IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光モジュール 図1
  • 特開-光モジュール 図2
  • 特開-光モジュール 図3
  • 特開-光モジュール 図4
  • 特開-光モジュール 図5
  • 特開-光モジュール 図6
  • 特開-光モジュール 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064571
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173259
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆史
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB06
2H137BA15
2H137BB03
2H137BB25
2H137BB33
2H137BC04
2H137BC07
2H137BC10
2H137BC11
2H137BC55
2H137BC73
2H137CA15A
2H137CA15C
2H137CA75
2H137CC05
2H137CD33
2H137DB09
2H137DB10
(57)【要約】
【課題】製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合であっても、結合損失の増加を抑制した光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュールは、基板と、基板上に設けられた発光素子と、第1レンズが形成された底面と第1端面とを有し、主面と交差する方向に沿って第1レンズが発光素子と並ぶように主面上に実装され、発光素子からの出射光を第1レンズを介して第1端面より出射させるレンズモジュールと、第2レンズが形成された第2端面を有し、第2端面が第1端面と向かい合うようにレンズモジュールと接続され、第1端面からの出射光を第2レンズにより集光するレンズコネクタと、前端面を有し、レンズコネクタに保持され、第2レンズにより集光された出射光が前端面に入射する光ファイバと、を備える。第2レンズの焦点は、前端面から第2端面へ向かう方向に所定の距離だけ離れている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する基板と、
前記基板上に設けられた発光素子と、
第1レンズが形成された底面と第1端面とを有し、前記主面と交差する方向に沿って前記第1レンズが前記発光素子と並ぶように前記主面上に実装され、前記発光素子からの出射光を前記第1レンズを介して前記第1端面より出射させる構成であるレンズモジュールと、
第2レンズが形成された第2端面を有し、前記第2端面が前記第1端面と向かい合うように前記レンズモジュールと接続され、前記第1端面からの前記出射光を前記第2レンズにより集光する構成であるレンズコネクタと、
前端面を有し、前記レンズコネクタに保持され、前記第2レンズにより集光された前記出射光が前記前端面に入射する構成である光ファイバと、を備え、
前記第2レンズの焦点は、前記前端面から前記第2端面へ向かう方向に所定の距離だけ離れている、光モジュール。
【請求項2】
前記所定の距離は、50μm以上150μm以下である、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第1端面と前記第2端面とは、前記光ファイバの中心軸と垂直を為す面に対して傾斜している、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第1端面と前記第2端面とは、前記光ファイバの中心軸の方向に沿って離れている、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記レンズモジュールは、透明ポリアミド、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の架橋性の熱可塑性樹脂から構成され、
前記レンズコネクタは、ポリエーテルイミド樹脂から構成されている、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記レンズモジュールは、前記底面及び前記第1端面と交差する方向に延在するミラー面を更に有し、
前記第1端面は、前記主面と交差する方向に延在しており、
前記ミラー面は、前記第1レンズを通過した前記出射光を前記第1端面に向けて反射する構成である、
