14の粘着力を消失させることにより、粘着部材14を支持体13から剥離することができる。
【0052】
粘着部材14が粘着層140(
図6(B))である場合には、例えば、溶剤(薬品)で粘着層140を溶解することで除去することができる。
【0053】
<支持体の除去工程>
続くステップS110(
図1)では、
図10(C)に示すように、半導体層12上の支持体13を除去する。支持体13は、例えば、有機溶剤で溶解することで除去することができる。
【0054】
支持体13を除去することにより、シリコン基板21上に複数の半導体層12がグリッド状に配列されたベース基板130が得られる。半導体層12は、半導体素子とも称する。
【0055】
ベース基板130の半導体層12は、パターニングによってメサ構造を形成し、電極あるいは配線パターンを形成することにより、例えばLEDとなる。これにより、例えば、シリコン基板21上にLEDがグリッド状に配列されたマイクロLED表示装置が形成される。
【0056】
<作用>
成長基板上にエピタキシャル成長によって形成した半導体層を、成長基板から剥離し、別の基板に転写して用いる技術が知られている。成長基板としてサファイヤ基板を用いた場合には、サファイヤ基板はレーザ光を透過するため、レーザ光の照射によって半導体層をサファイヤ基板から剥離するのが有利である。
【0057】
但し、レーザ光の照射によってサファイヤ基板から剥離した半導体層の表面は、粗くなりやすい。そのため、半導体層の表面をCMP研磨等によって平滑化する必要がある。特に、剥離した半導体層を分子間力によって他の基板に接合する場合には、半導体層の表面(接合面)の平滑性を十分に高くしなければならない。
【0058】
一方、平滑性を高めるために研磨レートを高くし、あるいは研磨時間を長くすると、半導体層の表面にかかる負荷が大きくなり、半導体層の表面に割れや欠けが生じ易い。そのため、半導体層の表面の平滑性を高めながら、研磨時の半導体層の負荷を低減することが求められている。
【0059】
この実施の形態1では、
図8(A)に示したように、予め分離(個片化)された半導体層12と支持体13とを含む複数の島を、粘着部材14を介してガラス基板15で保持した状態で、半導体層12の表面12sを研磨する。
【0060】
図11には、研磨工程で研磨パッド61上に供給されたスラリーの流れを概略的に示す図である。研磨工程で研磨パッド61上に供給されたスラリーは、グリッド状に配列された島(半導体層12および支持体13)の間の溝部101を流れる。
【0061】
そのため、全ての半導体層12の表面12sに満遍なくスラリーを行き渡らせることができ、これらの表面12sを十分に研磨することができる。これにより、半導体層12の表面12sを、例えば表面粗さが10nm以下となるように容易に平滑化することができる。
【0062】
また、半導体層12を、この半導体層12よりも厚く、且つヤング率が小さい支持体13によって支持しているため、研磨工程において半導体層12に加わる応力等を支持体13で吸収し、半導体層12にかかる負荷を低減することができる。
【0063】
また、粘着部材14は、半導体層12および支持体13よりも柔らかい。言い換えると、半導体層12および支持体13が積層される方向(
図8(A)の上下方向)の荷重に対して、粘着部材14は半導体層12および支持体13よりも変形しやすい。そのため、研磨時に半導体層12に加わる応力等を粘着部材14によって吸収しやすく、半導体層12にかかる負荷をさらに低減することができる。
【0064】
また、粘着部材14が粘着シート(
図6(A))の場合、粘着部材14の厚さを半導体層12の厚さと支持体13の厚さとの合計よりも厚くすることで、半導体層12にかかる負荷をさらに低減することができる。
【0065】
図12(A),(B)は、比較例における研磨状態を示す。比較例では、支持体13を設けずに、半導体層12を粘着部材14を介してガラス基板15で保持して研磨を行っている。
図12(C),(D)は、実施の形態1における研磨状態を示す。
【0066】
比較例では、
図12(A)に示すように、半導体層12が粘着部材14を介してガラス基板15に保持されている。そのため、研磨プレート60から半導体層12に加わる圧力により、
図12(B)に示すように、半導体層12が粘着部材14にめり込みやすい。その結果、半導体層12の表面と研磨プレート60との接触が不十分になり、研磨レートが低下する可能性がある。
【0067】
これに対し、実施の形態1では、
図12(C)に示すように、半導体層12上の支持体13が粘着部材14を介してガラス基板15に保持されている。そのため、
図12(D)に示すように、半導体層12の粘着部材14へのめり込みが生じにくい。その結果、半導体層12の表面と研磨プレート60との接触が十分に確保され、研磨レートが十分に確保される。
【0068】
