(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000646
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20231226BHJP
【FI】
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099451
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 悠樹
【テーマコード(参考)】
3D344
【Fターム(参考)】
3D344AA20
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】 表示光を遮る物体を検出可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】 情報18a,18b,18cを表示光Lとして生成する表示部17と、表示光Lを反射部2で反射させ視認者4に虚像Vとして表示を行うHUD装置1において、情報は、第1の情報18aと、第1の情報とは異なる第2の情報18b,18cと、を有し、表示部17は、第1の情報18aを表示する第1の表示領域17aと、第1の表示領域17aに隣接し第2の情報18b,18cを表示する第2の表示領域17b,17cと、を有し、表示部17の表示面側に配置される中空の筒状部31と、筒状部31と表示部17から形成される空間に位置する物体を検出する検出部6と、を有し、物体Bが第1の表示領域17aに位置することを検出した時、第1の表示領域17aは第1の情報18aを非表示し、第2の表示領域17bは第1の情報18aを表示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示し、前記情報を表示光として生成する表示部と、
前記表示光を反射部で反射させ視認者に虚像として表示を行うヘッドアップディスプレイ装置において、
前記情報は、第1の情報と、前記第1の情報とは異なる第2の情報と、を有し、
前記表示部は、前記第1の情報を表示する第1の表示領域と、前記第1の表示領域に隣接し前記第2の情報を表示する第2の表示領域と、を有し、
前記表示部の表示面側に配置される中空の筒状部と、
前記筒状部と前記表示部から形成される空間に位置する物体を検出する検出部と、
を有し、
前記物体が前記第1の表示領域に位置することを検出した時、前記第1の表示領域は前記第1の情報を非表示し、前記第2の表示領域は前記第1の情報を表示することを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記物体が前記第1の表示領域に位置することを検出した時、前記第2の表示領域は前記物体を検出したことを報知する検出情報を表示することを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記物体が前記第1の表示領域に位置することを検出した時、前記第1の表示領域は、全面同一色で表示することを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1の情報は、前記第2の情報よりも重要度が高い情報であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項5】
前記物体が前記第2の表示領域に位置することを検出した時、前記第1の表示領域は前記第2の情報を表示しないことを特徴とする請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
前記反射部は、車両のフロントガラスであり、
前記筒状部は、前記車両のインストルメントパネルに形成される凹部であり、
前記表示光は、前記フロントガラスの周縁に形成される遮光部に投影されることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
前記物体が前記第1の表示領域に位置することを検出した時、前記車両が走行状態である場合、前記第2の表示領域は前記車両の停止を促す停止情報を表示することを特徴とする請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項8】
