(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064669
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】処理剤
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20230101AFI20240507BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240507BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240507BHJP
A01N 59/06 20060101ALI20240507BHJP
A01N 65/08 20090101ALI20240507BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20240507BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
C02F1/00 K
A01P1/00 ZAB
A01P3/00
A01N59/06 Z
A01N65/08
A01N59/16 Z
C02F11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173428
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】505388355
【氏名又は名称】株式会社エクセルシア
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】足立 寛一
(72)【発明者】
【氏名】浦野 真弥
【テーマコード(参考)】
4D059
4H011
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA03
4D059BA22
4D059BF16
4D059BG00
4D059BK01
4D059DA05
4D059DA52
4D059DA55
4D059DB09
4D059DB11
4D059DB40
4H011AA02
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB18
4H011BB22
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC18
4H011BC19
4H011BC20
4H011BC22
4H011DA03
4H011DF04
4H011DH10
(57)【要約】
【課題】インドールやスカトールを含む悪臭を低減できる新規な処理剤を提供し、ひいては、手術室・内視鏡検査室、水洗トイレが使えない避難場所、山岳や海浜等のインフラのない地域、自力でトイレに行けない要介護者の居室等の少なくとも1つに適用可能な新規な処理剤を提供すること。
【解決手段】廃液を処理するための処理剤であって、消石灰と、コショウとを含む、処理剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液を処理するための処理剤であって、消石灰と、コショウとを含む、処理剤。
【請求項2】
前記コショウが、ピペリン抽出物の形態ではない、請求項1に記載の処理剤。
【請求項3】
吸水性ポリマーを含む、請求項1に記載の処理剤。
【請求項4】
前記消石灰の含有比率(質量%)が、0.1~40質量%であり、前記コショウの含有比率(質量%)が、0.05~30質量%である、請求項1に記載の処理剤。
【請求項5】
酸化亜鉛を含む、請求項1に記載の処理剤。
【請求項6】
リグニン、ベントナイトおよびゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の処理剤。
【請求項7】
フミン酸をさらに含む、請求項6に記載の処理剤。
【請求項8】
前記廃液が、ヒトまたは動物から排出される、排泄物、血液、吐瀉物または体液を含む、請求項1に記載の処理剤。
【請求項9】
前記廃液が、悪臭成分としてインドールおよびスカトールの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の処理剤。
【請求項10】
芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害するために使用される、請求項1に記載の処理剤。
【請求項11】
前記芽胞形成菌は、Clostridioides difficileである、請求項10に記載の処理剤。
【請求項12】
廃液を請求項1~11のいずれか1項に記載の処理剤と接触させることを有する、芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
排泄物を適切に処理することは衛生的で快適な環境を維持するために重要であるが、様々な場面・場所で、それが困難となりうる。例えば、緊急災害時における水洗トイレが使えない避難場所、山岳や海浜等のインフラのない地域、自力でトイレに行けない要介護者の居室、手術室・内視鏡検査室などの病院内などである。
【0003】
例えば内視鏡検査室を例に挙げると、内視鏡は経口・経鼻を通じて胃などを検査する上部検査と、肛門を通して直腸、大腸、小腸を検査する下部検査に分かれる。上部検査、下部検査共に体液の吸引を行い、場合によっては水で洗浄を行いつつ検査を行うため排泄物、血液、体液交じりの廃液が排出される。このように発生した体液を含む廃液は、汚物処理に供される。
【0004】
特許文献1には、廃液導入管を介して収集容器内に流下した廃液を吸収するための、全部もしくは主成分が高分子吸水ポリマーからなる処理剤が収集容器内に配置されている形態が開示されている。それにより、密閉状の収集容器内に吸引収集された廃液は収集容器内に予め配置された処理剤が供給されて順次ゲル化される。このため、吸引収集された廃液は収集容器外へ飛散するおそれがなく、安全性に優れるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、廃液の処理に関する問題にのみ言及しているが、排泄物由来の悪臭という問題もある。特に、インドールやスカトールなどの悪臭は非常に不快であり、医療従事者の頭を悩ませる。
【0007】
そこで、インドールやスカトールを含む悪臭を低減できる新規な処理剤を提供し、ひいては、手術室・内視鏡検査室、水洗トイレが使えない避難場所、山岳や海浜等のインフラのない地域、自力でトイレに行けない要介護者の居室等における廃液処理の少なくとも1つに適用可能な新規な処理剤を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、消石灰と、コショウとを含む、処理剤である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る処理剤によれば、インドールやスカトールを含む悪臭を低減できる新規な処理剤を提供し、ひいては、手術室・内視鏡検査室、水洗トイレが使えない避難場所、山岳や海浜等のインフラのない地域、自力でトイレに行けない要介護者の居室等における廃液処理の少なくとも1つに適用可能な新規な処理剤を提供することができる。またかかる処理剤は、ヒトまたは動物から排出される、排泄物、血液、吐瀉物または体液の処理や生ごみ等の有機汚泥の処理にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、試料Aによる芽胞形成菌の増殖抑制効果を示すカラー写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。「X~Y」が複数記載されている場合、例えば、「X1~Y1、あるいは、X2~Y2」と記載されている場合、各数値を上限とする開示、各数値を下限とする開示、および、それらの上限・下限の組み合わせは全て開示されている(つまり、補正の適法な根拠)となる。具体的には、X1以上との補正、Y2以下との補正、X1以下との補正、Y2以上との補正、X1~X2との補正、X1~Y2との補正等は全て適法とみなされなければならない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。特に記載のない限り%は質量%を意味する。
【0012】
<処理剤>
本発明の一態様は、廃液を処理するための処理剤であって、消石灰と、コショウとを含む、処理剤である。かかる態様によって、インドールやスカトールを含む悪臭を低減でき、ひいては、この問題が付きまとう、手術室・内視鏡検査室、水洗トイレが使えない避難場所、山岳や海浜等のインフラの整備されていない地域、自力でトイレに行けない要介護者の居室等の少なくとも1つでの廃液処理に適用可能である。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記廃液が、ヒトまたは動物から排出される、排泄物、血液、吐瀉物または体液である。本発明の一実施形態において、廃液が、内視鏡検査(上部検査、下部検査)等の医療行為中に患者から排出される液(排泄物、血液、体液など)である。本発明の一実施形態において、廃液は、ヒトの排泄物(大便および/または小便)でありうる(大便のみの場合は水等の液を含んでもよい)。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記廃液が、悪臭成分として、n-酪酸、n-吉草酸、イソ吉草酸、インドールおよびスカトールからなる群から選択される少なくとも1種を含む。本発明の一実施形態において、前記廃液が、悪臭成分としてインドールおよびスカトールの少なくとも一方を含む。本発明における処理剤は、n-酪酸、n-吉草酸、イソ吉草酸のような脂肪酸のみならず、特に、インドールおよびスカトールの少なくとも一方の消臭(臭気低減を含む)に有効である。本発明の一実施形態において、処理剤は、インドールおよびスカトールの少なくとも一方の消臭用処理剤である。
【0015】
(消石灰)
