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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064605
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20240507BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240507BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240507BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173318
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】北川 友葵
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】太陽電池の発電電力を有効活用できる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力系統1に接続される電力線2に、太陽電池を有する第1発電装置11と、第2発電装置15と、蓄電池12から電力線2への放電及び電力線2から蓄電池12への充電を制御する充放電制御装置14と、電力消費装置16とが接続される電力供給システムであって、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、第1発電装置11及び第2発電装置15の発電電力から電力消費装置16の消費電力を減算して得られる余剰電力が所定の閾値電力より大きい場合には当該余剰電力の範囲内で電力線2から蓄電池12への余剰電力の充電を行わせることができ、蓄電池12の蓄電残量が大きくなる程、閾値電力を大きな値に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される電力線に、太陽電池を有する第1発電装置と、第2発電装置と、蓄電池から前記電力線への放電及び前記電力線から前記蓄電池への充電を行う電力変換部と、電力消費装置とが接続される電力供給システムであって、
前記電力変換部の動作を制御する充放電制御装置は、前記電力変換部に対して、前記第1発電装置及び前記第2発電装置の発電電力から前記電力消費装置の消費電力を減算して得られる余剰電力が所定の閾値電力より大きい場合には当該余剰電力の範囲内で前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせることができ、
前記蓄電池の蓄電残量が大きくなる程、前記閾値電力を大きな値に設定する電力供給システム。
【請求項2】
前記充放電制御装置は、前記電力変換部に対して、前記蓄電残量が第1残量以下の場合、前記余剰電力の大きさに関わらず前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせる請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記充放電制御装置は、
前記蓄電残量が前記第1残量より大きく且つ当該第1残量より大きい第2残量以下である場合、前記閾値電力を所定の第1電力に設定して、
前記電力変換部に対して、前記余剰電力が前記第1電力より大きい場合には前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせ、前記余剰電力が前記第1電力以下である場合には前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせない請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記充放電制御装置は、
前記蓄電残量が前記第2残量より大きく且つ当該第2残量より大きい第3残量以下である場合、前記閾値電力を前記第1電力より大きい第2電力に設定して、
前記電力変換部に対して、前記余剰電力が前記第2電力より大きい場合には前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせ、前記余剰電力が前記第2電力以下である場合には前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせない請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記充放電制御装置は、
前記蓄電残量が前記第3残量より大きい場合、前記閾値電力を前記第2電力より大きい第3電力に設定して、
前記電力変換部に対して、前記余剰電力が前記第3電力より大きい場合には前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせ、前記余剰電力が前記第3電力以下である場合には前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせない請求項4に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記蓄電池は、前記電力線に対して常時接続される据置型蓄電池を有する請求項1~5の何れか一項に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記蓄電池は、電動車両が有する走行用蓄電池を有する請求項1~5の何れか一項に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続される電力線に、太陽電池を有する第1発電装置と、第2発電装置と、蓄電池から電力線への放電及び電力線から蓄電池への充電を制御する充放電制御装置と、電力消費装置とが接続される電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や事業所などの施設に太陽電池を設置するだけでなく、蓄電池を設置することも行われている。