請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ファイバインターフェースモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9435963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された光ファイバインターフェースモジュールは、基板上に設けられた発光素子と、発光素子からの出射光を集光するレンズを有するモジュールと、レンズを介して発光素子と光学的に結合する光ファイバとを備える。特許文献1に記載された光ファイバインターフェースモジュール等の光モジュールでは、レンズの焦点が光ファイバの内部かつ光ファイバの中心軸に位置している。この場合、発光素子からの出射光が予め定めた光路をたどれば、発光素子と光ファイバとの間の結合損失を低減することができる。しかしながら、製造公差等により出射光の光路がずれることがある。例えば、発光素子が取付公差によって規定の位置からずれてしまうと、出射光の光路がずれてしまう。これにより、レンズによって集光された出射光が光ファイバの中心軸から大きくずれてしまう。よって、製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合に、結合損失が増加しやすくなり、光モジュールの製造歩留まりが悪化する。
【0005】
本開示は、製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合であっても、結合損失の増加を抑制することができる、光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、一側面として、主面を有する基板と、基板上に設けられた発光素子と、第1レンズが形成された底面と第1端面とを有し、主面と交差する方向に沿って第1レンズが発光素子と並ぶように主面上に実装され、発光素子からの出射光を第1レンズを介して第1端面より出射させる構成であるレンズモジュールと、第2レンズが形成された第2端面を有し、第2端面が第1端面と向かい合うようにレンズモジュールと接続され、第1端面からの出射光を第2レンズにより集光する構成であるレンズコネクタと、前端面を有し、レンズコネクタに保持され、第2レンズにより集光された出射光が前端面に入射する構成である光ファイバと、を備えた、光モジュールに関する。この光モジュールでは、第2レンズの焦点は、前端面から第2端面へ向かう方向に所定の距離だけ離れている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合であっても、結合損失の増加を抑制した光モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る光モジュールを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す光モジュールの分解図である。
図3図3は、図1に示す光モジュールのIII-III線に沿った断面図を模式的に示している図である。
図4図4は、レンズモジュールの周辺構造を示す側面図である。
図5図5は、図4に示す周辺構造の製造方法を示す側面図であり、(a)部は、基板に半田を導入した状態を示す側面図であり、(b)部は、電子部品を配置した状態を示す側面図であり、(c)部は、半田リフローにより電子部品を主面に半田付けした状態を示す側面図であり、(d)部は、半田リフローにより基板をマザーボードに半田付けした状態を示す側面図である。
図6図6は、光モジュールにおける光路をシミュレーションした結果を示す図であり、(a)部は、実施例1の結果を示す図であり、(b)部は、比較例の結果を示す図である。
図7図7は、光モジュールにおいてレンズモジュールの位置をずらした場合における結合損失をシミュレーションした実施例2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
[1]本開示の一実施形態に係る光モジュールは、主面を有する基板と、基板上に設けられた発光素子と、第1レンズが形成された底面と第1端面とを有し、主面と交差する方向に沿って第1レンズが発光素子と並ぶように主面上に実装され、発光素子からの出射光を第1レンズを介して第1端面より出射させる構成であるレンズモジュールと、第2レンズが形成された第2端面を有し、第2端面が第1端面と向かい合うようにレンズモジュールと接続され、第1端面からの出射光を第2レンズにより集光する構成であるレンズコネクタと、前端面を有し、レンズコネクタに保持され、第2レンズにより集光された出射光が前端面に入射する構成である光ファイバと、を備える。この光モジュールでは、第2レンズの焦点は、前端面から第2端面へ向かう方向に所定の距離だけ離れている。
【0010】
この光モジュールでは、発光素子からの出射光を集光する第2レンズの焦点が、光ファイバの前端面から第2端面へ向かう方向に所定の距離だけ離れている。この場合、焦点が光ファイバの前端面上、または、光ファイバの内部に位置している場合と比較すると、出射光の光路がずれた際において、出射光の中心が光ファイバの中心軸に近くなる。よって、出射光の光路が予め定めた光路からずれた場合であっても結合損失の増加を抑制することができる。したがって、この光モジュールによれば、製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合であっても、結合損失の増加を抑制できる。また、この光モジュールでは、出射光を集光する第2レンズが、基板に実装されるレンズモジュールではなく、レンズコネクタに形成されている。これにより、第2レンズでは、製造時に発生する熱、例えば他の電子部品を半田リフローにより基板へ実装する際に発生する熱、による変形が生じない。すなわち、第2レンズの焦点位置が光ファイバの中心軸から離れることを抑制することができる。したがって、この光モジュールによれば、製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合であっても、結合損失の増加をより確実に抑制できる。
