(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064523
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 13/52 20060101AFI20240507BHJP
H01H 13/12 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H01H13/52 F
H01H13/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173167
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 晃
(72)【発明者】
【氏名】小原 啓志
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS11F
5G206AS11J
5G206AS11K
5G206AS16F
5G206AS16J
5G206AS16K
5G206AS17F
5G206AS17J
5G206AS17K
5G206CS04J
5G206DS02J
5G206ES04N
5G206ES04P
5G206FS32J
5G206FS32M
5G206FU03
5G206KS15
5G206KS34
5G206KU47
5G206NS02
(57)【要約】
【課題】押圧操作時の静音化、構成部品の長寿命化、および、高荷重による押圧力に対しての耐性化を実現できるようにすること。
【解決手段】プッシュスイッチは、収容部を有するケースと、収容部内に設けられた固定接点と、収容部内に配置され、上方からの押圧力を受けて反転動作することで、操作感触を発生させる金属製の感触付与部材と、感触付与部材の下側に配置され、固定接点と接離可能な可動接点を有する可動接点部材と、感触付与部材と可動接点部材との間に配置され、絶縁性および弾性を有するスペーサとを備え、可動接点部材は、環状を有する基部と、基部から固定接点の上側まで延び、先端部に可動接点を有する舌片部とを有し、感触付与部材が反転動作することにより、感触付与部材が舌片部を押圧し、可動接点が固定接点と接触する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を有するケースと、
前記収容部内に設けられた固定接点と、
前記収容部内に配置され、上方からの押圧力を受けて反転動作することで、操作感触を発生させる金属製の感触付与部材と、
前記感触付与部材の下側に配置され、前記固定接点と接離可能な可動接点を有する可動接点部材と、
前記感触付与部材と前記可動接点部材との間に配置され、絶縁性および弾性を有するスペーサと
を備え、
前記可動接点部材は、環状を有する基部と、前記基部から前記固定接点の上側まで延び、先端部に前記可動接点を有する舌片部とを有し、
前記感触付与部材が前記反転動作することにより、前記感触付与部材が前記舌片部を押圧し、前記可動接点が前記固定接点と接触する
ことを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記舌片部は、
前記基部から前記固定接点の上側まで延びる第1腕部と、
前記第1腕部の先端部から互いに離れる方向に延びる2本の第2腕部と
を有し、
前記可動接点は、前記2本の第2腕部を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記舌片部は、T字状を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記固定接点は、複数の突起部を有し、
前記可動接点は、前記複数の突起部の各々と接触する
ことを特徴とする請求項3に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記固定接点は、前記2本の第2腕部の各々の下側に設けられた、2つの前記突起部を有し、
前記可動接点は、前記2本の第2腕部の各々が、2つの前記突起部の各々と接触する
ことを特徴とする請求項4に記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記2本の第2腕部の各々が、2つの前記突起部の各々と接触した状態において、前記第1腕部の先端部と、前記固定接点との間に、隙間を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記感触付与部材は、前記可動接点部材の前記基部に着地する、環状の着地部を有し、
