(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064560
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240507BHJP
B24B 23/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 G
B24B23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173235
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】谷本 聖太
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
【テーマコード(参考)】
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC03
3C064BA06
3C064BA12
3C064BB43
3C064BB79
3C064CA08
3C064CA23
3C064CB06
3C064CB11
3C064CB14
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB64
3C064CB74
3C064CB77
3C064CB91
3C158AA02
3C158AC01
3C158CB03
3C158CB04
(57)【要約】
【課題】作業性の低下を抑制する。
【解決手段】グラインダ10のファンガイド70では、ガイド部72に仕切部76が設けられている。仕切部76は、ガイド部72から後側へ延出された筒状に形成され、仕切部76の後端部がファン収容部24の後壁部24Aに突き当たっている。すなわち、仕切部76が、自身の周方向の全周に亘ってファン収容部24の後壁部24Aに当接して、ファン収容部24の後端部の空間を径方向に仕切っている。これにより、モータ収容部26内を流れた空気流が、ガイド部72とファン収容部24の後壁部24Aとの間の空間内に流れ込むことを抑制できる。その結果、モータ収容部26からファン48へ流入される空気流の流量減少を抑制できる。よって、モータ40やコントローラ50に対する冷却効果の低下を抑制して、グラインダ10の作業を継続することができる。したがって、作業性の低下を抑制することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸に一体回転可能に設けられ、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、
前記回転軸の軸方向に延在された筒状に形成され且つ前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータ収容部よりも大径の筒状に形成され且つ前記モータ収容部の前記軸方向の一方側に配置されると共に前記ファンを収容するファン収容部と、を有するハウジングと、
前記ファン収容部に収容されたファンガイドと、
を備え、
前記ファンガイドは、
前記ファンに対して前記軸方向の他方側に配置され、径方向外側へ流れる前記空気流をガイドするガイド部と、
前記ガイド部から前記軸方向の他方側に延出され、周方向の全周に亘って前記ハウジングに当接して前記ハウジング内の空間を前記回転軸の径方向に仕切る仕切部と、
を含んで構成されている作業機。
【請求項2】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸に一体回転可能に設けられ、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、
前記回転軸の軸方向に延在された筒状に形成され且つ前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータ収容部よりも大径の筒状に形成され且つ前記モータ収容部に対して前記軸方向の一方側に配置されると共に前記ファンを収容するファン収容部と、を有するハウジングと、
前記ファン収容部に収容されたファンガイドと、
を備え、
前記ファンガイドは、
前記ファンに対して前記軸方向の他方側に配置され、径方向外側へ流れる前記空気流をガイドするガイド部と、
前記ガイド部から前記軸方向の他方側に延出され、前記ハウジングと前記軸方向で突き当たり、前記ハウジング内の空間を前記回転軸の径方向に仕切る仕切部と、
を含んで構成されている作業機。
【請求項3】
前記軸方向から見て、前記仕切部が、前記モータ収容部の内周面よりも前記回転軸の径方向外側に位置している請求項1又は請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記ファン収容部は、前記モータ収容部における前記軸方向の一方側端部から前記回転軸の径方向外側へ延出された第1壁部と、前記第1壁部から前記軸方向の一方側へ延出された第2壁部と、を含んで構成されており、
