(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064516
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷指示システム、印刷物の生産方法、印刷指示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240507BHJP
【FI】
G06Q30/06 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173155
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 綾子
(72)【発明者】
【氏名】小林 夕華
(72)【発明者】
【氏名】石風呂 裕子
(72)【発明者】
【氏名】福地 悠人
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB66
5L049BB66
(57)【要約】
【課題】印刷見本を使った印刷を容易に行えるように支援する。
【解決手段】印刷見本の実物又は前記印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーに読み取らせて前記印刷見本の特徴を特定する特定部と、画像データを取得する取得部と、前記画像データと前記印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する確認部と、前記印刷プレビューを表示後に、ユーザーの指示に従って、前記画像データを用いた印刷を行わせる印刷部と、を備える印刷指示システムを構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷見本の実物又は前記印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーに読み取らせて前記印刷見本の特徴を特定する特定部と、
画像データを取得する取得部と、
前記画像データと前記印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する確認部と、
前記印刷プレビューを表示後に、ユーザーの指示に従って、前記画像データを用いた印刷を行わせる印刷部と、
を備える印刷指示システム。
【請求項2】
前記印刷見本の特徴は、前記印刷見本に使用されている印刷媒体を含み、
前記印刷見本の印刷媒体及び前記印刷見本の印刷媒体とサイズ違いの複数の印刷媒体の中から少なくとも1つの印刷媒体をユーザーに選択させる選択部をさらに備え、
前記印刷部は、選択された印刷媒体への印刷を行わせる、
請求項1に記載の印刷指示システム。
【請求項3】
前記識別子はバーコード又は2次元コードである、
請求項1に記載の印刷指示システム。
【請求項4】
印刷媒体の指定と見本用画像データの指定を受け付ける受付部と、
受け付けた印刷媒体に前記見本用画像データに基づいた印刷を行うことで前記印刷見本の実物を生産させる生産部と、
前記印刷見本に使用されている印刷媒体を特定するための前記識別子を生産する識別部と、
をさらに備える請求項1に記載の印刷指示システム。
【請求項5】
前記識別子は、前記見本用画像データに施された加工の態様を示すパラメーターを含む、
請求項4に記載の印刷指示システム。
【請求項6】
印刷媒体の指定と見本用画像データの指定を受け付ける受付部と、
受け付けた印刷媒体に前記見本用画像データに基づいた印刷を行うことで前記印刷見本の実物を生産させる生産部と、
前記印刷見本の特徴を特定するための情報を記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記特定部は、前記記憶部を参照して前記印刷見本の特徴を特定する、
請求項1に記載の印刷指示システム。
【請求項7】
印刷媒体の指定と見本用画像データの指定を受け付ける受付部と、
受け付けた印刷媒体に前記見本用画像データに基づいた印刷を行うことで前記印刷見本の実物を生産させる生産部と、
前記印刷見本の実物を特定するための前記識別子を生産する識別部と、
前記印刷見本の特徴と前記識別子とを対応付けて記憶する記憶部と、
をさらに備え、
前記特定部は、前記記憶部を参照して前記識別子が示す前記印刷見本の特徴を特定する、
請求項1に記載の印刷指示システム。
【請求項8】
印刷見本の実物または前記印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーで読み取らせる工程と、
画像データを取得する工程と、
前記画像データと前記識別子に対応する前記印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する工程と、
前記印刷プレビューを表示後に、前記画像データを用いた印刷を行わせて印刷物を生産する工程と、
を含む印刷物の生産方法。
【請求項9】
コンピューターを、
印刷見本の実物又は前記印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーで読み取らせて前記印刷見本の特徴を特定する特定部、
画像データを取得する取得部、
前記画像データと前記印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する確認部、
前記印刷プレビューを表示後に、ユーザーの指示に従って、前記画像データを用いた印刷を行わせる印刷部、
として機能させる印刷指示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷指示システム、印刷物の生産方法、印刷指示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙媒体以外の様々な媒体に印刷を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、缶の表面への印刷について記載されている。特許文献2には、鏡面反射層を有する媒体への印刷について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-39737号公報
