(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064555
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】剥離層剥がし具、および剥離層剥がし方法
(51)【国際特許分類】
B65H 41/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B65H41/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173228
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】509069892
【氏名又は名称】株式会社HOWA
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 康弘
(72)【発明者】
【氏名】波江 正貴
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108JA05
(57)【要約】
【課題】両面テープ付きのウレタンシート材の軟質ウレタンフォーム層が千切れることなく、容易に剥離層を剥がすことができる剥離層剥がし具と、剥離層剥がし方法を提供する。
【解決手段】ウレタンシート材1は、両面テープ3の一方の面3aに軟質ウレタンフォーム層5が面接着され、両面テープ3の他方の面3bに剥離層7が積層されている。ウレタンシート材1は、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3を、剥離層7を残して厚さ方向に切り込まれた断面構造が構成される。剥離層剥がし具10は、ウレタンシート材1の剥離層7側の面に対し、剥離層7を剥離層7の厚さ方向に貫通可能な先端部13を有する針部12を備える。針部12と剥離層7との間が近接することで、先端部13が剥離層7を貫通し、剥離層7を貫通した先端部13が両面テープ3の他方の面3bの一部を厚さ方向に押すことで両面テープ3の他方の面3bから剥離層7を剥がす。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面テープの一方の面に面接着された軟質ウレタンフォーム層と、前記両面テープの前記一方の面と反対側の他方の面に積層された剥離層とを含んで前記両面テープと一体に面したウレタンシート材の前記剥離層を剥がす剥離層剥がし具であって、
前記ウレタンシート材は、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープと前記剥離層のうち前記剥離層を残して、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープを厚さ方向に切り込まれた断面構造が構成され、
前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面に対し、前記剥離層を前記剥離層の厚さ方向に貫通可能な先端部を有する針部を備え、
前記針部と前記剥離層との間が近接することで、前記先端部が前記剥離層を貫通し、前記剥離層を貫通した前記先端部が前記両面テープの前記他方の面の一部を厚さ方向に押すことで前記両面テープの前記他方の面から前記剥離層を剥がす、剥離層剥がし具。
【請求項2】
請求項1に記載された剥離層剥がし具であって、
前記ウレタンシート材は、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープが前記剥離層を残して、帯状に切り込まれて分離した状態で整列した複数の帯状シート体が構成されており、
前記針部は、前記帯状シート体の長手方向における一端部に対して前記剥離層側から近接することで、前記先端部が前記剥離層を貫通し、前記帯状シート体を厚さ方向に押すことで、前記一端部における前記両面テープの前記他方の面から前記剥離層を剥離させる、剥離層剥がし具。
【請求項3】
請求項2に記載された剥離層剥がし具であって、
前記ウレタンシート材のうち、前記剥離層側の面の面内方向における移動を規制するように保持する保持機構と、
前記針部の前記先端部が前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面と対向するように、前記針部を設置した針台と、を備え、
前記保持機構と前記針台のうち少なくとも一方が、前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面と前記先端部を近接離間させるように前記ウレタンシート材の厚さ方向に進退移動可能な、剥離層剥がし具。
【請求項4】
請求項3に記載された剥離層剥がし具であって、
前記保持機構は、
前記ウレタンシート材を前記剥離層側から吸着保持する吸着台と、
前記吸着台に直線上に整列するように設けられ、前記針部の前記先端部を通す複数の針孔と、を有する、剥離層剥がし具。
【請求項5】
請求項3に記載された剥離層剥がし具であって、
前記ウレタンシート材は、前記帯状シート体の長手方向において、前記剥離層の端縁部が前記帯状シート体の前記一端部よりも外側に位置するように長く延出しており、
前記保持機構は、
延出した前記剥離層の前記端縁部を、前記ウレタンシート材の厚さ方向における移動を規制するように保持する第1保持部と、
前記帯状シート体の長手方向における前記一端部より内側において、前記ウレタンシート材を、前記ウレタンシート材の厚さ方向における移動を規制するように保持する第2保持部と、を有する、剥離層剥がし具。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載された剥離層剥がし具であって、