【0011】
[2]上記[1]の光モジュールにおいて、所定の距離は、50μm以上150μm以下であってもよい。この場合、焦点が前端面から第2端面へ向かう方向に50μm以上離れているため、第2レンズにより集光された出射光の、光ファイバの中心軸からのずれが顕著に小さくなる。また、焦点が前端面から第2端面へ向かう方向に150μm以下離れていることにより、第2レンズにより集光された出射光の拡散を抑制し、より確実に出射光を光ファイバに入射させることができる。よって、この光モジュールによれば、製造公差等により発光素子からの出射光の光路がずれた場合であっても、結合損失の増加をより確実に抑制できる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]の光モジュールにおいて、第1端面と第2端面とは、中心軸と垂直を為す面に対して傾斜していてもよい。この場合、第1端面又は第2端面に入射した発光素子からの出射光の一部がフレネル反射により反射される際、当該反射光は、出射光の光路からずれた方向に反射される。よって、出射光が発光素子に向かって反射されることを防ぐことができ、発光素子の動作を安定させることができる。
【0013】
[4]上記[1]から[3]のいずれかの光モジュールにおいて、第1端面と第2端面とは、光ファイバの中心軸の方向に沿って離れていてもよい。この場合、第2端面に形成された第2レンズが第1端面と接触しないので、第2レンズが傷つくことを防ぐことができる。よって、第2レンズの信頼性を高めることができる。
【0014】
[5]上記[1]から[4]のいずれかの光モジュールにおいて、レンズモジュールは、透明ポリアミド、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の架橋性の熱可塑性樹脂から構成され、レンズコネクタは、ポリエーテルイミド樹脂から構成されていてもよい。この場合、レンズモジュールは、耐熱性に優れるので、製造時に発生する熱、例えば他の電子部品を半田リフローにより基板へ実装する際に発生する熱、によるレンズモジュールの変形が抑制される。よって、出射光の光路のずれを抑制することができる。また、レンズコネクタは、成形性に優れていることから、レンズコネクタの寸法精度が向上する。よって、第2レンズの焦点が光ファイバの中心軸から離れることを抑制することができる。
【0015】
[6]上記[1]から[5]のいずれかの光モジュールにおいて、レンズモジュールは、底面及び第1端面と交差する方向に延在するミラー面を更に有し、第1端面は、主面と交差する方向に延在しており、ミラー面は、第1レンズを通過した出射光を第1端面に向けて反射する構成であってもよい。この場合、発光素子からの出射光が主面と交差する方向に延在する第1端面から出射されるので、出射光は、主面に対して垂直な方向と交差する方向に出射される。これにより、光ファイバが基板の主面の法線方向に延在せずに済む。よって、この光モジュールによれば、基板の主面の法線方向における全体の高さを抑制することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示に係る光モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、一実施形態に係る光モジュール1を示す斜視図である。図2は、図1に示す光モジュール1の分解図である。図3は、図1に示す光モジュール1のIII-III線に沿った断面図を模式的に示している図である。光モジュール1は、図1から図3に示すように、主面2aを有する基板2と、主面2a上に設けられた発光素子3と、発光素子3の上方、かつ、主面2a上に実装されたレンズモジュール4と、レンズモジュール4に接続されたレンズコネクタ5と、レンズコネクタ5に保持される少なくとも1本の光ファイバ6と、ケーブル7と、ブーツ8と、を備える。以下の説明においては、主面2aが延在する方向をX方向と称し、主面2aの法線方向をY方向と称し、X方向及びY方向と垂直を為す方向をZ方向と称する。X方向及びY方向は、互いに垂直を為している。
【0018】
基板2は、略矩形の平板形状を有する誘電体基板の表面に金属製の配線パターン(不図示)が形成された部材である。基板2の主面2a上には、発光素子3及びレンズモジュール4が設けられている。
【0019】
発光素子3は、例えば半導体レーザである。発光素子3の光軸L1は、図3に示すように、第1レンズ4aの光軸L2と一致する。発光素子3からの出射光Eがレンズモジュール4及びレンズコネクタ5を介して光ファイバ6に入射することで、発光素子3及び光ファイバ6が互いに光学的に結合している。なお、後述の実施例に示すように、製造公差等によって、光軸L1と光軸L2とが互いにずれてもよい。
【0020】
