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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064580
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240507BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240507BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240507BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/00
B05C11/10
G01N21/88 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173272
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】久保田 睦
【テーマコード(参考)】
2G051
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2G051AB12
2G051BA05
2G051CA04
2G051CB10
2G051DA05
2G051DA07
2G051EA12
2G051EA14
4F041AA02
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA23
4F041BA32
4F041BA34
4F041BA43
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA12
4F042DB42
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】複数種類の液体が混合されて塗布対象物に塗布された液体の混合状態の判定を容易にできる塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布部2は、いずれかが蛍光剤を含有する主剤と硬化剤とを混合した混合液をシールラベル18に塗布する。発光部5は、シールラベル18に塗布された混合液にUV光を照射する。撮像部6は、発光部5のUV光が照射された、シールラベル18に塗布された混合液を撮像する。制御部7は、撮像部6が撮像した画像に基づき、混合液の混合状態を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定波長の光が照射されると発光する材料を含有する液体を一部に含む複数種類の液体を混合した混合液を塗布対象物に塗布する塗布部と、
塗布対象物に塗布された前記混合液に前記特定波長の光を照射する発光部と、
前記発光部の光が照射された、塗布対象物に塗布された前記混合液を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記混合液の混合状態を判定する判定部と
を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記複数種類の液体うちの一部の液体が硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記撮像部が撮像した画像に基づき、塗布対象物への前記混合液の塗布不良の有無を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記混合液の混合状態が正常であり、前記混合液の塗布不良として、塗布対象物への前記混合液の塗布不足が生じていると判定した場合において、前記塗布部に塗布対象物への前記混合液の追加の塗布を行わせることを特徴とする請求項3に記載の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を塗布対象物に塗布する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の液体を混合して塗布対象物に塗布する技術が知られている。例えば、印刷されたシールラベル等の塗布対象物の表面に透明な樹脂を盛るように塗布するポッティング加工において、主剤と硬化剤とを混合した樹脂をシールラベル等の塗布対象物に塗布することが行われている。
【0003】
このような技術において、環境温度の変化による主剤および硬化剤の粘度の変化や、塗布装置における主剤と硬化剤とを撹拌する動作の異常等により、主剤と硬化剤との混合比の経時変化や混合ムラ(混合不足)のような混合不良が生じることがある。このような混合不良は、樹脂の硬化不良を招く。
【0004】