このように、実施の形態1では、支持体13を設けることで、半導体層12の表面の平滑性をより高めることができる。また、研磨レートの向上により、研磨に要する時間を短縮できるため、研磨時間が長いことによる半導体層12への負荷を低減することができる。
【0069】
<実施の形態1の効果>
以上説明したように、実施の形態1の半導体素子の形成方法は、サファイヤ基板11上に、窒化物半導体を含む半導体層12と半導体層12上に形成された支持体13とをそれぞれ含む複数の島を形成する形成工程と、支持体13を、粘着部材14を介してガラス基板15(保持基板)に接合する接合工程と、半導体層12にレーザ光を照射してサファイヤ基板11から剥離する剥離工程と、半導体層12の表面12sを研磨する研磨工程とを有する。
【0070】
このように半導体層12が支持体13によって支持されるため、研磨工程において半導体層12にかかる負荷を低減することができる。また、複数の島(半導体層12と支持体13)の間の溝部101をスラリーが流れるため、半導体層12の表面12sを十分に研磨することができる。すなわち、半導体層12の表面12sの平滑性を高めながら、半導体層12の表面12sにかかる負荷を低減することができる。
【0071】
また、サファイヤ基板11上に半導体薄膜層12aを形成し、半導体薄膜層12aを複数の半導体層12に分割し、半導体層12を覆うように支持体層13aを形成し、支持体層13aを半導体層12に対応した複数の支持体13に分割することにより、上記の島(半導体層12と支持体13)を形成する。そのため、材質の異なる半導体層12および支持体13を、それぞれに適した方法で、同じマスクを用いてパターニングすることができる。
【0072】
また、支持体13の厚さは半導体層12の厚さよりも厚く、支持体13のヤング率は半導体層12のヤング率よりも小さいため、研磨時に半導体層12に加わる応力等を支持体13で吸収しやすく、半導体層12にかかる負荷を効果的に低減することができる。
【0073】
また、粘着部材14として、基材141と粘着層142,143とを有する粘着シートを用いた場合には、製造工程における粘着部材14の取り扱いが容易になり、また、支持体13から簡単に除去することができる。
【0074】
また、中間生成物である半導体基板100(
図5)は、サファイヤ基板11と、半導体層12および支持体13からなる複数の島と、粘着部材14と、保持基板としてのガラス基板15とを有する。そのため、半導体基板100の半導体層12をサファイヤ基板11から分離し、さらに研磨することで、半導体層12をシリコン基板21に接合することが可能になる。
【0075】
また、中間生成物である半導体層支持構造体120(
図9)は、半導体層12および支持体13からなる複数の島と、粘着部材14と、保持基板としてのガラス基板15とを有する。そのため、半導体層支持構造体120の半導体層12をシリコン基板21に接合することができる。
【0076】
≪実施の形態2≫
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2は、支持体13の代わりに、2層構造の支持体16を用いる点が、実施の形態1と異なる。
【0077】
図13は、実施の形態2の半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
図14(A)~(E)は、半導体薄膜層12aの個片化工程、第1の支持体層17aの形成および個片化工程、並びに第2の支持体層18aの形成および個片化工程を概略的に示す図である。
図14(A)~(E)は、
図3に示した符号A-Aにおける断面図に相当する。
【0078】
サファイヤ基板11上に半導体薄膜層12aを形成する工程(S101)は、実施の形態1で参照して説明した通りである。また、
図14(A)に示すように半導体薄膜層12aを複数の半導体層12に分離する工程(S102)も、実施の形態1で参照して説明した通りである。
【0079】
<第1の支持体層の形成工程>
続くステップS201(
図13)では、
図14(B)に示すように、サファイヤ基板11上で分離された半導体層12を覆うように、第1の支持体層17aを形成する。第1の支持体層17aは、例えば、Si
3N
4、SiO
2などの無機材料(無機膜)、あるいはノボラックレジスト等の有機材料(有機膜)で構成される。なお、第1の支持体層17aは、その材料によっては、半導体層12の間の溝部101にも充填される。
【0080】
<第1の支持体層の個片化工程>
続くステップS202(
図13)では、
図14(C)に示すように、第1の支持体層17aをフォトリソグラフィによりパターニングし、半導体層12と同様に、複数の第1の支持体17に分離(個片化)する。すなわち、第1の支持体17は、半導体層12と同様に、溝部101によって互いに分離される。
【0081】
第1の支持体17の厚さは、例えば1μm~10μmであり、半導体層12の厚さと同等である。第1の支持体17のヤング率は、半導体層12のヤング率よりも小さいかまたは同等であり、次に説明する第2の支持体18のヤング率よりも大きい。