レンズモジュール4は、出射光Eをコリメートしてレンズコネクタ5へ出射させる部材である。レンズモジュール4は、図1図2及び図3に示すように、第1レンズ4a、底面4b、第1端面4c、ミラー面4d、一対のガイドピン4e、及び、上面4fを有している。レンズモジュール4には、発光素子3を駆動させるためのICが実装されてもよい。レンズモジュール4は、図3に示すように、第1レンズ4aが発光素子3と向かい合うように、かつ、Y方向に沿って発光素子3の上方に第1レンズ4a及びミラー面4dが順に位置するように、主面2a上に接着剤K(図4参照)により実装されている。すなわち、Y方向に沿って第1レンズ4aが発光素子3と並んでいる。第1端面4cは、X方向においてミラー面4dと並ぶように形成されている。一対のガイドピン4eは、図2に示すように、第1端面4cに形成され、レンズコネクタ5へ向かって突出している。一対のガイドピン4eが一対のガイド穴5cに挿入されることにより、レンズモジュール4とレンズコネクタ5とが連結される。なお、ガイドピン4eは、第1端面4cに形成されていなくてもよい。この場合、第1端面4cには段差が設けられており、第1端面4cから一段上がった面にガイドピン4eが設けられてもよい。
【0021】
第1レンズ4aは、図3に示すように、底面4bに形成された凸レンズである。第1レンズ4aは、出射光Eをコリメートする。出射光Eは、Y方向において第1レンズ4aを介してミラー面4dへ伝搬される。ミラー面4dは、出射光Eを第1端面4cへ反射するミラーである。ミラー面4dは、図2及び図3に示すように、Y方向において底面4bと対向する上面4fに設けられ、X方向及びY方向に対して傾斜している。ミラー面4dは、例えばX方向及びY方向に対して45度傾斜している。このように、ミラー面4dによって、出射光Eの伝搬方向がY方向からX方向に変換されることにより、光ファイバ6がY方向(主面2aの法線方向)に延在しなくて済む。
【0022】
第1端面4cは、図3に示すように、出射光Eを出射させると共に、第2端面5bと対向する面である。第1端面4cは、上端4g、及び、Y方向に沿って上端4gと並ぶ下端4hを有する。Y方向において、下端4hは、上端4gと比較して、主面2aに寄っている。第1端面4cは、主面2a及び底面4bと交差する方向に延在している。第1端面4cは、光ファイバ6の中心軸Oと垂直を為す面に対して6度以上40度以下の角度で傾斜しており、本実施形態では一例として8度傾斜している。本実施形態では、第1端面4cは、上端4gがレンズコネクタ5へ向かうように傾斜している。すなわち、Z方向から視た場合、下端4h、上端4g、及び、レンズコネクタ5がX方向において順に並んでいる。第1端面4cが中心軸Oと垂直を為す面に対して傾斜していることにより、出射光Eの一部がフレネル反射によって第1端面4cに反射されても、当該反射光は、出射光Eの光路からずれた方向に反射される。また、第1端面4cが中心軸Oと垂直を為す面に対して6度以上の角度で傾斜していることにより、当該反射光は、出射光Eの光路からよりずれた方向に反射される。また、第1端面4cが中心軸Oと垂直を為す面に対して40度以下の角度で傾斜していることにより、第1端面4cによる出射光Eの過度な屈折を抑制することができる。
【0023】
次に、レンズモジュール4の構成材料について説明する。レンズモジュール4は、透明ポリアミド、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の架橋性の熱可塑性樹脂により構成されている。この熱可塑性樹脂は耐熱性及び透明性を有しているため、レンズモジュール4が耐熱性を有すると共に、第1レンズ4aをレンズモジュール4と一体に成形することができる。
【0024】
次に、基板2及びレンズモジュール4の周辺構造の一例について図4を用いて説明する。図4は、基板2及びレンズモジュール4の周辺構造を示す側面図である。レンズモジュール4の周辺には、電子部品Hが半田S1により基板2に実装されている。電子部品Hは、例えば、入力信号から直流成分を除去するACカップリング用コンデンサである。当該コンデンサは、例えば、主面2a上に設けられる回路に含まれている。当該回路は、例えば、高速差動信号を伝送するための回路である。また、基板2が半田S2によりマザーボードMに実装されている。マザーボードMは、例えばCPUが搭載されたパソコンを制御する部材である。電子部品H及び基板2は、後述する製造方法に示すように、例えば半田リフローによってそれぞれ基板2及びマザーボードMに実装されているため、レンズモジュール4は製造過程において生じる熱に曝され得る。しかしながら、レンズモジュール4が上述のように耐熱性を有するので、当該熱によるレンズモジュール4の変形が抑制される。
【0025】
図2及び図3に戻り、レンズコネクタ5の詳細を説明する。レンズコネクタ5は、レンズモジュール4からの出射光Eを受けると共に、光ファイバ6を保持する部材である。レンズコネクタ5は、第2レンズ5a、第2端面5b、及び、一対のガイド穴5cを有している。レンズコネクタ5は、一対のガイド穴5cに一対のガイドピン4eが挿入されることにより、レンズモジュール4と連結される。
【0026】
第2レンズ5aは、図3に示すように、第2端面5bに形成された凸レンズである。第2レンズ5aは、第1端面4cからの出射光Eを集光する。集光された出射光Eは後述する光ファイバ6に入射する。第2レンズ5aの焦点Fについては後述する。
【0027】