【特許文献2】特開2021-187025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙以外の媒体への印刷に不慣れなユーザーが仕上がりのイメージをし易くするために印刷見本を展示する場合がある。このような場合に、ユーザーが、印刷見本を使った印刷を容易に行うことができることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための印刷指示システムは、印刷見本の実物又は印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーに読み取らせて印刷見本の特徴を特定する特定部と、画像データを取得する取得部と、画像データと印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する確認部と、印刷プレビューを表示後に、ユーザーの指示に従って、画像データを用いた印刷を行わせる印刷部と、を備える。
【0006】
上記の課題を解決するための印刷物の生産方法は、印刷見本の実物または印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーで読み取らせる工程と、画像データを取得する工程と、画像データと当該識別子に対応する印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する工程と、印刷プレビューを表示後に、画像データを用いた印刷を行わせて印刷物を生産する工程と、を含む。
【0007】
上記の課題を解決するための印刷指示プログラムは、コンピューターを、印刷見本の実物又は印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーで読み取らせて印刷見本の特徴を特定する特定部、画像データを取得する取得部、画像データと印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する確認部、印刷プレビューを表示後に、ユーザーの指示に従って、画像データを用いた印刷を行わせる印刷部、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】印刷見本と識別子の生成を示すシーケンス図。
【
図11】印刷見本の実物と印刷見本の実物に添付された識別子の例を示す図。
【
図12】印刷見本の識別子を読み取って印刷物を生産するシーケンスを示すシーケンス図。
【
図13】記憶部に記憶される対応関係の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)印刷指示システムの構成:
(1-1)サーバーの構成:
(1-2)端末の構成:
(1-3)プリンターの構成:
(2)印刷見本生産処理:
(3)印刷指示処理:
(4)他の実施形態:
【0010】
(1)印刷指示システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷指示システムの一例を模式的に示す図である。印刷指示システム1は、サーバー10、端末20、プリンター30を備える。図示された装置の個数は一例であり、数は限定されない。例えば、複数台表記された端末20やプリンター30は
図1に図示された数に限定されないし、1台表記されたサーバー10は複数であっても良い。これらの装置は、ネットワークを介して互いに通信することができる。ネットワークの態様は種々の態様であって良く、ローカルネットワークであっても良いし、インターネット等を介して物理的に離れた位置に存在する装置同士が通信しても良い。
【0011】
本実施形態において、端末20とプリンター30は、一例として写真店や雑貨店等の店舗内に設置されている。当該店舗では、店舗のカスタマーであるユーザーが選択した印刷媒体(マグカップ、Tシャツ、スマートフォンケース、缶バッチ、各種サイズや材質の紙等)に対し、ユーザーが指定した写真等を用いてデザインした画像を印刷し、記念品やユーザーオリジナルのグッズを製作する印刷サービスを提供する。
【0012】
端末20は、店舗のカスタマーであるユーザーが印刷画像のデザインに使用する端末(ユーザー端末21)と、ユーザーの応対を行うスタッフが使用する端末(スタッフ端末22)と、印刷ジョブの管理を行う端末(印刷ジョブ管理端末23)と、各プリンター用のプリンタードライバーや印刷アプリケーションがインストールされた端末であって印刷作業者が使用する端末(印刷作業端末24)を含んでいる。
【0013】
プリンター30は、仮注文の整理番号を印刷するためのレシートプリンター31と、注文票を印刷するためのドキュメントプリンター32と、ユーザーが選択した印刷媒体にユーザーがデザインした画像を印刷するプリンター33を含んでいる。プリンター33は、例えば、写真紙への印刷に適したミニラボ機、マグカップ(陶器)や缶バッチやスマートフォンケースに圧着するための昇華転写紙への印刷を行うことができる昇華転写プリンター、ポスター等の大判の紙媒体への印刷に適した大判プリンター、Tシャツ等の布製品に直接印刷を行うことができるDTG(Direct To Garment)プリンター等を含んでいる。
【0014】
ユーザーは、ユーザー端末21を操作し、ユーザー端末21にインストールされたデザインアプリケーションを利用して、印刷媒体に印刷する画像をデザインする。具体的には、ユーザーは、デザインアプリケーションを利用して、印刷媒体を選択し、印刷媒体に応じたテンプレートを選択する。さらに、ユーザーは、デザインアプリケーションを利用してユーザー所望の写真を指定し、テンプレートを用いて印刷媒体に印刷する画像をデザインする。ユーザーは、例えば自身の所有する携帯端末に保存された写真をユーザー端末21に転送することができ、転送した写真を指定することができる。ユーザーは、部数を指定し、自らがデザインした画像の、選択した印刷媒体への印刷を依頼することができる。
【0015】
ところで、ユーザーは、ユーザー端末21のデザインアプリケーションを利用して印刷画像を自由にデザインすることができるが、そのようなデザインに慣れていないユーザーにとって、印刷媒体の種類やその他の様々な選択肢を最初から全て選択していく作業は困難な場合がある。そのため、予め店舗には、印刷見本(サンプルの印刷媒体にサンプルの画像を印刷したもの)をいくつか展示しておくことが考えられる。本実施形態の印刷指示システムは、このような印刷見本を使ってユーザーが容易に所望の画像データを用いた印刷物を作成できるように構成されている。
【0016】
以下、このような印刷サービスを実現するための印刷指示システム1の各装置の構成を説明する。
(1-1)サーバーの構成:
図2は、サーバー10の構成を示すブロック図である。サーバー10は、プロセッサー10aと、通信部10bと、不揮発性メモリー10cとを備える。プロセッサー10aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー10cに記録された種々のプログラムを実行しサーバー10の各部やネットワークに接続された各装置を制御することができる。なお、プロセッサー10aは、単一のチップで構成されても良いし、複数のチップで構成されても良いし、プリンターを動作させる様々な機能ブロックとともにSoCとして構成されていても良い。また、例えばCPUに替えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。本実施形態における各装置がプロセッサーを備える場合、そのプロセッサーは、プロセッサー10aと同様に種々の態様で実現可能である。
【0017】
通信部10bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。サーバー10は、当該通信部10bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部10bは、サーバー10に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0018】
サーバー10の不揮発性メモリー10cには、印刷ジョブ10c1を含む各種の情報が蓄積される。印刷ジョブ10c1は、ユーザーのデザインに基づいて各種の加工が施された画像データ(印刷画像)と、印刷媒体の種類と、部数等を含んでいる。ユーザーは、ユーザー端末21にインストールされているデザインアプリケーションを利用して、印刷画像をデザインする。ユーザーはデザインした印刷画像を、部数等を指定して仮注文すると、印刷画像と印刷媒体の種類と部数等を含む印刷ジョブがサーバー10に送信され、サーバー10の不揮発性メモリー10cに記録される。サーバー10はユーザー端末21から仮注文の印刷ジョブ10c1を受信すると、整理番号を採番し印刷ジョブ10c1に対応付けて不揮発性メモリー10cに記録する。また、サーバー10は、整理番号と、受付カウンターに行くように促すメッセージを含む印刷データを生成して、ユーザー端末21に送信する。ユーザー端末21は、当該印刷データをレシートプリンター31に出力して印刷させる。ユーザーは当該レシートをレシートプリンター31から受け取り、受付カウンターに向かう。
【0019】
また、サーバー10は仮注文された印刷ジョブ10c1をスタッフ端末22に送信する。受付カウンターでは、注文を管理するスタッフがユーザーの応対を行う。スタッフは、整理番号によって、当該整理番号が印字されたレシートを持つユーザーと当該ユーザーが仮注文した印刷ジョブ10c1との対応付けが可能である。スタッフは、スタッフ端末22を操作して、印刷ジョブ10c1の内容確認をユーザーと対話しながら行うことができる。スタッフは、対話の結果、必要があれば部数や印刷媒体の色やサイズ等を変更あるいは追加することができる。印刷ジョブ10c1の内容をスタッフとユーザーとで確認した後、スタッフは、スタッフ端末22を操作して印刷ジョブ10c1の注文を確定することができる。仮注文の確定を本明細書では本注文とも呼ぶ。確定された印刷ジョブ10c1はスタッフ端末22からサーバー10に送信され、不揮発性メモリー10cに記録される。サーバー10は、本注文の印刷ジョブ10c1を受信すると注文番号を採番し印刷ジョブ10c1と対応付けて記録する。なお、本実施形態において注文番号と整理番号は異なる番号であるが、他の実施形態においては同じであってもよい。サーバー10は、本注文された印刷ジョブ10c1を受信すると、印刷ジョブ管理端末23に印刷ジョブ10c1を送信し印刷を指示する。
【0020】
(1-2)端末の構成:
次に、端末20の構成を説明する。端末20のハードウェア構成は、ユーザー端末21とスタッフ端末22と印刷ジョブ管理端末23と印刷作業端末24とで共通する部分がある。
図3は、ユーザー端末21の構成を示すブロック図である。ユーザー端末21は、プロセッサー21aと、通信部21bと、不揮発性メモリー21cと、ディスプレイ21dと、入力部21eと、カメラ21fを備える。プロセッサー21aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー21cに記録された種々のプログラムを実行しユーザー端末21の各部を制御することができる。
【0021】
通信部21bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。ユーザー端末21は、当該通信部21bを介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部21bは、ユーザー端末21に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0022】
ディスプレイ21dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部21eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される。いずれにしても、ユーザーは、ディスプレイ21dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部21eを操作してユーザーの意図を入力することができる。カメラ21fは、被写体を撮影して画像を生成し出力する。本実施形態において、カメラ21fは印刷見本の実物に添付された識別子(2次元コード)を読み取るリーダーとして機能する。
【0023】
ユーザー端末21には、デザインアプリケーションがインストールされており、ユーザー端末21のプロセッサー21aは、デザインアプリケーションを実行することにより、カメラ21fで読み取った識別子から印刷見本の特徴を特定する特定部21a1、画像データを取得する取得部21a2、画像データと印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する確認部21a3、プリンター33に印刷を行わせる印刷部21a4として機能する。また、プロセッサー21aは、印刷見本の印刷媒体及び印刷見本の印刷媒体とサイズ違いの複数の印刷媒体から少なくとも1つの印刷媒体をユーザーに選択させる選択部21a5としても機能する。これら各部の詳細については後述する。
【0024】
図4は、スタッフ端末22の構成を示すブロック図である。ハードウェア構成はユーザー端末21と共通であるため、説明を一部省略する。なお、スタッフ端末22はカメラを備えていても良いし備えていなくても良い。スタッフは、スタッフ端末22を操作することにより、サーバー10から受信した印刷ジョブ10c1に対して、注文確定(本注文)の指示等を行うことができる。注文を確定すると、スタッフ端末22は、確定した注文の内容を示す注文票をドキュメントプリンター32に印刷させる。
【0025】