【0082】
<第2の支持体層の形成工程>
続くステップS203(
図13)では、
図14(D)に示すように、第1の支持体17を覆うように、第2の支持体層18aを形成する。第2の支持体層18aは、例えば、アクリル等の有機材料(有機膜)で構成される。
【0083】
<第2の支持体層の個片化工程>
続くステップS204(
図13)では、
図14(E)に示すように、第2の支持体層18aをフォトリソグラフィによりパターニングし、第1の支持体17と同様に、複数の第2の支持体18に分離(個片化)する。すなわち、第2の支持体18は、第1の支持体17と同様に、溝部101によって互いに分離される。
【0084】
第2の支持体18の厚さは、例えば10μm~100μmである。第2の支持体18のヤング率は、半導体層12のヤング率よりも小さく、例えば3.2GPaである。
【0085】
これにより、サファイヤ基板11上には、半導体層12と第1の支持体17と第2の支持体18とが積層された複数の島(積層構造体)が形成される。第1の支持体17と第2の支持体18とを合わせて、支持体16とも称する。
【0086】
第1の支持体17の厚さと第2の支持体18の厚さの合計は、半導体層12の厚さ(例えば1μm~10μm)よりも厚く、半導体層12の厚さの2倍以上であることが望ましい。
【0087】
また、第1の支持体17のヤング率は半導体層12のヤング率より小さいか同等であるが、第2の支持体18のヤング率は半導体層12のヤング率(例えば200GPa)よりも小さい。言い換えると、第2の支持体18は、半導体層12よりも柔らかく、変形し易い。
【0088】
<ガラス基板への接合工程>
続くステップS105(
図13)では、半導体層12上の第2の支持体18を、粘着部材14を介して、実施の形態1で説明したようにガラス基板15に接合する。粘着部材14は、実施の形態1で説明した通りである。
【0089】
第2の支持体18を粘着部材14によりガラス基板15に接合することにより、サファイヤ基板11と、半導体層12と第1の支持体17と第2の支持体18とからなる複数の島(積層構造体)と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、半導体基板100A(
図15(A)参照)が形成される。
【0090】
粘着部材14の具体的な構成は、実施の形態1において
図6(A),(B)を参照して説明した通りである。粘着部材14は、半導体層12、第1の支持体17および第2の支持体18よりも柔らかい。
【0091】
また、粘着部材14が粘着シート(
図6(A))の場合、粘着部材14の厚さは、半導体層12の厚さ(1μm~10μm)と第1の支持体17の厚さ(1μm~10μm)と第2の支持体18の厚さ(10μm~100μm)との合計よりも厚い。
【0092】
<半導体層の剥離工程>
続くステップS106(
図1)では、半導体層12にレーザ光を照射し、半導体層12をサファイヤ基板11から剥離する。
図15(A)~(C)は、半導体層12のサファイヤ基板11からの剥離工程を概略的に示す断面図である。
【0093】
図15(A)に示すように、半導体基板100Aのサファイヤ基板11側から、半導体層12にレーザ光を照射する。これにより、
図15(B)に示すように、半導体層12がサファイヤ基板11から剥離する。
【0094】
これにより、半導体層12と第1の支持体17と第2の支持体18とからなる複数の島と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、中間構造体(研磨前構造体)110Aが得られる。
【0095】
<半導体層の研磨工程>
続くステップS107(
図1)では、半導体層12の表面12sを研磨する。
図16(A),(B)は、半導体層12の表面12sの研磨工程を概略的に示す断面図および斜視図である。
【0096】
図16(A)に示すように、研磨工程では、中間構造体110Aのガラス基板15を、研磨装置のキャリア50に固定する。研磨装置および研磨方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0097】
研磨工程では、スラリーが、半導体層12と第1の支持体17と第2の支持体18とを含む島の間の溝部101を流れるため、全ての半導体層12の表面12sにスラリーが行き亘り、研磨効果が増大する。これにより、半導体層12の表面12sを、表面粗さが10nm以下となるように平滑化することができる。
【0098】
また、半導体層12が、この半導体層12よりも厚く且つヤング率が低い第2の支持体18を介して支持されているため、半導体層12が研磨時に受ける負荷が低減し、半導体層12の表面12sの割れや欠けの発生を防止することができる。
【0099】
以上の研磨工程により、
図17に示すように、半導体層12と第1の支持体17と第2の支持体18とからなる複数の島と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、半導体層支持構造体120Aが得られる。
