(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064533
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】印刷システム、印刷制御プログラム、印刷物の生産方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 373
G06F3/12 378
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173186
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 綾子
(72)【発明者】
【氏名】小林 夕華
(72)【発明者】
【氏名】福地 悠人
(72)【発明者】
【氏名】石風呂 裕子
(57)【要約】
【課題】紙以外の媒体に印刷する場合、ユーザーのイメージ通りに印刷できない場合がある。
【解決手段】ユーザーに印刷媒体を特定させる特定部と、画像データを取得する取得部と、前記ユーザーが特定した前記印刷媒体と前記画像データとを含む印刷ジョブを送信する送信部と、を備えたユーザー端末と、前記印刷ジョブを受信する受信部と、受信した前記印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された前記印刷ジョブに含まれる前記印刷媒体と前記画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させる表示部と、前記印刷ジョブを指示に応じて変更する変更部と、前記ユーザーと管理者との合意をもって前記印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する確定部と、を備えた管理端末と、確定した前記印刷ジョブに基づいた印刷を行う印刷部を備えたプリンターと、を含む印刷システムを構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに印刷媒体を特定させる特定部と、
画像データを取得する取得部と、
前記ユーザーが特定した前記印刷媒体と前記画像データとを含む印刷ジョブを送信する送信部と、
を備えたユーザー端末と、
前記印刷ジョブを受信する受信部と、
受信した前記印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された前記印刷ジョブに含まれる前記印刷媒体と前記画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させる表示部と、
前記印刷ジョブを指示に応じて変更する変更部と、
前記ユーザーと管理者との合意をもって前記印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する確定部と、
を備えた管理端末と、
確定した前記印刷ジョブに基づいた印刷を行う印刷部を備えたプリンターと、
を含む印刷システム。
【請求項2】
前記表示部は、前記印刷媒体の在庫状況を印刷プレビューとともに表示させる、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記表示部は、印刷予定を表示させる、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記管理端末は、確定した前記印刷ジョブに基づいた費用請求をPOSに行わせる請求部をさらに備える、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記ユーザー端末は、前記ユーザーの指示に従って前記画像データの編集を行う編集部をさらに備え、
前記変更部は、編集された前記画像データをさらに編集することができる、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記ユーザー端末は、送信後の前記画像データを消去する消去部を備える、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記管理端末は、前記印刷ジョブを前記ユーザー端末に差し戻す差し戻し部を備え、
前記ユーザー端末は、差し戻された前記印刷ジョブを編集する編集部を備える、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記確定部は、前記ユーザーによるパスワードの入力を条件に印刷を確定する、
請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記確定部は、前記ユーザー端末で注文確定を示す操作が行われたことを条件に印刷を確定する、
請求項1の記載の印刷システム。
【請求項10】
ユーザー端末を、
ユーザーに印刷媒体を特定させる特定部、
画像データを取得する取得部、
前記ユーザーが特定した前記印刷媒体と前記画像データとを含む印刷ジョブを送信する送信部、として機能させ、
管理端末を、
前記印刷ジョブを受信する受信部、
受信した前記印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された前記印刷ジョブに含まれる前記印刷媒体と前記画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させる表示部、
前記印刷ジョブを指示に応じて変更する変更部、
前記ユーザーと管理者との合意をもって前記印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する確定部、として機能させ、
プリンターを、
確定した前記印刷ジョブに基づいた印刷を行う印刷部、として機能させる、
印刷制御プログラム。
【請求項11】
ユーザー端末が、
ユーザーに印刷媒体を特定させ、
画像データを取得し、
前記ユーザーが特定した前記印刷媒体と前記画像データとを含む印刷ジョブを管理端末に送信し、
前記管理端末が、
前記印刷ジョブを受信し、
受信した前記印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された前記印刷ジョブに含まれる前記印刷媒体と前記画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させ、
前記印刷ジョブを指示に応じて変更し、
前記ユーザーと管理者との合意をもって前記印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定し、
プリンターが、
確定した前記印刷ジョブに基づいた印刷を行う、
