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  • 特開-繰出容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064539
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】繰出容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/04 20060101AFI20240507BHJP
   A45D 40/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A45D40/04 Z
A45D40/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173197
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
(57)【要約】
【課題】2つの受皿を交互に上方移動させるときに、操作量および動作空間がかさ張るのを抑制する。
【解決手段】本体筒11と、2つの受皿12と、回転筒部材13と、可動ベルト14と、支持部材15と、を備え、可動ベルトの外面、および回転筒部材の内周面には、本体筒および回転筒部材の相対回転に伴い、互いに係合することで、可動ベルトをその長手方向に移動させ、2つの受皿のうちのいずれか一方を上方移動させ、かついずれか他方を下方移動させる第1係合部25、および第2係合部26が各別に形成され、可動ベルトの折り返し部23は、上下方向に延び、かつ支持部材を挟む一対の縦部分23aと、一対の縦部分の下端部同士を連結する横部分23bと、を備え、一対の縦部分のうちのいずれか一方の第1係合部が、第2係合部と係合し、一対の縦部分のうちのいずれか他方の第1係合部と、第2係合部と、の係合を規制する規制部16が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる本体筒と、
内容物を保持するとともに、前記本体筒内に並列に上下動可能に設けられた2つの受皿と、
前記本体筒の下端部に、上下方向に延びる軸線回りに回転可能に装着された回転筒部材と、
2つの前記受皿から各別に下方に向けて延びるとともに、前記回転筒部材内で折り返された折り返し部を有する可動ベルトと、
前記折り返し部を前記折り返し部の上方から支持する支持部材と、を備え、
前記可動ベルトの外面、および前記回転筒部材の内周面には、前記本体筒および前記回転筒部材の相対回転に伴い、互いに係合することで、前記可動ベルトをその長手方向に移動させ、2つの前記受皿のうちのいずれか一方を上方移動させ、かついずれか他方を下方移動させる第1係合部、および第2係合部が各別に形成され、
前記折り返し部は、上下方向に延び、かつ前記支持部材を挟む一対の縦部分と、一対の前記縦部分の下端部同士を連結する横部分と、を備え、
一対の前記縦部分のうちのいずれか一方の前記第1係合部が、前記第2係合部と係合し、
一対の前記縦部分のうちのいずれか他方の前記第1係合部と、前記第2係合部と、の係合を規制する規制部が設けられている、繰出容器。
【請求項2】
前記規制部は、一対の前記縦部分のうちのいずれか他方の前記第1係合部と、前記第2係合部と、の間に設けられ、表裏面が径方向を向く壁体となっている、請求項1に記載の繰出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、上下方向に延びる本体筒と、内容物を保持するとともに、本体筒内に並列に上下動可能に設けられた2つの受皿と、2つの受皿から各別に下方に向けて延びるとともに、本体筒の下端部内で、上下方向に交差する方向のうちの一方向に延びる回転軸線回りに折り返された折り返し部を有する可動ベルトと、折り返し部を折り返し部の上方から支持するとともに、本体筒に前記回転軸線回りに回転可能に支持された支持部材と、本体筒の上端開口を開放可能に閉塞するとともに、本体筒に前記回転軸線回りに回転可能に支持された蓋体と、を備え、蓋体を前記回転軸線回りに回転させるのに伴い、支持部材が回転することによって、可動ベルトがその長手方向に移動し、2つの受皿のうちのいずれか一方が上方移動し、かついずれか他方が下方移動する、繰出容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-262729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の繰出容器では、内容物の使用に際し、本体筒の上端開口を閉塞する蓋体を、上下方向に交差する方向のうちの一方向に延びる回転軸線回りに回転させるので、一般的な繰出容器と比べて、操作量および動作空間がかさ張りやすいおそれがある。
【0005】
本発明は、2つの受皿を交互に上方移動させるときに、操作量および動作空間がかさ張るのを抑制することができる繰出容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る繰出容器は、上下方向に延びる本体筒と、内容物を保持するとともに、前記本体筒内に並列に上下動可能に設けられた2つの受皿と、前記本体筒の下端部に、上下方向に延びる軸線回りに回転可能に装着された回転筒部材と、2つの前記受皿から各別に下方に向けて延びるとともに、前記回転筒部材内で折り返された折り返し部を有する可動ベルトと、前記折り返し部を前記折り返し部の上方から支持する支持部材と、を備え、前記可動ベルトの外面、および前記回転筒部材の内周面には、前記本体筒および前記回転筒部材の相対回転に伴い、互いに係合することで、前記可動ベルトをその長手方向に移動させ、2つの前記受皿のうちのいずれか一方を上方移動させ、かついずれか他方を下方移動させる第1係合部、および第2係合部が各別に形成され、前記折り返し部は、上下方向に延び、かつ前記支持部材を挟む一対の縦部分と、一対の前記縦部分の下端部同士を連結する横部分と、を備え、一対の前記縦部分のうちのいずれか一方の前記第1係合部が、前記第2係合部と係合し、一対の前記縦部分のうちのいずれか他方の前記第1係合部と、前記第2係合部と、の係合を規制する規制部が設けられている。