本発明の一態様の処理剤は、消石灰を含む。本発明の一実施形態において、消石灰の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、15質量%以上、17質量%以上、20質量%以上、あるいは、30質量%以上である。本発明の一実施形態において、消石灰の含有比率(質量%)は、処理剤中、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、28質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、14質量%以下、13質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、あるいは、3質量%以下である。本発明の一実施形態において、消石灰の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.1~40質量%、0.5~35質量%、1~30質量%、3~28質量%、5~25質量%、あるいは、7~15質量%である。
【0016】
本発明の一実施形態において、消石灰の平均粒子径は、例えば、10μm以上、あるいは、50μm以上である。本発明の一実施形態において、消石灰の平均粒子径は、例えば、1000μm以下、500μm以下、あるいは、300μm以下である。なお、本明細書中に記載の「平均粒子径」は、特記がない限り、統計学的に信頼ある数(あるいは、100個、200個、300個、あるいは、1000個)の粒子を任意に選択して、顕微鏡によって1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。なお、所望の平均粒子径とするためには、適宜、篩い等にかければよい。本発明の一実施形態において、消石灰を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、宇部マテリアルズ社のもの等が好ましい。
【0017】
(コショウ)
本発明の一態様の処理剤は、コショウを含む。コショウは、Piper nigrum(パイパー ニグラム)胡椒の木に実る実である。本発明の一実施形態において、コショウとしては、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパー、ピンクペッパーのいずれでもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、コショウは、ピペリン抽出物の形態ではない。
【0019】
本発明の一実施形態において、コショウの平均粒子径は、例えば、10μm以上、あるいは、50μm以上である。本発明の一実施形態において、コショウの平均粒子径は、例えば、1000μm以下、500μm以下、あるいは、300μm以下である。
【0020】
本発明の一実施形態において、コショウの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、1.6質量%以上、1.7質量%以上、1.8質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上、3質量%以上、3.2質量%以上、3.5質量%以上、3.8質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、10質量%以上、12質量%以上、14質量%以上、16質量%以上、18質量%以上、あるいは、20質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、コショウの含有比率(質量%)は、処理剤中、55質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5.5質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3.8質量%以下、3.5質量%以下、あるいは、3質量%以下である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、コショウの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.05~30質量%、0.1~25質量%、0.5~20質量%、1~15質量%、1.5~10質量%、1.6~9質量%、1.7~8質量%、1.8~7質量%、1.8~6質量%、1.8~5質量%、1.8~4.5質量%あるいは、1.8~3.8質量%である。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、これらの含有比率(質量%)は、処理剤にバインダを含めて計算して得られた値、あるいは、処理剤からバインダを抜いて計算して得られた値でありうる。なお、本明細書に記載の処理剤中の成分の含有比率(質量%)は、上記と同様、処理剤にバインダを含めて計算して得られた値、あるいは、処理剤からバインダを抜いて計算して得られた値でありうる。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、バインダを含んでも含まなくてもよい。処理剤における各成分の含有比率(質量%)はバインダの有無によって好ましい範囲が変動し得る。
【0024】
(吸水性ポリマー)
本発明の一実施形態の処理剤は、吸水性ポリマーを含む。吸水性ポリマーが含まれることによって、処理対象物中の水分等が吸収され、処理された物が固化されやすくなる(ゼリー状となりやすくなる)。本明細書において「吸水性ポリマー(吸水性樹脂)」とは、ERT441.2-02により規定される水膨潤性(CRC)が5g/g以上であり、およびERT470.2-02により規定される水可溶成分(Ext)が50質量%以下である高分子ゲル化剤をいう。
【0025】
本発明の一実施形態において、吸水性ポリマーの具体例としては、例えば、でんぷんアクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、でんぷんアクリル酸グラフト重合体等のでんぷん系吸水性ポリマー、セルロース-アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース-スチレンスルホン酸グラフト共重合体等のセルロース系吸水性ポリマー、ペクチン等の多糖類系吸水性ポリマー、コラーゲン等のたんぱく質系吸水性ポリマー、ポリビニルアルコール架橋重合体等のポリビニルアルコール系吸水性ポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、アクリル酸ナトリウム-ビニルアルコール共重合体等のアクリル系吸水性ポリマー、無水マレイン酸系吸水性ポリマー、ビニルピロリドン系吸水性ポリマー、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体等のポリエーテル系吸水性ポリマー等が挙げられる。これら吸水性ポリマーは、単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これら吸水性ポリマーは、合成してもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、アクアキープ(登録商標)SA(住友精化株式会社製)、アクアリック(登録商標)CA(株式会社日本触媒製)、サンフレッシュ(ST-250、ST-100、ST-573)、アクアパール(サンダイヤポリマー株式会社製)、ハイモサブHS-960(ハイモ株式会社製)、EFポリマー(EF Polymer Private Limited社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明の一実施形態において、吸水性ポリマーが、カルボキシメチルセルロースであってもよい。カルボキシメチルセルロースは、セルロースの誘導体であり、セルロースの骨格を構成するグルコノピラノースモノマーのヒドロキシ基の一部にカルボキシメチル基(-CH2-COOH)を結合させたものである。また、このカルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロース塩であってもよい。カルボキシメチルセルロースは、水との親和性が高く、水と混合することでゲル状の高粘度体となる増粘剤である。本発明において、処理剤が増粘することで、悪臭の抑制効果が高くなり、さらに抑制効果を維持できる。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、吸水性ポリマーの平均粒子径が、1~1200μm、50~1100μm、10~1000μm、80~850μm、100~600μm、150~500μm、あるいは、200~400μmである。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、吸水性ポリマーの含有比率(質量%)は、処理剤中、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、28質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、あるいは、65質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、吸水性ポリマーの含有比率(質量%)は、処理剤中、99質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、あるいは、35質量%以下である。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、吸水性ポリマーの含有比率(質量%)は、処理剤中、1%~99質量%、5~95質量%、10~90質量%、15~85質量%、20~80質量%、25~75質量%、30~70質量%、35~65質量%、40~60質量%、あるいは、45~55質量%である。本発明の一実施形態によれば、吸水性ポリマーの含有比率(質量%)は、25~60質量%である。
【0030】
