(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024006456
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】衝突危険物体検出装置、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240110BHJP
G01S 15/931 20200101ALI20240110BHJP
G01S 15/86 20200101ALI20240110BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G01S15/931
G01S15/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107329
(22)【出願日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 仁史
【テーマコード(参考)】
5H181
5J083
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181FF27
5H181LL02
5J083AA02
5J083AB13
5J083AC28
5J083AD01
5J083AD04
5J083AE01
5J083AE08
5J083AF07
5J083AG05
5J083BA01
5J083CA01
(57)【要約】
【課題】車両周辺にある物体の位置に影響されることなく、精度よく衝突危険物体を検出する衝突危険物体検出装置、プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】ソナーセンサ20と、車両Vの後方の画像から路上静止物Sを検出し、路上静止物Sの位置を算出する路上静止物検出部30と、車両Vの後退走行により路上静止物検出部30において路上静止物Sが検出できなくなったとき、路上静止物検出部30において最後に検出された路上静止物Sの位置と、車両Vの走行速度情報と舵角情報とに基づいて路上静止物Sの位置を推定し、ソナーセンサ20の中心軸と推定した路上静止物Sの位置との間の角度θを算出する位置推定部60と、角度θに基づいてセンサ出力値の感度低下を補正する補正部70と、補正部70において補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定する衝突危険物体判定部80と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を撮像した画像から路上静止物を検出し、前記路上静止物の位置を算出する路上静止物検出部と、
前記路上静止物からの反射波を受信し、前記反射波に応じたセンサ出力値を出力するソナーセンサと、
前記車両の後退走行により前記路上静止物検出部において前記路上静止物が検出できなくなったとき、前記路上静止物検出部において最後に検出された前記路上静止物の位置と前記車両の走行速度情報と舵角情報とに基づいて前記路上静止物の位置を推定し、前記ソナーセンサの中心軸と推定した前記路上静止物の位置との間の角度を算出する位置推定部と、
該算出された角度に基づいて、前記センサ出力値の感度低下を補正する補正部と、
前記補正部において補正されたセンサ出力値に基づいて、前記路上静止物が衝突危険物体であるか否かを判定する衝突危険物体判定部と、
を備えることを特徴とする衝突危険物体検出装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記位置推定部において算出された前記角度における前記センサ出力値の感度補正量に基づいて、前記センサ出力値を補正することを特徴とする請求項1に記載の衝突危険物体検出装置。
【請求項3】
前記ソナーセンサの中心軸の向きを変更する方向制御部を備え、
前記補正部は、前記方向制御部に対して、前記ソナーセンサの中心軸の向きが前記角度となるように制御量を出力して、前記センサ出力値の感度低下を補正することを特徴とする請求項1に記載の衝突危険物体検出装置。
【請求項4】
前記衝突危険物体判定部は、前記補正部において補正されたセンサ出力値が所定の閾値より大きい場合に、前記路上静止物が衝突危険物体であると判定することを特徴とする請求項2または3に記載の衝突危険物体検出装置。
【請求項5】
路上静止物検出部と、ソナーセンサと、位置推定部と、補正部と、衝突危険物体判定部と、を備えた衝突危険物体検出装置における衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記路上静止物検出部が、車両の後方を撮像した画像から路上静止物を検出し、前記路上静止物の位置を算出する第1の工程と、
前記ソナーセンサが、前記路上静止物からの反射波を受信し、前記反射波に応じたセンサ出力値を出力する第2の工程と、
前記位置推定部が、前記車両の後退走行により前記路上静止物検出部において前記路上静止物が検出できなくなったとき、前記路上静止物検出部において最後に検出された前記路上静止物の位置と前記車両の走行速度情報と舵角情報とに基づいて前記路上静止物の位置を推定し、ソナーセンサの中心軸と推定した前記路上静止物の位置との間の角度を算出する第3の工程と、
前記補正部が、該算出された角度に基づいて、前記センサ出力値の感度低下を補正する第4の工程と、
前記衝突危険物体判定部が、前記補正部において補正されたセンサ出力値に基づいて、前記路上静止物が衝突危険物体であるか否かを判定する第5の工程と、
