(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064524
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】情報共有装置、情報共有方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240507BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20240507BHJP
【FI】
G06T19/00 300B
G06F3/04815
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173168
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】小幡 光一
(72)【発明者】
【氏名】元浦 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓補
(72)【発明者】
【氏名】山岸 壮太
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA13
5B050BA20
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA07
5B050FA06
5B050FA14
5E555AA22
5E555AA25
5E555AA27
5E555AA61
5E555AA64
5E555AA76
5E555BA38
5E555BB38
5E555BC04
5E555BD06
5E555BE16
5E555BE17
5E555CA24
5E555CA42
5E555CB02
5E555CB45
5E555CB53
5E555CB65
5E555CC03
5E555DA08
5E555DB41
5E555DB51
5E555DB53
5E555DC13
5E555DC72
5E555DD06
5E555DD07
5E555EA03
5E555EA07
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想現実を閲覧しているユーザと、異なる撮影位置にいるユーザ、あるいは現実空間にいるユーザとの間で、仮想現実において表示されている物に関する会話を円滑にすることができる情報共有装置を提供すること。
【解決手段】情報提供装置は、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部と、3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報を、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部と、
前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報を、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部と
を備える情報共有装置。
【請求項2】
前記3次元位置推定部は、前記第1のユーザの前記仮想空間における位置に対応付けられた予め設定された距離を用いて、前記3次元位置を推定する、請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項3】
前記3次元位置推定部は、前記仮想空間に構築された立体形状の情報を用いて、前記3次元位置を推定する、請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項4】
前記3次元位置推定部は、前記第1のユーザの前記仮想空間における位置に対応付けられた前記現実空間の距離測定データを用いて、前記3次元位置を推定する、請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項5】
前記3次元位置推定部は、前記画像に対して画像処理を行って得られた深度推定情報を用いて、前記3次元位置を推定する、請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項6】
前記3次元位置推定部が推定した3次元位置に基づき、複数のユーザの中から前記第2のユーザを選択するユーザ選択部を備える、請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項7】
前記3次元位置通知部は、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報とともに、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置に対応付けられた、ユーザ間の会話を、前記第2のユーザが使用する端末に表示させる、請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項8】
現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する第1のステップと、
前記第1のステップにおいて推定した3次元位置を示すマークを、第2のユーザが使用する端末に表示させる第2のステップと
を有する情報共有方法。
【請求項9】
コンピュータを、
現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部、
前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示すマークを、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報共有装置、情報共有方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現実空間上で複数の撮影位置におけるパノラマあるいは全天球画像を撮影しておき、その画像を用いて、撮影位置の間を移動しながら全周囲を閲覧できる実写ベースの仮想現実(Virtual Reality;VR)システムが普及している。
【0003】
代表的なものとして、Google(登録商標)社のストリートビューがある。その他にも、工場見学システム、不動産の物件見学システム、実店舗におけるネット販売システムがある。
【0004】