(酸化亜鉛)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、酸化亜鉛を含む。酸化亜鉛は、ZnOで表される亜鉛の酸化物であり、アンモニア、硫化物などの臭いの成分を吸着して消臭、脱臭する効果を有する。酸化亜鉛としては、市販品の中から自由に選択することが可能である。たとえば、酸化亜鉛I種(ハクスイテック株式会社製)、酸化亜鉛II種(ハクスイテック株式会社製)、パゼットAB、パゼットAK、パゼットCK(いずれもハクスイテック株式会社製)などが挙げられる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、酸化亜鉛の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.25質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、3.8質量%以上、4質量%以上、4.2質量%以上、4.4質量%以上、4.6質量%以上、4.8質量%以上、5質量%以上、5.2質量%以上、5.4質量%以上、5.6質量%以上、5.8質量%以上、6質量%以上、6.2質量%以上、あるいは、6.4質量%以上である。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、酸化亜鉛の含有比率(質量%)は、処理剤中、30質量%以下、25質量%以下、23質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、あるいは、3質量%以下である。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、酸化亜鉛の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.05~30質量%、0.1~25質量%、0.5~20質量%、1~15質量%、2~10質量%、2.5~8質量%、3~6質量%、3.5~5質量%、あるいは、3.8~4質量%である。本発明の一実施形態によれば、酸化亜鉛の含有比率(質量%)は、2.5~30質量%である。
【0034】
(リグニン)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、リグニンを含む。リグニンは、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物であり、木質素とも呼ばれる。リグニンは、アンモニアおよびその他臭気物質の吸着および分解の作用効果を発揮しうる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、リグニンの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上、1.2質量%以上、1.5質量%以上、あるいは、1.8質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、リグニンの含有比率(質量%)は、処理剤中、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3.3質量%以下、3.1質量%以下、3.0質量%以下、2.8質量%以下、2.6質量%以下、あるいは、2.4質量%以下である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、リグニンの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01~30質量%、0.05~25質量%、1~20質量%、1.5~15質量%、1.5~10質量%、1.5~8質量%、1.5~6質量%、1.5~4質量%、あるいは、1.5~3質量%である。本発明の一実施形態によれば、リグニンの含有比率(質量%)は、1~3.5質量%である。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、リグニンの平均粒子径は、1~500μm、5~300μm、10~100μm、あるいは、40~80μmである。
【0038】
本発明の一実施形態において、リグニンを準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、サンエキス、バニレックス(以上、日本製紙社製)等が挙げられる。
【0039】
(ベントナイト)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、ベントナイトを含む。ベントナイトは、層状のフィロケイ酸アルミニウムを多く含み、高い粘性、粘着性、吸水性や吸着性等の性質を有する。ベントナイトは、アンモニア等の陽イオンを吸着し、アンモニアおよびその他臭気物質の発生を抑制し、吸着する。また、リグニンと、ベントナイトとを組み合わせることによって、ベントナイトの陽イオンの吸着効果と、リグニンの解明されていない複雑な3次元状網目構造とが協働し、アンモニアおよびその他臭気物質の発生を抑制し、吸着し、分解する効果をさらに発揮しうる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、ベントナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上、1.2質量%以上、1.5質量%以上、あるいは、1.8質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、ベントナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3.3質量%以下、3.1質量%以下、2.8質量%以下、2.6質量%以下、あるいは、2.4質量%以下である。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、ベントナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%~30質量%、0.05~25質量%、0.1~20質量%、1~15質量%、1.5~10質量%、1.5~8質量%、1.5~6質量%、1.5~4質量%、あるいは、1.5~3.5質量%である。本発明の一実施形態によれば、ベントナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、1~3.5質量%である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、ベントナイトの平均粒子径は、0.05~300μm、0.5~200μm、10~150μm、50~148μmあるいは、80~145μmである。本発明の一実施形態によれば、ベントナイトの体積平均粒子径(D50)は、0.05~300μm、0.5~200μm、10~150μm、50~148μm、あるいは、80~145μmである。本発明の一実施形態によれば、ベントナイトのモード径は、0.05~300μm、0.5~200μm、10~150μm、50~148μmあるいは、80~145μmである。
【0043】
本発明の一実施形態において、ベントナイトを準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましく、例えば、クニピア-F、クニミネF、モイストナイトS、モイストナイトU(以上、クニミネ工業製)や、250SA-B(以上、豊洋ベントナイト鉱業(株)等)を挙げることができる。
【0044】
(ゼオライト)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、ゼオライトを含む。「ゼオライト」とは沸石類と呼ばれる鉱物の総称で、天然のゼオライトは約40種類発見されている。ゼオライトを含むことによって、ゼオライトの細孔が、悪臭を取り込んで、悪臭を抑制することができる。ゼオライトは、天然のものであっても、人工的なものであってもよいが、入手性の観点からは、人工的なものであることが好ましい。また、本発明のゼオライトは、水や窒素分子よりも少し大きい5.5~8Å程度の極微小な空洞がトンネル状に構成されているモルデナイトと呼ばれるゼオライトであることが好ましい。ゼオライトの市販品を購入する場合、新東北化学工業(株)社製の、ゼオライト2460、ゼオライト60、ゼオライトCP、ゼオフィル(登録商標)シリーズなどが好ましい。ゼオライトの平均粒子径にも特に制限はないが、5μm~1.5mm程度、あるいは、8μm~1.2mm程度、あるいは、10~100μm程度である。ゼオライトには、SiO2(酸化ケイ素)、Al2O3(酸化アルミニウム)、CaO(酸化カルシウム)、Na2O(酸化ナトリウム)、K2O(酸化カリウム)、Fe2O3(酸化鉄)、MgO(酸化マグネシウム)、付着水(H2O)、結合水(H2O)、その他が、それぞれ、70.5質量%、11.3質量%、2.6質量%、1.6質量%、1.3質量%、0.7質量%、0.1質量%、8.0質量%、3.9質量%程度含まれるものであるが、無論、かかる組成に限定されることはなく、それぞれの成分が0.1~2割程度前後して、合計が100%になるように調製されたものを用いてもよい。なお、本発明において、例えば、K[AlSi2O6]などのゼオライトを用いてもよい。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、ゼオライトの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、4質量%以上、4.5質量%以上、5質量%以上、5.5質量%以上、6質量%以上、6.5質量%以上、7質量%以上、7.5質量%以上、あるいは、8質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、ゼオライトの含有比率(質量%)は、処理剤中、40質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、あるいは、8.5質量%以下である。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、ゼオライトの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01~40質量%、0.05~30質量%、0.1~20質量%、0.5~15質量%、1~13質量%、1.5~12質量%、2~9質量%、3~9質量%、あるいは、3.5~8.5質量%である。本発明の一実施形態によれば、ゼオライトの含有比率(質量%)は、1~20質量%である。
【0047】
(フミン酸)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、フミン酸を含む。フミン酸は、植物などが微生物による分解を経て形成された最終生成物で、糖や炭水化物、タンパク質、脂質などに分類されない有機物画分でありうる。フミン酸は、金属イオンとの強いキレート結合力を有し、多くの官能基を持ち、加水分解により糖やアミノ酸を生成しうる。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、フミン酸を含む材料の平均粒子径は、100nm~3mm程度、0.01~1mm程度、100~900μm程度、200~800μm程度、あるいは、400~600μm程度である。本発明の一実施形態によれば、フミン酸を含む材料は、目開き42mmの篩をスルーして目開き0.6mmの篩をオンするものが1~15重量%、5~14重量%、あるいは7~12重量%であり、目開き0.6mmをスルーして目開き0.3mmをオンするものが15~45重量%、30~43重量%あるいは40~42重量%であり、目開き0.03mmをスルーするものが20~60重量%、35~55重量%あるいは46~52重量%である。
