(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064670
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20240507BHJP
H01Q 13/02 20060101ALI20240507BHJP
H01Q 17/00 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01S7/03 240
H01Q13/02
H01Q17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173429
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保山 治
【テーマコード(参考)】
5J020
5J045
5J070
【Fターム(参考)】
5J020EA09
5J045AA05
5J045DA01
5J045NA07
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AD02
5J070AF03
5J070AK07
(57)【要約】
【課題】本開示は、簡易な構成でレーダの測定範囲を制限して、レーダの誤検知を抑制できるセンサユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】センサユニット20は、レーダ波を送信する送信アンテナと、対象物からの反射波を受信する受信アンテナを有するレーダユニット21と、レーダユニット21を支持するブラケット22と、レーダユニット21のレーダ測定範囲を制限するホーン23と、を備える。ホーン23は、ブラケット22に取り付け可能な構造を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ波を送信する送信アンテナと、対象物からの反射波を受信する受信アンテナを有するレーダユニットと、
前記レーダユニットを支持するブラケットと、
前記レーダユニットのレーダ測定範囲を制限するホーンと、
を備え、
前記ホーンは、前記ブラケットに取り付け可能な構造を有する、センサユニット。
【請求項2】
前記ホーンは、前記レーダユニット側に位置する基部と、前記基部と反対側に位置する頂部を有し、前記頂部の開口面は、前記レーダ測定範囲内に位置する、請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記ホーンの外周面または内周面の少なくとも一部に、電波吸収体が設けられている、請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記ブラケットは、移動体に取り付け可能である、請求項1から3の何れか一項に記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記ブラケットは、
前記レーダユニットを移動体に固定可能な固定部と、
前記移動体を基準として前記レーダユニットのレーダ波の送信方向を調節可能な送信方向調整機構と、
を備える、請求項4に記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自車両周辺の物体を広範囲に検出できる車両用レーダが普及している。例えば、特許文献1には、レーダと、レーダの送受信波を反射する反射鏡が搭載されたランプユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、レーダをランプユニットの内部ではなく、ランプユニットの周辺やフロントバンパーなどに配置する場合、ランプユニットの周辺に位置する部材やフロントバンパーの凹凸部がレーダの送受信波に干渉してしまい、レーダユニットの誤検知が生じる恐れがあるという課題があった。
また、ランプユニットの周辺に位置する部材やフロントバンパーの凹凸部がレーダの送受信波に干渉することを防止するため、例えば、レーダユニットにレーダの測定範囲を制限するホーンを設けることが考えられる。しかしながら、ホーンをレーダユニットに直接取り付けるのは容易ではなく、取り付けるための部品や工数が必要となるという課題があった。
【0005】
本開示は、簡易な構成でレーダの測定範囲を制限して、レーダユニットの誤検知を抑制できるセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るセンサユニットは、
レーダ波を送信する送信アンテナと、対象物からの反射波を受信する受信アンテナを有するレーダユニットと、
前記レーダユニットを支持するブラケットと、
前記レーダユニットのレーダ測定範囲を制限するホーンと、
を備え、