前記スペーサは、前記可動接点部材の前記基部と、前記感触付与部材の前記着地部との間に配置される、環状の枠部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ステムと、ラバースプリングと、可動接点部とを備え、ステムに対する押圧操作がなされた際に、ラバースプリングの押圧部によって可動接点部の舌片部を押圧することにより、舌片部の下面が中央固定接点に接触し、舌片部を介して周辺固定接点と、中央固定接点とが導通状態となるように構成された押釦スイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のプッシュスイッチは、金属製の感触付与部材(例えば、メタルドーム)を用いて、押圧操作に対して操作感触を発生させるように構成した場合、感触付与部材の反転動作に伴って、大きな衝突音が発生したり、感触付与部材からの衝撃力によって、構成部品(例えば、固定接点)の寿命が低下したりする虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係るプッシュスイッチは、収容部を有するケースと、収容部内に設けられた固定接点と、収容部内に配置され、上方からの押圧力を受けて反転動作することで、操作感触を発生させる金属製の感触付与部材と、感触付与部材の下側に配置され、固定接点と接離可能な可動接点を有する可動接点部材と、感触付与部材と可動接点部材との間に配置され、絶縁性および弾性を有するスペーサとを備え、可動接点部材は、環状を有する基部と、基部から固定接点の上側まで延び、先端部に可動接点を有する舌片部とを有し、感触付与部材が反転動作することにより、感触付与部材が舌片部を押圧し、可動接点が固定接点と接触する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態に係るプッシュスイッチによれば、押圧操作時の静音化、構成部品の長寿命化、および、高荷重による押圧力に対しての耐性化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】一実施形態に係るスイッチのXZ平面による断面図
【
図4】一実施形態に係るプッシュスイッチが備える可動接点部材の外観斜視図
【
図5】一実施形態に係るプッシュスイッチが備えるケースの平面図
【
図6】一実施形態に係るプッシュスイッチの動作を説明するための図
【
図7】一実施形態に係るプッシュスイッチの動作を説明するための図
【
図8】一実施形態に係るプッシュスイッチの動作を説明するための図
【
図9】一実施形態に係るプッシュスイッチの操作荷重特性の第1例を示す図
【
図10】一実施形態に係るプッシュスイッチの操作荷重特性の第2例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を上下方向とし、図中Y軸方向を左右方向とし、図中X軸方向を前後方向とする。但し、Z軸正方向を上方とし、Y軸正方向を右方とし、X軸正方向を前方とする。
【0009】
(プッシュスイッチ100の概要)
図1は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の外観斜視図である。
図1に示すように、プッシュスイッチ100は、全体的に、上下方向(Z軸方向)に薄型の立体形状を有する。
【0010】
図1に示すように、プッシュスイッチ100は、薄板状のケース160の上面160Aが、シート状のインシュレータ110によって覆われている。インシュレータ110の上面且つ中央部には、上方(Z軸正方向)に突出した突起部111が設けられている。これにより、プッシュスイッチ100は、突起部111による下方(Z軸負方向)への押圧操作が可能である。
【0011】
プッシュスイッチ100は、突起部111による押圧操作がなされていないとき、オフ状態となっている。そして、プッシュスイッチ100は、突起部111による下方(Z軸負方向)への押圧操作がなされると、オン状態に切り替わる。
【0012】
(プッシュスイッチ100の構成)
図2は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の分解斜視図である。
図3は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100のXZ平面による断面図である。
図2および
図3に示すように、プッシュスイッチ100は、図中下側(Z軸負側)から順に、ケース160、可動接点部材140、スペーサ120、メタルドーム130、およびインシュレータ110を備える。
【0013】
ケース160は、上下方向(Z軸方向)に薄型の立体形状を有する薄板状の部材である。ケース160は、上方(Z軸正方向)からの平面視において、概ね正方形状を有する。ケース160は、上面160Aと、上面160Aから下方に向かって凹んだ形状の収容部160Bとを有する。収容部160Bは、上方(Z軸正方向)からの平面視において、可動接点部材140、スペーサ120、およびメタルドーム130の外形状と同形状である、円形状を有する。収容部160B内には、可動接点部材140、スペーサ120、およびメタルドーム130が収容される。ケース160は、比較的硬質な絶縁性素材(例えば、硬質樹脂等)が用いられて形成される。
【0014】
ケース160には、インサート成形によって、中央固定接点部材170および周辺固定接点部材180が一体的に埋設されている。
【0015】