を備える衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
路上静止物検出部と、ソナーセンサと、位置推定部と、補正部と、衝突危険物体判定部と、を備えた衝突危険物体検出装置における衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体であって、
前記路上静止物検出部が、車両の後方を撮像した画像から路上静止物を検出し、前記路上静止物の位置を算出する第1の工程と、
前記ソナーセンサが、前記路上静止物からの反射波を受信し、前記反射波に応じたセンサ出力値を出力する第2の工程と、
前記位置推定部が、前記車両の後退走行により前記路上静止物検出部において前記路上静止物が検出できなくなったとき、前記路上静止物検出部において最後に検出された前記路上静止物の位置と前記車両の走行速度情報と舵角情報とに基づいて、前記路上静止物の位置を推定し、ソナーセンサの中心軸と推定した前記路上静止物の位置との間の角度を算出する第3の工程と、
前記補正部が、該算出された角度に基づいて、前記センサ出力値の感度低下を補正する第4の工程と、
前記衝突危険物体判定部が、前記補正部において補正されたセンサ出力値に基づいて、前記路上静止物が衝突危険物体であるか否かを判定する第5の工程と、
を備える衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突危険物体検出装置、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転者の車両操作における負担を軽減させつつ、車両の安全走行を支援する運転支援システムが実用化され、広く普及している。
例えば、運転者が車両を後退させるときに、車両周辺にある物体を検出し、その物体が衝突危険物体である場合には、運転者に対して注意喚起を行う運転支援システムが知られている。
例えば、車両周辺の衝突危険物体を検出する運転支援システムとして、車両周辺を撮像するカメラとソナーセンサとを備え、カメラにより撮像した車両周辺の画像およびソナーセンサのセンサ出力値とに基づいて、衝突危険物体を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、カメラはソナーセンサに比べ、至近距離にある物体の検知性能が劣るため、車両の位置に対して、中距離から近距離の位置にある物体は、カメラ画像に基づいて検出され、近距離から至近距離の位置にある物体は、超音波ソナーのセンサ出力に基づいて検出される。
【0005】
しかしながら、ソナーセンサの検出感度には指向性が存在するため、例えば、ソナーセンサの視野角端部に近い方向にある物体の検出精度が低下するという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、車両周辺にある物体の位置に影響されることなく、精度よく衝突危険物体を検出する衝突危険物体検出装置、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、車両の後方を撮像した画像から路上静止物を検出し、前記路上静止物の位置を算出する路上静止物検出部と、前記路上静止物からの反射波を受信し、前記反射波に応じたセンサ出力値を出力するソナーセンサと、前記車両の後退走行により前記路上静止物検出部において前記路上静止物が検出できなくなったとき、前記路上静止物検出部において最後に検出された前記路上静止物の位置と前記車両の走行速度情報と舵角情報とに基づいて前記路上静止物の位置を推定し、前記ソナーセンサの中心軸と推定した前記路上静止物の位置との間の角度を算出する位置推定部と、該算出された角度に基づいて、前記センサ出力値の感度低下を補正する補正部と、前記補正部において補正されたセンサ出力値に基づいて、前記路上静止物が衝突危険物体であるか否かを判定する衝突危険物体判定部と、を備える衝突危険物体検出装置を提案している。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記補正部は、前記位置推定部において算出された前記角度における前記センサ出力値の感度補正量に基づいて、前記センサ出力値を補正する衝突危険物体検出装置を提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ソナーセンサの中心軸の向きを変更する方向制御部を備え、前記補正部は、前記方向制御部に対して、前記ソナーセンサの中心軸の向きが前記角度となるように制御量を出力して、前記センサ出力値の感度低下を補正する衝突危険物体検出装置を提案している。
【0010】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記衝突危険物体判定部は、前記補正部において補正されたセンサ出力値が所定の閾値より大きい場合に、前記路上静止物が衝突危険物体であると判定する衝突危険物体検出装置を提案している。
