(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064677
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】モールド真空バルブ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
H01H33/662 R
H01H33/662 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173439
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小宮 玄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】竪山 智博
(72)【発明者】
【氏名】濱田 滉太
【テーマコード(参考)】
5G026
【Fターム(参考)】
5G026EA03
5G026EA04
5G026RA03
5G026RB02
(57)【要約】
【課題】アークシールドと絶縁碍管と絶縁樹脂層とが互いに接触する三重点における内部応力の発生を緩和することが可能なモールド真空バルブを提供する。
【解決手段】一対の電極E1,E2を離接可能に収容し、かつ、電極の離接方向において両端が開口した筒状の絶縁容器1と、絶縁容器の外側を覆うように成型された絶縁樹脂層Irと、絶縁容器に設けられ、一対の電極を囲むように離接方向に沿って延在した筒状のアークシールド5とを有し、絶縁容器は、離接方向において、アークシールドの両端に接続された筒状の絶縁碍管1a,1bと、絶縁樹脂層とアークシールドと絶縁碍管とが互いに近接する境界部R1,R2に発生する応力を緩和する応力緩和手段13とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を離接可能に収容し、かつ、前記電極の離接方向において両端が開口した筒状の絶縁容器と、
前記絶縁容器の外側を覆うように成型された絶縁樹脂層と、
前記絶縁容器に設けられ、一対の前記電極を囲むように前記離接方向に沿って延在した筒状のアークシールドと、を有し、
前記絶縁容器は、
前記離接方向において、前記アークシールドの両端に接続された筒状の絶縁碍管と、
前記絶縁樹脂層と前記アークシールドと前記絶縁碍管とが互いに近接する境界部に発生する応力を緩和する応力緩和手段と、を備えているモールド真空バルブ。
【請求項2】
前記応力緩和手段は、前記境界部において、前記絶縁樹脂層と前記アークシールドと前記絶縁碍管とが同時に接触しないように、前記絶縁樹脂層と前記アークシールドと前記絶縁碍管との間に介在させて配置されている請求項1に記載のモールド真空バルブ。
【請求項3】
前記応力緩和手段は、前記絶縁樹脂層と前記アークシールドと前記絶縁碍管とから成る3つの構成部材のうち、少なくとも1つの前記構成部材が他の前記構成部材に接触しないように設定されている請求項2に記載のモールド真空バルブ。
【請求項4】
前記応力緩和手段は、前記アークシールドの前記両端の相互間に亘って設けられ、前記アークシールドの外周面を全体的に覆うように、前記境界部に隣接させて配置されている請求項3に記載のモールド真空バルブ。
【請求項5】
前記応力緩和手段は、前記アークシールドの前記両端にそれぞれ設けられ、前記アークシールドの外周面を部分的に覆うように、前記境界部に隣接させて配置されている請求項3に記載のモールド真空バルブ。
【請求項6】
前記応力緩和手段は、前記アークシールドの前記両端にそれぞれ設けられ、前記アークシールドの外周面を覆うこと無く、前記境界部に隣接させて配置されている請求項3に記載のモールド真空バルブ。
【請求項7】
前記応力緩和手段は、前記アークシールドの前記両端にそれぞれ設けられ、前記絶縁樹脂層と前記アークシールドと前記絶縁碍管とを同時に前記境界部から離間させるように、前記境界部に重畳させて配置されている請求項3に記載のモールド真空バルブ。
【請求項8】
前記絶縁碍管が温度上昇により膨張する割合をE1とし、
前記応力緩和手段が温度上昇により膨張する割合をE2とし、
前記アークシールドが温度上昇により膨張する割合をE3とすると、
E1<E2<E3
なる関係を満足する請求項1に記載のモールド真空バルブ。
【請求項9】
前記絶縁樹脂層が温度上昇により膨張する割合をE4とすると、