ケース160の収容部160Bの底部160Cにおける中央部には、中央固定接点部材170が有する中央固定接点171が露出して設けられている。ケース160の収容部160Bの底部160Cにおける周辺部には、周辺固定接点部材180が有する、前後方向(X軸方向)に一対の周辺固定接点181が露出して設けられている。
【0016】
なお、中央固定接点部材170および周辺固定接点部材180は、金属製且つ概ね平板状の部材である。例えば、中央固定接点部材170および周辺固定接点部材180は、各種加工方法(例えば、プレス加工、折り曲げ加工、レーザ加工等)によって金属板が加工されることにより形成される。
【0017】
中央固定接点部材170は、中央固定接点171と、前後方向(X軸方向)に一対の外部接続端子172とを有する。一方の外部接続端子172は、ケース160の前側(X軸正側)の側面における右端部から前方(X軸正方向)に突出して設けられている。他方の外部接続端子172は、ケース160の後側(X軸負側)の側面における右端部から後方(X軸負方向)に突出して設けられている。
【0018】
周辺固定接点部材180は、一対の周辺固定接点181と、前後方向(X軸方向)に一対の外部接続端子182とを有する。一方の外部接続端子182は、ケース160の前側(X軸正側)の側面における左端部から前方(X軸正方向)に突出して設けられている。他方の外部接続端子182は、ケース160の後側(X軸負側)の側面における左端部から後方(X軸負方向)に突出して設けられている。
【0019】
可動接点部材140は、導電性を有する金属素材が用いられて形成される、薄板状の部材である。可動接点部材140は、円環状の基部141と、基部141に囲まれた開口部142と、基部141から開口部142内に延びる舌片部143と、舌片部143の先端部に設けられた可動接点144とを有する。
【0020】
基部141は、XY平面に対して平行である。一方、舌片部143は、XY平面に対して上方に傾いている。舌片部143は、上方からの押圧力を受けて弾性変形することによって、XY平面に対する傾き角度が可変である。
【0021】
可動接点部材140は、ケース160の収容部160Bの底部160Cに載置される。これにより、可動接点部材140の基部141は、一対の周辺固定接点181の各々に接触する。また、可動接点部材140の可動接点144は、中央固定接点171から離間した状態で、中央固定接点171の上側に位置する。
【0022】
スペーサ120は、上方(Z軸正方向)からの平面視にて円環状を有し、且つ、絶縁性および弾性を有する、薄板状の部材である。すなわち、スペーサ120は、円環状の枠部121と、枠部121に囲まれた開口部122とを有する。スペーサ120は、可動接点部材140とメタルドーム130との間に設けられることにより、当該スペーサ120の厚さ分、可動接点部材140に対するメタルドーム130の高さ位置を高めることができる。また、スペーサ120は、弾性を有することにより、メタルドーム130の反転動作に伴う振動を吸収することができる。また、スペーサ120は、可動接点部材140とメタルドーム130との間に設けられることにより、可動接点部材140およびメタルドーム130の摩耗を抑制することができる。スペーサ120は、弾性素材(例えば、ゴム、シリコン等)が用いられて形成される。
【0023】
メタルドーム130は、上方(Z軸正方向)からの平面視にて円形状を有し、且つ、中央部に頂部131を有する、上方(Z軸正方向)に凸状のドーム状の部材である。メタルドーム130は、1枚または複数枚の薄い金属板が用いられて形成される。メタルドーム130は、ケース160の収容部160B内において、当該メタルドーム130の外周縁部に沿って円環状に設けられた着地部132が、スペーサ120の枠部121の上面に着地するように設けられる。
【0024】
メタルドーム130は、「感触付与部材」の一例である。メタルドーム130は、いわゆる「反転バネ」であり、突起部111による押圧操作がなされたとき、頂部131が突起部111によって下方へ押圧され、所定の操作荷重を超えると急激に頂部131が凹状に弾性変形(反転動作)する。これにより、メタルドーム130は、突起部111の操作者に対して、操作感触(クリック操作感)を呈示することができる。メタルドーム130は、突起部111からの押圧力から解放されたときに、弾性力によって元の凸状に復帰する。
【0025】
インシュレータ110は、ケース160の上面160Aに配置される、薄いシート状の部材である。インシュレータ110は、PET等の樹脂素材が用いられて形成される。インシュレータ110は、上方(Z軸正方向)からの平面視において、ケース160の外形状に対応した八角形の外形状を有する。インシュレータ110は、ケース160の上面160Aを覆った状態で、任意の接着手段(例えば、レーザ溶着等)によって、ケース160の上面160Aに対して接着される。インシュレータ110は、ケース160の収容部160Bの上側開口を閉塞することで、収容部160Bを封止する。