ことを含む印刷物の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷制御プログラム、印刷物の生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙媒体以外の様々な媒体に印刷を行う技術が知られている。例えば特許文献1には、缶の表面への印刷について記載されている。特許文献2には、鏡面反射層を有する媒体への印刷について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-39737号公報
【特許文献2】特開2021-187025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙以外の媒体に印刷する場合、ユーザーのイメージ通りに印刷できない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための印刷システムは、ユーザーに印刷媒体を特定させる特定部と、画像データを取得する取得部と、ユーザーが特定した印刷媒体と画像データとを含む印刷ジョブを送信する送信部と、を備えたユーザー端末と、印刷ジョブを受信する受信部と、受信した印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された印刷ジョブに含まれる印刷媒体と画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させる表示部と、印刷ジョブを指示に応じて変更する変更部と、ユーザーと管理者との合意をもって印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する確定部と、を備えた管理端末と、確定した印刷ジョブに基づいた印刷を行う印刷部を備えたプリンターと、を含む。
【0006】
上記課題を解決するための印刷制御プログラムは、ユーザー端末を、ユーザーに印刷媒体を特定させる特定部、画像データを取得する取得部、ユーザーが特定した印刷媒体と画像データとを含む印刷ジョブを送信する送信部、として機能させ、管理端末を、印刷ジョブを受信する受信部、受信した印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された印刷ジョブに含まれる印刷媒体と画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させる表示部、印刷ジョブを指示に応じて変更する変更部、ユーザーと管理者との合意をもって印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する確定部、として機能させ、プリンターを、確定した印刷ジョブに基づいた印刷を行う印刷部、として機能させる。
【0007】
上記課題を解決するための印刷物の生産方法は、ユーザー端末が、ユーザーに印刷媒体を特定させ、画像データを取得し、ユーザーが特定した印刷媒体と画像データとを含む印刷ジョブを管理端末に送信し、管理端末が、印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された印刷ジョブに含まれる印刷媒体と画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させ、印刷ジョブを指示に応じて変更し、ユーザーと管理者との合意をもって印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定し、プリンターが、確定した印刷ジョブに基づいた印刷を行う、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1) 印刷システムの構成:
(1-1)サーバーの構成:
(1-2)端末の構成:
(1-3)プリンターの構成:
(2)印刷制御処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)印刷システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷システムの一例を模式的に示す図である。印刷システム1は、サーバー10、端末20、プリンター30を備える。図示された装置の個数は一例であり、数は限定されない。例えば、複数台表記された端末20やプリンター30は
図1に図示された数に限定されないし、1台表記されたサーバー10は複数であっても良い。これらの装置は、ネットワークを介して互いに通信することができる。ネットワークの態様は種々の態様であって良く、ローカルネットワークであっても良いし、インターネット等を介して物理的に離れた位置に存在する装置同士が通信しても良い。
【0011】
本実施形態において、端末20とプリンター30は、一例として写真店や雑貨店等の店舗内に設置されている。当該店舗では、店舗のカスタマーであるユーザーが選択した印刷媒体(マグカップ、Tシャツ、スマートフォンケース、缶バッチ、各種サイズや材質の紙等)に対し、ユーザーが指定した写真等を用いてデザインした画像を印刷し、記念品やユーザーオリジナルのグッズを製作する印刷サービスを提供する。
【0012】
端末20は、店舗のカスタマーであるユーザーが印刷画像のデザインに使用する端末(ユーザー端末21)と、ユーザーの応対を行うスタッフ(管理者)が使用する端末(管理端末22)と、印刷ジョブの管理を行う端末(印刷ジョブ管理端末23)と、各プリンター用のプリンタードライバーや印刷アプリケーションがインストールされた端末であって印刷作業者が使用する端末(印刷作業端末24)を含んでいる。
【0013】
プリンター30は、仮注文の整理番号を印刷するためのレシートプリンター31と、注文票を印刷するためのドキュメントプリンター32と、ユーザーが選択した印刷媒体にユーザーがデザインした画像を印刷するプリンター33を含んでいる。プリンター33は、例えば、写真紙への印刷に適したミニラボ機、マグカップ(陶器)や缶バッチやスマートフォンケースに圧着するための昇華転写紙への印刷を行うことができる昇華転写プリンター、ポスター等の大判の紙媒体への印刷に適した大判プリンター、Tシャツ等の布製品に直接印刷を行うことができるDTG(Direct To Garment)プリンター等を含んでいる。
【0014】
ユーザーは、ユーザー端末21を操作し、ユーザー端末21にインストールされたデザインアプリケーションを利用して、印刷媒体に印刷する画像をデザインする。具体的には、ユーザーは、デザインアプリケーションを利用して、印刷媒体を選択し、印刷媒体に応じたテンプレートを選択する。さらに、ユーザーは、デザインアプリケーションを利用してユーザー所望の写真を指定し、テンプレートを用いて印刷媒体に印刷する画像をデザインする。ユーザーは、例えば自身の所有する携帯端末に保存された写真をユーザー端末21に転送することができ、転送した写真を指定することができる。ユーザーは、部数を指定し、自らがデザインした画像の、選択した印刷媒体への印刷を依頼することができる。
