(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006450
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】物品収容設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65G1/04 547Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107318
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鯰江 一也
(72)【発明者】
【氏名】田村 健二
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ09
3F022KK02
3F022MM15
(57)【要約】
【課題】物品搬送動作の制約を少なくしつつ、上下方向の異なる階層にわたって物品を搬送したり異なる階層にある収容部に物品を収容したりする。
【解決手段】物品収容設備100は、第1階層L1に配置された第1スタッカクレーン1と、第2階層L2に配置された第2スタッカクレーン2と、収容棚Sと、を備えている。収容棚Sは、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。収容棚Sには、第2方向Yの両側から物品9を出し入れ可能な収容部Saが少なくとも1つ含まれる共用領域CAが設定されている。第1スタッカクレーン1は、共用領域CAの収容部Saに対して第2方向第1側Y1から物品9を移載可能に構成され、第2スタッカクレーン2は、共用領域CAの収容部Saに対して第2方向第2側Y2から物品9を移載可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1階層の床を構成する第1床と、前記第1階層の上の階層である第2階層の床を構成する第2床と、を備えた建物に設置される物品収容設備であって、
前記第1階層に配置された第1スタッカクレーンと、
前記第2階層に配置された第2スタッカクレーンと、
水平方向に沿う第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の収容部が配列され、それぞれの前記収容部に物品が収容可能である収容棚と、を備え、
前記収容棚は、前記第1階層と前記第2階層とに亘って配置され、
上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側とし、前記第2方向の他方側を第2方向第2側として、
前記第1スタッカクレーンは、前記収容棚に対して前記第2方向第1側に配置され、
前記第2スタッカクレーンは、前記収容棚に対して前記第2方向第2側に配置され、
前記収容棚には、前記第2方向の両側から前記物品を出し入れ可能な前記収容部が少なくとも1つ含まれる共用領域が設定され、
前記第1スタッカクレーンは、前記共用領域の前記収容部に対して前記第2方向第1側から前記物品を移載可能に構成され、
前記第2スタッカクレーンは、前記共用領域の前記収容部に対して前記第2方向第2側から前記物品を移載可能に構成されている、物品収容設備。
【請求項2】
前記収容棚は、前記第1床から上方に立設されると共に前記第2床を上下方向に貫通している、請求項1に記載の物品収容設備。
【請求項3】
前記共用領域は、前記第2床よりも上側に配置されている、請求項2に記載の物品収容設備。
【請求項4】
前記建物が、前記第2階層の上の階層である第3階層の床を構成する第3床を備え、
前記第1スタッカクレーンが、前記第1階層と前記第2階層とに亘って配置され、
前記第2スタッカクレーンが、前記第2階層と前記第3階層とに亘って配置され、
前記収容棚が、前記第1階層、前記第2階層、及び前記第3階層に亘って配置され、
前記収容棚における前記第2階層に配置された部分に、前記共用領域が設定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【請求項5】
前記第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の第1収容部が配列され、それぞれの前記第1収容部に前記物品が収容可能である第1棚と、
前記第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の第2収容部が配列され、それぞれの前記第2収容部に前記物品が収容可能である第2棚と、を更に備え、
前記第1棚は、前記第1スタッカクレーンに対して前記第2方向第1側に配置され、
前記第2棚は、前記第2スタッカクレーンに対して前記第2方向第2側に配置され、
前記第1スタッカクレーンは、前記第1棚の前記第1収容部に対して前記第2方向第2側から前記物品を移載可能に構成され、
前記第2スタッカクレーンは、前記第2棚の前記第2収容部に対して前記第2方向第1側から前記物品を移載可能に構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【請求項6】
前記第1スタッカクレーン及び前記第2スタッカクレーンを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記共用領域の同一の前記収容部に対する前記物品の移載が、前記第1スタッカクレーンと前記第2スタッカクレーンとによって同時に行われないように、前記第1スタッカクレーン及び前記第2スタッカクレーンのそれぞれの移載動作を制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【請求項7】
前記共用領域に複数の前記収容部が含まれ、
前記共用領域に含まれる複数の前記収容部のうち一部が、前記第1スタッカクレーンから前記第2スタッカクレーンへの前記物品の受け渡しを中継する専用の前記収容部として構成され、他の一部が、前記第2スタッカクレーンから前記第1スタッカクレーンへの前記物品の受け渡しを中継する専用の前記収容部として構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【請求項8】
前記第1スタッカクレーン及び前記第2スタッカクレーンの少なくとも一方に、前記物品の上下方向視での姿勢を変更させる姿勢変更機構が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品収容設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1階層の床を構成する第1床と、前記第1階層の上の階層である第2階層の床を構成する第2床と、を備えた建物に設置される物品収容設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品収容設備の一例が、特開2017―114618号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備では、上下方向に沿って延在する筒体(U)の内部に、第1案内体(M1)及び第2案内体(M2)が上下方向に沿って配置されている。第1案内体(M1)には、第1移動体(T1)が上下方向に沿って移動自在に設けられている。第1移動体(T1)は、物品(B)を移載可能な第1移載装置(TS1)を備えている。同様に、第2案内体(M2)には、第2移載装置(TS2)を備えた第2移動体(T2)が上下方向に沿って移動自在に設けられている。
