(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064496
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/60 20060101AFI20240507BHJP
E06B 1/34 20060101ALI20240507BHJP
E06B 1/70 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
E06B1/60
E06B1/34 Z
E06B1/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173121
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 和彦
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KB03
2E011KC02
2E011KC09
2E011KD26
2E011KD28
2E011MA02
(57)【要約】
【課題】通常強度の上枠と共通の形材を用いることができ、耐風圧性能を向上できる建具を提供すること。
【解決手段】建具である引違い窓1は、上枠10、下枠20および左右の縦枠を備える窓枠2と、外障子5および内障子6とを備える。上枠10は、躯体7に取り付けられる上枠本体11と、上枠本体11に固定される上枠補強材15とを備える。上枠補強材15は、躯体7と上枠本体11との間に配置されて障子に加わる風荷重による上枠本体11の変形を抑制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠および左右の縦枠を備える窓枠と、障子とを備える建具であって、
前記上枠は、
躯体に取り付けられる上枠本体と、
前記躯体と前記上枠本体との間に配置されて前記上枠本体に固定され、前記障子に加わる風荷重による前記上枠本体の変形を抑制する上枠補強材とを備える
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具において、
前記上枠本体は、前記躯体の室外面に取り付けられる室外側取付片部と、前記室外側取付片部よりも室内側において前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、前記室外側取付片部および前記室内側取付片部間において前記躯体の下面から離間して設けられた補強材固定片部とを備え、
前記上枠補強材は、
前記補強材固定片部に固定される固定部と、
前記躯体の下面に当接する当接部と、を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1に記載の建具において、
前記上枠本体は、前記躯体の室外面に取り付けられる室外側取付片部と、前記室外側取付片部よりも室内側において前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、前記室外側取付片部および前記室内側取付片部間において前記躯体の下面から離間して設けられた補強材固定片部とを備え、
前記上枠補強材は、
前記室外側取付片部の室内面に沿って配置されて前記躯体に固定される第1固定部と、
前記補強材固定片部に固定される第2固定部と、を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1に記載の建具において、
前記上枠本体は、前記躯体の室外面に取り付けられる室外側取付片部と、前記室外側取付片部よりも室内側において前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、前記室外側取付片部および前記室内側取付片部間において前記躯体の下面から離間して設けられた補強材固定片部とを備え、
前記上枠補強材は、
前記室外側取付片部の室内面に沿って配置されて前記躯体に固定される第1固定部と、
前記補強材固定片部に固定される第2固定部と、
前記躯体の下面に当接する当接部と、を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1に記載の建具において、
前記上枠本体の室内側は、合成樹脂製の室内側カバー材で被覆され、
前記上枠本体は、
前記室内側カバー材が取り付けられるカバー材取付片部と、
前記カバー材取付片部よりも室内側かつ上方に配置されて前記上枠補強材が固定される補強材固定片部と、
前記補強材固定片部よりも室内側かつ上方に配置されて前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項5に記載の建具において、
前記室内側カバー材は、前記補強材固定片部の下方に離間して配置され、
前記上枠補強材は、前記補強材固定片部にネジで固定され、
前記ネジの前記補強材固定片部から下方に突出する部分は、前記補強材固定片部および前記室内側カバー材間の空間に配置されている
ことを特徴とする建具。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の建具において、
前記上枠および前記下枠は、外レールおよび内レールを備え、
前記障子は、前記外レールに案内される外障子と、前記内レールに案内される内障子とを備える
