(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064537
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】更新管理装置、車載システム、制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20240507BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173192
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本山 誠
(72)【発明者】
【氏名】後呂 翔太
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA05
5B376CA27
5B376CA36
5B376CA43
5B376GA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ソフトウェアの更新、アクティベートに関する待ち時間が短縮される更新管理装置を提供する。
【解決手段】車載システムが搭載する更新管理ECUは、複数の車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置であって、受信部と判定部と送信部と、を備える。受信部は、第1電源状態及び第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、第1電源状態では動作せず第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、車両の外部装置から受信する。判定部は、車両の電源状態が第1電源状態であるか第2電源状態であるかを判定する。送信部は、判定部によって車両の電源状態が第1電源状態であると判定されたとき、第1更新データを第1車載装置へ送信し、判定部によって車両の電源状態が第2電源状態であると判定されたとき、第2更新データを第2車載装置へ送信する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置であって、
前記複数の電源状態は第1電源状態と前記第1電源状態とは異なる第2電源状態とを含み、前記第1電源状態及び前記第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信部と、
前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定部と、
前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信し、
前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する送信部と、
を備える、
更新管理装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記電源状態が前記第1電源状態である間に、前記第1更新データ及び前記第2更新データを前記外部装置から受信する、
請求項1に記載の更新管理装置。
【請求項3】
前記更新管理装置はさらに、
前記判定部によって前記電源状態が前記第1状態であると判定されたとき、所定の第1機能を前記第2車載装置なしに実行する前記第1車載装置に、前記第1更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、
前記判定部によって前記電源状態が前記第2状態であると判定されたとき、所定の第2機能を前記第1車載装置と前記第2車載装置とによって実行する前記第1車載装置と前記第2車載装置とに、前記第1更新データ及び前記第2更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせるアクティベート部とを備える、
る請求項1に記載の更新管理装置。
【請求項4】
前記更新管理装置は、
前記第1車載装置及び前記第2車載装置が接続された前記更新管理装置に新たに第3車載装置が接続されたときに、前記受信部は前記第3車載装置のソフトウェアを更新するための第3更新データを前記車両の外部装置から受信し、
前記第3車載装置が前記第1電源状態及び前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記送信部は前記第3更新データを前記第3車載装置へ送信し、
前記第3車載装置が前記第1電源状態において動作せず、前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記送信部は前記第3更新データを前記第3車載装置へ送信する、
請求項1に記載の更新管理装置。
【請求項5】
前記受信部は、前記電源状態が前記第1電源状態である間に、前記第1更新データ、前記第2更新データ、及び前記第3更新データを外部装置から受信する、
請求項4に記載の更新管理装置。
【請求項6】
前記アクティベート部は、
前記第3車載装置が前記第1電源状態及び前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記電源状態が前記第1状態であると判定されたとき、所定の第3機能を前記第2車載装置なしに前記第1車載装置と実行する前記第3車載装置に、前記第3更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記第3機能を実行する前記第1車載装置に、前記第1更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、
前記第3車載装置が前記第1電源状態において動作せず、前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記電源状態が前記第2状態であると判定されたとき、所定の第4機能を前記第2車載装置と実行する前記第3車載装置に、前記第3更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記第4機能を実行する前記第2車載装置に、前記第2更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせる、
請求項4に記載の更新管理装置。
【請求項7】
前記第1電源状態は、前記車両が走行することができない状態にあるときの電源状態であり、前記第2電源状態は、前記車両が走行することができる状態にあるときの電源状態である、請求項1に記載の更新管理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の前記更新管理装置と、
前記更新管理装置に接続されている前記第1車載装置、前記第2車載装置、または前記第3車載装置と、を備える車載システム。
【請求項9】
複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置の制御方法であって、
前記複数の電源状態は第1電源状態と前記第1電源状態とは異なる第2電源状態とを含み、前記第1電源状態及び前記第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信ステップと、
前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定された場合に、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する第1送信ステップと、
前記判定ステップによって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定された場合に、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する第2送信ステップと、
を備える、
更新管理装置の制御方法。
【請求項10】
複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記複数の電源状態は第1電源状態と前記第1電源状態とは異なる第2電源状態とを含み、前記第1電源状態及び前記第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信ステップと、
前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定された場合に、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する第1送信ステップと、
