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  • 特開-遊技場用システム 図1
  • 特開-遊技場用システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064622
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
A63F7/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173357
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 安隆
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA04
(57)【要約】
【課題】第3者中継装置の送信データが営業開始時からの累計データや差分となる累計データではない場合でも適切にデータを特定可能とする。
【解決手段】遊技場用システム1は、台コンピュータ8において、通信パルス変換器6,7(第3者中継装置)から受信して保持している第3者データと、新たに受信した第3者データとの差分を示す差分データを統合対象として、台コンピュータ8側のクリア条件成立後からの遊技状況を示す営業データを更新する。通信パルス変換器6,7の送信データが営業開始時からの累計データや差分となる累計データではない場合でも更新分を特定した上で適切にデータを特定可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機側から受信可能な遊技状況を示す遊技データにより特定可能であって、第1初期化条件成立後の遊技状況を示す第3者データを送信可能な第1中継手段と、
前記第1中継手段から受信した第3者データを保持可能であり、当該保持している第3者データと、新たに受信した前記第3者データとの差分を示す差分データを統合対象として、第2初期化条件成立後からの遊技状況を示す営業データを更新する第2中継手段と、を備える遊技場用システム。
【請求項2】
遊技に利用可能な遊技価値に係る遊技処理を行う一方、遊技機から送信される情報に基づく前記遊技データを送信可能な遊技処理手段と、
前記第2中継手段を管理対象とする管理手段と、を備え、
前記遊技データは、前回送信時からの差分の遊技状況を示し、
前記管理手段は、前記遊技処理手段から送信される遊技データと、前記第1中継手段から送信される第3者データとの何れを採用するかを設定可能であり、
前記第2中継手段は、前記管理手段による設定に応じて、前記遊技データと前記差分データとの何れを前記営業データの統合対象とするかを切替可能である請求項1に記載した遊技場用システム。
【請求項3】
前記第1初期化条件と、前記第2初期化条件とは異なる請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項4】
前記第2中継手段は、前記保持している第3者データと、新たに受信した第3者データとを比較することで所定条件が成立するか否かを判定し、当該判定結果に応じて前記差分データに関する処理、又は当該処理を行うか否かを切替え可能である請求項1又は2に記載した遊技場用システム。
【請求項5】
前記第2中継手段を管理対象とする管理手段を備え、
前記第1中継手段は、前記第3者データだけでなく、前記遊技データにより生成可能なパルス信号を送信可能であり、
前記管理手段は、前記パルス信号と前記第3者データとの何れを採用するかを設定可能であり、
前記第2中継手段は、前記パルス信号を受信可能であり、前記管理手段によりパルス信号を採用する旨が設定された場合、受信したパルス信号により特定可能な更新データを前記営業データの統合対象とする請求項1に記載した遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技玉の払出しを行わない所謂封入式の遊技機が供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-153006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