前記針台は、複数の前記針部が直線上に整列して併設されており、前記ウレタンシート材において整列した複数の前記帯状シート体の前記一端部と、それぞれの前記先端部との間が近接離間する、剥離層剥がし具。
【請求項7】
両面テープの一方の面に面接着された軟質ウレタンフォーム層と、前記両面テープの前記一方の面と反対側の他方の面に積層された剥離層とを含んで前記両面テープと一体に面したウレタンシート材の前記剥離層を剥がす剥離層剥がし方法であって、
前記ウレタンシート材は、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープと前記剥離層のうち前記剥離層を残して、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープを厚さ方向に切り込まれた断面構造が構成され、
前記剥離層を前記剥離層の厚さ方向に貫通可能な先端部を有する針部を、前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面に対して近接させることで、前記先端部が前記剥離層を貫通し、前記剥離層を貫通した前記先端部で前記両面テープの前記他方の面の一部を厚さ方向に押すことで、前記両面テープの前記他方の面から前記剥離層を剥がす、剥離層剥がし方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離層剥がし具、および剥離層剥がし方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両面テープを備えたシート材がシール用途など種々の目的で使用されている。例えば、ウレタンフォーム等の多孔質発泡体からなる素材に両面テープが積層され、両面テープの粘着層を保護する剥離紙が積層されたウレタンシート材が挙げられる。このシート材は、剥離紙を残して素材と両面テープが切り込まれており、素材と両面テープの部分を剥離紙から剥がして使用される。一方特許文献1には、素材に貼り付けた両面テープの剥離紙に針の針先を刺し込んで剥離紙を剥がす、剥離紙剥がし具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、剥離紙を残して素材と両面テープが切り込まれたウレタンシート材に対して、特許文献1に記載の剥がし具のように剥離紙に針を刺し込んでも、剥離紙が切り込まれていないため、切り込まれた素材と両面テープごとに剥がすことは困難である。また、ウレタンシート材の両面テープは、切り込まれていても時間が経過すると隣り合う両面テープの粘着層同士が付着してしまう。そのため、例えば軟質ウレタンフォーム等の多孔質発泡体からなる素材を用いたウレタンシート材の場合、軟質ウレタンフォームの端部をつまんで両面テープとともに剥がそうとすると、剥離力(剥がす際に生じる抵抗)の強い両面テープに対して軟質ウレタンフォームの引っ張り力が弱く、軟質ウレタンフォームが千切れてしまうなどの不具合が生じる傾向にあった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、軟質ウレタンフォーム層と両面テープを、剥離層を残して切り込まれたウレタンシート材であっても、軟質ウレタンフォーム層が千切れることなく容易に剥離層を剥がすことができる剥離層剥がし具と、剥離層剥がし方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する剥離層剥がし具の一つの特徴は、両面テープの一方の面に面接着された軟質ウレタンフォーム層と、前記両面テープの前記一方の面と反対側の他方の面に積層された剥離層とを含んで前記両面テープと一体に面したウレタンシート材の前記剥離層を剥がす剥離層剥がし具であって、前記ウレタンシート材は、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープと前記剥離層のうち前記剥離層を残して、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープを厚さ方向に切り込まれた断面構造が構成され、前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面に対し、前記剥離層を前記剥離層の厚さ方向に貫通可能な先端部を有する針部を備え、前記針部と前記剥離層との間が近接することで、前記先端部が前記剥離層を貫通し、前記剥離層を貫通した前記先端部が前記両面テープの前記他方の面の一部を厚さ方向に押すことで前記両面テープの前記他方の面から前記剥離層を剥がす。
【0007】
上記構成の一つの特徴及び利点は、ウレタンシート材は、軟質ウレタンフォーム層と両面テープが剥離層を残して切り込まれた断面構造を有している。剥離層剥がし具の針部は、剥離層を厚さ方向に貫通可能な先端部を有している。ウレタンシート材の剥離層側の面と針部との間が近接することで、針部の先端部が剥離層を厚さ方向に貫通する。剥離層を貫通した先端部は、両面テープの他方の面に当接し、両面テープを貫通することなく両面テープと軟質ウレタンフォーム層の一部を押す。これにより、両面テープと剥離層の接する面同士が一部において離れ、両面テープの他方の面から剥離層を剥がすことができる。このとき軟質ウレタンフォーム層は両面テープと一体に押されるため、軟質ウレタンフォーム層が千切れることなく、ウレタンシート材から容易に剥離層を剥がすことができる。