第2端面5bは、X方向において第1端面4cと向かい合うと共に、第1端面4cからの出射光Eが入射する面である。第2端面5bは、上端5d、及び、Y方向に沿って上端5dと並ぶ下端5eを有する。Y方向において、下端5eは、上端5dと比較して、主面2aに寄っている。第2端面5bは、中心軸Oと垂直を為す面に対して4度以上35度以下の角度で傾斜しており、本実施形態では一例として第1端面4cと同様に8度傾斜している。本実施形態では、第1端面4cと第2端面5bとが互いに平行である。本実施形態では、第2端面5bは、下端5eがレンズモジュール4へ向かうように傾斜している。すなわち、Z方向から視た場合、レンズモジュール4、下端5e、及び、上端5dがX方向において順に並んでいる。第2端面5bが中心軸Oと垂直を為す面に対して傾斜していることにより、出射光Eの一部がフレネル反射によって第2端面5bに反射されても、当該反射光は、出射光Eの光路からずれた方向に反射される。また、第2端面5bが中心軸Oと垂直を為す面に対して4度以上の角度で傾斜していることにより、当該反射光は、出射光Eの光路からよりずれた方向に反射される。また、第2端面5bが中心軸Oと垂直を為す面に対して35度以下の角度で傾斜していることにより、第2端面5bによる出射光Eの過度な屈折を抑制することができる。
【0028】
レンズモジュール4とレンズコネクタ5とが連結された際、図3に示すように、第1端面4cと第2端面5bとは中心軸Oの方向に沿って離れている。第1端面4cと第2端面5bとの間の中心軸Oの方向における距離D1は、例えば30μm以上100μm以下である。距離D1が30μm以上であることにより、第2レンズ5aが第1端面4cに接触しないので、第2レンズ5aが傷つくことを防ぐことができる。
【0029】
次に、レンズコネクタ5の材料構成について説明する。レンズコネクタ5は、非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂から構成されている。この樹脂は耐熱性及び透明性を有しているため、レンズコネクタ5が耐熱性を有すると共に、第2レンズ5aをレンズコネクタ5と一体に成形することができる。また、この樹脂は成形性に優れているため、レンズコネクタ5の成形性が優れ、レンズコネクタ5の寸法精度が向上する。
【0030】
光ファイバ6は、図3に示すように、前端面6aを有し、中心軸Oの方向において前端面6aが第2端面5bと並ぶように、レンズコネクタ5に保持されている。第2レンズ5aによって集光された出射光Eが光ファイバ6に入射することで、光ファイバ6と発光素子3とが互いに光学的に結合する。光ファイバ6は、図1及び図2に示すように、ケーブル7によって保護されている。ケーブル7には樹脂製のブーツ8が取り付けられている。ブーツ8がレンズコネクタ5の開口部(不図示)から内部に挿入されることで、光ファイバ6、ケーブル7、及び、ブーツ8が一体としてレンズコネクタ5に保持される。光ファイバ6は、接着剤(不図示)によりレンズコネクタ5に固着されている。
【0031】
次に、図3を用いて第2レンズ5aの焦点Fについて説明する。焦点Fは、図3に示すように、光ファイバ6の中心軸O上に位置すると共に、前端面6aから第2端面5bへ向かう方向に所定の距離D2だけ離れている。距離D2が0μmより大きいことにより、後述する実施例に示すように、出射光Eの光路がずれた場合、出射光Eの中心と中心軸Oとのずれが小さくなる。距離D2は、25μm以上135μm以下であってもよく、40μm以上125μm以下であってもよく、50μm以上150μm以下であってもよい。距離D2が50μm以上、75μm以上または100μm以上であることにより、出射光Eの光路がずれた場合、出射光Eの集光点と中心軸Oとのずれがより小さくなる。距離D2が150μm以下であることにより、出射光Eの拡散が抑制される。距離D2が125μm以下または135μm以下であることにより、出射光Eの拡散がより抑制される。
【0032】
次に、本実施形態の光モジュール1の製造方法について、図1から図3を参照しながら、説明する。光モジュール1の製造方法では、基板2と、発光素子3と、ケーブル7により保護されている光ファイバ6と、ブーツ8と、を準備する。
【0033】
また、レンズモジュール4の外形に対応するキャビティを有する金型に対して、樹脂材料を射出することでレンズモジュール4を成形する。ここで、樹脂材料は、透明ポリアミド、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の架橋性の熱可塑性樹脂により構成されている。なお、レンズモジュール4には、発光素子3を駆動させるためのICを実装してもよい。
【0034】
また、レンズコネクタ5の外形に対応するキャビティを有する金型に対して、樹脂材料を射出することで、レンズコネクタ5を成形する。ここで、樹脂材料は非晶性熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂から構成されている。レンズコネクタ5の成形においては、第2レンズ5aの焦点Fが所定の位置となるように、金型の一部分であって第2レンズ5aを形成する部分の形状を調整する。
【0035】