封入式の遊技機の中には例えば特願2022-95778号の段落[0027]等に記載されるように、遊技装置へデータを送信する遊技機もあり、その送信対象とするデータは前回送信時からの差分となる累計データとなる。遊技機から差分の累計データを受信した遊技装置は、当該差分の累計データを中継装置へ送信するが、その差分の累計データを送信するためには通信プロトコルを共有する必要がある。遊技装置と中継装置とが同一メーカにて製造されていれば問題ないが、異なるメーカにて製造された遊技装置と中継装置とが同一遊技場に設けられる場合も少なくなく、この場合、データの送受信が難しい。一方で、第3者的な機関と通信プロトコルを共有することは難しくなく、第3者中継装置を介せばデータの送受信が可能になるとも思われる。しかしながら、第3者中継装置の送信データが例えば営業開始時からの累計データや差分となる累計データではないことも想定され、適切にデータを特定することができない虞がある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、第3者中継装置の送信データが営業開始時からの累計データや差分となる累計データではない場合でも適切にデータを特定可能な遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明は、遊技機側から受信可能な遊技状況を示す遊技データにより特定可能であって、第1初期化条件成立後の遊技状況を示す第3者データを送信可能な第1中継手段(例えば通信パルス変換器6,7)と、前記第1中継手段から受信した第3者データを保持可能であり、当該保持している第3者データと、新たに受信した前記第3者データとの差分を示す差分データを統合対象として、第2初期化条件成立後からの遊技状況を示す営業データを更新する第2中継手段(例えば台コンピュータ8)と、を備える。
【0007】
このような構成によれば、第2中継手段において、第1中継手段から受信して保持している第3者データと、新たに受信した第3者データとの差分を示す差分データを統合対象として、第2初期化条件成立後からの遊技状況を示す営業データを更新するので、第1中継手段としての第3者中継装置の送信データが営業開始時からの累計データや差分となる累計データではない場合でも更新分を特定した上で適切にデータを特定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の遊技場用システムの全体構成を示す概略図
図2】管理遊技機及び遊技装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、遊技場用システム1において、遊技場内には、管理遊技機2(遊技機に相当する)、メダルレス遊技機3(遊技機に相当する)、管理遊技機2やメダルレス遊技機3と1対1に接続されている遊技装置4,5(遊技処理手段に相当する)、遊技装置4,5に接続されている通信パルス変換器6,7(第1中継手段に相当する)、遊技装置4,5を管理する台コンピュータ8(第2中継手段に相当する)、台コンピュータ8を管理する島コンピュータ9、島コンピュータ9を管理する台情報管理装置10、場内管理装置11(管理手段に相当する)等が設置されている。図1では図示していないが、台コンピュータ8は複数の遊技装置4,5を管理する。
【0010】
島コンピュータ9は台コンピュータ8の上位に位置し、複数の台コンピュータ8を管理し、台情報管理装置10は島コンピュータ9の上位に位置し、複数の島コンピュータ9を管理する。遊技場外には、場内管理装置11との間でインターネット12を介して通信可能な場外管理装置13、場外管理装置13と通信可能なセンタサーバ14等が設置されている。
【0011】
管理遊技機2は、遊技装置4と対応して動作可能な封入式の遊技機であり、持玉払出操作や貸出操作が行われると、遊技者から受付けた貨幣価値を対価として遊技価値である遊技玉が遊技装置4からデータ上で供給され、その遊技玉数がデジタル表示される。管理遊技機2は、遊技玉数が1玉以上であれば遊技玉の発射が可能である一方、遊技玉数が0玉であれば遊技玉の発射が不可となる。遊技玉は、管理遊技機2の計数ボタンの押下による計数操作が行われると、遊技装置4にて持玉として計数される。メダルレス遊技機3は、遊技装置5と対応して動作可能な封入式の遊技機であり、玉がメダルであるといった周知の遊技機上の相違点を除いて上記した管理遊技機2と同様である。
【0012】
遊技装置4,5は、セキュリティ基板を搭載し、場外管理装置13との間で認証を行うことで管理遊技機2やメダルレス遊技機3と接続して動作可能となる。管理遊技機2やメダルレス遊技機3は、セキュリティ基板との間で専用PIF通信を行い、その専用PIF通信により通信内容が隠蔽されている。管理遊技機2の台データは遊技装置4を経由して上位装置へ送信され、メダルレス遊技機3の台データは遊技装置5を経由して上位装置へ送信される。
【0013】