前記ホーンは、前記ブラケットに取り付け可能な構造を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡易な構成でレーダの反射波の受信面を制限して、レーダの誤検知を抑制できるセンサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】センサユニットを搭載した車両のフロント部を示す斜視図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るセンサユニットの組み立て構成図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るレーダユニットの視野(FOV:Field Of View)とホーンとの位置関係を示す模式図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るセンサユニットの取り付け構造の上視断面図である。
【
図5】本開示の第2実施形態に係るセンサユニットの組み立て構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、センサユニット20を搭載した車両100のフロント部を示す斜視図である。車両100のフロント部の左右には、自車両前方を照射するための一対のランプユニット10が設けられている。また、ランプユニット10の周辺(
図1の例示ではランプユニット10の下方)には、レーダユニット21を含むセンサユニット20が設けられている。
【0010】
レーダユニット21は、例えばFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)変調方式のミリ波レーダなどで構成され、レーダ波を送信する送信アンテナと、対象物からの反射波を受信する受信アンテナを有する。レーダユニット21は、送信アンテナから直線性に優れる電波を送信し、自車両の前方にある対象物からの反射波を受信アンテナで受信して信号処理することで、自車両を基準とした対象物との距離、速度、角度を測定することができる。
【0011】
ところで、ランプユニット10の周辺には、
図1に示したように車両100の構造材、フロントバンパー30、ランプユニット10、あるいは配線40等の複数の他の部材が配置されている。そのため、レーダユニット21がレーダ波を送受信するための十分な空間を確保することが困難な場合がある。レーダユニット21から送信されたレーダ波がこのような他の部材によって反射されると、レーダユニット21は対象物との距離等を正確に測定することができず、レーダユニットの誤検知が生じる恐れがある。したがって、他の部材からの反射波がレーダユニット21の測定範囲である視野(FOV)に入り込まないように、レーダユニット21を設ける場所に制約をかける必要があった。
本発明者は、他の部材からの反射波がレーダユニット21のFOVに入り込むことを防止するため、例えば、レーダユニット21に測定範囲を制限するホーンを設けることを検討した。しかしながら、ホーンをレーダユニット21に直接取り付けるのは容易ではなく、取り付けるための部品や工数が必要となった。
【0012】
そこで、本開示のセンサユニット20は、簡易な構成でレーダユニット21の測定範囲を制限して、レーダユニット21の誤検知を抑制できる構成とする。本開示のセンサユニット20の詳細について、
図2~5を用いて説明する。
【0013】
図2は、本開示の第1実施形態に係るセンサユニット20の組み立て構成図である。
図2に示すように、センサユニット20は、レーダユニット21と、レーダユニット21を支持するブラケット22と、レーダユニット21の測定範囲を制限するホーン23と、ホーン23をブラケット22に取り付けるための取り付け部材24を備える。
【0014】
ブラケット22は、レーダ波を送受信する側(前面側)からレーダユニット21の少なくとも一部を収容し、支持する構成となっている。図示した例では、ブラケット22は、角筒状の収容部22Aと、突き当て板部22Bと、車両固定部22Cを有している。車両固定部22Cは、収容部22Aの左上端部から左方に突き出た左固定片および収容部の右上端部から右方に突き出た右固定片を有している。左固定片および右固定片のそれぞれの下方から車両100の車体に取り付けねじ22Dでねじ止めすることにより、ブラケット22は車両100に固定され得る。
【0015】
レーダユニット21は、角筒状の収容部22Aの内部空間に収容されている。収容部22Aの内部空間の背面の少なくとも一部は、突き当て板部22Bにより覆われている。収容部22Aに収容されたレーダユニット21は、取り付け部材24によってブラケット22に取り付けられている。取り付け部材24はブラケット22に、例えば取り付けねじ24Aによりねじ止めされている。レーダユニット21は、収容部22Aの内部空間に収容された状態で、突き当て板部22Bに突き当てられている。レーダユニット21の奥行寸法L1は、収容部22Aの奥行寸法L2よりもわずかに大きく設定されている。これにより、取り付け部材24が突き当て板部22Bとともにレーダユニット21を挟み込み、収容部22Aの内部空間に収容されたレーダユニット21を強固に支持している。なお、取り付け部材24には、レーダユニット21の受信面21Aに対応する位置に、貫通する貫通孔が設けられている。