【0100】
図18(A),(B),(C)は、半導体層12のシリコン基板21への接合工程、粘着部材14の除去工程、第2の支持体18の除去工程、および第1の支持体17の除去工程を示す模式図である。
【0101】
<シリコン基板への接合工程>
続くステップS108(
図13)では、キャリア50から取り外した半導体層支持構造体120Aの半導体層12の表面12sを、
図18(A)に示すように、転写基板としてのシリコン基板21に接合する。半導体層12の表面12sは、分子間力によってシリコン基板21の表面に接合される。
【0102】
<粘着部材の除去工程>
続くステップS109(
図13)では、
図18(B)に示すように、粘着部材14を除去する。粘着部材14として熱剥離式の粘着シート(
図6(A))を用いた場合には、所定の温度まで加熱して粘着部材14の粘着力を消失させることにより、粘着部材14を支持体13から剥離することができる。粘着部材14が粘着層140(
図6(B))である場合には、例えば、溶剤(薬品)で粘着層140を溶解することで除去することができる。
【0103】
<第2の支持体の除去工程>
続くステップS205(
図13)では、
図18(C)に示すように、第2の支持体18を除去する。第2の支持体18は、例えば、有機溶剤で溶解することで除去することができる。
【0104】
<第1の支持体の除去工程>
続くステップS206(
図13)では、
図18(C)に示すように、第1の支持体17を除去する。第1の支持体17がアクリル等の有機膜である場合には、有機溶剤で溶解することができる。第1の支持体17がSi
3N
4、SiO
2等の無機膜である場合には、例えば、フッ酸(HF)など酸性の溶液で溶解することができる。
【0105】
第1の支持体17および第2の支持体18を除去することにより、
図18(D)に示すように、シリコン基板21上に複数の半導体層12がグリッド状に配列されたベース基板130Aが得られる。半導体層12は、半導体素子とも称する。ベース基板130Aの半導体層12は、実施の形態1で説明したようにパターニングされ、例えばLEDとなる。
【0106】
なお、ここでは第1の支持体17と第2の支持体18とを別々の工程で除去しているが、第1の支持体17と第2の支持体18を単一の工程で除去してもよい。また、ここでは、支持体16を第1の支持体17と第2の支持体18との2層で形成したが、3層以上で形成していてもよい。
【0107】
<実施の形態2の効果>
以上説明したように、実施の形態2では、半導体層12が第1の支持体17と第2の支持体18を介して支持されている。第2の支持体18は、半導体層12よりも厚さが厚くヤング率も大きいため、研磨工程において半導体層12にかかる負荷を低減することができる。また、第1の支持体17が、半導体層12と第2の支持体18との間の緩衝材として機能するため、半導体層12にかかる負荷をさらに低減することができる。
【0108】
≪実施の形態3≫
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、半導体層12がチップ部P1~P29に加えてダミー部D1~D8を有する点と、これらダミー部D1~D8を覆う支持体13(符号E1~E4で示す)が設けられている点で、実施の形態1と異なる。
【0109】
図19は、
図1のステップS102で分離(個片化)された半導体層12を示す平面図である。半導体層12は、実施の形態1で説明したチップ部P1~P29に加えて、サファイヤ基板11(ウエハ)の外周に沿ってダミー部D1~D8を有する。ダミー部D1~D8は、半導体層12のうち、LED等として用いられない部分である。
【0110】
チップ部P1~P29の配列は、
図3を参照して説明した通りである。ダミー部D1,D2は、行方向においてチップ部P1の両側に形成されている。ダミー部D3,D4は、列方向においてチップ部P18の両側に形成されている。ダミー部D5,D6は、行方向においてチップ部P29の両側に形成されている。ダミー部D7,D8は、列方向においてチップ部P12の両側に形成されている。
【0111】
なお、半導体層12のダミー部の配置は、
図19に示した例には限定されない。サファイヤ基板11上でチップ部よりも外周側に、少なくとも1つのダミー部が形成されていればよい。
【0112】
図20は、
図1のステップS104で分離(個片化)された支持体13を示す平面図である。サファイヤ基板11の中央領域に位置する5行5列の半導体層12(チップ部P2~11,P13~P17,P19~P28と称する)上に25個の支持体13(いずれも符号E0で示す)が形成され、これらよりも外周側に4つの支持体13(符号E1~E4)が形成される。
【0113】