【0015】
ところで、ユーザーは、ユーザー端末21のデザインアプリケーションを利用して印刷画像をデザインすることができるが、例えば紙以外の印刷媒体を選択した場合、ユーザーの仕上がりのイメージと実際の仕上がりとが相違する可能性がある。そのため、本実施形態の印刷システムは、一旦、ユーザーが印刷を依頼(仮注文)した後でも、デザインを容易に修正できるように構成されている。
【0016】
以下、このような印刷サービスを実現するための印刷システム1の各装置の構成を説明する。
(1-1)サーバーの構成:
図2は、サーバー10の構成を示すブロック図である。サーバー10は、プロセッサー10aと、通信部10bと、不揮発性メモリー10cとを備える。プロセッサー10aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー10cに記録された種々のプログラムを実行しサーバー10の各部やネットワークに接続された各装置を制御することができる。なお、プロセッサー10aは、単一のチップで構成されても良いし、複数のチップで構成されても良いし、プリンターを動作させる様々な機能ブロックとともにSoCとして構成されていても良い。また、例えばCPUに替えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。本実施形態における各装置がプロセッサーを備える場合、そのプロセッサーは、プロセッサー10aと同様に種々の態様で実現可能である。
【0017】
通信部10bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。サーバー10は、当該通信部10bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部10bは、サーバー10に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0018】
サーバー10の不揮発性メモリー10cには、各種の情報が蓄積される。例えば、印刷媒体の在庫データ10c3、印刷物生産に関する作業スケジュール10c2、印刷ジョブ10c1等が不揮発性メモリー10cに記憶される。
【0019】
在庫データ10c3は、店舗における印刷媒体の在庫数を示すデータであり、印刷媒体の種類(サイズ、色、形、素材等)毎に記録されている。作業スケジュール10c2は、各プリンター33や前工程機、後工程機等のスケジュールを示す情報である。本実施形態においては、仮注文の印刷ジョブ10c1を受信すると、サーバー10は、当該注文にかかる商品を生産するためのプリンター33のスケジュールや、前工程や後工程が必要な場合は前工程機や後工程機のスケジュールの空き時間帯に、印刷予定期間や、前工程実施予定期間や、後工程実施予定期間を仮押さえする。具体的には例えば、印刷の前工程が必要な商品が注文された場合は、前工程機のスケジュールの空き時間帯に、当該注文にかかる前工程の時間分の前工程実施予定期間が仮で追加される。さらに、当該注文にかかる印刷を行うプリンター33のスケジュールに、当該注文の印刷に要する時間分の印刷予定期間が仮で追加される(前工程が実施される場合は前工程の終了時刻以降で追加される)。さらに、印刷の後工程が必要な商品の場合、印刷終了時刻以降に、後工程機のスケジュールの空き時間帯に、後工程に要する時間分の後工程実施予定時間が仮で追加される。ユーザーが完成品を受け取り可能な受け取り時刻は、例えば、後工程が必要ない商品の場合は印刷終了時刻に基づいて設定され、後工程が必要な商品の場合は後工程終了時刻に基づいて設定される。
【0020】
印刷ジョブ10c1は、デザインされた画像データと、印刷媒体の種類と、部数等を含んでいる。ユーザーは、ユーザー端末21にインストールされているデザインアプリケーションを利用して、印刷媒体を選択し、印刷する画像データを選択し、選択した印刷媒体に応じたテンプレートと画像データを用いて印刷画像をデザインする。ユーザーはデザインした印刷画像を仮注文すると、印刷画像と印刷媒体の種類と部数等を含む印刷ジョブ10c1がサーバー10に送信され、サーバー10の不揮発性メモリー10cに記録される。サーバー10はユーザー端末21から仮注文の印刷ジョブ10c1を受信すると、整理番号を採番し印刷ジョブ10c1に対応付けて不揮発性メモリー10cに記録する。また、サーバー10は仮注文の際にパスワードを生成し、印刷ジョブ10c1の整理番号に対応付けて不揮発性メモリー10cに記録する。サーバー10は、整理番号と、パスワードと、受付カウンターに行くように促すメッセージを含む印刷データを生成し、レシートプリンター31から印刷させる。ユーザーは当該レシートをレシートプリンター31から受け取り、受付カウンターに向かう。
【0021】
また、サーバー10は仮注文された印刷ジョブ10c1を管理端末22に送信する。受付カウンターでは、注文を管理する管理者がユーザーの応対を行う。管理者は、整理番号によって、当該整理番号が印字されたレシートを持つユーザーと当該ユーザーが仮注文した印刷ジョブ10c1との対応付けが可能である。管理者は、管理端末22を操作して、印刷ジョブ10c1の内容確認をユーザーと相談しながら行うことができる。後述するように、管理者は、管理端末22を操作して印刷ジョブ10c1の内容を変更することも可能であるし、ユーザーが再編集できるようにユーザー端末21に印刷ジョブ10c1を差し戻すようにすることも可能である。もちろん、仮注文された印刷ジョブ10c1の変更が必要ない場合は、管理端末22での変更やユーザー端末21への差し戻しは行われなくて良い。
【0022】
印刷ジョブ10c1の内容を管理者とユーザーが共に合意した場合、管理者は、管理端末22を操作して印刷ジョブ10c1の注文を確定することができる。仮注文の確定を本明細書では本注文とも呼ぶ。確定された印刷ジョブ10c1は管理端末22からサーバー10に送信され、不揮発性メモリー10cに記録される。サーバー10は、本注文の印刷ジョブ10c1を受信すると注文番号を採番し印刷ジョブ10c1と対応付けて記録する。なお、本実施形態において注文番号と整理番号は異なる番号であるが、他の実施形態においては同じであってもよい。本実施形態において、整理番号は例えばある1店舗における1日の中での仮注文の受け付け順を示す短い数字を想定しており、注文番号は例えば店舗・日付等をも一意に識別できるような、整理番号より長い数字であることを想定している。
【0023】
