(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064497
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/34 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
E06B1/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173122
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 和彦
(57)【要約】
【課題】下枠に設けられる樹脂カバーの交換作業を容易に行うことができる建具を提供すること。
【解決手段】本発明の建具は、上枠10、下枠20および縦枠を有する窓枠2を有する引違い窓1である。縦枠には樹脂製の縦枠カバー材45が着脱可能に取り付けられる。下枠20の室内側見付面には樹脂製の下枠室内面カバー材27が着脱可能に取り付けられる。下枠室内面カバー材27は、下枠20の室内側に配置される造作材74よりも室外側に配置される。縦枠カバー材45は、下端面が下枠室内面カバー材27の上方に配置される。下枠室内面カバー材27は、縦枠カバー材45を縦枠から取り外した状態で、室内側見付面と造作材74の間に配置された状態から取り外すことができ、かつ、室内側見付面と造作材の間に挿入して室内側見付面に取り付けることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠および左右の縦枠を有する窓枠を備える建具であって、
前記縦枠には樹脂製の縦枠カバー材が着脱可能に取り付けられ、
前記下枠の室内側見付面には樹脂製の下枠カバー材が着脱可能に取り付けられ、
前記下枠カバー材は、前記下枠の室内側に配置される造作材よりも室外側に配置され、
前記縦枠カバー材は、下端面が前記下枠カバー材の上方に配置され、
前記下枠カバー材は、前記縦枠カバー材を前記縦枠から取り外した状態で、前記室内側見付面と前記造作材との間に配置された状態から取り外すことができ、かつ、前記室内側見付面と前記造作材との間に挿入して前記室内側見付面に取り付けることができる
ことを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具において、
前記下枠カバー材は、
板状のカバー本体と、
前記カバー本体の室外面において上下方向の中間位置に形成され、前記室内側見付面に当接可能な当接部と、を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1に記載の建具において、
前記下枠カバー材は、
板状のカバー本体と、
前記カバー本体の室外面において上下に離間して設けられた下向き鉤状の係合部と、を備え、
前記室内側見付面は、上方が開口された凹溝状に形成されて前記係合部が係合される被係合部を備える
ことを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1に記載の建具において、
前記室内側見付面には室内側に突出する突出部が設けられ、
前記下枠カバー材は、収縮した際に、前記突出部に当接して収縮を抑制する受け部を有する
ことを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1に記載の建具において、
前記下枠カバー材は、
板状のカバー本体と、
前記カバー本体の上端から室外側に延出された上面部とを備え、
前記下枠は、前記カバー本体の上端室外面および前記上面部の下面に当接する上端当接部を有する
ことを特徴とする建具。
【請求項6】
請求項1に記載の建具において、
前記下枠カバー材は、
板状のカバー本体と、
前記カバー本体の上端から室外側に延出された上面部とを備え、
前記上面部の下面は、室外側に向かって斜め下方に傾斜され、
前記下枠は、前記カバー本体の前記上面部の下面に当接する傾斜面を備えた上端当接部を有する
ことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠と障子とを備える建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口に取り付けられるサッシ窓として、アルミ製の金属部と合成樹脂製の樹脂部とから構成された下枠を備えるサッシ窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。前記下枠の樹脂部の室内側の端部には室内側立上り片が形成され、室内側立上り片の下端には木ネジを挿通可能な取付片が室内側に延出されて形成され、取付片の上方には、床材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、下枠に取り付けられるカバー状の樹脂部が破損や劣化したり、床材などと色が合わない場合に、樹脂部の交換が必要な場合がある。この場合、樹脂部の取付片の上に配置された床材を取り外さないと樹脂部を交換できないため、樹脂部を交換するメンテナンス時の作業性が低下するという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、下枠に設けられる樹脂カバー材の交換作業を容易に行うことができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、上枠、下枠および左右の縦枠を有する窓枠を備える建具であって、前記縦枠には樹脂製の縦枠カバー材が着脱可能に取り付けられ、前記下枠の室内側見付面には樹脂製の下枠カバー材が着脱可能に取り付けられ、前記下枠カバー材は、前記下枠の室内側に配置される造作材よりも室外側に配置され、前記縦枠カバー材は、下端面が前記下枠カバー材の上方に配置され、前記下枠カバー材は、前記縦枠カバー材を前記縦枠から取り外した状態で、前記室内側見付面と前記造作材との間に配置された状態から取り外すことができ、かつ、前記室内側見付面と前記造作材との間に挿入して前記室内側見付面に取り付けることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、下枠に設けられる樹脂カバー材の交換作業を容易に行うことができる建具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る引違い窓を示す内観姿図である。
