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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064565
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】マーキング装置
(51)【国際特許分類】
   B25H 7/04 20060101AFI20240507BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B25H7/04 K
E04G21/18 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173245
(22)【出願日】2022-10-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】397056145
【氏名又は名称】株式会社ティ・カトウ
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊行
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174AA04
2E174BA01
2E174DA14
2E174DA40
(57)【要約】
【課題】簡素な構造であり、マーキング作業の作業効率を高めるマーキング装置を提供する。
【解決手段】建材(2)に止め具(4)を打ち込む箇所にマーキングするためのマーキング装置(1)であって、マーキング装置(1)は、建材(2)の上に配置され、長手方向に形成される直線(10)上に所定の間隔(D)を存して複数のマーキング孔(12)が穿孔された長尺部材(6)と、直線(10)に沿って移動させながら長尺部材(6)に擦り当てることにより、各マーキング孔(12)から建材(2)にマーキングを行うマーキング具(8)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材に止め具を打ち込む箇所にマーキングするためのマーキング装置であって、
前記建材の上に配置され、長手方向に形成される直線上に所定の間隔を存して複数のマーキング孔が穿孔された長尺部材と、
前記直線に沿って移動させながら前記長尺部材に擦り当てることにより、前記各マーキング孔から前記建材に前記マーキングを行うマーキング具と
を備える、マーキング装置。
【請求項2】
前記各マーキング孔の少なくとも1つは、前記長尺部材を前記建材に仮止めするべく仮止め具を打ち込むための仮止め用孔である、請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
前記長尺部材は、前記長手方向に沿って、前記直線を含む領域に所定の幅の凹条を有する、請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項4】
前記長尺部材はメジャーのスケールテープであり、
前記マーキング孔は、前記スケールテープの長手方向に形成された前記直線上に前記間隔を存して穿孔される、請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記マーキング具は白墨であり、
前記マーキングは、前記白墨を前記直線に沿って前記長尺部材に擦り当てることにより、前記各マーキング孔から零れ落ちた前記白墨の粉により行われる、請求項1から4の何れか一項に記載のマーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング装置に係り、詳しくは、建材に止め具を打ち込む箇所にマーキングするためのマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合板等の板材を建物の壁面、床面等に釘で打付けるために、メジャーに複数個の位置決めのマーキング部を所定の間隔で移動可能又は着脱可能に配設したマーキング用メジャーが開示されている。このマーキング用メジャーは、合板等の板材の釘を打ち付ける位置に沿ってメジャーを貼り付けて、所定の間隔に位置決めしたマーキング部を介して板材に鉛筆などのマーキング具でマーキングする。そして、建物の壁面や床面等に板材をマーキング箇所に釘で打ち付ける。これにより、合板等の板材を壁面等に釘打付けするのを簡単且つ奇麗に行うことができる、とされている。
【0003】
また、特許文献2には、巻き取り式メジャーのスケール引き出し口付近にマーキング具を保持するホルダーを設けたマーキング機能付きメジャーが開示されている。巻き取り式メジャーで測定物の目的の寸法を計測すると同時に、その位置をワンタッチでマーキングすることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-210885号公報
【特許文献2】特開2001-324301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、作業員は、マーキング部を移動させたり取り付けたりした後、鉛筆などのマーキング具をマーキング部に合わせる動作を行いマーキングする。また、特許文献2の場合、鉛筆などのマーキング具をホルダーに保持させた後、ホルダーをメジャーのスケールテープに沿って移動させ、さらにマーキング具を操作してマーキングする。従って、特許文献1、2においては、マーキング部やホルダーをセットする位置がずれたり、誤った位置にセットされたりすると、誤った箇所にマーキングがなされ、止め具を打ち込む箇所にずれが生じてしまう。
【0006】