通信パルス変換器6,7は、それぞれ遊技装置4,5と接続されており、遊技装置4,5から電文入力された遊技情報をパルス信号(遊技データにより生成可能なパルス信号)に変換して出力するための装置であり、パルス信号にて遊技情報を特定するために設けられる装置である。遊技装置4,5と、遊技情報を管理する台コンピュータ8、島コンピュータ9、台情報管理装置10等とが同一メーカであるといったように通信プロトコルを共有できる場合は、遊技装置4の電文情報を台情報管理装置10側にて対応可能であり、通信パルス変換器6,7の必要性は低減するが、それらが異なるメーカであるといったように通信プロトコルを共有できない場合は、遊技装置4の電文情報を台情報管理装置10側にて対応不可であり、通信パルス変換器6,7の必要性は高まる。つまり、通信パルス変換器6,7は、遊技装置4の電文情報を台情報管理装置10側にて対応不可な場合に、遊技装置4の電文情報を台情報管理装置10側へ送信可能とすべく第3者的な機関(例えば遊技装置4,5や台コンピュータ8等のメーカの組合等)を通じて提供される第3者中継装置である。
【0014】
各装置間で通信されるデータは以下の通りである。
(ア)管理遊技機2から遊技装置4へ送信されるデータ(遊技データに相当する)
=台データ、遊技玉情報、照合情報(シリアル通信)
(イ)メダルレス遊技機3から遊技装置5へ送信されるデータ(遊技データに相当する)
=台データ、遊技玉情報、照合情報(シリアル通信)
(ウ)遊技装置4,5から通信パルス変換器6,7へ送信されるデータ
=台データ、遊技玉情報、接続状況の問合せを示す接続問合せ(シリアル通信)
(エ)通信パルス変換器6,7から遊技装置4,5へ送信されるデータ
=接続状況の応答結果を示す接続応答結果(シリアル通信)
(オ)遊技装置4,5から台コンピュータ8へ送信されるデータ
=遊技玉情報、台情報管理装置10向け情報(CAN、イーサネット通信)
(カ)通信パルス変換器6,7から台コンピュータ8へ送信されるデータ(第3者データに相当する)
=遊技玉情報、台情報管理装置10向け情報(パルス通信、シリアル通信)
(キ)台コンピュータ8から島コンピュータ9を介して台情報管理装置10へ送信されるデータ
=遊技玉情報(島コンピュータ9まで)、台情報管理装置10向け情報(CAN、イーサネット通信)
(ク)遊技装置4,5から場内管理装置11を介して場外管理装置13へ送信されるデータ
=売上データ、鍵データ、照合情報や接続応答結果等を含むセキュリティ情報(イーサネット通信)
(ケ)場外管理装置13からセンタサーバ14へ送信されるデータ
=鍵データ、照合情報、照合情報を含むセキュリティ情報(イーサネット通信)
=遊技玉情報、台情報管理装置10向け情報(データ信号、パルス信号)
【0015】
尚、総払出数や総投入数といった性能情報を遊技機照合情報に追加、或いは変えてセンタサーバ14との通信対象としても良い。又、場外管理装置13とセンタサーバ14とがインターネット12を介して接続される場合もある。
【0016】
次に、管理遊技機2及び遊技装置4について説明する。これ以降、管理遊技機2及び遊技装置4について説明するが、メダルレス遊技機3及び遊技装置5についても同様である。
【0017】
管理遊技機2は、遊技者が所有する残金や持玉や貯玉を変換した遊技玉数を記憶しており、その記憶している遊技玉(遊技価値)が残っていることを条件として内部のパチンコ玉を発射装置に供給して盤面に発射し、入賞して遊技者が遊技玉を獲得すると、遊技玉を払出すことなくデータ上の獲得玉(獲得価値)として加算する。
【0018】
図2に示すように、管理遊技機2は、パチンコ玉が発射される盤面15、発射装置を構成する操作ハンドル16、残高を遊技玉に変換するための貸出ボタン17、カード(一般カードや会員カード、記録媒体)を発行するための返却ボタン18、残高を表示する残高表示部19、遊技玉を持玉に変換するための計数ボタン20、遊技玉数を表示する遊技玉表示部21を有する。盤面15には、普図表示部22、普図保留表示部23、特図表示部24、普図入賞口25、一般入賞口26,27、第1保留数表示部28、第2保留数表示部29、第1始動口30、第2始動口31、大入賞口32を有する。又、計数ボタン20及び遊技玉表示部21の下方に、装飾用パネル33を有する。
管理遊技機2は以下のように動作する。
【0019】
(1)第1始動口30は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口31は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口26,27への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を特図表示部24にて行う図柄変動(単位遊技)にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0020】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0021】