符号E1で示す支持体13は、チップ部P1とその両側のダミー部D1,D2を覆うように形成されている。符号E2で示す支持体13は、チップ部P18とその両側のダミー部D3,D4を覆うように形成されている。符号E3で示す支持体13は、チップ部P29とその両側のダミー部D5,D6を覆うように形成されている。符号E4で示す支持体13は、チップ部P12とその両側のダミー部D7,D8を覆うように形成されている。
【0114】
すなわち、実施の形態3では、サファイヤ基板11の中央領域に形成される各支持体13(符号E0で示す)の大きさよりも、サファイヤ基板11の外周領域に形成される各支持体13(符号E1~E4)の大きさの方が大きい。
【0115】
<半導体薄膜層の形成工程~支持体層の個片化工程>
図21(A)~(C)は、半導体薄膜層12aの個片化工程、支持体層13aの形成工程、および支持体層13aの個片化工程を概略的に示す図である。
図21(A)~(C)は、
図19に示した符号B-Bにおける断面図に相当する。
【0116】
サファイヤ基板11上に半導体薄膜層12aを形成する工程は、実施の形態1で参照して説明した通りである。また、
図21(A),(B),(C)に示すように半導体薄膜層12aを複数の半導体層12に分離(個片化)し、半導体層12上に支持体層13aを形成し、支持体層13aを支持体13に分離(個片化)する工程も、実施の形態1で参照して説明した通りである。
【0117】
但し、
図21(C)に示したように、サファイヤ基板11の外周領域に位置する支持体13(
図20に符号E1~E4で示した支持体13)は、半導体層12のうちチップ部(例えばチップ部P12)と、その両側のダミー部(例えばダミー部D7,D8)とに跨るように形成される。
【0118】
図22は、
図21(C)と同じ工程を概略的に示す、
図19に示した符号C-Cにおける断面図である。サファイヤ基板11の中央領域に位置する支持体13(
図20に符号E0で示した支持体13)は、個々の半導体層12(例えばチップ部P2,P7,P13,P19,P24)上に形成される。
【0119】
<ガラス基板への接合工程~半導体層の剥離工程>
支持体13を粘着部材14を介してガラス基板15に接合する工程、および半導体層12をレーザ光の照射によってサファイヤ基板11から剥離する工程は、実施の形態1で説明した通りである。
【0120】
サファイヤ基板11の剥離に伴い、半導体層12と、支持体13と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、中間構造体(研磨前構造体)110Bが形成される(
図23(A)参照)。
【0121】
<半導体層の研磨工程>
図23(A),(B)は、半導体層12の表面12sの研磨工程を概略的に示す断面図および斜視図である。
図23(A)に示すように、研磨工程では、中間構造体110Bのガラス基板15を、研磨装置のキャリア50に固定する。研磨装置および研磨方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0122】
図23(B)に示すように、半導体層12は、サファイヤ基板11の外周側にダミー部D1~D8を有する。サファイヤ基板11の外周領域の各支持体13(
図20に符号E1~E4で示した部分)は、中央領域の各支持体13(
図20に符号E0で示した部分)よりも面積が大きい。
【0123】
そのため、研磨時に半導体層12に加わる応力等を、サファイヤ基板11のほぼ全面に設けられた支持体13によって効果的に吸収することができる。これにより、半導体層12にかかる負荷をさらに低減し、半導体層12の表面12sの割れや欠けの発生を防止することができる。
【0124】
<シリコン基板21への接合工程~支持体の除去工程>
研磨後の半導体層12のシリコン基板21への接合工程、粘着部材14の除去工程および支持体13の除去工程は、実施の形態1で説明した通りである(
図10(A)~(C)参照)。
【0125】
支持体13の除去工程では、サファイヤ基板11の外周領域の支持体13(
図20に符号E1~E4で示した部分)と中央領域の支持体13(
図20に符号E0で示した部分)が共に除去される。これにより、シリコン基板21上に複数の半導体層12がグリッド状に配列されたベース基板130(
図10(C)参照)が得られる。
【0126】
ベース基板130の半導体層12は、実施の形態1で説明したようにパターニングされ、例えばLEDとなる。この段階で、半導体層12のダミー部D1~D8も除去される。
【0127】
この実施の形態3の製造方法においても、実施の形態1の半導体基板100(
図5)および半導体層支持構造体120(
図9)と同様の半導体基板および半導体層支持構造体が生成される。相違点は、実施の形態3の半導体層支持構造体および半導体基板の半導体層12がダミー部D1~D8を有する点と、これらを覆う支持体13(符号E1~E4)が設けられている点である。
【0128】
<実施の形態3の効果>
以上説明したように、実施の形態3では、サファイヤ基板11の外周領域に位置する支持体13の面積が、サファイヤ基板11の中央領域に位置する支持体13の面積よりも大きい。そのため、研磨時に半導体層12にかかる応力等を支持体13によって効果的に吸収し、半導体層12にかかる負荷をさらに低減することができる。