塗布装置において塗布された液体の状態を検出する技術としては、液体の塗布領域をカメラで撮像した画像に基づき、液体の塗布形状を検出する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、被着体に塗布された、蛍光剤を含む蛍光性接着剤に紫外線を照射し、蛍光性接着剤が発した蛍光をカメラで捕えた画像を処理して蛍光性接着剤の塗布状態を検査する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-130588号公報
【特許文献2】特開平5-331438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、カメラで撮像された画像からは、複数種類の液体の混合状態を判定して上述のような混合不良を検出することは困難なことがある。例えば、上述したポッティング加工においては、シールラベル等の塗布対象物の印刷画像を透過させるために、主剤および硬化剤として透明度の高い樹脂が使用される。このため、カメラで撮像した画像からは主剤と硬化剤との混合状態の判定が困難である。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、複数種類の液体が混合されて塗布対象物に塗布された液体の混合状態の判定を容易にできる塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の塗布装置は、特定波長の光が照射されると発光する材料を含有する液体を一部に含む複数種類の液体を混合した混合液を塗布対象物に塗布する塗布部と、塗布対象物に塗布された前記混合液に前記特定波長の光を照射する発光部と、前記発光部の光が照射された、塗布対象物に塗布された前記混合液を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記混合液の混合状態を判定する判定部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗布装置によれば、複数種類の液体が混合されて塗布対象物に塗布された液体の混合状態の判定を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る塗布装置の概略構成図である。
図2】シール付き台紙を示す図である。
図3】塗布装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】シールラベルに混合液が塗布されたシール付き台紙を示す図である。
図5】UV光が照射された、シールラベルに混合液が塗布されたシール付き台紙を撮像した画像を示す図である。
図6】混合比の判定について説明するための図である。
図7】混合ムラの判定について説明するための図である。
図8】塗布不良の判定について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0013】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る塗布装置の概略構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係る塗布装置1は、塗布部2と、ワークテーブル3と、XYZステージ4と、発光部5と、撮像部6と、制御部(判定部に相当)7とを備える。
【0015】
塗布部2は、主剤と硬化剤との2種類の液体を混合し、主剤と硬化剤とが混合された混合液を吐出して後述するシールラベル(塗布対象物に相当)18に塗布する。塗布部2は、後述するZステージ23に設置されている。塗布部2は、貯留容器11A,11Bと、ミキサ部12と、ノズル13とを備える。
【0016】
貯留容器11A,11Bの一方は主剤である液体を貯留し、他方は硬化剤である液体を貯留する。貯留容器11A,11Bには、それぞれが貯留する液体が、図示しない供給源から供給される。
【0017】
主剤および硬化剤は、無色透明の液体である。例えば、主剤はポリオールであり、硬化剤はイソシアネートである。主剤または硬化剤が、特定波長の光が照射されると発光する材料である蛍光剤を含有している。蛍光剤は、主剤または硬化剤に均一に分散されている。蛍光剤は、可視光では無色透明である。主剤と硬化剤とが混合された混合液も無色透明である。
【0018】
ミキサ部12は、貯留容器11A,11Bから供給される主剤と硬化剤とを混合して撹拌し、空気圧やメカニカルポンプ等により混合液をノズル13から吐出させる。例えば、ミキサ部12は、主剤であるポリオールと硬化剤であるイソシアネートとを混合して、混合液である2液硬化型のポリウレタン樹脂をノズル13から吐出させる。
【0019】
ノズル13は、混合液を吐出する。
【0020】
ワークテーブル3は、シール付き台紙16が載置されるテーブルである。ワークテーブル3は、後述するYステージ22に設置されている。シール付き台紙16は、図2に示すように、台紙17と、台紙17上に剥離可能に貼り付けられた複数のシールラベル18とを備える。シール付き台紙16において、台紙17の表面とシールラベル18の表面との間には段差がある。
【0021】