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠と障子とを備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口に取り付けられる建具として、上枠、下枠および左右の縦枠を備える窓枠と、窓枠内に引き違い可能に配置される外障子、内障子とを備えた引違い窓が広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マンションやオフィスビルの高層階に用いられる引違い窓は、低層階や戸建て住宅に用いられる引違い窓に比べて、耐風圧性能を高くする必要がある。このため、耐風圧性能を高くした高層階用の高強度の上枠と、低層階用の通常強度の上枠とで断面形状が異なる形材の上枠を用いる必要があり、金型種類や部品種類が増えてコストが増加するという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、通常強度の上枠と共通の形材を用いることができ、耐風圧性能を向上できる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、上枠、下枠および左右の縦枠を備える窓枠と、障子とを備える建具であって、前記上枠は、躯体に取り付けられる上枠本体と、前記躯体と前記上枠本体との間に配置されて前記上枠本体に固定され、前記障子に加わる風荷重による前記上枠本体の変形を抑制する上枠補強材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、通常強度の上枠と共通の形材を用いることができ、耐風圧性能を向上できる建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る引違い窓を示す内観姿図である。
【
図2】第1実施形態に係る引違い窓を示す縦断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る引違い窓を示す横断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る引違い窓の上枠を示す縦断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る引違い窓の上枠補強材を示す斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る引違い窓を示す縦断面図である。
【
図7】第2実施形態に係る引違い窓の上枠を示す縦断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る引違い窓の上枠補強材を示す斜視図である。
【
図9】第3実形態に係る引違い窓の上枠を示す縦断面図である。
【
図10】第3実形態に係る引違い窓の上枠補強材を示す斜視図である。
【
図11】第4実施形態に係る引違い窓の上枠を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る建具である引違い窓1は、
図1~
図3に示すように、窓枠2と、窓枠2内に引違い可能に配置される外障子5および内障子6とを備えている。窓枠2は、躯体7の開口に固定される半外付けの開口枠である。
各図において、引違い窓1の窓枠2、外障子5、内障子6の主要構造材のハッチングは省略している。また、以下の説明において、引違い窓1の左右方向をX軸方向とし、引違い窓1の上下方向をY軸方向とし、引違い窓1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
窓枠2は、上枠10、下枠20および左右の縦枠30、40を枠組みして構成されている。
上枠10は、
図2に示すように、アルミ押出形材製(金属製)の上枠本体11と、上枠補強材15とを備え、建物の開口の上側に設けられる躯体7に固定されている。
上枠本体11は、
図4に示すように、室外側取付片部111と、上面部112と、網戸レール部113と、第1下面部114と、仕切り片部115と、第2下面部116と、垂下片部117と、カバー材取付片部121と、第1見付け片部122と、補強材固定片部123と、第2見付け片部124と、躯体当接部125と、係合片部126と、室内側取付片部127と、立上り片128と、ガイド片129と、外レール141と、内レール142とを備える。
【0011】
室外側取付片部111は、躯体7の室外面71に沿って配置された板状の突片である。上面部112は、室外側取付片部111から室外側に延出されている。
網戸レール部113は、上面部112の室外側端部から下方に延出されている。第1下面部114は、上面部112の下方において網戸レール部113からZ軸方向つまり見込み方向の室内側に延出されている。仕切り片部115は、上面部112から下方に延出され、第1下面部114に連結されている。上面部112、網戸レール部113、第1下面部114、仕切り片部115によって中空部131が区画され、中空部131において、第1下面部114および仕切り片部115が連結される角部にはビスホールが形成されてる。
第2下面部116は、上面部112の下方において仕切り片部115からZ軸方向に沿って延出されて室外側取付片部111に連結されている。このため、室外側取付片部111、上面部112、仕切り片部115、第2下面部116によって中空部132が区画されている。
垂下片部117は、第2下面部116から下方に垂下されている。なお、本実施形態では、垂下片部117の見込み方向(Z軸方向)の配置位置は、室外側取付片部111よりも室外側であるが、室外側取付片部111と一致させてもよいし、室外側取付片部111よりも室内側でもよい。
【0012】
カバー材取付片部121は、垂下片部117からZ軸方向に沿って延出されている。カバー材取付片部121のZ軸方向の中間位置には上方に延出された立上り片128が形成され、立上り片128とカバー材取付片部121とが連結される角部にはビスホールが形成されている。
第1見付け片部122は、カバー材取付片部121の室内側端部から上方に延出されている。
補強材固定片部123は、第1見付け片部122の上端から室内側に延出されている。なお、補強材固定片部123の上面と、立上り片128の上面とは同じ高さ位置に設定されている。補強材固定片部123の室内側端部近傍には下方に延出されたガイド片129が形成されている。
第2見付け片部124は、補強材固定片部123の室内側端部から上方に延出されている。躯体当接部125は、第2見付け片部124の上端から室内側に延出されている。
係合片部126は、躯体当接部125の室内側端部から下方に延出され、その下端には室外側に突出する係合片が形成されている。
室内側取付片部127は、係合片部126から室内側に延出され、その室内側端部は上方に延出され、その上端面は躯体当接部125の上面と同じ高さ位置とされている。