このように、これらの装置を用いる場合、装置のセット、マーキング部又はホルダーを移動してセット、マーキング具を操作してのマーキング、という手順となり、マーキング作業に少なくとも3ステップを要する。また、誤った箇所にマーキングすることを回避するため、マーキング部又はホルダーを移動してセットする作業を慎重に行う必要がある。従って、作業員のマーキング作業に係る作業効率が低下するおそれがある。また、これらの装置は、マーキング部又はホルダーを要するため、構造が複雑になり、生産コストが高い。従って、簡素な構造であり、施工現場で使い勝手が良く、さらにマーキング作業の作業効率を高めるマーキング装置が求められている。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構造であり、マーキング作業の作業効率を高めるマーキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明のマーキング装置は、建材に止め具を打ち込む箇所にマーキングするためのマーキング装置であって、建材の上に配置され、長手方向に形成される直線上に所定の間隔を存して複数のマーキング孔が穿孔された長尺部材と、直線に沿って移動させながら長尺部材に擦り当てることにより、各マーキング孔から建材にマーキングを行うマーキング具とを備える。
【発明の効果】
【0009】
従って、本発明によれば、簡素な構造であり、マーキング作業の作業効率を高めるマーキング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るマーキング装置及びそれを用いたマーキング作業を説明する図である。
図2図1の変形例に係る長尺部材を部分的に示した斜視図である。
図3】止め具の打ち込み作業を説明する図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るマーキング装置及びそれを用いたマーキング作業を説明する図である。
図5図4のスケールテープの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係るマーキング装置1について図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係るマーキング装置1及びそれを用いたマーキング作業を説明する図を示す。マーキング装置1は、合板などの建材2に釘やビスなどの止め具4(図2参照)を打ち込む箇所にマーキングするために用いられ、長尺部材6とマーキング具8とを備える。長尺部材6は、建材2の上に配置され、長尺部材6の長手方向に形成される直線10上に所定の間隔Dを存して複数のマーキング孔12が穿孔されている。
【0012】
長尺部材6は、例えば図1に示すように長板形状をなし、木製、プラスチック製、金属製など種々の材料から形成可能であり、可撓性があっても良いし、可撓性が無くとも良い。可撓性を有する長尺部材6は、使用しないときは長手方向に巻回したり折り畳んだりしてコンパクトに保管可能である。また、長尺部材6に折り畳みを容易にするための図示しない折曲部を形成しても良い。
【0013】
建材2に止め具4を打ち込む箇所は、建材2の種類や建材を使用する建物の仕様に応じて予め所定の間隔に定められていることが多い。従って、各マーキング孔12が穿孔される間隔Dは、止め具4を打ち込む箇所として予め定められた、例えば75mm、100mm、150mm、或いは200mmなどに設定される。
【0014】
マーキング具8は、直線10に沿って移動させながら長尺部材6に擦り当てることにより、各マーキング孔12から建材2にマーキングを行うために用いられる。マーキング具8は、例えば白墨(チョーク)であり、この場合、白墨が直線10に沿って長尺部材6に擦り当てられると、各マーキング孔12から零れ落ちた白墨の粉により建材2へのマーキングが行われる。白墨は長尺部材6に付着しても容易に掃除可能であるため好適である。
【0015】
また、各マーキング孔12の少なくとも1つ、好ましくは長尺部材6の一端近傍に形成されたマーキング孔12は、長尺部材6を建材2に仮止めするべく釘などの仮止め具14を打ち込むための仮止め用孔16として用いても良い。これにより、マーキング作業中における長尺部材6の移動やがたつきが抑制され、マーキング作業の作業効率を高めることができる。なお、仮止め具14はマーキング作業後に取り外される。
【0016】
図2は、図1の変形例に係る長尺部材6を部分的に斜視図として示す。長尺部材6は、その長手方向に沿って、直線10を含む領域に所定の幅Wの凹条18を有していても良い。これにより、マーキング具8を直線10から逸脱することなく移動させることができるため、各マーキング孔12を介して建材2の所望箇所に確実にマーキング可能である。従って、マーキング作業の作業効率をさらに高めることができる。なお、凹条18は、図2に示すキー溝形状に限らず、下側凸の湾曲形状であっても良い。
【0017】
図3は、止め具4の打ち込み作業を説明する図である。建材2から長尺部材6を取り外した後、マーキング作業により各マーキング孔12を介して建材2に形成された各マーキング箇所20に、電動工具22などの工具を使用して止め具4を打ち込む。これにより、建材2に間隔Dを存して直線状に止め具4を容易に打ち込むことができる。
【0018】
以上のように、本実施形態のマーキング装置1を用いてマーキング作業を行う場合、マーキング装置1のセット、マーキング具8を直線10に沿って移動させてマーキングという手順となり、マーキング作業は2ステップで済む。また、長尺部材6には各マーキング孔12が予め穿孔され、マーキング具8を直線10に沿って長尺部材6に擦り当てるだけの簡単な作業で建材2に迅速にマーキングすることができる。
【0019】