前記仕切部が、前記第1壁部に当接している請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記ガイド部の外周部には、前記第2壁部に嵌め込まれたガイド篏合部が設けられている請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記ファン収容部の前記軸方向の一方側には、前記回転軸を回転可能に支持する支持部材が設けられており、前記支持部材及び前記第1壁部によって、前記ガイド篏合部を前記軸方向に直接的又は間接的に挟み込んでいる請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記第2壁部の内周部には、前記支持部材を固定するための固定部が設けられ、
前記ガイド篏合部には、前記軸方向から見て、前記回転軸の径方向外側へ開放された凹部が形成されており、
前記固定部が前記凹部の内部に配置されている請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記ガイド篏合部は、前記軸方向から見て、前記回転軸の周方向に延在されており、
前記ガイド篏合部の前記回転軸側の面が、整流面として構成され、
前記整流面は、前記回転軸の周方向から見て、前記回転軸の径方向外側へ向かうに従い前記軸方向の一方側へ曲線状に傾斜している請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記仕切部が、前記モータ収容部に嵌め込まれている請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のグラインダ(作業機)では、ファンがモータの回転軸に一体回転可能に設けられており、モータ及びファンがハウジングに収容されている。具体的には、ハウジングは、モータを収容するモータ収容部と、ファンを収容するファン収容部と、を有している。これにより、モータの駆動によってファンが回転することで、グラインダの内部に空気流が発生して、グラインダを作動させるための電子部品やモータを、当該空気流によって冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、グラインダでは、回転軸の軸方向から見た、ファン収容部の外形がモータ収容部の外形よりも大きくなっている。すなわち、ファン収容部が、モータ収容部に対して径方向外側へ拡大した形状になっている。また、グラインダでは、ファンによる空気流をガイドするファンガイドを有するものもあり、ファンガイドは、ファン収容部に収容される。
【0005】
しかしながら、ファンガイドは、ファン収容部に収容すると、モータ収容部からファン収容部側へ流れる空気流が、ファンガイドとファン収容部との間に流れて、流路抵抗が増加しファンへ向かう空気流の流量が減少する。このため、ハウジング内に配置される電子部品やモータに対する冷却性能の低下によって、グラインダによる作業継続が困難となり、作業性が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、作業性の低下を抑制できる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、回転軸を有するモータと、前記回転軸に一体回転可能に設けられ、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、前記回転軸の軸方向に延在された筒状に形成され且つ前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータ収容部よりも大径の筒状に形成され且つ前記モータ収容部の前記軸方向の一方側に配置されると共に前記ファンを収容するファン収容部と、を有するハウジングと、前記ファン収容部に収容されたファンガイドと、を備え、前記ファンガイドは、前記ファンに対して前記軸方向の他方側に配置され、径方向外側へ流れる前記空気流をガイドするガイド部と、前記ガイド部から前記軸方向の他方側に延出され、周方向の全周に亘って前記ハウジングに当接して前記ハウジング内の空間を前記回転軸の径方向に仕切る仕切部と、を含んで構成されている作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、回転軸を有するモータと、前記回転軸に一体回転可能に設けられ、前記モータの駆動によって回転して空気流を生成するファンと、前記回転軸の軸方向に延在された筒状に形成され且つ前記モータを収容するモータ収容部と、前記モータ収容部よりも大径の筒状に形成され且つ前記モータ収容部に対して前記軸方向の一方側に配置されると共に前記ファンを収容するファン収容部と、を有するハウジングと、前記ファン収容部に収容されたファンガイドと、を備え、前記ファンガイドは、前記ファンに対して前記軸方向の他方側に配置され、径方向外側へ流れる前記空気流をガイドするガイド部と、前記ガイド部から前記軸方向の他方側に延出され、前記ハウジングと前記軸方向で突き当たり、前記ハウジング内の空間