また、本実施形態において、スタッフ端末22は、印刷見本の生産と、識別子の生産を行う端末としても利用される。そのために、スタッフ端末22には、ユーザー端末21と同様のデザインアプリケーションがインストールされている。スタッフはスタッフ端末22のデザインアプリケーションを利用して、印刷見本に印刷する画像のデザインを行い、印刷を指示する。この場合に、スタッフ端末22のプロセッサー22aは、印刷媒体の指定と見本用画像データの指定を受け付ける受付部22a1、受け付けた印刷媒体に受け付けた見本用画像データに基づいた印刷を行うことで印刷見本の実物を生産させる生産部22a2として機能する。
【0026】
また、本実施形態において、スタッフ端末22は、印刷見本に使用している印刷媒体を特定するための識別子の生産にも利用される。本実施形態においては、当該識別子として2次元コード画像が紙に印刷される。スタッフ端末22は、二次元コード生成アプリケーションがインストールされている。スタッフは、この二次元コード生成アプリケーションを利用して、印刷見本の印刷媒体を特定するための2次元コード画像を生産する。この場合に、スタッフ端末22のプロセッサー22aは、識別部22a3として機能する。これらの詳細については後述する。
【0027】
印刷ジョブ管理端末23および印刷作業端末24(
図1を参照)は、スタッフ端末22とハードウェア構成が共通である。印刷ジョブ管理端末23は、サーバー10から印刷指示を受信すると、印刷ジョブを実行するプリンター33に対応する印刷作業端末24を選択し、当該印刷作業端末24に印刷ジョブを送信する。印刷作業端末24の選択は、印刷作業者によって手動で行われても良い。印刷作業端末24には、各プリンター33のプリンタードライバーや印刷アプリケーションがインストールされている。印刷作業者は、これらのプログラムを利用して、印刷前の色合わせ等の各種の前工程作業を行うことができる。
【0028】
印刷作業者は印刷作業端末24を操作して、印刷ジョブの印刷を実施するプリンターの選択と、印刷ジョブの印刷に用いる印刷設定の選択を行う。なおこれらの選択は、印刷ジョブ管理端末23で行われても良い。例えば、印刷ジョブ管理端末23または印刷作業端末24のプロセッサーは、印刷ジョブを実行可能なプリンター33のリストを提示し、その中から印刷作業者が選択したプリンター33を取得する。また例えば、印刷ジョブ管理端末23または印刷作業端末24のプロセッサーは、印刷ジョブの実行に関する複数の印刷設定のリストを提示し、その中から印刷作業者が選択した印刷設定を取得する。印刷作業端末24では、印刷設定に基づいて印刷ジョブの画像データを指定されたプリンター33での印刷形式に変換し、変換の結果生成された印刷データを部数の情報とともにプリンター33に出力する。印刷が終了すると、印刷作業端末24は印刷が終了したことを示す進捗情報を、印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に通知する。
【0029】
(1-3)プリンターの構成:
図5は、プリンター30の構成を示すブロック図である。プリンター30は、レシートプリンター31、ドキュメントプリンター32、商品の印刷を行うプリンター33を含んでいる。プリンター30は、プロセッサー30aと、通信部30bと、不揮発性メモリー30cと、印刷部30dと、UI部30eと、を備える。プロセッサー30aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー30cに記録された種々のプログラムを実行しプリンター30の各部を制御することができる。
【0030】
通信部30bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。プリンター30は、当該通信部30bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部30bは、プリンター30に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0031】
印刷部30dは、レシートプリンター31,ドキュメントプリンター32,プリンター33で異なる。印刷部30dは、印刷を実行する部位であり、普通紙、写真紙、昇華転写紙、布等を含む各種の媒体にインクジェット方式を含む各種の印刷方式で印刷を施す。例えば、レシートプリンター31の印刷部30dは、レシートとして予め選択された紙幅のロール紙に印刷を施す。ドキュメントプリンター32の印刷部30dは、例えばA4等のカット紙に印刷を施す。プリンター33の印刷部30dは、店舗で取り扱う立体やシート状の様々な印刷媒体に印刷を施す。印刷部30dは、各種の媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターや各種装置、センサー、駆動回路、機械部品等を備えている。センサーは、プリンター30において変化し得る各種の検出対象を検出するセンサーを含む。検出対象は限定されず、例えば、メディアの残量を検出するセンサーや印刷に使用される色毎のインクの残量を検出するセンサー等が挙げられる。
【0032】
UI部30eは、タッチパネルディスプレイや各種のキーやスイッチやLED等の少なくともいずれかを含む。タッチパネルディスプレイは、各種の情報、例えば、プリンター30のステータスやインクの残量等を表示する表示パネルと、当該表示パネルに重ねられたタッチ検出パネルとを備え、タッチ操作を検出する。LEDはプリンター30のステータス等を示す点灯あるいは点滅表示を行う。プロセッサー30aは、UI部30eを介してスタッフの操作内容を取得することができる。また、プロセッサー30aは、UI部30eのディスプレイに各種の情報を表示しスタッフに通知することができる。
【0033】
本実施形態においてプリンター33は、写真店や雑貨店等の店舗内において、ユーザーからの注文およびスタッフの印刷指示に応じて注文された印刷物を生産する。プリンター33のプロセッサー30aは、通信部30bを介して、プリンター33の印刷形式に変換された印刷データを取得し、当該印刷データに基づいて印刷部30dを制御し、印刷を実施する。印刷が終了すると、プロセッサー30aは、通信部30bを介して印刷が終了したことを示す進捗情報を出力する。当該情報は印刷作業端末24、印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に送信される。サーバー10が、通信部10bを介して当該情報を取得すると、サーバー10のプロセッサー10aは、印刷が終了した印刷ジョブ10c1の進捗情報を「印刷終了」に更新する。
【0034】
(2)印刷見本生産処理:
図6は印刷見本生産処理を示すシーケンス図である。スタッフがスタッフ端末22のデザインアプリケーションを起動すると、スタッフ端末22のプロセッサー22aは、印刷媒体の選択肢を表示する。選択肢は例えば、Tシャツ、マグカップ、フォトブック、スマートフォンケース等である。
図7は、印刷媒体選択画面の一例を示す図であり、Tシャツやマグカップ等の、印刷媒体のカテゴリの選択肢(b11,b12等)が表示されていることを示している。Tシャツ、マグカップ等のような、印刷媒体のカテゴリの選択の後は、印刷媒体を特定するためのさらに詳細な選択肢が順に表示される。例えば、Tシャツの場合、材質、サイズ、色、襟周りの形状、袖の長さ、胸ポケットの有無等である。スタッフがこれらの各選択肢の中から、印刷見本としたい印刷媒体を示す選択肢を選択する操作を行うと、プロセッサー21aは、受付部22a1の機能により、選択された印刷媒体を受け付ける(ステップS100)。すなわち、プロセッサー22aは、印刷媒体に関して選択された選択肢を示すパラメーター一式を取得する。
【0035】
続いて、プロセッサー22aは、テンプレートの選択肢を表示する。スタッフがテンプレートを選択すると、プロセッサー22aは、テンプレートを受け付ける(ステップS102)。本実施形態において、テンプレートには割り付けテンプレートとイメージテンプレートの2種類が含まれる。割り付けテンプレートは、印刷媒体に画像データを配置する領域の位置や形状、サイズ等を規定するデータであり、印刷媒体の種別に応じて予め複数種類作成されている。
図8は、テンプレート選択画面の一例を示す図であり、割り付けテンプレートの選択肢(b21,b22等)が表示されていることを示している。
【0036】
イメージテンプレートは、画像データに施すエフェクト(例えばモザイク、モノクロ等)や、テキストを使用する場合のその配置やフォントやサイズ、デザインアプリケーション側で予め準備しているプリセット画像(アイコン、スタンプ、飾り文字等)を使用する場合のその配置やサイズ等を規定するデータであり、予め複数種類準備されている。なおイメージテンプレートの選択は任意であり、一つも選択されなくてもよいし複数選択されてもよい。また、テンプレートを選択した後、微調整なしにそのまま使用することもできるし、後述する編集工程で微調整して使用することも可能である。プロセッサー22aは、これらのテンプレートに関してスタッフが選択したパラメーター一式を取得する。
【0037】
続いて、プロセッサー22aは、受付部22a1の機能により、印刷見本用の画像データを入力させる画面を表示し、スタッフが入力した見本用画像データを取得する(ステップS105)。
図9は、写真選択画面の一例を示す図である。見本用画像データは、例えばスタッフ端末22の不揮発性メモリー22cに保存済みの画像であってもよいし、インターネットからダウンロードした無料の画像であってもよいし、スタッフによって作成や編集された画像であってもよい。いずれにしてもこれらの見本用画像データをスタッフが指定することで、プロセッサー22aは、印刷見本に使用する画像データを取得する。
【0038】
続いて、プロセッサー22aは、スタッフの操作に従って見本用画像データを編集する(ステップS110)。
図10は仕上がり確認画面の一例を示す図である。
図10には、ステップS100,S102,S105での選択内容に基づく印刷プレビューが表示される。仕上がり確認画面には、編集ボタンb41が設けられており、編集ボタンb41が選択されるとプロセッサー22aは編集画面(不図示)を表示する。編集画面では、スタッフは、印刷プレビューで示されたデザインを編集することができる。例えば、スタッフは、印刷見本に含めたいアイコンや文字を追加したり、文字の位置や色やフォントを調整したり、画像データ全体に対するエフェクトを解除したり変更したり新たに設定する等をして、デザインを編集する。プロセッサー22aは、編集の結果更新されたパラメーターを取得する。
【0039】
続いて、デザインアプリケーションを利用してスタッフが、編集が終わった画像データの印刷を指示する操作を行うと、プロセッサー22aは、生産部22a2の機能により、印刷ジョブをサーバー10に送信して印刷を指示する(ステップS115)。例えば、スタッフが
図10に示す仕上がり確認画面の追加ボタンb42を選択すると、プロセッサー22aは、カート確認画面(不図示)を表示する。カート確認画面においてスタッフが部数等の設定し確認を行い、印刷の実行を確定する操作を行うと、プロセッサー22aは、確定した印刷ジョブをサーバー10に送信する。すなわち、印刷媒体の種類を示すパラメーターと、割り付けテンプレートを示すパラメーターやイメージテンプレートを示すパラメーター(編集された場合は編集後のパラメーター)等に基づく加工が施された画像データ(印刷画像)と、印刷部数等を含む印刷ジョブ10c1がサーバー10に送信される。
【0040】
なお、印刷の実行を確定する操作が行われた場合に、プロセッサー22aは、印刷見本に使用する印刷媒体の種類を示すパラメーターや、見本用画像データに施す加工の態様を示すパラメーター(割り付けテンプレートを示すパラメーター、イメージテンプレートを示すパラメーター(編集された場合は編集後のパラメーター)等)を、2次元コード化した2次元コード画像を生成し、印刷ジョブ10c1とともにサーバー10に送信する。
【0041】
サーバー10のプロセッサー10aは、スタッフ端末22から2次元コード画像と印刷ジョブを受信すると、2次元コード画像と印刷ジョブと対応付けて不揮発性メモリー10cに保存する(ステップS120)。また、サーバー10のプロセッサー10aは、印刷ジョブ管理端末23に印刷指示を送信する(ステップS125)。印刷ジョブ管理端末23のプロセッサーは、サーバー10から印刷ジョブの印刷指示を受信すると、印刷ジョブが示す印刷媒体の種類に応じたプリンターを選択し、選択したプリンターに対応するアプリケーションやプリンタードライバーがインストールされた印刷作業端末24に、印刷ジョブの印刷指示を送信する(ステップS130)。
【0042】
印刷作業端末24が印刷指示を受信すると、印刷作業者が印刷作業端末24を操作して、印刷ジョブに対応するプリンター33に対して印刷指示を送信する(ステップS135)。印刷作業者は、サーバー10に記録されている作業スケジュールを参照し、作業スケジュールに従って印刷ジョブの印刷に関する作業(印刷前工程、印刷工程、印刷後工程等)を行う。印刷作業者は、印刷前工程が必要な印刷ジョブの場合は、印刷前工程を行った後、プリンターに印刷媒体をセットし印刷指示を印刷作業端末24に入力する。印刷作業端末24は、印刷ジョブが示す画像データを印刷設定に基づいてプリンターでの印刷に適した形式の印刷データに変換し、印刷データとともに印刷指示をプリンター33に送信する。