サーバー10は、注文が確定すると印刷ジョブ管理端末23に印刷ジョブ10c1を送信し印刷を指示する。また、サーバー10は、仮押さえされたスケジュールを作業スケジュール10c2において確定する。仮注文の際のスケジュールから変更された場合は、変更された内容で作業スケジュール10c2を更新する。また、サーバー10は、確定された印刷ジョブ10c1で使用される印刷媒体の個数を当該印刷媒体の在庫数から減算することで、在庫データ10c3を更新する。
【0024】
(1-2)端末の構成:
次に、端末20の構成を説明する。端末20のハードウェア構成は、ユーザー端末21と管理端末22と印刷ジョブ管理端末23と印刷作業端末24とで共通である。
図3は、ユーザー端末21の構成を示すブロック図である。ユーザー端末21は、プロセッサー21aと、通信部21bと、不揮発性メモリー21cと、ディスプレイ21dと、入力部21eとを備える。プロセッサー21aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー21cに記録された種々のプログラムを実行しユーザー端末21の各部を制御することができる。
【0025】
通信部21bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。ユーザー端末21は、当該通信部21bを介して他の装置と通信することが可能である。また、通信部21bは、ユーザー端末21に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0026】
ディスプレイ21dは、任意の画像を表示する表示装置である。入力部21eは、ユーザーが入力操作を行う装置であり、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル等で構成される。いずれにしても、ユーザーは、ディスプレイ21dに表示される画像や文字を視認しながら、入力部21eを操作してユーザーの意図を入力することができる。
【0027】
ユーザー端末21には、デザインアプリケーションがインストールされており、ユーザー端末21のプロセッサー21aは、デザインアプリケーションを実行することにより、ユーザーに印刷媒体を特定させる特定部21a1、画像データを取得する取得部21a2、ユーザーが特定した印刷媒体と画像データとを含む印刷ジョブを管理端末22に送信する送信部21a3、ユーザーの指示に従って画像データの編集を行う編集部21a4、送信後の画像データを消去する消去部21a5として機能する。
【0028】
図4は、管理端末22の構成を示すブロック図である。ハードウェア構成はユーザー端末21と共通であるため、説明を一部省略する。管理者は、管理端末22を操作することにより、サーバー10から受信した印刷ジョブ10c1に対して、変更や、ユーザー端末21への差し戻しや、注文確定等の指示を行うことができる。すなわち管理端末22のプロセッサー22aは、印刷ジョブを受信する受信部22a1、受信した印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された印刷ジョブ10c1のリストを選択可能に表示させ、選択された印刷ジョブに含まれる印刷媒体と画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させる表示部22a2、印刷ジョブを指示に応じて変更する変更部22a3、ユーザーと管理者との合意をもって印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定する確定部22a4として機能する。さらにプロセッサー22aは、印刷ジョブをユーザー端末に差し戻す差し戻し部22a6として機能する。これらの詳細については後述する。
【0029】
管理端末22は、確定部22a4の機能により注文を確定すると、確定した注文を示す印刷ジョブ10c1をサーバー10に送信する。また、管理端末22は、差し戻し部22a6の機能により、管理者から差し戻しが指示されると印刷ジョブ10c1をサーバー10に送信しユーザー端末21に差し戻させる。
【0030】
印刷ジョブ管理端末23(
図1を参照)は、サーバー10から印刷指示を受信すると、印刷ジョブを実行するプリンター33に対応する印刷作業端末24を選択し、当該印刷作業端末24に印刷ジョブを送信する。印刷作業端末24の選択は、印刷作業者によって手動で行われても良い。印刷作業端末24(
図1を参照)には、各プリンター33のプリンタードライバーや印刷アプリケーションがインストールされている。印刷作業者は、これらのプログラムを利用して、印刷前の色合わせ等の各種の前工程作業を行うことができる。
【0031】
印刷作業者は印刷作業端末24を操作して、印刷ジョブの印刷を実施するプリンターの選択と、印刷ジョブの印刷に用いる印刷設定の選択を行う。なおこれらの選択は、印刷ジョブ管理端末23で行われても良い。例えば、印刷ジョブ管理端末23または印刷作業端末24のプロセッサーは、印刷ジョブを実行可能なプリンター33のリストを提示し、その中から印刷作業者が選択したプリンター33を取得する。また例えば、印刷ジョブ管理端末23または印刷作業端末24のプロセッサーは、印刷ジョブの実行に関する複数の印刷設定のリストを提示し、その中から印刷作業者が選択した印刷設定を取得する。印刷作業端末24では、印刷設定に基づいて印刷ジョブの画像データを指定されたプリンター33での印刷形式に変換し、変換したデータを部数の情報とともにプリンター33に出力する。印刷が終了すると、印刷作業端末24は印刷が終了したことを示す進捗情報を、印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に通知する。
【0032】
(1-4)プリンターの構成:
図5は、プリンター30の構成を示すブロック図である。プリンター30は、レシートプリンター31、ドキュメントプリンター32、商品の印刷を行うプリンター33を含んでいる。プリンター30は、プロセッサー30aと、通信部30bと、不揮発性メモリー30cと、印刷部30dと、UI部30eと、を備える。プロセッサー30aは、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、不揮発性メモリー30cに記録された種々のプログラムを実行しプリンター30の各部を制御することができる。
【0033】
通信部30bは、外部機器と有線または無線の各種の通信プロトコルに従って通信するための通信インターフェースを含む。プリンター30は、当該通信部30bを介して他の装置と通信することが可能である。なお、通信部30bは、プリンター30に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含んでいてもよい。
【0034】