を前記回転軸の径方向に仕切る仕切部と、を含んで構成されている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記軸方向から見て、前記仕切部が、前記モータ収容部の内周面よりも前記回転軸の径方向外側に位置している作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ファン収容部は、前記モータ収容部における前記軸方向の一方側端部から前記回転軸の径方向外側へ延出された第1壁部と、前記第1壁部から前記軸方向の一方側へ延出された第2壁部と、を含んで構成されており、前記仕切部が、前記第1壁部に当接している作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ガイド部の外周部には、前記第2壁部に嵌め込まれたガイド篏合部が設けられている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ファン収容部の前記軸方向の一方側には、前記回転軸を回転可能に支持する支持部材が設けられており、前記支持部材及び前記第1壁部によって、前記ガイド篏合部を前記軸方向に直接的又は間接的に挟み込んでいる作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2壁部の内周部には、前記支持部材を固定するための固定部が設けられ、前記ガイド篏合部には、前記軸方向から見て、前記回転軸の径方向外側へ開放された凹部が形成されており、前記固定部が前記凹部の内部に配置されている作業機である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ガイド篏合部は、前記軸方向から見て、前記回転軸の周方向に延在されており、前記ガイド篏合部の前記回転軸側の面が、整流面として構成され、前記整流面は、前記回転軸の周方向から見て、前記回転軸の径方向外側へ向かうに従い前記軸方向の一方側へ曲線状に傾斜している作業機である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記仕切部が、前記モータ収容部に嵌め込まれている作業機である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、作業性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に係るディスクグラインダを示す左側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示されるディスクグラインダの内部を示す左側から見た断面図である。
【
図3】
図2に示されるファン収容部周辺を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図3に示されるファン収容部へのファン及びファンガイドの収容状態を示す前側から見た正面図である。
【
図5】
図4に示されるファンガイドの左斜め後方側から見た斜視図である。
【
図6】
図4に示されるファンガイドの左斜め前方側から見た斜視図である。
【
図7】
図3に示されるファンガイドの変形例1を示す断面図である。
【
図8】
図3に示されるファンガイドの変形例2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る作業機としてのディスクグラインダ10(以下、単にグラインダ10という)について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印LHは、それぞれグラインダ10の上側、前側、及び左側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、グラインダ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0019】
図1及び
図2に示されるように、グラインダ10は、加工材に対して研磨加工等を施す工具として構成されている。また、グラインダ10は、後述するファン48によって生成される空気流をガイドするためのファンガイド70を有している。以下、先にグラインダ10の全体構成について説明し、次いで、ファンガイド70について説明する。
【0020】
(グラインダ10の全体構成について)
グラインダ10は、全体として前後方向に延在された略円柱状に形成されており、グラインダ10の外郭がハウジング20によって構成されている。ハウジング20は、ハウジング20の前後方向中間部を構成するモータハウジング22と、ハウジング20の後部を構成するテールカバー28と、ハウジング20の前端部を構成する支持部材としてのギヤハウジング30と、を含んで構成されている。
【0021】
(モータハウジング22について)