本実施形態では、補強材固定片部123は、カバー材取付片部121よりも室内側かつ上方に配置され、室内側取付片部127は、補強材固定片部123よりも室内側かつ上方に配置されている。
また、補強材固定片部123は、室外側取付片部111と室内側取付片部127とを連結する形材の一部であり、室外側取付片部111および室内側取付片部127間において、躯体7の下面72から離間して設けられている。
【0013】
外レール141は、第1下面部114の下面から下方に延出されている。内レール142は、カバー材取付片部121の下面から下方に延出されている。本実施形態では、外レール141のZ軸方向の位置は、第1下面部114の室内側端部の僅かに室外側、つまり中空部131のビスホールの位置である。また、内レール142のZ軸方向の位置は、立上り片128の僅かに室外側の位置である。
【0014】
上枠補強材15は、
図4および
図5に示すように、鋼板などの金属材を折曲して形成され、板状の固定部151と、一対の当接部152とを備える。
固定部151には貫通孔153が形成され、この貫通孔153から補強材固定片部123にネジ165を螺合することで上枠本体11に固定される。ネジ165は、ドリルネジやタッピングネジが利用でき、補強材固定片部123はネジ165を螺合可能な厚さ寸法となるように、第1見付け片部122や第2見付け片部124に比べて厚さ寸法が大きい厚肉部とされている。また、立上り片128の上面は、補強材固定片部123の上面と同じ高さ位置であるため、固定部151は補強材固定片部123および立上り片128に載置されている。
当接部152は、固定部151の左右方向つまりX軸方向の両端から上方に延出され、躯体7の下面72に当接可能に構成されている。
上枠補強材15は、上枠本体11の長手方向つまりX軸方向に沿って複数取り付けられている。例えば、上枠本体11の長手方向の中央位置と、閉鎖位置にある外障子5および内障子6それぞれのX軸方向の中央に対応する位置の計3箇所に取り付けられている。
【0015】
補強材固定片部123は、カバー材取付片部121よりも上方に形成されているので、補強材固定片部123に固定された上枠補強材15とカバー材取付片部121との間であり、立上り片128と第1見付け片部122との間には、空間133が設けられている。
【0016】
上枠本体11には、合成樹脂製のレール間カバー材17および室内側カバー材18が取り付けられている。
レール間カバー材17は、閉鎖位置にある外障子5の室内側において、外レール141および内レール142間に配置されるものであるため、上枠本体11の長手方向の寸法の約半分の長さ寸法とされている。レール間カバー材17は、仕切り片部115および垂下片部117から突出された突片に、レール間カバー材17の断面略L字状の係合片171、172を係合することで上枠本体11に取り付けられている。
【0017】
室内側カバー材18は、上枠本体11の長手方向(X軸方向)の略全長に渡って配置される樹脂形材である。室内側カバー材18は、カバー材取付片部121の下面に沿って配置された固定面部181と、固定面部181の室外側端部から下方に延出されて内レール142の室内面に沿って配置されたレールカバー部182と、固定面部181の室内側端部に連結されたホロー部183と、ホロー部183から上方に延出されて係合片部126に係合する係合部184とを備えている。
固定面部181は、ネジ166によってカバー材取付片部121に固定されている。ネジ166は、ネジ165と同様に、ドリルネジやタッピングネジが利用でき、カバー材取付片部121においてネジ166が螺合される部分は、ネジ166を螺合可能な厚さ寸法となるように、カバー材取付片部121の他の部分に比べて厚さ寸法が大きい厚肉部とされている。
レールカバー部182は、下端部に内レール142の下端が挿入される凹溝部を有する。また、レールカバー部182の上端部の室外面には、内レール142の上端部から室内側に突出する突起が係合される係合溝が形成されている。
ホロー部183は、固定面部181から上方および下方に延出された中空部であり、その室外面の上端側はガイド片129に当接されている。また、ホロー部183の室内側には、
図2に示すように、引違い窓1の設置後に躯体7に取り付けられる額縁等の造作材74が配置される。
【0018】
室内側カバー材18は、上枠本体11において、室内側に露出する室内面を被覆することで上枠10の断熱性能を向上している。
補強材固定片部123は、カバー材取付片部121よりも上方に形成されているので、カバー材取付片部121に固定された室内側カバー材18の固定面部181と補強材固定片部123との間であり、第1見付け片部122と、ガイド片129およびホロー部183との間には、空間134が設けられている。
【0019】
以上の構成を有する上枠10は、上枠本体11に上枠補強材15をネジ165で予め固定しておく。そして、室外側取付片部111を躯体7の室外面71に当接させ、上枠補強材15の当接部152と、上枠本体11の躯体当接部125とを躯体7の下面72に当接させ、ネジ161、162で室外側取付片部111、室内側取付片部127を躯体7に固定している。
また、
図2に示すように、室外側取付片部111の室外側には、外壁材75が配置され、外壁材75と上面部112との間には、バックアップ材76およびシーリング材77が配置され、室内側カバー材18の室内側には造作材74が配置されて室内側取付片部127やネジ162が覆われている。
【0020】
下枠20は、
図2に示すように、アルミ押出形材製(金属製)の室外部材210および室内部材220と、室外部材210および室内部材220を連結するウレタン樹脂などの合成樹脂製の断熱部材230とを備えて構成される。
室外部材210には、躯体7の室外面にネジ161で固定される室外側取付片部211と、外障子5を案内する外レール241とが形成されている。室内部材220には、躯体7の上面にネジ162で固定される室内側取付片部221と、内障子6を案内する内レール242とが形成されている。
【0021】