印刷部30dは、レシートプリンター31,ドキュメントプリンター32,プリンター33で異なる。印刷部30dは、印刷を実行する部位であり、普通紙、写真紙、昇華転写紙、布等を含む各種の媒体にインクジェット方式を含む各種の印刷方式で印刷を施す。例えば、レシートプリンター31の印刷部30dは、レシートとして予め選択された紙幅のロール紙に印刷を施す。ドキュメントプリンター32の印刷部30dは、例えばA4等のカット紙に印刷を施す。プリンター33の印刷部30dは、店舗で取り扱う立体やシート状の様々な印刷媒体に印刷を施す。印刷部30dは、各種の媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターや各種装置、センサー、駆動回路、機械部品等を備えている。センサーは、プリンター30において変化し得る各種の検出対象を検出するセンサーを含む。検出対象は限定されず、例えば、メディアの残量を検出するセンサーや印刷に使用される色毎のインクの残量を検出するセンサー等が挙げられる。
【0035】
UI部30eは、タッチパネルディスプレイや各種のキーやスイッチやLED等の少なくともいずれかを含む。タッチパネルディスプレイは、各種の情報、例えば、プリンター30のステータスやインクの残量等を表示する表示パネルと、当該表示パネルに重ねられたタッチ検出パネルとを備え、タッチ操作を検出する。LEDはプリンター30のステータス等を示す点灯あるいは点滅表示を行う。プロセッサー30aは、UI部30eを介して管理者の操作内容を取得することができる。また、プロセッサー30aは、UI部30eのディスプレイに各種の情報を表示し管理者に通知することができる。
【0036】
本実施形態においてプリンター33は、写真店や雑貨店等の店舗内において、ユーザーからの注文および管理者の印刷指示に応じて注文された印刷物を生産する。プリンター33のプロセッサー30aは、通信部30bを介して、プリンター33の印刷形式に変換されたデータを取得し、当該データに基づいて印刷部30dを制御し、印刷を実施する。印刷が終了すると、プロセッサー30aは、通信部30bを介して印刷が終了したことを示す進捗情報を出力する。当該情報は印刷作業端末24、印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に送信される。サーバー10が、通信部10bを介して当該情報を取得すると、サーバー10のプロセッサー10aは、印刷が終了した印刷ジョブ10c1の進捗情報を「印刷終了」に更新する。
【0037】
(2)印刷制御処理:
図6は印刷制御処理を示すシーケンス図である。ユーザーがユーザー端末21のデザインアプリケーションを起動すると、ユーザー端末21のプロセッサー21aは、印刷媒体の選択肢を表示する。選択肢は例えば、Tシャツ、マグカップ、フォトブック、スマートフォンケース等である。ユーザーが選択肢の中から所望の印刷媒体を選択する操作を行うと、プロセッサー21aは、特定部21a1の機能により、選択された印刷媒体を特定する(ステップS100)。
【0038】
続いて、プロセッサー21aは、テンプレートの選択肢を表示する。ユーザーがテンプレートを選択すると、プロセッサー21aは、編集部21a4の機能により、テンプレートを特定する(ステップS102)。テンプレートは、印刷媒体に画像データを配置する領域の位置や大きさ、サイズ等を規定するデータであり、印刷媒体の種別に応じて予め複数種類作成されている。
【0039】
続いて、プロセッサー21aは、取得部21a2の機能により、画像データを入力させる画面を表示し、ユーザーが入力した画像データを取得する(ステップS105)。例えば、ユーザーは印刷に用いたい画像データを自身の所有する携帯端末に記録させていてもよいし、クラウドサーバーに記録させていてもよいし、メモリーカード等に記録させて店舗に持ち込んでも良い。いずれにしても、ユーザーはそれら様々な記録媒体に記録された画像データをユーザー端末21に転送する操作をすることで、プロセッサー21aは画像データを取得する。
【0040】
続いて、プロセッサー21aは、編集部21a4の機能により、ユーザーの操作に従って画像データを編集する(ステップS110)。例えば、ユーザーは、文字を追加したり、文字の位置や色やフォントを調整したり、写真にエフェクトをかけたりするなどして、画像データを編集する。このように、ユーザーは、ユーザー端末21のデザインアプリケーションを利用することによって、デザインがオリジナルな商品を製作するために画像データを編集することができる。
【0041】
続いて、デザインアプリケーションを利用してユーザーが仮注文を示す操作を行うと、プロセッサー21aは、送信部21a3の機能により、印刷ジョブを送信する(ステップS115)。すなわちプロセッサー21aは、サーバー10に印刷ジョブを送信する。
【0042】
印刷ジョブの送信が成功したことに応じて、プロセッサー21aは、消去部21a5の機能により、印刷ジョブを削除する(ステップS120)。すなわち、印刷ジョブがユーザー端末21から削除される。ユーザー端末21は、不特定のユーザー(店舗のカスタマー)が利用する端末であるため、仮に各ユーザーがデザインした画像がユーザー端末21に保存されたままの状態であると、他のユーザーに画像が閲覧される可能性がある。そのため、本実施形態のように、画像のデザインを終えてサーバー10に印刷ジョブを送信したことに応じてユーザー端末21から送信済みの印刷ジョブを消去することによって、ユーザー固有の情報が漏洩や流出することを防止できる。なお、画像データは、ユーザー端末21から送信後であって、少なくとも次に当該画像データにアクセスされる前にユーザー端末21から消去されるように構成されればよく、上述の印刷ジョブ送信成功が判明したトリガ以外のトリガに応じて当該画像データが削除されてもよい。
【0043】
サーバー10は、ユーザー端末21から印刷ジョブを受信すると、印刷ジョブを管理端末22に送信する(ステップS125)。なお、本実施形態においては、この際に、サーバー10のプロセッサー10aが、仮注文された印刷ジョブに対して、整理番号とパスワードを付与し、整理番号とパスワードを示す印刷データをユーザー端末21に出力する。ユーザー端末21は、レシートプリンター31に当該印刷データを出力し整理番号とパスワードが含まれるレシートを印刷させる。印刷が完了すると、レシートを示す印刷データはユーザー端末21から削除される。ユーザーはレシートプリンター31から印刷されたレシート(整理番号およびパスワードが記載されている)を受け取って受付カウンターに移動する。なお、ユーザーに整理番号とパスワードを通知することができればよいため、レシートを印刷する代わりに、ユーザーが所持する携帯端末に整理番号およびパスワードを含むメッセージを送信するように構成されてもよい。
【0044】