各部材の準備が終了すると、図3に示すように、発光素子3を主面2a上に設ける。次に、レンズモジュール4を、第1レンズ4aが発光素子3と向かい合うように、かつ、Y方向に沿って発光素子3の上方に第1レンズ4a及びミラー面4dが順に位置するように、主面2a上に接着剤K(図4参照)により実装する。
【0036】
また、ケーブル7の先端部の被覆樹脂を剥いて光ファイバ6を露出させる。次に、露出した光ファイバ6を、前端面6aが中心軸Oの方向において第2端面5bと並ぶように、レンズコネクタ5に挿入する。この際、焦点Fの位置が調整されているので、焦点Fが、光ファイバ6の中心軸O上に位置すると共に、前端面6aから第2端面5bへ向かう方向に所定の距離D2だけ離れている。距離D2は、例えば50μm以上150μm以下である。次に、ブーツ8を、ケーブル7に取り付けると共に、レンズコネクタ5の開口部(不図示)に挿入することで、レンズコネクタ5により光ファイバ6、ケーブル7、及び、ブーツ8を一体として保持させる。次に、レンズコネクタ5の内部に接着剤を導入し、光ファイバ6をレンズコネクタ5に固着させる。
【0037】
レンズモジュール4の主面2a上への実装、及び、レンズコネクタ5による光ファイバ6の保持が終了すると、図1及び図2に示すように、レンズコネクタ5の一対のガイド穴5cにレンズモジュール4の一対のガイドピン4eを挿入させることにより、レンズモジュール4及びレンズコネクタ5を連結させる。この際、図3に示すように、X方向において第1端面4cと第2端面5bとを互いに向かい合わせると共に、第1端面4cと第2端面5bとを中心軸Oの方向に沿って離す。第1端面4cと第2端面5bとの間の中心軸Oの方向における距離D1は、例えば30μm以上100μm以下である。以上の製造方法により、上述した光モジュール1が得られる。
【0038】
次に、図5を参照しながら、基板2及びレンズモジュール4の周辺構造の製造方法の一例を説明する。図5は、図4に示す周辺構造の製造方法を示す側面図であり、(a)部は、基板2に半田S1,S2を導入した状態を示す側面図であり、(b)部は、電子部品Hを配置した状態を示す側面図であり、(c)部は、半田リフローにより電子部品Hを主面2aに半田付けした状態を示す側面図であり、(d)部は、半田リフローにより基板2をマザーボードMに半田付けした状態を示す側面図である。
【0039】
周辺構造の製造方法では、図5の(a)部に示すように、まず主面2a上に実装されたレンズモジュール4の周辺に半田S1,S2を導入する。半田S1,S2のそれぞれは、主面2aと基板2の裏面2bとのそれぞれに導入される。半田S2は例えば半田ボールである。なお、半田S1,S2のそれぞれが主面2aと裏面2bとのそれぞれに導入された後、レンズモジュール4が主面2a上に実装されてもよい。
【0040】
半田S1,S2の導入及びレンズモジュール4の実装が終了したら、図5の(b)部に示すように、電子部品Hを半田S1と接触させるように主面2a上に配置する。
【0041】
電子部品Hの配置が終了したら、図5の(c)部に示すように、半田S1を半田リフローによって加熱して溶かして、電子部品Hを主面2aに半田付けする。
【0042】
電子部品Hの主面2aへの半田付けが終了したら、図5の(d)部に示すように、半田S2がマザーボードMと接触するように基板2をマザーボードMに配置する。半田S2を半田リフローによって加熱して溶かして、基板2をマザーボードMに半田付けする。裏面2bには、マザーボードMの代わりに、他の電子部品が半田付けされてもよい。以上の製造方法により、基板2及びレンズモジュール4の周辺構造が製造される。
【0043】
上述した周辺構造の製造方法では、半田リフローによって半田S1,S2を加熱して溶かすため、レンズモジュール4が製造過程において生じる熱に曝され得る。しかしながら、レンズモジュール4は、耐熱性に優れるので、製造時に発生する熱、例えば他の電子部品Hを半田リフローにより基板2へ実装する際に発生する熱、によるレンズモジュール4の変形が抑制される。よって、出射光Eの光路のずれを抑制することができる。
【0044】
以上、本実施形態に係る光モジュール1、及び、光モジュール1の製造方法では、発光素子3からの出射光Eを集光する第2レンズ5aの焦点Fが、光ファイバ6の前端面6aから第2端面5bへ向かう方向に所定の距離D2だけ離れている。この場合、焦点Fが光ファイバ6の前端面6a上、または、光ファイバ6の内部に位置している場合と比較すると、出射光Eの光路がずれた際において、出射光Eの中心が光ファイバ6の中心軸Oに近くなる。よって、出射光Eの光路が予め定めた光路からずれた場合であっても結合損失の増加を抑制することができる。したがって、光モジュール1によれば、製造公差等により発光素子3からの出射光Eの光路がずれた場合であっても、結合損失の増加を抑制できる。また、光モジュール1では、出射光Eを集光する第2レンズ5aが、基板2に実装されるレンズモジュール4ではなく、レンズコネクタ5に形成されている。これにより、第2レンズ5aでは、製造時に発生する熱、例えば他の電子部品Hを半田リフローにより基板2へ実装する際に発生する熱、による変形が生じない。すなわち、第2レンズ5aの焦点Fの位置が光ファイバ6の中心軸Oから離れることを抑制することができる。したがって、光モジュール1によれば、製造公差等により発光素子3からの出射光Eの光路がずれた場合であっても、結合損失の増加をより確実に抑制できる。