【
図2】第1実施形態に係る引違い窓を示す縦断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る引違い窓を示す横断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る引違い窓の縦枠および下枠の接続部を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る引違い窓の下枠を示す縦断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る引違い窓の下枠の要部を示す拡大縦断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る引違い窓の下枠室内面カバー材の取り外し手順を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る引違い窓の下枠を示す縦断面図である。
【
図9】第2実施形態に係る引違い窓の下枠の室内側見付面を示す図である。
【
図10】第2実施形態の変形例に係る引違い窓の下枠を示す縦断面図である。
【
図11】第2実施形態の変形例に係る引違い窓の下枠の室内側見付面を示す図である。
【
図12】第2実施形態の他の変形例に係る引違い窓の下枠を示す縦断面図である。
【
図13】第2実施形態の他の変形例に係る引違い窓の下枠の室内側見付面を示す図である。
【
図14】第3実施形態に係る引違い窓の下枠の要部を示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態に係る建具である引違い窓1は、
図1~
図3に示すように、窓枠2と、窓枠2内に引違い可能に配置される外障子5および内障子6とを備えている。窓枠2は、躯体7の開口に固定される半外付けの開口枠である。
各図において、引違い窓1の窓枠2、外障子5、内障子6の主要構造材のハッチングは省略している。また、以下の説明において、引違い窓1の左右方向をX軸方向とし、引違い窓1の上下方向をY軸方向とし、引違い窓1の見込み方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
窓枠2は、上枠10、下枠20および左右の縦枠30、40を枠組みして構成されている。
上枠10は、
図2に示すように、アルミ押出形材製(金属製)の室外部材110および室内部材120と、室外部材110および室内部材120を連結するウレタン樹脂などの合成樹脂製の断熱部材130とを備えて構成される。
室外部材110は、躯体7の室外面71にネジ161で固定される室外側取付片部111と、網戸レール部113と、外レール141とを備える。
室内部材120は、内レール142と、内レール142から見込み方向に延出されたカバー材固定片部121と、躯体7にネジ162で固定される室内側固定片部127とを備える。
【0011】
上枠10の室外部材110には、合成樹脂製の上枠レール間カバー材17が取り付けられている。また、室内部材120には、上枠室内側カバー材18が取り付けられている。
上枠レール間カバー材17は、閉鎖位置にある外障子5の室内側において、外レール141および内レール142間に配置されるものであるため、上枠10の長手方向の寸法の約半分の長さ寸法とされている。上枠レール間カバー材17は、室外部材110の突片に、上枠レール間カバー材17の断面略L字状の係合片を係合することで上枠10に取り付けられている。
【0012】
上枠室内側カバー材18は、上枠10の長手方向(X軸方向)の略全長に渡って配置される樹脂形材である。上枠室内側カバー材18は、カバー材固定片部121の下面に沿って配置された固定面部と、固定面部の室外側端部から下方に延出されて内レール142の室内面に沿って配置されたレールカバー部と、固定面部の室内側端部に連結されたホロー部と、ホロー部から上方に延出されて室内部材120に係合する係合部とを備えている。
上枠室内側カバー材18は、ネジ166によってカバー材固定片部121に固定されている。ネジ166は、ドリルネジやタッピングネジが利用でき、カバー材固定片部121においてネジ166が螺合される部分は、ネジ166を螺合可能な厚さ寸法となるように、カバー材固定片部121の他の部分に比べて厚さ寸法が大きい厚肉部とされている。ホロー部は、固定面部から上方および下方に延出された中空部である。
上枠室内側カバー材18は、上枠10において、室内側に露出する室内面を被覆することで上枠10の断熱性能を向上している。
【0013】
下枠20は、アルミ押出形材製(金属製)の室外部材210および室内部材220と、室外部材210および室内部材220を連結するウレタン樹脂などの合成樹脂製の断熱部材230とを備えて構成される。
室外部材210は、躯体7の室外面71にネジ161で固定される室外側取付片部211と、網戸レール部213と、外レール241とを備える。
室内部材220は、内レール242と、躯体7にネジ162で固定される室内側固定片部229とを備える。
【0014】
下枠20には、合成樹脂製の下枠レール間カバー材25と、下枠上面カバー材26と、本発明の下枠カバー材である下枠室内面カバー材27とが取り付けられている。
以上の下枠20および下枠レール間カバー材25、下枠上面カバー材26、下枠室内面カバー材27の詳細については後述する。
【0015】
また、上枠10の室外側取付片部111および下枠20の室外側取付片部211の室外側には、外壁材75が配置され、外壁材75と室外部材110の上面との間や、外壁材75と室外部材210の下面との間には、バックアップ材76およびシーリング材77が配置されている。また、上枠室内側カバー材18、下枠室内面カバー材27の室内側には、引違い窓1の設置後に躯体7に取り付けられる額縁や床材等の造作材74が配置される。