前記物体が前記第1の表示領域に位置することを検出した時、前記車両が停止状態である場合、前記第2の表示領域は前記物体の取り出し方法を説明する取り出し情報を表示することを特徴とする請求項6に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両等に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘッドアップディスプレイ装置は、例えば、特許文献1に開示されるように、車両のフロントガラス(風防)の位置付近のインストルメントパネルの上面を下方に凹ませて設けられた凹部に表示器を配置し、この表示器からの表示光をフロントガラスの周縁を覆う着色部分に反射させ、運転者(視認者)に虚像で表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、凹部に物体が落ちた場合、表示光を遮り虚像が表示できないといった問題点があった。更に、運転者が気付き難いといった問題点もあった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、表示光を遮る物体を検出可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置1は、情報18a,18b,18cを表示し、前記情報18a,18b,18cを表示光Lとして生成する表示部17と、前記表示光Lを反射部2で反射させ視認者4に虚像Vとして表示を行うヘッドアップディスプレイ装置1において、前記情報18a,18b,18cは、第1の情報18aと、前記第1の情報とは異なる第2の情報18b,18cと、を有し、前記表示部17は、前記第1の情報18aを表示する第1の表示領域17aと、前記第1の表示領域17aに隣接し前記第2の情報18b,18cを表示する第2の表示領域17b,17cと、を有し、前記表示部17の表示面側に配置される中空の筒状部31と、前記筒状部31と前記表示部17から形成される空間に位置する物体を検出する検出部6と、を有し、前記物体Bが前記第1の表示領域17aに位置することを検出した時、前記第1の表示領域17aは前記第1の情報18aを非表示し、前記第2の表示領域17bは前記第1の情報18aを表示することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のヘッドアップディスプレイ装置が車両に搭載された状態を示す概略図。
【
図2】同上のヘッドアップディスプレイ装置の要部の断面図。
【
図3】同上のヘッドアップディスプレイ装置の運転者の視認する表示例を示す図。
【
図4】同上のヘッドアップディスプレイ装置の凹部に物体が落ちた場合を説明する図。
【
図5】従来のヘッドアップディスプレイ装置の凹部に物体が落ちた場合の運転者の視認する表示例を示す図。
【
図6】本開示のヘッドアップディスプレイ装置の凹部に物体が落ちた場合の異物検知を報知する表示例を示す図。
【
図7】同上のヘッドアップディスプレイ装置の凹部に物体が落ちた場合の停車を促す表示例を示す図。
【
図8】同上のヘッドアップディスプレイ装置の凹部に物体が落ちた場合のマニュアル確認を促す表示例を示す図。
【
図9】同上のヘッドアップディスプレイ装置の凹部に物体が落ちた場合の他の表示例を示す図。
【
図10】同上のヘッドアップディスプレイ装置の異物検知方法の変形例を示す要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示のヘッドアップディスプレイ装置の実施形態を添付
図1乃至10に基づいて説明する。本開示のヘッドアップディスプレイ装置は、例えば自動車や二輪車等の車両や、船舶、農業機械、建設機械に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置に適用することができる。本実施形態においては、ヘッドアップディスプレイ装置が搭載先としての自動車のインストルメントパネル内に配置される例を用いて説明する。
【0009】
以下の説明において、「前」、「後」、「上」、「下」、「右」及び「左」は、図中における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。
【0010】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、所謂ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head Up Display)であり、投影部材である車両の風防であるフロントガラス(反射部)2で搭載先のインストルメントパネル3内に配置されたヘッドアップディスプレイ装置1の画像を表す表示光Lを反射(投影)させ、自動車の運転席に着座した運転者(視認者)4方向に虚像Vとして視認させる。
【0011】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、特に、フロントガラス2の周縁に形成される遮光部21で表示光Lを反射して、画像の背景が黒色の虚像Vとして運転者4に視認させる。遮光部21は、黒セラミックス等からなる黒色等の遮光色からなる不透光性の部分である。遮光部21は、フロントガラス2を車両に固定する接着剤の太陽光による劣化の防止や、接着剤の隠蔽、意匠性の向上等を目的に形成される。
【0012】
図2に示すようにヘッドアップディスプレイ装置1は、上ケース11と、下ケース12と、回路基板13と、光源14と、プリズム板15と、光学部材16と、表示器(表示部)17と、を少なくとも有する。