【0049】
本発明の一実施形態において、フミン酸を含む材料を準備する方法としては、市販品を購入する方法が好ましい。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、フミン酸を含む材料の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、6.5質量%以上、7質量%以上、7.5質量%以上、8質量%以上、8.5質量%以上、あるいは9質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、フミン酸を含む材料の含有比率(質量%)は、処理剤中、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、あるいは、7質量%以下である。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、フミン酸を含む材料の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01~30質量%、0.05~25質量%、0.1~20質量%、3~15質量%、4~13質量%、あるいは、5~12質量%である。本発明の一実施形態によれば、フミン酸を含む材料の含有比率(質量%)は、1~20質量%である。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、処理剤が、リグニン、ベントナイトおよびフミン酸を含む。かような組み合わせであることによって処理対象物のアンモニア等の悪臭をより効率的に抑制することができる。
【0053】
(リン酸水素二ナトリウム)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、リン酸水素二ナトリウムを含む。本発明の一実施形態によれば、リン酸水素二ナトリウムの平均粒子径は、100nm~3mm程度、0.01~1mm程度、100~900μm程度、200~800μm程度、あるいは、400~600μm程度であるがこれらに制限されず、左記範囲を逸脱してもよく、市販品が有している大きさのものを適宜使用することができる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、リン酸水素二ナトリウムの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、あるいは、5質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、リン酸水素二ナトリウムの含有比率(質量%)は、処理剤中、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、あるいは、7質量%以下である。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、リン酸水素二ナトリウムの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01~30質量%、0.05~25質量%、0.1~20質量%、3~15質量%、4~13質量%、あるいは、5~12質量%である。本発明の一実施形態によれば、リン酸水素二ナトリウムの含有比率(質量%)は、1~10質量%である。
【0056】
(リン酸二水素ナトリウム)
本発明の一実施形態によれば、リン酸二水素ナトリウムの濃度が、1質量%未満である。本発明の一実施形態によれば、処理剤が、リン酸二水素ナトリウムを実質的に含まない。
【0057】
(重曹)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、重曹(炭酸水素ナトリウム)を含む。重曹は、組成式NaHCO3で表されるナトリウムの炭酸水素塩である。重曹は食品添加物としても使用されることがあるように人体に対して安全である。したがって、薬傷を生じさせにくいという点からも、重曹は好適である。重曹を準備する方法としては、市販品を購入してもよく、例えば、東ソー製やQINDAO HAI WAN GROUP IMP.&EXP.CO.社製や、Zichuan Antou Alum Factory社製の産業等級重曹などが好ましい。本発明の一実施形態によれば、重曹の平均粒子径にも特に制限はないが、30~150μmが好ましく、より好ましくは、80~100μmである。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、重曹の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、4質量%以上、あるいは、4.5質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、重曹の含有比率(質量%)は、処理剤中、40質量%以下、38質量%以下、35量%以下、33質量%以下、30量%以下、29質量%以下、28質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、あるいは10質量%以下である。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、重曹の含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01~40質量%、0.05~38質量%、0.1~35質量%、0.5~30質量%、1~28質量%、1.5~25質量%、2~20質量%、3~18量%、3.5~15量%、4~12量%あるいは、4.5~10質量%である。本発明の一実施形態によれば、重曹の含有比率(質量%)は、処理剤中、1~20質量%である。
【0060】
(リモナイト)
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、リモナイトを含む。
【0061】
リモナイトの化学組成は、FeO(OH)・nH2Oであるが、赤鉄鉱(Fe2O3)や粘土鉱物、酸化マンガン(II)等を不純物として含む場合がある。リモナイトが含まれることによって大便中の悪臭成分である、メルカプタン、メチルメルカプタン、硫化水素等の硫黄系化合物や、脂肪酸系化合物の分解、吸着を行うことができる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、リモナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、3.5質量%以上、4質量%以上、あるいは、4.5質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、リモナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、40質量%以下、38質量%以下、35質量%以下、30量%以下、28質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、18質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、あるいは、1質量%未満である。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、リモナイトの含有比率(質量%)は、処理剤中、0.01~40質量%、0.05~38質量%、0.1~35質量%、0.5~30質量%、1~28質量%、1.5~25質量%、2~20質量%、3~18量%、3.5~15量%、4~12量%、あるいは、4.5~10質量%である。本発明の一実施形態によれば、処理剤中、リモナイトの濃度が、1質量%未満である。本発明の一実施形態によれば、処理剤がリモナイトを実質的に含まない。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、リモナイトの粒子径分布測定における体積平均粒子径(D50)は、好ましくは0.1~200μm、より好ましくは1~150μm、さらに好ましくは5~100μmであり、よりさらに好ましくは10~50μmである。かような範囲であることによって、本発明の所期の効果を効率的に奏することができる。
【0065】
リモナイトとしては、市販品の中から自由に選択することが可能である。たとえば、LMB50、LMB300(以上、日本リモナイト社製)等が挙げられる。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、処理剤は気乾状態(大気中におかれた処理剤が、自然乾燥によって水分を減じ、大気中の湿度と平衡を保つようになる状態)となっている。
【0067】
<塊状の処理剤>