【0011】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、路上静止物検出部と、ソナーセンサと、位置推定部と、補正部と、衝突危険物体判定部と、を備えた衝突危険物体検出装置における衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記路上静止物検出部が、車両の後方を撮像した画像から路上静止物を検出し、前記路上静止物の位置を算出する第1の工程と、前記ソナーセンサが、前記路上静止物からの反射波を受信し、前記反射波に応じたセンサ出力値を出力する第2の工程と、前記位置推定部が、前記車両の後退走行により前記路上静止物検出部において前記路上静止物が検出できなくなったとき、前記路上静止物検出部において最後に検出された前記路上静止物の位置と前記車両の走行速度情報と舵角情報とに基づいて前記路上静止物の位置を推定し、ソナーセンサの中心軸と推定した前記路上静止物の位置との間の角度を算出する第3の工程と、前記補正部が、該算出された角度に基づいて、前記センサ出力値の感度低下を補正する第4の工程と、前記衝突危険物体判定部が、前記補正部において補正されたセンサ出力値に基づいて、前記路上静止物が衝突危険物体であるか否かを判定する第5の工程と、を備える衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0012】
形態6;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、路上静止物検出部と、ソナーセンサと、位置推定部と、補正部と、衝突危険物体判定部と、を備えた衝突危険物体検出装置における衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体であって、前記路上静止物検出部が、車両の後方を撮像した画像から路上静止物を検出し、前記路上静止物の位置を算出する第1の工程と、前記ソナーセンサが、前記路上静止物からの反射波を受信し、前記反射波に応じたセンサ出力値を出力する第2の工程と、前記位置推定部が、前記車両の後退走行により前記路上静止物検出部において前記路上静止物が検出できなくなったとき、前記路上静止物検出部において最後に検出された前記路上静止物の位置と前記車両の走行速度情報と舵角情報とに基づいて、前記路上静止物の位置を推定し、ソナーセンサの中心軸と推定した前記路上静止物の位置との間の角度を算出する第3の工程と、前記補正部が、該算出された角度に基づいて、前記センサ出力値の感度低下を補正する第4の工程と、前記衝突危険物体判定部が、前記補正部において補正されたセンサ出力値に基づいて、前記路上静止物が衝突危険物体であるか否かを判定する第5の工程と、を備える衝突危険物体の検出方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能な非一過性の記録媒体を提案している。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、車両周辺にある物体の位置に影響されることなく、精度よく衝突危険物体を検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置のカメラおよびソナーセンサの位置を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の路上静止物検出部が検出する路上静止物の位置情報を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の位置推定部が算出する路上静止物の位置情報を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の位置推定部が算出する角度を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置のソナーセンサの検出感度を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の処理のフローを示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の処理のフローを示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の構成を示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る衝突危険物体検出装置のソナーセンサの向きの制御を示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る衝突危険物体検出装置の処理のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図11を用いて説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1から
図8を用いて、本実施形態に係る衝突危険物体検出装置1について説明する。
【0017】
<衝突危険物体検出装置1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係る衝突危険物体検出装置1は、撮像部10と、ソナーセンサ20と、路上静止物検出部30と、走行速度検出部40と、舵角検出部50と、位置推定部60と、補正部70と、衝突危険物体判定部80と、制御部90と、を含んで構成されている。
【0018】
撮像部10は、例えば、広角単眼カメラで構成され、車両後方の画像を撮像し、その画像を後述する路上静止物検出部30に送信する。
図2に示すように、撮像部10は、例えば、車両Vの後方中央部に配設され、車両Vの後方の画像を撮像する。
なお、撮像部10は、運転者が車両Vを後退させる操作を行ったとき(例えば、リバースの位置にシフトチェンジしたとき)、車両後方の画像の撮像を開始し、撮像した画像を路上静止物検出部30に送信するようにしてもよい。
【0019】
ソナーセンサ20は、路上静止物からの反射波を受信し、反射波に応じたセンサ出力値を出力する。