【0016】
縦枠30は、
図3に示すように、アルミ押出形材によって形成され、見込み片311と、見込み片311から見付け方向(X軸方向)に延出され、躯体7の室外面71にネジ161で固定される室外側取付片部312と、見込み片311の室内側端部に形成されて躯体7の見込み面にネジ162で固定される室内側取付片部313と、見込み片311から内周側に延出されて外障子5を閉めた際に当接する引寄せ片314とを備えて構成される。
縦枠30の見込み片311には、合成樹脂製の縦枠カバー材35が取り付けられている。縦枠カバー材35は、室外側に向いて断面略L字状に形成された鉤状の室外側係合部351と、室内側に向いて断面略L字状に形成された鉤状の室内側係合部352とを備えている。
見込み片311の内周面には、室外側係合部351、室内側係合部352が係合される凹溝状の被係合部が形成されている。
縦枠カバー材35は、見込み片311において、引寄せ片314よりも室内側を被覆するように取り付けられ、縦枠30の見込み片311は、外障子5を閉めた際に、縦枠カバー材35で被覆されて室内側に露出しないように構成されている。
【0017】
縦枠40は、アルミ押出形材製によって形成され、見込み片411と、見込み片411から見付け方向(X軸方向)に延出され、躯体7の室外面71にネジ161で固定される室外側取付片部412と、見込み片411の室内側端部に形成されて躯体7の見込み面にネジ162で固定される室内側取付片部413と、見込み片411から内周側に延出されて内障子6を閉めた際に当接する引寄せ片414とを備えて構成される。
縦枠40の見込み片411には、合成樹脂製の縦枠カバー材45が取り付けられている。縦枠カバー材45は、室外側に向いて断面略L字状に形成された鉤状の室外側係合部451と、室内側に向いて断面略L字状に形成された鉤状の室内側係合部452とを備えている。
見込み片411の内周面には、室外側係合部451、室内側係合部452が係合される凹溝状の被係合部が形成されている。
縦枠カバー材45は、見込み片411において、引寄せ片414よりも室内側を被覆するように取り付けられ、縦枠40の見込み片411は、内障子6を閉めた際に、縦枠カバー材45で被覆されて室内側に露出しないように構成されている。
【0018】
縦枠30の室外側取付片部312、縦枠40の室外側取付片部412の室外側には、上枠10や下枠20と同様に、外壁材75、バックアップ材76、シーリング材77が配置されている。また、縦枠カバー材35、45の室内側には額縁などの造作材74が配置されている。
【0019】
窓枠2において、上枠10および下枠20は、縦枠30、40の上端部間および下端部間に配置され、縦枠30、40から上枠10、下枠20のビスホールに螺合されるネジで組み立てられている。このため、見込み片311、見込み片411の内周面に突出する引寄せ片314、414は上枠10、下枠20が配置される上端および下端には設けられていない。
図4に示すように、縦枠カバー材35、45は、上枠室内側カバー材18および下枠室内面カバー材27の間に配置されている。このため、縦枠カバー材35、45の下端面(小口)は、下枠室内面カバー材27の上面部275の上方に配置され、上面部275に当接している。また、上枠室内側カバー材18および下枠室内面カバー材27の両端小口は、縦枠30、40に当接している。
【0020】
外障子5は、
図1~
図3に示すように、上框51、下框52、縦框53、外召合せ框54および複層ガラス55を框組みして構成されている。
内障子6は、上框61、下框62、縦框63、内召合せ框64および複層ガラス65を框組みして構成されている。
上框51、61と、下框52、62と、縦框53、63と、内召合せ框64とは、アルミ押出形材からなる室外側形材511、611、521、621、531、631、641に、難燃性の樹脂押出形材からなる室内側形材512、612、522、622、532、632、642が係合して形成されている。また、外召合せ框54は、アルミ押出形材で形成されている。また、室内側形材512、612、522、622、532、632、642には、中空部が形成されている。
このため、外障子5および内障子6は、樹脂製の室内側形材512、612、522、622、532、632、642を備え、さらに室内側形材512、612、522、622、532、632、642は中空部を備えているので、引違い窓1の断熱性能が向上されている。
【0021】
[下枠の構造]
次に、下枠20の詳細構造について、
図5を参照して説明する。下枠20は、前述のとおり、室外部材210、室内部材220、断熱部材230を備えて構成される。
室外部材210は、室外側取付片部211と、上面部212と、網戸レール部213と、下面部214と、室外面部215と、連結片部216と、外レール241とを備えている。
室外側取付片部211は、躯体7の室外面71に沿って配置された板状の突片である。上面部212は、略見込み方向(Z軸方向)に沿って延出されて室外部材210の上面を形成する。
網戸レール部213は、上面部212の室外側端部から上方に延出されている。下面部214は、上面部212の下方において室外側取付片部211の上端からZ軸方向つまり見込み方向の室外側に延出されている。
室外面部215は、Y軸方向に沿って延出され、上面部212および下面部214の室外側端部近傍を連結している。連結片部216は、Y軸方向に沿って延出され、上面部212および下面部214の室内側端部近傍を連結している。上面部212、下面部214、室外面部215、連結片部216によって中空部251が区画されている。
上面部212には、中空部251内に面してビスホールが形成されている。このビスホールは、Z軸方向において、外レール241よりも室外側であり、室外面部215よりも室内側の位置に形成されている。
連結片部216には、断熱部材230を保持する保持部と、室内側に向かって開口するビスホールとが形成されている。
【0022】