本発明の一実施形態によれば、処理剤は、水、PVA、セルロース、水溶性セルロース、アルギン酸ナトリウム等のバインダ等を用いて造粒してもよい。すなわち、本発明の一実施形態によれば、前記処理剤が、塊状の処理剤である。また、本発明の一実施形態の処理剤は、特開2013-6137号公報や、再表2011/162244号公報の技術を用いて、顆粒状処理剤や、塊状の処理剤の形態としてもよい。本発明の一実施形態によれば、処理剤は、潤滑剤を含む。潤滑剤は、塊状の処理剤を作製する際に、特に、打錠機の臼へのフィードをスムーズになるために用いられるものである。よって、潤滑剤の種類としては、従来公知のものを適宜選択して、あるいは、組み合わせて使用することができる。例えば、エステル系、ケイ素系、ステアリン酸エステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、カルシウム、亜鉛などが使われる。潤滑剤の含有量は、処理剤の総量に対して、0.3~5質量%程度、0.8~4.5質量%程度、0.8~3質量%程度である。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、処理剤の平均直径は、0.01~100mm、0.1~50mm、1~30mm、3~20mm、5~20mmである。本明細書中、「平均直径」は、特記がない限り、統計学的に信頼ある数(あるいは、10個、100個、200個、300個、あるいは、1000個)の粒子を任意に選択して、ノギスによって1粒ごと一番長い粒径を測定し、それらを相加平均した平均値を意味する。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、処理剤を卓上式手動の打錠機で作製する。卓上式手動の打錠機(杵と臼はそれぞれ一つ)で塊状の処理剤を作製するために、まず、杵には、固化をする各成分を手でスプーンにて入れる。その後、手動(油圧)にてレバーを下して圧力をかけて、各成分を固めて、塊状の処理剤を作製する。なお、例えば口径の小さい杵(直径7mm:上下円版型)を用いた場合、口径が小さい方が面積当たりにより高い圧力がかかるので固化しにくいものでも固まる傾向がある。一方で、例えば口径の大きい杵(直径15mm:上下平版型)を用いる場合、口径が大きい方が面積当たりに小さい圧力になるので固化しにくいものには不利になるが、口径の大きい分、杵へのフィードは有利になり、生産性は向上する。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、処理剤を連続式の打錠機で作製する。連続式の打錠機は、直打式であってもなくてもよいが、前処理の手間を省くことができるという点で生産性が向上する直打式を採用することも好ましい。また、微粉のものをフィードしやすくするために潤沢剤を入れることが好ましい。一方で、前処理を行う場合は、例えば、ローラーコンパクターを用いて大きな圧力をかけて圧延して微粉を造粒したものにバインダ(結合剤)を混合したものを打錠することによって、塊状の処理剤を作製してもよい。大量生産を鑑みると、例えば、株式会社畑鐵工所製の打錠機(型式AP18-SSなど)を使用することが好ましい。この際の杵臼の直径は、13mm程度であり、杵立数は、18本程度である。かかる打錠機を使用すれば、原料を所望の割合となるように調製し、混合し、打錠機のホッパーに混合した原料を入れ、打錠機で回転式に打錠をしていくだけで生産が可能であり、好ましい。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、処理剤を連続式の回転型打錠機で作製する。上述のとおり、処理剤(塊状の処理剤)を作製するための方法には、特に制限はない。処理剤を構成する成分を任意の順番で混合することによって作製してもよいし、バインダを含む所望の成分を、打錠機を用いて打錠しながら混合して作製してもよい。
【0072】
(バインダ)
本発明の一実施形態によれば、バインダは、セルロース系バインダであると好ましい。本発明の一実施形態によれば、処理剤に含まれる成分の一部または全部を結着する作用を有する。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、バインダは、市販品を購入することによって準備してもよい。市販品としては、旭化成ケミカルズ社製のPH-102、TG-101、ST-02、TG-101や、樋口商会社製PVPK-15、PVPK-30、PVPK-90(ポリビニルピロリドン)、日本製紙ケミカル社製のKCシリーズ(KCフロック W-50S、W-50、W-100/100G、W-200/200G、W-250、W-300G、W-400G)、旭化成ケミカルズ社製のセロッサシリーズ(セロッサK2)などが好適に使用される。
【0074】
バインダは、固形化に寄与することが主な機能である。そのため、その量は少なければ少ないほど好ましいが、本発明の一実施形態によれば、バインダの含有比率(質量%)は、処理剤中、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、あるいは、25質量%以上である。本発明の一実施形態によれば、バインダの含有比率(質量%)は、処理剤中、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下あるいは45質量%以下である。本発明の一実施形態によれば、バインダの含有比率(質量%)は、処理剤中、10~50質量%である。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、処理剤が塊状の形態ではない。本発明の一実施形態によれば、処理剤は、処理剤を構成する成分を圧力等を掛けずに単に混合した混合物の形態でありうる。本発明の一実施形態によれば、処理剤が処理剤を構成する一部または全部の成分を結着する機能を有するバインダを実質的に含まない。なお、本明細書中、「実質的に含まない」との表現は、当該成分を全く含まないという概念の他、当該成分を処理剤中、0.005質量%以下含むという概念を含む意味である。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、塊状の処理剤は気乾状態(大気中におかれた処理剤が、自然乾燥によって水分を減じ、大気中の湿度と平衡を保つようになる状態)となっている。
【0077】
<処理剤による処理>
処理の具体的な方法にも特に制限はないが、本発明の一実施形態によれば、廃液と、処理剤とを接触させる方法が好適である。本発明の一実施形態によれば、廃液に、処理剤を添加する方法が挙げられる。本発明の一実施形態によれば、処理剤に廃液を添加する方法が挙げられる。本発明の一実施形態によれば、手術(例えば、内視鏡)の処置でヒトから排出された廃液が溜められるボトルに予め処理剤を配置しておく。吸引等により排出された廃液を、本発明の処理剤が予め配置されているボトルに導入し、当該廃液を処理する。
【0078】
例えば内視鏡検査では、検査後に消化器(胃、直腸、大腸、小腸など)からの廃液(排泄物、血液、体液など)が排出され、この廃液は汚物処理に供される。また、病院では、入院中の患者の尿などの廃液もまた汚物処理に供される。これらの廃液にはBacillus(バチルス)属やClostridium(クロストリジウム)属の等の芽胞形成菌が含まれることがある。芽胞形成菌は日和見感染症原因菌の代表格である。芽胞形成菌は、100℃以上の熱にも耐える耐熱性細菌であり、また、栄養素が不足したり環境が悪化すると菌体内に芽胞を形成する。この芽胞は熱だけではなく乾燥や消毒剤にも耐性があるため、生育の適した環境になるまで厳しい環境下でも生き延びることができる。そして、水分、温度、栄養などの生育環境が整うと、発芽して栄養細胞となり、増殖する。ゆえに、芽胞形成菌は院内感染制御において特段の注意を要する。本願発明に係る処理剤は、このような廃液と接触させることにより、芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害することができる。このため、特に患者の廃液を多量に処理する必要のある病院では有用である。ここで、本発明に係る処理剤が芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖に対して抑制・阻害効果を発揮する理由は不明であるが、下記のように推測される。なお、本発明は下記推測によって限定されない。本発明に係る処理剤は消石灰およびコショウを含む。このうち、消石灰の存在により、廃液はアルカリ性になる。このため、アルカリ雰囲気下におかれた芽胞形成菌の芽胞殻(芽胞殻外層、芽胞殻内層)は柔らかくなり、外界からの物質の侵入が容易になる。このため、処理剤中のコショウや酸化亜鉛(さらに含む場合)がコアに直接作用しやすくなり、芽胞の発芽や菌の増殖(成長)が有効に抑制・阻害される。
【0079】
すなわち、本発明に係る処理剤は、芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害するために使用される。また、本発明は、廃液を本発明に係る処理剤と接触させることを有する、芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害する方法をも提供する。ここで、芽胞形成菌としては、Amphibacillus(アンフィバシラス)属、Bacillus(バチルス)属、Clostridium(クロストリジウム)属、Sporosarcina(スポロサルシナ)属など公知の芽胞形成菌がある。これらのうち、本発明に係る処理剤は、Clostridium(クロストリジウム)属、特にClostridioides difficileに対して、優れた芽胞発芽または増殖の抑制・阻害能を発揮する。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、処理対象物(例えば、内視鏡検査で排出される廃液:約1000mL~約4000mL)に対する処理剤の量は、必要に応じて適宜調整することができるが、目安としては、1~1000g、2~900g、3~800g、5~750g、10~700g、20~650g、あるいは、30~600gである。本発明の一実施形態によれば、処理対象物と処理剤とを接触(その後必要に応じて混合)した後、例えば、5分~30日、120分~20日、300分~10日、200分~5日、400分~3日、500分~2日、静置、放置してもよい。本発明の処理剤によれば、処理対象物からの悪臭を長期間抑制する効果も有する。
【0081】
本実施形態において、処理剤は、他の成分をさらに含んでもよい。ここで、他の成分としては、抗菌剤がある。ここで、処置剤が抗菌剤をさらに含む場合の抗菌剤としては、特に制限されないが、例えば、銀、銅等の無機系抗菌剤、キチン、キトサン、アリルイソチオシアネート、ヒノキチオール、リモネン等の天然性抗菌剤、ペニシリン系とマクロライド系等の抗菌剤などが挙げられる。処置剤が抗菌剤をさらに含む場合の抗菌剤の量は、特に制限されず、所望の芽胞発芽または増殖の抑制・阻害効果などに応じて適切に選択されうる。
【実施例0082】
<人工廃液(コントロール(i))の調製>
純水1Lに、大豆タンパク質の加水分解物(ハイポリペプトン)4g、にんにくペースト0.8g、尿素0.2gを溶解させた。この溶液25mLに対して、黒土1.0g-wetを加えたものをコントロール(i)とした。
【0083】
<コントロール(ii)、(iii)の作製>
コントロール(i)に、対照処理剤1を1錠(0.72g)加えたものをコントロール(ii)、対照処理剤2を0.72g加えたものをコントロール(iii)とした。
【0084】
(対照処理剤1の作製)
対照処理剤1(平均直径:15mm、平均厚さ:5mm)は、以下の各成分を、卓上打錠機(株式会社菊水製作所製)の臼に入れ、40kNの圧力をかけて打錠することによって70錠の処理剤を得た。なお、使用した杵は、直径15mmの上下平版型であった。
【0085】
【0086】
(対照処理剤2の作製)