【0004】
第1移動体(T1)が上下方向に沿って移動する際の第1移動軌跡が、第1移動体(T1)によって物品(B)を搬送することが可能な搬送可能領域に対応している。第2移動体(T2)が上下方向に沿って移動する際の第2移動軌跡が、第2移動体(T2)によって物品(B)を搬送することが可能な搬送可能領域に対応している。第1移動軌跡の上端側部分と第2移動軌跡の下端側部分との上下方向の位置は、互いに重複している。すなわち、第1移動体(T1)の搬送可能領域と第2移動体(T2)の搬送可能領域とは、一部が上下方向で重複している。そして、両搬送可能領域が重複する重複領域には、中継用支持台(N)が設けられている。第1移動体(T1)と第2移動体(T2)とは、中継用支持台(N)を介して、互いに物品(B)を受け渡すことが可能となっている。このように、特許文献1に開示された設備では、第1移動体(T1)と第2移動体(T2)とによって同じ物品(B)を搬送可能とすることで、物品(B)を搬送可能な上下方向の領域を広く確保することができている。これにより、同設備では、異なる階層に亘って物品(B)を搬送可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された設備では、同文献の
図2に示されているように、第1移動体(T1)と第2移動体(T2)とが上下方向視で重複するように配置されている。すなわち、第1移動体(T1)の第1移動軌跡と第2移動体(T2)の第2移動軌跡とが上下方向視で重複している。そのため、第1移動体(T1)の搬送可能領域と第2移動体(T2)の搬送可能領域とが重複する重複領域において、第1移動体(T1)と第2移動体(T2)との干渉が発生し得る。そのため、特許文献1に開示された設備では、両移動体(T1,T2)の干渉を回避する制御が行われる。しかしながら、このような干渉回避制御を行うことにより、第1移動体(T1)と第2移動体(T2)とによる物品搬送動作の制約が大きくなり、これらによる物品の搬送効率を高める際の制約となっていた。
【0007】
上記実状に鑑みて、物品搬送動作の制約を少なくしつつ、上下方向の異なる階層にわたって物品を搬送したり異なる階層にある収容部に物品を収容したりすることができる技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1階層の床を構成する第1床と、前記第1階層の上の階層である第2階層の床を構成する第2床と、を備えた建物に設置される物品収容設備であって、
前記第1階層に配置された第1スタッカクレーンと、
前記第2階層に配置された第2スタッカクレーンと、
水平方向に沿う第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の収容部が配列され、それぞれの前記収容部に物品が収容可能である収容棚と、を備え、
前記収容棚は、前記第1階層と前記第2階層とに亘って配置され、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側とし、前記第2方向の他方側を第2方向第2側として、
前記第1スタッカクレーンは、前記収容棚に対して前記第2方向第1側に配置され、
前記第2スタッカクレーンは、前記収容棚に対して前記第2方向第2側に配置され、
前記収容棚には、前記第2方向の両側から前記物品を出し入れ可能な前記収容部が少なくとも1つ含まれる共用領域が設定され、
前記第1スタッカクレーンは、前記共用領域の前記収容部に対して前記第2方向第1側から前記物品を移載可能に構成され、
前記第2スタッカクレーンは、前記共用領域の前記収容部に対して前記第2方向第2側から前記物品を移載可能に構成されている。
【0009】
本構成によれば、第1スタッカクレーンによる物品の搬送可能領域と第2スタッカクレーンによる物品の搬送可能領域とは、第2方向の異なる位置に配置されており、互いに重複しない。そのため、共用領域の収容部以外において第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとが干渉することがなく、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンの動作の制約を少なくすることができる。これにより、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンのそれぞれによる物品の搬送効率を高め易い。そして、このような構成において、収容棚の共用領域における収容部に対して、第2方向第1側からは第1スタッカクレーンによって物品を移載することができ、第2方向第2側からは第2スタッカクレーンによって物品を移載することができる。これにより、共用領域の収容部を介して、第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとが互いに物品を受け渡し、異なる階層にわたって物品を搬送したり異なる階層にある任意の収容部に物品を収容したりすることができる。この際、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンのそれぞれは、上下方向のみならず、第1方向にも物品を搬送可能であり、収容棚が上下方向に加えて第1方向にも複数の収容部が配列された構成であるため、従来例に比べて多くの物品を収容棚に収容し易い。以上のように、本構成によれば、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンの動作の制約を少なくしつつ、異なる階層にわたって物品を搬送したり異なる階層にある収容部に物品を収容したりすることができる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図7】第3実施形態に係る物品収容設備を示す概略側面図
【
図8】その他の実施形態に係る物品収容設備を示す概略側面図
【
図9】その他の実施形態に係る物品収容設備を示す概略側面図
【
図10】その他の実施形態に係る物品収容設備を示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、物品収容設備100は、第1階層L1の床を構成する第1床F1と、第1階層L1の上の階層である第2階層L2の床を構成する第2床F2と、を備えた建物に設置される。
【0013】
以下では、複数の階層が連なる方向、すなわち上下方向に、付号「Z」を付して説明する。また、水平方向に沿う特定の方向を「第1方向X」とし、上下方向Zに沿う上下方向Z視で第1方向Xに直交する方向を「第2方向Y」とする。本例では、第2方向Yは、第1方向Xに直交する水平方向である。また、第2方向Yの一方側を「第2方向第1側Y1」とし、第2方向Yの他方側を「第2方向第2側Y2」とする。