【0008】
上記剥離層剥がし具について、前記ウレタンシート材は、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープが前記剥離層を残して、帯状に切り込まれて分離した状態で整列した複数の帯状シート体が構成されており、前記針部は、前記帯状シート体の長手方向における一端部に対して前記剥離層側から近接することで、前記先端部が前記剥離層を貫通し、前記帯状シート体を厚さ方向に押すことで、前記一端部における前記両面テープの前記他方の面から前記剥離層を剥離させる構成としても良い。
【0009】
上記構成の一つの特徴及び利点は、ウレタンシート材は、軟質ウレタンフォーム層と両面テープが剥離層を残して切り込まれた複数の帯状シート体が構成されている。帯状シート体の長手方向における一端部に対して針部が近接することで、針部の先端部は、剥離層を厚さ方向に貫通する。剥離層を貫通した先端部は、帯状シート体の一端部における両面テープの他方の面に当接し、帯状シート体を押す。これにより、帯状シート体の一端部における両面テープと剥離層との接する面同士が互いに離れ、両面テープの他方の面から剥離層を剥がすことができる。このとき軟質ウレタンフォーム層と両面テープが一体に押されるため、幅が狭く引っ張り力が弱い帯状シート体であっても、軟質ウレタンフォーム層が千切れることなく容易に剥離層を剥がすことができる。さらに、隣接する帯状シート体の両面テープの粘着層が互いに付着していても、容易に帯状シート体ごとに剥離層を剥がすことができる。
【0010】
上記剥離層剥がし具について、前記ウレタンシート材のうち、前記剥離層側の面の面内方向における移動を規制するように保持する保持機構と、前記針部の前記先端部が前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面と対向するように、前記針部を設置した針台とを備え、前記保持機構と前記針台のうち少なくとも一方が、前記ウレタンシート材の前記剥離層側の面と前記先端部を近接離間させるように前記ウレタンシート材の厚さ方向に進退移動可能な構成としても良い。
【0011】
上記構成の一つの特徴及び利点は、剥離層剥がし具は、保持機構と針台のうち少なくとも一方が、ウレタンシート材の剥離層側の面と針部の先端部を近接離間させるようにウレタンシート材の厚さ方向に進退移動可能な構成とされる。針台に設置された針部の先端部は、保持機構が保持するウレタンシート材の剥離層側の面と対向する。ウレタンシート材は、保持機構によって剥離層側の面の面内方向における移動が規制される。これにより、ウレタンシート材の位置が固定された状態で、ウレタンシート材の剥離層側の面における一定の位置に向かって、針台に設置された針部の先端部を近接させることができる。すなわち針部の先端部が剥離層を貫通してから、剥離層を両面テープの他方の面から剥がすまでの間、ウレタンシート材の面内方向の位置ずれを抑制できる。
【0012】
上記剥離層剥がし具について、前記保持機構は、前記ウレタンシート材を前記剥離層側から吸着保持する吸着台と、前記吸着台に直線上に整列するように設けられ、前記針部の前記先端部を通す複数の針孔とを有する構成としても良い。
【0013】
上記の一つの特徴及び利点は、剥離層剥がし具は、ウレタンシート材を剥離層側から吸着保持する吸着台を備えている。吸着台に配置されたウレタンシート材は、剥離層側の面が吸着される。これにより、剥離層に対して針部の先端部を貫通させるときに、剥離層が定位置からずれることを抑制できる。また、吸着台には、針部の先端部を通す複数の針孔が設けられている。帯状シート体の一端部が針孔と重なるように、吸着台にウレタンシート材を配置して固定することで、針孔を介して一定の位置で先端部によって帯状シート体の一端部を押し上げることができる。
【0014】
上記剥離層剥がし具について、前記ウレタンシート材は、前記帯状シート体の長手方向において、前記剥離層の端縁部が前記帯状シート体の前記一端部よりも外側に位置するように長く延出しており、前記保持機構は、延出した前記剥離層の前記端縁部を、前記ウレタンシート材の厚さ方向における移動を規制するように保持する第1保持部と、前記帯状シート体の長手方向における前記一端部より内側において、前記ウレタンシート材を、前記ウレタンシート材の厚さ方向における移動を規制するように保持する第2保持部とを有する構成としても良い。
【0015】
上記の一つの特徴及び利点は、ウレタンシート材は、帯状シート体の一端部より長く演出した剥離層の端縁部を有している。剥離層の端縁部は、第1保持部によってウレタンシート材の厚さ方向における移動が規制される。これにより、剥離層に対して針部の先端部を貫通させるときに、剥離層の端縁部が定位置からずれることを抑制できる。さらにウレタンシート材は、帯状シート体の長手方向における一端部より内側において、第2保持部によってウレタンシート材の厚さ方向における移動が規制される。このように、帯状シート体の一端部を間に位置させる2か所で剥離層を保持することによって、剥離層の位置ずれをより抑制できる。よって、ウレタンシート材の位置を安定させた状態で針部の先端部を剥離層に通し、先端部によって帯状シート体の一端部を押すことができる。
【0016】
上記剥離層剥がし具について、前記針台は、複数の前記針部が直線上に整列して併設されており、前記ウレタンシート材において整列した複数の前記帯状シート体の前記一端部とそれぞれの前記先端部との間が近接離間する構成としても良い。
【0017】