下記表に示される組成となるように処理剤を構成する各成分を混合して、100gの処理剤を作製した。
【0087】
【0088】
<各種薬剤の添加>
コントロール(ii)、コントロール(iii)に、さらに下記表に示す各種薬剤等を、下記表に示す量、濃度で加えた。
【0089】
【0090】
まず、コントロール(ii)をベースとする実験の臭気強度の測定結果を表5に示す。
【0091】
なお、臭気強度は、臭気パネル選定試験に合格した複数名(3人)が以下の基準で点数をつけそれらの相加平均にて判定した。
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
表5で臭気強度の変化を見ると、コントロール(i)は1日目から11日目まで臭気強度3.5前後を推移していた。コントロール(ii)は1日目に臭気強度2と大きな効果を示したが、徐々に強度が上昇し、5日目にはコントロール(i)と同等、8日目には全ての系の中で最も高くなった。
【0096】
コントロール(ii)に各種薬剤を添加した系においては、悪臭物質が生成しやすい還元雰囲気を改善させる目的で添加したCaO2や酸化鉄は効果が低く、コントロール(ii)より悪いか同等であった。活性炭を添加した系は、8日目まではコントロール(ii)の臭気強度の0.5程度下を推移しており一定の効果があると思われたが、8日目にはカビが生えて異臭を発した。そのため活性炭を添加した系の試験を停止した。その他にも、薬剤そのものやカビの発生などでにおいの質が変化して不快感が増していたものなどもあった。殺菌を目的とした銅塩、銀塩、ミョウバン、塩素剤または殺菌剤を添加した系は、いずれもコントロール(ii)より便臭や腐敗臭を抑制していたが、塩素剤のように薬剤の臭いがきついために臭気強度が高くなったものもあったり、十分な結果ではなかった。
【0097】
なお、においの質については、コントロール(i)からは4日目辺りから便臭や汲み取りトイレ臭を感じ始めており、コントロール(ii)の臭気強度は低めであるものの、同時期から汲み取りトイレ臭を感じ始めていた。
【0098】
CaO2または銀塩を添加した系は、コントロール(ii)とにおいの質の変化という点で大差なく、酸化鉄またはミョウバンを添加した系は数日程度汲み取りトイレ臭を抑えたが、その後類似したにおいを発した。また、活性炭または銅塩を添加した系は、少し汲み取りトイレ臭を抑制したが、別のにおいを発したり、カビを生じたりしたため、あまり良いとは考えられなかった。ジクロロイソシアヌール酸を添加した系は、汲み取りトイレ臭はあまり感じられなかったが、比較的強い塩素臭や焦げ臭が感じられた。
【0099】
一方、使用時の状態については、コントロール(ii)においては4日目に水が上部に出始め、6日目には三層に分かれ中間層に水が見られた。これに対して、CaO2添加系では4日目には三層に分かれ、水分量も多かった。これは高分子吸水性樹脂(吸水性ポリマー)にカルシウムが配位して水分吸収量が落ちたためと考えられる。同様の現象は銅塩を添加した系でも見られた。その他の系では、保水性の部分でコントロールと顕著な差は見られなかった。
【0100】
次に対照処理剤2の臭気強度測定結果を表7に示す。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
対照処理剤2(コントロール(iii))は、1日目のみ全体の中でも活性炭に次いでにおいを抑制していたが、4日目、5日目にはかなり臭気強度が上昇した。においを強く発したためか、8日目以降はやや低下したが、対照処理剤2(コントロール(iii))は長期的な悪臭発生抑制効果は低いと思われた。
【0105】
コントロール(iii)に各種薬剤等を添加した系では、CaO2またはゼオライトを添加した系を除いて、概ね低めの臭気強度を示した。この中では銀塩添加系、活性炭添加系または陽イオン界面活性剤添加系(殺菌剤添加系)で比較的良い結果を示していた。
【0106】
しかし、においの質については、コントロール(iii)では4日目に強めの便臭や汲み取りトイレ臭、刺激を感じており、ゼオライト、CaO2、酸化鉄、活性炭、銅塩、銀塩またはミョウバンを添加した系では、強弱の違いはあるものの、いずれも汲み取りトイレ臭を同時期から感じていた。
【0107】
ジクロロイソシアヌール酸を添加した系では、薬品臭を継続的に一定の強度で感じていた。塩化ベンザルコニウムを添加した系ではにんにく臭が長く続いており、有機物分解が抑制され、便臭の発生も抑制されていたが、11日目にはトイレ関連臭を発していた。
【0108】
使用時の状態については、CaO2を加えた系でほとんど保水しておらず、水っぽい状態であった。その他の系は、コントロール(iii)と大きな違いはなかった。
【0109】
上記の試験において、CaO2を加えた系では吸水効果が薄れ、においに対しても効果が無かったのでこれ以上の検討は終了とし、酸化鉄を加えた系もやや効果があった程度なのでこれ以上の検討は終了とした。銅塩の効果は銀の効果と同等だったが吸水性樹脂を阻害していたのでこれ以上の検討は終了とした。
【0110】
以上を第一回目の試験とし、続いて、第二回目の試験として、銀塩、ミョウバン、ジクロロイソシアヌール酸または塩化ベンザルコニウムを加えた系について、濃度を変化させて効果を確認することとした。また、粘度を上げて物質移動を抑制する効果があると予測しCMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)糊、塩類濃度を高めて微生物活性を下げる効果があると予測し塩化ナトリウム、溶解性の酸化性鉄塩、塩化ベンザルコニウムと類似の陽イオン界面活性剤である塩化ベンゼトニウム、水中で過酸化水素を生成する過炭酸ナトリウムをコントロール(ii)に加える薬剤として単独で試験することとした(単一系)。さらに塩化ベンザルコニウムと活性炭、塩化ナトリウムと活性炭、過炭酸ナトリウムと活性炭、過炭酸ナトリウムと塩化ベンザルコニウム、過炭酸ナトリウムと銀塩の組み合わせについても、コントロール(ii)に加える薬剤としての効果を確認することとした(複合系)。
【0111】
これらの第二回目の臭気抑制試験の条件を下記表に示す。
【0112】
【0113】
快不快度は、臭気パネル選定試験に合格した複数名(3人)が以下の基準で点数をつけそれらの相加平均にて判定した。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
コントロール(ii)は、3日目から7日目に掛けて汲み取りトイレ臭が強めで、その間にある程度、トイレ関連臭気成分が揮発したためか、それ以降は野菜腐敗臭などが感じられた。
【0118】
銀塩、ミョウバン、塩化ナトリウムまたは塩化鉄の添加系では、およそ3日目には汲み取りトイレ臭などを感じ始め、7~11日目程度でカビが発生して臭気が変わったため試験を停止した。
【0119】
CMC糊を入れた系ではプラスチックやゴムを感じさせる臭気があったものの8日目程度まで汲み取りトイレ臭をあまり感じさせなかったが、それ以降は汲み取りトイレ臭や腐敗臭が強くなった。
【0120】
塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムの添加系では、薬品臭が常に感じられたが、汲み取りトイレ臭は比較的抑制されており、その効果は塩化ベンゼトニウムを入れた系の方が高かった。過炭酸ナトリウムを入れた系では独特の不快な薬品臭が感じられたが、汲み取りトイレ臭自体は二週間目程度まで比較的抑制されていた。
【0121】
【0122】
複合添加した系は、試験途中でカビが発生するケースも多く、本系において複合することによる効果を特に見いだせなかった。
【0123】
臭気強度は、臭いの強弱についての指標であり臭いが強くても不快と感じない場合もあるし、弱くても不快と感じる場合がある。そこで、臭気の快不快度にフォーカスをして引き続き検討を行った。
【0124】
コントロール(ii)に対して、天然系の各種薬剤として、茶(100%緑茶茶葉)を入れたもの、シソを入れたもの、トウガラシを入れたもの、黒コショウを入れたもの、ドクダミを入れたもの、粉末カラシを入れたもの、粉末ワサビを入れたものをそれぞれ準備し、上記と同様、臭気の快不快度を評価した。コントロール(ii)に対して添加したこれらの量は、全て0.1gとした。
【0125】
【0126】
結果、快不快度では、コショウを入れた系が最も良く、約10日間ほとんど不快と感じないレベルであった。臭気質(においの質)を見てみると、不快度が高くならなかったこしょうを入れた系では、主としてこしょう臭として認識されていた。以下にコショウを入れた系の組成を纏める。
【0127】
【0128】
なお、上記の表において、バインダ(KC200(KCフロック))を抜いて各成分の含有比率を換算すると以下のようになる。
【0129】
【0130】
続いて、コショウよりもよい系がないかの検討を更に進めた。具体的には、コントロール(ii)には、消石灰(アルカリ成分)が含まれているため、更にアルカリを追加することで腐敗を抑制することで悪臭を抑制できないか、またヨウ化カリウムが有機物と反応してヨード剤として殺菌作用発揮させて悪臭を抑制できないかを検討した。具体的には、コントロール(ii)に対して、各種薬剤として、セスキ炭酸ナトリウムを入れたもの、重曹を入れたもの、ヨウ化カリウムを入れたものをそれぞれ準備し、上記と同様、臭気の快不快度を評価した。コントロール(ii)に対して添加した剤の量は、全て0.1gとした。
【0131】
【0132】
表15に示すようにこれらは快不快度でコントロール(ii)と同等かそれ以下となり、効果は認められなかった。臭気質についても、大きな違いが無かった。
【0133】
続いて、粘度上昇による悪臭成分等の液中移動性を低下させることにより悪臭の揮発量低下の効果を狙い、増粘効果のある増粘剤を添加した実験を行った。具体的には、コントロール(ii)に対して、各種薬剤として、hiメトローズを入れたもの、PVAを入れたもの、デンプンを入れたものをそれぞれ準備し、上記と同様、臭気の快不快度を評価した。コントロール(ii)に対して添加した剤の量は、hi メトローズ、デンプンは、0.1gとし、PVAは0.1mlとした。
【0134】
【0135】
このように、思ったような結果は得られなかった。
【0136】