下枠20には、合成樹脂製のレール間カバー材25、室内側カバー材26、室内面カバー材27が取り付けられている。
レール間カバー材25は、閉鎖位置にある外障子5の室内側において、外レール241および内レール242間に配置されるものであるため、下枠20の長手方向の寸法の約半分の長さ寸法とされている。レール間カバー材25は、外レール241および内レール242間に配置され、室外部材210に係合されて取り付けられている。
【0022】
室内側カバー材26は、下枠20の長手方向(X軸方向)の略全長に渡って配置される樹脂形材である。室内側カバー材26は、内レール242の室内側に配置され、室内部材220に係合されて取り付けられている。
室内面カバー材27は、下枠20の長手方向(X軸方向)の略全長に渡って配置される樹脂形材である。室内面カバー材27は、室内部材220の室内面に係合されて取り付けられている。室内面カバー材27の室内側には、額縁や床材などの造作材74が配置されている。
【0023】
縦枠30は、
図3に示すように、アルミ押出形材によって形成され、見込み片311と、見込み片311から見付け方向(X軸方向)に延出され、躯体7の室外面71にネジ161で固定される室外側取付片部312と、見込み片311の室内側端部に形成されて躯体7の見込み面にネジ162で固定される室内側取付片部313と、見込み片311から内周側に延出されて外障子5を閉めた際に当接する引寄せ片314とを備えて構成される。
縦枠30の見込み片311には、合成樹脂製のカバー材35が取り付けられている。このカバー材35は、見込み片311の内周面において、引寄せ片314よりも室内側を被覆するように取り付けられている。これにより、縦枠30の見込み片311は、外障子5を閉めた際に、カバー材35で被覆されて室内側に露出しないように構成されている。
【0024】
縦枠30の室外側取付片部312、縦枠40の室外側取付片部412の室外側には、上枠10や下枠20と同様に、外壁材75、バックアップ材76、シーリング材77が配置されている。また、カバー材35、45の室内側には額縁などの造作材74が配置されている。
【0025】
縦枠40は、アルミ押出形材製によって形成され、見込み片411と、見込み片411から見付け方向(X軸方向)に延出され、躯体7の室外面71にネジ161で固定される室外側取付片部412と、見込み片411の室内側端部に形成されて躯体7の見込み面にネジ162で固定される室内側取付片部413と、見込み片411から内周側に延出されて内障子6を閉めた際に当接する引寄せ片414とを備えて構成される。
縦枠40の見込み片411には、合成樹脂製のカバー材45が取り付けられている。このカバー材45は、見込み片411の内周面において、引寄せ片414よりも室内側を被覆するように取り付けられている。これにより、縦枠40の見込み片411は、内障子6を閉めた際に、カバー材45で被覆されて室内側に露出しないように構成されている。
【0026】
外障子5は、
図1~
図3に示すように、上框51、下框52、縦框53、外召合せ框54および複層ガラス55を框組みして構成されている。
内障子6は、上框61、下框62、縦框63、内召合せ框64および複層ガラス65を框組みして構成されている。
上框51、61と、下框52、62と、縦框53、63と、内召合せ框64とは、アルミ押出形材からなる室外側形材511、611、521、621、531、631、641に、難燃性の樹脂押出形材からなる室内側形材512、612、522、622、532、632、642が係合して形成されている。また、外召合せ框54は、アルミ押出形材で形成されている。また、室内側形材512、612、522、622、532、632、642には、中空部が形成されている。
このため、外障子5および内障子6は、樹脂製の室内側形材512、612、522、622、532、632、642を備え、さらに室内側形材512、612、522、622、532、632、642は中空部を備えているので、引違い窓1の断熱性能が向上されている。
【0027】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の引違い窓1によれば、上枠本体11に上枠補強材15を取り付けているので、内障子6に加わる風荷重が内レール142を介して上枠本体11に加わり、例えば、カバー材取付片部121が上方に湾曲するような荷重が加わっても、上枠本体11に取り付けられた上枠補強材15の当接部152が躯体7の下面72に当接するため、上枠本体11の変形を抑制することができる。このため、上枠10の耐風圧性能を向上した引違い窓1を提供することができる。
また、上枠本体11に上枠補強材15を取り付けることで耐風圧性能を向上させているので、上枠本体11は、低層階用の上枠として用いられるアルミ押出形材と兼用できる。このため、上枠補強材15の有無によって、低層階用の耐風圧性能が通常強度の上枠用と、高層階用の耐風圧性能が高強度の上枠用とで、同一断面形状のアルミ押出形材を用いることができ、部品種類やコストを低減できる。
さらに、中空部を有する樹脂製の室内側形材512、612、522、622、532、632、642を設けて断熱性能を向上させたために、外障子5、内障子6の見込み寸法が大きくなり、その分、上枠本体11の見込み寸法が大きくなり、上枠本体11が変形し易くなった場合でも、上枠補強材15を備えているので、上枠本体11の変形を抑制できる。このため、断熱性能および耐風圧性能が高い高強度の上枠10つまりは引違い窓1を提供することができる。
【0028】
上枠補強材15は、上枠本体11においてX軸方向に連続する補強材固定片部123および立上り片128に載置されるため、上枠補強材15をZ軸方向の2箇所で支持することができ、上枠補強材15が傾くことも防止できて当接部152を躯体7の下面72に確実に当接させることができる。
上枠補強材15は、固定部151を補強材固定片部123にネジ165で固定しているので、上枠本体11に取り付けた状態で上枠本体11を躯体7に固定できる。このため、上枠補強材15は上枠本体11にサッシの組立工場などで予め取り付けておくことができ、施工現場で上枠本体11に取り付ける必要が無いため、現場での施工作業性が低下することも防止できる。