管理端末22のプロセッサー22aは、受信部22a1の機能により、印刷ジョブを受信する(ステップS130)。この際に、プロセッサー22aは、サーバー10から印刷ジョブとともに当該印刷ジョブの整理番号とパスワードも受信する。なお、整理番号は、後述するジョブリスト等に表示され管理者は整理番号によって印刷ジョブを識別することができる。管理端末22のプロセッサー22aは、管理者の独断ではなく、ユーザーが注文の確定に合意したことの証拠として用いるため、パスワードをディスプレイ22dに表示しない。すなわち、管理者がパスワードを把握できないように構成されている。
【0045】
続いて、プロセッサー22aは、表示部22a2の機能により、ジョブリストを表示し、ジョブリストの中から選択された印刷ジョブのプレビューを表示し(ステップS135)、指示に応じて印刷ジョブを変更する(ステップS140)。プロセッサー22aは、受信済みの印刷ジョブをリスト形式で表示する。具体的には例えば、管理者が管理端末22に対してジョブリストを表示する操作あるいはジョブリストの表示を更新する操作を行った場合に、管理端末22のディスプレイ22dにジョブリストが表示される。
【0046】
図7は、仮注文のジョブリスト画面の例を示している。仮注文した印刷ジョブのジョブリストでは、仮注文状態、すなわち、ユーザーとの合意によって注文を確定する前の印刷ジョブが列挙される。仮注文のジョブリストでは、仮注文状態の印刷ジョブの整理番号と、印刷媒体と、部数と、完成品の受け取り時刻、受付日時などが表示される。受け取り時刻は、本実施形態において、印刷予定に相当する。受け取り時刻を表示させることにより、ユーザーが完成品を受け取ることができる時刻を通知することができる。受け取り時刻は、作業スケジュール10c2に基づいて設定された時刻であり、印刷終了時刻や、後工程が必要な注文の場合は後工程終了時刻以降の時刻が設定される。
【0047】
ジョブリストの中からいずれかの印刷ジョブが選択されると、プロセッサー21aは、選択された印刷ジョブの印刷プレビューを管理端末22のディスプレイ22dに表示させる。
図8は、
図7に示すジョブリストのうち、破線で囲まれた印刷ジョブが選択された場合の注文内容確認画面の一例を示している。
図8に示すように、注文内容確認画面には、注文を識別するための整理番号g1と、注文したユーザーの氏名および電話番号と、注文された商品の印刷プレビューg2と、注文した商品を受け渡し可能な時刻を示す受け取り時刻g3と、納品数指定部g4と、在庫数g5と、編集ボタンg6と、差し戻しボタンg7と、合計金額g8と、パスワード入力部g9と、注文ボタンg10が含まれている。
【0048】
整理番号g1は、仮注文を受け付けた際に採番された番号である。印刷プレビューg2は、ユーザーがデザインした画像データをユーザーが選択した印刷媒体に印刷した場合のプレビュー画像である。プレビュー画像は、ユーザーが選択した印刷媒体の、ユーザーが選択したテンプレートが示す位置に、当該テンプレートが示すサイズおよび形状でトリミングされた画像を配置した画像である。当該画像は、ユーザーによってサイズや色調等が調整された場合はその調整が反映された状態である。また、ユーザーによって文字が追加されている場合には、プレビュー画像では、テンプレートで決められた位置あるいはユーザーが指定した位置に文字が配置された状態である。
【0049】
受け取り時刻g3は、
図7において表示された時刻と同一であり、上述したように作業スケジュール10c2に基づいて設定された時刻である。管理者はユーザーと相談し注文数を変更した場合等は、受け取り時刻も変更されうる。
【0050】
納品数指定部g4には、ユーザーが仮注文の際に指定した注文数が表示される。管理者はユーザーに注文数を再度確認し、必要があれば納品数指定部g4にて変更することができる。なお注文内容確認画面において、プロセッサー22aは、表示部22a2の機能により、印刷媒体の在庫状況を示す在庫数g5を印刷プレビューとともに表示させる。在庫数g5は、印刷プレビューg2に示す印刷媒体の在庫数であり、在庫データ10c3が参照されて表示される。受け取り時刻g3及び在庫数g5を表示することにより、管理者は受け取り時刻及び印刷媒体の在庫数を把握することができ、例えば注文数を変更する際に参考にすることができる。
【0051】
編集ボタンg6は、ユーザーによってユーザー端末21にて一旦デザインがフィックスした画像(すなわち仮注文されたデザインを示す画像)を管理端末22にて再び編集するためのボタンである。すなわち、プロセッサー22aは、変更部22a3の機能により、ユーザー端末21で既に編集された画像データをさらに編集することができる。編集ボタンg6が選択されると、プロセッサー22aは、管理端末22のディスプレイ22dに、編集画面(不図示)を表示する。編集画面で、管理者はユーザーと相談しながら画像データを編集することができる。例えば、印刷媒体が胸ポケットを有するTシャツである場合であって、ポケットの位置に画像の要部が重なっている場合に、管理者はそのことをユーザーに伝え、必要があれば管理端末22において画像の要部がポケットと重ならないように画像の配置をずらすこと等を行うことができる。編集画面にて編集が行われるとプロセッサー22aは、編集された内容で印刷ジョブの画像データを更新する。編集を終了する操作がなされた場合、プロセッサー22aは、ディスプレイ22dの表示を編集画面(不図示)から
図8の注文内容確認画面に戻す。
【0052】
図6のシーケンスのステップS140では、以上のように、仮注文された印刷ジョブの内容を、管理者がユーザーと相談しながら変更することができる。なお、仮注文の印刷ジョブの内容を管理端末22にて変更する必要がない場合は、ステップS140は省略される。
図8の注文内容確認画面において、差し戻しボタンg7は、ユーザーによってユーザー端末21にて一旦デザインがフィックスした画像を再びユーザー端末21に送り返し、ユーザー端末21にてユーザーに再編集させるためのボタンである。差し戻しのシーケンスについては後述する。合計金額g8は、例えば同一ユーザーによる仮注文中の商品の合計金額を示している。
【0053】
図8において、パスワード入力部g9は、仮注文を確定して本注文する際のパスワードを入力する入力部である。当該パスワードは、仮注文の際にユーザーにレシート等で通知されており、ユーザーは把握しているが管理者は把握していない情報である。注文ボタンg10は、仮注文を確定し本注文するためのボタンである。
【0054】