【0026】
インシュレータ110の上面且つ中央部には、上方(Z軸正方向)に突起した突起部111が設けられている。突起部111は、任意の接着手段(例えば、レーザ溶着等)によって、インシュレータ110の上面に対して接着されている。突起部111は、上下方向(Z軸方向)に薄型の、円柱形状を有する。突起部111は、PET等の樹脂素材が用いられて形成される。
【0027】
(可動接点部材140の詳細な構成)
図4は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100が備える可動接点部材140の外観斜視図である。
【0028】
図4に示すように、可動接点部材140の舌片部143は、第1腕部143Aと、左右一対の第2腕部143Bとを有し、上方(Z軸正方向)からの平面視において、T字状を有するものとなっている。
【0029】
第1腕部143Aは、基部141の内周縁部における後側(X軸負側)の部分から、開口部142の中央部(すなわち、中央固定接点171の上側)に至るまで、開口部142内を前方(X軸正方向)に直線状に延びる部分である。
【0030】
一対の第2腕部143Bは、第1腕部143Aの先端部143Aaから、第1腕部143Aと直交する方向(Y軸方向)、且つ、互いに離れる方向に延びる部分である。具体的には、一方の第2腕部143Bは、第1腕部143Aの先端部143Aaから、右方(Y軸正方向)に直線状に延びる部分である。他方の第2腕部143Bは、第1腕部143Aの先端部143Aaから、左方(Y軸正方向)に直線状に延びる部分である。
【0031】
なお、可動接点部材140の可動接点144は、第1腕部143Aの先端部143Aaと、一対の第2腕部143Bとを含んで構成される。
【0032】
可動接点部材140の舌片部143は、第1腕部143Aの先端部143Aaが上方からの押圧力を受けていないとき、可動接点部材140の基部141面に対して上方に所定の角度傾いている。そして、可動接点部材140の舌片部143は、第1腕部143Aの先端部143Aaが上方からの押圧力を受けたとき、弾性変形することによって、下方(Z軸負方向)に向かって傾倒する。これにより、可動接点部材140の舌片部143は、第1腕部143Aの先端部143Aaに設けられている可動接点144を、下方(Z軸負方向)に移動させて、中央固定接点171に接触させることができる。
【0033】
なお、可動接点144の中央部144Aは、上方に凸状のドーム状を有する。これにより、可動接点144は、メタルドーム130の頂部131から加わる押圧力を、ドーム状の中央部の頂部にて確実に受け止めることができるようになっている。但し、これに限らず、可動接点144の中央部144Aは、単なる平面状であってもよい。
【0034】
(ケース160の収容部160B内の構成)
図5は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100が備えるケース160の平面図である。但し、
図5は、収容部160B内に可動接点部材140が配置された状態のケース160を示す。
【0035】
図5に示すように、ケース160の収容部160Bの底部160Cには、インサート成型によって、中央固定接点171と、前後方向(X軸方向)に一対の周辺固定接点181とが露出して設けられている。
【0036】
また、可動接点部材140は、ケース160の収容部160Bと同様に、円形の外形状を有しており、これにより、ケース160の収容部160Bに配置可能となっている。
【0037】
そして、可動接点部材140の基部141は、一対の周辺固定接点181の各々の上側に配置され、一対の周辺固定接点181の各々と常に接触するようになっている。
【0038】
また、中央固定接点171の中央部は、収容部160Bの中央部に設けられており、可動接点144の中央部144Aも、収容部160Bの中央部に設けられている。
【0039】
また、中央固定接点171は、上方(Z軸正方向)からの平面視において、左右方向(Y軸方向)を長手方向とする長方形状を有する。中央固定接点171の上面における左右両端部には、いずれも上方に突出した、左右一対の突起部171Aが設けられている。
【0040】
そして、
図5に示すように、可動接点部材140の左右一対の第2腕部143Bの各々は、中央固定接点171が有する左右一対の突起部171Aの各々の上側に配置され、可動接点144の中央部144Aが上方からの押圧力を受けて押し下げられたとき、左右一対の突起部171Aの各々の頂部と接触するようになっている。
【0041】
(プッシュスイッチ100の動作)
図6~
図8は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の動作を説明するための図である。なお、
図6~
図8において、(a)は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100のYZ平面による断面を示している。また、なお、
図6~