さらに、補強材固定片部123は躯体当接部125よりも第2見付け片部124の高さ寸法分、下方の位置に配置されるため、補強材固定片部123と躯体7の下面72との間に第2見付け片部124の高さ寸法分の空間を確保でき、この空間に上枠補強材15を配置できる。このため、上枠補強材15を配置する際に厚さ寸法の制約が少なく、上枠補強材15を厚肉の金属材で構成することもでき、必要な耐風圧性能に応じた上枠補強材15を用いることができる。
【0029】
補強材固定片部123は、見込み方向(Z軸方向)において、カバー材取付片部121よりも室内側であり、かつ、カバー材取付片部121よりも高い位置に形成されているので、上枠補強材15およびネジ166のX軸方向の位置が一致しても、カバー材取付片部121に螺合されるネジ166の先端部は、上枠補強材15とカバー材取付片部121との間の空間133に配置でき、ネジ166が上枠補強材15に干渉することを防止できる。このため、室内側カバー材18をカバー材取付片部121にネジ166で固定でき、室内側カバー材18の脱落などを確実に防止できる。
また、カバー材取付片部121に固定される室内側カバー材18の固定面部181と、補強材固定片部123との間に空間134を形成でき、この空間134に補強材固定片部123に螺合されるネジ165の先端部を配置でき、ネジ165が室内側カバー材18に干渉することを防止できる。さらに、ネジ165は、室内側カバー材18で隠されて室内側に露出しないので、引違い窓1の内観意匠性を向上できる。
【0030】
室内側カバー材18は、室内側端部にホロー部183を有し、このホロー部183はガイド片129に当接しているので、係合部184を係合片部126に押し付けることができ、係合部184を係合片部126に確実に係合させることができる。
また、造作材74を躯体7に取り付ける際に、造作材74は室内側カバー材18に当接して位置決めされる。この際、造作材74が当接するのは、剛性が高いホロー部183であるため、ホロー部183の変形も防止できる。
【0031】
補強材固定片部123は、見込み方向(Z軸方向)において、カバー材取付片部121よりも室内側であり、かつ、躯体当接部125よりも室外側であり、さらに、上下方向(Y軸方向)において、カバー材取付片部121よりも上方であり、躯体当接部125よりも下方に配置されている。このため、上枠補強材15を補強材固定片部123に取り付けた際に、当接部152の上面と躯体当接部125の上面とが近接配置されるため、これらが同じ高さ位置に設定されて、躯体7の下面72に当接可能であるかを容易に確認することができる。
さらに、上枠補強材15は、見込み方向において、室外側取付片部111の室内面の位置から躯体当接部125の室外側つまり第2見付け片部124の位置まで配置されているので、当接部152が下面72に接触する面積も比較的大きくでき、当接部152から下面72に加わる荷重を分散させることができる。
【0032】
上枠本体11に中空部131、132を形成したので、上枠本体11における室外側取付片部111よりも室外側の部分の剛性を向上できる。このため、外障子5に加わる風荷重が外レール141を介して上枠本体11に加わっても上枠本体11の変形を抑制できる。このため、上枠10の耐風圧性能をより向上できる。
【0033】
室内側カバー材18は、上枠10の内レール142よりも室内側の面を被覆しているので、アルミ押出形材製の上枠本体11が室内空間に露出する場合に比べて上枠10の断熱性能を向上できる。さらに、室内側カバー材18は、室内側にホロー部183を有するため、上枠10の断熱性能をさらに向上できる。
【0034】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の引違い窓1Bについて、
図6~
図8を参照して説明する。なお、引違い窓1Bは、上枠10Bと上枠補強材15Bの構成が第1実施形態と相違し、他の構成は第1実施形態の引違い窓1と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
引違い窓1Bの窓枠2Bの上枠10Bは、
図6および
図7に示すように、上枠本体11Bと、上枠補強材15Bとを備えて構成される。上枠本体11Bは、アルミ押出形材製(金属製)の室外部材110Bおよび室内部材120Bと、室外部材110Bおよび室内部材120Bを連結するウレタン樹脂などの合成樹脂製の断熱部材130Bとを備えて構成される。
【0035】
室外部材110Bは、第1実施形態の上枠本体11の室外側取付片部111よりも室外側の部分と類似する構造であり、室外側取付片部111Bと、上面部112Bと、網戸レール部113Bと、第1下面部114Bと、仕切り片部115Bと、第2下面部116Bと、垂下片部117Bと、連結片部118Bと、外レール141Bと、中空部131Bと、中空部132Bとを備える。
室外側取付片部111B、上面部112B、網戸レール部113B、第1下面部114B、仕切り片部115B、第2下面部116B、外レール141B、中空部131B、中空部132Bは、第1実施形態の室外側取付片部111、上面部112、網戸レール部113、第1下面部114、仕切り片部115、第2下面部116、外レール141、中空部131、中空部132と同様の構成であるため、説明を省略する。
室外側取付片部111Bの下端と垂下片部117Bとは、連結片部118Bで連結されている。垂下片部117Bおよび連結片部118Bは、断熱部材130Bを保持する保持部を有している。
【0036】
室内部材120Bは、第1実施形態の上枠本体11の室外側取付片部111よりも室内側の部分と類似する構造であり、カバー材取付片部121Bと、第1見付け片部122Bと、補強材固定片部123Bと、第2見付け片部124Bと、躯体当接部125Bと、係合片部126Bと、室内側取付片部127Bと、立上り片128Bと、ガイド片129Bと、内レール142Bと、空間133Bと、空間134Bとを備える。