【0007】
可動ベルトの外面、および回転筒部材の内周面に、第1係合部、および第2係合部が各別に形成され、可動ベルトの折り返し部における一対の縦部分のうちのいずれか一方の第1係合部が、第2係合部と係合し、一対の縦部分のうちのいずれか他方の第1係合部と、第2係合部と、の係合が、規制部により規制されるので、一般的な繰出容器と同様に、回転筒部材を上下方向に延びる軸線回りに回転させると、可動ベルトがその長手方向に移動することで、2つの受皿のうちのいずれか一方が上方移動し、いずれか他方が下方移動することとなる。したがって、2つの受皿を交互に上方移動させるときに、回転筒部材を軸線回りに回転させればよく、操作量および動作空間がかさ張るのを抑制することができる。
【0008】
前記規制部は、一対の前記縦部分のうちのいずれか他方の前記第1係合部と、前記第2係合部と、の間に設けられ、表裏面が径方向を向く壁体となってもよい。
【0009】
規制部が、一対の縦部分のうちのいずれか他方の第1係合部と、第2係合部と、の間に設けられ、表裏面が径方向を向く壁体となっているので、前述のように、可動ベルトがその長手方向に移動する際に、可動ベルトの縦部分が、壁体の表面を摺動することとなり、一対の縦部分のうちのいずれか他方の第1係合部と、第2係合部と、の係合を確実に規制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、2つの受皿を交互に上方移動させるときに、操作量および動作空間がかさ張るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る繰出容器の縦断面図である。
図2図1のII-II線矢視断面図である。
図3図1において、一方の受皿を上方移動させた状態を示す図である。
図4図1において、他方の受皿を上方移動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態の繰出容器1は、図1に示されるように、本体筒11と、2つの受皿12と、回転筒部材13と、可動ベルト14と、支持部材15と、規制部16と、を備えている。
【0013】
本体筒11および回転筒部材13は、共通軸と同軸に配設されている。
以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿う回転筒部材13側を下側といい、これとは逆向きを上側という。軸線Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見て軸線Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て軸線O回りに周回する方向を周方向という。径方向のうち、2つの受皿12が並んだ方向を並列方向という。
【0014】
本体筒11は、上下方向に延びる外筒21と、外筒21内に嵌合されて固定され、外筒21の上端開口から上方に突出した2つの案内筒22と、を備えている。外筒21および案内筒22は一体に形成されてもよい。
案内筒22は、図2に示されるように、横断面視半円形状を呈する筒体とされ、並列方向に2つ並べられて設けられている。2つの案内筒22は、上下方向から見て、それぞれの弦部分が並列方向に重ね合わされて全体で円形状を呈する。案内筒22の下端開口縁、および回転筒部材13の上端開口縁は、同等の上下方向の位置に位置している。
【0015】
2つの受皿12は、内容物を保持するとともに、本体筒11内に並列方向に2つ並べられて上下動可能に設けられている。2つの受皿12は、横断面視半円形状を呈する有底筒状体とされ、2つの案内筒22に各別に上下動可能に嵌合されている。2つの受皿12は、上下方向から見て、それぞれの弦部分が並列方向に向き合わされて全体で円形状を呈する。つまり、2つの受皿12は、2つの案内筒22と周方向の向きが各別に一致するように設けられている。
図1に示されるように、2つの受皿12それぞれの上下方向の位置が同じになっているとき、2つの受皿12の上端部は、外筒21の上端部より上方に位置している。図3および図4に示されるように、上昇端位置に位置する受皿12の上端部は、案内筒22の上端部より下方に位置している。
【0016】
回転筒部材13は、本体筒11の下端部に、軸線O回りに回転可能に装着されている。回転筒部材13は、有底筒状に形成され、外筒21の下端部内に、軸線O回りに回転可能に嵌合されている。回転筒部材13の下部は、外筒21の下端部から下方に突出している。
【0017】
可動ベルト14は、2つの受皿12から各別に下方に向けて延びるとともに、回転筒部材13内で折り返された折り返し部23を有する。可動ベルト14は、並列方向、および上下方向に直交する直交方向に幅を有する帯状に形成されている。可動ベルト14は、受皿12の底壁の外周縁部のうち、上下方向から見て円弧をなす部分から下方に向けて延びている。可動ベルト14および受皿12それぞれの前記直交方向の中央部は互いに一致している。