室内部材220は、上面部221と、下面部222と、連結片部223と、室内面部224と、垂下片部225と、立上り片部226と、保持片部227と、保持片部228と、室内側固定片部229と、内レール242とを備えている。
上面部221は、略見込み方向(Z軸方向)に沿って延出されて室内部材220の上面を形成する。内レール242は、上面部221の室外側端部から上方に延出されている。下面部222は、上面部221の下方においてZ軸方向つまり見込み方向に延出されている。
連結片部223は、略Y軸方向に沿って延出され、上面部221および下面部222の室外側端部を連結している。連結片部223には、断熱部材230を保持する保持部が形成されている。
室内面部224は、略Y軸方向に沿って延出され、上面部221および下面部222の室内側端部を連結している。上面部221、下面部222、連結片部223、室内面部224によって中空部252が区画されている。また、上面部221の下面には中空部252に開口するビスホールが形成されている。
【0023】
垂下片部225は、下面部222から下方に延出されている。垂下片部225は、躯体7の上面に当接し、内レール242に加わる内障子6の荷重を支持できるように構成されている。
立上り片部226は、
図6に拡大して示すように、上面部221の室内側端部から上方に延出されて室外側に突起が形成された第1鉛直面部2261と、第1鉛直面部2261の上端から室内側に向かって斜め上方に延長された傾斜面部2262と、傾斜面部2262の上端からL字状に屈曲された屈曲部2263と、屈曲部2263から上方に延出された第2鉛直面部2264と、第2鉛直面部2264の上端から室内側に延出された上端当接部2265とを備える。
【0024】
保持片部227は、上面部221の室内側端部から室内側に延出された延出部2271と、延出部2271から上方に延出された保持面部2272とを備えて断面略L字状に形成されている。保持面部2272において、第1鉛直面部2261に対向する面は突起2273が形成されている。この保持片部227は、上方が開口された凹溝状の被係合部を構成する。
【0025】
保持片部228は、下面部222の室内側端部から下方に延出された第1保持片2281と、第1保持片2281の下端から室内側に延出された底面部2282と、底面部2282から上方に延出された第2保持片2283とを備えている。この保持片部228は、上方が開口された凹溝状の被係合部を構成する。
第1保持片2281の第2保持片2283に対向する面には、突起2285が形成されている。突起2285の高さ位置は、第2保持片2283の上端よりも低い位置とされている。
第2保持片2283の上端には、第1保持片2281に向かって突出する突起2286が形成されている。
【0026】
室内側固定片部229は、底面部2282の室内側端部から下方に延出された第1垂下片部2291と、第1垂下片部2291から室内側に延出された取付片部2292と、取付片部2292の室内側端部から下方に延出された第2垂下片部2293とを備えている。
以上の室内部材220において、室内面部224、立上り片部226、保持片部228によって下枠20の室内側見付面が構成されている。
【0027】
下枠20には、
図2に示すように、合成樹脂製の下枠レール間カバー材25、下枠上面カバー材26、下枠室内面カバー材27が取り付けられている。
下枠レール間カバー材25は、閉鎖位置にある外障子5の室内側において、外レール241および内レール242間に配置されるものであるため、下枠20の長手方向の寸法の約半分の長さ寸法とされている。下枠レール間カバー材25は、外レール241および内レール242間に配置され、室外部材210に係合されて取り付けられている。
【0028】
下枠上面カバー材26は、下枠20の長手方向(X軸方向)の略全長に渡って配置される樹脂形材である。下枠上面カバー材26は、
図5に示すように、室内部材220の上面において内レール242の室内側に配置され、室内部材220に係合されて取り付けられている。下枠上面カバー材26は硬質樹脂で形成されている。また、下枠上面カバー材26の室内側には、軟質樹脂で形成されて立上り片部226に当接する当接片261が形成されている。
【0029】
[下枠室内面カバー材]
本発明の下枠カバー材である下枠室内面カバー材27は、下枠20の長手方向(X軸方向)の略全長に渡って配置され、下枠20の室内側見付面に取り付けられる樹脂形材である。下枠室内面カバー材27の室内側には、額縁や床材などの造作材74が配置されている。
下枠室内面カバー材27は、
図5および
図6に示すように、カバー本体271と、下端係合部272と、当接部273と、中間係合部274と、上面部275とを備えている。
カバー本体271は、Y軸方向に沿った板状の部材である。
【0030】
下端係合部272は、カバー本体271の下端から室外側に延出され、さらに下方に延出されて断面略L字状つまり下向きの鉤状に形成されている。下端係合部272の下端室内面には、爪部2721が形成されている。爪部2721は、下端係合部272の下端から上方に向かうにしたがって室内側つまり第2保持片2283に近づく向きに傾斜された傾斜面2722と、前記傾斜面の上端から室外方向に形成された係止面2723とを有する。この下端係合部272は、被係合部である保持片部228に係合される。
【0031】
当接部273は、カバー本体271の高さ寸法に対して、上から約2/3の高さ位置に形成され、カバー本体271から室外方向に延出され、さらに下方に突出されて断面略L字状に形成されている。当接部273は、
図6に示すように、下枠室内面カバー材27の室内側に配置される造作材74の上端部近傍の高さ位置に設けられ、施工現場における仕上げ作業時に、造作材74を下枠室内面カバー材27に当接させた際にその力を受けて下枠室内面カバー材27が撓んで変形しないように設けられている。
【0032】
中間係合部274は、カバー本体271の高さ寸法に対して、上から約1/3の高さ位置に形成され、カバー本体271から室外方向に延出された延出部2741と、延出部2741から下方に延出された係合片2742とを備えて断面略L字状つまり下向きの鉤状に形成されている。この中間係合部274は、被係合部である保持片部227に係合される。