続いて、界面活性剤のような生菌数を減少させる手法の悪臭抑制効果を狙い、各種界面活性剤での実験を行った。具体的には、コントロール(ii)に対して、各種薬剤として、非イオン界面活性剤として代表的なトリトンX100(キシダ化学)0.1gを入れたもの、石鹸(一般に市販されている脂肪酸エステル石鹸を削って粉にしたもの)を0.1g入れたもの、陽イオン界面活性剤サンプル2種(カチオンG50:塩化ベンザルコニウム溶液、オスモリンDA-50:ジデシルジメチルアンモニウムアジペート)をそれぞれ入れたものを用いた。なお陽イオン界面活性剤サンプル2種は、以下の各種の濃度で用いた。なお、人工廃液25mLに対して各種界面活性剤を添加しているため実際の添加量は上記の濃度から換算できる。
【0137】
【0138】
試験の結果を快不快度でみると、トリトンX、DA-50 300mg/Lを入れた系がコントロール(ii)よりやや良い結果を示した。G-50またはDA-50を入れた系は100mg/Lで比較するとDA-50を入れた系の方が若干よかった。なお、塩化ベンザルコニウム液は手指の殺菌液、汚染環境の消毒液として用いられることが知られている。
【0139】
以上のこれまでの結果を総合すると、悪臭の低減効果は、『コショウ』の結果が最も優れているとの知見を得ることができた。
【0140】
そこで、コショウを含む以下の組成の各成分を、卓上打錠機(株式会社菊水製作所製)の臼に入れ、40kNの圧力をかけて打錠し、塊状の処理剤KS-22-α1、KS-22-α2、KS-22-α3それぞれ50g(70錠)を得た。またコショウを含まないtab22を50g(70錠)得た(平均直径:15mm、平均厚さ:5mm)。なお、使用した杵は、直径15mmの上下平版型であった。
【0141】
【0142】
なお、上記の表18において、バインダ(KC200(KCフロック))を抜いて各成分の含有比率を換算すると以下のようになる。
【0143】
【0144】
【0145】
なお、上記の表20において、バインダ(KC200(KCフロック))を抜いて各成分の含有比率を換算すると以下のようになる。
【0146】
【0147】
【0148】
なお、上記の表22において、バインダ(KC200(KCフロック))を抜いて各成分の含有比率を換算すると以下のようになる。
【0149】
【0150】
【0151】
そして、コントロール(i)に、上記の各塊状の処理剤を1錠(0.72g)加えた。
【0152】
これらについて、これまでの実験と同様、快不快を、臭気パネル選定試験に合格した複数名(3人)で測定した。
【0153】
【0154】
<模擬便の作製>
続いて、試験に用いる模擬便として、便と質感や比重が類似している石粉粘土に、脂肪酸類、インドール、スカトールのそれぞれが臭気に一定の寄与をする程度の量を順次添加、混合したものを用意した。調製濃度を以下表に示す。
【0155】
【0156】
試験では、模擬便65gをプラスチック袋に入れ、対照処理剤1、KS-22-α1、および、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩(硝酸銀をKS-22α1-粉末タイプ(打錠しなかったもの)の全体重量に対して0.5重量%添加したもの)を、それぞれ規定量(50g)加えた後、純水200mLを加えて直ちに容積17Lの容器内に設置した。このようにして、コントロール(処理剤未添加)、対照処理剤1、KS-22-α1、および、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩の評価を行った。
【0157】
<試験結果>
n-酪酸、n-吉草酸、イソ吉草酸、インドール、スカトール濃度の測定結果、および、臭気物質のコントロールに対する抑制率を以下の表に示す。
【0158】
(n-酪酸)
n-酪酸について、コントロール(模擬便に純水200mLを加えたもの)の揮発濃度は4時間目で0.34ppm、3日目以降は0.7ppm前後を推移した。それに対して対照処理剤1は、4時間で0.15ppm、3日目には0.07ppm、一週間目以降は0.04ppm程度を示した。KS-22-α1およびKS-22-α1粉末タイプ+銀塩の系では4時間目で0.03ppm以下、一日目以降は概ね0.01ppm以下と低い水準であった。抑制率で見ると、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩の系が一日目以降98%以上を示した。
【0159】
対照処理剤1の系は一日目以降で概ね90%以上の抑制率であったが、KS-22-α1の系の方が抑制率で10%程度高い性能を示した。わずか10%程度にも思えるが、コントロールの臭気に対して1/10にしたか、1/50にしたかを意味しており、人の臭いに対する応答が指数的であること、悪臭防止法の臭気強度と濃度の目安を勘案すると、n-酪酸に対しては官能評価(臭気強度)を一段階程度下げる改善が図られたと考えられる。
【0160】
(n-吉草酸)
n-吉草酸について、コントロールは4時間で0.4ppm、1日目以降1.3ppm前後を示した。これに対して対照処理剤1は、4時間で0.08ppm、1日目以降0.03ppm以下と低いレベルを示した。KS-22-α1と、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩では4時間目から概ね0.01ppm以下と対照処理剤1より更に高い性能を示した。コントロールに対する抑制率で見てみると、対照処理剤1が4時間目に80%であったのに対して、KS-22-α1と、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩では95%以上を示し、1日目以降は対照処理剤1が97~99%の範囲であったのに対して99%以上の抑制率を示した。
【0161】
(イソ吉草酸)
イソ吉草酸についても、吉草酸と類似した傾向を示し、コントロールは4時間目に0.33ppm、一日目以降1.1ppm前後を示した。対照処理剤1は、4時間目に0.04ppm、一日目以降0.01ppm以下を示し、KS-22-α1と、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩は、4時間目から0.01ppm以下であった。抑制率で見てもn-吉草酸に類似した傾向を示した。
【0162】
これらの脂肪酸三種での測定結果から、KS-22-α1は短時間で速やかに酸性便臭ガスの揮発を抑制することが示された。また、二週間にわたり、これらの成分を従来品より高いレベルで保持して揮発を抑え続けていたといえる。
【0163】
(インドール、スカトール)
化学物質の性質が異なり、代表的な糞便臭気成分であるインドール、スカトールについては、コントロールも少しずつ揮発濃度が上昇する傾向を示し、インドールで初期に0.017ppm、二週間目で0.090ppmを示した。また、スカトールでは初期に0.005ppmを示し、二週間目で0.029ppmを示した。
【0164】
対照処理剤1ではコントロールよりも濃度は低下していたが、インドールで0.010~0.027ppm、スカトールで0.004~0.016ppmを示し、一週間目もしくは二週間目まで緩やかな濃度増加傾向を示した。KS-22-α1と、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩では、インドールで0.002~0.010ppm、スカトールで0.001~0.003ppmと揮発濃度はコントロールや対照処理剤1に比較して明確に低く抑えられていた。
【0165】
抑制率で見ると、インドールでは初期に40%、一日目以降は60~70%を示し、スカトールでは変動が大きかったが10~50%の間を推移し、抑制効果は低かった。特にスカトールは便臭の代表とされる物質であり、この物質の揮発抑制率が十分ではない結果となった。
【0166】
一方、KS-22-α1と、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩では、4時間目にインドール・スカトールの双方で75%程度を示した後、若干増加し、KS-22-α1で80~90%、KS-22-α1粉末タイプ+銀塩で90%以上を示した。
【0167】
対照処理剤1では、インドール・スカトールに対して、抑制効果が低く、コントロール以上の揮発濃度を示す場合もあったが、KS-22-α1では概ね80%以上の高いレベルで抑制できていた。これによってインドール・スカトールに起因する臭気強度も一段階程度低下するものと考えられる。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
対照処理剤1は便臭に含まれる脂肪酸類には効果的であることが明確となった一方、アンモニアやインドール、スカトールといったアルカリ性化合物には効果が低く、状況によっては、対照処理剤1を使用しない場合よりも臭気物質が増加してしまう可能性が示されていた。
【0179】
なお、n-酪酸、n-吉草酸、イソ吉草酸、インドール、スカトール濃度の測定結果、および、臭気物質のコントロールに対する抑制率について24時間後のもの、1週間後のものを以下に纏める。
【0180】
【0181】
以上の試験結果をまとめると、消石灰と、コショウとを含む処理剤の基礎性能としては、揮発濃度で目標としたインドール・スカトールでの大幅な改善を図ることができ、対照処理剤1でも性能が良かった脂肪酸類に対してもさらなる改善が認められた。
【0182】
続いて、消石灰と、コショウとの組み合わせの効果を確認するために構成成分の種類を減らして検討を行った。
【0183】
具体的には、コントロール(i)に対して以下に示される成分を入れ、上記と同様に快不快度を判定した。
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
以上の結果から分かるとおり、消石灰とコショウとの組合せに顕著または異質な効果があることが示される。
【0191】
次に、以下では、試料A~Cについて、抗菌/殺菌効果を評価した。
【0192】
<抗菌/殺菌効果評価>
(試料調製)
以下の組成の各成分を均一に混合して、試料A~Cを調製した。
【0193】
【0194】
【0195】
(菌種)
抗菌/殺菌効果の測定の対象として下記大腸菌(Escherichia coli)、コレラ菌(Vibrio cholerae)および芽胞形成菌(Clostridioides difficile)の3種を選択した。大腸菌は、通性嫌気性のグラム陰性の桿菌であり、病院検査室で最も検出頻度の高いものである。また、コレラ菌は、大腸菌と同様グラム陰性桿菌であるが、災害時の低衛生環境下でしばしば蔓延が懸念される菌種である。芽胞形成菌(Clostridioides difficile)は、グラム陽性桿菌で日和見感染症原因菌の代表格であると共に、芽胞を形成し各種滅菌法・消毒法に耐性であり、院内感染制御においても特段の注意を要するものである。これら3菌種に属する下記5株を測定に供した。