上記の一つの特徴及び利点は、針台には、複数の針部が、複数の帯状シート体の一端部とそれぞれ近接離間するように整列して配設されている。この構成により、針部とウレタンシート材の剥離層との間を近接させることで、複数の針部の先端部によって複数の帯状シート体の一端部を同時に押すことができる。よって、剥離層を剥がす工程の効率化を図ることができる。
【0018】
上記課題を解決する剥離層剥がし方法の一つの特徴は、両面テープの一方の面に面接着された軟質ウレタンフォーム層と、前記両面テープの前記一方の面と反対側の他方の面に積層された剥離層とを含んで前記両面テープと一体に面したウレタンシート材の前記剥離層を剥がす剥離層剥がし方法であって、前記ウレタンシート材は、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープと前記剥離層のうち前記剥離層を残して、前記軟質ウレタンフォーム層と前記両面テープを厚さ方向に切り込まれた断面構造が構成され、前記剥離層を前記剥離層の厚さ方向に貫通可能な先端部を有する針部と、前記ウレタンシート材の前記剥離層側との間を近接させることで、前記先端部が前記剥離層を貫通し、前記剥離層を貫通した前記先端部で前記両面テープの前記他方の面の一部を厚さ方向に押すことで、前記両面テープの前記他方の面から前記剥離層を剥がす。
【0019】
上記の一つの特徴及び利点は、ウレタンシート材は、軟質ウレタンフォーム層と両面テープが剥離層を残して切り込まれた断面構造を有している。針部は、剥離層を厚さ方向に貫通可能な先端部を有している。ウレタンシート材の剥離層側の面と針部との間を近接することで、針部の先端部が剥離層を厚さ方向に貫通する。剥離層を貫通した先端部は、両面テープの他方の面に当接し、両面テープを貫通することなく両面テープと軟質ウレタンフォーム層の一部を押す。これにより、両面テープと剥離層の接する面同士が一部において離れ、両面テープの他方の面から剥離層を剥がすことができる。このとき軟質ウレタンフォーム層は両面テープと一体に押されるため、軟質ウレタンフォーム層が千切れることなく、ウレタンシート材から容易に剥離層を剥がすことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記構成または方法をとることにより、軟質ウレタンフォーム層と両面テープを、剥離層を残して切り込まれたウレタンシート材であっても、軟質ウレタンフォーム層が千切れることなく容易に剥離層を剥がすことができる剥離層剥がし具と、剥離層剥がし方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るウレタンシート材と剥離層剥がし具を模式的に示した図である。
【
図2】第1実施形態に係る剥離層剥がし具の吸着台にウレタンシート材を配置した状態を模式的に示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る吸着台にウレタンシート材を配置した状態を模式的に示す断面図である。
【
図4】第1実施形態に係る剥離層剥がし具の針部の先端部が、ウレタンシート材の剥離層を貫通して両面テープと軟質ウレタンフォーム層を押し上げる状態を模式的に示す断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る剥離層剥がし具の載置台にウレタンシート材を配置した状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<剥離層剥がし具の構成(第1実施形態)>
以下に、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。第1実施形態に係る剥離層剥がし具10は、
図1、
図4を参照として、両面テープ3と一体に面したウレタンシート材1の剥離層7を剥がす、剥離層剥がし具である。
【0023】
両面テープ3は、例えば紙や布、プラスチックフィルムなどの基材の両面に、粘着剤を塗布し、粘着面同士がくっついてしまうのを防ぐために剥離ライナーを挟むなどして背面処理がされている、公知のものが用いられる。
【0024】
ウレタンシート材1は、
図1、
図3に示すように、両面テープ3と、軟質ウレタンフォーム層5と、剥離層7を含んだ、略長方形状のシート材である。ウレタンシート材1は、一辺の長さが任意に設定されており、長辺1aと短辺1bを有している。なおウレタンシート材1は、略正方形状としても良い。
【0025】
軟質ウレタンフォーム層5は、両面テープ3の上面3a(一方の面)に、両面テープ3の粘着剤によって面接着されている。軟質ウレタンフォーム層5は、プラスチック発泡体であり、気泡が連通して柔らかく、復元性のある性質を備えている。
【0026】
剥離層7は、軟質ウレタンフォーム層5とは反対側である両面テープ3の下面3b(他方の面)に積層されている。剥離層7として、例えば紙の基材に目止め層を挟んで剥離剤をコーティングした剥離紙または離形紙などが用いられる。剥離層7は、剥離剤側の面が両面テープ3の下面3bに接するように積層されており、両面テープ3の粘着剤を保護する。
【0027】