モータハウジング22は、前側へ開放された略段付有底筒状に形成されている。具体的には、モータハウジング22の前端部が、後述するファン48を収容するファン収容部24として構成され、モータハウジング22におけるファン収容部24以外の部分が、後述するモータ40を収容するモータ収容部26として構成されている。モータハウジング22は樹脂製である。
【0022】
モータ収容部26は、前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。モータ収容部26の内周面における前端部には、テーパ部26Aが形成されている。テーパ部26Aは、モータ収容部26の周方向の全周に亘って形成されており、周方向から見て、前側へ向かうに従い径方向外側へ傾斜している。
【0023】
ファン収容部24は、略矩形筒状に形成されている。前側から見た正面視で、ファン収容部24の外形がモータ収容部26の外形と比べて大きくなっており、ファン収容部24の後端部が、内側へ屈曲されて、モータ収容部26の前端部に接続されている。具体的には、ファン収容部24は、モータ収容部26の前端部から径方向外側へ延出された第1壁部としての後壁部24Aと、後壁部24Aの先端部(径方向外側端部)から前側へ延出された第2壁部としての周壁部24Bと、を含んで構成されており、周壁部24Bが、略矩形筒状に形成されている。なお、後壁部24Aの外周面は、前側へ向かうに従いモータ収容部26の径方向外側へ傾斜しており、後壁部24Aの内周面は、前後方向に直交する面に沿って形成されている。そして、後壁部24Aの内周面の径方向内側端が、テーパ部26Aの前端に接続されている。
【0024】
図4に示されるように、ファン収容部24の四隅の角部には、後述するギヤハウジング30を固定するための固定部24Cが一体に形成されている。固定部24Cは、前後方向を軸方向とする略筒状に形成され、ファン収容部24の角部からファン収容部24の中央側へ突出すると共に、後壁部24Aから前側へ突出している。固定部24Cの内周部は、ネジ部として構成され、当該ネジ部には、雌ネジが形成されている。
【0025】
図2に示されるように、モータ収容部26内には、モータ40が収容されている。モータ40は、後述するコントローラ50に電気的に接続されて、コントローラ50によって駆動する。モータ40は、ブラシ付きモータとして構成されており、モータ40の中央部には、前後方向に延在された回転軸40Aが設けられている。回転軸40Aの後端部は、モータ収容部26の後壁に保持された第1モータ軸受42によって回転可能に支持されている。回転軸40Aの前端部は、後述するギヤハウジング30内に配置されており、回転軸40Aの前端側部分が、ギヤハウジング30に支持された第2モータ軸受44によって回転可能に支持されている。回転軸40Aの前端部には、ピニオンギヤ46が一体回転可能に固定されている。なお、モータ収容部26の後壁には、図示しない位置において連通孔が形成されており、連通孔によってモータ収容部26の内部とテールカバー28の内部とが連通されている。
【0026】
図3にも示されるように、回転軸40Aの前端側部分には、第2モータ軸受44の後側において、ファン48が一体回転可能に設けられている。ファン48は、前後方向を板厚方向とする略円板状のファンベース48Aと、ファンベース48Aの径方向外側部から後側へ突出した複数のフィン48Bと、を含んで構成されており、ファンベース48Aの中央部が、回転軸40Aに一体回転可能に連結されている。フィン48Bの後端面は、ファン48の径方向外側へ向かうに従い、後側へ傾斜している。ファン48は、遠心ファンとして構成されており、フィン48Bの径方向内側へ流入された空気をフィン48Bの径方向外側へ吐き出す。このため、ファン48によって、モータ収容部26の内部において前側へ向かう空気流が発生するようになっている。また、ファン48から径方向外側へ流出される空気流は、後述するファンガイド70及びファン収容部24の周壁部24Bによって前方側へ流れて、後述するギヤハウジング30の排気口30Bから排気されるようになっている。
【0027】
(テールカバー28について)
図1及び
図2に示されるように、テールカバー28は、全体として前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。前述したモータ収容部26の後端部が、テールカバー28の前端部内に嵌入されると共に、固定ネジSC1によってテールカバー28に締結固定されている。テールカバー28内には、コントローラ50が設けられており、コントローラ50は、モータ40と電気的に接続されている。また、コントローラ50には、電源コード52が接続されており、電源コード52は、交流電源に接続可能に、テールカバー28の後端部から後側へ延出している。これにより、電力が電源コード52を介してモータ40に供給されるようになっている。なお、テールカバー28の後端部には、コントローラ50に接続されたスイッチレバー(図示省略)が設けられており、スイッチレバーがオン操作されることで、モータ40が駆動する。
【0028】
テールカバー28には、複数の吸気口28A(
