(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064600
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】収納用什器
(51)【国際特許分類】
A47B 91/06 20060101AFI20240507BHJP
A47B 87/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
A47B91/06
A47B87/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173310
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】古田 司
【テーマコード(参考)】
3B069
3B260
【Fターム(参考)】
3B069CA03
3B069CA04
3B260BA02
3B260BB01
3B260BB03
3B260BC01
3B260BD02
3B260BF01
3B260BG01
3B260BG05
(57)【要約】
【課題】移動時に不安定になるという課題と、移動後等にキャスターが邪魔になるという課題を同時に解消する。
【解決手段】什器本体1を複数の移動具2を介して床面Fに支持させることができる収納用什器Sにおいて、移動具2として、什器本体1の端部側における隅部1xに位置付けられる第1の移動具であるストッパーを有するキャスター21と、什器本体1の中間部1yにおける底部外縁1zよりも内方に位置付けられる第2の移動具であるストッパーを有しないキャスター22とを備えるようにする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器本体を複数の移動具を介して床面に支持させることができる収納用什器であって、
前記移動具として、前記什器本体の端部側における隅部に位置付けられる第1の移動具と、前記什器本体の中間部における前記底部外縁よりも内方に位置付けられる第2の移動具とを備える収納用什器。
【請求項2】
前記什器本体は、複数の単位什器ユニットが左右に連結されたものである請求項1記載の収納用什器。
【請求項3】
前記第2の移動具が、前記単位什器ユニットを連結する部分に設けられている請求項2記載の収納用什器。
【請求項4】
前記第1の移動具及び前記第2の移動具が、それぞれキャスターである請求項1記載の収納用什器。
【請求項5】
前記第1の移動具には、ストッパーが付設されている請求項4記載の収納用什器。
【請求項6】
前記什器本体が、フレームで骨格を形成するものであり、第2の移動具はフレームの中間部位に設けられている請求項1記載の収納用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用されるシェルフなどの収納用什器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の収納用什器として、什器本体の底面に複数のキャスターを設けて移動可能としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、このような構成のものでは、各キャスター間の離間距離が収納用什器の幅や奥行寸法に対して小さくなるため、支持状態が不安定になるおそれがある。
【0004】
かかる不具合に対処する方策としては、各キャスターを収納用什器の底部外縁付近に配置することが考えられるが、このように多数のキャスターを外縁付近に配置すると、キャスターがムカデの足のような外観を呈して外部に露出することになり、美観を損ねるだけでなく、移動後にキャスターが使用者の足に干渉して使い勝手に支障を来すことにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上説明した事情に着目してなされたもので、移動時に不安定になるという課題と、移動後等にキャスターが邪魔になるという課題を同時に解消することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る収納用什器は、什器本体を複数の移動具を介して床面に支持させることができる収納用什器であって、前記移動具として、前記什器本体の端部側における隅部に位置付けられる第1の移動具と、前記什器本体の中間部における前記底部外縁よりも内方に位置付けられる第2の移動具とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の発明に係る収納用什器は、前記什器本体が、複数の単位什器ユニットが左右に連結されたものである請求項1記載のものである。
【0009】
請求項3記載の発明に係る収納用什器は、前記第2の移動具が、前記単位什器ユニットを連結する部分に設けられている請求項2記載のものである。
【0010】
請求項4記載の発明に係る収納用什器は、前記第1の移動具及び前記第2の移動具が、それぞれキャスターである請求項1記載のものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係る収納用什器は、前記第1の移動具に、ストッパーが付設されている請求項4記載のものである。
【0012】