ウレタンシート材1は、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3と剥離層7のうち、剥離層7を残して、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3を厚さ方向に切り込まれた断面構造を有している。軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3はウレタンシート材1の長辺1aに沿って所定間隔で帯状に切り込まれており、その切り込みを境にして分離することで複数の帯状シート体2が構成されている。それぞれの帯状シート体2は、隣接する帯状シート体2と分離した状態で、ウレタンシート材1の長辺1aと交差する方向に整列している。言い換えれば、帯状シート体2の一端部2aが、ウレタンシート材1の短辺1bに沿って整列している。
【0028】
剥離層剥がし具10は、
図1、
図2に示すようにウレタンシート材1を保持する吸着台16(保持機構)と、針部12と、針部12を設置する針台14とを備えている。
【0029】
吸着台16は板状部材からなり、その表面にウレタンシート材1をエアで吸着保持する吸着面16aを有している。吸着面16aには、複数の吸着孔(不図示)が、ウレタンシート材1の剥離層7側の面を全面に亘って吸着できるように設けられている。この構成により、吸着台16は、ウレタンシート材1のうち剥離層7側の面を面内方向における移動を規制するように保持する。
【0030】
吸着台16には、
図1、
図3に示すように、吸着台16を厚さ方向に貫通した複数の針孔18が形成されている。針孔18は、吸着保持されるウレタンシート材1における帯状シート体2の一端部2aの位置に合わせて、直線上に整列するように設けられている。また針孔18は、針部12を通すことができる大きさに設定されている。
【0031】
吸着台16の吸着面16a上には、
図1、
図2に示すように、ウレタンシート材1の配置位置を決める第1と第2の位置決め板21,22が、吸着面16aに対して直交する向きで設置されている。第1の位置決め板21は、平面視でL字状を呈している。第1の位置決め板21は、一方の辺が針孔18の列に沿って針孔18の列より外側に位置しており、一方の辺と他方の辺がなす角の内側に、列の最端の針孔18が位置するように配置されている。第2の位置決め板22は、針孔18の列の方向に沿って第1の位置決め板21から離間した位置で、整列した針孔18より外側に配設されている。ウレタンシート材1における帯状シート体2の一端部2aの角を第1の位置決め板21に合わせ、帯状シート体2の一端部2aが整列するウレタンシート材1の短辺1bを第2の位置決め板22に合わせることで、吸着台16の定位置にウレタンシート材1を配置することができる。
【0032】
針部12は、例えば金属製の針状部材が用いられる。
図3、
図4に示すように、針部12の先端部13は、ウレタンシート材1の剥離層7側の面に対し、剥離層7を剥離層7の厚さ方向に貫通可能な形状に形成されている。ただし、先端部13を含む針部12は、両面テープ3の基材を貫通しないように大きさや太さが設定されている。
【0033】
針台14には、
図1、
図2に示すように、例えば板状部材の表面に複数の針部12が併設されている。針部12は、先端部13が上方を向くように、直線上に整列して設置されている。針部12の配置間隔は、ウレタンシート材1の帯状シート体2の幅に対応して設定されている。針台14は、吸着台16より下側において、複数の針部12が吸着台16に設けられたそれぞれの針孔18の真下に位置するように配設されている。針台14は、上下方向に進退移動可能に支持部材によって支持されている。ウレタンシート材1を吸着台16に配置したとき、針部12の先端部13は、ウレタンシート材1の剥離層7側の面と対向する。そして、針台14が進退移動することによって、ウレタンシート材1の剥離層7側の面と先端部13が近接離間する(
図3、
図4参照)。
【0034】
<剥離層剥がし工程(第1実施形態)>
次に、第1実施形態に係る、上記剥離層剥がし具10を用いた、上記ウレタンシート材1の剥離層7を剥がす剥離層剥がし方法について説明する。
【0035】
図1、
図2に示すように、両面テープ3付きのウレタンシート材1を、剥離層7側の面が吸着台16の吸着面16aに面するように吸着台16に配置する。このときウレタンシート材1の帯状シート体2の一端部2aの角を第1の位置決め板21に合わせ、帯状シート体2の一端部2aが整列するウレタンシート材1の短辺1bを第2の位置決め板22に合わせて配置する。吸着孔からのエアによってウレタンシート材1の剥離層7側の面を吸着保持する。これにより、ウレタンシート材1の位置が固定される。
【0036】
図4に示すように、針台14を吸着台16の裏面16bに向かって上昇させる。これにより、ウレタンシート材1の剥離層7と針台14に設置された針部12との間が近接する。そして、それぞれの針部12の先端部13が吸着台16のそれぞれの針孔18を通り、剥離層7を厚さ方向に貫通する。剥離層7を貫通した先端部13はそれぞれ、帯状シート体2の一端部2aにおける両面テープ3の下面3bに当接し、帯状シート体2を押し上げる。これにより、帯状シート体2の一端部2aにおける両面テープ3と剥離層7との接する面同士が互いに離れる。そして、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3が一体になっている帯状シート体2の一端部2aを、剥離層7から剥がす方向に引っ張ることで、両面テープ3の下面3bから剥離層7を剥がす。言い換えれば、剥離層7から帯状シート体2を剥がす。
【0037】