XYZステージ4は、塗布部2とワークテーブル3上のシール付き台紙16とを、X方向、Y方向、およびZ方向に相対的に移動させる。XYZステージ4は、Xステージ21と、Yステージ22と、Zステージ23とを備える。
【0022】
Xステージ21は、Zステージ23を水平方向であるX方向に移動させる。Yステージ22は、ワークテーブル3をX方向に直交する水平方向であるY方向に移動させる。Zステージ23は、塗布部2を鉛直方向であるZ方向に移動させる。Zステージ23は、Xステージ21に設置されている。
【0023】
発光部5は、各シールラベル18に混合液が塗布されたシール付き台紙16に、蛍光剤の励起波長に適合した特定波長の光であるUV光を照射する。
【0024】
撮像部6は、発光部5のUV光が照射された、各シールラベル18に混合液が塗布されたシール付き台紙16を撮像する。
【0025】
制御部7は、塗布装置1の各部の動作を制御する。制御部7は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0026】
具体的には、制御部7は、主剤と硬化剤とを混合し、シール付き台紙16の各シールラベル18に混合液を塗布するよう塗布部2およびXYZステージ4を制御する。
【0027】
また、制御部7は、各シールラベル18に混合液が塗布されたシール付き台紙16に発光部5のUV光を照射し、UV光が照射されたシール付き台紙16を撮像部6で撮像するよう制御する。そして、制御部7は、撮像部6が撮像した画像に基づき、混合液の混合状態、および塗布不良の有無を判定する。
【0028】
ここで、混合状態の判定は、混合液における主剤と硬化剤との混合不良の有無を判定するものである。具体的には、混合状態の判定は、混合液における主剤と硬化剤との混合比の異常(正常な混合比からの変化)の有無、および混合ムラ(混合不足)の有無を判定するものである。塗布不良の有無の判定は、塗布不足の有無、および塗布過多の有無を判定するものである。
【0029】
次に、塗布装置1の動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
図3のステップS1において、制御部7は、塗布部2によりシール付き台紙16の各シールラベル18に主剤と硬化剤との混合液を塗布するよう制御する。具体的には、制御部7は、主剤と硬化剤とを混合し、塗布データに基づき、シール付き台紙16の各シールラベル18に混合液を塗布するよう塗布部2のミキサ部12およびXYZステージ4を制御する。ここで、塗布データは、シールラベル18ごとの混合液の塗布量および塗布位置を示すデータである。塗布データは、例えば、パーソナルコンピュータ等の外部装置(図示せず)から制御部7に入力される。
【0031】
シールラベル18に塗布するためにノズル13から吐出された混合液は、粘性によりシールラベル18の表面を流れるように広がる。そして、混合液は、シールラベル18の縁まで広がると、表面張力でシールラベル18から漏れずに止まる。これにより、図4に示すように、シールラベル18に混合液31が塗布された状態となる。
【0032】
ここで、環境温度等の周囲環境の変化や、混合液の硬化の進行具合により、混合液の粘度や表面張力等の物性が変化することがある。なお、混合液では、混合直後から主剤と硬化剤との化学反応により硬化が始まっている。また、塗布部2による混合液の吐出量にはバラツキがある。このため、図4に示すように、シールラベル18に対する混合液31の塗布不足や塗布過多が発生することがある。
【0033】
また、環境温度の変化による主剤および硬化剤の粘度の変化により、貯留容器11A,11Bからミキサ部12への主剤の流入量と硬化剤の流入量との比率が変化することがある。また、貯留容器11A,11Bからミキサ部12への主剤および硬化剤の流入量にはバラツキがある。このため、混合液における主剤と硬化剤との混合比に経時変化が発生することがある。
【0034】
また、塗布部2のミキサ部12における主剤と硬化剤とを撹拌する動作の異常により、主剤と硬化剤との混合ムラ(混合不足)が発生することがある。
【0035】
図3に戻り、ステップS2において、制御部7は、各シールラベル18に塗布された混合液の撮像を行う。
【0036】
具体的には、制御部7は、各シールラベル18に混合液が塗布されたシール付き台紙16に発光部5のUV光を照射するよう制御する。これにより、各シールラベル18に塗布された混合液が、UV光の照射により発光する。この状態で、制御部7は、シール付き台紙16を撮像部6に撮像させる。これにより、図5に示すような、発光領域32を含む画像が撮像される。発光領域32は、シール付き台紙16上の混合液が塗布された領域である。
【0037】
次いで、ステップS3において、制御部7は、撮像部6が撮像した画像を画像処理して、発光領域32を抽出する。制御部7は、例えば、グレースケール処理、明るさ・コントラストの調整、白黒反転処理等を行うことで、発光領域32を抽出することができる。
【0038】