【0045】
本実施形態に係る光モジュール1では、所定の距離D2が、50μm以上150μm以下である。焦点Fが前端面6aから第2端面5bへ向かう方向に50μm以上離れているため、出射光Eの光路がずれた場合、第2レンズ5aにより集光された出射光Eのビーム径中心の光ファイバ6の中心軸Oからのずれが顕著に小さくなる。また、焦点Fが前端面6aから第2端面5bへ向かう方向に150μm以下離れているため、第2レンズ5aにより集光された出射光Eの拡散を抑制し、より確実に出射光Eを光ファイバ6に入射させることができる。よって、光モジュール1によれば、製造公差等により発光素子3からの出射光Eの光路がずれた場合であっても、結合損失の増加をより確実に抑制できる。
【0046】
本実施形態に係る光モジュール1では、所定の距離D2が150μm以下であるため、出射光Eの拡散による結合損失の増加が抑制されている。換言すると、光モジュール1では、焦点Fを前端面6aから離すことにより前端面6aにおいて出射光Eが拡がるが、出射光Eの拡がりに起因する結合損失の増加が抑制されるように、焦点Fの位置が定められている。
【0047】
本実施形態に係る光モジュール1では、第1端面4cと第2端面5bとが、中心軸Oと垂直を為す面に対して傾斜している。第1端面4c又は第2端面5bに入射した発光素子3からの出射光Eの一部がフレネル反射により反射される際、当該反射光は、出射光Eの光路からずれた方向に反射される。よって、出射光Eが発光素子3に向かって反射されることを防ぐことができ、発光素子3の動作を安定させることができる。
【0048】
本実施形態に係る光モジュール1では、第1端面4cと第2端面5bとが、光ファイバ6の中心軸Oの方向に沿って離れている。これにより、第2端面5bに形成された第2レンズ5aが第1端面4cと接触しないので、第2レンズ5aが傷つくことを防ぐことができる。よって、第2レンズ5aの信頼性を高めることができる。距離D1は、例えば100μm以下である。これにより、出射光Eの光路がずれた場合、結合損失の増加をより抑制することができる。
【0049】
本実施形態に係る光モジュール1では、レンズモジュール4が、透明ポリアミド、環状ポリオレフィン、フッ素樹脂、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート及びアイオノマー樹脂からなる群より選ばれる1種又は2種以上の架橋性の熱可塑性樹脂から構成され、レンズコネクタ5は、ポリエーテルイミド樹脂から構成されている。これにより、レンズモジュール4は、耐熱性に優れるので、製造時に発生する熱、例えば他の電子部品Hを半田リフローにより基板2へ実装する際に発生する熱、によるレンズモジュール4の変形が抑制される。よって、出射光Eの光路のずれを抑制することができる。また、レンズコネクタ5は、成形性に優れていることから、レンズコネクタ5の寸法精度が向上する。よって、第2レンズ5aの焦点Fが光ファイバ6の中心軸Oから離れることを抑制することができる。
【0050】
本実施形態に係る光モジュール1では、レンズモジュール4が、底面4b及び第1端面4cと交差する方向に延在するミラー面4dを更に有し、第1端面4cは、主面2aと交差する方向に延在しており、ミラー面4dは、第1レンズ4aを通過した出射光Eを第1端面4cに向けて反射する構成である。発光素子3からの出射光Eが主面2aと交差する方向に延在する第1端面4cから出射されるので、出射光Eは、主面2aに対して垂直な方向と交差する方向に出射される。よって、光ファイバ6がY方向(主面2aの法線方向)に延在しない。したがって、光モジュール1によれば、基板2の主面2aの法線方向における全体の高さを抑制することができる。
【0051】
以上、本開示の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、光モジュール1は、ミラー面4dを有しておらず、第1レンズ4aによってコリメートされた出射光Eがミラー面を経ずに第1端面4cに直接到達してもよい。この場合、第1端面4cが第1レンズ4aとY方向において並ぶように設けられ、光ファイバ6を保持したレンズコネクタ5がY方向においてレンズモジュール4と連結されてもよい。
【0052】
光ファイバ6の前端面6aは、第1端面4c及び第2端面5bと同様に、中心軸Oと垂直を為す面に対して傾斜していてもよい。これにより、前端面6aにより反射された出射光Eの反射光が、出射光Eの光路からずれるので、発光素子3の動作をより安定させることができる。第1端面4c及び第2端面5bは、中心軸Oと垂直を為す面に対して傾斜していなくてもよい。
【0053】
第1端面4cと第2端面5bとは、中心軸Oの方向に沿って離れていなくてもよい。この場合、第2端面5bにはレンズコネクタ5の内部へ凹む凹部が形成され、当該凹部の底に第2レンズ5aが形成されることにより、第2レンズ5aが第1端面4cに接触しないように構成されていてもよい。これにより、第2レンズ5aが傷つくことを防ぐことができる。
【0054】
第1端面4cと第2端面5bとは、第2レンズ5aが傷つかないように近づけてもよい。また、第2レンズ5aが傷つかなければ、第1端面4cと第2端面5bとは、互いに接触してもよい。