太陽電池と蓄電池とを併設した場合、施設に設けられる電力消費装置の消費電力が大きい場合には、太陽電池の発電電力及び蓄電池の放電電力を電力消費装置に供給できるため、電力系統からの買電電力を減らすことができる。また、施設に設けられる電力消費装置の消費電力が小さい場合、太陽電池の発電電力に発生した余剰電力を蓄電池に充電することができる。このように、太陽電池と蓄電池とを併設することで、太陽電池の発電電力をできるだけ施設内で消費されるような蓄電池の充放電制御を行うことができる。
【0003】
施設に、太陽電池及び蓄電池に加えて、燃料電池などの他の発電装置を設けた3電池のシステムもある。例えば、特許文献1には、電力系統に接続される電力線に、太陽電池と燃料電池と蓄電池と電力消費装置とが接続される電力供給システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-165953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された3電池の電力供給システムの場合、太陽電池の発電電力に余剰電力が発生しても、その余剰電力を蓄電池に充電できず、電力系統へ逆潮流せざるをえない場合がある。具体的に説明すると、太陽電池は夜間には発電しないが、燃料電池は夜間でも発電できる。そのため、太陽電池が発電していない間に燃料電池が発電して余剰電力が発生した場合、その余剰電力が蓄電池に充電され続ける。そして、蓄電池の蓄電残量が満充電状態になる。その後、日中に太陽電池が発電して余剰電力が発生しても、蓄電池が満充電状態であれば蓄電池に充電できず、電力系統へ逆潮流せざるを得ない。このように、太陽電池の発電電力を施設で有効活用できないような運用が行われることになる。そのため、3電池の電力供給システムにおいて、太陽電池の発電電力を施設で有効活用するためには、太陽電池の発電電力を蓄電池に充電できるように、蓄電池の充放電制御を工夫する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池の発電電力を有効活用できる電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、電力系統に接続される電力線に、太陽電池を有する第1発電装置と、第2発電装置と、蓄電池から前記電力線への放電及び前記電力線から前記蓄電池への充電を行う電力変換部と、電力消費装置とが接続される電力供給システムであって、
前記電力変換部の動作を制御する充放電制御装置は、電力変換部に対して、前記第1発電装置及び前記第2発電装置の発電電力から前記電力消費装置の消費電力を減算して得られる余剰電力が所定の閾値電力より大きい場合には当該余剰電力の範囲内で前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせることができ、
前記蓄電池の蓄電残量が大きくなる程、前記閾値電力を大きな値に設定する点にある。
ここで、前記蓄電池は、前記電力線に対して常時接続される据置型蓄電池を有していてもよい。
また、前記蓄電池は、電動車両が有する走行用蓄電池を有していてもよい。
【0008】
上記特徴構成によれば、充放電制御装置は、電力変換部に対して、余剰電力が所定の閾値電力より大きい場合にはその余剰電力の範囲内で蓄電池への余剰電力の充電を行わせるように構成され、蓄電池の蓄電残量が大きくなる程、閾値電力を大きな値に設定する。つまり、蓄電池の蓄電残量が小さい場合、充放電制御装置は閾値電力を小さな値に設定するため、余剰電力が小さい場合にも蓄電池への充電が行われる。それと比較して、蓄電池の蓄電残量が大きい場合、充放電制御装置は閾値電力を大きな値に設定するため、余剰電力が大きくならなければ蓄電池への充電は行われない。このように、蓄電池の蓄電残量が小さい場合、即ち、蓄電池の蓄電残量を大きくする必要性が高い場合には、余剰電力が小さくても蓄電池への余剰電力の充電が行われる。また、蓄電池の蓄電残量が大きい場合、即ち、蓄電池の蓄電残量を大きくする必要性がそれほど高くない場合には、余剰電力が大きい場合に限って蓄電池への余剰電力の充電が行われる。
【0009】
本特徴構成では、第1発電装置は太陽電池を有するため、夜間には発電しない。そのため、夜間に生じる余剰電力は第2発電装置の発電電力から消費電力を減算した値であり、相対的に小さい値になると考えられる。それと比較して、第1発電装置は日中には発電するため、日中に生じる余剰電力は第1発電装置及び第2発電装置の合計の発電電力から消費電力を減算した値であり、相対的に大きい値になると考えられる。
【0010】
このように、本特徴構成では、蓄電池の蓄電残量が大きい場合には、即ち、蓄電池の蓄電残量を大きくする必要性がそれほど高くない場合には、例えば夜間に生じる相対的に小さい余剰電力(第2発電装置の発電電力)を蓄電池には充電せず、例えば日中に生じる相対的に大きい余剰電力(第1発電装置及び第2発電装置の発電電力)を蓄電池に充電するようになる。つまり、蓄電池の蓄電残量を大きくする必要性がそれほど高くない場合には、太陽電池を有する第1発電装置の発電電力が蓄電池に充電されるような運用が行われることが期待される。
従って、太陽電池の発電電力を有効活用できる電力供給システムを提供できる。