(3)遊技機設定値(モード)が6段階で設けられ、このモードにより、大当り抽選の当選確率(大当り確率)を通常遊技状態(通常)と確変状態(確変)とを対象として調整可能となっている。又、大当り後に確変となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率(例えば66%で全モード共通)も定められる。大当り確率をモードにより不変とする一方、確変率を調整可能とするように、通常と確変との大当り確率や確変率、及び後述するラウンド振分率等の少なくとも1つがモードにより調整可能であれば良い。
【0022】
(4)大当りが発生すると対応するラウンド(R)分だけ大入賞口32を開放する。1Rの上限入賞数は10個であり、上限開放期間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放期間の何れか満たされた場合に1Rを終了する。対応するラウンドも大当り抽選と同様に抽選され、その振分率は、第1始動口30に入賞した場合は、2Rが10%であり、4Rが50%であり、8Rが40%であるが、第2始動口31に入賞した場合は、4Rが10%であり、8Rが90%であり、入賞に応じた図柄変動の保留消化優先順位は第1始動口30よりも第2始動口31の方が高く設定される。
【0023】
(5)確変中は大当り確率が向上すると共に、第2始動口31の入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。又、確変大当りでない大当り(通常大当り)が発生した場合は大当り後に確変でない時短(単独時短)となり、所定の時短回数(例えば100回)分の図柄変動を行うか大当りが発生するまで時短を継続し、大当りが発生せずに時短回数分の図柄変動を行うと通常状態に戻る。
【0024】
(6)第2始動口31は普図入賞口25への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動期間は通常状態では30秒であり、時短状態では3秒である。又、開放期間は通常状態では0.3秒であり、時短では5秒である。即ち、時短では通常状態と比較して普図変動期間が短くなる一方、開放期間が長くなることで第2始動口31の入賞率が高くなる。
【0025】
(7)大入賞口32や第2始動口31が盤面15の右側にあることから時短中や大当り中には盤面15の右側を狙って打つ所謂右打ちが行われる。以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となり、遊技性も異なる。
【0026】
管理遊技機2及び当該管理遊技機2に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口26,27への始動入賞等の遊技の進行に伴って、所定周期(例えば200ミリ秒周期)で前回送信からの差分を送信対象とし、以下に示す遊技情報(遊技データ)を出力する。
【0027】
アウト情報=消費価値(アウト)を示すデータ項目である。消費(使用、打込、回収)玉単位にて送信され、管理遊技機2からは1玉単位にて送信され、通信パルス変換器6からパルス出力される場合には10玉単位にて送信される。
【0028】
セーフ情報=入賞付与価値(セーフ)を示すデータ項目である。入賞に応じた玉単位にて送信され、管理遊技機2からは1玉単位にて送信され、通信パルス変換器6からパルス出力される場合には10玉単位にて送信される。
スタート情報=始動入賞により作動(変動)する役物(特図表示部24)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示すデータ項目である。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数しても良い。
状態情報=通常状態や大当り状態等の情報送信時の状態を示すデータ項目である。
【0029】
遊技装置4は、管理遊技機2の遊技状態や遊技装置4の状態を示す状態表示灯34、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口35、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部36、持玉(会員であれば貯玉も含む)を払出すための遊技ボタン37、カードが挿入されるカード挿入口38、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラ39(図2では保護カバーのみを図示)等を有する。
遊技装置4は以下のように動作する。
【0030】