通常のオンラインでの商品購入では、ユーザは、階層化されたカテゴリーや文字列検索を用いて、商品データベースから目的の商品を選択する。しかし、このような方法は、直感性に欠ける。既存のスーパーマーケットなどの実店舗における商品の配置や、博物館や美術館における展示品の配置は、その配置パターンそのものが閲覧性などを考慮して工夫され、ユーザに理解しやすいようになっている。
【0005】
特許文献1と特許文献2では、ディスプレイを介した仮想的なショッピングシステムにおいても、実際の店舗のようなプラノグラム(売場活性化を意図した棚割り計画)を効果的に生成して提示することを開示している。
【0006】
また、実際の店舗で買い物をしているという感覚は目的の商品を購入するというだけでなく購買行動において重要な要素である。特許文献3では、バーチャルショッピングシステムやバーチャルモールといったシステムにおいて、実在の街の街並みを提示してユーザを各店舗に誘導する技術が開示されている。これにより、実際に人気の街に行って買い物をする気分をユーザに与えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6401174号公報
【特許文献2】特許第6823023号公報
【特許文献3】国際公開第2007/032099
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した実写ベースの仮想現実システムにおいては、仮想現実を閲覧しているユーザが、異なる撮影位置にいるユーザ、あるいは現実空間にいるユーザとの間で、仮想現実において表示されている物に関する会話をしようとしたときに、参照している画像が異なるために、会話が困難になってしまうことがあるという問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、仮想現実を閲覧しているユーザと、異なる撮影位置にいるユーザ、あるいは現実空間にいるユーザとの間で、仮想現実において表示されている物に関する会話を円滑にすることができる情報共有装置、情報共有方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部と、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報を、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部とを備える情報共有装置である。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上述した情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記第1のユーザの前記仮想空間における位置に対応付けられた予め設定された距離を用いて、前記3次元位置を推定する。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上述した情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記仮想空間に構築された立体形状の情報を用いて、前記3次元位置を推定する。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上述した情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記第1のユーザの前記仮想空間における位置に対応付けられた前記現実空間の距離測定データを用いて、前記3次元位置を推定する。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上述した情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記画像に対して画像処理を行って得られた深度推定情報を用いて、前記3次元位置を推定する。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上述した情報共有装置であって、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置に基づき、複数のユーザの中から前記第2のユーザを選択するユーザ選択部を備える。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上述した情報共有装置であって、前記3次元位置通知部は、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報とともに、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置に対応付けられた、ユーザ間の会話を、前記第2のユーザが使用する端末に表示させる。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する第1のステップと、前記第1のステップにおいて推定した3次元位置を示すマークを、第2のユーザが使用する端末に表示させる第2のステップとを有する情報共有方法である。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、コンピュータを、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示すマークを、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、仮想現実を閲覧しているユーザと、異なる撮影位置にいるユーザ、あるいは現実空間にいるユーザとの間で、仮想現実において表示されている物に関する会話を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の一実施形態による情報共有システム10の構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態における端末200と端末300bにおける表示例を説明する模式図である。
【
図3】同実施形態における端末300aにおける表示例を説明する模式図である。
【
図4】同実施形態における情報共有システム10の構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】同実施形態におけるVR空間DB101の記憶内容例を示す表である。
【
図6】同実施形態のおける情報共有システム10の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】同実施形態における3次元位置推定方法の例1を説明する模式図である。