【0043】
印刷指示を受信したプリンター33は、受信した印刷データに基づいて印刷を実行する(ステップS140)。後工程が必要な印刷ジョブの場合、印刷作業者は、印刷後の印刷媒体に後工程を行って印刷見本を完成させる。プリンター33は、印刷が終了すると、印刷終了した旨を、印刷作業端末24,印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に通知する。
【0044】
また、スタッフは、スタッフ端末22を操作して、2次元コード画像の印刷を指示する(ステップS145)。すなわち、スタッフは、ステップS120でサーバー10に保存された2次元コード画像を印刷対象に指定してスタッフ端末22にダウンロードし、例えばドキュメントプリンター32での印刷を指示すると、プロセッサー22aは2次元コード画像を示す印刷データを生成し、ドキュメントプリンター32に出力して印刷させる。スタッフは、紙に印刷された2次元コード画像を切り出し、例えば厚紙等のタグに貼り付け、ステップS135で生産した印刷見本に紐などで取り付けることで、印刷見本に識別子を添付する(
図11を参照)。スタッフは、このように識別子としての2次元コード画像を添付した印刷見本を店舗内に展示する。識別子が添付された印刷見本が店舗内に展示されることにより、印刷見本を利用した注文を、後述するようにユーザーが容易に行うことができる。
【0045】
(3)印刷指示処理:
図12は、
図6のように生産された印刷見本および識別子を利用して、ユーザーがオリジナルのグッズを注文するシーケンスを示すシーケンス図である。ユーザーは店舗内に展示されている印刷見本を閲覧し、気に入った印刷見本を選出すると、ユーザー端末21のデザインアプリケーションを起動する。デザインアプリケーションにおいては、例えば
図7に示す印刷媒体選択画面に2次元コード読取ボタンb10が含まれている。ユーザー端末21には2次元コードリーダーアプリケーションもインストールされている。2次元コード読取ボタンb10をユーザーが選択すると、プロセッサー21aは、ユーザー端末21のカメラ21fを起動させ、画像を連続的に撮影し、ライブビューをディスプレイ21dに表示させる。ライブビュー表示画面では、被写体としての2次元コード画像の画面内での配置領域を示す枠が重ねて表示される。ユーザーは当該枠内に自身が選出した印刷見本に添付されている2次元コード画像が映り込むようにユーザー端末21の姿勢を調整して、カメラ21fに2次元コードを読み取らせる。
【0046】
ユーザー端末21のプロセッサー21aは、特定部21a1の機能により、識別子を読み取った画像に基づいて、印刷見本の特徴を特定する(ステップS200)。すなわち、ユーザー端末21のプロセッサー21aは、2次元コードリーダーアプリケーションを実行し、カメラ21fが撮影した画像に2次元コード画像が含まれている場合に当該2次元コードが示す情報を例えばテキストデータに変換する(非テキストデータに変換されてもよい)。本実施形態において、印刷見本の特徴は、印刷見本に使用されている印刷媒体の種類を示す情報と、見本用画像データに施された加工の態様を示す情報である。
【0047】
プロセッサー21aは、変換の結果得られたテキストデータから、印刷見本に用いられている印刷媒体の種類を示すパラメーターや、見本用画像データに施されている加工の態様を示すパラメーター(割り付けテンプレートを示すパラメーター、イメージテンプレートを示すパラメーター(編集されている場合は編集後のパラメーター)等)を、印刷見本の特徴として特定する。プロセッサー21aは、印刷見本の特徴を示すこれらのパラメーターを、現在作成中のデザインに関してユーザーが選択したパラメーターであるとしてデザインアプリケーションに設定する。そして、プロセッサー21aは、
図7に示す印刷媒体選択画面における印刷媒体の選択操作の受け付けをスキップし、さらに、
図8に示すテンプレート選択画面におけるテンプレートの選択操作の受け付けをスキップして、
図9に示す写真選択画面をディスプレイ21dに表示させる。
【0048】
続いて、プロセッサー21aは、取得部21a2の機能により、画像データを取得する(ステップS205)。ユーザーは、
図9に示す写真選択画面において所望の画像を印刷に用いるために選択する操作を行うと、プロセッサー21aは、ユーザーに選択された画像データを取得する。例えば、ユーザーは印刷に用いたい画像データを自身の所有する携帯端末に記録させていてもよいし、クラウドサーバーに記録させていてもよいし、メモリーカード等に記録させて店舗に持ち込んでも良い。いずれにしても、ユーザーはそれら様々な記録媒体に記録された画像データをユーザー端末21に転送する操作をすることで、プロセッサー21aは画像データを取得する。
【0049】
続いて、プロセッサー21aは、確認部21a3の機能により、印刷見本の特徴と画像データを組み合わせた印刷プレビューを表示する(ステップS210)。すなわち、プロセッサー21aは、
図10に示す仕上がり確認画面を表示する。仕上がり確認画面には、印刷プレビューg1が含まれている。印刷プレビューg1は、ユーザーが選出した印刷見本に添付された識別子が示す印刷媒体に、ユーザーが指定した画像データを、当該識別子が示す割り付けテンプレートが示す態様で配置し、当該識別子が示すイメージテンプレートを適用して印刷する場合の印刷プレビュー画像である。
【0050】
なおもちろん、ユーザーは、編集ボタンb41を選択して、編集画面(不図示)において初回に表示された印刷プレビューが示すデザインに各種の変更を加えることができる。プロセッサー21aは、編集が加えられた場合は編集後の値でパラメーターを更新する。ユーザーは、編集作業が終了すると、カートへ追加ボタンb42を選択する。プロセッサー21aは、カート確認画面(不図示)を表示する。カート確認画面では、ユーザーは、部数等を入力することができる。プロセッサー21aは、入力された部数を取得する。
【0051】
さらに、プロセッサー21aは、選択部21a5の機能により、ユーザーの指示に応じて、印刷見本の印刷媒体及び印刷見本の印刷媒体とサイズ違いの複数の印刷媒体の中から少なくとも1つの印刷媒体を受け付けることもできる。例えば、カートに追加された注文における印刷媒体が、Mサイズ・クルーネック・胸ポケット無・白・綿100%・半袖Tシャツである場合に、それに加えて(あるいはそれに代えて)、クルーネック・胸ポケット無・白・綿100%・半袖TシャツのLサイズやSサイズをカートに入れることができる。このように構成されることで、ユーザーは、印刷見本を用いて作成した同じデザイン印刷画像をサイズ違いの印刷媒体に印刷させる注文を容易に行うことができる。