なお、ステップS2で撮像を行う際の撮像環境によっては、画像処理を行っても発光領域32の抽出が困難な場合がある。このため、ステップS2において、撮像環境によっては、周辺の照度を調整して撮像を行ってもよい。
【0039】
次いで、ステップS4において、制御部7は、混合液の混合状態、および塗布不良の有無を判定する。
【0040】
具体的には、制御部7は、画像処理後の画像における各発光領域32について、当該発光領域32の濃度(平均濃度)を基準濃度と比較する。基準濃度との濃度の差が所定の混合比判定閾値以上である発光領域32がある場合、制御部7は、混合液における混合比の異常(正常な混合比からの変化)が発生していると判定する。
【0041】
ここで、画像処理後の画像における濃度は、発光強度に比例する。また、混合液における発光強度は、蛍光剤の量に比例する。したがって、図6に示すように、主剤および硬化剤のうち蛍光剤を含有する液体の比率が正常な比率よりも高い場合、主剤と硬化剤との混合比が正常である場合よりも、発光領域32の濃度が高くなる。また、蛍光剤を含有する液体の比率が正常な比率よりも低い場合、混合比が正常である場合よりも、発光領域32の濃度が低くなる。このため、発光領域32の濃度から、混合液における主剤と硬化剤との混合比の異常の有無を判定できる。上述の基準濃度は、混合比が正常である場合の発光領域32の濃度として予め設定された濃度である。
【0042】
なお、図6は、撮像部6が撮像した画像を白黒反転処理した画像である。後述する図7図8についても同様である。
【0043】
また、制御部7は、各発光領域32について、当該発光領域32内の最高濃度と最低濃度との差を算出する。最高濃度と最低濃度との差が所定の混合ムラ判定閾値以上である発光領域32がある場合、制御部7は、混合液における混合ムラ(混合不足)が発生していると判定する。
【0044】
ここで、混合液における混合ムラが生じている場合、図7に示すように、画像処理後の画像における発光領域32内において、濃淡ムラが生じる。混合ムラがない場合は、発光領域32内の濃度は均一である。このため、発光領域32内の最高濃度と最低濃度との差から、混合液における主剤と硬化剤との混合ムラ(混合不足)の有無を判定できる。
【0045】
また、制御部7は、画像処理後の画像における各発光領域32の形状を、予め登録している発光領域32の正常な形状とパターンマッチングすることで、各シールラベル18に対する混合液の塗布不足の有無、および塗布過多の有無を判定する。なお、ステップS1で混合液を塗布する前に撮像部6でシール付き台紙16を撮像しておき、撮像した画像におけるシールラベル18の形状を、発光領域32の正常な形状として用いてもよい。
【0046】
ここで、図8に示すように、シールラベル18に対する混合液の塗布量(塗布形状)に応じて発光領域32の形状が変わるため、発光領域32の形状から、塗布不足の有無、および塗布過多の有無を判定できる。
【0047】
図3に戻り、ステップS5において、制御部7は、混合液の混合不良が発生しているか否かを判断する。ここで、制御部7は、上述した混合状態の判定の結果、混合比の異常および混合ムラの少なくともいずれかが発生していると判定した場合、混合液の混合不良が発生していると判断する。
【0048】
混合液における混合不良が発生している場合、混合液の硬化不良が生じるおそれがある。このため、混合不良が発生していると判断した場合(ステップS5:YES)、ステップS6において、制御部7は、外部装置等の表示部(図示せず)に警告を表示させる。これにより、一連の動作が終了となる。
【0049】
混合不良は発生していないと判断した場合(ステップS5:NO)、ステップS7において、制御部7は、上述した塗布不良の有無の判定の結果、少なくともいずれかのシールラベル18に対する混合液の塗布過多が発生しているか否かを判断する。
【0050】
ここで、塗布不足が後述する追加塗布により修正可能であるのに対し、塗布過多は修正ができない。このため、塗布過多が発生していると判断した場合(ステップS7:YES)、制御部7は、ステップS6に進み、外部装置等の表示部に警告を表示させる。これにより、一連の動作が終了となる。
【0051】
塗布過多は発生していないと判断した場合(ステップS7:NO)、ステップS8において、制御部7は、少なくともいずれかのシールラベル18に対する混合液の塗布不足が発生しているか否かを判断する。
【0052】
塗布不足が発生していると判断した場合(ステップS8:YES)、ステップS9において、制御部7は、塗布不足が発生している各シールラベル18に対する混合液の追加塗布を行うよう塗布部2のミキサ部12およびXYZステージ4を制御する。ここで、制御部7は、塗布不足が発生しているシールラベル18に対応する発光領域32の形状に基づき、当該シールラベル18に対する追加塗布における塗布量を決定する。
【0053】
塗布不足が発生している各シールラベル18に対する混合液の追加塗布が終了すると、制御部7は、ステップS2へ戻る。
【0054】