請求項6記載の発明に係る収納用什器は、前記什器本体が、フレームで骨格を形成するものであり、第2の移動具はフレームの中間部位に設けられている請求項1記載のものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動時に不安定になるという課題と、移動後等にキャスターが邪魔になるという課題を同時に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る収納用什器を示す全体斜視図。
【
図6】同実施形態に係る収納用什器を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
この実施形態の収納用什器Sは、シェルフ等と称されるものであり、
図1~
図6に示すように、什器本体1を複数の移動具2を介して床面Fに支持させることができるようにしたものである。そして、移動具2として、什器本体1の端部における隅部1xに位置付けられる第1の移動具たるストッパー付きのキャスター21と、什器本体1の中間部1yにおける底部外縁1zよりも内方に位置付けられる第2の移動具たるストッパーを有しないキャスター22とを備えている。
【0017】
什器本体1は、
図1~
図4及び
図6に示すように、複数の単位什器ユニット1A、1Bが左右に連結されたものであり、第2の移動具たるキャスター22が、単位什器ユニット1A、1Bを連結する部分に設けられている。詳述すれば、この什器本体1は、例えば、基本となる単位什器ユニット1Aの一側面に、増設用の単位什器ユニット1Bを順次複数台連結することによって骨組構造体1Cを構成し、この骨組構造体1Cに棚板15や図示しないインセットパネル(側面板、背面板)等を取り付けてなる。
【0018】
図示例では、基本となる単位什器ユニット1Aの一側面に3台の増設用の単位什器ユニット1Bが接続されている。そして、各単位什器ユニット1A、1Bは、それぞれ3個の収納空間SPを形成し得る3段式のものである。そのため、これらの単位什器ユニットを連結することによって12個の収納空間SPを形成し得る3段4連の骨組構造体1Cが構成されている。なお、各単位什器ユニット1A、1Bの段数や、連結台数は以上説明したものに限られない。
【0019】
基本となる第1の単位什器ユニット1Aは、
図1、
図2、
図4及び
図6に示すように、左右対をなす梯子状の側枠体1Aaと、これら側枠体1Aa同士を接合する左右に延びる複数本の横フレーム12とを備えてなる。各側枠体1Aaは、前後一対の竪フレーム11間に複数本(図示例では4本)の横フレーム12を架設することによって形成されたものである。一方、増設用の第2の単位什器ユニット1Bは、同じく
図1、
図2、
図4及び
図6に示すように、単一の梯子状をなす側枠体1Baと、この側枠体1Baの一側面から片持ち的に延出させた複数本の横フレーム12とを備えたものであり、それら横フレーム12の延出端を第1の単位什器ユニット1Aaの側枠体1Aa、又は先に増設した第2の単位什器ユニット1Bの側枠体1Baに接合させることができるようになっている。なお、各側枠体1Aa、1Baを構成する横フレーム12は、溶接等によって竪フレーム11に固定されている。一方、第2の単位什器ユニット1Bの側枠体1Baの一側面から延出する横フレーム12は、両端部において図示しない取付金具を介して側枠体1Aa、1Baに接続されるようになっている。
【0020】
各フレーム11、12は、例えば、断面正方形をなす角パイプ状のものであり、フレーム11、12同士の接合は図示しないブラケットを介した着脱可能な接合など、通常の手段を用いればよい。
【0021】
このように什器本体1は、竪フレーム11及び横フレーム12で骨格を形成してなるものであり、前述した第2の移動具たるキャスター22は横フレーム12の中間部位に設けられている。詳述すれば、第1の移動具たるキャスター21は、
図1~
図6に示すように、左右両端に位置する側枠体1Aa、1Baの竪フレーム11の下端に設けられており、第2の移動具たるキャスター22は、
図2、
図4及び
図6に示すように、左右方向中間に位置する側枠体1Aa、1Baの最下段の横フレーム12に設けられている。第1の移動具たるキャスター21は、ストッパー付きのものであり、操作レバー21aに対する踏み込み操作により車輪21bの回転を禁止するロック状態と、車輪21bの自由回転を許容するアンロック状態とのいずれかに切り替えることができるようになっている。一方、第2の移動具たるキャスター22は、ストッパーを有しないものであり、常時車輪22bの自由回転が許容されている。これらのキャスター21、22は、いずれも通常のものであるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
なお、前述したように、側枠体1Aa、1Baの最下段の横フレーム12は、溶接等によって竪フレーム11に固定されている。すなわち、第2の移動具たるキャスター22は、竪フレーム11に固定された横フレーム12に設けられている。また、本実施形態では、竪フレーム11に固定された横フレーム12の中間部からは補助フレーム121が下方に伸びており、この補助フレーム121の下端に第2の移動具たるキャスター22が固定されている。加えて、第2の移動具たるキャスター22は、前述したように什器本体1の中間部1yにおける底部外縁1zよりも内方に位置付けられているが、このキャスター22が前方に首を振った状態でも、什器本体1の下方かつこのキャスター22の前方に使用者の足を入れることができる足入れ空間が形成されるようになっている。
【0023】