E1<E2<E3<E4
なる関係を満足する請求項8に記載のモールド真空バルブ。
【請求項10】
前記応力緩和手段の厚さをW1とし、
前記アークシールドの厚さをW2とし、前記厚さW2を100%に設定すると、
W2×0.1%≦W1≦W2×2%
なる関係を満足する請求項1に記載のモールド真空バルブ。
【請求項11】
前記応力緩和手段の厚さをW1とし、
前記アークシールドの厚さをW2とし、前記厚さW2を100%に設定すると、
W2×0.3%≦W1≦W2×1%
なる関係を満足する請求項1に記載のモールド真空バルブ。
【請求項12】
前記応力緩和手段の表面に前記絶縁樹脂層を接触させる構成において、
前記応力緩和手段には、化学的カップリング処理によって前記表面に形成され、かつ、前記絶縁樹脂層との反応性の高い官能基を有する化学的カップリング層が含まれ、
前記化学的カップリング層は、前記応力緩和手段の前記表面と前記絶縁樹脂層との間の接着力を向上させる請求項1に記載のモールド真空バルブ。
【請求項13】
前記応力緩和手段は、ニッケル及びスズのいずれか一方を含有した金属材料、或いは、ニッケル及びスズの双方を含有した金属材料で構成されている請求項1に記載のモールド真空バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、モールド真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルや大型施設に設けられる受配電用の開閉装置として、例えば、遮断器や断路器などの開閉器を具備したスイッチギヤが知られている。スイッチギヤには、開閉器の構成要素として真空バルブが適用されている。真空バルブの内部は、絶縁容器によって一定の絶縁状態に維持され、この絶縁容器の内部に一対の電極が離接可能に収容されている。この場合、一対の電極を離接操作することで、事故電流の遮断や負荷電流の開閉が行われ、スイッチギヤから電力が安定して供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した真空バルブとしては、絶縁容器の外側を覆うように絶縁樹脂層で成型されたもの(例えば、モールド真空バルブ)がある。モールド真空バルブにおいて、絶縁容器は、一対の電極を囲むように配置されたアークシールドの両端に絶縁碍管を接続させた複合円筒となっている。この場合、アークシールドの両端には、当該アークシールドと絶縁碍管と絶縁樹脂層とが互いに接触する三重点(トリプルジャンクションとも言う)が構成される。
【0005】
三重点において、アークシールドと絶縁碍管と絶縁樹脂層とは、互いに異なる線膨張係数(熱膨張係数とも言う)を有し、かつ、これら三者の境界が互いに隙間無く接触した状態になっている。ここで、例えば、温度上昇によって上記した三者の長さや体積が膨張した場合を想定すると、互いに異なる線膨張係数(熱膨張係数)に応じて、これら三者の長さや体積が膨張する割合も互いに異なるものとなる。
【0006】
このため、互いに異なる膨張割合の程度によっては、三重点に内部応力が発生する。そして、このとき発生した内部応力の大きさの程度によっては、例えば、アークシールドと絶縁樹脂層との剥離や、絶縁樹脂層のクラック(亀裂、ひび割れ)などの欠陥が生じる虞がある。そうすると、例えば、真空バルブの運転中(特に、電圧印加時)に、部分放電が発生し、その結果、絶縁樹脂層が破壊されて地絡事故に繋がることは否めない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、アークシールドと絶縁碍管と絶縁樹脂層とが互いに接触する三重点における内部応力の発生を緩和することが可能なモールド真空バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、一対の電極を離接可能に収容し、かつ、電極の離接方向において両端が開口した筒状の絶縁容器と、絶縁容器の外側を覆うように成型された絶縁樹脂層と、絶縁容器に設けられ、一対の電極を囲むように離接方向に沿って延在した筒状のアークシールドとを有し、絶縁容器は、離接方向において、アークシールドの両端に接続された筒状の絶縁碍管と、絶縁樹脂層とアークシールドと絶縁碍管とが互いに近接する境界部に発生する応力を緩和する応力緩和手段とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るモールド真空バルブの内部構造を示す断面図。