図8において、(b)は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100のXZ平面による断面を示している。
【0042】
図6に示すように、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、突起部111による押圧操作がなされていないとき、可動接点部材140の可動接点144が、中央固定接点171から離間した状態にある。このため、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、突起部111による押圧操作がなされていないとき、中央固定接点171と周辺固定接点181とが導通せず、オフ状態になっている。
【0043】
そして、
図7に示すように、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、突起部111による押圧操作がなされたとき、突起部111が、メタルドーム130の頂部131を押し下げ、メタルドーム130の頂部131を凹状に弾性変形(反転動作)させる。これにより、メタルドーム130の頂部131の裏側の部分が、可動接点部材140の可動接点144の中央部144Aを押し下げることで、可動接点部材140の可動接点144が、その左右方向(Y軸方向)における両端部において、中央固定接点171に設けられている突起部171Aの頂部と接触する。その結果、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点部材140を介して、中央固定接点171と周辺固定接点181とが導通することで、オン状態に切り替わる。
【0044】
ここで、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、メタルドーム130と、可動接点部材140との間に、弾性を有するスペーサ120が設けられているため、メタルドーム130の反転動作に伴って生じた振動を、スペーサ120によって吸収し、よって、当該振動が、可動接点部材140を介してケース160に伝わることを抑制することができる。
【0045】
また、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、メタルドーム130の円環状の着地部132と、可動接点部材140の円環状の基部141との間に、弾性を有するスペーサ120の円環状の枠部121が設けられているため、メタルドーム130の反転動作に伴って、メタルドーム130の着地部132が半径方向における外側に広がった際に、メタルドーム130の着地部132と、可動接点部材140の基部141とが、互いに削り合ってしまうことを抑制することができ、よって、メタルドーム130および可動接点部材140の長寿命化を実現できる。
【0046】
また、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、突起部111が強く押圧された場合であっても、可動接点部材140の可動接点144が、その左右方向(Y軸方向)における両端部において、中央固定接点171に設けられている突起部171Aの頂部と接触するので、高荷重による押圧力に対する耐性が高くなっている。
【0047】
したがって、一実施形態に係るプッシュスイッチ100によれば、押圧操作時の静音化、構成部品の長寿命化、および、高荷重による押圧力に対しての耐性化を実現できる。
【0048】
また、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点144の左右方向(Y軸方向)における両端部が、一対の突起部171Aによって2点で支持されていることにより、可動接点144の中央部144Aと、中央固定接点171との間に隙間A(
図7参照)を有する。これにより、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点144の中央部144Aが、下方に撓むことができるようになっている。このため、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、メタルドーム130の頂部131が、可動接点144の中央部144Aに当接したときの衝撃を、可動接点144の中央部144Aが下方に撓むことによって吸収することができ、よって、衝突音の発生を抑制することができる。
【0049】
さらに、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点144の中央部144Aと中央固定接点171との間に隙間A(
図7参照)を有するため、可動接点144が中央固定接点171に接触している状態(
図7参照)から、突起部111が下方に押し込まれたとき、