このような構成のものであれば、第1の移動具たるキャスター21をアンロック状態にしておくことによって、全てのキャスター21、22の車輪21b、22bが回転可能となり、什器本体1を床面Fに沿って自由に移動させることができる。この際、什器本体1自体の重量やこの什器本体1に収納した物品の重量等に起因した荷重は全てのキャスター21、22を介して床面Fに伝えられ支持されるが、この収納用什器Sでは、第1の移動具たるキャスター21が、什器本体1の端部側における隅部(隅角)1xに位置付けられているので、全てのキャスター21、22が什器本体1の底部外縁1zよりも内方に配置されている場合に比較して安定性を無理なく向上させることができる。
【0024】
しかも、什器本体1の中間部に配置された第2の移動具たるキャスター22は、什器本体1の底部外縁1zよりも内方に位置付けられているので、使用者に対してキャスター22が邪魔になることを防止又は抑制することができる。また、キャスター22を通常の使用者からは視認できないように配置することも容易になるため、多数のキャスター21、22を設ける必要がある場合でも、什器S全体の外観を良好なものにすることもできる。より具体的には、第2の移動具たるキャスター22が什器本体1の底部外縁1zよりも内方に位置付けられていることにより、収納用什器Sを部屋の壁面に沿うように押し込んで配置しても、第2の移動具たるキャスター22が首振りキャスターであれば、このキャスター22が外面に露出することがなく、収納用什器S全体の外観を良好なものにすることができる。加えて、什器本体1の下方かつこのキャスター22の前方に使用者の足を入れることができる足入れ空間が形成されるようになっているので、使用者が収納用什器Sに接近した場合でもキャスター22が使用者の邪魔にならない。
【0025】
また、この実施形態のものは、什器本体1が、複数の単位什器ユニット1A、1Bを左右に連結したものであるため、増連数を変えることによって、所望の容量を有した収納用什器Sを構築することができる。そして、第2の移動具たるキャスター22が、単位什器ユニット1A、1Bを連結する部分に設けられているため、単位什器ユニット1Bの増連数に対応してキャスター22の数も適切に増減させることができ、キャスター21、22による適切な支持状態を確保することができる。
【0026】
さらに、この実施形態では、移動具2としてキャスター21、22を用いているので、什器本体1を自由な方向に円滑に移動させることが可能となる。そして、外部に露出する第1の移動具たるキャスター21は、ストッパーが付設されたものであるため、移動後に設置状態を確定して維持することができる。なお、かかる構成のものは、移動時と設置時とで移動具2のストッパーの機能を切り替える必要があるが、この収納用什器Sでは、外部に露出し易いキャスター21にストッパー機能を切り替えるための操作レバー21aを設けているので、切り替え操作を円滑に行うことができる。
【0027】
また、この収納用什器Sでは、什器本体1が、フレーム11、12で骨格を形成されたものであるため、軽量化が容易である。しかも、そのフレーム11、12にインセットパネルを支持させたり、それらインセットパネルに扉や引出し等を支持させるようなことも可能となる。そのため、多様な機能を有する収納用什器Sを比較的容易に構成することができる。
【0028】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。
【0029】
什器本体は、物品を収納することを目的としたものであればどのようなものであってもよい。例えば、什器本体は、複数の単位什器ユニットが左右に連結されたものに限られず、各部に種々の形態変化を施した一体品であってもよい。また、什器本体は、フレームで骨格を形成するものでなくてもよく、板状の壁素材等を組み合わせて構築したもの等であってもよい。加えて、前述したような実施形態におけるもののような単位什器ユニットを連結して形成される収納用什器において、フレームにより形成される側枠体が2重に当接した状態で連結する場合、一方の側枠体の最下段の横フレームにキャスターを設けてもよく、両側枠体の最下段の横フレームに跨がるようにしてキャスターを設けてもよい。
【0030】
また、什器本体の底部外縁は、平面視長方形状のものに限られない。例えば、1/4円弧状に湾曲させた隅R部分を四隅に形成したものなどであってもよく、その場合には、第1の移動具たるキャスター等は、その隅R部分に設ければよい。
【0031】
さらに、移動具の構成も図示例のものに限定されるものではなく、什器本体を床面に沿って移動させ得るものであればどのようなものであってもよい。いわゆる平面キャスターや、球状の車輪を有したものなども含まれる。
【0032】
また、第1の移動具たるキャスターに付設されるストッパーは、車輪の回転をロックするものであるが、本発明に係るストッパーは、車輪とは別に接地体を床面方向に螺合進退させてキャスターの機能を一時的に無効にするようなアジャスタ形式のもの等であってもよい。
【0033】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
S…収納用什器
1…什器本体
1A…(第1の)単位什器ユニット
1B…(第2の)単位什器ユニット
1x…隅部
1y…中間部
1x…底部外縁
11、12…フレーム
2…移動具
21…第1の移動具(キャスター)
22…第2の移動具(キャスター)
F…床面