具体的には、ソナーセンサ20は、超音波ソナーセンサで構成され、
図2に示す、破線の扇形の範囲にある路上静止物Sからの反射波を検出して、検出した反射波の音圧の大きさに応じたセンサ出力値を出力する。
ソナーセンサ20は、検出したセンサ出力値を補正部70に送信する。
なお、使用するソナーセンサの性能(検出可能範囲)によっては、車両Vの後方部に、ソナーセンサを複数配設してもよい。
【0020】
路上静止物検出部30は、撮像部10から送信された車両Vの後方を撮像した画像から、路上静止物Sを検出し、路上静止物の位置を算出する。
ここで、路上静止物検出部30は、撮像部10から送信された画像から、車両Vの後方にある、例えば、ブロックや柱等の静止している路上静止物Sを検出し、路上静止物Sの位置を算出する。
具体的には、路上静止物検出部30は、
図2に示す、実線の扇形の範囲にある路上静止物Sを検出し、路上静止物Sの位置を算出する。
【0021】
ここで、
図3を用いて、路上静止物検出部30が算出する路上静止物Sの位置の詳細について説明する。
路上静止物検出部30は、車両Vの後方に路上静止物Sを検出したときに、路上静止物Sの位置を示す位置情報(X
0、Y
0)を算出する。
具体的には、路上静止物検出部30は、撮像部10から送信された画像から、撮像部10(カメラ)が配設されている位置を基準にした、路上静止物Sの位置情報(X
0、Y
0)を算出する。
より具体的には、路上静止物検出部30は、撮像部10の位置を原点(0,0)とし、カメラの中心軸(撮像する画像の中心方向)とカメラの中心軸に直交するカメララインとで構成される平面における路上静止物Sの位置情報(X
0、Y
0)を算出する。
なお、路上静止物検出部30は、撮像部10から送信された画像から路上静止物Sが検出している間は、継続的に位置情報(X
0、Y
0)を算出する。
また、路上静止物検出部30は、撮像部10から送信された画像から、検出されていた路上静止物Sが検出できなくなったときには、路上静止物Sが検出できなくなった旨の情報を、後述する位置推定部60に送信する。
【0022】
走行速度検出部40は、車両Vの走行速度情報を検出し、位置推定部60に送信する。
具体的には、走行速度検出部40は、走行速度情報として、例えば、車両Vの車速パルス信号等に基づいて、車両Vの走行速度を検出する。
【0023】
舵角検出部50は、車両Vの運転者が操作するハンドルの現在の舵角を検出し、その舵角情報を位置推定部60に送信する。
具体的には、舵角検出部50は、例えば、ハンドルに配設された回転角センサ等の出力に基づいて、ハンドルの舵角を検出する。
【0024】
位置推定部60は、車両Vの後退走行により路上静止物検出部30において路上静止物Sが検出できなくなったときに、路上静止物検出部30において、最後に検出された路上静止物Sの位置と車両Vの走行速度情報と舵角情報とに基づいて、現在の路上静止物Sの位置を推定し、ソナーセンサ20の中心軸と推定した路上静止物Sの位置との間の角度θを算出する。
位置推定部60は、路上静止物検出部30から受信した、撮像部10の位置を基準とした路上静止物Sの位置情報を、ソナーセンサ20の位置を原点とした路上静止物Sの位置情報を算出する。
具体的には、
図4に示すように、位置推定部60は、ソナーセンサ20の位置を原点(0,0)とし、ソナーセンサの中心軸とソナーセンサの中心軸に直交するソナーセンサラインとで構成される平面における路上静止物Sの位置情報(X
1、Y
1)を算出する。
位置推定部60は、図示しないメモリに予め格納されている、撮像部10およびソナーセンサ20の配設位置情報(相対的な位置情報)と、路上静止物検出部30から受信した位置情報(X
0、Y
0)とに基づいて、位置情報(X
1、Y
1)を算出する。
図5は、車両Vが後退走行することにより、路上静止物Sの位置がP0→P1→P2と移動した場合を例示した図であるが、位置推定部60は、路上静止物検出部30から、路上静止物Sが検出できなくなった旨の情報を受信すると、最後に算出した路上静止物Sの位置情報(X
S、Y
S)と、走行速度検出部40から取得した車両Vの走行速度情報と、舵角検出部50から取得したハンドルの舵角情報とに基づいて、現在の路上静止物Sの位置情報(X
2、Y
2)を算出する。
つまり、位置推定部60は、最後に検出された路上静止物Sの位置P1の位置情報(X
S、Y
S)を起点にし、車両Vの走行速度情報とハンドルの舵角情報とに基づいて、現在の路上静止物Sの位置P2の位置情報(X
2、Y
2)を算出する。
位置推定部60は、算出した位置情報(X
2、Y
2)から、ソナーセンサ20の中心軸と推定した路上静止物Sの位置との間の角度θを算出し、その算出結果を補正部70に送信する。
なお、車両Vの後方部に、ソナーセンサ20が複数配置されている場合には、位置推定部60は、算出された路上静止物Sの位置との距離が一番近いソナーセンサを基準とした位置情報(X
2、Y
2)および角度θを算出する。
また、位置推定部60は、ソナーセンサ20が複数配置されている場合には、路上静止物Sの位置を推定したときに基準としたソナーセンサを識別できる情報を、補正部70に送信する。
【0025】
補正部70は、位置推定部60において算出された角度θにおける、センサ出力値の感度補正量に基づいて、ソナーセンサ20のセンサ出力値を補正する。
補正部70は、補正したセンサ出力値を、衝突危険物体判定部80に送信する。
なお、補正部70は、路上静止物検出部30において、路上静止物Sが検出できているときは、ソナーセンサ20のセンサ出力値を補正せずに、ソナーセンサ20から取得したセンサ出力値を衝突危険物体判定部80に送信する。