【0011】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記充放電制御装置は、前記電力変換部に対して、前記蓄電残量が第1残量以下の場合、前記余剰電力の大きさに関わらず前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせる点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、充放電制御装置は、蓄電池の蓄電残量を大きくする必要性が高い場合には、電力線からの充電を行わせることで、蓄電池の蓄電残量を早期に大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記充放電制御装置は、前記蓄電残量が前記第1残量より大きく且つ当該第1残量より大きい第2残量以下である場合、前記閾値電力を所定の第1電力に設定して、前記電力変換部に対して、前記余剰電力が前記第1電力より大きい場合には前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせ、前記余剰電力が前記第1電力以下である場合には前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせない点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、充放電制御装置は、蓄電残量が第1残量より大きく且つ第2残量以下である場合、閾値電力を第1電力に設定する。そして、充放電制御装置は、余剰電力が第1電力より大きい場合には蓄電池への余剰電力の充電を行わせ、余剰電力が第1電力以下である場合には蓄電池への充電を行わせない。つまり、蓄電残量が第1残量より大きく且つ第2残量以下である場合での閾値電力としての第1電力を設定して、蓄電池への充電が行われるか否かを切り替えることができる。
【0015】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記充放電制御装置は、前記蓄電残量が前記第2残量より大きく且つ当該第2残量より大きい第3残量以下である場合、前記閾値電力を前記第1電力より大きい第2電力に設定して、前記電力変換部に対して、前記余剰電力が前記第2電力より大きい場合には前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせ、前記余剰電力が前記第2電力以下である場合には前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせない点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、充放電制御装置は、蓄電残量が第2残量より大きく且つ第3残量以下である場合、閾値電力を第2電力に設定する。そして、充放電制御装置は、余剰電力が第2電力より大きい場合には蓄電池への充電を行わせ、余剰電力が第2電力以下である場合には蓄電池への充電を行わせない。つまり、蓄電残量が第2残量より大きく且つ第3残量以下である場合での閾値電力としての第2電力を設定して、蓄電池への充電が行われるか否かを切り替えることができる。
【0017】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記充放電制御装置は、前記蓄電残量が前記第3残量より大きい場合、前記閾値電力を前記第2電力より大きい第3電力に設定して、前記電力変換部に対して、前記余剰電力が前記第3電力より大きい場合には前記電力線から前記蓄電池への前記余剰電力の充電を行わせ、前記余剰電力が前記第3電力以下である場合には前記電力線から前記蓄電池への充電を行わせない点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、充放電制御装置は、蓄電残量が第3残量より大きい場合、閾値電力を第3電力に設定する。そして、充放電制御装置は、余剰電力が第3電力より大きい場合には蓄電池への余剰電力の充電を行わせ、余剰電力が第3電力以下である場合には蓄電池への充電を行わせない。つまり、蓄電残量が第3残量より大きい場合での閾値電力を第3電力に設定して、蓄電池への充電が行われるか否かを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態の充放電制御を説明するフローチャートである。
図3】蓄電残量と閾値電力と余剰電力との推移の例を示す図である。
図4】第2実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。
図5】第2実施形態の充放電制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る電力供給システムについて説明する。
図1は、第1実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。図示するように、住宅や事業所などの施設10には、電力系統1に接続される電力線2に、太陽電池を有する第1発電装置11と、第2発電装置15と、蓄電池12から電力線2への放電及び電力線2から蓄電池12への充電を行う電力変換部13と、電力消費装置16とが接続される。電力供給システムは、電力変換部13の動作を制御する充放電制御装置14を備える。
【0021】
図1に示す例では、電力線2の上流側に電力系統1への接続箇所が設けられ、電力系統1への接続箇所から下流側に向かって、第1発電装置11の接続箇所、電力変換部13の接続箇所、第2発電装置15及び電力消費装置16の接続箇所がその並び順で設けられる。