図8に示すように、可動接点144の中央部144Aが下方に撓むことにより、突起部111をさらに下方へ移動させることができる。すなわち、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点144の中央部144Aが下方に撓むことにより、突起部111によるオーバーストローク操作を実現することができる。この際、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点144の弾性力により、オーバーストローク操作に対し、適度な操作荷重を付与することができる。
【0050】
この際、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、可動接点144の中央部144Aが下方に撓むことにより、可動接点144から一対の突起部171Aに加わる荷重を抑制することができ、よって、一対の突起部171Aの摩耗を抑制することができる。
【0051】
なお、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、突起部111による押圧操作が解除されたとき、メタルドーム130が自身の弾性力によって元の凸状に復帰するとともに、可動接点部材140の可動接点144が自身の弾性力によって元の中央固定接点171から離間した状態に復帰する。その結果、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、中央固定接点171と周辺固定接点181との導通がが解除され、オフ状態に復帰する。
【0052】
(プッシュスイッチ100の操作荷重特性の一例)
図9は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の操作荷重特性の第1例を示す図である。
図10は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の操作荷重特性の第2例を示す図である。
【0053】
図9および
図10に示すグラフにおいて、縦軸は押圧操作の操作荷重[N]を示し、横軸は押圧操作のストローク量[mm]を示す。
【0054】
また、
図9および
図10に示すグラフにおいて、実線は、一実施形態に係るプッシュスイッチ100の操作荷重特性を示し、点線は、可動接点が撓まないように構成された、従来のプッシュスイッチにおける操作荷重特性を示す。
【0055】
図9に示すように、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、メタルドーム130の反転動作の途中のタイミングで、スイッチオン状態に切り替わるように構成することができる。この場合、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、スイッチオン状態に切り替わったタイミングで、可動接点144の中央部144Aが撓み始めることにより、メタルドーム130からの衝撃力を吸収できるため、従来のプッシュスイッチよりも、操作荷重の落ち込みを緩やかにすることができる。
【0056】
よって、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、メタルドーム130からの衝撃力による、衝突音の発生、および、中央固定接点171が有する一対の突起部171Aの摩耗を抑制することができる。
【0057】
また、
図10に示すように、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、メタルドーム130の反転動作の終了するタイミングで、スイッチオン状態に切り替わるように構成することもできる。この場合、一実施形態に係るプッシュスイッチ100は、
図9に示す例と比較して、より大きなクリック操作感を呈示しつつ、メタルドーム130からの衝撃力による、衝突音の発生、および、中央固定接点171が有する一対の突起部171Aの摩耗を抑制することができる。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0059】
例えば、可動接点部材140の舌片部143は、上方(Z軸正方向)からの平面視において、T字状を有するものに限らず、その他の形状(例えば、Y字状)を有するものであってもよい。
【0060】
また、プッシュスイッチ100は、少なくとも可動接点144の一部が撓むように構成されていればよく、中央固定接点171における突起部171Aの数、突起部171Aの配置等は、実施形態で説明したものに限らない。
【符号の説明】
【0061】
100 プッシュスイッチ
110 インシュレータ
111 突起部
120 スペーサ
121 枠部
122 開口部
130 メタルドーム(感触付与部材)
131 頂部
132 着地部
140 可動接点部材
141 基部
142 開口部
143 舌片部
143A 第1腕部
143Aa 先端部
143B 第2腕部
144 可動接点
144A 中央部
160 ケース
160A 上面
160B 収容部
160C 底部
170 中央固定接点部材
171 中央固定接点
171A 突起部
172 外部接続端子
180 周辺固定接点部材
181 周辺固定接点
182 外部接続端子
A 隙間