【0014】
図1及び
図2に示すように、物品収容設備100は、第1階層L1に配置された第1スタッカクレーン1と、第2階層L2に配置された第2スタッカクレーン2と、収容棚Sと、を備えている。第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2は、物品9を搬送する搬送装置である。スタッカクレーンは、当該スタッカクレーンが配置された階層において物品9を搬送可能である。なお、スタッカクレーンの配置について、ある階層に配置されるとは、少なくとも当該階層に配置されることを意味する。収容棚Sには、水平方向に沿う第1方向X及び上下方向Zのそれぞれに複数の収容部Saが配列され、それぞれの収容部Saに物品9が収容可能である。
【0015】
物品収容設備100で取り扱われる物品9としては、様々なものがある。例えば、物品収容設備100が半導体製造工場に用いられる場合には、ウェハを収容するウェハ収容容器(いわゆるFOUP:Front Opening Unified Pod)や、レチクルを収容するレチクル収容容器(いわゆるレチクルポッド)などが、物品9とされる。
【0016】
収容棚Sは、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。本実施形態では、収容棚Sは、第1床F1から上方に立設されると共に第2床F2を上下方向Zに貫通している。本例では、収容棚Sは、第1床F1から、第2階層L2の天井7に亘って配置されている。収容棚Sの上端は、第2床F2よりも上方に配置されていればよい。例えば図示のように、収容棚Sの上端は、天井7の付近に配置され、或いは天井7に接触していてもよい。
【0017】
第1スタッカクレーン1は、収容棚Sに対して第2方向第1側Y1に配置されている。第1スタッカクレーン1は、収容棚Sに設けられた複数の収容部Saのうち一部に対して、第2方向第1側Y1から物品9を移載可能に構成されている。
【0018】
第2スタッカクレーン2は、収容棚Sに対して第2方向第2側Y2に配置されている。第2スタッカクレーン2は、収容棚Sに設けられた複数の収容部Saのうち一部に対して、第2方向第2側Y2から物品9を移載可能に構成されている。
【0019】
本実施形態では、物品収容設備100は、収容棚Sとは別に、第1棚S1を備えている。第1棚S1には、第1方向X及び上下方向Zのそれぞれに複数の第1収容部S1aが配列され、それぞれの第1収容部S1aに物品9が収容可能である。第1棚S1は、第1スタッカクレーン1に対して第2方向第1側Y1に配置されている。
【0020】
本実施形態では、第1棚S1は、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。詳細には、第1棚S1は、第1床F1から上方に立設されると共に第2床F2を上下方向Zに貫通している。本例では、第1棚S1と収容棚Sとは、共に第1床F1から立設されている。そのため、第1棚S1の下端部は、収容棚Sの下端部と同等の高さに配置されている。一方、第1棚S1の上端部は、収容棚Sの上端部よりも低い位置に配置されている。すなわち、第1棚S1が配置される上下方向Zの領域は、収容棚Sが配置される上下方向Zの領域よりも狭くなっている。
【0021】
図2に示す例では、第1棚S1が配置される第1方向Xの領域は、収容棚Sが配置される第1方向Xの領域と同等となっている。また本例では、第1棚S1が配置される第1方向Xの領域は、後述する第2棚S2が配置される第1方向Xの領域と同等となっている。
【0022】
図示の例では、第1棚S1の一部に、当該第1棚S1に対して物品9を入庫または出庫するための入出庫部8が連接されている。第1棚S1に連接された入出庫部8は、当該第1棚S1の内部と外部との間で物品9を搬送するように構成されている。例えば、入出庫部8はコンベヤや搬送台車を用いて構成される。第1棚S1の外部に配置された外部搬送装置(例えば、床面走行式の無人搬送車、天井走行式の搬送車、フォークリフトなど)、又は作業者によって、入出庫部8へ物品9が搬送され、或いは、入出庫部8から物品9が搬送される。
【0023】
本実施形態では、第1スタッカクレーン1は、第1棚S1の第1収容部S1aに対して第2方向第2側Y2から物品9を移載可能に構成されている。また本例では、第1スタッカクレーン1は、第1棚S1に連接された入出庫部8に対して物品9を移載可能に構成されている。
【0024】
本実施形態では、物品収容設備100は、収容棚Sとは別に、第2棚S2を備えている。第2棚S2には、第1方向X及び上下方向Zのそれぞれに複数の第2収容部S2aが配列され、それぞれの第2収容部S2aに物品9が収容可能である。第2棚S2は、第2スタッカクレーン2に対して第2方向第2側Y2に配置されている。
【0025】
本実施形態では、第2棚S2は、第2階層L2のみに配置されている。詳細には、第2棚S2は、第2床F2から上方に立設されている。本例では、第2棚S2の上端部は、収容棚Sの上端部と同等の高さに配置されている。一方、第2棚S2の下端部は、収容棚Sの下端部よりも高い位置に配置されている。すなわち、第2棚S2が配置される上下方向Zの領域は、収容棚Sが配置される上下方向Zの領域よりも狭くなっている。
【0026】
図2に示す例では、第2棚S2が配置される第1方向Xの領域は、収容棚Sが配置される第1方向Xの領域と同等となっている。また本例では、第2棚S2が配置される第1方向Xの領域は、上述した第1棚S1が配置される第1方向Xの領域と同等となっている。すなわち本例では、第1棚S1、収容棚S、及び第2棚S2のそれぞれの第1方向Xの配置領域が同等となっている。
【0027】
図示の例では、第2棚S2の一部に、当該第2棚S2に対して物品9を入庫または出庫するための入出庫部8が連接されている。第2棚S2に連接された入出庫部8は、当該第2棚S2の内部と外部との間で物品9を搬送するように構成されている。例えば、入出庫部8はコンベヤや搬送台車を用いて構成される。第2棚S2の外部に配置された外部搬送装置(例えば、床面走行式の無人搬送車、天井走行式の搬送車、フォークリフトなど)、又は作業者によって、入出庫部8へ物品9が搬送され、或いは、入出庫部8から物品9が搬送される。
【0028】
本実施形態では、第2スタッカクレーン2は、第2棚S2の第2収容部S2aに対して第2方向第1側Y1から物品9を移載可能に構成されている。また本例では、第2スタッカクレーン2は、第2棚S2に連接された入出庫部8に対して物品9を移載可能に構成されている。
【0029】
本実施形態では、第1スタッカクレーン1は、第1方向Xに沿って設けられた第1走行レール10と、第1走行レール10に沿って走行する第1走行部11と、第1走行部11から上下方向Zに沿って立設された第1マスト12と、第1マスト12に対して昇降自在に支持された第1本体部13と、第1本体部13を昇降させる第1昇降部14(
図4参照)と、第1本体部13に支持されると共に物品9の移載を行う第1移載部15と、を備えている。
【0030】