【
図2】
図1に示された応力緩和手段の配置構成を示す断面図。
【
図3】
図1に示された応力緩和手段の他の配置構成を示す断面図。
【
図4】第2実施形態において応力緩和手段の表面に形成されたシランカップリング層の配置構成を示す部分断面図。
【
図5】
図4のシランカップリング層を形成するプロセスを示すフローチャート。
【
図6】シランカップリング層の有無における応力緩和手段と絶縁樹脂層との間の接着力の比較結果を示す図。
【
図7】第1変形例に係る応力緩和手段の配置構成を示す断面図。
【
図8】第2変形例に係る応力緩和手段の配置構成を示す断面図。
【
図9】第3変形例に係る応力緩和手段の配置構成を示す断面図。
【
図10】第4変形例に係る応力緩和手段の配置構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「第1実施形態」
図1は、第1実施形態に係るモールド真空バルブP(以下、真空バルブPと称する)の基本構造を示す図である。真空バルブPは、固定電極E1と、可動電極E2と、絶縁容器1(真空容器とも言う)と、固定側封着金具2と、可動側封着金具3と、気密維持機構4と、アークシールド5と、固定側外部シールド6と、可動側外部シールド7と、絶縁樹脂層Irとを具備している。
図1の例において、固定電極E1、可動電極E2、気密維持機構4は、絶縁容器1に収容されている。
【0011】
図1に示すように、絶縁容器1は、真空バルブPの中心を規定する仮想軸線Pxを中心とした中空円筒形状を成している。絶縁容器1は、仮想軸線Px方向(換言すると、後述する電極E1,E2の離接方向とも言う)で見て、その両端が開口されている。双方の開口(固定側開口K1、可動側開口K2)は、固定側封着金具2、及び、可動側封着金具3によって覆われている。即ち、固定側開口K1は、固定側封着部材2によって閉塞され、可動側開口K2は、可動側封着金具3によって閉塞されている。
【0012】
絶縁容器1は、仮想軸線Px方向(電極E1,E2の離接方向)において、アークシールド5の両端(一端T1、他端T2)に絶縁碍管(固定側絶縁碍管1a、可動側絶縁碍管1b)を接続させて構成されている。即ち、アークシールド5の一端T1に固定側絶縁碍管1aが接続され、アークシールド5の他端T2に可動側絶縁碍管1bが接続されている。
【0013】
絶縁碍管1a,1bは、互いに同一の厚さに構成されている。アークシールド5は、絶縁碍管1a,1bよりも薄肉に構成されている。これら絶縁碍管1a,1b及びアークシールド5は、仮想軸線Pxを中心とした中空円筒形状を成し、それぞれの径寸法(半径、直径)は、互いに略同一に設定されている。これにより、双方の絶縁碍管1a,1bと、これら絶縁碍管1a,1bの相互間に介在させたアークシールド5とは、仮想軸線Pxに沿って延在しつつ互いに真っ直ぐに並んで配置されている。
【0014】
この状態において、アークシールド5は、一対の電極E1,E2を囲むように、具体的には、その内部(内側)に、後述する固定電極E1の固定接点8、並びに、可動電極E2の可動接点10を収容するように配置されている。
【0015】
ここで、絶縁碍管1a,1b及びアークシールド5の内径に着目すると、これら絶縁碍管1a,1b及びアークシールド5の内径は互いに同一に設定されている。一方、絶縁碍管1a,1b及びアークシールド5の外径に着目すると、絶縁碍管1a,1bの外径は互いに同一に設定され、かつ、アークシールド5の外径は絶縁碍管1a,1bよりも小さく設定されている。
【0016】
絶縁碍管1a,1b及びアークシールド5の外径構成について詳述すると、中空円筒形状の絶縁碍管1a,1bの外周面Sa,Sbは、仮想軸線Pxを中心とした円筒面を成している。これら円筒面(即ち、外周面Sa,Sb)相互の直径(即ち、上記した絶縁碍管1a,1bの外径)は、互いに同一に設定されている。
【0017】
一方、中空円筒形状のアークシールド5の外周面5sは、仮想軸線Pxを中心とした円筒面を成している。この円筒面(即ち、外周面5s)の直径(即ち、上記したアークシールド5の外径)は、絶縁碍管1a,1bの外周面Sa,Sbの直径よりも小さく設定されている。これにより、絶縁容器1の外側の形状は、アークシールド5が絶縁碍管1a,1bよりも径方向内側に陥没した(凹んだ、窪んだ)輪郭を有している。