【0033】
上面部275は、カバー本体271の上端部から室外方向に延出された延出部2751と、延出部2751から下方に突出された突出片2752とを備えて断面略L字状に形成されている。
図5および
図6に示すように、立上り片部226と突出片2752との間には隙間が形成され、下枠上面カバー材26の当接片261の先端がこの隙間に配置されて隠されている。
【0034】
以上の下枠室内面カバー材27は、下枠20の室内側見付面である室内面部224、立上り片部226、保持片部228を覆うように取り付けられている。
下枠室内面カバー材27が下枠20に取り付けられた状態では、
図6に示すように、上端当接部2265は上面部275の下面およびカバー本体271の室外面に当接する。また、係合片2742は突起2273に当接し、中間係合部274は保持片部227に係合する。下端係合部272は、保持片部228の第1保持片2281、底面部2282、第2保持片2283で区画される凹溝内に配置される。また、当接部273は室内面部224に対向して配置される。
下枠室内面カバー材27のカバー本体271の室内面はフラット面であり、造作材74の室外面に当接される。このため、下枠室内面カバー材27は、造作材74よりも室外側に配置される。
【0035】
[下枠室内面カバー材の取付方法]
次に、下枠室内面カバー材27を窓枠2の下枠20に取り付ける手順について説明する。
枠組みされた窓枠2の下枠20に下枠室内面カバー材27を取り付ける場合は、縦枠カバー材35、45を取り付ける前に、
図5に示すように、下枠室内面カバー材27を下枠20の室内側見付面に対して斜めに傾けた状態で、下端係合部272を保持片部228の凹溝内に挿入する。例えば、下端係合部272の先端を第1保持片2281に沿って下方に移動し、突起2285に当接した状態で下枠室内面カバー材27の上面部275を立上り片部226側に回転する。さらに、係止面2723を突起2286の下面に当接させながら、上面部275を立上り片部226側にさらに回転する。
そして、当接部273が室内面部224に当接したり、中間係合部274が傾斜面部2262に当接したら、下枠室内面カバー材27を下方に移動する。これにより、上面部275が上端当接部2265の上面に当接し、上端当接部2265の端部がカバー本体271に当接し、中間係合部274が保持片部227に係合して下枠室内面カバー材27が下枠20に取り付けられる。
【0036】
下枠室内面カバー材27を下枠20に取り付け、上枠室内側カバー材18を上枠10に取り付けた後に、縦枠カバー材35、45を縦枠30、40に取り付ける。これにより、下枠室内面カバー材27は、縦枠カバー材35、45の小口に当接し、上方に移動できないため、下枠20から外れることを防止できる。
窓枠2を建具の躯体7に取り付けた後、造作材74を取り付ける。この際、下枠室内面カバー材27に造作材74を突き当てた場合、当接部273が室内面部224に当接して造作材74から加わる力を支持できる。このため、カバー本体271が撓んで変形することを防止できる。
【0037】
[下枠室内面カバー材の取り外し方法]
次に、下枠室内面カバー材27を取り外す手順について、
図7に基づいて説明する。
図7(A)に示すように、下枠20および造作材74間に下枠室内面カバー材27が配置された状態から、
図7(B)に示すように、下枠室内面カバー材27を上方に引き上げながら、上面部275を室内側に傾ける。この際、中間係合部274を傾斜面部2262に当接させながら下枠室内面カバー材27を引き上げることで、下枠室内面カバー材27を自動的に傾けることもできる。また、カバー本体271は薄板状であるため、作業者が上面部275を室内側に移動させることでカバー本体271を湾曲させながら傾けることもできる。
【0038】
さらに、
図7(C)に示すように、下枠室内面カバー材27を傾けながら引き上げる。この際、第1保持片2281の上半分は室外側に傾斜され、第1保持片2281と造作材74との間隔は上方に向かって徐々に広がっているので、下端係合部272を第1保持片2281に当接させたり、中間係合部274を第2鉛直面部2264に当接させて、下枠室内面カバー材27の傾斜角度を大きくしながら、下枠室内面カバー材27をスムーズに引き上げることができる。
【0039】
そして、
図7(D)に示すように、下端係合部272を第1保持片2281の上端近傍まで移動すると、下枠室内面カバー材27の傾斜角度をさらに大きくできる。
さらに、
図7(E)に示すように、下端係合部272を第1保持片2281の上端や室内面部224の下端に当接する位置まで移動すると、下枠室内面カバー材27の傾斜角度をさらに大きくでき、中間係合部274が保持片部227に干渉することなく、下枠室内面カバー材27を取り外すことができる。
以上のように、造作材74が取り付けられた状態でも、下枠20の室内側見付面および造作材74間に配置された下枠室内面カバー材27を上方に移動して取り外すことができる。
【0040】
なお、下枠20および造作材74間に、新たな下枠室内面カバー材27を取り付ける場合は、
図7に示す取り外す手順とは逆の
図7(E)から
図7(A)の順に下枠室内面カバー材27を下枠20および造作材74間に差し込めばよい。
【0041】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の引違い窓1によれば、下枠室内面カバー材27は、下枠20の室内側に配置される造作材74よりも室外側に配置されているので、下枠20の室内側に造作材74が配置された状態で、下枠室内面カバー材27を下枠20から取り外したり、取り付けたりすることができる。このため、下枠室内面カバー材27が破損などした場合に、造作材74を取り外すことなく、下枠室内面カバー材27のみを着脱でき、下枠室内面カバー材27の交換時のメンテナンス作業性を向上できる。