本実施形態では、第1スタッカクレーン1は、第1階層L1において支持されている。具体的には、第1スタッカクレーン1は、第1床F1に支持されている。本例では、第1走行レール10は、第1床F1に配置された下レール10dと、下レール10dよりも上方に配置された上レール10uと、を含んでいる。そして、第1走行部11は、下レール10dに支持されて、下レール10dに沿って走行する。第1マスト12の上端部は、上レール10uに支持されている。
【0031】
第1スタッカクレーン1が物品9を上下方向Zに搬送可能な領域は、第1棚S1の上下方向Zの配置領域に対応している。詳細には、第1移載部15を支持する第1本体部13が上下方向Zに移動可能な領域は、第1マスト12の上下方向Zの寸法に依存している。そして、第1マスト12の上下方向Zの寸法は、第1棚S1の上下方向Zの配置領域に対応している。これにより、第1スタッカクレーン1が物品9を上下方向Zに搬送可能な領域が、第1棚S1の上下方向Zの配置領域に対応するものとなっている。
【0032】
図2に示す例では、第1スタッカクレーン1が物品9を第1方向Xに搬送可能な領域は、第1棚S1の第1方向Xの配置領域に対応している。詳細には、第1移載部15を支持する第1本体部13が第1方向Xに移動可能な領域は、第1走行レール10の第1方向Xの寸法に依存している。そして、第1走行レール10の第1方向Xの寸法は、第1棚S1の第1方向Xの配置領域に対応している。これにより、第1スタッカクレーン1が物品9を第1方向Xに搬送可能な領域が、第1棚S1の第1方向Xの配置領域に対応するものとなっている。
【0033】
本実施形態では、第2スタッカクレーン2は、第1方向Xに沿って設けられた第2走行レール20と、第2走行レール20に沿って走行する第2走行部21と、第2走行部21から上下方向Zに立設された第2マスト22と、第2マスト22に対して昇降自在に支持された第2本体部23と、第2本体部23を昇降させる第2昇降部24(
図4参照)と、第2本体部23に支持されると共に物品9の移載を行う第2移載部25と、を備えている。
【0034】
本実施形態では、第2スタッカクレーン2は、第2階層L2において支持されている。具体的には、第2スタッカクレーン2は、第2床F2に支持されている。本例では、第2走行レール20は、第2床F2に配置された下レール20dと、下レール20dよりも上方に配置された上レール20uと、を含んでいる。そして、第2走行部21は、下レール20dに支持されて、下レール20dに沿って走行する。第2マスト22の上端部は、上レール20uに支持されている。
【0035】
第2スタッカクレーン2が物品9を上下方向Zに搬送可能な領域は、第2棚S2の上下方向Zの配置領域に対応している。詳細には、第2移載部25を支持する第2本体部23が上下方向Zに移動可能な領域は、第2マスト22の上下方向Zの寸法に依存している。そして、第2マスト22の上下方向Zの寸法は、第2棚S2の上下方向Zの配置領域に対応している。これにより、第2スタッカクレーン2が物品9を上下方向Zに搬送可能な領域が、第2棚S2の上下方向Zの配置領域に対応するものとなっている。
【0036】
図2に示す例では、第2スタッカクレーン2が物品9を第1方向Xに搬送可能な領域は、第2棚S2の第1方向Xの配置領域に対応している。詳細には、第2移載部25を支持する第2本体部23が第1方向Xに移動可能な領域は、第2走行レール20の第1方向Xの寸法に依存している。そして、第2走行レール20の第1方向Xの寸法は、第2棚S2の第1方向Xの配置領域に対応している。これにより、第2スタッカクレーン2が物品9を第1方向Xに搬送可能な領域が、第2棚S2の第1方向Xの配置領域に対応するものとなっている。
【0037】
次に、物品9の移載について説明する。第1スタッカクレーン1は、収容棚Sに設けられた複数の収容部Saのうち一部に対して物品9を移載可能であると共に、第1棚S1に設けられた複数の第1収容部S1aのそれぞれに対して物品9を移載可能に構成されている。第2スタッカクレーン2は、収容棚Sに設けられた複数の収容部Saのうち一部に対して物品9を移載可能であると共に、第2棚S2に設けられた複数の第2収容部S2aのそれぞれに対して物品9を移載可能に構成されている。
【0038】
以下では、
図3を参照して、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2による物品9の移載構造について説明する。なお、
図3は、第1スタッカクレーン1が収容棚Sの収容部Saに対して物品9を移載している様子を示している。第2スタッカクレーン2による収容部Saに対する物品9の移載、第1スタッカクレーン1による第1収容部S1aに対する移載、及び第2スタッカクレーン2による第2収容部S2aに対する移載も、
図3に示される移載と同様に行われる。
【0039】
図3に示すように、第1スタッカクレーン1は、第1移載部15によって物品9を移載するように構成されている。ここで、「物品を移載する」とは、移載対象箇所(図示の例では収容部Sa)へ物品9を引き渡すこと、及び、移載対象箇所から物品9を受け取ること、の双方を含む概念である。
【0040】
本実施形態では、第1移載部15は、水平方向(ここでは第2方向Y)に沿って伸縮自在なアーム150と、アーム150の先端に設けられたフォーク等の支持部151と、を備えている。アーム150は、例えば、SCARA(Selective Compliance Assembly Robot Arm)を用いて構成されている。支持部151は、物品9を下方から支持するように構成されている。
【0041】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、収容部Saは、支持部151が上下方向Zに通過可能な開口を有する載置板を備えている。第1移載部15は、支持部151が物品9を支持した状態で、当該支持部151に上記載置板の開口を上から下に通過させることで、物品9を上記載置板に載置する。これにより、第1移載部15は、収容部Saへ物品9を引き渡す。また、第1移載部15は、上記載置板が物品9を支持した状態で、支持部151に上記載置板の開口を下から上に通過させることで、支持部151に物品9を支持させる。これにより、第1移載部15は、収容部Saから物品9を受け取る。なお、支持部151の昇降は、第1昇降部14(
図4参照)が第1本体部13を昇降させることにより行われる。
【0042】
第2スタッカクレーン2についても、上記第1スタッカクレーン1と同様の移載構造を備えている。すなわち、第2スタッカクレーン2は、第2移載部25によって物品9を移載する。第2移載部25は、水平方向(ここでは第2方向Y)に沿って伸縮自在なアーム250と、アーム250の先端に設けられたフォーク等の支持部251と、を備えている。第2移載部25の詳細な構成は、上述した第1移載部15の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0043】