これにより、誤った箇所にマーキングすることを回避するために作業を慎重に行う必要はないため、マーキング作業に係る作業効率を大幅に高めることができる。また、マーキング装置1は長尺部材6及びマーキング具8から構成され、マーキング箇所を設定するための従来のマーキング部やマーキング具を保持するための従来のホルダーは不要である。これにより、マーキング装置1の生産コストを大幅に低減することができる。従って、簡素な構造であり、施工現場で使い勝手が良いマーキング作業の作業効率を高めたマーキング装置1を提供することができる。
【0020】
図4は、第2実施形態に係るマーキング装置1及びそれを用いたマーキング作業を説明する図を示す。本実施形態の場合には、長尺部材6はメジャー(巻尺)24のスケールテープ26であり、スケールテープ26には寸法目盛りが予め形成されている。マーキング孔12は、スケールテープ26の長手方向に形成された直線10上に間隔Dを存して穿孔される。
【0021】
また、スケールテープ26の長手方向における一端には、止め金28が取り付けられている。止め金28を建材2の一端に係止することにより、マーキング作業中におけるスケールテープ26の移動やがたつきが抑制され、マーキング作業の作業効率を高めることができる。
【0022】
図5は、スケールテープ26の縦断面図を示す。スケールテープ26は、金属製であり、メジャー24から引き出したときに容易に直線状に延設されるように、幅方向において下側凸に湾曲した形状を有する。これにより、マーキング具8を直線10から逸脱することなく移動させることができるため、各マーキング孔12を介して建材2の所望箇所に確実にマーキング可能である。従って、マーキング作業の作業効率をさらに高めることができる。
【0023】
以上のように、本実施形態の場合にも、第1実施形態の場合と同様に、簡素な構造であり、施工現場で使い勝手が良く、さらにマーキング作業の作業効率を高めたマーキング装置1を提供することができる。特に本実施形態の場合には、寸法測定に用いるメジャー24をマーキング装置1としても用いることができるため、作業員の荷物が減り、作業員の負担を低減可能である。また、マーキング作業時に間隔Dの寸法を確認できるため好適である。
【0024】
以上で本発明の各実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。な例えば、各マーキング孔12の間隔Dは、前述した寸法に限らず、種々の寸法を設定可能であり、また、間隔Dは必ずしも等間隔でなくとも良く、複数の寸法の間隔Dが混在しても良い。また、第1実施形態の長尺部材6にも、第2実施形態のスケールテープ26のように、寸法目盛りを予め形成しておいても良い。
【0025】
また、マーキング具8は、直線10に沿って移動させながら長尺部材6の擦り当てることにより、各マーキング孔12を介して建材2にマーキングが可能であれば、白墨以外の例えば、種々のペンや墨汁などを用いることも可能である。但し、マーキング具8に用いるマーキング剤は、各マーキング孔12において容易に零れ落ちてマーキング可能であり、且つ使用後の掃除のし易さを考慮し、粉体を固めた材料であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0026】
1 マーキング装置
2 建材
4 止め具
6 長尺部材(スケールテープ)
8 マーキング具(白墨)
10 直線
12 マーキング孔
14 仮止め具
16 仮止め用孔
18 凹条
24 メジャー
26 スケールテープ
D マーキング孔の間隔
W 凹条の幅
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材に止め具を打ち込む箇所にマーキングするためのマーキング装置であって、
前記建材の上に配置され、長手方向に形成される直線上に所定の間隔を存して複数のマーキング孔が穿孔された長尺部材と、
粉体を固めた材料からなり、前記直線に沿って前記各マーキング孔の上を移動させながら前記長尺部材に擦り当てることにより、前記各マーキング孔から零れ落ちた前記粉体により、前記各マーキング孔を介して前記建材に前記マーキングを行うマーキング具と
を備える、マーキング装置。
【請求項2】
前記各マーキング孔の少なくとも1つは、前記長尺部材を前記建材に仮止めするべく仮止め具を打ち込むための仮止め用孔である、請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項3】
前記長尺部材は、前記長手方向に沿って、前記直線を含む領域に所定の幅の凹条を有
前記凹条は、前記マーキング具を前記直線に沿って移動させて前記長尺部材に擦り当てる際に、前記マーキング具を前記直線から逸脱することなく移動可能とする、請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項4】
前記長尺部材はメジャーのスケールテープであり、
前記マーキング孔は、前記スケールテープの長手方向に形成された前記直線上に前記間隔を存して穿孔される、請求項1に記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記マーキング具は白墨であり、
前記マーキングは、前記白墨を前記直線に沿って前記長尺部材に擦り当てることにより、前記各マーキング孔から零れ落ちた前記白墨の粉により行われる、請求項1から4の何れか一項に記載のマーキング装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明のマーキング装置は、建材に止め具を打ち込む箇所にマーキングするためのマーキング装置であって、建材の上に配置され、長手方向に形成される直線上に所定の間隔を存して複数のマーキング孔が穿孔された長尺部材と、粉体を固めた材料からなり、直線に沿って各マーキング孔の上を移動させながら長尺部材に擦り当てることにより、各マーキング孔から零れ落ちた粉体により、各マーキング孔を介して建材にマーキングを行うマーキング具とを備える。