【
図8】同実施形態における3次元位置推定方法の例2を説明する模式図である。
【
図9】同実施形態における3次元位置推定方法の例3を説明する模式図である。
【
図10】同実施形態におけるユーザ選択部103の動作を説明する模式図である。
【
図11】同実施形態における3次元位置通知部105によるユーザ間の会話の表示を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態による情報共有システム10の構成を示す模式図である。情報共有システム10は、現実空間上で複数の撮影位置における全天球画像を撮影しておき、その画像を用いて、撮影位置の間を移動しながら全周囲を閲覧できる実写ベースの仮想現実システムである。情報共有システム10は、情報共有装置100、第1のユーザが使用する端末200、第2のユーザが使用する端末300a、300bを備える。
【0022】
端末200は、第1のユーザが使用する端末である。端末200は、例えばヘッドマウントディスプレイなどの仮想現実を提供するためのディスプレイを備える。端末300a、300bは、第2のユーザが使用する端末である。端末300aは、現実空間にいる第2のユーザが使用する端末であり、仮想現実を提供するためのディスプレイを備えていない。端末300bは、端末200と同様に仮想現実を提供するためのディスプレイを備える。
【0023】
情報共有装置100は、複数の撮影位置における全天球画像を記憶しており、端末200に、仮想現実におけるユーザの位置に対応する全天球画像を提供し、ユーザに仮想現実を提供する。また、情報共有装置100は、端末200を使用する第1のユーザと、端末300aまたは端末300bを使用する第2のユーザとの間で音声ベースもしくは文字ベースの会話を仲介する。また、情報共有装置100は、第1のユーザにより指定された、仮想空間を表示している画像内の2次元位置を取得し、該2次元位置に対応する現実空間の位置を示すマークを第2のユーザが使用する端末300aまたは端末300bに表示させる。
【0024】
図2は、本実施形態における端末200と端末300bにおける表示例を説明する模式図である。
図2において、第1のユーザU1は端末200を用いて仮想現実を閲覧しており、第2のユーザU2は端末300bを用いて仮想現実を閲覧している。第1のユーザU1が閲覧している仮想現実と、第2のユーザU2が閲覧している仮想現実とは、撮影位置が異なる。端末200は、第1のユーザU1の天球C1のうち、画像D1を表示している。端末300bは、第2のユーザU2の天球C2のうち、画像D2を表示している。
【0025】
第1のユーザU1が、画像D1内の2次元位置P1を指定すると、情報共有装置100は、2次元位置P1に対応する現実空間における3次元位置TPを推定する。情報共有装置100は、端末300bに対して、画像D2において、3次元位置TPに対応する2次元位置P2を通知し、端末300bに、3次元位置TPを示す情報としてマークM1を表示させる。このように画像D2にマークM1が表示されるので、第2のユーザU2は、第1のユーザU1が指定した、画像D1内の2次元位置P1に対応する画像D2内の2次元位置P2を把握することができる。これにより、第1のユーザと第2のユーザとは、2次元位置P1に表示されている物、すなわち2次元位置P2に表示されている物に関する会話を円滑にすることができる。
【0026】
図3は、本実施形態における端末300aにおける表示例を説明する模式図である。端末300aによる表示画像D3は、現実空間のフロアマップである。端末300aは、情報共有装置100が推定した3次元位置を通知されると、フロアマップ内の該3次元位置に対応する位置に、3次元位置を示す情報としてマークM2を表示する。このようにマークM2が表示されるので、第2のユーザは、第1のユーザが指定した、仮想現実の画像内の2次元位置に対応する現実空間の位置を把握することができる。これにより、第2のユーザは、その位置に移動するなどして、第1のユーザと、仮想現実の画像内に表示されている物に関する会話を円滑にすることができる。
【0027】
図4は、本実施形態における情報共有システム10の構成を示す概略ブロック図である。
図4において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付し、説明を省略する。また、端末300a、300bはほぼ同様の構成であるので、
図4では、端末300a、300bを代表して端末300を記載した。端末200は、VR表示部201、VR表示処理部202を備える。VR表示部201は、ヘッドマウントディスプレイなどの仮想現実の画像を表示させるディスプレイである。VR表示処理部202は、情報共有装置100から、全天球画像を取得し、該全天球画像からVR表示部201の向きに応じた画像を抽出して、仮想現実用の画像を生成し、VR表示部201に表示させる。また、VR表示処理部202は、VR表示部201に表示させた画像内の2次元位置であって、第1のユーザによる指定された位置を取得し、該2次元位置を示す情報を、情報共有装置100に送信する。
【0028】
情報共有装置100は、VR空間DB(Data Base)101、3次元位置推定部102、ユーザ選択部103、ユーザDB104、3次元位置通知部105を備える。VR空間DBは、撮影位置を識別する地点番号各々に対応付けて、該撮影位置の現実空間における座標と、該撮影位置の全天球画像と、3次元位置推定用データを記憶する。
図5は、本実施形態におけるVR空間DB101の記憶内容例を示す表である。
図5において、地点#は、撮影位置を識別する地点番号である。地点座標は、撮影位置の現実空間における3次元座標である。画像データは、全天球画像の画像データである。3次元位置推定用データは、3次元位置推定部102が3次元位置を推定するのに用いるデータである。例えば、3次元位置推定用データは、予め設定された距離、仮想空間に構築された立体形状の情報、現実空間の距離測定データ、全天球画像に対して画像処理を行って得られた深度推定情報である。
【0029】
図4に戻って、3次元位置推定部102は、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する現実空間における3次元位置を推定する。ユーザ選択部103は、3次元位置推定部102が推定した3次元位置に基づき、複数のユーザの中から少なくとも一人のユーザ(第2のユーザ)を選択する。ユーザDB104は、ユーザ選択部103が選択するユーザの候補となる複数のユーザの情報を記憶する。ユーザの情報は、ユーザの現実空間あるいは仮想現実空間における位置、そのユーザの担当として割り当てられている現実空間内の場所(担当売り場など)のいずれかを含んでいてもよい。