前記判定ステップによって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定された場合に、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する第2送信ステップとを備える、
更新管理装置を制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、更新管理装置、車載システム、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載され、複数のECU(Electronic Control Unit)が接続されている車載装置が知られている。近年、車両の電源が複雑化し、その電源状態は多様化されてきた。また、駐車支援システム等の車両制御の多様化に伴い、ECUに搭載されるソフトウェアの更新機会も増加している。
【0003】
特許文献1には、複数のECUが接続されたCGW(Central Gate Way)が開示されている。特許文献1のCGWは電源状態を監視し、ECUのソフトウェアの更新、アクティベート中は、電源を管理する電源管理ECUにその電源状態を維持させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ECUのソフトウェアの更新、アクティベートを行うためには、車両の電源状態が対象のECUが動作する電源状態である必要がある。このため当該ECUが必要とする電源状態になった後に、ECUの更新、アクティベートが開始される。特に、車両を走行可能にさせるキースイッチが走行可能の位置にされた後に、更新対象のECUが動作可能になる場合には、車両が走行可能になる時間が長くなるおそれがある。
【0006】
かかる課題に鑑み、本開示は、ソフトウェアの更新、アクティベートに関する待ち時間が短縮される更新管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の更新管理装置は、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置であって、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信部と、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定部と、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信し、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する送信部と、を備える更新管理装置である。
【0008】
本開示の制御方法は、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置の制御方法であって、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信ステップと、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定された場合に、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する第1送信ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定された場合に、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する第2送信ステップと、を備える制御方法である。
【0009】
本開示のコンピュータプログラムは、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信ステップと、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定された場合に、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する第1送信ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定された場合に、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する第2送信ステップとを備える、更新管理装置を制御するためのコンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1に係る車載システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る更新管理ECUの内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係るECUの内部構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る更新管理ECUの機能ブロック図である。
【
図5】ECUをリストアップしたECUテーブルの一例を示す表である。
【
図6】ECUをリストアップしたECUテーブルの一例を示す表である。
【
図7】実施形態1に係る制御方法を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態1に係る車載システムのシーケンス図である。
【
図9】実施形態1に係る車載システムのシーケンス図である。
【
図10】後付けECUを検知した場合の実施形態2に係る制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態には、その要旨として、以下の構成が含まれる。
【0012】
(1)本開示の更新管理装置は、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置であって、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信部と、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定部と、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信し、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する送信部と、を備える更新管理装置である。
【0013】
車両の電源状態に応じて、更新管理装置は、当該電源状態においてソフトウェアが更新可能な車載装置に更新データを送る。これにより、電源状態に応じ適切な時期に車載装置のソフトウェアが順次更新され、車両が走行可能になる時間が短縮される。
【0014】
(2)前記受信部は、前記電源状態が前記第1電源状態である間に、前記第1更新データ及び前記第2更新データを前記外部装置から受信してもよい。
【0015】
このように構成することで、更新管理装置は、予め更新データを外部装置から受信することができる。これにより、より早期に更新データがダウンロードされ、車両が走行可能になる時間が短縮される。
【0016】
(3)前記更新管理装置はさらに、前記判定部によって前記電源状態が前記第1状態であると判定されたとき、所定の第1機能を前記第2車載装置なしに実行する前記第1車載装置に、前記第1更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記判定部によって前記電源状態が前記第2状態であると判定されたとき、所定の第2機能を前記第1車載装置と前記第2車載装置とによって実行する前記第1車載装置と前記第2車載装置とに、前記第1更新データ及び前記第2更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせるアクティベート部と、を備えてもよい。
【0017】
所定の機能を実行する一群の車載装置が動作する電源状態で、更新管理装置は、当該一群の車載装置に、ソフトウェアをアクティベートさせる。異なる電源状態で動作する車載装置を含む一群の車載装置は、齟齬なく所定の機能を実行することができる。
【0018】
(4)前記更新管理装置は、前記第1車載装置及び前記第2車載装置が接続された前記更新管理装置に新たに第3車載装置が接続されたときに、前記受信部は前記第3車載装置のソフトウェアを更新するための第3更新データを前記車両の外部装置から受信し、前記第3車載装置が前記第1電源状態及び前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記送信部は前記第3更新データを前記第3車載装置へ送信し、前記第3車載装置が前記第1電源状態において動作せず、前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記送信部は前記第3更新データを前記第3車載装置へ送信してもよい。