【0022】
電力線2に対する第1発電装置11の接続箇所よりも上流側(即ち、電力系統1側)の電力線2には、逆潮流電力計測部3が設けられる。この逆潮流電力計測部3は、電力線2から電力系統1へ供給される電力(即ち逆潮流電力)を計測する。電力線2から電力系統1へ電力が供給されている場合、逆潮流電力計測部3で計測する逆潮流電力の符号はプラスであり、電力系統1から電力線2へ電力が供給されている場合、逆潮流電力計測部3で計測する逆潮流電力の符号はマイナスである。
【0023】
本実施形態の蓄電池12は、電動車両18が有する走行用蓄電池12Aを有する。電動車両18は、走行用蓄電池12Aと外部機器とを接続する車両側端子19を備えている。例えば、電動車両18は、走行用蓄電池12Aの電力を用いて走行用モーター(図示せず)を駆動する、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車などである。
【0024】
施設10には、電力変換部13を介して電力線2に接続される施設側端子17が設けられる。電動車両18の車両側端子19と施設10の施設側端子17とが接続された場合、電力変換部13を介して施設10の電力線2と電動車両18の走行用蓄電池12Aとが電気的に接続される。
【0025】
充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aの蓄電残量についての情報を把握できる。また、充放電制御装置14には、施設側端子17に対して電動車両18の車両側端子19が接続されているか否かについての情報も把握できる。
【0026】
充放電制御装置14は、電力変換部13の動作を制御することで、電力線2から電動車両18の走行用蓄電池12Aへの充電電力、及び、電動車両18の走行用蓄電池12Aから電力線2への放電電力を制御できる。
【0027】
本実施形態では、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、第1発電装置11及び第2発電装置15の発電電力から電力消費装置16の消費電力を減算して得られる余剰電力が所定の閾値電力より大きい場合には当該余剰電力の範囲内で電力線2から走行用蓄電池12Aへの余剰電力の充電を行わせることができる。詳細は後述するが、走行用蓄電池12Aの蓄電残量が大きくなる程、閾値電力が大きな値に設定される。
【0028】
余剰電力は、第1発電装置11及び第2発電装置15の発電電力から電力消費装置16の消費電力を減算して得られる値である。図1に示す構成では、充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aから電力線2への放電電力又は電力線2から走行用蓄電池12Aへの充電電力を把握できるため、逆潮流電力計測部3で計測している逆潮流電力と、放電電力又は充電電力とを参照して、余剰電力を算出できる。例えば、逆潮流電力から放電電力を減算した値、又は、逆潮流電力に充電電力を加算した値が余剰電力となる。
【0029】
第2発電装置15は、電力を出力できる装置であればどのような装置であってもよい。例えば、第2発電装置15は、燃料電池を有する装置などである。或いは、第2発電装置15は、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などであってもよい。
【0030】
図2は、第1実施形態の充放電制御を説明するフローチャートである。
工程#10において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aの蓄電残量が第1残量以下であるか否かを判定する。そして、充放電制御装置14は、蓄電残量が第1残量以下である場合(工程#10において「Yes」の場合)には工程#11に移行し、蓄電残量が第1残量より大きい場合(工程#10において「No」の場合)には工程#12に移行する。
【0031】
工程#11において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aへの充電を実行し、放電を禁止する。充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、蓄電残量が第1残量以下の場合、余剰電力の大きさに関わらず電力線2からの充電を行わせる。具体的に説明すると、走行用蓄電池12Aの蓄電残量が非常に小さいことを考慮して、走行用蓄電池12Aへの充電が最優先で行われる。この場合、充放電制御装置14は、所定の充電電力で走行用蓄電池12Aへの充電を行わせる。従って、電力系統1からの買電電力によって走行用蓄電池12Aへの充電が行われる場合もある。このような充電が行われることで、走行用蓄電池12Aの蓄電残量が早期に第1残量以上になることが期待される。また、電動車両18が次に走行する際に利用される蓄電残量を確保しておくために、放電は禁止される。
【0032】
工程#12において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aの蓄電残量が、第1残量よりも大きい第2残量以下であるか否かを判定する。そして、充放電制御装置14は、蓄電残量が第2残量以下である場合には工程#13に移行し、蓄電残量が第2残量より大きい場合には工程#14に移行する。
【0033】