【0026】
ここで、補正部70における、ソナーセンサ20のセンサ出力値の補正について説明する。
ソナーセンサ20のセンサ出力値には、指向性が存在する。
図6は、ソナーセンサの中心軸におけるセンサの検出感度を0dBとしたとき、ソナーセンサの中心軸からの角度によって検出感度がどのように変化するかを示した例である。
具体的には、ソナーセンサ20は、ソナーセンサの中心軸では、センサの検出感度が高いため、センサ出力値が大きくなり、ソナーセンサの中心軸からの角度が大きくなると、センサの検出感度が低くなるため、センサ出力値が小さくなる。
つまり、ソナーセンサ20と路上静止物Sとの距離が同じであっても、ソナーセンサ20の中心軸と路上静止物Sの位置との間の角度により、ソナーセンサ20のセンサ出力値の大きさが変化する。
そのため、補正部70は、路上静止物検出部30から、検出されていた路上静止物Sが検出できなくなった旨の情報を受信したとき、位置推定部60から受信した角度θにおけるセンサ出力値の感度補正量に基づいて、ソナーセンサ20から取得したセンサ出力値を補正する。
図6に示すように、例えば、路上静止物Sが、ソナーセンサ20の中心軸から40(deg)ずれた方向にある場合(角度θ=40deg)には、ソナーセンサ20のセンサの検出感度が、ソナーセンサ20の中心軸における検出感度に比べ、6dB低下する。
そのため、補正部70は、ソナーセンサ20から取得したセンサ出力値を+6dBする補正を行う。
ここで、車両Vの後方に、ソナーセンサ20が複数配置されている場合、補正部70は、位置推定部60が角度θを算出したときに基準としたソナーセンサから、センサ出力値を取得し、センサ出力値を補正する。
【0027】
衝突危険物体判定部80は、補正部70において補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定する。
衝突危険物体判定部80は、補正部70において補正されたセンサ出力値が、所定の閾値より大きい場合に、路上静止物Sが衝突危険物であると判定する。
衝突危険物体判定部80は、判定結果を、制御部90に送信する。
【0028】
制御部90は、図示しないROM等に格納された制御プログラムに従って、衝突危険物体検出装置1全体の動作を制御する。
本実施形態においては、制御部90は、例えば、衝突危険物体判定部80において、路上静止物Sが衝突危険物体であると判定されたとき、車両Vの運転者に対して、警告音の出力や、衝突の注意喚起を行う表示を行う。
ここで、制御部90は、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得し、路上静止物Sとソナーセンサ20との距離を算出し、その距離に応じて警告音の種類、警告音の音量、注意喚起の表示内容等を変更するようにしてもよい。
なお、衝突危険物体検出装置1の処理の詳細については、以下に説明する。
【0029】
<衝突危険物体検出装置1の処理>
図7および
図8を用いて、衝突危険物体検出装置1の処理の詳細について説明する。
【0030】
車両Vが、後退走行をしているか否かを判定する(ステップS110)。
具体的には、例えば、制御部90が、シフトレバーの位置情報に基づいて、車両Vが後退走行しているか否かを判定する。
制御部90において、車両Vが、後退走行をしていると判定された場合(ステップS110の「YES」)には、処理をステップS120に移行させる。
一方で、制御部90において、車両Vが、後退走行をしていないと判定された場合(ステップS110の「NO」)には、処理をステップS110に戻し、待機状態に移行する。
【0031】
車両Vが、後退走行をしていると判定された場合(ステップS110の「YES」)には、路上静止物検出部30は、路上静止物Sが検出されているか否かを判定する(ステップS120)。
路上静止物検出部30は、路上静止物Sが検出されていると判定した場合(ステップS120の「YES」)には、処理をステップS130に移行させる。
一方で、路上静止物検出部30は、路上静止物Sが検出されていないと判定した場合(ステップS120の「NO」)には、処理をステップS110に戻し、処理を継続させる。
【0032】
路上静止物検出部30において、路上静止物Sが検出されていると判定された場合(ステップS120の「YES」)には、位置推定部60は、路上静止物Sの位置情報(X1、Y1)を算出し(ステップS130)、処理をステップS140に移行させる。
なお、位置推定部60は、ステップS120において算出された位置情報(X1、Y1)を、図示しないメモリに格納し、路上静止物Sの位置情報(X1、Y1)を算出する毎に、メモリに格納された位置情報を更新する。
つまり、メモリには、最後に算出された位置情報(XS、YS)の値が格納されている。
【0033】
衝突危険物体判定部80は、補正部70から受信したセンサ出力値が所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS140)。
衝突危険物体判定部80は、補正部70から受信したセンサ出力値が所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS140の「YES」)には、処理をステップS150に移行させる。
一方で、衝突危険物体判定部80は、補正部70から受信したセンサ出力値が所定の閾値より小さいと判定した場合(ステップS140の「NO」)には、処理をステップS160に移行させる。
【0034】