図6のシーケンスのステップS140にて印刷ジョブについて様々な変更をした後(変更の必要がない場合はステップS135を終了後)、管理者は、確定操作を行う。本実施形態において、プロセッサー22aは、確定部22a4の機能により、ユーザーのパスワードの入力を条件に注文を確定する。すなわち、管理者は、ユーザーにパスワードをパスワード入力部g9に入力させ、管理者またはユーザーが注文ボタンg10を操作する。プロセッサー22aは、仮注文の整理番号と対応付けられたパスワードと、パスワード入力部g9に入力されたパスワードとを照合し、両者が一致している場合にユーザーと管理者との合意が得られたと判断し、注文を確定する(ステップS145)。注文を確定するとプロセッサー22aは、確定した注文内容を示す印刷ジョブをサーバー10に送信する。
【0055】
また、管理端末22は、確定した注文内容を示す注文票を生成し、ドキュメントプリンター32に送信して印刷させる。管理者はユーザーに注文票を渡しユーザーは注文票を所持する。注文票は、例えば、商品の受け取り時にユーザーが商品の受け渡しカウンターで店舗スタッフに提示し、スタッフがユーザーと商品とを照合するため等に利用可能である。
【0056】
サーバー10は、確定した印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブの印刷指示を印刷ジョブ管理端末23に送信する(ステップS150)。また、サーバー10は、確定した印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブのステータスを確定済みに更新する。確定済みの印刷ジョブは、
図7に示す確定案件のタブを選択することで表示される画面で、リスト形式で提示される。確定済みの印刷ジョブは、ジョブ毎に進捗情報が提示される(例えば、作業前、前工程実施中、印刷中、等)。
【0057】
印刷ジョブ管理端末23のプロセッサーは、サーバー10から印刷ジョブの印刷指示を受信すると、印刷ジョブが示す印刷媒体の種類に応じたプリンターを選択し、選択したプリンターに対応するアプリケーションやプリンタードライバーがインストールされた印刷作業端末24に、印刷ジョブの印刷指示を送信する(ステップS155)。
【0058】
印刷作業端末24が印刷指示を受信すると、印刷作業者が印刷作業端末24を操作して、印刷ジョブに対応するプリンター33に対して印刷指示を送信する(ステップS160)。なお、印刷作業者は、サーバー10に記録されている作業スケジュール10c2を参照し、作業スケジュール10c2に設定されている作業時間帯に印刷ジョブの印刷に関する作業(印刷前工程、印刷工程、印刷後工程等)を行う。印刷作業者は、印刷前工程が必要な印刷ジョブの場合は、印刷前工程を行った後、プリンターに印刷媒体をセットし印刷指示を印刷作業端末24に入力する。印刷作業端末24は、印刷ジョブが示す画像データを印刷設定に基づいてプリンターでの印刷に適した形式の印刷データに変換し、印刷データとともに印刷指示をプリンターに送信する。
【0059】
印刷指示を受信したプリンター33は、受信した印刷データに基づいて印刷を実行する(ステップS165)。プリンター33は、印刷が終了すると、印刷終了した旨を、印刷作業端末24,印刷ジョブ管理端末23を経由してサーバー10に通知する。後工程が必要な印刷ジョブの場合、印刷作業者は、印刷後の印刷媒体に後工程を行って注文品を完成させる。管理者は、完成した商品を、受け取り時刻頃に、ユーザーに引き渡すことができる。ユーザーに商品を受け渡すと、管理者は、例えば管理端末22を操作して、当該商品を示す注文番号の印刷ジョブのステータスを受け渡し済みに更新する。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザーがユーザー端末21にてデザインを行って一旦仮注文した印刷ジョブを、管理者が管理端末22でユーザーと相談しながら変更することができる。例えば、注文受付時に、管理者が印刷時の確認事項や懸念点(例えば胸ポケットのあるTシャツの生地厚みによる弊害や、スマートフォンケースのカメラレンズ用の開口部の位置など)をユーザーに伝えると、それに対して顧客がデザインの一部変更を希望する可能性がある。このような場合に、その場でユーザーと管理者がコミュニケーションをとりつつデザインを変更し、またその内容について合意をとることができる。その結果、ユーザーが注文した印刷物がユーザーのイメージ通りでない可能性を低減できる。
【0061】
なお、一旦印刷ジョブを、サーバー10を経由して管理端末22に送信した後、ユーザー端末21にて画像データを再編集することもできるように構成されている。
図9は、
図6のステップS135まで実行した後に、管理端末22から印刷ジョブをユーザー端末21に差し戻してユーザー端末21にて印刷ジョブの再編集を行う場合のシーケンス図である。
図9に示すように、ステップS135で管理端末22にて印刷プレビューg2を含む注文内容確認画面(
図8)が表示された後、差し戻しボタンg7が操作されると、管理端末22のプロセッサー22aは、差し戻し部22a6の機能により、印刷ジョブをユーザー端末21に差し戻す(ステップS200)。すなわち、管理端末22のプロセッサー22aは、印刷ジョブをサーバー10に送信する。ユーザー端末21が複数存在する場合は、この際に、プロセッサー22aは、差し戻す先のユーザー端末21の識別情報とともに、印刷ジョブを送信する。サーバー10のプロセッサー10aは管理端末22から差し戻された印刷ジョブを、差し戻し先として指定されたユーザー端末21に送信する。このようにすることによって、ユーザーが編集作業を行うユーザー端末21に対して印刷ジョブを送信し、別のユーザー端末21には当該印刷ジョブを送信しないようにすることができる。
【0062】
ユーザー端末21では、ステップS115でサーバー10に印刷ジョブを送信するとユーザー端末21から印刷ジョブを削除するように構成されているため、サーバー10から印刷ジョブが差し戻されたことにより、再びユーザー端末21にて印刷ジョブの画像データの編集が可能となる。サーバー10から印刷ジョブを受信すると、ユーザー端末21のプロセッサー21aは、編集部21a4の機能により、差し戻された印刷ジョブを編集する(ステップS110)。ステップS110以降は、
図6のように管理端末22にて再編集された後印刷ジョブの印刷が確定され、印刷が実行されてもよいし、管理端末22での再編集(ステップS140)を経ずに印刷ジョブの印刷が確定され、印刷が実行されてもよい。あるいは、
図9のようにユーザー端末21に再び差し戻すことも可能である。このように、一旦仮注文をして印刷ジョブをサーバー10に送信した後、再びユーザー端末21にて印刷ジョブを編集することができるように構成することにより、例えば管理者の助言等によって画像データをユーザーが大幅に変更したい場合に、受付カウンターではなくユーザー端末21で時間をかけて編集をやり直す機会をユーザーに与えることができる。