【0013】
上ケース11は、黒色の遮光性の合成樹脂材料(例えば、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)等)からなり、下方が開口した略箱状に形成される。上ケース11は、表示器17と対向する箇所に透光部11aが形成される。透光部11aは、透過性の合成樹脂材料(例えば、PMMA(アクリル)等)からなる。
【0014】
下ケース12は、黒色の遮光性の合成樹脂材料(例えば、ABS等)からなり、上方が開口した略箱状に形成される。下ケース12は、上ケース11と嵌合することで箱状の筐体を形成し、回路基板13,光源14,プリズム板15,光学部材16,表示器17を内部に収容する。
【0015】
回路基板13は、平板状のガラスエポキシ系基材等の硬質プリント基板からなる。回路基板13は、光源14,制御チップ,抵抗,コンデンサ等の各種回路部品を実装し、各種回路部品を配線パターンにより接続して回路を構成する。回路基板13は、ハーネス等の配線部材によって車両の制御部(例えば、ECU(Engine Control Unit)等)と電気的に接続される。
【0016】
制御チップは、CPU、ROMやRAMといった記憶部、I/O、それらを相互に接続するバスラインを含むコンピュータを主体として構成される。制御チップは、ECUからの情報に応じて表示器17や光源14や後述する検出器6を制御する。
【0017】
光源14は、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)からなり、回路基板13の上面に複数個が実装される。光源14は、制御チップから供給される制御信号に基づいて、発光回路(図示せず)により光を発する。光源14は、プリズム板15に向かって光を発する。
【0018】
プリズム板15は、光学部材16と光源14の間に配置される。プリズム板15は、透光性の平板形状の合成樹脂シート(例えば、PC(ポリカーボネート)シート)の光源14側に透明樹脂がポッティングなどにより凹凸形状に形成されたものからなる。この凹凸形状は、光源14側が細くなるノコギリ歯状(三角形状の連続した形状)断面に形成される。プリズム板15は、光源14からの光を屈折させ、この光を所定の角度で表示器17側へ照射し、表示器17を透過した光は、フロントガラス2の方へ照射される。
【0019】
光学部材16は、表示器17とプリズム板15の間に配置され、プリズム板15から発せられた照明光を拡散させる。光学部材16は、表示器17側に2枚設けられるプリズムシートと、その背後に1枚設けられる表面に粒々状の凹凸のある拡散シートと、の計3枚が設けられる。プリズムシートは、表面に凹凸のあるBEF(Brightness Enhancement Film)等の光学フィルムである。光学部材16としての枚数や順序、種類としては、適宜設定して配置するようにしてもよい。
【0020】
表示器17は、例えばアクティブマトリクス駆動方式により駆動するTFT(Thin Film Transistor)方式のフルカラーの液晶表示パネルである。表示器17は、ネガティブモード(表示画像が、点灯時に透光性、消灯時は遮光性になり、画像の背景は点灯時及び消灯時も遮光性であるモード)の画像を表示し、この画像を表示光Lとして生成する。表示器17は、左右方向に長い長方形の板状に形成される。
【0021】
インストルメントパネル3は、下方に凹んだ矩形の孔からなる筒状部31を有する。筒状部31は、断面が表示器17に対応するように左右方向に長い長方形に形成され、前壁31aと、後壁31bと、側壁31cと、底孔31dと、を有する。前壁31aは、フロントガラス2側の立壁であり、フロントガラス2に連なるように形成される。後壁31bは、前壁31aと対向する、運転者4側の立壁である。側壁31cは、前壁31aと後壁31bとを繋ぐ立壁である。底孔31dは、下方の底部に開いた矩形の孔である。
【0022】
表示器17は、底孔31dに対向するように、筒状部31の下方に配置される。このように形成され、表示光Lは、筒状部31を通過し、遮光部21に反射し、虚像Vとして運転者4に視認される。
【0023】
図3に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、第1の表示領域17aと、第2の表示領域17bと、第3の表示領域(第2の表示領域)17cと、の左右方向に3分割された3つの表示領域を有する。運転者4から見て、第1の表示領域17aは第2の表示領域17bと第3の表示領域17cの間に配置され、第2の表示領域17bは第1の表示領域17aの左隣に配置され、第3の表示領域17cは第1の表示領域17aの右隣に配置される。
【0024】