カバー材取付片部121B、第1見付け片部122B、補強材固定片部123B、第2見付け片部124B、躯体当接部125B、係合片部126B、室内側取付片部127B、ガイド片129B、内レール142B、空間133B、空間134Bは、第1実施形態のカバー材取付片部121、第1見付け片部122、補強材固定片部123、第2見付け片部124、躯体当接部125、係合片部126、室内側取付片部127、ガイド片129、内レール142、空間133、空間134と同様の構成であるため、説明を省略する。立上り片128Bは、断熱部材130Bを保持する保持部を有している。
【0037】
上枠補強材15Bは、
図7および
図8に示すように、鋼板などの金属材を折曲して形成され、板状の固定部151Bと、一対の当接部152Bと、躯体固定片154Bと、連結片155Bとを備える。
固定部151Bには貫通孔153Bが形成され、この貫通孔153Bから補強材固定片部123Bにネジ165を螺合することで、上枠補強材15Bは上枠本体11Bの室内部材120Bに固定される。この固定部151Bによって、補強材固定片部123Bに固定される第2固定部が構成される。
当接部152Bは、固定部151Bの左右方向つまりX軸方向の両端から上方に延出され、躯体7の下面72に当接可能に構成されている。
躯体固定片154Bは、矩形板状に形成され、室外側取付片部111Bと躯体7の室外面71との間に配置される。躯体固定片154Bには、X軸方向に沿った長孔156Bが形成され、この長孔156Bには、室外側取付片部111Bを固定するネジ161が挿通される。すなわち、躯体固定片154Bは、ネジ161によって室外側取付片部111Bと共に躯体7に固定され、この躯体固定片154Bによって室外側取付片部111Bの室内面に沿って配置されて躯体7に固定される第1固定部が構成される。
【0038】
連結片155Bは、躯体固定片154Bと固定部151Bとを連結する部分であり、
図7に示すように、上枠本体11Bに沿って斜めに配置されている。すなわち、室外部材110Bおよび室内部材120Bは、連結片部118Bおよび立上り片128Bが連結された状態で押出成形され、垂下片部117Bおよびカバー材取付片部121B間の下面開口から断熱部材130B用の合成樹脂を充填した後、連結片部118Bおよび立上り片128B間を鋸歯で切断して形成されている。この鋸歯が室外側取付片部111B等と干渉しないように、前記切断される連結部分は傾斜面とされている。このため、連結片155Bは切断後の傾斜面に沿って配置されるように傾斜されている。
上枠補強材15Bは、上枠本体11Bの長手方向つまりX軸方向に沿って複数取り付けられている。例えば、第1実施形態と同様に、上枠本体11Bの長手方向の中央位置と、閉鎖位置にある外障子5および内障子6のX軸方向の中央位置の計3箇所に取り付けられている。
【0039】
また、上枠本体11Bには、第1実施形態と同じくレール間カバー材17、室内側カバー材18が取り付けられる。レール間カバー材17、室内側カバー材18の構成は第1実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0040】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態の引違い窓1Bにおいても、上枠10Bは上枠補強材15Bを備えているので、上枠10Bの耐風圧性能を向上できるなど、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。特に、上枠補強材15Bは、躯体7の室外面71に固定される躯体固定片154Bと、躯体7の下面72に当接される当接部152Bとを有するため、上枠10Bの室内部材120Bに加わる風荷重を躯体固定片154Bおよび当接部152Bを介して躯体7で支持できる。このため、上枠10Bの室内部材120Bが風荷重で撓んで変形することを防止できる。
【0041】
上枠10Bは、室外部材110Bと室内部材120Bとを断熱部材130Bで連結して構成されているので、室外部材110Bおよび室内部材120B間の熱伝導を断熱部材130Bで遮断でき、上枠10Bを備える引違い窓1Bの断熱性能を向上できる。
また、上枠補強材15Bは、室外部材110Bおよび室内部材120Bに跨がって固定されているので、火災時に断熱部材130Bが溶融しても、室外部材110Bおよび室内部材120Bの状態を保持することができ、防火性能を向上できる。
さらに、上枠補強材15Bの躯体固定片154Bには、長孔156Bを形成しているので、室外側取付片部111Bに対して上枠補強材15Bの取付位置がX軸方向に僅かにずれても、長孔156Bを介してネジ161を躯体7にネジ込むことができる。
【0042】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の引違い窓1Cの上枠10Cについて、
図9~
図10を参照して説明する。引違い窓1Cは、上枠補強材15Cの構成のみが第2実施形態と相違するため、上枠補強材15C以外の構成については、第2実施形態と同一符号を付して説明を簡略あるいは省略する。
引違い窓1Cの上枠10Cは、
図9に示すように、上枠本体11Bと、上枠補強材15Cとを備えて構成される。上枠本体11Bは、第2実施形態と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
上枠補強材15Cは、
図10にも示すように、鋼板などの金属材を折曲して形成され、板状の固定部151Cと、躯体固定片154Cと、連結片155Cとを備える。
固定部151CにはX軸方向に沿って所定間隔で複数の貫通孔153Cが形成され、これらの貫通孔153Cから補強材固定片部123Bにネジ165を螺合することで、上枠補強材15Cは上枠本体11Bの室内部材120Bに固定される。したがって、上枠補強材15Cでは、固定部151Cが第2固定部である。
【0044】