帯状シート体2は幅が狭いため、例えば二軸シリンダなどで軟質ウレタンフォーム層5を上方(ウレタンシート材1の面と直交する方向)へ引っ張ると、剥離層7から両面テープ3を剥がす際に生じる抵抗、すなわち剥離力が強く、軟質ウレタンフォーム層5が千切れ易い。この点、剥離層剥がし具10によって帯状シート体2の一端部2aを押し上げることにより、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3を一体にして一端部2aを引っ張ることができる。よって、軟質ウレタンフォーム層5が千切れることなく、帯状シート体2を剥離層7から容易に引き剥がすことができる。さらに、隣接する帯状シート体2の両面テープ3の粘着層同士が付着していても、帯状シート体2ごとに軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3を一体に引っ張ることで、剥離層7から帯状シート体2をきれいに引き剥がすことができる。
【0038】
また、軟質ウレタンフォーム層5を引っ張るときの剥離力を低減するために、例えば多軸ロボットのハンドで軟質ウレタンフォーム層5をつまんで、剥離力が下がる方向にひねりながら剥がすことが考えられる。この点、剥離層剥がし具10によって帯状シート体2の一端部2aを押し上げることで、帯状シート体2をひねらなくても容易に帯状シート体2を上方に引っ張って剥離層7から引き剥がすことができる。したがって、多軸ロボットと比較して安価な二軸シリンダを用いることができるため、装置の費用削減を図ることができる。
【0039】
<剥離層剥がし具の構成(第2実施形態)>
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係る剥離層剥がし具30は、
図5を参照として、両面テープ3と一体に面したウレタンシート材8の剥離層7を剥がす、剥離層剥がし具である。本実施形態に係る剥離層剥がし具30の構成とウレタンシート材8の構成のうち、第1実施形態と実質的に同様の構成及び作用効果については、説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0040】
ウレタンシート材8は、
図5に示すように、両面テープ3と、軟質ウレタンフォーム層5と、剥離層7を含んでいる。軟質ウレタンフォーム層5は、両面テープ3の上面3a(一方の面)に、両面テープ3の粘着剤によって面接着されている。剥離層7は、両面テープ3の下面3b(他方の面)に積層されている。ウレタンシート材8は、複数の帯状シート体9が構成されている。そして、帯状シート体9の長手方向において、剥離層7の端縁部7aが帯状シート体9の一端部9aよりも外側に位置するように長く延出している。
【0041】
剥離層剥がし具30は、針部12と、針部12を設置する針台14とを備えている。針部12および針台14の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また剥離層剥がし具30は、ウレタンシート材8を保持する保持機構として、載置台31と、第1押さえ部33と第2押さえ部34を備えている。
【0042】
載置台31は板状部材からなり、その表面にウレタンシート材8を載置する載置面31aを有している。また載置台31には、載置台31を厚さ方向に貫通した複数の針孔36が形成されている。針孔36は、載置面31aに載置されるウレタンシート材8における帯状シート体9の一端部9aの位置に合わせて、直線上に整列するように設けられている。針孔36は、針部12を通すことができる大きさに設定されている。
【0043】
第1押さえ部33は、例えば角棒状部材からなり、ウレタンシート材8の短辺に沿って少なくともウレタンシート材8の短辺の長さに亘って延びている。第1押さえ部33は、載置台31の上側かつ針孔36の列より外側(
図5における左側)で上下方向に進退移動可能に支持されている。そして、第1押さえ部33が載置面31aと近接することにより、剥離層7の端縁部7aの上面と当接して第1押さえ部33と載置面31aの間で剥離層7の端縁部7aを挟むように保持する構成となっている。第1押さえ部33と載置台31は、延出した剥離層7の端縁部7aを、ウレタンシート材8の厚さ方向における移動を規制するように保持する、第1保持部として機能する。
【0044】
第2押さえ部34は、例えば角棒状部材からなり、ウレタンシート材8の短辺に沿って少なくともウレタンシート材8の短辺の長さに亘って延びている。第2押さえ部34は、載置台31の上側において上下方向に進退移動可能に支持されている。そして、第2押さえ部34が載置面31aと近接することにより、軟質ウレタンフォーム層5の上面と当接して第2押さえ部34と載置面31aの間でウレタンシート材8を挟むように保持する構成となっている。第2押さえ部34と載置台31は、帯状シート体9の長手方向における一端部9aより内側(
図5における右側)において、ウレタンシート材8を、ウレタンシート材8の厚さ方向における移動を規制するように保持する、第2保持部として機能する。
【0045】
載置台31、第1押さえ部33、第2押さえ部34は、上記構成により、ウレタンシート材8のうち剥離層7側の面を面内方向における移動を規制するように保持する。
【0046】
また、載置台31に位置決め板(不図示)を設置しても良い。例えばウレタンシート材8を載置したときに、剥離層7の端縁部7aが針孔36の列より外側に位置し、かつ帯状シート体9の一端部9aがそれぞれ針孔18の上に位置するように、針孔36の列の方向に沿って位置決め板を一つ配置する。さらにウレタンシート材8の長辺に沿って位置決め板を一つ配置する。これにより、剥離層7の端縁部7aとウレタンシート材8の長辺をそれぞれの位置決め板に合わせることで、ウレタンシート材8を載置面31a上の定位置に配置できる。
【0047】