【0019】
更新管理装置に新たな第3車載装置が接続された場合、第3車載装置が動作可能な電源状態において、第3車載装置に第3更新データを送信する。これにより、新たに追加された第3車載装置を適切なタイミングで更新することができる。
【0020】
(5)前記受信部は、前記電源状態が前記第1電源状態である間に、前記第1更新データ、前記第2更新データ、及び前記第3更新データを外部装置から受信してもよい。
【0021】
このように構成することで、第1電源状態において更新管理装置に第3更新データがダウンロードされるため、例えば第3車載装置が第1電源状態では動作せず第2電源状態で動作する場合には、第2電源状態に移行してから第3更新データをダウンロードする必要がなく、第3車載装置の更新を効率的に行うことができる。
【0022】
(6)前記アクティベート部は、前記第3車載装置が前記第1電源状態及び前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記電源状態が前記第1状態であると判定されたとき、所定の第3機能を前記第2車載装置なしに前記第1車載装置と実行する前記第3車載装置に、前記第3更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記第3機能を実行する前記第1車載装置に、前記第1更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記第3車載装置が前記第1電源状態において動作せず、前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記電源状態が前記第2状態であると判定されたとき、所定の第4機能を前記第2車載装置と実行する前記第3車載装置に、前記第3更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記第4機能を実行する前記第2車載装置に、前記第2更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせてもよい。
【0023】
このように構成することで、新たな車載装置が接続された場合であっても、所定の機能を実行する一群の車載装置が動作する電源状態で、更新管理装置は、当該一群の車載装置を、アクティベートさせる。これにより、新たな車載装置が接続された場合であっても、異なる電源状態で動作する車載装置を含む一群の車載装置は齟齬なく所定の機能を実行することができる。
【0024】
(7)前記第1電源状態は、前記車両が走行することができない状態にあるときの電源状態であり、前記第2電源状態は、前記車両が走行することができる状態にあるときの電源状態であってよい。
【0025】
このように構成することで、車両が走行することできない状態にあるときの電源状態の間に、ソフトウェアの更新をすることができる車載装置については、更新管理装置は、車載装置に更新をさせる。一方車両が走行できる状態にあるときの電源状態でなければ、ソフトウェアの更新をすることができない車載装置については、車両が走行可能な状態になったときに、更新管理装置は、車載装置にソフトウェアの更新、をさせる。これにより、車両が走行可能になる時間が短縮される。また、所定の機能を実行する一群の車載装置は、齟齬なく所定の機能を実行することができる。
【0026】
(8)本開示の車載システムは、前記(1)から前記(7)のいずれかの更新管理装置と、前記更新管理装置に接続されている前記第1車載装置、前記第2車載装置、または前記第3車載装置とを備える、車載システムである。
【0027】
(9)本開示の制御方法は、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置の制御方法であって、 第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信ステップと、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定された場合に、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する第1送信ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定された場合に、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する第2送信ステップと、を備える、制御方法である。
【0028】
車両の電源状態に応じて、更新管理装置は、当該電源状態においてソフトウェアが更新可能な車載装置に更新データを送る。これにより、電源状態に応じ適切な時期に車載装置のソフトウェアが順次更新され、車両が走行可能になる時間が短縮される。
【0029】
(10)本開示のコンピュータプログラムは、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する受信ステップと、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する判定ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定された場合に、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する第1送信ステップと、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定された場合に、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する第2送信ステップとを備える、更新管理装置を制御するためのコンピュータプログラムである。
【0030】
車両の電源状態に応じて、更新管理装置は、当該電源状態においてソフトウェアが更新可能な車載装置に更新データを送る。これにより、電源状態に応じ適切な時期に車載装置のソフトウェアが順次更新され、車両が走行可能になる時間が短縮される。
【0031】
<実施形態1>
[1.本開示の実施形態1の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態1の詳細を説明する。
【0032】
[1.1 車載システムの構成]
図1は、実施形態1に係る車載システム1の構成例を示す図である。
車載システム1は、自動車等の車両に搭載されているシステムである。車載システム1は、更新管理ECU11、第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14、通信バス16a、16b、及び通信装置15を備える。
【0033】
更新管理ECU11(ECU:Electronic Control Unit)は、複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する更新管理装置である。複数の電源状態は、少なくとも第1電源状態と第2電源状態とである。第1電源状態は、例えば、車両が走行することができない状態にあるときの電源状態であり、前記第2電源状態は、前記車両が走行することができる状態にあるときの電源状態である。
第1電源状態は、例えば、鍵を挿入してエンジンを始動させるキースイッチのOFFポジションのときの電源状態である。具体的には、例えば第1電源状態は、車両のバッテリから大半の車両内の電気機器には電力は供給されないが、必要最小限の車載装置にのみ電力が直接供給される状態である。少数の電気機器としては、例えば、防犯システム、時計等である。以降、第1電源状態を+B状態と称する場合がある。
第2電源状態は、例えば、エンジンを始動させるキースイッチがイグニッションポジションのときの電源状態である。具体的には、例えば第2電源状態は、すべての電気機器に電力が供給され、アクセルを踏めば車両が走行を始める状態である。以降、第2電源状態をIG状態と称する場合がある。
なお、車両の電源状態として第1電源状態と第2電源状態の2種類の場合で説明するが、これに限定されず、さらに細分化されていてもよい。また、車載装置をECUと称する場合がある。
【0034】
更新管理ECU11は複数の電源状態を有する車両において車載装置のソフトウェア更新を管理する。このため、更新管理ECU11は、ソフトウェアの更新を行う電源状態では動作するように構成される。例えば更新管理ECU11は+B状態及びIG状態で動作可能である。