ここで、物品9の構造やそれを受け入れる収容部Saの構造等によっては、収容部Saでの物品9の姿勢が予め定められた適正姿勢に制限される場合がある。本実施形態では、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2の少なくとも一方に、物品9の上下方向Z視での姿勢を変更させる姿勢変更機構6が設けられている。これにより、各移載対象箇所において求められる物品9の適正姿勢に応じて、姿勢変更機構6によって物品9の上下方向Z視での姿勢を変更することができる。
【0044】
本実施形態では、姿勢変更機構6は、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2の双方に設けられている。具体的には、第1スタッカクレーン1には、姿勢変更機構6としての第1旋回部16が設けられている。第2スタッカクレーン2には、姿勢変更機構6としての第2旋回部26が設けられている。
【0045】
第1旋回部16は、第1移載部15の支持部151に設けられており、当該支持部151に支持された物品9の姿勢を変更する。第2旋回部26は、第2移載部25の支持部251に設けられており、当該支持部251に支持された物品9の姿勢を変更する。例えば、第1旋回部16及び第2旋回部26は、上下方向Zに沿う軸心まわりに回転する旋回台を用いて構成されている。
【0046】
図4に示すように、本実施形態では、物品収容設備100は、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2を制御する上位制御装置Ctを備えている。上位制御装置Ctが、「制御装置」に相当する。
【0047】
本実施形態では、第1スタッカクレーン1は、当該第1スタッカクレーン1の各部の動作を制御する第1搬送制御部C1を備えている。第1搬送制御部C1は、第1走行部11、第1昇降部14、及び第1移載部15を制御する。本実施形態では、第1搬送制御部C1は、上記に加えて、第1旋回部16を制御する。
【0048】
第2スタッカクレーン2は、当該第2スタッカクレーン2の各部の動作を制御する第2搬送制御部C2を備えている。第2搬送制御部C2は、第2走行部21、第2昇降部24、及び第2移載部25を制御する。本実施形態では、第2搬送制御部C2は、上記に加えて、第2旋回部26を制御する。
【0049】
上位制御装置Ctは、第1搬送制御部C1及び第2搬送制御部C2のそれぞれに対して通信可能に構成されている。例えば、上位制御装置Ctは、物品9の搬送元と搬送先とを指定した搬送指令を、第1搬送制御部C1及び第2搬送制御部C2のそれぞれに対して送信するように構成されている。搬送指令を受けた第1搬送制御部C1は、第1スタッカクレーン1の各部を制御して、上記搬送指令に基づいた物品9の搬送を行う。同様に、搬送指令を受けた第2搬送制御部C2は、第2スタッカクレーン2の各部を制御して、上記搬送指令に基づいた物品9の搬送を行う。
【0050】
上位制御装置Ct、第1搬送制御部C1、及び第2搬送制御部C2は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各処理または各機能が実現される。
【0051】
ここで、
図5に示すように、収容棚Sには、第2方向Yの両側から物品9を出し入れ可能な収容部Saが少なくとも1つ含まれる共用領域CAが設定されている。共用領域CAは、第1スタッカクレーン1による物品9の搬送可能領域と第2スタッカクレーン2による物品9の搬送可能領域とが第2方向Yに沿う第2方向Y視において重複する重複範囲OSに設定されている。
【0052】
第1スタッカクレーン1は、共用領域CAの収容部Saに対して第2方向第1側Y1から物品9を移載可能に構成されている。第2スタッカクレーン2は、共用領域CAの収容部Saに対して第2方向第2側Y2から物品9を移載可能に構成されている。
【0053】
これにより、共用領域CAの収容部Saを介して、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが互いに物品9を受け渡し、異なる階層L1~L2にわたって物品9を搬送することができる。また、第1スタッカクレーン1による物品9の搬送可能領域と第2スタッカクレーン2による物品9の搬送可能領域とは、第2方向Yの異なる位置に配置されており、互いに重複しない。そのため、共用領域CAの収容部Sa以外において第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが干渉することがなく、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2の動作の制約を少なくすることができる。これにより、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2のそれぞれによる物品9の搬送効率を高め易い。
【0054】
上述したように、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2の少なくとも一方(本例では双方)には、物品9の上下方向Z視での姿勢を変更させる姿勢変更機構6が設けられている(
図3参照)。例えば、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2のそれぞれにおいて、物品9を支持する場合の当該物品9の適正支持姿勢が定められている場合がある。この場合、第1スタッカクレーン1は、共用領域CAの収容部Saから受け取った物品9の姿勢が適正支持姿勢でないとき、姿勢変更機構6を用いて当該物品9の姿勢を適正支持姿勢に変更することができる。また、第1スタッカクレーン1は、共用領域CAの収容部Saへ物品9を引き渡すとき、引き渡し後に当該物品9を収容部Saから受け取る第2スタッカクレーン2のために、姿勢変更機構6を用いて当該物品9の姿勢を第2スタッカクレーン2に合わせた適正支持姿勢に変更することができる。第2スタッカクレーン2においても上記と同様の姿勢変更を行うことができる。
【0055】
本実施形態では、共用領域CAに複数の収容部Saが含まれている。これにより、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが、共用領域CAにおける複数の収容部Saのそれぞれにおいて互いに物品9を受け渡すことが可能となる。従って、第1階層L1と第2階層L2とに亘る物品9の搬送効率を更に高めることができる。
【0056】