【0016】
ホーン23は、レーダユニット21側に位置する基部23Aと、基部23Aと反対側に位置する頂部23Bを有する。また、ホーン23は、基部23Aと頂部23Bにそれぞれ矩形状の開口を有する中空の略角錐形状である。基部23Aの開口面積は、頂部23Bの開口面積よりも小さい。つまり、ホーン23の内周面は、レーダ波の送信方向に沿って拡径している。また、基部23Aの開口と頂部23Bの開口は、レーダユニット21が車両100に搭載された状態における左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きい、偏平な矩形状である。
【0017】
ホーン23は、基部23Aを介して取り付け部材24に固定されている。ホーン23は、一定の強度を有する樹脂等から形成される。
図3は、ホーン23とレーダユニット21を側方から見たときの、レーダユニット21の視野(FOV:Field Of View)とホーン23との位置関係を示す模式図である。
図3に示すように、ホーン23がレーダユニット21の前方に位置し、ホーン23の頂部23Bの開口面が、レーダユニット21のレーダ測定範囲であるFOV内に位置するように構成されている。
【0018】
より具体的に説明する。
図3に示したように、レーダユニット21の反射波の受信面21Aの法線方向を軸線Axで示したとき、ホーン23の内周面の軸線Axに対してなす角度をθ1、レーダユニット21の視野角をθ2×2と定義する。このとき、ホーン23は、角度θ1がレーダユニット21の視野角の半分の角度θ2よりも小さく設定されている。
また、ホーン23の基部23Aは、レーダユニット21のFOVの外側で取り付け部材24に固定されている。このような構成により、ホーン23の内周面は、レーダユニット21から前方に離れた位置でFOVを横切っている。
【0019】
これにより、簡易な構成でホーン23をセンサユニット20に取り付けることができる。また、ホーン23によってFOVを横切ることで、FOVの一部を遮断し、レーダの測定範囲を制限する。これにより、車両100の構造材、フロントバンパー30、ランプユニット10、あるいは配線40等の他の部材の反射波がFOVに入り込むことを防止し、レーダユニット21の誤検知を抑制できる。さらに、ホーン23は一定の強度を有する樹脂等から形成されるため、他の部材がレーダユニット21のFOVに入り込むことを物理的に防止し、さらに効果的にレーダユニット21の誤検知を抑制できる。
【0020】
また、ホーン23の外周面または内周面の少なくとも一部に電波吸収体25が貼付されていてもよい。
図2、3に示す例示では、ホーン23の外周面全体に電波吸収体25が貼付されている。これにより、ホーン23によるレーダ波の不要な反射を防止し、レーダユニット21の誤検知を抑制できる。
【0021】
図4は、本開示の第一実施形態に係るセンサユニット20の取り付け構造の上視断面図である。
図4の(A)は、レーダユニット21のレーダ波の送信方向を調整する前の状態を示し、
図4の(B)は、レーダユニット21のレーダ波の送信方向を調整した後の状態を示す。
ブラケット22は、例えば車両100等の移動体に取り付け可能な構成である。具体的には、ブラケット22は、レーダユニット21を車両100などの移動体に固定可能な固定部26と、移動体を基準としてレーダユニット21のレーダ波の送信方向を調節可能な送信方向調整機構27と、をさらに備える。固定部26は、例えば車両100のフレームや車両部品に取り付けられる。送信方向調整機構27は、例えば、支持軸28と、アジャスタスクリュー29から構成される。支持軸28の先端は、ボールジョイント28Aを介してブラケット22と接続されている。アジャスタスクリュー29はそれぞれ、支持部29Aと、ブラケット22に固定されたナット部29Bを有する。アジャスタスクリュー29の先端には、ドライバー等の治具によって回転可能なねじ溝が設けられている。アジャスタスクリュー29の後端は、固定部26を貫通して固定部26よりも後方に延びている。
【0022】
ドライバー等の治具によって、アジャスタスクリュー29を回転させると、アジャスタスクリュー29上をナット部29Bが移動する。すると、支持軸28の先端のボールジョイント28A周りにブラケット22が回動する。これにより、レーダユニット21を傾斜させてレーダ波の送信方向を調節することができる。
【0023】
図4の例示では、水平方向にブラケット22が回動する構成を示したが、送信方向調整機構27は、