【0030】
3次元位置通知部105は、3次元位置推定部102が推定した3次元位置を示す情報を、第2のユーザが使用する端末300a、300bに表示させる。さらに、3次元位置通知部105は、3次元位置推定部102が推定した3次元位置に対応付けられた、ユーザ間の会話を、第2のユーザが使用する端末300a、300bに表示させる。
【0031】
端末300は、第2ユーザ表示処理部301、第2ユーザ表示部302を備える。第2ユーザ表示処理部301は、3次元位置通知部105からの通知に基づき、3次元位置推定部102が推定した3次元位置を示す情報を第2ユーザ表示部302に表示させる。第2ユーザ表示部302は、画像を表示するディスプレイである。なお、端末300が、端末300bであるときは、第2ユーザ表示処理部301は、情報共有装置100から、全天球画像を取得し、該全天球画像から第2ユーザ表示部302の向きに応じた画像を抽出して、仮想現実用の画像を生成し、第2ユーザ表示部302に表示させる。
【0032】
図6は、本実施形態のおける情報共有システム10の動作を説明するフローチャートである。まず、端末200は、仮想現実の画像を表示する(ステップS1)。次に、端末200は、仮想現実の画像内の、第1のユーザによる対象位置(2次元位置)の指定を取得する(ステップS2)。この指定方法は、第1のユーザが端末200のポインティングデバイスを用いて、画像内のポイントを指定してもよいし、第1のユーザが注視しているポイント、あるいは、画像の中心を指定されているポイントとして取得してもよい。
【0033】
次に、情報共有装置100は、ステップS2で取得した対象位置に対応する現実空間における3次元座標を推定する(ステップS3)。次に、情報共有装置100は、推定した3次元座標に応じた第2のユーザを選択する(ステップS4)。次に、第2のユーザが使用する端末300は、推定した3次元座標に応じた位置にマークを表示する(ステップS5)。このとき、端末200も、マークを表示してもよい。次に、情報共有装置100は、対象位置に関する会話を、端末200、300に表示させる(ステップS6)。
【0034】
以下では、3次元位置推定部102による3次元位置推定方法の例1から例4を説明する。
3次元位置推定方法の例1では、3次元位置推定部102は、第1のユーザの仮想空間における位置に対応付けられた予め設定された距離を用いて、3次元位置を推定する。
図7は、本実施形態における3次元位置推定方法の例1を説明する模式図である。
図7において、
図2と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。3次元位置推定方法の例1の場合、VR空間DB101が記憶する3次元位置推定用データは、予め設定された距離Lである。3次元位置推定部102は、第1のユーザU1がいる撮影位置に対応付けてVR空間DB101が記憶している予め設定された距離Lを読み出す。そして、
図7に示すように、3次元位置推定部102は、2次元位置P1を通る第1のユーザU1の視線を、水平距離が予め設定された距離Lとなるまで延ばした先のポイントを、3次元位置TPとして推定する。
【0035】
3次元位置推定方法の例2では、3次元位置推定部102は仮想空間に構築された立体形状の情報を用いて、3次元位置を推定する。
図8は、本実施形態における3次元位置推定方法の例2を説明する模式図である。
図8において、
図2と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。3次元位置推定方法の例2の場合、VR空間DB101が記憶する3次元位置推定用データは、仮想空間に構築された立体形状の情報である。3次元位置推定部102は、第1のユーザU1がいる撮影位置に対応付けてVR空間DB101が記憶している仮想空間に構築された立体形状TOの情報を読み出す。そして、
図8に示すように、3次元位置推定部102は、2次元位置P1を通る第1のユーザU1の視線を、仮想空間に構築された立体形状TOに衝突するまで延ばした先のポイントを、3次元位置TPとして推定する。
【0036】
3次元位置推定方法の例3では、3次元位置推定部102は現実空間の距離測定データを用いて、3次元位置を推定する。
図9は、本実施形態における3次元位置推定方法の例3を説明する模式図である。
図9において、
図2と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。3次元位置推定方法の例3の場合、VR空間DB101が記憶する3次元位置推定用データは、現実空間の距離測定データである。現実空間の距離測定データは、LiDAR(Light Detection And Ranging)、深度カメラなどを用いて、撮影位置からの全方位の深度情報を測定したデータである。3次元位置推定部102は、第1のユーザU1がいる撮影位置に対応付けてVR空間DB101が記憶している現実空間の距離測定データMDを読み出す。そして、
図9に示すように、3次元位置推定部102は、2次元位置P1を通る第1のユーザU1の視線を、現実空間の距離測定データMDに衝突するまで延ばした先のポイントを、3次元位置TPとして推定する。
【0037】
3次元位置推定方法の例4では、3次元位置推定部102は画像に対して画像処理を行って得られた深度推定情報を用いて、3次元位置を推定する。3次元位置推定方法の例4の場合、VR空間DB101が記憶する3次元位置推定用データは、全天球画像に対して機械学習などを用いた画像処理を行って得られた深度推定情報である。3次元位置推定部102は、第1のユーザU1がいる撮影位置に対応付けてVR空間DB101が記憶している全天球画像に対して画像処理を行って得られた深度推定情報を読み出す。3次元位置推定部102は、2次元位置P1を通る第1のユーザU1の視線を、深度推定情報が示す深度に衝突するまで延ばした先のポイントを、3次元位置TPとして推定する。
【0038】
なお、VR空間DB101が深度推定情報を記憶するのではなく、3次元位置推定部102が全天球画像あるいはその一部に対して、機械学習などを用いた画像処理を行って深度推定情報を得るようにしてもよい。
【0039】
図10は、本実施形態におけるユーザ選択部103の動作を説明する模式図である。