本実施形態では、共用領域CAは、第2床F2よりも上側に配置されている。これにより、第2スタッカクレーン2による上下方向Zの搬送可能領域を第2床F2よりも下方に広げる必要がなく、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが互いに物品9を受け渡すことができる構成を実現することができる。このように共用領域CAが第2床F2よりも上側に配置されているため、本実施形態では、第1スタッカクレーン1は、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。一方、本実施形態では、第2スタッカクレーン2は、第2階層L2のみに配置されている。具体的には、上述のように、第1マスト12は、第1床F1から第2床F2の上方まで延在しているため、第1スタッカクレーン1による物品9の上下方向Zの搬送可能領域は、第2床F2よりも上方に広がっている。一方、第2マスト22は、第2床F2から立設されているため、第2スタッカクレーン2による物品9の上下方向Zの搬送可能領域は、第2床F2よりも下方には存在せず、第2床F2よりも上方にのみ存在している。従って、第2床F2よりも上方において、両スタッカクレーン1、2による物品9の搬送可能領域が存在している。そのため、共用領域CAが第2床F2よりも上側に配置されていることで、当該共用領域CAに含まれる収容部Saにおいて、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが互いに物品9を受け渡すことが可能となっている。
【0057】
本実施形態では、収容棚Sは、第1スタッカクレーン1による物品9の搬送可能領域と第2スタッカクレーン2による物品9の搬送可能領域とが第2方向Y視において重複する重複範囲OS内であって、且つ、共用領域CA以外の範囲に、第1スタッカクレーン1又は第2スタッカクレーン2による物品9の移載を規制する移載規制部Sbを備えている。本例では、移載規制部Sbは、重複範囲OS内であって共用領域CA以外の範囲において収容棚Sの第2方向第1側Y1を覆う壁であり、当該移載規制部Sbが設けられた範囲において第1スタッカクレーン1による物品9の移載を規制する。これにより、共用領域CAの収容部Sa以外の収容部Saにおいては、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが互いに物品9を受け渡しできないようになっている。
【0058】
本実施形態では、上位制御装置Ct(
図4参照)は、共用領域CAの同一の収容部Saに対する物品9の移載が、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とによって同時に行われないように、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2のそれぞれの移載動作を制御する。これにより、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とが物品9の移載中に干渉することを避けることができる。本例では、上位制御装置Ctは、第1搬送制御部C1を介して第1スタッカクレーン1の移載動作を制御し、第2搬送制御部C2を介して第2スタッカクレーン2の移載動作を制御する(
図4参照)。
【0059】
以上説明した物品収容設備100によれば、物品搬送動作の制約を少なくしつつ、上下方向Zの異なる階層L1~L2にわたって物品9を搬送したり、異なる階層にある収容部(Sa、S1a、S2a)に物品9を収容したりすることができる。
【0060】
〔第2実施形態〕
次に、物品収容設備100の第2実施形態について
図6を参照して説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を主に説明する。特に説明しない点については上記第1実施形態と同様である。
【0061】
図6に示すように、本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、共用領域CAに複数の収容部Saが含まれている。
【0062】
本実施形態では、共用領域CAに含まれる複数の収容部Saのうち一部が、第1スタッカクレーン1から第2スタッカクレーン2への物品9の受け渡しを中継する専用の収容部Saとして構成され、他の一部が、第2スタッカクレーン2から第1スタッカクレーン1への物品9の受け渡しを中継する専用の収容部Saとして構成されている。
【0063】
すなわち、共用領域CAに含まれる複数の収容部Saのうち一部が、第1スタッカクレーン1から物品9を受け取ると共に第2スタッカクレーン2へ当該物品9を引き渡す専用の収容部Saとなっている。一方で、共用領域CAに含まれる複数の収容部Saのうち他の一部が、第2スタッカクレーン2から物品9を受け取ると共に第1スタッカクレーン1へ当該物品9を引き渡す専用の収容部Saとなっている。換言すれば、共用領域CAに含まれる複数の収容部Saのそれぞれにおいて、物品9の搬送方向が一方向に定めされている。
【0064】
本実施形態によれば、共用領域CAに配置された同一の収容部Saに対して、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2との双方によって同時に物品9が引き渡されること、及び受け取られることを避けることができる。
【0065】
また、上記第1実施形態では、上位制御装置Ctが、共用領域CAの同一の収容部Saに対する物品9の移載が第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2とによって同時に行われないように、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2のそれぞれの移載動作を制御する構成について説明した。しかし、この第2実施形態によれば、共用領域CAの各収容部Saを上記のように専用化することで、上記第1実施形態のような同時移載の禁止制御を行う必要がなく、或いは、当該禁止制御を行うにしても制御構成を簡素化できるという利点がある。
【0066】
〔第3実施形態〕
次に、物品収容設備100の第3実施形態について
図7を参照して説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を主に説明する。特に説明しない点については上記第1実施形態と同様である。
【0067】
図7に示すように、本実施形態では、建物が、第2階層L2の上の階層である第3階層L3の床を構成する第3床F3を備えている。
【0068】
本実施形態では、第1スタッカクレーン1が、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。第2スタッカクレーン2が、第2階層L2と第3階層L3とに亘って配置されている。そして、収容棚Sが、第1階層L1、第2階層L2、及び第3階層L3に亘って配置されている。さらに、本実施形態では、第1棚S1が、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。第2棚S2が、第2階層L2と第3階層L3とに亘って配置されている。また、図示の例では、各階層L1~L3に、入出庫部8が設けられている。図示のように、入出庫部8は、第1棚S1及び第2棚S2だけでなく、収容棚Sにも連接されていてよい。
【0069】
本実施形態では、収容棚Sにおける第2階層L2に配置された部分に、共用領域CAが設定されている。本実施形態によれば、第2階層L2の共用領域CAにおける収容部Saで受け渡しされた物品9を、第1スタッカクレーン1によって第1階層L1まで搬送でき、又は、第2スタッカクレーン2によって第3階層L3まで搬送することができる。従って、物品9の搬送可能領域を第1階層L1から第3階層L3に亘って広く確保することができる。