【0052】
ユーザーが、カート内の商品を仮注文する操作を行うと、プロセッサー21aは、印刷部21a4の機能により、印刷ジョブをサーバー10に送信する(ステップS215)。すなわち、印刷媒体の種類を示すパラメーターと、割り付けテンプレートを示すパラメーターやイメージテンプレートを示すパラメーター(編集された場合は編集後のパラメーター)等に基づく加工が施された画像データ(印刷画像)と、印刷部数等を含む印刷ジョブ10c1がサーバー10に送信される。なお、印刷ジョブのサーバー10への送信が完了したことに応じてプロセッサー21aはユーザー端末21から印刷ジョブ10c1を消去する(ステップS220)。
【0053】
サーバー10は、ユーザー端末21から印刷ジョブを受信する(ステップS225)と、印刷ジョブをスタッフ端末22に送信する。スタッフ端末22のプロセッサー22aは、印刷ジョブを受信する(ステップS230)と、受信した印刷ジョブの印刷プレビューを表示する(ステップS235)。スタッフは、スタッフ端末22に表示された印刷プレビューをユーザーとともに確認し、当該印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する操作を行う。スタッフ端末22のプロセッサー22aは、当該操作が行われたことに応じて印刷ジョブを確定し、サーバー10に送信する(ステップS240)。
【0054】
また、スタッフ端末22は、確定した注文内容を示す注文票を生成し、ドキュメントプリンター32に送信して印刷させる。スタッフはユーザーに注文票を渡しユーザーは注文票を所持する。注文票は、例えば、商品の受け取り時にユーザーが商品の受け渡しカウンターで店舗スタッフに提示し、スタッフがユーザーと商品とを照合するため等に利用可能である。
【0055】
サーバー10は、確定した印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブの印刷指示を印刷ジョブ管理端末23に送信する(ステップS245)。印刷ジョブ管理端末23のプロセッサーは、サーバー10から印刷ジョブの印刷指示を受信すると、印刷ジョブが示す印刷媒体の種類に応じたプリンターを選択し、選択したプリンターに対応するアプリケーションやプリンタードライバーがインストールされた印刷作業端末24に、印刷ジョブの印刷指示を送信する(ステップS250)。
【0056】
印刷作業端末24が印刷指示を受信すると、印刷作業者が印刷作業端末24を操作して、印刷ジョブに対応するプリンター33に対して印刷指示を送信する(ステップS255)。印刷作業者は、印刷前工程が必要な印刷ジョブの場合は、印刷前工程を行った後、プリンター33に印刷媒体をセットし印刷指示を印刷作業端末24に入力する。印刷作業端末24は、印刷ジョブが示す画像データを印刷設定に基づいてプリンターでの印刷に適した形式の印刷データに変換し、印刷データとともに印刷指示をプリンター33に送信する。
【0057】
印刷指示を受信したプリンター33は、受信した印刷データに基づいて印刷を実行する(ステップS260)。プリンター33は、印刷が終了すると、印刷終了した旨を、印刷作業端末24,印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に通知する。後工程が必要な印刷ジョブの場合、印刷作業者は、印刷後の印刷媒体に後工程を行って注文品を完成させる。スタッフは、完成した商品を、ユーザーに引き渡すことができる。ユーザーに商品を受け渡すと、スタッフは、例えばスタッフ端末22を操作して、当該商品を示す注文番号の印刷ジョブのステータスを「受け渡し済み」に更新する。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザーは印刷見本の特徴と自身のオリジナルの画像データとを組み合わせた印刷物を、印刷見本を利用せずに全て自らデザインする場合と比較して、少ない労力で容易にデザインし注文することができる。また、印刷媒体の選択ミスや各種パラメーターの設定ミスのためにデザインをやり直す可能性も低減することができる。
【0059】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上記実施形態で示したプリンターの種類は、一例に過ぎず、他にも様々な媒体への印刷を行うことができるプリンターが採用されてもよい。例えば、マグカップや缶バッチ、スマートフォンケース等への印刷は、昇華転写方式の他に、ロボットアーム等で立体物に直接印刷するプリンターが採用されてもよい。
【0060】
スタッフ端末22とユーザー端末21とは、サーバー10を介さずに直接印刷ジョブ等の情報を送受信するように構成されてもよい。また、印刷ジョブ管理端末23や印刷作業端末24は1台の端末で構成されてもよいし、省略されてもよい(スタッフ端末22から直接プリンター33に印刷ジョブが送信されてもよいし、サーバー10からプリンター33に直接印刷ジョブが送信されてもよい)。
【0061】
端末やプリンターはユーザーが来店する店舗に設置されない構成も想定してよい。端末は店舗に設置され、プリンターは印刷業者の印刷施設に設置され、印刷物は印刷施設から依頼者の元へ配達されてもよい。また、端末は店舗に設置されなくてもよく、可搬型の端末で様々な場所から、注文や、印刷画像の編集や、最終的な印刷指示をユーザーが行うことができるように構成されてもよい。
【0062】
印刷見本や識別子の作成は、どの端末で実施されてもよい。例えばユーザー端末で例えば業務時間外に印刷見本や識別子の作成が行われても良い。
【0063】
また特定部は、印刷見本の特徴を特定することができればよい。特定部は、印刷見本で使用されている印刷媒体を示す情報や、見本用画像データに施された加工の態様を示すパラメーター(印刷見本として印刷されている画像のデザインに利用されているパラメーター)等のうちの少なくともいずれかを特定することができればよい。なお印刷見本の特徴を特定するための識別子は、印刷された状態で印刷見本に添付されてもよいし、ディスプレイに表示された状態で印刷見本に添付されてもよい。
【0064】
選択部は、印刷見本の印刷媒体及び印刷見本の印刷媒体と共通点のある他の印刷媒体(サイズ違い、色違い、材質違い等)の中から少なくとも1つの印刷媒体をユーザーに選択させるように構成されてもよい。
【0065】