ステップS8において、塗布不足は発生していないと制御部7が判断した場合(ステップS8:NO)、一連の動作が終了となる。この後、熱処理装置(図示せず)における熱処理工程により、各シールラベル18に塗布された混合液が完全に硬化される。
【0055】
以上説明したように、塗布装置1では、主剤または硬化剤が蛍光剤を含有している。主剤と硬化剤との混合液が塗布された各シールラベル18に発光部5がUV光を照射し、UV光が照射された、各シールラベル18に塗布された混合液を撮像部6が撮像する。制御部7は、撮像部6が撮像した画像に基づき、混合液の混合状態を判定する。これにより、混合液の蛍光剤が発光することで、混合液が無色透明であっても、撮像部6が撮像した画像から混合液の混合状態の判定を容易にできる。
【0056】
また、混合される2種類の液体のうちの一方が硬化剤であるため、混合状態を容易に判定できることで、硬化不良のおそれの有無を容易に判定できる。
【0057】
また、制御部7は、撮像部6が撮像した画像に基づき、シールラベル18への混合液の塗布不良の有無を判定する。これにより、混合液が無色透明であっても、撮像部6が撮像した画像から混合液の塗布不良の有無の判定を容易にできる。
【0058】
また、制御部7は、混合液の混合状態が正常であり、混合液の塗布不良として、シールラベル18への混合液の塗布不足が生じていると判定した場合において、塗布部2に塗布不足が生じているシールラベル18への混合液の追加の塗布を行わせる。これにより、シールラベル18に対する混合液の塗布不足を解消できる。この結果、混合液が塗布されて硬化されたシールラベル18の製造における不良品を低減できる。特に、塗布部2として、吐出量のバラツキが大きい空気圧方式のディスペンサを用いた場合でも、混合液の塗布不足を解消して不良品を低減できる。
【0059】
また、混合液に蛍光剤が含まれることで、例えば、会員ラベルの偽造防止のための真贋判定や、ネイルシールをブラックライトで発光させる技術に適用でき、商品に付加価値を付与できる。
【0060】
なお、塗布データにおいて、シールラベル18への混合液の塗布量を、塗布過多より塗布不足が生じやすい少なめの量に設定しておいてもよい。これにより、塗布不良としては、修正できない塗布過多よりも修正可能な塗布不足の方が多くなるので、不良品を低減できる。
【0061】
また、上述した実施の形態では、いずれも無色透明の主剤と硬化剤との2種類の液体を混合した無色透明の混合液をシールラベル18に混合液を塗布する塗布装置1について説明した。しかし、混合される液体は2種類に限らず、複数種類であればよい。また、混合される複数種類の液体に硬化剤が含まれていなくてもよい。また、蛍光剤を含有する液体は1種類に限らず、混合される複数種類の液体のうちの一部の液体が蛍光剤を含有していればよい。また、混合される複数種類の液体の少なくとも一部の液体が無色透明でなくてもよい。複数種類の液体が混合された混合液も無色透明でなくてもよい。また、塗布対象物はシールラベル18に限らず、電子部品の固定や封止のために、複数種類の液体を混合した混合液を塗布する装置にも本発明は適用可能である。
【0062】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0063】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0064】
(付記1)
特定波長の光が照射されると発光する材料を含有する液体を一部に含む複数種類の液体を混合した混合液を塗布対象物に塗布する塗布部と、
塗布対象物に塗布された前記混合液に前記特定波長の光を照射する発光部と、
前記発光部の光が照射された、塗布対象物に塗布された前記混合液を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像に基づき、前記混合液の混合状態を判定する判定部と
を備えることを特徴とする塗布装置。
【0065】
(付記2)
前記複数種類の液体うちの一部の液体が硬化剤であることを特徴とする付記1に記載の塗布装置。
【0066】
(付記3)
前記判定部は、前記撮像部が撮像した画像に基づき、塗布対象物への前記混合液の塗布不良の有無を判定することを特徴とする付記1または2に記載の塗布装置。
【0067】
(付記4)
前記判定部は、前記混合液の混合状態が正常であり、前記混合液の塗布不良として、塗布対象物への前記混合液の塗布不足が生じていると判定した場合において、前記塗布部に塗布対象物への前記混合液の追加の塗布を行わせることを特徴とする付記3に記載の塗布装置。
【符号の説明】
【0068】
1 塗布装置
2 塗布部
3 ワークテーブル
4 XYZステージ
5 発光部
6 撮像部
7 制御部
11A,11B 貯留容器
12 ミキサ部
13 ノズル
16 シール付き台紙
17 台紙
18 シールラベル
21 Xステージ
22 Yステージ
23 Zステージ
31 混合液
32 発光領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8