(1)貨幣を受付けると(貨幣受付処理、遊技処理)、遊技装置4に入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で管理遊技機2の貸出ボタン17を押下すると(貸出操作、付与操作)、貸出1単位(例えば125玉)分を貸出玉として遊技玉(対価付与価値、詳細は後述する)に変換し(貸出処理、対価付与処理、遊技処理)、遊技レート(以下、レート)に応じた対価分を残高から引落とす。尚、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0031】
(2)管理遊技機2では遊技玉を管理しており、盤面15への玉の打出し(使用)に応じて遊技玉を減算し、入賞に応じて遊技玉を加算する(入賞付与処理)。遊技装置4は持玉(発行対象価値)を管理し、持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技ボタン32の押下に応じて貸出1単位分の持玉を変換玉として遊技玉に変換する変換処理を行う(遊技変換処理、対価付与処理)。この場合、変換率を別途設けている(以下の計数処理についても同様)。
【0032】
(3)遊技に応じて管理遊技機2の遊技玉が増加した場合、管理遊技機2の計数ボタン20の押下に応じて遊技玉を計数玉として持玉に変換する計数処理を行う(発行変換処理、遊技処理)。この場合、1回の押下に応じて1玉を変換対象とするが、押下した状態を継続させると連続的、且つ加速的に変換可能となる。このようにして遊技玉と持玉とを更新し、遊技装置4では残高や持玉が残存する状態で管理遊技機2の返却ボタン18を押下する等の発行操作を行うと、遊技装置4にストックされていた持玉券に残高や持玉を対応付けて発行する(発行処理、遊技処理)。尚、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行も可能とする。
【0033】
(4)発行処理には管理遊技機2における遊技玉に応じた発行条件が設けられ、本実施形態では遊技玉が所定数(「0」)以下となることで発行条件が成立して発行処理が可能となる。よって、管理遊技機2と一定間隔(例えば200ミリ秒毎に)で通信(アウト情報等も含む)を行っており、遊技への使用や計数処理等により遊技玉が「0」になると、その旨が通知され、発行条件が成立すると発行処理を許容する。管理遊技機2から遊技玉を特定可能な遊技玉信号を受信することで遊技玉を更新して発行条件が成立した旨を特定すれば良いが、遊技玉が「0」になった旨を示す信号を別途受信するような他の特定方法を採用しても良い。
【0034】
(5)発行された持玉券により特定可能な持玉はPOSにて景品との交換が許容され、残高(残貨幣価値)は残高精算機にて貨幣(貨幣価値)に精算可能とされる。尚、遊技装置4が受付ける貨幣を含め、貨幣価値としては現金を例示することができるが、例えば電子マネーやクレジット決済といったように現金以外の貨幣価値を受付対象や精算対象としても良い。又、持玉や残高を持玉券に対応付けて発行処理を行うことを例示したが、例えば会員カードや遊技者の携帯電話機等の他の記録媒体に対応付けた発行処理を行っても勿論良い。
【0035】
(6)中継装置とのシリアル通信により台情報管理装置10にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、変換玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額及び持玉券の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としても良い。尚、管理遊技機2との通信は、中継装置を介さずに直接通信しても良いし、中継装置を介して通信しても良い。
【0036】
上記した通り、遊技装置4と台コンピュータ8側とが同一メーカであるといったように通信プロトコルを共有できる場合は、通信パルス変換器6を介さない遊技装置4と台コンピュータ8との直接通信が可能となる。一方、遊技装置4と台コンピュータ8側とが異なるメーカであるといったように通信プロトコルを共有できない場合は、通信パルス変換器6を介さない遊技装置4と台コンピュータ8との直接通信が不可能であり、通信パルス変換器6を介して遊技装置4と台コンピュータ8とが通信を行う。
【0037】
ここで、台情報管理装置10にて開店処理を行うといった台コンピュータ8側のクリア条件(第2初期化条件に相当する)が成立すると、台コンピュータ8や島コンピュータ9等のデータ(営業データに相当する)が初期化されるが、その一方、通信パルス変換器6は遊技装置4からクリア指示が行われるので、遊技装置4と台コンピュータ8側とが異なるメーカであれば、台コンピュータ8側のクリア条件が成立しても必ずしも遊技装置4や通信パルス変換器6に初期化が及ぶ訳ではない。勿論、遊技装置4と台コンピュータ8側とが同一メーカであれば、遊技装置4や通信パルス変換器6に初期化を及ばせても良い。