【0035】
更新管理ECU11は、例えば、第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14を管理する統合ECUとして機能する。更新管理ECU11は、例えばネットワーク3を介して接続する車両外の外部装置であるサーバ2サーバ2からダウンロードされる更新データを第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14に送信してもよい。
【0036】
更新管理ECU11は、第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14と、通信装置15の間で送受信されるデータを中継するGW-ECU(Gateway-ECU)として機能してもよい。更新管理ECU11の内部構成については、後述する。
【0037】
通信装置15は、例えば無線通信を行う通信インターフェースである。通信装置15は、例えばインターネット等のネットワーク3を介してサーバ2と通信を行う。通信装置15は、具体的には、TCU(Telematics Communication Unit)である。ネットワーク3を介して通信装置15は、更新管理ECU11から出力されるデータを、サーバ2に送信する。また、通信装置15は、サーバ2からネットワーク3を介して送信されるデータ(更新データ等)を受信する。通信バス16bを介して、通信装置15は更新管理ECU11へ当該データを送信する。
【0038】
サーバ2は、車両の外部に設置されている装置である。サーバ2は、例えば、制御部、記憶部及び通信部(図示せず)を備えるサーバである。サーバ2の記憶部は、例えば、車載システム1の各部(例えば、更新管理ECU11、第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14)を制御するためのプログラム又はデータを記憶する。例えば第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14の製造者は、必要に応じて当該プログラム又はデータを更新し、更新されたプログラム又はデータを随時、サーバ2の記憶部に格納する。サーバ2の制御部は通信部を用いて、更新されたプログラム又はデータを、更新データとして更新管理ECU11に送信する。
【0039】
通信バス16a、16bは、更新管理ECU11に接続されている車両内通信ネットワークである。更新管理ECU11から延びた通信バス16a、16bには、各種の機器(第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14、及び通信装置15等)がそれぞれ接続されている。
図1の例では、2本の通信バス16a、16bが更新管理ECU11から延びているが、通信バスの本数は特に限定されない。通信バス16a、16bは、例えばCAN(Controller Area Network)、Ethernet(登録商標)、又はFlexRay(登録商標)の通信プロトコルに準拠しているが、これに限定されるものではない。
【0040】
通信バス16aを介して、更新管理ECU11は第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14に接続されている。
図1の例では、通信バス16aを介して、更新管理ECU11は第1ECU12、第2ECU13、第3ECU14に接続されている。
【0041】
車載システム1に含まれるECUの個数は、2個以上であれば特に限定されない。ECUは、例えば車両の各部(例えば、制動装置、ドア、バッテリ、エアコンディショナ等)を制御する装置(操作系ECU)である。ECUの機能は特に限定されず、ECUは、センサと通信して、車両の各部の状態を監視する装置(認知系ECU)であってもよい。複数のECUは、それぞれ異なる機能を有してもよいし、それぞれ同じ機能を有してもよい。
【0042】
第1ECU12は、+B状態及びIG状態で動作するECUである。第1ECU12の内部構成については、後述する。なお、+B状態及びIG状態で動作するECUを+B駆動ECUと呼ぶ場合がある。
【0043】
第2ECU13は、+B状態では動作しないが、IG状態では動作するECUである。第2ECU13の内部構成については後述する。なお、+B状態では動作しないが、IG状態では動作するECUをIG駆動ECUと呼ぶ場合がある。
【0044】
第3ECU14は、当初は接続されていなかったが、新に更新管理ECU11に接続されたECUである。第3ECU14の内部構成については後述する。
【0045】
[1.2 更新管理ECU11の内部構成]
図2は、更新管理ECU11の内部構成の一例を示す図である。
更新管理ECU11は、制御部22及び記憶部23を含む情報処理部21と、複数のトランシーバ25a、25bと、を有する。これら各部は、内部バス24によって電気的に接続されている。
【0046】
制御部22は、例えば、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)を含むが、これに限定されるものではない。CPUの場合、制御部22は、記憶部23に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0047】
記憶部23は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有し、各種のデータを記憶する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。当該不揮発性メモリの一部は、更新管理ECU11の外に設けられていてもよい。
【0048】
記憶部23は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム、各種のパラメータ、表を記憶している。なお、記憶部23は、例えばサーバ2からネットワーク3及び通信装置15を介してダウンロードされるコンピュータプログラム、各種のパラメータ、表を記憶する。
【0049】
それぞれポート(図示省略)を介して複数のトランシーバ25a、25bは、通信バス16a、16bを流れる信号を、送受信する。内部バス24を介しトランシーバ25a、25bは、受信した信号が含む情報を制御部22に送る。トランシーバ25a、25bは制御部22が内部バス24を介して送った情報を受け取り、通信バス16a、16bに送信する。トランシーバ25aは通信バス16bに接続され、トランシーバ25bは通信バス16aに接続されている。
【0050】
なお、上記では、情報処理部21の制御部22がCPUを含む例で説明したが、これに限定されるものではない。例えば、情報処理部21はFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。FPGAの場合、あらかじめプログラムされた構成により、情報処理部21は各種の演算及び制御を実行する。ASICの場合、製造時に作り込まれた構成により、情報処理部21は各種の演算及び制御を実行する。
【0051】
[1.3 ECUの内部構成]
図3は、第1ECU12の内部構成の一例を示す図である。第2ECU13、第3ECU14の内部構成は、第1ECU12と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
第1ECU12は、制御部32及び記憶部33を含む情報処理部31、トランシーバ37、入力部35,と出力部36と、を含む。内部バス34を介してトランシーバ37は情報処理部31に電気的に接続されている。
【0053】
制御部32は、例えば、記憶部33に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0054】
記憶部33は、記憶部23と同様に、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有し、各種のデータを記憶する。記憶部33は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム、各種のパラメータ、表を記憶している。
【0055】
トランシーバ37は、例えば集積回路(IC)で構成され、例えばCANトランシーバである。トランシーバ37は、通信バス16aに接続されており、通信バス16aから各種の制御メッセージを受信する。
【0056】