<剥離層剥がし工程(第2実施形態)>
次に、第2実施形態に係る、上記剥離層剥がし具30を用いた、上記ウレタンシート材8の剥離層7を剥がす剥離層剥がし方法について説明する。
【0048】
両面テープ付きのウレタンシート材8を、剥離層7側の面が載置台31の載置面31aに面するように載置台31に配置する。
図5に示すように、ウレタンシート材8は、剥離層7の端縁部7aが針孔36の列より外側(
図5における左側)に位置するとともに、帯状シート体9の一端部9aがそれぞれ針孔36の上に位置するように載置される。第1押さえ部33を剥離層7の端縁部7aと当接するように下降させて、第1押さえ部33と載置面31aの間で剥離層7の端縁部7aを挟むように保持する。第2押さえ部34を軟質ウレタンフォーム層5の上面と当接するように下降させて、第2押さえ部34と載置面31aとの間でウレタンシート材8を挟むように保持する。これにより、ウレタンシート材8の位置が固定される。
【0049】
針台14を載置台31の裏面31bに向かって上昇させる。これにより、ウレタンシート材1の剥離層7と針台14に設置された針部12との間が近接する。そしてそれぞれの針部12の先端部13が載置台31のそれぞれの針孔36を通り、剥離層7を厚さ方向に貫通する。剥離層7を貫通した先端部13はそれぞれ、帯状シート体9の一端部9aにおける両面テープ3の下面3bに当接し、帯状シート体9を押し上げる。これにより、帯状シート体9の一端部9aにおける両面テープ3と剥離層7との接する面同士が互いに離れる。そして、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3が一体になっている帯状シート体9の一端部9aを、剥離層7から剥がす方向に引っ張ることで、両面テープ3の下面3bから剥離層7を剥がす。言い換えれば、剥離層7から帯状シート体9を剥がす。
【0050】
<実施形態の効果>
上記第1と第2の実施形態によれば、ウレタンシート材1,8は、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3が剥離層7を残して切り込まれた断面構造を有している。剥離層剥がし具10の針部12は、剥離層7を厚さ方向に貫通可能な先端部13を有している。ウレタンシート材1,8の剥離層7側の面と針部12との間が近接することで、針部12の先端部13が剥離層7を厚さ方向に貫通する。剥離層7を貫通した先端部13は、両面テープ3の下面3b(他方の面)に当接し、両面テープ3を貫通することなく両面テープ3と軟質ウレタンフォーム層5の一部を押す。これにより、両面テープ3と剥離層7の接する面同士が一部において離れ、両面テープ3の下面3bから剥離層7を剥がすことができる。このとき軟質ウレタンフォーム層5は両面テープ3と一体に押されるため、軟質ウレタンフォーム層5が千切れることなく、ウレタンシート材1,8から容易に剥離層7を剥がすことができる。
【0051】
上記第1と第2の実施形態に係るウレタンシート材1,8は、軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3が剥離層7を残して切り込まれた複数の帯状シート体2,9が構成されている。帯状シート体2,9の長手方向における一端部2a,9aに対して針部12が近接することで、針部12の先端部13は、剥離層7を厚さ方向に貫通する。剥離層7を貫通した先端部13は、帯状シート体2,9の一端部2a,9aにおける両面テープ3の下面3b(他方の面)に当接し、帯状シート体2,9を押す。これにより、帯状シート体2,9の一端部2a,9aにおける両面テープ3と剥離層7との接する面同士が互いに離れ、両面テープ3の下面3bから剥離層7を剥がすことができる。このとき軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3が一体に押されるため、幅が狭く引っ張り力が弱い帯状シート体2,9であっても、軟質ウレタンフォーム層5が千切れることなく容易に剥離層7を剥がすことができる。さらに、隣接する帯状シート体2,9の両面テープ3の粘着層が互いに付着していても、容易に帯状シート体2,9ごとに剥離層7を剥がすことができる。
【0052】
上記第1実施形態に係る剥離層剥がし具10は、吸着台16(保持機構)と針台14のうち少なくとも一方が、ウレタンシート材1の剥離層7側の面と先端部13を近接離間させるようにウレタンシート材1の厚さ方向に進退移動可能な構成とされる。針台14に設置された針部12の先端部13は、吸着台16が保持するウレタンシート材1の剥離層7側の面と対向する。ウレタンシート材1は、吸着台16によって剥離層7側の面の面内方向における移動が規制される。これにより、ウレタンシート材1の位置が固定された状態で、ウレタンシート材1の剥離層7側の面における一定の位置に向かって、針台14に設置された針部12の先端部13を近接させることができる。すなわち針部12の先端部13が剥離層7を貫通してから、剥離層7を両面テープ3の他方の面から剥がすまでの間、ウレタンシート材1の面内方向の位置ずれを抑制できる。第2実施形態に係る剥離層剥がし具30の載置台31と針台14も、同様の作用効果を有する。
【0053】