【0038】
通信パルス変換器6のクリア条件(第1初期化条件に相当する)は、通信パルス変換器6や遊技装置4の交換時、管理遊技機2の配置替え等を例示することができ、メーカによっては遊技装置4側の場内管理装置11による開店処理も含まれ、その状況の検知や対応する操作により成立するが、上記した通りメーカが異なる場合にはどのような条件が適用されるかが特定できず、台コンピュータ8側のクリア条件と連動させることも難しい。
【0039】
通信パルス変換器6は、パルス通信だけでなくシリアル通信も可能であり、遊技装置4から受信した遊技データに基づいて自身のクリア条件成立後からの累計データを第3者データとして特定し、台コンピュータ8と通信可能に接続された場合は第3者データを台コンピュータ8へ送信する。この場合、通信パルス変換器6から送信される第3者データは、上記した通り、台コンピュータ8側のクリア条件が成立してもクリアされない場合があり、営業開始時からの累計データになるとは限らない。
【0040】
台コンピュータ8は、遊技装置4から通信パルス変換器6を介さずにデータ受信した場合は、遊技装置4から受信した遊技データを、自身が管理するクリア条件成立後からの営業データと統合した上で、新たに統合した営業データを島コンピュータ9へ送信する。この場合、遊技装置4は、管理遊技機2から受信した前回送信からの差分の遊技情報(遊技データ)をそのまま、或いは送信用に加工して送信するため、台コンピュータ8は、その差分の遊技情報を上記営業データに合算することで統合可能となる。
【0041】
一方、台コンピュータ8は、通信パルス変換器6から第3者データを受信することも可能であるが、台コンピュータ8側で管理したいのは台コンピュータ8側のクリア条件成立後からの営業データであるので、受信した第3者データを保持し、次に第3者データを受信した場合に、保持している第3者データと新たに受信した第3者データとの差分を示す差分データを、同様に自身が管理する営業データと統合した上で、新たに統合した営業データを島コンピュータ9へ送信する。つまり、通信パルス変換器6を介さずに遊技装置2から受信した場合と同様に差分のデータを営業データに合算するため、差分データを台コンピュータ8にて生成するのである。例えば台コンピュータ8は、通信パルス変換器6から第3者データとしてアウト「10000」を受信すると、受信したアウト「10000」を保持し、次に通信パルス変換器6から第3者データとして例えばアウト「10010」を受信した場合に、保持しているアウト「10000」と新たに受信したアウト「10010」との差分を示す差分データとしてアウト「10」を、自身が管理するクリア条件成立後からの営業データである例えば「3000」と統合した上で、新たに統合した営業データとしてアウト「3010」を島コンピュータ9へ送信する。
【0042】
ここで、例えば遊技装置4の故障により当該遊技装置4が交換されるように営業中であっても通信パルス変換器6のクリア条件が成立する場合もあるが、このクリア条件が成立したことを示す情報が出力されない場合もあるため、第3者データによりその旨を特定する。例えば第3者データに含まれるアウトが、保持している第3者データでは「10000」であるものの、新たに受信した第3者データでは「1」だった場合のように減少しないはずのデータが減少した、或いは基準値以上の増加や減少があるといったように、保持している第3者データと新たに受信した第3者データとの比較結果により予め設定されるクリア条件(所定条件)が成立したと判定し得る場合には以下の処理を行う、或いは差分データを特定するような対応する処理を行わない。
【0043】
処理を行う場合、受信した第3者データを保持する一方、差分データを統合対象から除外する、或いはその一部だけ(例えば0データからの差分)を統合対象とする等のクリア条件が成立したと判定できない場合とは異なる処理(差分データに関する処理)を行う。又、上記した差分データに関する処理を行わないようにしても良い。
【0044】
遊技装置4や通信パルス変換器6がデータ送信する条件は、例えばデータが更新された場合((ア)による遊技データが0データでない場合)を例示できるが、所定期間単位で送信するといった他の条件を採用しても良いし、遊技装置4と通信パルス変換器6とで異なる条件としてもよい。
【0045】