【0070】
また、本実施形態によれば、第1スタッカクレーン1による物品9の搬送可能領域と第2スタッカクレーン2による物品9の搬送可能領域とが第2方向Y視において重複する重複範囲OSを、広く確保することができる。そのため、当該重複範囲OSにおいて、共用領域CAを広く設定でき、或いは、複数の共用領域CAを設定することができる。図示の例では、複数の共用領域CAが、互いに離間した位置に設定されている。
【0071】
〔その他の実施形態〕
次に、物品収容設備のその他の実施形態について説明する。
【0072】
(1)上記の実施形態では、収容棚Sが、第1床F1から上方に立設されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図8に示すように、収容棚Sは、第2床F2の下方に吊下げ支持された部分と、第2床F2から上方に立設された部分と、を含んで構成されていてもよい。この場合、収容棚Sを第1床F1から立設する必要がない。
【0073】
(2)上記の実施形態では、収容棚Sが、第2床F2を上下方向に貫通している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図8に示すように、収容棚Sは、第2床F2によって、第2床F2よりも上の部分と第2床F2よりも下の部分とに分断されていてもよい。
【0074】
(3)上記の実施形態では、第2スタッカクレーン2が、第2床F2に支持されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図9に示すように、第2スタッカクレーン2は天井7から懸下された懸下式のスタッカクレーンとして構成されていてもよい。この場合、第2走行レール20が天井7に設けられ、当該第2走行レール20に第2走行部21が支持される。また、このような懸下式の第2スタッカクレーン2によれば、第2スタッカクレーン2による物品9の搬送可能領域を、第2床F2よりも下方に広げることができる。なお、
図9に示すように、第1スタッカクレーン1については、上記実施形態のように第2床F2を上下方向Zに貫通していなくてもよく、第2床F2を構成する天井部分に支持されていてもよい。
【0075】
(4)上記の実施形態では、共用領域CAが、第2床F2よりも上側に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば
図9に示すように、共用領域CAは、第2床F2よりも下側に配置されていてもよい。
図9に示される懸下式の第2スタッカクレーン2を用いることにより、第2スタッカクレーン2による物品9の搬送可能領域を第2床F2よりも下方に広げることで、共用領域CAを第2床F2よりも下側に配置する構成を実現し易い。このように共用領域CAが第2床F2よりも下側に配置されているため、
図9に示す例では、第2スタッカクレーン2は、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置されている。一方、
図9に示す例では、第1スタッカクレーン1は、第1階層L1のみに配置されている。なお、共用領域CAの配置位置は任意に定めることができ、第2床F2の上側又は下側に隣接して配置されていてもよいし、第2床F2から上側又は下側に離間して配置されていてもよい。また、共用領域CAは、第2床F2の上側と下側とに亘って配置されていてもよい。この場合、第1スタッカクレーン1と第2スタッカクレーン2との双方が、第1階層L1と第2階層L2とに亘って配置される。
【0076】
(5)上記の実施形態では、第1棚S1、収容棚S、及び第2棚S2のそれぞれの第1方向Xの配置領域が同等となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1棚S1、収容棚S、及び第2棚S2のそれぞれの第1方向Xの配置領域は、相互に異なっていてもよい。例えば
図10に示すように、第1棚S1の第1方向Xの配置領域と収容棚Sの第1方向Xの配置領域とが同等であり、第2棚S2の第1方向Xの配置領域が第1方向Xにずれていてもよい。第1方向Xにおける上記三者の相対的な位置関係は、
図10に示される例に限らず、任意に設定することができる。但し、
図10に示すように、第1棚S1と収容棚Sと第2棚S2とは、第1方向Xの領域が少なくとも一部で重複している。そして、当該重複した領域に、共用領域CAが設定される。
【0077】
(6)上記の実施形態では、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2の少なくとも一方に、物品9の上下方向Z視での姿勢を変更させる姿勢変更機構6が設けられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、姿勢変更機構6は、第1スタッカクレーン1及び第2スタッカクレーン2以外に設けられていてもよい。例えば、姿勢変更機構6は、共用領域CAの収容部Saに設けられていてもよいし、或いは、入出庫部8に設けられていてもよい。
【0078】
(7)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0079】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品収容設備について説明する。
【0080】
第1階層の床を構成する第1床と、前記第1階層の上の階層である第2階層の床を構成する第2床と、を備えた建物に設置される物品収容設備であって、
前記第1階層に配置された第1スタッカクレーンと、
前記第2階層に配置された第2スタッカクレーンと、
水平方向に沿う第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の収容部が配列され、それぞれの前記収容部に物品が収容可能である収容棚と、を備え、
前記収容棚は、前記第1階層と前記第2階層とに亘って配置され、
上下方向に沿う上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、前記第2方向の一方側を第2方向第1側とし、前記第2方向の他方側を第2方向第2側として、
前記第1スタッカクレーンは、前記収容棚に対して前記第2方向第1側に配置され、
前記第2スタッカクレーンは、前記収容棚に対して前記第2方向第2側に配置され、
前記収容棚には、前記第2方向の両側から前記物品を出し入れ可能な前記収容部が少なくとも1つ含まれる共用領域が設定され、
前記第1スタッカクレーンは、前記共用領域の前記収容部に対して前記第2方向第1側から前記物品を移載可能に構成され、
前記第2スタッカクレーンは、前記共用領域の前記収容部に対して前記第2方向第2側から前記物品を移載可能に構成されている。
【0081】