【0129】
なお、実施の形態3の支持体13は、実施の形態2の支持体16のように2層以上の構造を有してもよい。
【0130】
≪実施の形態4≫
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4は、半導体層40の外周に沿って溝部43を形成した点が、実施の形態1と異なる。
【0131】
図24は、実施の形態4の半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
図25(A),(B)は、サファイヤ基板11上で分離された半導体層40を概略的に示す図である。
図26(A)~(D)は、半導体薄膜層40aの個片化工程、溝部43の形成工程、並びに、支持体層13aの形成および個片化工程を概略的に示す図である。
図26(A)~(D)は、
図25(A)に示した符号D-Dにおける断面図に相当する。
【0132】
図25(A)に示すように、実施の形態4では、実施の形態1の半導体層12(
図3)に代えて、半導体層40を形成する。
図25(B)に示すように、半導体層40は、その外周に沿って延在する溝部43を有する。半導体層40のうち、溝部43の内側の部分は中央部41と称し、溝部43の外側の枠状の部分は外周部42と称する。中央部41は、後工程での加工によってLED等となる部分である。
【0133】
ここでは半導体層40が四角形(例えば正方形)であるため、溝部43も四角形の四辺に沿って延在している。但し、このような形状には限定されず、例えば円周状に延在していてもよい。半導体層40は、溝部43を有する点を除き、実施の形態1の半導体層12と同様に構成される。
【0134】
<半導体薄膜層の形成工程~個片化工程>
サファイヤ基板11上に半導体薄膜層40aを形成する工程(
図24のステップS101)は、実施の形態1で参照して説明した通りである。また、
図26(A)に示すように半導体薄膜層40aを複数の半導体層40に分離(個片化)する工程(ステップS102)も、実施の形態1で参照して説明した通りである。半導体層40は、半導体薄膜(または半導体薄膜片)とも称する。
【0135】
<溝部の形成工程>
続くステップS401(
図24)では、サファイヤ基板11上の半導体層40に、フォトリソグラフィにより、溝部43を形成する。溝部43は、半導体層40を厚さ方向に貫通するように形成してもよく(後述する
図28(A))、半導体層40を貫通しない深さに形成してもよい(後述する
図28(B))。
【0136】
<支持体層の形成工程~個片化工程>
続くステップS103(
図24)では、
図26(C)に示すように、半導体層40を覆うように、支持体層13aを形成する。また、ステップS104では、支持体層13aをフォトリソグラフィによりパターニングし、半導体層40と同様に複数の支持体13に分離(個片化)する。これらの工程は、実施の形態1で説明した通りである。
【0137】
これにより、
図26(D)に示すように、サファイヤ基板11上には、半導体層40と支持体13とが積層された複数の島(積層構造体)が形成される。
【0138】
<ガラス基板への接合工程>
続くステップS105(
図24)では、半導体層40上の支持体13を、粘着部材14を介して、実施の形態1で説明したようにガラス基板15に接合する。粘着部材14は、実施の形態1で説明した通りである。
【0139】
これにより、
図27に示すように、サファイヤ基板11と、半導体層40および支持体13からなる複数の島(積層構造体)と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、半導体基板100Cが形成される。
【0140】
図28(A),(B)は、半導体層40と支持体13とを概略的に示す断面図である。半導体層40のサファイヤ基板11と反対側の面(すなわち支持体13が形成される面)を、形成面44とする。
【0141】
半導体層40の溝部43は、形成面44からサファイヤ基板11に向けて形成されている。
図28(A)に示すように半導体層40を厚さ方向に貫通していてもよく、
図28(B)に示すように半導体層40を貫通しない深さに形成されていてもよい。
【0142】
支持体13は半導体層40よりもヤング率が小さく、従って半導体層40よりも柔らかい。そのため、支持体13の一部(侵入部13hと称する)が半導体層40の溝部43に入り込む。
【0143】
図28(A)に示した例では、支持体13の侵入部13hが溝部43の内周面に接合される。
図28(B)に示した例では、支持体13の侵入部13hが溝部43の内周面および底面に接合される。
【0144】
いずれの場合も、支持体13の侵入部13hが半導体層40の溝部43の内面に接合されるため、半導体層40と支持体13とを強固に固定することができる。
【0145】
<半導体層の剥離工程>