躯体固定片154Cは、室外側取付片部111Bと躯体7の室外面71との間に配置される。躯体固定片154Cには、X軸方向に沿った長孔156CがX軸方向に沿って所定間隔で複数形成されている。長孔156Cには、室外側取付片部111Bを固定するネジ161が挿通される。すなわち、躯体固定片154Cは、ネジ161によって室外側取付片部111Bと共に躯体7に固定されている。したがって、上枠補強材15Cでは、躯体固定片154Cが第1固定部である。
連結片155Cは、躯体固定片154Cと固定部151Cとを連結する部分であり、
図9に示すように、上枠本体11Bに沿って斜めに配置されている。
上枠補強材15Bは、上枠本体11Bの長手方向の全長に渡って配置されている。
【0045】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態の引違い窓1Cにおいても、上枠10Cは上枠補強材15Cを備えているので、上枠10Cの耐風圧性能を向上できるなどの第1、2実施形態と同様の効果が得られる。
また、上枠補強材15Cは、室外部材110Bおよび室内部材120Bに跨がって固定されているので、火災時に断熱部材130Bが溶融しても、室外部材110Bおよび室内部材120Bの状態を保持することができ、防火性能を向上できる。
【0046】
上枠補強材15Cは、金属製の板材を折曲するだけで容易に構成できる。また、上枠補強材15Cは、上枠本体11Bの長手方向(X軸方向)の全長に渡って配置されているので、短尺のピース状の上枠補強材を複数箇所に配置する場合に比べて、上枠10Cの耐風圧性能をより向上できる。
【0047】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の引違い窓1Dについて、
図11を参照して説明する。なお、引違い窓1Dは、第1実施形態の上枠本体11に、第3実施形態の上枠補強材15Cを取り付けたものである。
引違い窓1Dの上枠10Dは、
図11に示すように、上枠本体11と、上枠補強材15Cとを備えて構成される。上枠本体11は、第1実施形態の上枠本体11と同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。上枠補強材15Cは、第3実施形態の上枠補強材15Cと同一であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
[第4実施形態の効果]
第3実施形態の引違い窓1Dの上枠10Dは、第1実施形態の上枠本体11と、第3実施形態の上枠補強材15Cとを備えているので、上枠10Dの耐風圧性能を向上できるなどの第1~3実施形態と同様の効果が得られる。
【0049】
[変形例]
前記実施形態では、断熱部材130Bを有する上枠本体11Bには、固定部151B、151Cおよび躯体固定片154B、154Cを有する上枠補強材15B、15Cを用いていたが、防火性能を要求されない場合や、他の構造によって断熱部材130Bの溶融対策を実現できる場合には、上枠補強材15を用いてもよい。
上枠補強材15は、金属製の板材を折曲して構成されていたが、金属や樹脂で構成されるブロック状の部材で構成してもよい。
上枠補強材15Cは、上枠本体11、11Bの長手方向の全長に渡って配置されていたが、上枠補強材15、15Bと同様に、ピース状に形成されて上枠本体11、11Bの複数箇所に取り付けてもよい。
【0050】
上枠本体11、11Bの構造としては前記実施形態に限定されず、少なくとも上枠補強材15、15B、15Cを固定可能に構成されていればよい。したがって、建具としては、躯体と上枠本体との間に上枠補強材を配置可能であればよく、半外付けの引違い窓に限定されず、内付けの引違い窓でもよい。さらに、建具としては、引違い窓に限定されず、片引き窓等の他の窓種でもよい。
【0051】
[発明のまとめ]
本発明は、上枠、下枠および左右の縦枠を備える窓枠と、障子とを備える建具であって、前記上枠は、躯体に取り付けられる上枠本体と、前記躯体と前記上枠本体との間に配置されて前記上枠本体に固定され、前記障子に加わる風荷重による前記上枠本体の変形を抑制する上枠補強材とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、障子に加わる風荷重による変形を抑制する上枠補強材を上枠本体に固定しているので、高層階に設置される建具のように、高い耐風圧性能が必要となる建具の上枠本体を、低層階用の上枠と同じもので構成できる。このため、耐風圧性能が高強度の上枠および通常強度の上枠とで上枠本体を共通化でき、上枠補強材の有無で耐風圧性能を選択できるので、高強度用および通常強度用で上枠本体自体の構造を変更する場合に比べて、コストを低減できる。特に、断熱性能を向上させるため、金属製の室外部材と、中空部を備える樹脂製の室内部材とで構成される障子のように、見込み寸法が大きな障子を有する建具の場合、障子の見込み寸法の増大に応じて上枠の見込み寸法も大きくする必要がある。この場合でも、上枠補強材を設けることで、耐風圧性能を容易に向上でき、断熱性能および耐風圧性能の高い建具を提供できる。
【0052】
本発明の建具において、前記上枠本体は、前記躯体の室外面に取り付けられる室外側取付片部と、前記室外側取付片部よりも室内側において前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、前記室外側取付片部および前記室内側取付片部間において前記躯体の下面から離間して設けられた補強材固定片部とを備え、前記上枠補強材は、前記補強材固定片部に固定される固定部と、前記躯体の下面に当接する当接部と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、上枠本体の補強材固定片部に上枠補強材の固定部が固定され、上枠補強材の当接部が躯体の下面に当接するため、上枠本体に加わる風荷重を、上枠補強材を介して躯体で支持することができ、上枠本体の変形を防止できる。
【0053】