工程#13において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aからの放電を禁止し、走行用蓄電池12Aへの充電を許可する。具体的には、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、余剰電力が閾値電力(第1電力)より大きい場合に余剰電力を走行用蓄電池12Aに充電させ、余剰電力が閾値電力(第1電力)以下の場合に走行用蓄電池12Aに充電させない。つまり、充放電制御装置14は、蓄電残量が第1残量より大きく且つ当該第1残量より大きい第2残量以下である場合、閾値電力を所定の第1電力に設定して、電力変換部13に対して、余剰電力が第1電力より大きい場合には電力線2から走行用蓄電池12Aへの余剰電力の充電を行わせ、余剰電力が第1電力以下である場合には電力線2から走行用蓄電池12Aへの充電を行わせない。充電を行わせない場合、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。
【0034】
工程#14において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aからの放電を許可する。従って、充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aからの放電が許可されている間、第1発電装置11及び第2発電装置15の合計の発電電力が電力消費装置16の消費電力よりも小さい場合には、走行用蓄電池12Aからの放電を行わせることができる。例えば、充放電制御装置14は、逆潮流電力計測部3で計測している逆潮流電力の符号がマイナスを維持しつつ、その絶対値ができるだけ小さくなるように或いは一定値以下になるように、即ち、電力系統1から電力線2への電力供給ができるだけ小さくなるように、走行用蓄電池12Aからの放電を行わせることができる。
【0035】
次に、工程#15において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aの蓄電残量が、第2残量よりも大きい第3残量以下であるか否かを判定する。そして、充放電制御装置14は、蓄電残量が第3残量以下である場合には工程#16に移行し、蓄電残量が第3残量より大きい場合には工程#17に移行する。
【0036】
工程#16において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aへの充電を許可する。具体的には、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、余剰電力が閾値電力(第2電力)より大きい場合に余剰電力を走行用蓄電池12Aに充電させ、余剰電力が閾値電力(第2電力)以下の場合に走行用蓄電池12Aに充電させない。つまり、充放電制御装置14は、蓄電残量が第2残量より大きく且つ当該第2残量より大きい第3残量以下である場合、閾値電力を第1電力より大きい第2電力に設定して、電力変換部13に対して、余剰電力が第2電力より大きい場合には電力線2から走行用蓄電池12Aへの余剰電力の充電を行わせ、余剰電力が第2電力以下である場合には電力線2から走行用蓄電池12Aへの充電を行わせない。充電を行わせない場合、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。
【0037】
工程#17において充放電制御装置14は、走行用蓄電池12Aへの充電を許可する。具体的には、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、余剰電力が閾値電力(第3電力)より大きい場合に余剰電力を走行用蓄電池12Aに充電させ、余剰電力が閾値電力(第3電力)以下の場合に走行用蓄電池12Aに充電させない。つまり、充放電制御装置14は、蓄電残量が第3残量より大きい場合、閾値電力を第2電力より大きい第3電力に設定して、電力変換部13に対して、余剰電力が第3電力より大きい場合には電力線2から走行用蓄電池12Aへの余剰電力の充電を行わせ、余剰電力が第3電力以下である場合には電力線2から走行用蓄電池12Aへの充電を行わせない。充電を行わせない場合、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。
【0038】
図3は、蓄電残量と閾値電力と余剰電力との推移の例を示す図である。図3に示す例では、第1電力は0Wであり、第2電力は700Wであり、第3電力は2000Wである。また、図中には蓄電残量(SOC(State of Charge))の具体的な数値(%)については記載していないが、例えば、第1残量は30%であり、第2残量は50%であり、第3残量は70%である。
【0039】
時刻t1以前では、蓄電残量は第1残量以下であるため、放電を禁止した状態で、蓄電部への充電を行う(図2の工程#11)。この場合の充電は、予め定められた充電電力で行われ、余剰電力で充電が行われる場合もあれば、系統電力で充電が行われる場合もある。このような充放電制御が行われることで蓄電残量が次第に増加し、時刻t1で蓄電残量が第1残量より大きくなる。
【0040】
時刻t1において、蓄電残量は第1残量より大きく且つ第2残量以下の値になっている。そのため、閾値電力が第1電力に設定される(図2の工程#13)。つまり、余剰電力が第1電力より大きい場合に、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電が行われ、余剰電力が第1電力以下である場合に、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電は禁止される。図3に示す例では、第1電力=0Wであるため、余剰電力が0Wより大きい場合にその余剰電力の充電が行われ、余剰電力が0W以下である場合にその余剰電力の充電は行われない。
【0041】