続くステップS106(
図24)では、半導体層40にレーザ光を照射し、半導体層40をサファイヤ基板11から剥離する。
図29(A)~(C)は、半導体層40のサファイヤ基板11からの剥離工程を概略的に示す断面図である。
【0146】
図29(A)に示すように、半導体基板100Cのサファイヤ基板11側から、半導体層40にレーザ光を照射する。これにより、
図29(B)に示すように、半導体層40がサファイヤ基板11から剥離する。
【0147】
これにより、半導体層40と支持体13とからなる複数の島と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、中間構造体(研磨前構造体)110Cが得られる。
【0148】
<半導体層の研磨工程>
続くステップS107(
図24)では、半導体層40の表面40sを研磨する。
図30(A),(B)は、半導体層40の表面40sの研磨工程を概略的に示す断面図および斜視図である。
【0149】
図30(A)に示すように、研磨工程では、中間構造体110Cのガラス基板15を、研磨装置のキャリア50に固定する。研磨装置および研磨方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0150】
また、半導体層40の溝部43が半導体層40を貫通しない深さを有している場合(
図28(B))には、半導体層40の研磨時に溝部43が露出するか否か(すなわち溝部43が半導体層40を貫通するか否か)により、研磨量を確認することができる。
【0151】
これにより、
図31に示すように、半導体層40と支持体13とからなる複数の島と、粘着部材14と、ガラス基板15とを有する、半導体層支持構造体120Cが得られる。
【0152】
半導体層40は溝部43によって中央部41と外周部42とに分割されているため、研磨時の応力は外周部42に集中しやすい。そのため、後工程で外周部42を除去することで、LED等となる中央部41における割れや欠けの発生を抑制することができる。
【0153】
<シリコン基板への接合工程~支持体の除去工程>
図32(A),(B),(C)は、半導体層40のシリコン基板21への接合工程、粘着部材14の除去工程、および支持体13の除去工程を示す模式図である。
【0154】
ステップS108(
図24)では、キャリア50から取り外した半導体層支持構造体120Aの半導体層40の表面40sを、
図32(A)に示すように、転写基板としてのシリコン基板21に接合する。
【0155】
ステップS109(
図24)では、
図32(B)に示すように、粘着部材14を除去する。粘着部材14の除去方法は、実施の形態1で説明した通りである。
【0156】
支持体13を除去することにより、シリコン基板21上に複数の半導体層40がグリッド状に配列されたベース基板130Cが得られる。半導体層40は、半導体素子とも称する。
【0157】
ベース基板130Cの半導体層40は、実施の形態1で説明したようにパターニングされ、例えばLEDとなる。この段階で、半導体層40の外周部42も除去され、中央部41が例えばLEDとなる。
【0158】
<実施の形態4の効果>
以上説明したように、実施の形態4では、半導体層40が溝部43を有するため、研磨時の応力が半導体層40の外周部42に集中する。そのため、外周部42を除去することにより、LED等となる中央部41における割れや欠けの発生を防止することができる。
【0159】
なお、実施の形態4では、実施の形態2の支持体16のように2層以上の構造の支持体16を用いてもよく、実施の形態3のようにサファイヤ基板11の外周領域の支持体13の面積を中央領域の支持体13の面積よりも大きくしてもよい。
【0160】
本開示は、LED等の半導体素子の製造方法、並びに半導体素子の製造に用いる半導体層支持構造体および半導体基板に適用することができる。
【0161】
以下に、本開示の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
(付記1)
サファイヤ基板上に、窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島を形成する形成工程と、
前記支持体を、粘着部材を介して保持基板に接合する接合工程と、
前記半導体層にレーザ光を照射し、前記半導体層を前記サファイヤ基板から剥離する剥離工程と、
前記半導体層の前記サファイヤ基板から剥離された表面を研磨する研磨工程と
を有する半導体素子の製造方法。
(付記2)
前記半導体層は、前記サファイヤ基板と反対側に、前記支持体が形成される形成面を有し、
前記形成面には、当該形成面と平行で且つ互いに直交する第1の方向および第2の方向に延在する溝部が形成され、
前記支持体の一部は前記溝部に入り込み、前記溝部の内面と接合されている
付記1に記載の半導体素子の製造方法。
(付記3)
前記支持体は、
前記半導体層上に形成される第1の支持体と、