図4に示した支持軸28とアジャスタスクリュー29に加えて、支持軸28の上下方向に位置する他のアジャスタスクリュー29(不図示)からも構成される。他のアジャスタスクリュー29を回転させると、上下方向にブラケット22が回動する。
【0024】
このような構成により、送信方向調整機構27は、レーダユニット21のレーダ波の送信方向を上下左右方向に調節できる。これにより、簡易な構成で、ブラケット22を移動体に取り付けて、レーダ波の送信方向を調節することができる。
【0025】
図5は、本開示の第2実施形態に係るセンサユニット20の組み立て構成図である。
図5に示すように、ブラケット22は、レーダを送受信する側と反対側(背面側)からレーダユニット21の少なくとも一部を収容し、支持する構成となっている。また、ホーン23の基部23Aが接着剤等によってブラケット22に固定されている。図示した例では、ブラケット22は、角筒状の収容部22Aと、車両固定部22Cを有している。車両固定部22Cは、収容部22Aの左上端部から左方に突き出た左固定片および収容部の右上端部から右方に突き出た右固定片を有している。左固定片および右固定片のそれぞれの下方から車両100の車体に取り付けねじ22Dでねじ止めすることにより、ブラケット22は車両100に固定され得る。
ブラケット22は、レーダ波を送受信する側(前面側)からレーダユニット21の少なくとも一部を収容し、支持する構成となっている。
【0026】
レーダユニット21は、角筒状の収容部22Aの内部空間に収容されている。収容部22Aに収容されたレーダユニット21は、取り付け部材24によってブラケット22に取り付けられている。取り付け部材24はブラケット22に、例えば取り付けねじ24Aによりねじ止めされている。レーダユニット21は、収容部22Aの内部空間に収容された状態で、収容部22Aの前面に突き当てられている。レーダユニット21の奥行寸法L1は、収容部22Aの奥行寸法L2よりもわずかに大きく設定されている。これにより、取り付け部材24が収容部22Aの前面とともにレーダユニット21を挟み込み、収容部22Aの内部空間に収容されたレーダユニット21を強固に支持している。なお、収容部22Aの前面には、レーダユニット21の受信面21Aに対応する位置に、貫通する貫通孔が設けられている。
【0027】
ホーン23は、レーダユニット21側に位置する基部23Aと、基部23Aと反対側に位置する頂部23Bを有する。また、ホーン23は、基部23Aと頂部23Bにそれぞれ矩形状の開口を有する中空の略角錐形状である。基部23Aの開口面積は、頂部23Bの開口面積よりも小さい。つまり、ホーン23の内周面は、レーダ波の送信方向に沿って拡径している。また、基部23Aの開口と頂部23Bの開口は、レーダユニット21が車両100に搭載された状態における左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも大きい、偏平な矩形状である。
【0028】
これにより、
図1に示す第1実施形態と同様に、簡易な構成でホーン23をセンサユニット20に取り付けることができる。また、ホーン23によってレーダユニット21の測定範囲を制限することで、車両100の構造材、フロントバンパー30、ランプユニット10、あるいは配線40等の他の部材からの反射波がレーダユニット21のFOVに入り込むことを防止し、レーダユニット21の誤検知を抑制できる。さらに、ホーン23は一定の強度を有する樹脂等から形成されるため、他の部材がレーダユニット21のFOVに入り込むことを物理的に防止し、レーダユニット21の誤検知を抑制できる。
【0029】
また、
図1に示す第1実施形態と同様に、ホーン23の外周面または内周面の少なくとも一部に電波吸収体25が貼付されていてもよい。
図5に示す例示では、ホーン23の外周面全体に電波吸収体25が貼付されている。これにより、ホーン23によるレーダ波の不要な反射を防止し、レーダユニット21の誤検知を抑制できる。また、本実施形態においても第1実施形態と同様に、送信方向調整機構27を有していてもよい。
【0030】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0031】
本開示のセンサユニット20はランプユニット10の周辺に配置されているが、これに限られない。例えば、センサユニット20はフロントバンパー30の内側に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 ランプユニット
20 センサユニット
21 レーダユニット
22 ブラケット
22A 収容部
23 ホーン
23A 基部
23B 頂部
24 取り付け部材
25 電波吸収体
26 固定部
27 送信方向調整機構
28 支持軸
28A ボールジョイント
29 アジャスタスクリュー
29A 支持部
29B ナット部
30 フロントバンパー
100 車両