下枠室内面カバー材27の上面には縦枠カバー材35、45の下端面が当接するため、窓枠2に縦枠カバー材35、45および下枠室内面カバー材27を取り付けた状態では、下枠室内面カバー材27を上側に移動して外すことができない。このため、建物に引違い窓1を設置して使用している状態では、縦枠カバー材35、45を外さない限り下枠室内面カバー材27が外れることはなく、下枠室内面カバー材27の取付状態を確実に維持できる。
【0042】
下枠室内面カバー材27は、下枠20の室内側見付面に当接可能な当接部273を備えるため、下枠20の室内側に配置される床材などの造作材74を、下枠室内面カバー材27に突き当てて躯体7に取り付けた際に、当接部273が室内側見付面である室内面部224に当接することで造作材74から加わる力を受けることができ、カバー本体271が撓んで変形することを防止できる。
【0043】
下枠20の室内側見付面に、上方が開口された凹溝状の被係合部である保持片部227および保持片部228を設け、下枠室内面カバー材27に、下向き鉤状の係合部である中間係合部274、下端係合部272を設けたので、簡単な構造によって、下枠20の室内側見付面に対して下枠室内面カバー材27を上方向に外すことができ、かつ、室内側見付面に対して下枠室内面カバー材27を下方に差し込むことで取り付けることができる。
【0044】
下枠室内面カバー材27のカバー本体271の上端室外面および上面部275の下面に下枠20の上端当接部2265を当接しているので、樹脂製の下枠室内面カバー材27を金属製の下枠20の室内部材220で補強できる。
【0045】
下枠室内面カバー材27は、下端係合部272に爪部2721を形成し、第2保持片2283に突起2286を形成したので、下枠室内面カバー材27を上側に移動した場合は、爪部2721の係止面2723が突起2286に係止されるため、下枠20に取り付けた下枠室内面カバー材27が意図せずに外れることを防止できる。また、上面部275には、突出片2752を形成しているので、例えば、利用者が上面部275を室内側に移動させた際に、突出片2752が立上り片部226に当接してその移動を規制でき、下枠室内面カバー材27が撓んで変形することも防止できる。
【0046】
下枠室内面カバー材27は、カバー本体271から室外側に突出する下端係合部272、当接部273、中間係合部274、上面部275がそれぞれ上下方向に離間してかつ長手方向に沿って形成されているので、板状のカバー本体271の強度を補強することができる。このため、例えば、下枠室内面カバー材27が熱伸びした場合、下枠室内面カバー材27の長手方向の両端が縦枠30、40に当接して移動が規制されているため、下枠室内面カバー材27はX軸方向の中央部分が室内側に膨らむように撓む可能性があるが、X軸方向に連続する下端係合部272、当接部273、中間係合部274、上面部275がそれぞれ補強リブとしても機能するため、下枠室内面カバー材27の撓みを抑制できる。
【0047】
[第2実施形態]
第2実施形態は、下枠室内面カバー材27の収縮を防止する構造を追加したものである。このため、前記第1実施形態と共通する構成には同一符号を付して説明を省略する。
第2実施形態の引違い窓1Bは、
図8および
図9に示すように、下枠20Bの室内面部224に突き出し加工によって突出部となる係止片2241を形成している。すなわち、室内面部224の一部をコ字状に切断して係止片2241を形成し、この係止片2241を室外側に突き出して突出部として設けている。この係止片2241は、下枠20Bの長手方向(X軸方向)の左右両端近傍にそれぞれ1箇所ずつ形成されている。また、係止片2241は、最も室内側に突出する端面が、それぞれ下枠20Bの左右の端面側に向くように形成されている。
下枠室内面カバー材27の当接部273には、X軸方向の位置が係止片2241に対応する切欠部2731を形成している。このため、
図9に示すように、係止片2241は当接部273が除去された切欠部2731に配置されている。
【0048】
以上の構成により、第2実施形態の引違い窓1Bは、温度変化による下枠室内面カバー材27の収縮を抑制できる。すなわち、下枠室内面カバー材27の両端小口は、
図4に示すように、縦枠30、40に当接しているので、第1実施形態と同じく下枠室内面カバー材27の熱伸びを抑制できる。
一方、気温が低下する冬期などでは、下枠室内面カバー材27が収縮して縮む可能性がある。下枠室内面カバー材27がX軸方向に収縮すると、当接部273の切欠部2731の切断面が係止片2241に当接するため、下枠室内面カバー材27の収縮を抑制できる。したがって、切欠部2731の切断面は、温度変化で下枠室内面カバー材27が長手方向に収縮した際に、突出部である係止片2241に当接して下枠室内面カバー材27の収縮を抑制する受け部である。
【0049】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態の引違い窓1Bによれば、前記第1実施形態と同じ構成を備えるため、第1実施形態と同じ効果が得られる。さらに、突出部である係止片2241と、受け部となる切欠部2731とを有するため、下枠室内面カバー材27の収縮を抑制できる。
突出部である係止片2241は突き出し加工で形成しているので、別の部品を取り付ける必要が無いため、コストを低減できる。また、受け部は、当接部273の一部を切り欠いて構成しているので、低コストで形成できる。
さらに、切欠部2731に係止片2241が配置されているので、下枠20Bに対して下枠室内面カバー材27がX軸方向にスライドすることを規制できる。このため、下枠室内面カバー材27を下枠20Bに取り付けてから、縦枠30、40と下枠20Bとを連結する場合、下枠室内面カバー材27が下枠20Bからスライドして抜け落ちることを防止できる。
【0050】
[第2実施形態の変形例]
なお、突出部の構成は係止片2241に限定されず、下枠の室内側見付面から室内側に突出するものであればよい。例えば、
図10および