第1の表示領域17aは、画像(情報)として第1の情報18aを表示する。第1の情報18aは、例えば、車両の走行速度を表示する速度計といった情報や、シートベルト警告灯,エンジン故障警告灯,ブレーキ故障警告灯といった危険を報知する警告灯等の情報である。
【0025】
第2の表示領域17bは、画像(情報)として第2の情報18bを表示する。第2の情報18bは、例えば、ターンランプ(方向指示灯),前照灯,車幅灯といった作動を報知する作動灯等の情報や、車両の「P(パーキング)」,「D(ドライブ)」,「R(リバース)」等のギアポジショニング(変速段)表示といった情報である。
【0026】
第3の表示領域17cは、画像(情報)として第3の情報(第2の情報)18cを表示する。第3の情報18cは、例えば、エネルギーの残量計やエネルギーの燃費計やエンジンの回転数計や走行距離計等の情報である。
【0027】
第1の情報18aは、第2の情報18bや第3の情報18cよりも運転者にとって重要度が高い情報である。表示器17は、制御チップから供給される制御信号に基づいて、画像を切り替える。第1の情報18a,第2の情報18b,第3の情報18cは、位置及び大きさや色は、法規やメーカ等により適宜設定されるものである。
【0028】
図4に示すように、例えば、ヘッドアップディスプレイ装置1は、物体(異物)Bがこの筒状部31に落下して表示光Lを遮り、
図5に示すように、第1の情報18aである速度計が欠けると、運転者4が車両の速度を正しく認識できなくなるといった問題点があった。また、運転者4は、物体Bが小さい時は、虚像Vの表示の欠けも小さくなることから、筒状部31への物体Bの落下に気付けないといった問題点があった。
【0029】
また、筒状部31は、インストルメントパネル3の運転者4からは奥まったフロントガラス2側に配置されると共にその開口が狭いので、運転者4は物体Bを取ることが難しいといった問題点があった。よって、運転者4は、自動車修理工場に行かなければならないので、筒状部31への物体Bの落下を早期に発見する必要があるといった問題点があった。
【0030】
そこで、本開示は上記の問題点に対処するものであり、
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、検出器(検出部)6を有する。
【0031】
検出器6は、第1の表示領域17a,第2の表示領域17b,第3の表示領域17cの領域毎に設けられる。検出器6は、光源61と、フォトセンサ62と、の一対の構成を有する。検出器6(光源61とフォトセンサ62)は、それぞれハーネス等によって車両の制御部又は回路基板13と電気的に接続される。検出器6は、筒状部31とヘッドアップディスプレイ装置1(透光部11a)との間に配置される。
【0032】
光源61は、赤外光を発するLEDからなり、前壁31aと上ケース11との間に配置される。フォトセンサ62は、フォトダイオードからなり、後壁31bと上ケース11との間に配置されると共に、光源61と対向する位置に配置される。フォトセンサ62は、光源61が発する光を受光し信号に変換する。フォトセンサ62は、受光する光の量に応じた信号を出力する。
【0033】
検出器6は、表示器17の駆動と共に駆動する。ヘッドアップディスプレイ装置1は、フォトセンサ62が閾値以上の光を検出している間は正常と判断し、特定の処理を行わない。しかしながら、ヘッドアップディスプレイ装置1は、
図4に示すように、筒状部31と表示器17から形成される空間に物体Bが落下し、光源61の光が物体Bに遮られフォトセンサ62が受光する光の量が閾値以下となる時間が所定の時間継続すると異常と判断し、運転者4に報知処理を実行する。
【0034】
図6に示すように、物体Bが第1の表示領域17aに位置することを検出器6が検出し異常と判断すると、ヘッドアップディスプレイ装置1は、第1の表示領域17aの第1の情報18aを非表示にし、第2の表示領域17bに第1の情報18aを表示する。この時、第1の情報18aは、大きさを適宜変更して表示する。例えば、第1の情報18aは、第1の表示領域17aに表示していた時よりもサイズを縮小して表示する。
【0035】
また、第2の情報18bは、大きさや位置を適宜変更若しくは非表示にして、第1の情報18aを表示するスペースを形成する。例えば、第2の情報18bは、ギアポジショニング表示のサイズを小さくすると共に左側に位置をずらす。
【0036】
更に、ヘッドアップディスプレイ装置1は、第2の表示領域17bに物体Bを検出したことを報知する「異物検知」といった文字列からなる検出情報19aを表示する。例えば、検出情報19aは、第1の情報18aの下方に表示する。検出情報19aは、点灯では無く点滅して表示する。更に、ヘッドアップディスプレイ装置1は、第1の表示領域17aを全面同一色で表示する。例えば、色は、黒色とコントラストが大きくなる(補色となる)白色等の明るい色で表示する。
【0037】
更に、ヘッドアップディスプレイ装置1は、異常と判断した時に車両が走行状態である(車両速度が0km/h以上の場合)場合は、