場内管理装置11は、台コンピュータ8に関する設定が可能であり、当該設定にデータの受信元を遊技装置4と通信パルス変換器6との何れとする(遊技データと第3者データとの何れを採用する)かも含まれており、当該設定に基づいて上記した遊技装置4から通信パルス変換器6を介さずにデータ受信した場合の処理と、通信パルス変換器6からデータ受信した場合の処理との何れを行うかを切替える(遊技データと差分データとの何れを営業データの統合対象とするかを切替える)。
【0046】
上述した通り、通信パルス変換器6からはパルス信号も出力もされ、当該パルス信号でも遊技情報を特定可能であり、パルス信号により遊技情報を特定するか否か(パルス信号と第3者データとの何れを採用する)も上記同様に設定に応じて切替可能とし、この場合も台コンピュータ8へは前回送信時からの更新(入力回数)分が送信対象となる。
【0047】
台コンピュータ8の送信データとして差分データを統合した営業データを例示したが、差分データ分のような営業データ以外のデータを送信対象としても良く、この場合、島コンピュータ9や場内管理装置11にて営業データの統合処理を行うといった処理を行えば良い。
【0048】
以上は、管理遊技機2から遊技データを受信する遊技装置4と、遊技装置4に接続されている通信パルス変換器6について説明したが、メダルレス遊技機3から遊技データを受信する遊技装置5と、遊技装置5に接続されている通信パルス変換器7についても同様である。その場合、通信パルス変換器7のクリア条件は、通信パルス変換器7や遊技装置5の交換時、メダルレス遊技機3の配置替え等を例示することができる。
【0049】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
台コンピュータ8において、通信パルス変換器6,7から受信して保持している第3者データと、新たに受信した第3者データとの差分を示す差分データを統合対象として、台コンピュータ8側のクリア条件成立後からの遊技状況を示す営業データを更新するので、通信パルス変換器6,7の送信データが営業開始時からの累計データや差分となる累計データではない場合でも更新分を特定した上で適切にデータを特定可能となる。
【0050】
通信パルス変換器6,7を中継するか否かを場内管理装置11にて設定することにより、台コンピュータ8において、遊技データと差分データとの何れを営業データの統合対象とするかを切替えるので、台コンピュータ8と遊技装置4,5とのメーカが異なるといったようにデータ通信が難しい場合には通信パルス変換器6,7を中継する一方、メーカが同一といったようにデータ通信が容易な場合には通信パルス変換器6,7を介した無用な処理を省略可能となり、遊技場の意向に応じて適切にデータを特定可能となる。
【0051】
台コンピュータ8において、保持している第3者データと、新たに受信した第3者データとの比較結果により、差分データに関する処理、又は当該処理を行うか否かを切替えるので、例えば営業中に通信パルス変換器6,7が交換されるといった事態が生じても、その影響によりデータに異常が生ずる虞を低減可能となる。
【0052】
通信パルス変換器6,7からデータ信号とパルス信号との何れも送信可能であり、台コンピュータ8において、パルス信号を採用する旨が設定された場合、受信したパルス信号により特定可能な更新データを営業データの統合対象とするので、仮に通信パルス変換器6,7と通信プロトコルを共有できない場合でも、パルス信号によりデータを特定可能となる。
【0053】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張したり、各変形例を上記した実施形態と組み合わせたり各変形例を組み合わせたりしてどのように組み合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【0054】
例示した条件等の設定情報は、予め設定されていれば遊技場の管理者が任意に設定しても、予め場内管理装置11の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバからダウンロードして設定しても良い。
【0055】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定しても良い。又、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。
各装置や各コンピュータが行う処理の一部、或いは全部を別の装置やコンピュータにて行っても良く、例示した処理をどのような端末で行っても良い。
【符号の説明】
【0056】
図面中、1は遊技場用システム、2は管理遊技機(遊技機)、3はメダルレス遊技機(遊技機)、4,5は遊技装置、6,7は通信パルス変換器(第1中継手段)、8は台コンピュータ(第2中継手段)、11は場内管理装置(管理手段)である。
図1
図2