本構成によれば、第1スタッカクレーンによる物品の搬送可能領域と第2スタッカクレーンによる物品の搬送可能領域とは、第2方向の異なる位置に配置されており、互いに重複しない。そのため、共用領域の収容部以外において第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとが干渉することがなく、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンの動作の制約を少なくすることができる。これにより、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンのそれぞれによる物品の搬送効率を高め易い。そして、このような構成において、収容棚の共用領域における収容部に対して、第2方向第1側からは第1スタッカクレーンによって物品を移載することができ、第2方向第2側からは第2スタッカクレーンによって物品を移載することができる。これにより、共用領域の収容部を介して、第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとが互いに物品を受け渡し、異なる階層にわたって物品を搬送したり異なる階層にある任意の収容部に物品を収容したりすることができる。この際、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンのそれぞれは、上下方向のみならず、第1方向にも物品を搬送可能であり、収容棚が上下方向に加えて第1方向にも複数の収容部が配列された構成であるため、従来例に比べて多くの物品を収容棚に収容し易い。以上のように、本構成によれば、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンの動作の制約を少なくしつつ、異なる階層にわたって物品を搬送したり異なる階層にある収容部に物品を収容したりすることができる。
【0082】
前記収容棚は、前記第1床から上方に立設されると共に前記第2床を上下方向に貫通している、と好適である。
【0083】
本構成によれば、第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとの上下方向の搬送可能領域が重なる位置に、収容棚の共用領域を設定し易い。
【0084】
前記共用領域は、前記第2床よりも上側に配置されている、と好適である。
【0085】
本構成によれば、第2スタッカクレーンによる上下方向の搬送可能領域を第2床よりも下方に広げる必要がなく、第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとが互いに物品を受け渡すことができる構成を実現することができる。
【0086】
前記建物が、前記第2階層の上の階層である第3階層の床を構成する第3床を備え、
前記第1スタッカクレーンが、前記第1階層と前記第2階層とに亘って配置され、
前記第2スタッカクレーンが、前記第2階層と前記第3階層とに亘って配置され、
前記収容棚が、前記第1階層、前記第2階層、及び前記第3階層に亘って配置され、
前記収容棚における前記第2階層に配置された部分に、前記共用領域が設定されている、と好適である。
【0087】
本構成によれば、物品の搬送可能領域を第1階層から第3階層に亘って広く確保することができる。
【0088】
前記第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の第1収容部が配列され、それぞれの前記第1収容部に前記物品が収容可能である第1棚と、
前記第1方向及び上下方向のそれぞれに複数の第2収容部が配列され、それぞれの前記第2収容部に前記物品が収容可能である第2棚と、を更に備え、
前記第1棚は、前記第1スタッカクレーンに対して前記第2方向第1側に配置され、
前記第2棚は、前記第2スタッカクレーンに対して前記第2方向第2側に配置され、
前記第1スタッカクレーンは、前記第1棚の前記第1収容部に対して前記第2方向第2側から前記物品を移載可能に構成され、
前記第2スタッカクレーンは、前記第2棚の前記第2収容部に対して前記第2方向第1側から前記物品を移載可能に構成されている、と好適である。
【0089】
本構成によれば、第1スタッカクレーン又は第2スタッカクレーンによる物品の搬送が可能な範囲で、設備全体の物品の収容力を向上させることができる。
【0090】
前記第1スタッカクレーン及び前記第2スタッカクレーンを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記共用領域の同一の前記収容部に対する前記物品の移載が、前記第1スタッカクレーンと前記第2スタッカクレーンとによって同時に行われないように、前記第1スタッカクレーン及び前記第2スタッカクレーンのそれぞれの移載動作を制御する、と好適である。
【0091】
本構成によれば、第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとが物品の移載中に干渉することを避けることができる。
【0092】
前記共用領域に複数の前記収容部が含まれ、
前記共用領域に含まれる複数の前記収容部のうち一部が、前記第1スタッカクレーンから前記第2スタッカクレーンへの前記物品の受け渡しを中継する専用の前記収容部として構成され、他の一部が、前記第2スタッカクレーンから前記第1スタッカクレーンへの前記物品の受け渡しを中継する専用の前記収容部として構成されている、と好適である。
【0093】
本構成によれば、共用領域に配置された同一の収容部に対して、第1スタッカクレーンと第2スタッカクレーンとの双方によって同時に物品が引き渡されること、及び受け取られることを避けることができる。
【0094】
前記第1スタッカクレーン及び前記第2スタッカクレーンの少なくとも一方に、前記物品の前記上下方向視での姿勢を変更させる姿勢変更機構が設けられている、と好適である。
【0095】
本構成によれば、姿勢変更機構によって、物品の上下方向視での姿勢を変更することができる。例えば、物品の構造やそれを受け入れる収容部の構造等によっては、収容部での物品の姿勢が予め定められた適正姿勢に制限される場合がある。このような場合であっても、本構成によれば、第1スタッカクレーン及び第2スタッカクレーンの少なくとも一方に設けられた姿勢変更機構によって物品の姿勢変更ができるため、共用領域の収容部に対して第2方向の何れの側からでも適切に物品を引き渡し又は受け取ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示に係る技術は、第1階層の床を構成する第1床と、前記第1階層の上の階層である第2階層の床を構成する第2床と、を備えた建物に設置される物品収容設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
100 :物品収容設備
1 :第1スタッカクレーン
2 :第2スタッカクレーン
6 :姿勢変更機構
9 :物品
S :収容棚
Sa :収容部
S1 :第1棚
S1a :第1収容部
S2 :第2棚
S2a :第2収容部
CA :共用領域
L1 :第1階層
L2 :第2階層
L3 :第3階層
F1 :第1床
F2 :第2床
F3 :第3床
X :第1方向
Y :第2方向
Y1 :第2方向第1側
Y2 :第2方向第2側
Z :上下方向