図7に示すように、第3の表示領域17cに車両の停止を促す「停車し、異物を取り除いてください。」といった文字列からなる停止情報19bを表示する。
【0038】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、異常と判断した時に車両が停止状態である場合(車両速度が0km/hやギアポジショニングが「P」の場合)は、
図8に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置1は、第3の表示領域17cに物体Bの取り出し方法を説明する「マニュアルに従い、異物を取り除いてください。」といった文字列からなる取り出し情報19cを表示する。
【0039】
この時、第3の情報18cは、大きさや位置を適宜変更して表示する。例えば、エネルギーの残量計のサイズを小さくすると共に下方に位置ずらして、空いたスペースに取り出し情報19cを表示する。
【0040】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、
図9に示すように、物体Bが第3の表示領域17cに位置することを検出した時は、第3の情報18cは第1の情報18aよりも重要度が低く緊急性が低いので、第1の表示領域17a若しくは第2の表示領域17bに第3の情報18cを表示しない。更に、ヘッドアップディスプレイ装置1は、第2の表示領域17bに検出情報19aを表示する。ここでは、検出情報19aは、ギアポジショニング表示のサイズを小さくし、この上に表示する。
【0041】
尚、メータ5などの表示装置は、ヘッドアップディスプレイ装置1が物体Bを検出した時に、メータ5に装備されるスピーカーやブザーで警告音等の音声を発してもよい。
【0042】
このように形成されることにより、ヘッドアップディスプレイ装置1は、物体Bにより表示光Lが遮られ重要度が高い情報が表示されないといった場合に、隣接する別のスペースに重要度が高い情報を表示することができる。また、ヘッドアップディスプレイ装置1は、筒状部31に物体Bが落ちたことを素早く運転者4に報知することができる。
【0043】
また、ヘッドアップディスプレイ装置1は、筒状部31の中の物体Bの位置を運転者4に報知することができる。また、ヘッドアップディスプレイ装置1は、停車時に物体Bの取り出し方法を提示することにより、車両の走行中に物体Bを取り出そうとする行動を回避することができる。
【0044】
(変形例)
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0045】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、表示光Lをフロントガラス2の遮光部21に投影する例を説明したが、例えば、フロントガラス2の透明箇所に投影し、運転者4に虚像Vを視認させてもよい。また、ヘッドアップディスプレイ装置1は、表示光Lをフロントガラス2の運転者4側に設けられた透明又は不透明な反射部(所謂コンバイナ)に投影するものであってもよい。
【0046】
表示器17は、TFT方式の液晶表示パネルであったが、例えば、有機ELパネルであってもよい。
【0047】
ヘッドアップディスプレイ装置1は、物体Bが第1の表示領域17aに位置することを検出した時、第2の表示領域17bに第1の情報18aを表示する例を説明したが、例えば、第1の情報18aを第3の表示領域17cに表示してもよい。ヘッドアップディスプレイ装置1は、物体Bが第3の表示領域17cに位置することを検出した時、第2の表示領域17bに検出情報19aを表示する例を説明したが、例えば、物体Bが第2の表示領域17bに位置することを検出した時、第3の表示領域17cに検出情報19aを表示してもよい。
【0048】
物体Bの検出器は、例えば、超音波センサーや、重量センサーや、
図10に示すように、上ケース11に透光部11aが設けられず、表示器17の表示面側に配置されたタッチセンサ―Tで検出してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ヘッドアップディスプレイ装置
11 上ケース(ケース体)
11a 透光部
12 下ケース(ケース体)
13 回路基板
14 光源
15 プリズム板
16 光学部材
17 表示器(表示部)
17a 第1の表示領域
17b 第2の表示領域
17c 第3の表示領域(第2の表示領域)
18a 第1の情報
18b 第2の情報
18c 第3の情報(第2の情報)
19a 検出情報
19b 停止情報
19c 取り出し情報
2 フロントガラス(反射部)
21 遮光部
3 インストルメントパネル
31 凹部(筒状部)
31a 前壁
31b 後壁
31c 側壁
31d 底孔
4 運転者(視認者)
5 メータ
6 検出器(検出部)
61 光源
62 フォトセンサ
B 物体
T タッチセンサ―
L 表示光
V 虚像