【0055】
第1レンズ4a及び第2レンズ5aは、凸レンズでなくてもよく、例えばGRINレンズであってもよい。
【0056】
発光素子3は、主面2a上に設けられていなくてもよく、例えば基板2の裏面2b上に設けられていてもよい。
【0057】
光モジュール1は、ブーツ8を備えていなくてもよい。
【0058】
以下、上記実施形態に係る光モジュール1のシミュレーション及びその結果について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
[実施例1]
図6は、光モジュール1における光路をシミュレーションした結果を示す図であり、(a)部は、実施例1の結果を示す図であり、(b)部は、比較例の結果を示す図である。実施例1及び比較例では、図6の(a)部及び(b)部に示すように、発光素子3を、図3に示す光軸L2から中心軸Oの方向に沿って10μmずらしている。すなわち、図3に示す発光素子3の光軸L1と第1レンズ4aの光軸L2とが互いにずれている。これにより、発光素子3からの出射光E1,E2の光路が、図3に示す出射光Eの光路からずれている。実施例1では、距離D2が100μmである。比較例1では、距離D2が0μmである。図6の(a)部を参照すると、実施例1では、出射光E1が第2レンズ5aにより集光点P1に集光されている。これに対し、比較例1においては、図6の(b)部を参照すると、出射光E2が第2レンズ5aにより集光点P2に集光されている。
【0060】
実施例1及び比較例の結果を互いに比較すると、中心軸Oから集光点P1までのY方向の距離は、中心軸Oから集光点P2までのY方向の距離より短い。また、光ファイバ6に入射した出射光E1,E2の割合は、実施例1では76.07%であり、比較例では71.12%であった。このように、出射光Eの光路がずれた場合、焦点Fを前端面6aから離すことにより、第2レンズ5aにより集光された出射光の中心(もしくは、出射光の集光点)の中心軸Oからのずれが小さくなると共に、結合損失の増加が抑制されることが確認された。
【0061】
[実施例2]
図7は、光モジュール1においてレンズモジュール4の位置をずらした場合における結合損失をシミュレーションした実施例2の結果を示すグラフである。図7において、横軸は、デフォーカス距離[μm]を示し、縦軸は、結合損失[dB]を示す。ここでデフォーカス距離とは、中心軸Oの方向に沿って焦点Fが前端面6aから離れている距離D2を示し、デフォーカス距離が0μmである場合、焦点Fが前端面6a上に位置することを意味する。デフォーカス距離が負の値である場合、焦点Fが前端面6aから第2端面5bへ向かう方向に離れていることを意味する。例えばデフォーカス距離が-250μmである場合、距離D2は250μmである。デフォーカス距離が正の値である場合、焦点Fが前端面6aから第2端面5bの反対へ向かう方向に離れていることを意味する。この場合、焦点Fが前端面6a上または光ファイバ6の内部に位置する。
【0062】
実施例2におけるシミュレーションにおいては、レンズモジュール4を、図3に示す光軸L1と垂直を為す面内にて光軸L1から10.3μmずらしている。具体的には、レンズモジュール4を光軸L1からX方向に沿って5μmずらすと共に、レンズモジュール4を光軸L1からZ方向に沿って9μmずらしている。この場合においても、実施例1と同様に、発光素子3からの出射光の光路が、図3に示す出射光Eの光路からずれる。また、実施例2では、デフォーカス距離を複数設定し、複数のシミュレーションを実施している。下の表1は、図7に示されたグラフの各点での数値データを示している。
【0063】
【表1】
【0064】
図7及び表1に示されるように、デフォーカス距離が-150μm以上-25μm以下(距離D2が25μm以上150μm以下)であることにより、デフォーカス距離(距離D2)が0μmの場合と比較して、結合損失の増加が抑制されている。また、デフォーカス距離が-135μm以上-25μm以下、-125μm以上-40μm以下、または、-100μm以上-75μm以下(距離D2が25μm以上135μm以下、40μm以上125μm以下、または、75μm以上100μm以下)であることにより、結合損失の増加がより抑制されている。
【符号の説明】
【0065】
1…光モジュール
2…基板
2a…主面
2b…裏面
3…発光素子
4…レンズモジュール
4a…第1レンズ
4b…底面
4c…第1端面
4d…ミラー面
4e…ガイドピン
4f…上面
4g…上端
4h…下端
5…レンズコネクタ
5a…第2レンズ
5b…第2端面
5c…ガイド穴
5d…上端
5e…下端
6…光ファイバ
6a…前端面
7…ケーブル
8…ブーツ
D1…第1端面4cと第2端面5bとの間の距離
D2…焦点Fの前端面6aから第2端面5bへ向かう方向の距離
E…出射光
E1…実施例1における出射光
E2…比較例における出射光
F…焦点
H…電子部品
K…接着剤
L1…発光素子3の光軸
L2…第1レンズ4aの光軸
M…マザーボード
O…中心軸
P1…実施例1における集光点
P2…比較例における集光点
S1,S2…半田
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7