【0018】
折り返し部23は、上下方向に延び、かつ支持部材15を並列方向に挟む一対の縦部分23aと、一対の縦部分23aの下端部同士を並列方向に連結する横部分23bと、を備えている。
一対の縦部分23aは、並列方向で互いに対向している。横部分23bは、前記直交方向から見て、並列方向に延びるとともに、下方に向けて突の曲線状を呈する。横部分23bの下端部の外面は、回転筒部材13の底壁の上面に当接、若しくは近接している。
【0019】
可動ベルト14の外面、および回転筒部材13の内周面には、本体筒11および回転筒部材13の相対回転に伴い、互いに係合することで、可動ベルト14をその長手方向に移動させ、2つの受皿12のうちのいずれか一方を上方移動させ、かついずれか他方を下方移動させる第1係合部25、および第2係合部26が各別に形成されている。
第2係合部26は、回転筒部材13の内周面に形成された雌ねじとなっている。第2係合部26は、回転筒部材13の下部に設けられている。
【0020】
支持部材15は、折り返し部23の内側に設けられ、折り返し部23を折り返し部23の上方から支持する。支持部材15は、一対の縦部分23aを各別に支持する一対の縦板部15aと、一対の縦板部15aの下端部同士を連結し、かつ横部分23bを支持する下板部15bと、一対の縦板部15aの上端部同士を連結する上板部15cと、を備えている。支持部材15は、前記直交方向に開口した枠体となっている。
【0021】
縦板部15aは、上下方向に延びる板状に形成され、下板部15bは、下方に向けて突の曲面状に形成され、上板部15cは、表裏面が上下方向を向く平板状に形成されている。上板部15cの上面には、案内筒22のうちの前記弦部分の下端部が嵌合されて固定される固定溝が形成されている。支持部材15における並列方向の中央部は、軸線Oから並列方向の一方側(図1の左側)にずれている。
【0022】
一対の縦部分23aのうちのいずれか一方の第1係合部25が、第2係合部26と係合し、規制部16が、一対の縦部分23aのうちのいずれか他方の第1係合部25と、第2係合部26と、の係合を規制している。
【0023】
可動ベルト14のうち、並列方向の一方側に位置する方は、上下方向の全長にわたって上下方向に真直ぐ延び、縦部分23aである下端部が、回転筒部材13の内周面に近接している。これにより、一対の縦部分23aのうち、並列方向の一方側に位置する縦部分23aの第1係合部25が、第2係合部26と噛合っている。
【0024】
規制部16は、一対の縦部分23aのうち、並列方向の他方側に位置する縦部分23aの第1係合部25と、第2係合部26と、の間に設けられ、表裏面が並列方向を向く壁体となっている。規制部16は、回転筒部材13の内周面から並列方向に離れている。規制部16は、支持部材15の一対の縦板部15aのうち、並列方向の他方側に位置する縦板部15aに連結されている。規制部16および縦板部15aそれぞれの前記直交方向の一端部同士が、並列方向に連結されている。規制部16の下端部は、回転筒部材13の底壁の上面に当接、若しくは近接している。
【0025】
規制部16は、一対の縦部分23aのうち、並列方向の他方側に位置する縦部分23aを、並列方向の他方側から支持している。これにより、可動ベルト14のうち、並列方向の他方側に位置する方は、縦板部15aである下端部が、上端部より並列方向の一方側に位置し、回転筒部材13の内周面から並列方向の一方側に離れている。
【0026】
以上説明したように、本実施形態による繰出容器1によれば、可動ベルト14の外面、および回転筒部材13の内周面に、第1係合部25、および第2係合部26が各別に形成され、可動ベルト14の折り返し部23における一対の縦部分23aのうちのいずれか一方の第1係合部25が、第2係合部26と係合し、一対の縦部分23aのうちのいずれか他方の第1係合部25と、第2係合部26と、の係合が、規制部16により規制されるので、一般的な繰出容器と同様に、回転筒部材13を上下方向に延びる軸線O回りに回転させると、可動ベルト14がその長手方向に移動することで、2つの受皿12のうちのいずれか一方が上方移動し、いずれか他方が下方移動することとなる。したがって、2つの受皿12を交互に上方移動させるときに、回転筒部材13を軸線O回りに回転させればよく、操作量および動作空間がかさ張るのを抑制することができる。
【0027】
規制部16が、一対の縦部分23aのうちのいずれか他方の第1係合部25と、第2係合部26と、の間に設けられ、表裏面が径方向を向く壁体となっているので、前述のように、可動ベルト14がその長手方向に移動する際に、可動ベルト14の縦部分23aが、壁体の表面を摺動することとなり、一対の縦部分23aのうちのいずれか他方の第1係合部25と、第2係合部26と、の係合を確実に規制することができる。
【0028】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0029】
例えば、規制部16は、壁体に限らず、案内筒22の内周面、若しくは外筒21の内周面から径方向の内側に向けて突出し、可動ベルト14の外面に当接した突部等であってもよい。
【0030】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 繰出容器
11 本体筒
12 受皿
13 回転筒部材
14 可動ベルト
15 支持部材
16 規制部
23 折り返し部
23a 縦部分
23b 横部分
25 第1係合部
26 第2係合部
O 軸線
図1
図2
図3
図4