【0196】
・大腸菌(Escherichia coli):
標準菌株ATCC25922
臨床分離株(2022 1-1110,血液分離株)
・Vibrio cholerae(コレラ菌):
臨床分離株1(2009 7-1320,膿分離株)
臨床分離株2(2010 8-1057,糞便分離株)
・芽胞形成菌(Clostridioides difficile):
臨床分離株(2021 8-68,糞便分離株)
なお、上記臨床分離株は、千葉大学医学部付属病院メドテック・リンクセンターで非特定の患者から取得され、維持されていたものである。上記臨床分離株は新規な微生物ではない。そのため、寄託機関に寄託を行っていない。しかし、本出願人は、本発明に係る臨床分離菌について、日本国特許法施行規則第27条の3各号に該当する場合、各法令の順守を条件に、第三者に分譲する用意がある。
【0197】
(菌試料調製)
・芽胞形成菌(Clostridioides difficile):
芽胞形成菌(Clostridioides difficile)については、滅菌生食をオートクレーブして、溶存酸素を除いた滅菌生食を用いて、Mcf(マクファーランド比濁法)0.5の被検菌液を作製した。次に、上記で調製した試料A~C 30mgをそれぞれ1.5mLマイクロチューブに入れた後、被検菌液を1mLずつ加え混和し、下記表45に示される作用時間(30分または24時間)室温(25℃;以下同様)にて静置して、試験菌液を調製した。なお、マクファーランド比濁法(Mcf)は、菌液の生菌数濃度を濁度から推定する手法であり、Mcf 0.5は芽胞形成菌で1×108CFU/mLに相当する。この際、CFU(コロニー形成単位)は、細菌が生育する固体培地に接種した際に生じるコロニーの数であり、接種した微生物中に含まれる増殖可能な微生物細胞の数を示す。
【0198】
所定時間(30分または24時間)室温静置後、試験菌液を再度混和した後、3,000rpmで10分間遠心し、上清を分離した。この上清 10μLをマクロピペットで採取し、白金耳を用いた半定量法で培地に接種し、48時間、35℃で嫌気雰囲気(H2[10%]:N2[10%]:CO2[80%])中で培養(嫌気培養)を行った。また、試料を添加していないコントロール菌液は、被検菌液作製直後に10μLをマクロピペットで採取し、白金耳を用いた半定量法で培地に接種し、35℃で嫌気雰囲気(H2[10%]:N2[10%]:CO2[80%])中で培養(嫌気培養)を48時間日行った。なお、培養はアネロコロンビアRS血液寒天培地(RS培地)(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)で行った。また、各試験は、duplicateで行った。
【0199】
被検菌液に試料Aを30分間作用させ培養したものを、コントロール菌液と比較したところ、菌数の減少を認めた(
図1参照)。このため、菌数の減少を数値化するために、下記方法により、別途菌数計算のための培養測定を行った。
【0200】
上記と同様にして、作製直後のコントロール菌液、ならびに30分および24時間室温静置したコントロール菌液および試験菌液を調製した。これらの菌液を再度混和した後、3,000rpmで10分間遠心し、上清を分離した。この上清から上記と同様にしてあらかじめオートクレーブした滅菌生食を用い10倍希釈系列(希釈菌液)を作製し、各希釈菌液1mLから100μLを採取し、培地(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製、アネロコロンビアRS血液寒天培地(RS培地))に接種し、4日間、35℃で嫌気雰囲気(H2[10%]:N2[10%]:CO2[80%])中で培養(嫌気培養)を行った。4日間培養後各培地上で目視されたコロニー数からサンプルにおける生存菌数を評価した。結果を下記表45に示す。表45中、作用時間0分は菌液調製直後の(試料の作用・遠心共に行っていない)ものを示す。また、()内は各試料作用後に得られた菌数の、コントロールから得た菌数に対する割合を示す。
【0201】
・大腸菌(Escherichia coli)およびVibrio cholerae(コレラ菌):
大腸菌(Escherichia coli)およびコレラ菌(Vibrio cholerae)については、滅菌生食を用いて、Mcf(マクファーランド比濁法)0.5の被検菌液を作製した。次に、上記で調製した試料A~C 30mgをそれぞれ1.5mLマイクロチューブに入れた後、各被検菌液を1mLずつ加え混和し、下記表45に示される作用時間(30分または24時間)室温にて静置して、試験菌液を調製した。なお、マクファーランド比濁法(Mcf)は、菌液の生菌数濃度を濁度から推定する手法であり、Mcf 0.5は大腸菌で1×108CFU/mlおよびコレラ菌で1×107CFU/mlにそれぞれ相当する。この際、CFU(コロニー形成単位)は、細菌が生育する固体培地に接種した際に生じるコロニーの数であり、接種した微生物中に含まれる増殖可能な微生物細胞の数を示す。
【0202】
所定時間(30分または24時間)室温静置後、試験菌液を再度混和した後、3,000rpmで10分間遠心し、上清を分離した。この上清 10μLをマクロピペットで採取し、白金耳を用いた半定量法で培地に接種し、下記表Aに示される期間(1日または4日)、35℃で大気雰囲気中で培養(大気培養)を行った。また、試料を添加していないコントロール菌液は、被検菌液作製直後に10μlをマクロピペットで採取し、培地に接種し、35℃で大気雰囲気中で培養(大気培養)を1日または4日行った。なお、大腸菌(Escherichia coli)の培養はポアメディア(登録商標)ドリガルスキー改良培地(BTB培地)(栄研化学株式会社製)で行い、コレラ菌(Vibrio cholerae)の培養はトリプチケース(TM)ソイ5%ヒツジ血液寒天培地(BA培地)(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社製)で行った。また、各試験は、duplicateで行った。
【0203】
所定期間(1日または4日)培養後、目視で確認されたコロニー数の有無を調べた。結果を下記表46に示す。下記表46中、「-」は発育を認めなかったことを示す。
【0204】
【0205】
上記表46に示されるように、芽胞形成菌では、コントロールと比較した菌数の減少が各試料30分間の作用で、25%~82%に留まり、24時間作用させた場合には68~99.94%の菌数減少が確認された。この結果は、現行製品の試料よりも、抗菌効果が高いものと考えられる。これに対して、大腸菌(E. coli)およびコレラ菌(V. cholerae)では、30分間の試薬の作用により菌の発育を全く認めなかった。このうち、大腸菌の場合では、Mcf 0.5=108CFU/mLであることから、培養開始時の菌液は106CFU/mLまで低下しているものと考えられるが、培養後に全く菌の発育を認めないことから、少なくとも106CFU/mL(99.9999%)以上の制御効果があるものと考えられる。また、コレラ菌では、Mcf 0.5=107CFU/mLであることから、遠心により最大105CFU/mLにまで低下すると考えられるが、大腸菌と同様、全く培養後の発育を認めないことから、105CFU/mL(99.999%)以上の制御効果があるものと考えられる。大腸菌(E. coli)およびコレラ菌(V. cholerae)いずれの場合も4日間の培養後も全く菌の発育を認めなかったことからから、すべて死滅したものと考えられる。
【0206】
上記芽胞形成菌(C. difficile)と、大腸菌(E. coli)やコレラ菌(V. cholerae)との結果の違いは、主に芽胞形成菌の有する芽胞の影響によるものと推察される。芽胞はアルコールや塩化ベンザルコニウムなどの消毒液による殺菌が無効であり、100℃の煮沸によっても完全に不活性化することができない(すなわち、完全に死滅させることが困難である)ことを考え合わせると,本発明の試料Aの臨床的有用性が期待される。
【0207】
なお、本検討では菌液中で試薬を作用させるため、サンプル中に試薬が浮遊し存在する。このため、遠心した上清を培養測定に使用した。この遠心操作により、菌数は大腸菌(E. coli)で約1/100、コレラ菌(V. cholerae)で約1/10~1/100、芽胞形成菌(C. difficile)で約1/500まで減少がみられた。また、菌液を24時間静置することにより大腸菌(E. coli)で約1/1~1/10、コレラ菌(V. cholerae)で約1/10~1/100、芽胞形成菌(C. difficile)で約1/10まで減少がみられた。
【0208】
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
【0209】
本発明は、下記態様および形態を包含する。
【0210】
1.廃液を処理するための処理剤であって、消石灰と、コショウとを含む、処理剤。
【0211】
2.前記コショウが、ピペリン抽出物の形態ではない、1.に記載の処理剤。
【0212】
3.吸水性ポリマーを含む、1.または2.に記載の処理剤。
【0213】
4.前記消石灰の含有比率(質量%)が、0.1~40質量%であり、前記コショウの含有比率(質量%)が、0.05~30質量%である、1.~3.のいずれかに記載の処理剤。
【0214】
5.酸化亜鉛を含む、1.~4.のいずれかに記載の処理剤。
【0215】
6.リグニン、ベントナイトおよびゼオライトからなる群から選択される少なくとも1種を含む、1.~5.のいずれかに記載の処理剤。
【0216】
7.フミン酸をさらに含む、1.~6.のいずれかに記載の処理剤。
【0217】
8.前記廃液が、ヒトまたは動物から排出される、排泄物、血液、吐瀉物または体液を含む、1.~7.のいずれかに記載の処理剤。
【0218】
9.前記廃液が、悪臭成分としてインドールおよびスカトールの少なくとも一方を含む、1.~8.のいずれかに記載の処理剤。
【0219】
10.芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害するために使用される、1.~9.のいずれかに記載の処理剤。
【0220】
11.前記芽胞形成菌は、Clostridioides difficileである、10.に記載の処理剤。
【0221】
12.廃液を1.~11.のいずれか1つに記載の処理剤と接触させることを有する、芽胞形成菌の芽胞発芽または増殖を抑制・阻害する方法。