本発明の建具において、前記上枠本体は、前記躯体の室外面に取り付けられる室外側取付片部と、前記室外側取付片部よりも室内側において前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、前記室外側取付片部および前記室内側取付片部間において前記躯体の下面から離間して設けられた補強材固定片部とを備え、前記上枠補強材は、前記室外側取付片部の室内面に沿って配置されて前記躯体に固定される第1固定部と、前記補強材固定片部に固定される第2固定部と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、躯体の室外面には、上枠本体の室外側取付片部と共に上枠補強材の第1固定部が固定され、補強材固定片部に上枠補強材の第2固定部が固定されるため、上枠本体に加わる風荷重を、上枠補強材を介して躯体で支持することができ、上枠本体の変形を防止できる。また、断熱性能を向上させるために、上枠本体を、室外側取付片部を有する金属製の室外部材と、室内側取付片部を有する金属製の室内部材と、室外部材および室内部材を連結する樹脂製の断熱部材とを備えて構成した場合には、室外部材および室内部材に跨がって上枠補強材を固定することができる。このため、仮に火災時に断熱部材が溶融しても、上枠補強材によって室外部材および室内部材を連結した状態を維持でき、断熱性能向上に加えて防火性能も確保できる。
【0054】
本発明の建具において、前記上枠本体は、前記躯体の室外面に取り付けられる室外側取付片部と、前記室外側取付片部よりも室内側において前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、前記室外側取付片部および前記室内側取付片部間において前記躯体の下面から離間して設けられた補強材固定片部とを備え、前記上枠補強材は、前記室外側取付片部の室内面に沿って配置されて前記躯体に固定される第1固定部と、前記補強材固定片部に固定される第2固定部と、前記躯体の下面に当接する当接部と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、補強材固定片部に加わる荷重を、第2固定部から第1固定部および当接部を介して躯体で支持できるため、補強性能を高めることができ、上枠本体の変形を防止できる。また、断熱性能を向上させるために、上枠本体を、室外側取付片部を有する金属製の室外部材と、室内側取付片部を有する金属製の室内部材と、室外部材および室内部材を連結する樹脂製の断熱部材とを備えて構成した場合には、室外部材および室内部材に跨がって上枠補強材を固定することができる。このため、仮に火災時に断熱部材が溶融しても、上枠補強材によって室外部材および室内部材を連結した状態を維持でき、断熱性能向上に加えて防火性能も確保できる。
【0055】
本発明の建具において、前記上枠本体の室内側は、合成樹脂製の室内側カバー材で被覆され、前記上枠本体は、前記室内側カバー材が取り付けられるカバー材取付片部と、前記カバー材取付片部よりも室内側かつ上方に配置されて前記上枠補強材が固定される補強材固定片部と、前記補強材固定片部よりも室内側かつ上方に配置されて前記躯体の下面に取り付けられる室内側取付片部と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、上枠本体の室内側を室内側カバー材で被覆しているので、断熱性能を向上できる。また、補強材固定片部に上枠補強材を固定した際に、上枠補強材とカバー材取付片部との間に空間が確保されるため、室内側カバー材をカバー材取付片部の下面にネジで取り付けた際に、ネジの先端側を前記空間に収納することができ、室内側カバー材を上枠本体に確実に取り付けることができる。
さらに、補強材固定片部は躯体下面に取り付けられる室内側取付片部よりも下方の位置に配置されるため、補強材固定片部と躯体下面との間に空間を確保でき、この空間に上枠補強材を配置できる。このため、上枠補強材を配置する際に厚さ寸法の制約が少なく、上枠補強材として必要な強度を確保することができる。
【0056】
本発明の建具において、前記室内側カバー材は、前記補強材固定片部の下方に離間して配置され、前記上枠補強材は、前記補強材固定片部にネジで固定され、前記ネジの前記補強材固定片部から下方に突出する部分は、前記補強材固定片部および前記室内側カバー材間の空間に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、上枠補強材を固定するネジを補強材固定片部および室内側カバー材との間に形成される空間に配置できるので、ネジが室内側に露出しないように、室内側カバー材で隠すことができ、建具の内観意匠性を向上できる。
【0057】
本発明の建具において、前記上枠および前記下枠は、外レールおよび内レールを備え、前記障子は、前記外レールに案内される外障子と、前記内レールに案内される内障子とを備えることが好ましい。
本発明によれば、外障子および内障子を備える引違い窓において上枠の耐風圧性能を向上できるので、高層階用の高強度な引違い窓を容易にかつ低コストで提供できる。
【符号の説明】
【0058】
1…引違い窓、1B…引違い窓、1C…引違い窓、1D…引違い窓、2…窓枠、2B…窓枠、5…外障子、6…内障子、7…躯体、10…上枠、10B…上枠、10C…上枠、10D…上枠、11…上枠本体、11B…上枠本体、15…上枠補強材、15B…上枠補強材、15C…上枠補強材、18…室内側カバー材、20…下枠、30…縦枠、40…縦枠、71…室外面、72…下面、74…造作材、110B…室外部材、111…室外側取付片部、111B…室外側取付片部、120B…室内部材、121…カバー材取付片部、121B…カバー材取付片部、123…補強材固定片部、123B…補強材固定片部、125…躯体当接部、125B…躯体当接部、127…室内側取付片部、127B…室内側取付片部、130B…断熱部材、131…中空部、131B…中空部、132…中空部、132B…中空部、133…空間、133B…空間、134…空間、134B…空間、141…外レール、141B…外レール、142…内レール、142B…内レール、151…固定部、151B…固定部、151C…固定部、152…当接部、152B…当接部、154B…躯体固定片、154C…躯体固定片、155B…連結片、155C…連結片、161…ネジ、162…ネジ、165…ネジ、166…ネジ。