図11に示す引違い窓1Cの下枠20Cのように、室内面部224にブロック状の係止部材281をネジ282で固定して突出部を構成してもよい。すなわち、係止部材281に形成した貫通孔および室内面部224に形成した貫通孔にネジ282を挿入し、このネジ282を室内面部224の中空部252側に設けたナット283に螺合することで、突出部となる係止部材281を室内面部224に固定している。
一方、下枠室内面カバー材27の当接部273には、X軸方向の位置が係止部材281に対応する切欠部2731を形成すればよい。
【0051】
この引違い窓1Cにおいても、第2実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ブロック状の係止部材281は、下枠室内面カバー材27の熱伸び時にも切欠部2731の切断面に当接するため、下枠室内面カバー材27が収縮する場合だけでなく、熱伸び時にも機能させることができる。
【0052】
[第2実施形態の他の変形例]
さらに、突出部としては、
図12および
図13に示す引違い窓1Dの下枠20Dのように、室内面部224に固定したネジ291で構成してもよい。すなわち、室内面部224に形成した貫通孔にネジ291を挿入し、このネジ291を室内面部224の中空部252側に設けたナット292に螺合することで、突出部となるネジ291を室内面部224に固定している。
下枠室内面カバー材27の当接部273には、X軸方向の位置がネジ291に対応する切欠部2731を形成すればよい。
【0053】
この引違い窓1Dにおいても、係止部材281を用いた引違い窓1Cと同様の効果が得られる。さらに、ネジ291を突出部として用いるため、係止部材281を用いた引違い窓1Cに比べて部品点数を少なくでき、コストを低減できる。
【0054】
[第3実施形態]
第3実施形態の引違い窓1Eは、
図14に示すように、下枠20Eの構造の一部と、下枠室内面カバー材27Eの構造の一部を変更したものである。このため、第1実施形態の引違い窓1と同じ構成については同一符号を付して説明を省略する。
下枠20Eは、室内部材220Eの立上り片部226Eの一部が変更されている。具体的には、屈曲部2263Eの延出寸法を長くして第2鉛直面部2264をよりカバー本体271に近接させた点と、上端当接部2265Eを第2鉛直面部2264から斜め上方に延出させた点を変更している。このため、上端当接部2265Eの上面は、室内側に向かって斜め上方に傾斜された傾斜面2266とされている。
下枠室内面カバー材27Eは、上面部275Eの延出部2751Eおよび突出片2752Eの形状を、上端当接部2265Eの形状に合わせて変更している。すなわち、延出部2751Eは、その室外面が第2鉛直面部2264の室外面とほぼ面一となるように構成している。また、上面部275Eの突出片2752Eの下面は、室外側に向かって斜め下方に傾斜された傾斜面2753とされている。この上面部275Eの傾斜面2753には、上端当接部2265Eの傾斜面2266が当接している。
【0055】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態の引違い窓1Eは、第1実施形態の引違い窓1と同じ構成を備えることにより同じ効果を奏することができる。
また、第2鉛直面部2264をカバー本体271に近接させているので、カバー本体271および立上り片部226Eの上部の厚さ寸法を小さくでき、内障子6の室内面との段差寸法を小さくすることもできる。このため、下枠20Eおよび内障子6の各室内面がフラットになっている印象にでき、引違い窓1Eの意匠性を向上できる。
さらに、カバー本体271に沿って立上り片部226Eを設けているので、カバー本体271のみを設けた場合に比べて強度を確保できる。特に、下枠20Eは、テラス窓では利用者が引違い窓1からベランダや庭に出入りする際に足で踏んだりすることもあり、下枠室内面カバー材27Eにも強度が必要となるが、第2鉛直面部2264がカバー本体271に沿って配置されているので強度を向上できる。
上端当接部2265Eを斜め上方に延出して傾斜面2266を設け、この傾斜面2266を上面部275Eの下面の傾斜面2753に当接させているので、下枠室内面カバー材27Eを下枠20Eに取り付けた状態では、上面部275EがZ軸方向に移動することを上端当接部2265Eで規制できる。また、下枠室内面カバー材27Eを下枠20Eから取り外す場合には、上端当接部2265Eの傾斜面2266が突出片2752Eの傾斜面2753に当接してガイド面となるため、下枠室内面カバー材27Eを傾斜面2266に沿って斜め上方にスムーズに引き上げることができる。
【0056】
[変形例]
下枠カバー材である下枠室内面カバー材27、27Eの構造は前記各実施形態に限定されない。例えば、下枠室内面カバー材27は、X軸方向に連続して形成される1条の当接部273を備えているが、上下に離間して形成される2条以上の当接部を設けてもよい。また、下枠見付面の高さ寸法が小さい場合など、中間係合部274と下端係合部272との間隔寸法が小さい場合には、当接部273を設けない下枠室内面カバー材を用いてもよい。
また、第2実施形態では、受け部を当接部273の切欠部2731で構成していたが、中間係合部274に受け部を形成し、第1鉛直面部2261や保持片部227に突出部を形成してもよい。
【0057】
前記各実施形態では、縦枠カバー材35、45の下端は、下枠室内面カバー材27、27Eの上面部275、275Eに当接していたが、当接せずに近接して配置してもよい。すなわち、縦枠カバー材35、45は、下枠室内面カバー材27、27Eの上方に配置され、下枠室内面カバー材27、27Eの上方への移動を規制して下枠20、20Eから外れないように規制できればよい。
下枠20、20B、20C、20D、20Eの構成は、前記実施形態のように、金属製の室外部材210および室内部材220を樹脂製の断熱部材230で連結したものに限定されず、下枠全体をアルミ押出形材で構成し、その室内側見付面に下枠室内面カバー材27を取り付けたものでもよい。
【0058】
本発明は、下枠の室内側見付面に樹脂製の下枠室内面カバー材を取り付けた建具に利用できるため、引違い窓1に限定されず、片引き窓や上げ下げ窓、すべり出し窓や開き窓等の各窓種の建具に広く利用できる。