図1参照)が貫通形成されている。吸気口28Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されている。これにより、ファン48が回転することで、吸気口28Aからテールカバー28内に流入される空気流が発生し、当該空気流が、モータハウジング22内を前側へ流れて、コントローラ50及びモータ40を冷却する構成になっている。
【0029】
(ギヤハウジング30について)
ギヤハウジング30は、左右方向から見て、略三角形を成す中空状に形成されると共に、下側へ開放されている。ギヤハウジング30の後端部には、被固定部30Aが形成されており、被固定部30Aは、モータハウジング22のファン収容部24に対応する略矩形筒状に形成されている。そして、被固定部30Aとファン収容部24によって、スペーサ32を挟み込んだ状態で、被固定部30Aが、ファン収容部24に固定されている。具体的には、被固定部30Aの四隅の角部に設けられた固定ネジSC2が、ファン収容部24における固定部24Cに螺合されて、ギヤハウジング30が固定部24Cに締結固定されている。なお、スペーサ32については後述する。
【0030】
ギヤハウジング30の下側には、パッキングランド34が設けられている。パッキングランド34は、上下方向を軸方向とする段付き円筒状に形成されて、ギヤハウジング30に固定されている。ギヤハウジング30の上部には、排気口30Bが形成されており、排気口30Bによって、ギヤハウジング30の内部と外部とを連通している。
【0031】
ギヤハウジング30内には、スピンドル54が設けられており、スピンドル54は、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されている。スピンドル54の上端部は、ギヤハウジング30に固定された軸受56によって回転可能に支持され、スピンドル54の上下方向中間部が、パッキングランド34に固定された軸受58によって回転可能に支持されている。スピンドル54の上端側部分には、ベベルギヤ60が一体回転可能に設けられており、ベベルギヤ60には、モータ40のピニオンギヤ46が噛合されている。これにより、モータ40の駆動力が、ベベルギヤ60によってスピンドル54に伝達される。
【0032】
スピンドル54の下端部には、砥石62(
図1参照)が取付けられており、砥石62は、上下方向を板厚方向とする略円板状に形成されている。これにより、モータ40の駆動力によって、砥石62がスピンドル54と共に回転することで、加工材に対して研磨加工等を施す。また、パッキングランド34の下端部には、ホイールガード64(
図1参照)が着脱可能に固定されている。ホイールガード64によって、砥石62の後部が上側及び後側から覆われている。
【0033】
(ファンガイド70について)
図2~6に示されるように、ファンガイド70は、樹脂製とされると共に、モータハウジング22のファン収容部24内に収容されている。ファンガイド70は、ガイド部72と、4箇所のガイド篏合部74と、仕切部76と、を含んで構成されている。
【0034】
ガイド部72は、ファン収容部24内に収容されると共に、ファン48のフィン48Bとファン収容部24の後壁部24Aとの間に配置されている。ガイド部72は、略前後方向を板厚方向とする略リング形プレート状(円環板状)に形成されている。ガイド部72の中央部には、円形状の通気孔72Aが貫通形成されており、通気孔72Aには、モータ40の回転軸40Aが挿通している。ガイド部72の外形は、ファン収容部24の内周面に対応して形成されており、ガイド部72の外周部が、ファン収容部24の内周面の内側に近接して配置されている。また、ガイド部72は、その周方向から見た断面で、通気孔72Aの径方向外側へ向かうに従い前側へ傾斜しており、フィン48Bの後端面と平行に配置されている。モータ収容部26内を前方へ進んだ空気は、ガイド部72によって径方向内方へガイドされ、通気孔72Aを通ってファン48に至り、ファン48の回転によって径方向外方へ送られて周壁部24B等によって前方へガイドされる(
図3の一点鎖線の矢印WI1を参照)。そしてその後、スペーサ32の第1空気孔32B、第2空気孔32Cを経て排気口30Bに至り排気される。
【0035】
通気孔72Aの直径は、モータ収容部26の内径よりも小さく設定されている。また、正面視で、フィン48Bの径方向内側部が通気孔72Aに重なるように、通気孔72Aの直径が設定されている。すなわち、ガイド部72が、フィン48Bの径方向外側部と前後方向に対向して配置されている。これにより、フィン48Bから径方向外側へ流れる空気流を、ガイド部72の前面によって、ガイドして、斜め前方側へ流すようになっている。
【0036】
ガイド篏合部74は、ガイド部72の四隅の角部にそれぞれ設けられている。すなわち、ガイド篏合部74は、ファン収容部24の固定部24Cに対応する位置に設けられており、正面視で、固定部24C側(通気孔72Aの径方向外側)へ開放された略U字形状に形成されている。具体的には、ガイド篏合部74は、一対の篏合柱74Aと、一対の篏合柱74Aを連結する連結部74Bと、を含んで構成されており、一対の篏合柱74Aの間には、通気孔72Aの径方向外側へ開放された凹部74Cが形成されている。そして、凹部74C内に、固定部24Cが配置されている。