【0063】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上記実施形態で示したプリンターの種類は、一例に過ぎず、他にも様々な媒体への印刷を行うことができるプリンターが採用されてもよい。例えば、マグカップや缶バッチ、スマートフォンケース等への印刷は、昇華転写方式の他に、ロボットアーム等で立体物に直接印刷するプリンターが採用されてもよい。
【0064】
管理端末22とユーザー端末21とは、サーバー10を介さずに直接印刷ジョブ等の情報を送受信するように構成されてもよい。また、印刷ジョブ管理端末23や印刷作業端末24は1台の端末で構成されてもよいし、省略されてもよい(管理端末22から直接プリンター33に印刷ジョブが送信されてもよいし、サーバー10からプリンター33に直接印刷ジョブが送信されてもよい)。また、管理者がユーザーからの印刷ジョブを特定できるのであれば、整理番号を使わなくてもよく、例えば、管理端末22とユーザー端末21とが一対一で対応していて、管理端末22は対応するユーザー端末21から送信された印刷ジョブのみが表示されるようにしてもよい。
【0065】
端末やプリンターはユーザーが来店する店舗に設置されない構成も想定してよい。端末は店舗に設置され、プリンターは印刷業者の印刷施設に設置され、印刷物は印刷施設から依頼者の元へ配達されてもよい。また、端末は店舗に設置されなくてもよく、可搬型の端末で様々な場所から、注文や、印刷データの編集や、最終的な印刷指示をユーザーが行うことができるように構成されてもよい。
【0066】
印刷ジョブの印刷予定は、完成品の受け取り時刻で表されても良いし、最終的な受け取り時刻以外の各工程の予定を含んでいてもよい。また、受け取り時刻は、ユーザーとの相談によって、例えば商品の完成時刻以降の時刻に変更可能に構成されてもよい。こうすることで、ユーザーが店舗から外出し、商品受け取りのために店舗に戻るおおよその時刻を受け取り時刻とすることもできる。なおこのような場合、プリンターなどのスケジュールの空き状況によっては、当該ユーザーの注文よりも後で注文が確定した他のユーザーの商品の生産を、先に注文が確定したユーザーの商品よりも先に生産する等を行うこともできる。
【0067】
管理端末は、確定した印刷に基づいた費用請求をPOS(Point Of Sale)システムに行わせる請求部22a5をさらに備える構成であってもよい。すなわち、印刷システムは、POSシステム(不図示)と通信可能に構成されており、確定した商品の単価や個数等の請求代金を示す情報を請求部22a5がPOS端末に送信し、POSシステムが代金の決済を行うように構成されてもよい。
【0068】
確定部は、様々な方法でユーザーと管理者が合意したかどうかを判断してもよい。例えば確定部は、管理者を信頼してパスワードなしで管理端末22で注文確定を示す操作が行われたことで合意が成立したと判断して印刷を確定するように構成されてもよい。或いは、確定部は、ユーザー端末で注文確定を示す操作が行われたことを条件に合意が成立したと判断して印刷を確定するように構成されてもよい。具体的には、印刷ジョブ10c1をユーザー端末21から管理端末22に送信後、ユーザー端末21では、管理端末22に表示される画面と同様の画面が表示されるように構成され、管理者とユーザーとがそれぞれの端末を見ながら注文内容の確認を行うことができるように構成されてもよい。注文を確定する場合、ユーザーはユーザー端末21にて注文確定を示す操作を行い、管理者は管理端末22で注文確定を示す操作を行う。サーバー10は、両端末で注文確定操作が行われた場合に、ユーザーと管理者との合意があったと判断し注文を確定する。なおこの場合、印刷ジョブ10c1は、注文が確定後にユーザー端末21から消去されるように構成されてもよい。
【0069】
なお、確定部がユーザーによるパスワードの入力を条件に印刷を確定する場合、当該パスワードは、少なくとも、ユーザーが把握しており管理者が把握していないものであればよい。そのため、上記実施形態のように、仮注文の度に印刷ジョブに対応付けて印刷システム側で生成してユーザーに通知する構成以外に、例えば、ユーザーが印刷サービスの会員登録をした際にユーザーが指定したパスワード等を、ユーザーが注文の確定に合意したことの証拠として用いる構成が採用されてもよい。また、上記実施形態では、パスワードの照合は管理端末22で行われる例を挙げたが、パスワードの照合はサーバー10で行われ、管理端末22には照合結果が送信されるように構成されても良い。
管理端末22の変更部は、デザインの変更と印刷数の変更との両方を変更できるものに限られない。例えば、印刷自体を取りやめることができてもよいし、印刷数のみ変更できてもよい。管理端末22の変更部がデザインの変更をできない場合は、ユーザー端末21に差し戻すことで、ユーザー端末21を用いて変更をさせるようにしてもよい。
【0070】
本発明は、ユーザー端末21を、特定部21a1、取得部21a2、送信部21a3、として機能させ、管理端末22を、受信部22a1、表示部22a2、変更部22a3、確定部22a4、として機能させ、プリンター33を、印刷部として機能させる印刷制御プログラムの発明としても成立する。
【0071】
また、本発明は、ユーザー端末が、ユーザーに印刷媒体を特定させ、画像データを取得し、ユーザーが特定した印刷媒体と画像データとを含む印刷ジョブを管理端末に送信し、管理端末が、印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブのリストを選択可能に表示させ、選択された印刷ジョブに含まれる印刷媒体と画像データとに基づいた印刷プレビューを表示させ、印刷ジョブを指示に応じて変更し、ユーザーと管理者との合意をもって印刷ジョブに基づく印刷の実行を確定し、プリンターが、確定した印刷ジョブに基づいた印刷を行う、ことを含む印刷物の生産方法の発明としても成立する。
【0072】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…印刷システム、10…サーバー、10a…プロセッサー、10b…通信部、10c…不揮発性メモリー、10c1…印刷ジョブ、10c2…作業スケジュール、10c3…在庫データ、20…端末、21…ユーザー端末、21a…プロセッサー、21a1…特定部、21a2…取得部、21a3…送信部、21a4…編集部、21a5…消去部、21b…通信部、21c…不揮発性メモリー、21d…ディスプレイ、21e…入力部、22…管理端末、22a…プロセッサー、22a1…受信部、22a2…表示部、22a3…変更部、22a4…確定部、22a5…請求部、22a6…差し戻し部、22d…ディスプレイ、23…印刷ジョブ管理端末、24…印刷作業端末、30…プリンター、30a…プロセッサー、30b…通信部、30c…不揮発性メモリー、30d…印刷部、30e…UI部、31…レシートプリンター、32…ドキュメントプリンター、33…プリンター