時刻t1から時刻t2の間、余剰電力が0Wであるため、走行用蓄電池12Aへの充電を行われておらず、蓄電残量は増減していない。
その後、時刻t2において、余剰電力が増加して第1電力よりも大きくなっている。そのため、その余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電が行われる。それに伴って、時刻t2以後に蓄電残量が増加し、時刻t3で蓄電残量が第2残量より大きくなる。
【0042】
時刻t3において、蓄電残量は第2残量より大きく且つ第3残量以下の値になっている。そのため、閾値電力が第2電力に設定される(図2の工程#16)。つまり、余剰電力が第2電力より大きい場合に、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電が行われ、余剰電力が第2電力以下である場合に、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電は禁止される。図3に示す例では、第2電力=700Wであるため、余剰電力が700Wより大きい場合にその余剰電力の充電が行われ、余剰電力が700W以下である場合にその余剰電力の充電は行われない。
【0043】
時刻t3から時刻t4の間、余剰電力は0Wより大きいものの、閾値電力(第2電力=700W)以下である。そのため、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電は行われず、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。従って、時刻t3から時刻t4の間、蓄電残量は増減しない。
【0044】
時刻t4において、余剰電力が閾値電力(第2電力=700W)より大きくなっている。そのため、その余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電が行われる。それに伴って、時刻t4以後に蓄電残量が増加し、時刻t5で蓄電残量が第3残量より大きくなる。
【0045】
時刻t5において蓄電残量が第3残量より大きい値になるため、閾値電力が第3電力に設定される(図2の工程#17)。つまり、余剰電力が第3電力より大きい場合に、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電が行われ、余剰電力が第3電力以下である場合に、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電は禁止される。図3に示す例では、第3電力=2000Wであるため、余剰電力が2000Wより大きい場合にその余剰電力の充電が行われ、余剰電力が2000W以下である場合にその余剰電力の充電は行われない。
【0046】
時刻t5から時刻t6の間、余剰電力は0Wより大きいものの、閾値電力(第3電力=2000W)以下である。そのため、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電は行われず、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。従って、時刻t5から時刻t6の間、蓄電残量は増減しない。
【0047】
時刻t6から時刻t7の間、余剰電力が閾値電力(第3電力=2000W)より大きくなっている。そのため、その余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電が行われる。それに伴って、時刻t6から時刻t7の間、蓄電残量が増加している。
【0048】
時刻t7から時刻t8の間、余剰電力は0Wより大きいものの、閾値電力(第3電力=2000W)以下である。そのため、余剰電力の走行用蓄電池12Aへの充電は行われず、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。従って、時刻t7から時刻t8の間、蓄電残量は増減しない。
【0049】
時刻t8以後、余剰電力がゼロ以下であるため、走行用蓄電池12Aからの放電が行われている。その結果、蓄電残量は減少している。
【0050】
以上のように、本実施形態では、第1発電装置11は太陽電池を有するため、夜間には発電しない。そのため、夜間に生じる余剰電力は第2発電装置15の発電電力から消費電力を減算した値であり、相対的に小さい値になると考えられる。それと比較して、第1発電装置11は日中には発電するため、日中に生じる余剰電力は第1発電装置11及び第2発電装置15の合計の発電電力から消費電力を減算した値であり、相対的に大きい値になると考えられる。
【0051】
このように、本実施形態では、蓄電池12の蓄電残量が大きい場合には、即ち、蓄電池12の蓄電残量を大きくする必要性がそれほど高くない場合には、例えば夜間に生じる相対的に小さい余剰電力(第2発電装置15の発電電力)を蓄電池12には充電せず、例えば日中に生じる相対的に大きい余剰電力(第1発電装置11及び第2発電装置15の発電電力)を蓄電池12に充電するようになる。つまり、蓄電池12の蓄電残量を大きくする必要性がそれほど高くない場合には、太陽電池を有する第1発電装置11の発電電力が蓄電池12に充電されるような運用、即ち、施設10での太陽電池(第1発電装置11)の発電電力を有効活用が行われることが期待される。
【0052】
<第2実施形態>
第2実施形態の電力供給システムは、蓄電池12の構成が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の電力供給システムについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0053】