【0059】
[発明のまとめ]
本発明は、上枠、下枠および左右の縦枠を有する窓枠を備える建具であって、前記縦枠には樹脂製の縦枠カバー材が着脱可能に取り付けられ、前記下枠の室内側見付面には樹脂製の下枠カバー材が着脱可能に取り付けられ、前記下枠カバー材は、前記下枠の室内側に配置される造作材よりも室外側に配置され、前記縦枠カバー材は、下端面が前記下枠カバー材の上方に配置され、前記下枠カバー材は、前記縦枠カバー材を前記縦枠から取り外した状態で、前記室内側見付面と前記造作材との間に配置された状態から取り外すことができ、かつ、前記室内側見付面と前記造作材との間に挿入して前記室内側見付面に取り付けることができることを特徴とする。
本発明によれば、下枠カバー材は、下枠の室内側に配置される造作材よりも室外側に配置されているので、下枠の室内側に造作材が配置された状態で、下枠カバー材を下枠から取り外したり、取り付けたりすることができる。このため、下枠カバー材が破損などした場合に、造作材を取り外すことなく、下枠カバー材のみを着脱でき、下枠カバー材の交換時の作業性を向上できる。
また、下枠カバー材の上方には縦枠カバー材が配置されるため、窓枠に縦枠カバー材および下枠カバー材を取り付けた状態では、下枠カバー材を上側に移動すると縦枠カバー材に当接するため、それ以上移動することができず、下枠カバー材を下枠から取り外すことができない。このため、建物に建具を設置して使用している状態では、縦枠カバー材を外さない限り下枠カバー材が外れることはなく、下枠カバー材の取付状態を確実に維持できる。
【0060】
本発明の建具において、前記下枠カバー材は、板状のカバー本体と、前記カバー本体の室外面において上下方向の中間位置に形成され、前記室内側見付面に当接可能な当接部と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、下枠カバー材は、下枠の室内側見付面に当接可能な当接部を備えるため、下枠の室内側に配置される床材などの造作材を、下枠カバー材に突き当てて躯体に取り付けた際に、当接部が室内側見付面に当接することで造作材から加わる力を受けることができ、カバー本体が撓んで変形することを防止できる。
【0061】
本発明の建具において、前記下枠カバー材は、板状のカバー本体と、前記カバー本体の室外面において上下に離間して設けられた下向き鉤状の係合部と、を備え、前記室内側見付面は、上方が開口された凹溝状に形成されて前記係合部が係合される被係合部を備えることが好ましい。
本発明によれば、下枠の室内側見付面に、上方が開口された凹溝状の被係合部を設け、下枠カバー材に、下向き鉤状の係合部を設けたので、簡単な構造によって、下枠の室内側見付面に対して下枠カバー材を上方向に外すことができ、かつ、室内側見付面に対して下枠カバー材を下方に差し込むことで取り付けることができる。
【0062】
本発明の建具において、前記室内側見付面には室内側に突出する突出部が設けられ、前記下枠カバー材は、収縮した際に、前記突出部に当接して収縮を抑制する受け部を有することが好ましい。
本発明によれば、下枠側に突出部を設け、下枠カバー材側に受け部を設けたので、下枠カバー材が長手方向に収縮した場合に、突出部が受け部に当接するため、下枠カバー材の収縮を規制して、下枠カバー材が収縮することを抑制できる。
【0063】
本発明の建具において、前記下枠カバー材は、板状のカバー本体と、前記カバー本体の上端から室外側に延出された上面部とを備え、前記下枠は、前記カバー本体の上端室外面および前記上面部の下面に当接する上端当接部を有することが好ましい。
本発明によれば、下枠カバー材のカバー本体の上端室外面および上面部の下面に下枠の上端当接部を当接しているので、樹脂製の下枠カバー材を金属製の下枠で補強できる。
【0064】
本発明の建具において、前記下枠カバー材は、板状のカバー本体と、前記カバー本体の上端から室外側に延出された上面部とを備え、前記上面部の下面は、室外側に向かって斜め下方に傾斜され、前記下枠は、前記カバー本体の前記上面部の下面に当接する傾斜面を備えた上端当接部を有することが好ましい。
本発明によれば、上端当接部に設けた傾斜面を、下枠カバー材の上面部の下面の傾斜面に当接させているので、下枠カバー材を下枠に取り付けた状態では、上面部が見込み方向に移動することを上端当接部で規制できる。また、下枠カバー材を下枠から取り外す場合には、上端当接部の傾斜面がガイド面となり、下枠カバー材を斜め上方にスムーズに引き上げることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…引違い窓、1B…引違い窓、1C…引違い窓、1D…引違い窓、1E…引違い窓、2…窓枠、7…躯体、10…上枠、20…下枠、20B…下枠、20C…下枠、20D…下枠、20E…下枠、27…下枠室内面カバー材、27E…下枠室内面カバー材、30…縦枠、35…縦枠カバー材、40…縦枠、45…縦枠カバー材、74…造作材、210…室外部材、220…室内部材、220E…室内部材、221…上面部、222…下面部、223…連結片部、226…立上り片部、226E…立上り片部、227…保持片部、228…保持片部、229…室内側固定片部、230…断熱部材、271…カバー本体、272…下端係合部、273…当接部、274…中間係合部、275…上面部、275E…上面部、281…係止部材、282…ネジ、283…ナット、291…ネジ、292…ナット、2241…係止片、2261…第1鉛直面部、2262…傾斜面部、2263…屈曲部、2263E…屈曲部、2264…第2鉛直面部、2265…上端当接部、2265E…上端当接部、2266…傾斜面、2271…延出部、2272…保持面部、2273…突起、2281…第1保持片、2282…底面部、2283…第2保持片、2285…突起、2286…突起、2721…爪部、2722…傾斜面、2723…係止面、2731…切欠部、2741…延出部、2742…係合片、2751…延出部、2751E…延出部、2752…突出片、2752E…突出片、2753…傾斜面。