【0037】
篏合柱74Aは、前後方向に延在された略矩形柱状に形成されている。篏合柱74Aは、ガイド部72の外周部から前後方向両側へ突出すると共に、固定部24Cに対してファン収容部24の周方向外側にそれぞれ配置されている。そして、ファンガイド70のファン収容部24への組付状態では、篏合柱74Aが、ファン収容部24内に嵌め込まれて、ガイド篏合部74がファン収容部24に上下方向及び前後方向に係合している。これにより、ファンガイド70の上下方向及び左右方向の移動が制限されている。また、ファンガイド70のファン収容部24への組付状態では、篏合柱74Aが、ファン収容部24の後壁部24A及びスペーサ32によって前後方向に挟み込まれて、ファンガイド70がハウジング20に保持されている。すなわち、ギヤハウジング30及びファン収容部24の後壁部24Aによって、ファンガイド70を前後方向に間接的に挟み込んでいる。
【0038】
連結部74Bは、通気孔72Aの周方向に延在され且つガイド部72から前側へ突出したリブ状に形成されると共に、固定部24Cに対して通気孔72Aの径方向内側に配置され、一対の篏合柱74Aに接続されている。連結部74Bのガイド部72からの突出量は、篏合柱74Aのガイド部72からの突出量よりも小さく設定されている。また、ガイド篏合部74の通気孔72A側の内周面は、整流面74D(
図4及び
図6参照)として構成され、整流面74Dが、通気孔72Aの周方向から見て、通気孔72Aの径方向外側へ向かうに従い前側へ曲線状(略円弧状)に傾斜している。これにより、ガイド部72の前面に沿ってガイド篏合部74側へ流れる空気流を、整流面74Dによって前側へ整流するようになっている。
【0039】
仕切部76は、前後方向を軸方向とする比較的軸長の短い円筒状(リング状)に形成されて、ガイド部72の径方向中間部から後側へ突出している。仕切部76は、ガイド部72(通気孔72A)と同軸上に配置されている。すなわち、いずれも前後方向を軸としたリング状となる仕切部76とガイド部72は、その中心軸が同軸となっている。また、仕切部76の後面は、篏合柱74Aの後面と面一となる位置に配置されており、篏合柱74Aが、仕切部76の径方向外側において仕切部76に接続されている。仕切部76は、モータ収容部26の内周面よりも径方向外側に位置している。具体的には、径方向において、仕切部76の径方向内側面が、モータ収容部26におけるテーパ部26Aの前端と略一致する位置に配置されている。そして、篏合柱74Aと同様に、仕切部76の後面が、ファン収容部24の後壁部24Aに前側から突き当てられて、後壁部24Aに当接している。これにより、ファン収容部24における後端部(ガイド部72と後壁部24Aとの間の部分)の空間が、仕切部76によって、径方向に仕切られている。
【0040】
なお、前述したスペーサ32は、前後方向を板厚方向とする略矩形プレート状に形成されており、スペーサ32の略中央部には、モータ40の回転軸40Aが挿通される軸挿通部32Aが貫通形成されている。また、
図4に示されるように、スペーサ32には、ファン48によって生成された空気流を通過させるための4箇所の第1空気孔32B及び第2空気孔32Cが貫通形成されている。第1空気孔32Bは、正面視で、ガイド篏合部74の連結部74Bと重なるように配置されると共に、回転軸40Aの周方向に沿った長孔状に形成されている。第2空気孔32Cは、スペーサ32の外周部に沿った長孔状に形成されると共に、周方向に隣り合う第1空気孔32Bの間に配置されている。すなわち、第2空気孔32Cは、スペーサ32の上下方向両端部及び左右方向両端部に形成されている。また、第2空気孔32Cの長手方向の長さが、第1空気孔32Bの長手方向の長さと比べて長く設定されている。
【0041】
(作用効果)
次に、本実施の形態のグラインダ10の作用及び効果について説明する。
【0042】
上記のように構成されたグラインダ10による加工時には、スイッチレバーをオンにすることで、モータ40が駆動すると共に、モータ40の駆動によって、スピンドル54及び砥石62が回転する。したがって、グラインダ10による加工材に対する研磨加工等を施すことができる。
【0043】
また、モータ40の駆動時には、ファン48が回転軸40Aと共に回転して、ハウジング20内に空気流が発生する。具体的には、ハウジング20の吸気口28Aからハウジング20内に流入される空気流が生じて、当該空気流がテールカバー28及びモータハウジング22内を前側へ流れる。これにより、空気流によってコントローラ50及びモータ40が冷却される。
【0044】