衝突危険物体判定部80において、補正部70から受信したセンサ出力値が所定の閾値より大きいと判定された場合(ステップS140の「YES」)には、制御部90は、路上静止物Sが車両Vに対する衝突危険物体であると判定し、車両Vの運転者に対して警告を行い(ステップS150)、処理をステップS160に移行させる。
【0035】
衝突危険物体判定部80において、補正部70から受信したセンサ出力値が所定の閾値より小さいと判定された場合(ステップS140の「NO」)には、路上静止物検出部30は、路上静止物Sが検出されているか否かを判定する(ステップS160)。
つまり、路上静止物検出部30において検出されていた路上静止物Sが、車両Vの後退走行により、撮像部10の撮像エリアの範囲外に移動したか否かを判定する。
路上静止物検出部30は、路上静止物Sが検出されていると判定した場合(ステップS160の「YES」)には、処理をステップS130に戻し、処理を継続させる。
一方で、路上静止物検出部30は、路上静止物Sが検出されていないと判定した場合(ステップS160の「NO」)には、処理をステップS170に移行させる。
【0036】
路上静止物検出部30において、路上静止物Sが検出されていないと判定された場合(ステップS160の「NO」)には、位置推定部60は、現在の路上静止物Sの位置情報(X2、Y2)を算出し、その位置情報に基づいて、角度θを算出する(ステップS170)。
すなわち、位置推定部60は、路上静止物検出部30において検出されていた路上静止物Sが、車両Vの後退走行により、撮像部10の撮像エリアの範囲外に移動したとき、路上静止物Sの位置情報を推定し、角度θを算出する。
なお、位置推定部60は、路上静止物検出部30において路上静止物Sが検出できなくなった旨の情報を受信したとき、ステップS130においてメモリに格納された、最後に検出された路上静止物Sの位置情報(XS、YS)を基準に、現在の路上静止物Sの位置情報(X2、Y2)を算出し、位置情報(X2、Y2)から角度θを算出する。
【0037】
補正部70は、ステップS160において算出された角度θに基づいて、ソナーセンサ20から受信したセンサ出力値を補正し(ステップS180)、処理をステップS190に移行させる。
具体的には、補正部70は、位置推定部60から受信した角度θにおけるソナーセンサのセンサ出力値の感度補正量に基づいて、ソナーセンサ20から取得したセンサ出力値を補正する。
【0038】
衝突危険物体判定部80は、補正部70から受信したセンサ出力値が、所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS190)。
衝突危険物体判定部80は、補正部70から受信したセンサ出力値が、所定の閾値より大きいと判定した場合(ステップS190の「YES」)には、処理をステップS200に移行させる。
一方で、衝突危険物体判定部80は、補正部70から受信したセンサ出力値が、所定の閾値より小さいと判定した場合(ステップS190の「NO」)には、処理をステップS210に移行させる。
【0039】
衝突危険物体判定部80において、補正部70から受信したセンサ出力値が、所定の閾値より大きいと判定された場合(ステップS190の「YES」)には、制御部90は、車両Vの運転者に対して、警告音の出力や、衝突の注意喚起を行う表示等を行い(ステップS200)、処理をステップS210に移行させる。
【0040】
制御部90において、車両Vが、後退走行をしているか否かを判定する(ステップS210)。
制御部90において、車両Vが、後退走行をしていると判定された場合(ステップS210の「YES」)には、処理をステップS170に戻し、処理を継続させる。
一方で、制御部90において、車両Vが、後退走行を継続していないと判定された場合(ステップS210の「NO」)には、処理を終了させる。
【0041】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る衝突危険物体検出装置1は、撮像部10において撮像した車両Vの後方の画像から路上静止物Sを検出し、路上静止物Sの位置を算出する路上静止物検出部30と、路上静止物Sからの反射波を受信し、反射波に応じたセンサ出力値を出力するソナーセンサ20と、車両Vの後退走行により路上静止物検出部30において路上静止物Sが検出できなくなったとき、路上静止物検出部30において最後に検出された路上静止物Sの位置と、車両Vの走行速度情報と舵角情報とに基づいて路上静止物Sの位置を推定し、ソナーセンサ20の中心軸と推定した路上静止物Sの位置との間の角度θを算出する位置推定部60と、角度θに基づいてセンサ出力値の感度低下を補正する補正部70と、補正部70において補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定する衝突危険物体判定部80と、制御部90と、を含んで構成されている。
すなわち、補正部70は、路上静止物検出部30から、検出されていた路上静止物Sが検出できなくなった旨の情報を受信したとき、位置推定部60から受信した角度θにおけるセンサ出力値の感度補正量に基づいて、ソナーセンサ20から取得したセンサ出力値を補正する。
これにより、衝突危険物体判定部80は、補正部70において補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定するため、撮像部10の撮像エリアの範囲外にある路上静止物Sであっても、衝突危険物体であるかを精度よく判定することができ、車両の衝突安全性を向上させることができる。