トランシーバ37は、送信回路及び受信回路(図示せず)を含む。送信回路及び受信回路は、通信バス16aの通信プロトコルに準拠して、通信を行う。送信回路は、情報処理部31が出力するデジタル信号のデータを所定のアナログ信号に変換して、通信バス16aに送出する。受信回路は、通信バス16aから入力されたアナログ信号を情報処理部31が読取り可能なデジタル信号に変換し、情報処理部31に当該デジタル信号を出力する。
【0057】
入力部35は、例えばセンサ、入力デバイス等が接続される。入力部35は、車両の状態に対応した信号、運転者等の指示に対応した信号を受け取る。センサは、例えば、車内の温度を検知する温度センサ、ドアが閉じられていることを検知するドアスイッチ等である。入力デバイスは、例えば、エアコンを動作させるためのスイッチ等である。
【0058】
出力部36は、例えばモータ、ソレノイド等が接続される。出力部36は情報処理部31が送りだす情報に基づき、接続されたモータ、ソレノイド等を駆動する。当該情報は、例えば、接続されたモータ等の動きを示す情報である。モータは、例えば、ドアのウインドウを上下させるモータである。ソレノイドは、例えば、ドアをロックするソレノイドである。
【0059】
[1.4 本実施形態が解決しようとする課題]
ソフトウェアの更新が行われたECUと、更新が行われなかったECUとが混在すると、当該ECU間の通信で齟齬が生じるおそれがあった。このため、すべてのECUが動作する電源状態、例えばIG状態でソフトウェアの更新が行われていた。このような場合、車両の運転者が、エンジンを始動させるキースイッチをイグニッションポジションにしたときからソフトウェアの更新が始まり、車両が走行可能になるまでの時間が長くなるおそれがあった。また、ソフトウェアの更新が必要、不要にかかわらず、すべてのECUが動作する電源状態で更新が行われるため、ソフトウェアの更新の必要がないECUにも電力が供給され、消費電力が増加するおそれがあった。
【0060】
また、例えばIG状態で各ECUのソフトウェアの更新が行われた場合に、各ECUのソフトウェア更新完了のタイミングは、ECU毎に異なる場合がある。ソフトウェアが更新されたのち速やかに、ECUがアクティベートされた場合、複数のECUが連携して動作する機能が実行されないおそれがあった。例えば、アクティベートが終わったECUが、まだアクティベートが行われていないECUに命令を送った場合に、まだアクティベートが終わっていないECUが当該命令を理解できないため、当該機能が実行されないおそれがあった。
【0061】
例えば、雨天時のパワーウィンドウ制御機能の場合には、パワーウィンドウを制御するドアECU、雨滴を検知するレインセンサECU、及びレインセンサECUの情報を取得しドアECUに窓を閉める制御を送信するBCM(Body Cotrol Module)が連携して雨天時のパワーウィンドウ制御機能を実行する。例えば従前よりもレインセンサの雨量感度が向上し、パワーウィンドウを閉める基準雨量を変え、プログラム更新をする場合に、レインセンサECUのソフトウェアは更新されたのに、BCMのソフトウェアは更新されないような状況が予想される。このような状況では、雨が降っているのにドアウィンドウは開いたままといった齟齬が生じるおそれがあった。
【0062】
以下、車載システム1における具体的な制御内容について、
図1から
図6を適宜参照し説明する。
【0063】
・ 5 更新管理装置の機能]
図4は、更新管理ECU11が含む機能を示す機能ブロック図である。
図5及び
図6はECUをリストアップしたECUテーブルの一例を示す表である。更新管理ECU11は受信部41、判定部42、送信部43、アクティベート部44の4つの機能ブロックを含む。
【0064】
[1.5.1 受信部]
受信部41は、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する。
【0065】
具体的には、受信部41はサーバ2から第1更新データと第2データとをダウンロードする機能を備える。サーバ2は、例えば、車両製造者のデータセンタに設けられる。サーバ2には、例えば、各ECUの更新データが記憶されている。第1更新データは+B駆動ECUである第1ECU12のソフトウェアを更新するための更新データである。第2更新データは、IG駆動ECUである第2ECU13のソフトウェアを更新するための更新データである。
【0066】
受信部41は、制御部22を動作させて、内部バス24、トランシーバ25a、通信装置15、ネットワーク3を介してサーバ2にアクセスし、サーバ2に記憶されている更新データをダウンロードする。ダウンロードを始める起因は、例えば、サーバ2に更新データが新たに記録された場合である。この場合、サーバは、新たに更新データが記録されたことを示す情報を、各車載システム1に送信する。新たに更新データが記録されたことを示す情報には、新に記録された更新データのバージョンを示す情報が含まれてもよい。以降、新たに更新データが記録されたことを示す情報を更新ソフトウェア情報と称する。例えばサーバ2に更新データが新たに記録される例としては、従前のレインセンサよりも雨量感度が向上し、パワーウィンドウを閉める基準雨量を変えるためのプログラムのバージョンアップが考えられる。
【0067】
各車載システム1の更新管理ECU11は、例えば、
図5に示さるようなECUテーブルを記憶部23に記憶している。例えば、当該ECUテーブルは所定の機能、所定の機能を実行するECU、ECUが動作する電源状態、ECUのソフトウェアのバージョンを示す情報を含み、所定の機能毎に、表形式で記憶部23に記録されている。所定の機能としては、例えば、雨天時のパワーウィンドウ制御機能である。この機能を実行するECUとしては、例えば、パワーウィンドウを制御するドアECU、雨滴を検知するレインセンサECU、及びレインセンサECUの情報を取得しドアECUに窓を閉める制御を送信するBCMである。ECUが動作する電源状態は、例えば、ドアECU及びBCMの場合+B状態であるが、レインセンサECUの場合IG状態である。ECUのソフトウェアのバージョンは、例えば、1.02である。この例では、+B駆動ECUと、IG駆動ECUとが含まれているので、全体としては+B状態で動作せずIG状態で動作することとなる。
なお、ECUテーブルは更新管理ECU11の記憶部23に記憶されている例で説明するが、これに限定されず、例えばサーバ2の記憶部が記憶していてもよい。
【0068】
図6は別の例のECUテーブルである。この例では所定の機能としては、例えば、防犯機能である。所定の機能実行するECUとしては、例えば、ドアが閉じられていること及びドアがロックされていることを検知するドア検知ECUと、運転者に警告を報知する報知ECUと、である。ECUが動作する電源状態としては、例えば、ドア検知ECU及び報知ECUの場合ともに+B状態である。ECUのソフトウェアのバージョンは、例えば、1.01である。この例では、すべてのECUが+B駆動ECUなので、全体としては+B状態及びIG状態で動作することとなる。
【0069】
受信部41は、例えば、サーバから送られてきた更新ソフトウェア情報に含まれるバージョン情報と、ECUテーブルに記録されたバージョン情報とを比較し、ソフトウェアが更新されたか否かを判定する。更新されたと判定した場合には、受信部41はサーバ2に更新データを要求し、ダウンロードする。受信部41は、例えば、ダウンロードした更新データを記憶部23に一時的に記録する。
【0070】
[1.5.2 判定部]
判定部42は、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する機能を備える。
【0071】
具体的には、判定部42は、例えば、車両の電源状態を検知し、検知した電源状態が+B状態であるか、IG状態であるかを判定する。車両の電源状態の検知は更新管理ECU11が行ってもよいし、車両の電源状態を監視する電源監視ECUが行ってもよい。電源状態の検知は、+B状態の場合、例えば、車両のバッテリから直接電力が供給されている電気機器、例えば、報知ECUに接続される電源バスの電圧を検知し、所定の電圧以上であれば、+B状態であると判定する。IG状態の場合、例えば、アクセルを踏めば車両が走行を始める状態のとき動作するECU、例えば、エンジンコントロールECUに電力を供給する電源バスの電圧を検知し、所定の電圧以上であればIG状態であると判定する。なお、+B状態で且つIG状態であるときは、IG状態であると判定する。
【0072】
[1.5.3 送信部]
送信部43は、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信し、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する機能を備える。
【0073】