また、モータ収容部26を通過した空気流は、ファン48の径方向内側部へ流入されて、フィン48Bによってファン48の径方向外側へ流れる。このときには、空気流が、ファンガイド70のガイド部72の前面に沿って径方向外側へ流れる。そして、ガイド部72に沿って上下方向外側及び左右方向外側へ流れた空気流は、ガイド部72の外周部からファン収容部24の周壁部24Bへ流れて、周壁部24Bに沿って前側へ流れると共に、スペーサ32の第2空気孔32Cを通過してギヤハウジング30内に流れる。また、ファンガイド70のガイド部72に沿ってファン収容部24の角部側へ流れる空気流は、ガイド篏合部74の整流面74Dによって前側へ向かう流れに整流されて、スペーサ32の第1空気孔32Bを通過してギヤハウジング30内に流れる。ギヤハウジング30内に流れた空気流は、ギヤハウジング30の排気口30Bからハウジング20の外部へ流出される。
【0045】
ここで、ハウジング20では、ファン48を収容するファン収容部24が、モータ40を収容するモータ収容部26の前側(空気流の下流側)に配置されており、正面視で、ファン収容部24の外形が、モータ収容部26の外形よりも大きくなっている。また、空気流をガイドするファンガイド70がファン収容部24に収容されており、ファンガイド70のガイド部72が、ファン48の後側に位置している。このため、モータ収容部26を前側へ流れる空気流が、ガイド部72とファン収容部24の後壁部24Aとの間の空間内に流れ込む可能性がある(
図3の点線の矢印WI2を参照)。この場合には、モータ収容部26からファン48へ流入される空気流の流量が減少されて、モータ40やコントローラ50に対する冷却効果が低下する可能性がある。
【0046】
ここで、ファンガイド70では、仕切部76がガイド部72に設けられている。仕切部76は、ガイド部72から後側へ延出された筒状に形成され、仕切部76の後端部がファン収容部24の後壁部24Aに突き当たっている。すなわち、仕切部76が、自身の周方向の全周に亘ってファン収容部24の後壁部24Aに当接して、ファン収容部24の後端部の空間を径方向に仕切っている。これにより、モータ収容部26内を流れた空気流が、ガイド部72とファン収容部24の後壁部24Aとの間の空間(仕切部76よりも径方向外側の空間)に流れることを抑制できる。その結果、モータ収容部26からファン48へ流入される空気流の流量減少を抑制できる。よって、モータ40やコントローラ50に対する冷却効果の低下を抑制して、グラインダ10の作業を継続することができる。したがって、作業性の低下を抑制することができる。なお、仕切部76は必ずしも周方向全域に設ける必要はなく、換言すれば、必ずしも自身の周方向の全周に亘ってファン収容部24の後壁部24Aに当接する必要はない。例えば、ファン収容部24は固定部24Cを4つ有しているが、この部分は固定部24Cに大きさや形状によっては空気が流れ込む空間が小さくなる場合があり、この場合には固定部24C(及びその周囲)については空気流を乱す影響が小さい可能性がある。従って、仕切部76は固定部24Cを避けるようにして周方向に分散して配置するように構成してもよいし、固定部24Cを避けた位置で後壁部24Aに当接するように構成してもよい。また、空気流のガイドに影響を与えない程度に一部当接させないように構成してもよい。なお、仕切部76は、後壁部24A十分に近接させるだけでも、一定の効果を奏するものである。
【0047】
また、正面視で、仕切部76が、モータ収容部26の内周面(モータ40と対向する面)よりも回転軸40Aの径方向外側に位置している。このため、上述のように、仕切部76をファン収容部24の後壁部24Aに確実に突き当てて、ファン収容部24の後端部の空間を径方向に仕切ることができる。
【0048】
また、ファンガイド70のガイド部72の外周部には、ガイド篏合部74が設けられており、ガイド篏合部74がファン収容部24に嵌め込まれている。具体的には、ガイド篏合部74がファン収容部24に上下方向及び左右方向に係合している。これにより、モータハウジング22によってファンガイド70を保持した状態で、ギヤハウジング30をモータハウジング22に固定することができる。したがって、ギヤハウジング30をモータハウジング22へ組付けるときの作業性を向上することができる。
【0049】
また、ギヤハウジング30がモータハウジング22に固定されることで、ギヤハウジング30及びファン収容部24の後壁部24Aによって、ガイド篏合部74及びスペーサ32が前後方向に挟み込まれる。これにより、モータ40の回転軸40Aを回転可能に支持する第2モータ軸受44が設けられたギヤハウジング30を活用して、ファンガイド70をハウジング20に固定することができる。したがって、ファンガイド70をハウジング20に固定するための部材を別途設けることなく、簡易な構成で、ファンガイド70をハウジング20に固定することができる。
【0050】
また、ファンガイド70のガイド篏合部74には、回転軸40Aの径方向外側へ開放された凹部74Cが形成されており、ファン収容部24の固定部24Cが、凹部74C内に配置されている。これにより、ガイド篏合部74を固定部24Cに近接して配置することができる。よって、ギヤハウジング30を締結固定するための固定ネジSC2の締付力をガイド篏合部74に良好に作用させることができる。したがって、ファンガイド70のハウジング20への固定状態を良好に維持することができる。