図4は、第2実施形態の電力供給システムの構成を示す図である。図示するように、住宅や事業所などの施設10には、電力系統1に接続される電力線2に、太陽電池を有する第1発電装置11と、第2発電装置15と、蓄電池12から電力線2への放電及び電力線2から蓄電池12への充電を行う電力変換部13と、電力消費装置16とが接続される。電力供給システムは、電力変換部13の動作を制御する充放電制御装置14を備える。
【0054】
本実施形態の蓄電池12は、電力線2に対して常時接続される据置型蓄電池12Bを有する。据置型蓄電池12Bは、電力変換部13を介して電力線2に接続される。充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bの蓄電残量についての情報を把握できる。
【0055】
図5は、第1実施形態の充放電制御を説明するフローチャートである。
工程#20において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bの蓄電残量が第1残量以下であるか否かを判定する。そして、充放電制御装置14は、蓄電残量が第1残量以下である場合(工程#20において「Yes」の場合)には工程#21に移行し、蓄電残量が第1残量より大きい場合(工程#20において「No」の場合)には工程#22に移行する。
【0056】
工程#21において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bへの充電を実行し、放電を禁止する。充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、蓄電残量が第1残量以下の場合、余剰電力の大きさに関わらず電力線2からの充電を行わせる。具体的に説明すると、据置型蓄電池12Bの蓄電残量が非常に小さいことを考慮して、据置型蓄電池12Bへの充電が最優先で行われる。この場合、充放電制御装置14は、所定の充電電力で据置型蓄電池12Bへの充電を行わせる。従って、電力系統1からの買電電力によって据置型蓄電池12Bへの充電が行われる場合もある。このような充電が行われることで、据置型蓄電池12Bの蓄電残量が早期に第1残量以上になることが期待される。
【0057】
工程#22において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bの放電を許可する。従って、充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bからの放電が許可されている間、第1発電装置11及び第2発電装置15の合計の発電電力が電力消費装置16の消費電力よりも小さい場合には、据置型蓄電池12Bからの放電を行わせることができる。例えば、充放電制御装置14は、逆潮流電力計測部3で計測している逆潮流電力の符号がマイナスを維持しつつ、その絶対値ができるだけ小さくなるように或いは一定値以下になるように、即ち、電力系統1から電力線2への電力供給ができるだけ小さくなるように、据置型蓄電池12Bからの放電を行わせることができる。
【0058】
次に工程#23において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bの蓄電残量が、第1残量よりも大きい第2残量以下であるか否かを判定する。そして、充放電制御装置14は、蓄電残量が第2残量以下である場合には工程#24に移行し、蓄電残量が第2残量より大きい場合には工程#25に移行する。
【0059】
工程#24において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bへの充電を許可する。具体的には、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、余剰電力が閾値電力(第1電力)より大きい場合に余剰電力を据置型蓄電池12Bに充電させ、余剰電力が閾値電力(第1電力)以下の場合に据置型蓄電池12Bに充電させない。充電させない場合、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。
【0060】
余剰電力は、第1発電装置11及び第2発電装置15の発電電力から電力消費装置16の消費電力を減算して得られる値である。図1に示す構成では、充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bから電力線2への放電電力又は電力線2から据置型蓄電池12Bへの充電電力を把握できるため、逆潮流電力計測部3で計測している逆潮流電力と、放電電力又は充電電力とを参照して、余剰電力を算出できる。例えば、逆潮流電力から放電電力を減算した値、又は、逆潮流電力に充電電力を加算した値が余剰電力となる。
【0061】
工程#25において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bの蓄電残量が、第2残量よりも大きい第3残量以下であるか否かを判定する。そして、充放電制御装置14は、蓄電残量が第3残量以下である場合には工程#26に移行し、蓄電残量が第3残量より大きい場合には工程#27に移行する。
【0062】
工程#26において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bへの充電を許可する。具体的には、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、余剰電力が閾値電力(第2電力)より大きい場合に余剰電力を据置型蓄電池12Bに充電させ、余剰電力が閾値電力(第2電力)以下の場合に据置型蓄電池12Bに充電させない。充電させない場合、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。