具体的には、送信部43は、車両の電源状態が+B状態であると判定部42が判定したときには、+B駆動ECUである第1ECU12、例えば、ドアECU及びBCMに第1更新データを送信する。一方、送信部43は、車両の電源状態がIG状態であると判定部42が判定したときには、IG駆動ECUである第2ECU13、例えば、レインセンサECUに第2更新データを送信する。
【0074】
更新データが送られてきたときには、第1ECU12及び第2ECU13は、例えば、送られた更新データを一時的に記憶部33に記憶する。送られてきた更新データの受信が完了した後、記憶部33に一時的に記憶された更新データに基づき、ECU12の制御部32はソフトウェアを更新するように構成されていてもよい。
【0075】
[1.5.4 アクティベート部]
アクティベート部44は、前記判定部によって前記電源状態が前記第1状態であると判定されたときには、所定の第1機能を前記第2車載装置なしに実行する前記第1車載装置に、前記第1更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせ、前記判定部によって前記電源状態が前記第2状態であると判定されたとき、所定の第2機能を前記第1車載装置と前記第2車載装置とによって実行する前記第1車載装置と前記第2車載装置とに、前記第1更新データ及び前記第2更新データによって更新されたソフトウェアをアクティベートさせる機能を備える。
【0076】
具体的には、
図6の例、即ち全体としては+B状態で実行される防犯機能の場合、判定部42によって電源状態が+B状態であると判定されたとき、アクティベート部44は+B状態で動作するドア検知ECUと、報知ECUとに、第1更新データで更新されたソフトウェアをアクティベートさせる。より具体的には、アクティベート部44は、記憶部23に記憶されているECUテーブル、例えば、
図6に示されたような内容を参照する。参照したECUテーブルからアクティベート部44は当該機能がどの電源状態で動作するかを示す情報を得る。
図6の例では、防犯機能は+B状態でもIG状態でも動作するので、例えば電源状態が+B状態のときにアクティベート部44は、同時にドア検知ECUと、報知ECUとにアクティベートを指示する命令を送信する。
【0077】
一方、判定部42によって電源状態がIG状態であると判定されたときには、アクティベート部44は、全体としてIG状態で動作される機能を実行するECUをアクティベートさせる。例えば、雨天時のパワーウィンドウ制御機能の場合では、アクティベート部44は、ドアECU、BCM、とレインセンサECUとに、同時に更新されたソフトウェアをアクティベートさせる。より具体的には、アクティベート部44はECUテーブル(
図5)を参照して、雨天時のパワーウィンドウ制御機能は全体としてはIG状態で動作することを示す情報を取得する。判定部42は電源状態がIG状態と判定したときに、取得した情報に基づき、アクティベート部44は同時にドアECU、BCM、レインセンサECUとにアクティベートを指示する命令を送信する。
【0078】
[1.6 制御方法]
図7は、更新管理ECU11が実行する制御方法の一例を示すフローチャートである。
図7に示す各ステップは、適宜順番が前後してもよい。
図7を用いて一連の制御方法を説明する。
【0079】
なお、更新管理ECU11が実行する制御は、情報処理部21が実行する。情報処理部21が制御を実行する場合、制御部22が記憶部23からコンピュータプログラムを読み取って、各種の演算及び処理を実行する。
また、第1ECU12が実行する制御は、情報処理部31が実行する。情報処理部31が制御を実行する場合、制御部32が記憶部33からコンピュータプログラムを読み取って各種の演算及び処理を実行する。
【0080】
はじめに、更新管理ECU11の受信部41はサーバ2から更新データをダウンロードする(ステップS10ステップS101)。具体的には、更新管理ECU11は、第1電源状態及び前記第1電源状態とは異なる第2電源状態で動作する第1車載装置のソフトウェアを更新するための第1更新データと、前記第1電源状態では動作せず前記第2電源状態で動作する第2車載装置のソフトウェアを更新するための第2更新データとを、前記車両の外部装置から受信する。受信が完了したのち、ステップS102に進む。
【0081】
より具体的には、更新管理ECU11の受信部41はサーバ2から第1更新データと第2データとをダウンロードする。サーバ2には、各ECUの更新データが記憶されている。第1更新データは+B駆動ECUである第1ECU12のソフトウェアを更新するための更新データデータである。第2更新データは、IG駆動ECUである第2ECU13のソフトウェアを更新するための更新データである。更新管理ECU11は、通信バス16b、トランシーバ25a、通信装置15、ネットワーク3を介してサーバ2にアクセスし、サーバ2に記憶されている更新データをダウンロードする。
【0082】
例えば、サーバ2に更新データが新たに記録された場合に、サーバ2は、更新ソフトウェア情報を、各車載システム1に送信する。更新ソフトウェア情報には、新に記録された更新データのバージョンを示す情報が含まれてもよい。
【0083】
各車載システム1の更新管理ECU11は、例えば、
図5に示さるようなECUテーブルを記憶部23に記憶している。当該ECUテーブルには所定の機能、所定の機能を実行するECU、ECUが動作する電源状態、及びECUのソフトウェアのバージョンを示す情報が、所定の機能毎に、表形式で記録されている。
【0084】
更新管理ECU11の受信部41は、例えば、サーバから送られてきた更新ソフトウェア情報(バージョンを示す情報を含む)と、記憶部23に記録されているECUテーブルを比較し、ソフトウェアが更新されたか否かを判定する。例えば、ソフトウェアのバージョンを比較して更新されたか否かを判定する。更新されたと判定した場合には、受信部41はサーバ2に更新データを要求し、ダウンロードする。受信部41は、例えば、ダウンロードした更新データを記憶部23に一時的に記録する。ダウンロードが完了した後にステップS102に進む。
【0085】
次に、更新管理ECU11の判定部42は、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であるか前記第2電源状態であるかを判定する(ステップS102)。
【0086】
具体的には、更新管理ECU11の判定部42は、例えば、車両の電源状態を検知し、検知した電源状態が+B状態であるか否かを判定する。更新管理ECU11の判定部42のが+B状態であると判定した場合(ステップS102のYES)にはステップS103に進み、+B状態ではない即ちIG状態であると判定した場合(ステップS102のNO)にはステップS104に進む。
【0087】
次に、更新管理ECU11の送信部43は、前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき(ステップS102のYES)、前記第1更新データを前記第1車載装置へ送信する(ステップS103)。送信終了後、ステップS105に進む。具体的には、例えば判定部42が車両の電源状態が+B状態であると判定したときには、更新管理ECU11の送信部43は、更新されていない+B駆動ECUである第1ECU12に第1更新データを送信する。ECUのソフトウェアが更新されているか否かは、例えばECUテーブルに更新済みが否かを記録し判定する。記憶部23に記憶されているECUテーブルに基づき、更新管理ECU11の送信部43は、ECUテーブルに記憶されている+B駆動ECUに更新データを送信してもよい。
図5の例では、ドアECU及びBCMに更新データを送信する。
【0088】
一方、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき(ステップS102のNO)、前記第2更新データを前記第2車載装置へ送信する(ステップS104)。送信終了後、ステップS105に進む。具体的には、例えば判定部42が車両の電源状態がIG状態であると判定したときには、更新管理ECU11の送信部43は、更新されていないIG駆動ECUである第2ECU13に第2更新データを送信する。記憶部23に記憶されているECUテーブルに基づき、更新管理ECU11の送信部43は、ECUテーブルに記憶されているIG駆動ECUに更新データを送信してもよい。
図5の例では、レインセンサECUに更新データを送信する。
【0089】