前記第1の支持体上に形成される第2の支持体と
を有する
付記1または2に記載の半導体素子の製造方法。
(付記4)
前記複数の島は、
前記サファイヤ基板上に窒化物半導体を含む半導体薄膜層を形成し、
前記半導体薄膜層を複数の半導体層に分割し、
前記複数の半導体層を覆うように支持体層を形成し、
前記支持体層を、前記半導体層に対応して複数の支持体に分割することにより形成する
付記1から3までのいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
(付記5)
前記支持体層を複数の支持体に分割する工程では、
前記サファイヤ基板の外周領域に位置する支持体の面積を、前記サファイヤ基板の中央領域に位置する支持体の面積よりも大きく形成する
付記4に記載の半導体素子の製造方法。
(付記6)
前記支持体のヤング率は、前記半導体層のヤング率よりも小さい
付記1から5までのいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
(付記7)
前記支持体の厚さは、前記半導体層の厚さよりも厚い
付記1から6までのいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
(付記8)
前記粘着部材は、前記半導体層および前記支持体よりも柔らかい
付記1から7までのいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
(付記9)
前記粘着部材の厚さは、前記半導体層の厚さと前記支持体の厚さとの合計よりも厚い
付記1から8までのいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
(付記10)
前記粘着部材は、基材と、前記基材の前記支持体側の面に設けられた第1の粘着層と、前記第1の粘着層と反対側の面に設けられた第2の粘着層とを有する
付記1から9までのいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
(付記11)
窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島と、
前記複数の島の前記支持体が粘着部材によって接合された保持基板と
を有する半導体層支持構造体。
(付記12)
前記半導体層は、前記支持体が形成される形成面を有し、
前記形成面には、当該形成面と平行で且つ互いに直交する第1の方向および第2の方向に延在する溝部が形成され、
前記支持体の一部は、前記溝部に入り込み、前記溝部の底部および側面と接合されている
付記11に記載の半導体層支持構造体。
(付記13)
前記支持体は、
前記半導体層上に形成される第1の支持体と、
前記第1の支持体上に形成される第2の支持体と
を有する
付記11または12に記載の半導体層支持構造体。
(付記14)
前記粘着部材は、前記半導体層および前記支持体よりも柔らかい
付記11から13までのいずれか1項に記載の半導体層支持構造体。
(付記15)
サファイヤ基板と、
前記サファイヤ基板上に形成され、窒化物半導体を含む半導体層と当該半導体層上に形成された支持体とをそれぞれ含む複数の島と、
前記複数の島の前記支持体が粘着部材によって接合された保持基板と
を有する半導体基板。
(付記16)
前記半導体層は、前記サファイヤ基板と反対側に、前記支持体が形成される形成面を有し、
前記形成面には、当該形成面と平行で且つ互いに直交する第1の方向および第2の方向に延在する溝部が形成され、
前記支持体の一部は、前記溝部に入り込み、前記溝部の底部および側面と接合されている
付記15に記載の半導体基板。
(付記17)
前記支持体は、
前記半導体層上に形成される第1の支持体と、
前記第1の支持体上に形成される第2の支持体と
を有する
付記15または16に記載の半導体基板。
(付記18)
前記粘着部材は、前記半導体層および前記支持体よりも柔らかい
付記15から17までのいずれか1項に記載の半導体基板。
【符号の説明】
【0162】
11 サファイヤ基板(成長基板)、 12 半導体層、 12a 半導体薄膜層、 12s 表面、 13 支持体、 13a 支持体層、 13h 凸部、 14 粘着部材、 15 ガラス基板(保持基板)、 16 支持体、 17 第1の支持体、 17a 第1の支持体層、 18 第2の支持体、 18a 第2の支持体層、 20,20A,20C 半導体ベース基板、 21 シリコン基板、 40 半導体層、 40a 半導体薄膜層、 40s 表面、 41 第1の領域、 42 第2の領域、 43 溝部、 50 キャリア、 51 支軸、 52 円板部、 60 研磨プレート、 61 研磨パッド、 100,100A,100C 半導体基板、 101 溝部、 110,110A,110B,110C 中間構造体、 120,120A,120C 半導体層支持構造体、 130,130A,130C ベース基板、 140 粘着層、 141 基材、 142 第1の粘着層、 143 第2の粘着層。