【0051】
また、ガイド篏合部74の内周面には、整流面74Dが形成されており、整流面74Dは、回転軸40Aの周方向から見て、回転軸40Aの径方向外側へ向かうに従い前側へ曲線状に傾斜している。これにより、ガイド部72の前面に沿って固定部24C側へ流れる空気流が、固定部24Cに直接的に当たることを抑制しつつ、整流面74Dによって空気流を前側へ整流してギヤハウジング30側へ流すことができる。このため、ファン収容部24内における乱流の発生を抑制しつつ、固定部24C周辺を流れる空気流を、良好にギヤハウジング30へ流すことができる。
【0052】
また、樹脂製のファンガイド70では、仕切部76がガイド部72から後側へ延出しており、ガイド篏合部74がガイド部72から前後方向両側へ突出している。すなわち、仕切部76の延出方向とガイド篏合部74の突出方向が前後方向に沿った方向になっている。これにより、例えば、ファンガイド70を射出成形によって成形する場合には、ファンガイド70が所謂アンダーカット形状となっていないため、ファンガイド70を成形するための金型が複雑化することを抑制できると共に、ファンガイド70を安価に製作することができる。
【0053】
(ファンガイド70の変形例1について)
次に、
図7を用いて、ファンガイド70の変形例1について説明する。なお、
図7では、本実施の形態のファンガイド70と同様に構成されている部位ついては、同一の符号を付している。
【0054】
この図に示されるように、ファンガイド70の変形例1では、仕切部76の直径が本実施の形態よりも小さく設定されている。具体的には、仕切部76の外径が、モータ収容部26の内径と略一致している。また、仕切部76の後端部が、本実施の形態と比べて後側に位置している。具体的には、モータ収容部26のテーパ部26Aよりも後側に位置している。そして、仕切部76が、モータ収容部26の前端部内に嵌め込まれて、モータ収容部26の周方向の全周に亘ってモータ収容部26の内周面に当接している。
【0055】
これにより、ファンガイド70の変形例1においても、仕切部76が、ファン収容部24の後端部の空間を径方向に仕切るため、モータ収容部26内を流れた空気流が、ガイド部72とファン収容部24の後壁部24Aとの間の空間内に流れ込むことを抑制できる。よって、本変形例1においても、本実施の形態と同様に、モータ収容部26からファン48へ流入される空気流の流量減少を抑制できると共に、グラインダ10の作業性の低下を抑制することができる。
【0056】
(ファンガイド70の変形例2について)
次に、
図8を用いて、ファンガイド70の変形例2について説明する。なお、
図8では、本実施の形態のファンガイド70と同様に構成されている部位ついては、同一の符号を付している。
【0057】
この図に示されるように、ファンガイド70の変形例2では、仕切部76の厚みが本実施の形態よりも厚く設定されており、仕切部76の径方向外側面が、後側へ向かうに従い径方向内側へ傾斜している。また、仕切部76の後端部が、本実施の形態よりも後側に位置している。具体的には、仕切部76の後端部が、テーパ部26Aの後端部よりも若干前側に位置している。そして、仕切部76が、モータ収容部26のテーパ部26A内に嵌め込まれて、仕切部76の径方向外側面が、モータ収容部26の周方向の全周に亘って、テーパ部26Aに面で当接している。
【0058】
これにより、ファンガイド70の変形例2においても、仕切部76が、ファン収容部24の後端部の空間を径方向に仕切るため、モータ収容部26内を流れた空気流が、ガイド部72とファン収容部24の後壁部24Aとの間の空間内に流れ込むことを抑制できる。よって、変形例2においても、本実施の形態と同様に、モータ収容部26からファン48へ流入される空気流の流量減少を抑制できると共に、グラインダ10の作業性の低下を抑制することができる。
【0059】
また、変形例2では、本実施の形態と比べて、仕切部76の板厚が厚く設定されているため、仕切部76の強度を高くすることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、ギヤハウジング30とモータハウジング22との間にスペーサ32が設けられているが、スペーサ32を省略してもよい。この場合には、ギヤハウジング30がモータハウジング22に直接固定されると共に、ギヤハウジング30及びファン収容部24の後壁部24Aによって、ファンガイド70のガイド篏合部74が前後方向に直接的に挟み込まれる。
【符号の説明】
【0061】
10 ディスクグラインダ(作業機)
20 ハウジング
24 ファン収容部
24A 後壁部(第1壁部)
24B 周壁部(第2壁部)
24C 固定部
26 モータ収容部
30 ギヤハウジング(支持部材)
40 モータ
40A 回転軸
48 ファン
70 ファンガイド
72 ガイド部
74 ガイド篏合部
74C 凹部
74D 整流面
76 仕切部