図10に示すように、ユーザ選択部103は、3次元位置推定部102が推定した3次元位置に基づき、複数のユーザU2、U3、U4の中から第2のユーザU2、すなわち3次元位置を示す情報を通知するユーザを選択する。この選択は、例えば、VR空間DB101が記憶する各ユーザの仮想現実あるいは現実空間における位置に基づき、3次元位置に距離あるいは道のりが最も近いユーザを選択してもよいし、VR空間DB101が記憶する各ユーザの担当として割り当てられている現実空間内の場所に基づき、3次元位置を含む場所が担当として割り当てられているユーザを選択してもよいし、これらの条件を組み合わせてもよい。また、選択される第2のユーザU2は、複数であってもよい。
【0040】
図11は、本実施形態における3次元位置通知部105によるユーザ間の会話の表示を説明する模式図である。3次元位置通知部105は、3次元位置TPを示すマークに加えて、ユーザ間の会話G2を、第2のユーザが使用する端末300に表示させてもよい。なお、3次元位置通知部105は、ユーザ間の会話G2を、第2のユーザが使用する端末300であって、
図3の画像D3のような表示をする端末300(仮想現実の表示をしない端末300)に表示させてもよい。ユーザ間の会話G2は、第1のユーザと、第2のユーザの会話であってもよいし、他のユーザを含む会話であってもよいし、いずれかのユーザとチャットボットとの会話であってもよい。また、会話G2には、ボイスメモ、画像添付、項目選択が含まれていてもよい。
【0041】
また、3次元位置通知部105は、2次元位置P1近傍の画像G1を端末300に表示させてもよい。これにより、2次元位置P1に表示されていた物O1の3次元位置の推定に誤差があり、マークM1の表示位置がずれていたとしても、第2のユーザは、2次元位置P1に表示されていた物O1を把握することができる。
【0042】
また、3次元位置通知部105は、ユーザ間の会話を表示させるとともに、あるいは表示させることに代えて、第1のユーザと、第2のユーザとの音声通話あるいはビデオ通話を行うようにしてもよい。
【0043】
なお、端末300bは、シースルー型ウェアラブルディスプレイを備え、第2のユーザに仮想現実ではなく、拡張現実を提供していてもよい。この場合、端末300bは、情報共有装置100が記憶している全天球画像は用いず、3次元位置を示すマークおよびユーザ間の会話を、現実空間に重畳して表示する。
また、上述の実施形態は、各撮影位置における全天球画像を有しているが、全天球ではなく、天球の一部の画像を有していてもよい。
【0044】
また、本発明の実施形態は下記に示すものであってもよい。
(1)情報共有装置であって、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部と、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報を、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部とを備える。
【0045】
(2)上述した(1)の情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記第1のユーザの前記仮想空間における位置に対応付けられた予め設定された距離を用いて、前記3次元位置を推定する。
【0046】
(3)上述した(1)の情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記仮想空間に構築された立体形状の情報を用いて、前記3次元位置を推定する。
【0047】
(4)上述した(1)の情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記第1のユーザの前記仮想空間における位置に対応付けられた前記現実空間の距離測定データを用いて、前記3次元位置を推定する。
【0048】
(5)上述した(1)の情報共有装置であって、前記3次元位置推定部は、前記画像に対して画像処理を行って得られた深度推定情報を用いて、前記3次元位置を推定する。
【0049】
(6)上述した(1)から(5)のいずれかの情報共有装置であって、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置に基づき、複数のユーザの中から前記第2のユーザを選択するユーザ選択部を備える。
【0050】
(7)上述した(1)から(6)のいずれかの情報共有装置であって、前記3次元位置通知部は、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示す情報とともに、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置に対応付けられた、ユーザ間の会話を、前記第2のユーザが使用する端末に表示させる。
【0051】
(8)情報共有方法であって、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する第1のステップと、前記第1のステップにおいて推定した3次元位置を示すマークを、第2のユーザが使用する端末に表示させる第2のステップとを有する。
【0052】
(9)プログラムであって、コンピュータを、現実空間を投影した仮想空間を表示している画像内の2次元位置の第1のユーザによる指定を取得し、該2次元位置に対応する前記現実空間における3次元位置を推定する3次元位置推定部、前記3次元位置推定部が推定した3次元位置を示すマークを、第2のユーザが使用する端末に表示させる3次元位置通知部として機能させるためのプログラムである。
【0053】
また、
図4における情報共有装置100、端末200、300の各々の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより情報共有装置100、端末200、300の各々を実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0054】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0055】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 情報共有システム
100 情報共有装置
101 VR空間DB
102 3次元位置推定部
103 ユーザ選択部
104 ユーザDB
105 3次元位置通知部
200 端末
201 VR表示部
202 VR表示処理部
300 端末
301 第2ユーザ表示処理部
302 第2ユーザ表示部