なお、判定部42がIG状態であると判定した場合であっても、更新されていない+B駆動ECUが残っていれば、送信部43は当該ECUに第1更新データを送ってもよい。更新されていない+B駆動ECUに第1更新データを送っている途中に電源状態が+B状態からIG状態に変わる場合があるが、+B駆動ECUは電源状態がIG状態であっても動作するからである。従って、ステップS104では、+B駆動ECUであるかIG駆動ECUであるかにかかわらず、送信部43は更新されていないECUに更新データを送信することとなる。
【0090】
第1ECU12(ドアECU、BCM)及び第2ECU13(レインセンサECU)は、更新データが送られてきたときには、例えば、送られた更新データを一時的に記憶部33に記憶する。送られてきた更新データの受信が完了した後、記憶部33に一時的に記憶された更新データに基づき、制御部32はソフトウェアを更新してもよい。
【0091】
次に、更新管理ECU11の送信部43は、所定の機能を実行する複数のECUすべてに更新データが送信されたか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、例えば更新管理ECU11の送信部43は、記憶部23に記憶されているECUテーブルを参照して、ECUテーブルに記憶されているECUすべてに更新データが送信されたか否かを判定する。送信部43がすべてのECUに更新データが送信されたと判定した場合には、ステップS106に進み、すべてのECUに更新データ送信されていないと判定された場合には、ステップS102に戻る。従って、送信部43がすべてのECUに更新データを送信するまで、ステップS102~S104が繰り替えされることとなる。
図5に示す例では、雨天時のパワーウィンドウ制御機能をドアECU、レインセンサECU、とBCMとにより実行するので、ドアECU、レインセンサECU、BCMの3つのECUすべてに更新データが送信されたか否かを判定する。
【0092】
次に、更新管理ECU11のアクティベート44は、車両の電源状態が所定の機能が動作する電源状態電源状態であるか否かを判定する(ステップS106)。更新管理ECU11のアクティベート部44は電源状態が所定の機能を実行するECUが動作する電源状態であると判定した場合には、ステップS107に進み、電源状態が所定の機能を実行するECUが動作する電源状態でないと判定した場合にはステップS106に戻る。従って、更新管理ECU11のアクティベート部44は、車両の電源状態が、所定の機能が動作する電源状態となるまで待機することとなる。
【0093】
例えば上述した防犯機能はドアが閉じられていること及びドアがロックされていることを検知するドア検知ECUと、運転者に警告を報知する報知ECUとによって実行される。ドア検知ECU及び報知ECUはともに+B駆動ECUなので、全体として防犯機能は+B状態及びIG状態で動作することとなる。この例では、更新管理ECU11は、更新データを当該ECUに送信後、電源状態が+B状態であると判定したときにステップS107に進む。
【0094】
一方上述した雨天時のパワーウィンドウ制御機能はドアECU、レインセンサECU、及びBCMとによって実行される。ドアECUとBCMとは+B駆動ECUであるが、レインセンサECUはIG駆動ECUなので、全体としてパワーウィンドウ制御機能はIG状態で動作することとなる。このためこの例では、更新管理ECU11のアクティベート部44は、更新データを当該ECUに送信後、電源状態がIG状態であると判定したときにステップS107に進む。
【0095】
次に、更新管理ECU11のアクティベート部44は、所定の機能を実行する一群のECUをアクティベートさせる(ステップS107)。具体的には、例えば更新管理ECU11のアクティベート部44は、制御部22によって、内部バス24トランシーバ25b、通信バス16aを介して第1ECU12あるいは第2ECUにアクティベートを指示する命令を送信する。アクティベートを指示する命令を受け取った当該ECUは、更新データで更新されたソフトウェアをアクティベートする。例えば、上述した防犯機能の場合には、ドア検知ECU及び報知ECUにアクティベートを指示する命令を送信する。上述した雨天時のパワーウィンドウ制御機能の場合には、ドアECU、レインセンサECU、BCMにアクティベートを指示する命令を送信する。
そして、アクティベートを指示する命令を送信した後、一連の制御を終了する。
【0096】
[1.7 制御シーケンス]
次に、車載システム1の制御シーケンスについて説明する。
図8は所定の機能が+B駆動ECUによって実行される場合のシーケンス図である。
図9は所定の機能が+B駆動ECUとIG駆動ECUによって実行される場合のシーケンス図である。
【0097】
[1.7.1 +B駆動ECUによって実行される場合]
+B駆動ECUによって所定の機能が実行される一例としては、上述した防犯機能である。
まず、更新管理ECU11の受信部41は、サーバ2から更新データをダウンロードする(ステップS201)。なお、更新データをダウンロードするだけなので、少なくとも更新管理ECU11が動作すればよい。更新管理ECU11は+B状態及びIG状態で動作可能であるので、少なくとも電源状態が+B状態であれば本ステップS201は実行される。
【0098】
次に、更新管理ECU11の送信部43は、更新管理ECU11から第1ECU12に更新データを送信する(ステップS202)。上述した防犯機能の例では、送信部43はドア検知ECUと報知ECUとに更新データを送信する。
【0099】
次に、第1ECU12は更新データに基づき、当該ECUのソフトウェアを更新する(ステップS203)。第1ECU12は、例えば更新データ受信完了後、更新データに基づきソフトウェアを更新するように構成されている。
【0100】
次に、更新管理ECU11のアクティベート部44は、第1ECUにアクティベートを指示する命令を送信する(ステップS204)。
【0101】
次に、アクティベートを指示する命令を受け取った、所定の機能を実行する一群の第1ECU12は更新されたソフトウェアをアクティベートさせる(ステップS205)。アクティベートが終了した後、一連の制御を終了する。
【0102】
[1.7.2 +B駆動ECUとIG駆動ECUによって実行される場合]
+B駆動ECUとIG駆動ECUによって実行される一例としては、上述したパワーウィンドウ制御機能である。
まず、更新管理ECU11の受信部41は、サーバ2から更新データをダウンロードする(ステップS30ステップS301)。
【0103】
次に、更新管理ECU11の送信部43は、第1ECU12に更新データを送信する(ステップS302)。上述したパワーウィンドウ制御機能の例ではドアECUとBCMとは+B駆動ECUであるが、レインセンサECUはIG駆動ECUであるので、このステップではドアECUとBCMとに更新データが送信される。
【0104】
次に、第1ECU12は更新データに基づき、当該ECUのソフトウェアを更新する(ステップS303)。
【0105】
次に、電源状態が+B状態からIG状態となったとき、すなわち更新管理ECU11の判定部42の電源状態がIG状態であると判定したときには、更新管理ECU11の送信部43は、更新管理ECU11に更新データを送信する。上述したパワーウィンドウ制御機能の場合、IG駆動ECUであるレインセンサECUに送信部43は更新データを送信する(ステップS304)。
【0106】
次に、第2ECU13は、更新データに基づき、当該ECUのソフトウェアを更新する(ステップS305)。第2ECU13は、例えば更新データ受信完了後、更新データに基づきソフトウェアを更新するように構成されている。
【0107】
次に、更新管理ECU11のアクティベート部44は、第1ECU12と第2ECU13とにアクティベートを指示する命令を送信する(ステップS306)。
【0108】
次に、所定の機能を実行する一群の第1ECU12と第2ECU13とは更新されたソフトウェアをアクティベートする(ステップS307及びステップS308)。アクティベートが終了した後、一連の制御を終了する。
【0109】
[1.8 まとめ]
ソフトウェアの更新が行われたECUと、更新が行われなかったECUとが混在すると、当該ECU間の通信で齟齬が生じるおそれがあった。このため、すべてのECUが動作する電源状態、例えばIG状態でソフトウェアの更新が行われていた。このような場合、車両の運転者が、エンジンを始動させるキースイッチをイグニッションポジションにしたときからソフトウェアの更新が始まり、車両が走行可能になるまでの時間が長くなるおそれがあった。また、ソフトウェアの更新が必要、不要にかかわらず、すべてのECUが動作する電源状態で更新が行われるため、ソフトウェアの更新の必要がないECUにも電力が供給され、消費電力が増加するおそれがあった。