また、補正部70が、ソナーセンサ20のセンサ出力値を補正するため、衝突危険物体判定部80は、路上静止物Sの位置に関係なく、同じ所定の閾値によって、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定することができる。
【0042】
また、衝突危険物体判定部80において、路上静止物Sが衝突危険物体であると判定されたとき、制御部90が、運転者に対して、警告音の出力や、衝突の注意喚起を行う表示を行うため、車両Vが路上静止物Sに衝突する可能性を低減することができる。
【0043】
また、補正部70は、ソナーセンサ20のFOV端部(視野角端部)に路上静止物Sがあったとしても、角度θにおける感度補正量に基づいて、ソナーセンサ20のセンサ出力値を補正するため、路上静止物Sを見逃すことなく検出することができる。
これにより、ひとつのソナーセンサの検知範囲を広げることができ、車両Vに配置するソナーセンサの数を減らすことができるため、衝突危険物体検出装置1のコストダウンを図ることができる。
さらに、視野角の狭い安価なソナーセンサを用いた場合でも、角度θに基づいて、ソナーセンサ20のセンサ出力値を補正することができるため、視野角の広いソナーセンサと同等の検知性能を発揮することができる。
これにより、視野角の狭い安価なソナーセンサを用いて、衝突危険物体検出装置1を構成することができるため、衝突危険物体検出装置1のコストダウンを図ることができる。
【0044】
<第2の実施形態>
図9から
図11を用いて、本実施形態に係る衝突危険物体検出装置1Aについて説明する。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
<衝突危険物体検出装置1Aの構成>
【0045】
図9に示すように、本実施形態に係る衝突危険物体検出装置1Aは、撮像部10と、ソナーセンサ20と、路上静止物検出部30と、走行速度検出部40と、舵角検出部50と、位置推定部60と、補正部70Aと、衝突危険物体判定部80と、制御部90と、方向制御部100と、を含んで構成されている。
【0046】
補正部70Aは、後述する方向制御部100に対して、ソナーセンサ20の中心軸の向きが角度θとなるように制御量を出力して、センサ出力値の感度低下を補正する。
具体的には、補正部70Aは、方向制御部100に対して、ソナーセンサ20の中心軸の向きが角度θとなるように、ソナーセンサ20の向きを変更する旨の指示を送信し、方向制御部100において、ソナーセンサ20の中心軸の方向が変更された後に、ソナーセンサ20からセンサ出力値を取得する。
補正部70Aは、取得したセンサ出力値を補正されたセンサ出力値として、衝突危険物体判定部80に送信する。
ここで、ソナーセンサが複数配設されている場合には、補正部70Aは、方向制御部100に対して、向きを変更するソナーセンサの識別情報を送信する。
【0047】
方向制御部100は、ソナーセンサ20の中心軸の方向を変更する。
具体的には、方向制御部100は、補正部70Aから受信した角度θに基づいて、ソナーセンサ20の中心軸の方向と、路上静止物Sの方向とが同じになるように、ソナーセンサ20の向きを変更する。
より具体的には、
図10に示すように、方向制御部100は、ソナーセンサ20の中心軸の基準方向と、ソナーセンサ20の中心軸との間の角度がθとなるように、ソナーセンサ20の向きを制御する。
なお、ソナーセンサが複数配設されている場合には、方向制御部100は補正部70Aから指示されたソナーセンサの向きを変更する。
【0048】
<衝突危険物体検出装置1Aの処理>
図11を用いて、衝突危険物体検出装置1Aの処理の詳細について説明する。
なお、以下には、第1の実施形態に係る衝突危険物体検出装置1の処理から変更となった、ステップS300のみを説明する。
【0049】
補正部70Aは、ソナーセンサ20の中心軸の向きを角度θに変更する旨の指示を、方向制御部100に送信し、方向制御部100において、ソナーセンサ20の中心軸の向きが変更された後に、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得する(ステップS300)。
【0050】
<作用効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る衝突危険物体検出装置1Aは、撮像部10において撮像した車両Vの後方の画像から路上静止物Sを検出し、路上静止物Sの位置を算出する路上静止物検出部30と、路上静止物Sからの反射波を受信し、反射波に応じたセンサ出力値を出力するソナーセンサ20と、車両Vの後退走行により路上静止物検出部30において路上静止物Sが検出できなくなったとき、路上静止物検出部30において最後に検出された路上静止物Sの位置と、車両Vの走行速度情報と舵角情報とに基づいて路上静止物Sの位置を推定し、ソナーセンサ20の中心軸と推定した路上静止物Sの位置との間の角度θを算出する位置推定部60と、角度θに基づいて、センサ出力値の感度低下を補正する補正部70Aと、補正部70Aにおいて補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定する衝突危険物体判定部80と、制御部90と、ソナーセンサ20の中心軸の方向を制御する方向制御部100と、を含んで構成されている。
補正部70Aは、方向制御部100に対して、ソナーセンサ20の中心軸の向きが角度θとなるように制御量を出力して、センサ出力値の感度低下を補正する。