また、印刷見本の実物に添付された識別子を読み取る構成の場合、当該識別子は、2次元コード以外にも、バーコードで表現されたものであってもよいし、数字や文字や記号で表現されたものであってもよい。また、ICタグなどを用いて非視覚的に識別子が表現されていてもよい。識別部は、印刷見本の印刷媒体を特定する識別子を生産するように構成されてもよいし、印刷見本の印刷媒体以外の要素を特定するように構成されてもよい。例えば、デザインの態様を特定するように構成されてもよい。
【0066】
上記実施形態においては、識別子に印刷見本の特徴を特定するためのパラメーター群そのものが含まれている構成であったが、識別子は印刷見本のパラメーター群を特定するための情報であるように構成されてもよい。その場合、印刷指示システムは、印刷見本の生産や印刷見本の特定を次のように行っても良い。すなわち印刷指示システムは、印刷媒体の指定と見本用画像データの指定を受け付ける受付部と、受け付けた印刷媒体に見本用画像データに基づいた印刷を行うことで印刷見本の実物を生産させる生産部と、印刷見本の実物を特定するための識別子を生産する識別部と、印刷見本の特徴と識別子とを対応付けて記憶する記憶部と、を備えてもよい。記憶部は、印刷指示システムに備えられたいずれかの不揮発性メモリーであってよい。印刷見本に添付される識別子は印刷見本を識別するための番号等であってもよい。この場合、識別部は、印刷見本の実物を識別するための番号を採番し、印刷させることで識別子を生産する。記憶部には当該識別子(番号)に対応付けて、印刷見本の特徴が記憶される。なお、上記実施形態の
図6のステップS100~S110を経てS115で印刷実行を決定した結果、印刷見本の特徴は識別子に対応付けて記憶部に記憶される。識別子の生産は印刷見本の生産の前に行われても良いし後に行われても良い。生産された識別子は印刷見本の実物に添付される。特定部は、記憶部に記憶されているこの対応関係を参照して、リーダーで読み取った識別子が示す印刷見本の特徴を特定するように構成されてもよい。
【0067】
図13は、記憶部に記憶される上述の対応関係の構成例を示す図である。1番の識別子が添付された印刷見本は、1番の識別子に対応付けられた印刷見本の特徴を示す情報を用いて生産された印刷見本である。例えばリーダーで読み取ることによって1番という識別子を取得した場合、特定部は、
図13の対応関係を参照して、1番の印刷見本に使用されている印刷媒体や、割り付けテンプレートや、その他の様々な加工の態様を示す情報を特定することで、印刷見本の特徴を特定することができる。
【0068】
上記実施形態において、特定部は、印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーで読み取らせて印刷見本の特徴を特定する構成であったが、印刷見本の実物自体をリーダーで読み取らせて印刷見本の特徴を特定するように構成されてもよい。その場合、印刷指示システムは、印刷見本の生産や印刷見本の特定を次のように行っても良い。すなわち、印刷指示システムは、印刷媒体の指定と見本用画像データの指定を受け付ける受付部と、受け付けた印刷媒体に見本用画像データに基づいた印刷を行うことで印刷見本の実物を生産させる生産部と、印刷見本の特徴を特定するための情報を記憶する記憶部とを備えても良い。記憶部は、印刷指示システムに備えられたいずれかの不揮発性メモリーであってよい。記憶部には、例えば、印刷媒体の形状の特徴を示すデータ(パターンマッチングに利用される)や、印刷見本の実物を示す画像と当該印刷見本に使用されている印刷媒体のカテゴリや形状・色等の特徴との組み合わせを用いて機械学習された学習モデル等のデータが記憶される。なお、画像データを印刷媒体に配置する割り付けテンプレートの形状を示すデータがパターンマッチング用に記憶部に記憶されてもよいし、印刷見本の実物を示す画像と、当該印刷見本で使用されている割り付けテンプレートの形状との組み合わせを用いて機械学習された学習モデルが記憶部に記憶されてもよい。また、印刷見本自体に2次元コード、バーコード、数字や文字や記号などのマークが印刷されており、印刷指示システムはこのマークを読み取ることで印刷見本の特徴を特定する構成でもよい。このマークは、見本用画像データとは離れた位置に印刷されていてもよいし、透かしや紫外線インク等を用いて人間には認識できない形で見本用画像データとともに印刷されていてもよい。
【0069】
特定部は、記憶部に記憶されたこれらのデータを参照して印刷見本の特徴を特定するように構成されてもよい。例えば、特定部は、これらのデータを利用し、パターンマッチングや機械学習モデルを用いた画像認識処理によってリーダーで読み取った印刷見本に使用されている印刷媒体のカテゴリや形状や色、割り付けテンプレートの形状等を特定することで印刷見本の特徴を特定するように構成されてもよい。なお、リーダーには、カメラやスキャナー、3Dスキャナー等が採用されてもよい。また、例えば3Dスキャナーによる印刷媒体の各部の寸法測定結果に基づいて印刷媒体のサイズが特定されてもよい。3Dスキャナーはハンディータイプのものであってもよいし、据え置き型であってもよい。
【0070】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。本発明は、印刷見本の実物または前記印刷見本の実物に添付された識別子をリーダーで読み取らせる工程と、画像データを取得する工程と、画像データと当該識別子に対応する印刷見本の特徴とを組み合わせた場合の印刷プレビューを表示する工程と、印刷プレビューを表示後に、画像データを用いた印刷を行わせて印刷物を生産する工程と、を含む印刷物の生産方法の発明としても成立する。また本発明は、コンピューターを、特定部、取得部、確認部、印刷部として機能させる印刷指示プログラムの発明としても成立する。
【0071】
また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…印刷指示システム、10…サーバー、10a…プロセッサー、10b…通信部、10c…不揮発性メモリー、10c1…印刷ジョブ、20…端末、21…ユーザー端末、21a…プロセッサー、21a1…特定部、21a2…取得部、21a3…確認部、21a4…印刷部、21a5…選択部、21b…通信部、21c…不揮発性メモリー、21d…ディスプレイ、21e…入力部、21f…カメラ、22…スタッフ端末、22a…プロセッサー、22a1…受付部、22a2…生産部、22a3…識別部、22c…不揮発性メモリー、23…印刷ジョブ管理端末、24…印刷作業端末、30…プリンター、30a…プロセッサー、30b…通信部、30c…不揮発性メモリー、30d…印刷部、30e…UI部、31…レシートプリンター、32…ドキュメントプリンター、33…プリンター、b10…2次元コード読取ボタン、b41…編集ボタン、b42…追加ボタン、g1…印刷プレビュー