【0110】
本実施形態によれば、更新管理ECU11は、車両の電源状態に応じて、当該電源状態において、ソフトウェアが更新可能なECUに更新データを送り、当該ECUにソフトウェアを更新させる。上述した例では、+B駆動ECUであるドアECU、BCM、ドア検知ECU、報知ECUへは、電源状態がIG状態になるのを待たず、+B状態であるときに、更新管理ECU11は更新データを各ECUに送信する。+B状態で、各+B駆動ECUは更新データに基づき、ソフトウェアを更新することができる。よって、車両の運転者が、エンジンを始動させるキースイッチをイグニッションポジションにしたとき、すなわち電源状態が+B状態からIG状態に変わったときには、当該ECUのソフトウェアの更新は完了している。従って、IG状態でしか動作しないIG駆動ECUのソフトウェアの更新を待つだけで、車両は走行可能となり、車両が走行可能になる時間の短縮を図ることができる。また、+B駆動ECUのソフトウェア更新時には、IG駆動ECUを動作していない期間に行われるので、消費電力の低減を図ることができる。
【0111】
また、各ECUのソフトウェアの更新が行われた場合に、各ECUのソフトウェア更新完了のタイミングは、ECU毎に異なる場合がある。ECUが、それぞれソフトウェアが更新されたのち速やかに、アクティベートされた場合、複数のECUが連携して動作する機能が実行されないおそれがあった。例えば、アクティベートが終わったECUが、まだアクティベートが行われていないECUに命令を送った場合に、まだアクティベートが終わっていないECUが当該命令を理解できないため、当該機能が実行されないおそれがあった。
【0112】
本実施形態によれば、更新管理ECU11は、所定の機能を実行する一群の車載装置を、当該機能が動作する電源状態で同時に更新されたソフトウェアをアクティベートさせる。例えば、上述した雨天時のパワーウィンドウ制御機能は、ドアECU、レインセンサECU、及びBCMが実行される。ドアECUとはBCMは+B駆動ECUであり、レインセンサECUはIG駆動ECUであるので、全体しては、当該機能はIG状態で動作するので、更新管理ECU11は、電源状態がIG状態のときに、当該ECUを同時にアクティベートさせる。従って、各ECUは齟齬なく通信を行い、適切な雨量のときにドアウィンドウは閉じられ、雨が降っているのにドアウィンドウは開いたままといった齟齬が生じるおそれは解消する。
【0113】
<実施形態2>
[2.本開示の実施形態2の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態2の詳細を説明する。
実施形態1と実施形態2との差異は、後日新た追加されたECUについてもソフトウェアの更新対象とする更新管理装置である点が異なるが、他は同じである。実施形態1と同一の構成には同一の符号を付し、同一の構成、機能、動作については説明を省略する。後日新たなECUを追加する例としは、シートヒーターがない完成車両に、後日シートヒーターを追加し、シートヒーターを制御するシートECUを追加するような場合である。
【0114】
[2.1 本実施形態か解決しようとする課題]
従前、ECUの追加を伴う新規システムが新た車両に設けられた場合、後付けされたECUのソフトウェアについて、これを更新対象とする機能がないため、後付けされたECUについては、ソフトウェアが更新されず、所定の機能が実行されない、例えば、シートヒーターが温まらない等の齟齬が生じるおそれがあった。
【0115】
[2.2 本実施形態の課題解決の手段]
このため、本実施形態では、前記更新管理装置は、前記第1車載装置及び前記第2車載装置が接続された前記更新管理装置に新たに第3車載装置が接続されたときに、前記受信部は前記第3車載装置のソフトウェアを更新するための第3更新データを前記車両の外部装置から受信し、前記第3車載装置が前記第1電源状態及び前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第1電源状態であると判定されたとき、前記送信部は前記第3更新データを前記第3車載装置へ送信し、前記第3車載装置が前記第1電源状態において動作せず、前記第2電源状態において動作する場合に、前記判定部によって前記車両の電源状態が前記第2電源状態であると判定されたとき、前記送信部は前記第3更新データを前記第3車載装置へ送信する。
【0116】
特に、本実施形態では、前記第1車載装置及び前記第2車載装置が接続された前記更新管理装置に新たに第3車載装置が接続されたときの更新管理装置の動作が、実施形態1と異なる。以下、この異なる部分の制御方法について説明する。
【0117】
[2.3 制御方法]
図10は、新たなECUが追加された場合の、更新管理ECU11の動作フローチャートの内、
図7のフローチャートに追加された部分である。なお、新たに接続された第3車載装置は、
図1において第3ECU14である。
【0118】
はじめに、更新管理ECU11は、後付けECUを検知し(ステップS401)ステップS402に進む。後付けECUを検知する方法としては、例えば、更新管理ECU11と新たに接続された第3ECU14との間に通信が確立されたか否かによって検知する。あるいは、更新管理ECU11は、定期的に通信バス16aに接続された全ECUに対し、応答を求める命令を、通信バス16aにブロードキャストする。更新管理ECU11は応答したECUと、記憶部23に記憶され既に接続されているECUをリストアップしているECUテーブルと比較して、ECUテーブルにないECUから応答があった場合に、後付けECUが検知されたと判定してもよい。
【0119】
次に、更新管理ECU11は、更新管理ECU11は、車両の電源状態を取得し(ステップS402)、ステップS403に進む。
【0120】
次に、更新管理ECU11は、電源状態が+B状態であるか否かを判定する(ステップS403)。電源状態が+B状態であると判定した場合にはステップS404に進む。一方電源状態が+B状態でないと判定した場合、即ち電源状態がIG状態であると判定した場合にはステップS405に進む。+B駆動ECUは電源状態が+B状態の場合に応答し、IG駆動ECUは電源状態がIG状態の場合に応答するので、電源状態を知ることで、更新管理ECU11はステップS401で新た応答のあったECUが+B駆動ECUであるか、IG駆動ECUであるかを判別することが可能となる。
【0121】
次に、更新管理ECU11は、電源状態が+B状態であると判定した場合には、更新管理ECU11は、例えば、所定の機能が全体として+B状態で動作する場合、当該機能を実行するECUをリストアップしたECUテーブルに、ステップS401を検知したECUを追加する(ステップS404)。
一方、電源状態が+B状態でない(IG状態である)と判定した場合には、更新管理ECU11は、例えば、所定の機能が全体としてIG状態で動作する場合、当該機能を実行するECUをリストアップしたECUテーブルに、ステップS401を検知したECUを追加する(ステップS405)。
そして、上記一連の処理が終わったのちに、更新管理ECU11は、
図7に示すステップS101に進み、処理を継続する。
【0122】
[2.4 まとめ]
従前、ECUの追加を伴う新規システムが新た車両に設けられた場合、後付けされたECUのソフトウェアについては、これを更新対象とする機能がないため、後付けされたECUについては、ソフトウェアが更新されず、所定の機能が実行されない齟齬が生じるおそれがあった。
【0123】
本開示によれば、更新管理装置に新たな第3車載装置が接続された場合、第3車載装置が動作可能な電源状態において、第3車載装置に第3更新データを送信する。これにより、新たに追加された第3車載装置を適切なタイミングで更新することができる。
【0124】
[3.補記]
なお、上記の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施形態及び変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0125】
1 車載システム
2 サーバ
3 ネットワーク
11 更新管理ECU
12 第1ECU
13 第2ECU
14 第3ECU
15 通信装置
16a 通信バス
16b 通信バス
21 情報処理部
22 制御部
23 記憶部
24 内部バス
25a トランシーバ
25b トランシーバ
31 情報処理部
32 制御部
33 記憶部
34 内部バス
35 入力部
36 出力部
37 トランシーバ
41 受信部
42 判定部
43 送信部
44 アクティベート部