【0063】
工程#27において充放電制御装置14は、据置型蓄電池12Bへの充電を許可する。具体的には、充放電制御装置14は、電力変換部13に対して、余剰電力が閾値電力(第3電力)より大きい場合に余剰電力を据置型蓄電池12Bに充電させ、余剰電力が閾値電力(第3電力)以下の場合に据置型蓄電池12Bに充電させない。充電させない場合、余剰電力は電力系統1へ逆潮流される。
【0064】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、電力供給システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0065】
<2>
上記実施形態では、異なる値の三つの閾値電力を設定する例を説明したが、設定する閾値電力の数は適宜変更可能である。
【0066】
<3>
上記実施形態において、充放電制御装置14は、将来の所定期間内に予測される予測日射量が大きくなる程、又は、第1発電装置11の予測発電電力が大きくなる程、閾値電力が大きくなるように補正してもよい。ここで、予測日射量は、上記所定期間内での平均値でもよいし、或いは、上記所定期間内での最大値でもよい。同様に、予測発電電力は、上記所定期間内での平均値でもよいし、或いは、上記所定期間内での最大値でもよいし、所定期間内での積算値(即ち、予測発電電力量)でもよい。
【0067】
具体的に説明すると、充放電制御装置14が、施設10の外部の気象情報提供サーバ(図示せず)などと情報通信可能に接続されている場合、充放電制御装置14は将来の所定期間内に予測される予測日射量の推移の情報を入手できる。そして、充放電制御装置14は、予測日射量の情報に基づいて、太陽電池を有する第1発電装置11が将来の所定期間内に発電する予測発電電力の推移を導出できる。予測日射量が大きい程、第1発電装置11の予測発電電力も大きくなる。
【0068】
太陽電池を有する第1発電装置11の発電電力を有効活用するためには、第1発電装置11が発電し且つ余剰電力が存在する時点で、蓄電池12に充電できる余力が大きく残されていることが好ましい。つまり、第1発電装置11の発電電力が将来大きくなると予測できるのであれば、例えば夜間等、第1発電装置11の発電電力が小さい間は、余剰電力が蓄電池12に充電されないように、閾値電力を大きな値に設定しておくことが好ましい。そのためには、充放電制御装置14は、予測日射量が大きくなる程、又は、第1発電装置11の予測発電電力が大きくなる程、閾値電力が大きくなるように補正しておけばよい。例えば、充放電制御装置14は、予測日射量が所定の基準日射量以下の場合には上記実施形態で説明した閾値電力に所定の補正係数(例えば、「1」など)を乗算し、予測日射量が基準日射量より大きい場合には閾値電力にそれよりも大きい補正係数(例えば、「1.2」など)を乗算することで、閾値電力の補正を行うことができる。
【0069】
<4>
上記実施形態において、充放電制御装置14は、将来の所定期間内の電動車両18の予定走行距離が所定の基準距離以上である場合、閾値電力が小さくなるように補正してもよい。
【0070】
具体的に説明すると、利用者は、端末装置(図示せず)などを用いて将来の所定期間内の電動車両18の予定走行距離を示す情報を入力し、その情報を充放電制御装置14に伝達させることができる。例えば、利用者が翌日の電動車両18の予定走行距離を入力すれば、その情報が充放電制御装置14に伝達される。或いは、利用者が翌日の電動車両18の移動目的地を入力すれば、現在地からその移動目的地への予定走行距離が算出されるような構成であってもよい。
【0071】
将来の所定期間内の電動車両18の予定走行距離が長い場合、第1発電装置11の発電電力を有効活用できないとしても、電動車両18の出発時点での走行用蓄電池12Aの蓄電残量を大きくしておくことが好ましい。つまり、第1発電装置11の発電電力が小さい間にも走行用蓄電池12Aの充電が行われることが好ましい。そのためには、充放電制御装置14は、将来の所定期間内の電動車両18の予定走行距離が所定の基準距離以上である場合、閾値電力が小さくなるように補正しておけばよい。そうすることで、電動車両18の走行用蓄電池12Aへの充電が行われ易くなる。例えば、充放電制御装置14は、予定走行距離が所定の基準距離より小さい場合には上記実施形態で説明した閾値電力に所定の補正係数(例えば、「1」など)を乗算し、予定走行距離が基準距離以上である場合には閾値電力にそれよりも小さい補正係数(例えば、「0.8」など)を乗算することで、閾値電力の補正を行うことができる。
【0072】
<5>
上記実施形態では、蓄電残量、閾値電力などの具体的な数値を例示したが、それらの数値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
【0073】
<6>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、太陽電池の発電電力を有効活用できる電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0075】
1 :電力系統
2 :電力線
11 :第1発電装置
12 :蓄電池
12A :走行用蓄電池(蓄電池 12)
12B :据置型蓄電池(蓄電池 12)
13 :電力変換部
14 :充放電制御装置
15 :第2発電装置
16 :電力消費装置
18 :電動車両
図1
図2
図3
図4
図5