上記第1実施形態に係る剥離層剥がし具10は、ウレタンシート材1を剥離層7側から吸着保持する吸着台16(保持機構)を備えている。吸着台16に配置されたウレタンシート材1は、剥離層7側の面が吸着される。これにより、剥離層7に対して針部12の先端部13を貫通させるときに、剥離層7が定位置からずれることを抑制できる。また、吸着台16には、針部12の先端部13を通す複数の針孔18が設けられている。帯状シート体2の一端部2aが針孔18と重なるように、吸着台16にウレタンシート材1を配置して固定することで、針孔18を介して一定の位置で先端部13によって帯状シート体2の一端部2aを押し上げることができる。
【0054】
上記第2実施形態に係る剥離層剥がし具30は、ウレタンシート材8を保持する保持機構として、載置台31(第1保持部、第2保持部)と、第1押さえ部33(第1保持部)と、第2押さえ部34(第2保持部)を備えている。またウレタンシート材8は、帯状シート体9の一端部9aより長く延出した剥離層7の端縁部7aを有している。剥離層7の端縁部7aは、載置台31と第1押さえ部33によってウレタンシート材8の厚さ方向における移動が規制される。これにより、剥離層7に対して針部12の先端部13を貫通させるときに、剥離層7の端縁部7aが定位置からずれることを抑制できる。さらにウレタンシート材8は、帯状シート体9の長手方向における一端部9aより内側において、載置台31と第2押さえ部34によってウレタンシート材8の厚さ方向における移動が規制される。このように、帯状シート体9の一端部9aを間に位置させる2か所で剥離層7を保持することによって、剥離層7の位置ずれをより抑制できる。よって、ウレタンシート材8の位置を安定させた状態で針部12の先端部13を剥離層7に通し、先端部13によって帯状シート体9の一端部9aを押すことができる。
【0055】
上記第1と第2の実施形態に係る針台14には、複数の針部12が、複数の帯状シート体2,9の一端部2a,9aとそれぞれ近接離間するように整列して配設されている。この構成により、複数の針部12とウレタンシート材1,8の剥離層7との間を近接させることで、複数の針部12の先端部13によって複数の帯状シート体2,9の一端部2a,9aを同時に押すことができる。よって、剥離層7を剥がす工程の効率化を図ることができる。
【0056】
上記第1と第2の実施形態に係るウレタンシート材1,8の剥離層7を剥がす、剥離層剥がし方法によれば、ウレタンシート材1,8の剥離層7側の面と針部12との間を近接することで、針部12の先端部13が剥離層7を厚さ方向に貫通する。剥離層7を貫通した先端部13は、両面テープ3の下面3b(他方の面)に当接し、両面テープ3を貫通することなく両面テープ3と軟質ウレタンフォーム層5の一部を押す。これにより、両面テープ3と剥離層7の接する面同士が一部において離れ、両面テープ3の下面3bから剥離層7を剥がすことができる。このとき軟質ウレタンフォーム層5は両面テープ3と一体に押されるため、軟質ウレタンフォーム層5が千切れることなく、ウレタンシート材1,8から容易に剥離層7を剥がすことができる。
【0057】
上記第1と第2の実施形態に係る剥離層剥がし具および剥離層剥がし方法によれば、帯状シート体2,9の一端部2aにおける軟質ウレタンフォーム層5と両面テープ3が一体に押し上げられる。これにより、剥離力がより強く働く方向、すなわちウレタンシート材1の面と直交する方向に帯状シート体2,9を引っ張っても、軟質ウレタンフォーム層5が千切れることなく、きれいに剥離層7から帯状シート体2,9を剥がすことができる。さらに、帯状シート体2,9を引っ張る際に二軸シリンダなどで対応できるため、軟質ウレタンフォーム層5を引っ張る際の剥離力を低減するために多軸ロボットなどを用いる場合に比べて、装置の費用を抑えることができる。
【0058】
本発明に係る剥離層剥がし具および剥離層剥がし方法は、上記実施形態において説明した外観、構成に限られず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除、構成の組み合わせにより、その他各種の形態で実施できるものである。
【0059】
上記第1実施形態に係る剥離層剥がし具10は、針台14が進退移動な構成である例を示したが、これに限られず、例えば、吸着台16(保持機構)が進退移動可能な構成としても良い。また、針台14と吸着台16がともに進退移動可能な構成としても良い。
【0060】
上記第1と第2の実施形態に係る針台14は、複数の針部12が設置され、複数の帯状シート体2,9の一端部2a,9aに対してそれぞれの針部12が同時に近接する構成である。これに限られず、例えば1つの針部12を設けた針台が針孔18,36の列の方向に沿って移動して、帯状シート体2,9の一端部2a,9aを一つずつ押し上げる構成としても良い。
【0061】
上記第1と第2の実施形態に係るウレタンシート材1,8は、帯状シート体2,9が構成された例を示したが、本発明に係るウレタンシート材には、帯状シート体2,9より広い間隔で軟質ウレタンフォーム層と両面テープが切り込まれたものも含まれる。また軟質ウレタンフォーム層と両面テープが切り込まれる方向は、ウレタンシート材の長辺と短辺のいずれの方向でも良い。
【符号の説明】
【0062】
1 ウレタンシート材
2 帯状シート体
2a 一端部
3 両面テープ
3a 上面(一方の面)
3b 下面(他方の面)
5 軟質ウレタンフォーム層
7 剥離層
7a 端縁部
8 ウレタンシート材
9 帯状シート体
9a 一端部
10 剥離層剥がし具
12 針部
13 先端部
14 針台
16 吸着台(保持機構)
18 針孔
21 第1の位置決め板
22 第2の位置決め板
30 剥離層剥がし具
31 載置台(保持機構の第1保持部、第2保持部)
33 第1押さえ部(保持機構の第1保持部)
34 第2押さえ部(保持機構の第2保持部)
36 針孔