つまり、補正部70Aは、ソナーセンサ20の中心軸の方向を位置推定部60において推定された路上静止物Sの位置の方向に変更し、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得する。
そのため、補正部70Aは、ソナーセンサ20のセンサ出力値の検出感度が低下しない角度において、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得することができる。
これにより、衝突危険物体判定部80は、補正部70Aにおいて補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定するため、撮像部10の撮像エリアの範囲外にある路上静止物Sであっても、衝突危険物体であるかを精度よく判定することができ、車両の衝突安全性を向上させることができる。
また、補正部70Aは、ソナーセンサ20のセンサの向きを制御して、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得するため、衝突危険物体判定部80は、路上静止物Sの位置に関係なく、同じ所定の閾値によって、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定することができる。
【0051】
補正部70Aは、ソナーセンサ20のFOV端部(視野角端部)に路上静止物Sがあったとしても、ソナーセンサ20の中心軸の向きが、想定した路上静止物Sの方向に変更されてから、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得するため、ひとつのソナーセンサの検知範囲を広げることができ、車両Vに配置するソナーセンサの数を減らすことができる。
これにより、衝突危険物体検出装置1Aのコストダウンを図ることができる。
また、補正部70Aは、ソナーセンサ20の中心軸の向きが、想定した路上静止物Sの方向に変更されてから、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得するため、FOVの狭い安価なソナーセンサを用いて、衝突危険物体検出装置1Aを構成することができる。
これにより、衝突危険物体検出装置1Aのコストダウンを図ることができる。
【0052】
<変形例1>
上述した路上静止物検出部30は、広角単眼カメラによって撮像された画像から、路上静止物Sを検出する構成を例示したが、路上静止物Sの検出および位置が特定できればよいため、例えば、ステレオカメラ、Lidar、ミリ波レーダ等を用いて、路上静止物Sを検出するようにしてもよい。
これにより、路上静止物Sの位置を検出するときの天候、周囲の明るさ等による影響を少なくすることができるため、路上静止物Sの位置の精度を向上することができる。
また、路上静止物検出部30において路上静止物Sが検出できなくなったとき、位置推定部60は、精度が向上した路上静止物Sの位置情報に基づいて、現在の路上静止物Sの位置情報を算出できるため、路上静止物Sの位置の精度を向上することができる。
【0053】
<変形例2>
上述した衝突危険物体検出装置1、1Aは、車両Vが後退走行するときに、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定する装置であったが、撮像部10およびソナーセンサ20を車両Vの前方部に備え、車両Vが前進走行するときに、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定してもよい。
これにより、運転者からは確認できない、例えば、背の低いブロック等の衝突危険物体を検出することができるため、車両の衝突安全性を向上させることができる。
【0054】
<変形例3>
位置推定部60において想定した路上静止物Sの位置が、方向制御部100において制御できる角度の範囲外であった場合には、補正部70Aは、ソナーセンサ20の中心軸の方向を変化させる補正と、ソナーセンサ20の中心軸と想定した路上静止物Sの位置との角度θにおけるセンサ出力値の感度補正量に基づいたセンサ出力値の補正と、を合わせて行い、センサ出力値の感度低下を補正するようにしてもよい。
具体的には、補正部70Aは、ソナーセンサ20の中心軸の方向を、方向制御部100により制御できる角度の最大に設定し、ソナーセンサ20のセンサ出力値を取得する。
そして、補正部70Aは、その状態におけるソナーセンサ20の中心軸と推定した路上静止物Sの位置との間の角度θ1を算出し、角度θ1におけるセンサ出力値の感度補正量に基づいて、取得したセンサ出力値を補正する。
つまり、位置推定部60において想定した路上静止物Sの位置が、方向制御部100において制御できる角度の範囲外であった場合でも、補正部70Aは、センサ出力値の感度低下を補正することができる。
これにより、衝突危険物体判定部80は、補正部70Aにおいて補正されたセンサ出力値に基づいて、路上静止物Sが衝突危険物体であるか否かを判定するため、路上静止物Sが衝突危険物体であるかを精度よく判定することができ、車両の衝突安全性を向上させることができる。
【0055】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1;衝突危険物体検出装置
1A;衝突危険物体検出装置
10;撮像部
20;ソナーセンサ
30;路上静止物検出部
40;走行速度検出部
50;舵角検出部
60;位置推定部
70;補正部
70A;補正部
80;衝突危険物体判定部
90;制御部
100;方向制御部
V;車両