【0018】
この場合、固定側封着金具2及び可動側封着金具3は、例えば、ステンレス鋼を主成分とする金属材料で構成されている。絶縁碍管1a,1bは、例えば、アルミナセラミックなどの絶縁材料で構成されている。アークシールド5は、例えば、銅やステンレス鋼などを主成分とする金属材料で構成されている。
【0019】
また、固定電極E1及び可動電極E2は、仮想軸線Pxを中心に同心状に構成されていると共に、仮想軸線Pxに沿って整列して延在されている。固定電極E1は、固定接点8と、固定通電軸9とを備えている。可動電極E2は、可動接点10と、可動通電軸11とを備えている。固定通電軸9及び可動通電軸11は、互いに同一の直径を有する円柱形状を成し、導電率の高い材料(例えば、銅(Cu)、銅合金、銀(Ag))で構成されている。
【0020】
固定接点8及び可動接点10は、互いに同一の大きさの輪郭形状を有し、対向して配置されている。固定接点8は、固定通電軸9の一端に接続され、固定通電軸9の他端は、固定側封着金具2を介して、仮想軸線Pxに沿って移動不能に真空バルブPに固定されている。可動接点10は、可動通電軸11の一端に接続され、可動通電軸11の他端は、可動側封着金具3を介して、図示しない操作機構に連結されている。
【0021】
このような配置構成において、
図1に示すように、操作機構によって可動通電軸11を仮想軸線Pxに沿って移動させる。これにより、可動接点10を固定接点8に対して離接させることができる。この結果、真空バルブPを開閉操作(即ち、一対の電極E1,E2を離接操作)することができる。
【0022】
また、可動通電軸11と可動側封着金具3との間には、気密維持機構4が配置されている。気密維持機構4は、伸縮性を有するベローズで構成され、ベローズ(気密維持機構)4は、例えば、ステンレスなどの薄い金属で構成されている。ベローズ4は、仮想軸線Px方向に伸縮可能な蛇腹状を成し、可動通電軸11の外側を隙間無く覆っている。
【0023】
ベローズ4は、その一端が可動側封着金具3に隙間無く接合され、その他端が可動通電軸11に隙間無く接合されている。これにより、絶縁容器1の内部は、常に気密状態(即ち、真空状態)に維持される。この結果、真空バルブPの開閉操作に際し、可動通電軸11を仮想軸線Pxに沿って移動させている間も、絶縁容器1の内部に大気(空気)が浸入することはない。
【0024】
このような真空バルブPは、絶縁樹脂層Irによって、円筒形状の輪郭に成型されている。絶縁樹脂層Irは、絶縁容器1の外側(即ち、アークシールド5の外周面5s、絶縁碍管1a,1bの外周面Sa,Sb)を隙間無く覆うように成型されている。絶縁樹脂層Irは、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などで構成されている。
【0025】
絶縁樹脂層Irにより円筒形状の輪郭に成型された真空バルブPは、絶縁樹脂層Irの外側を覆うように設けられた導電性の接地層12を具備している。接地層12は、円筒形状の絶縁樹脂層Irの外周に、例えば、導電性塗料を塗布して成形され、アースが施されている。
【0026】
更に、真空バルブPには、通電時ないし開極時において、上記した封着金具2,3への電界集中を緩和する外部シールド(固定側外部シールド6、可動側外部シールド7)が設けられている。外部シールド6,7は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)などの金属(導電)材料で成形されている。
【0027】
固定側外部シールド6は、固定側封着金具2を覆いつつ絶縁容器1(即ち、固定側絶縁碍管1a)の外側を一部囲むように仮想軸線Px方向に延出している。可動側外部シールド7は、可動側封着金具3を覆いつつ絶縁容器1(即ち、可動側絶縁碍管1b)の外側を一部囲むように仮想軸線Px方向に延出している。
【0028】
ところで、上記したような真空バルブP(絶縁容器1)によれば、通常、アークシールド5の両端T1,T2において、当該アークシールド5と絶縁碍管1a,1bと絶縁樹脂層Irとが互いに隙間無く接触した三重点(トリプルジャンクション)が構成される。
【0029】
図1の例において、絶縁碍管1a,1b及びアークシールド5は、中空円筒形状を成している。このため、後述する応力緩和手段13を備える以前の状態において、三重点は、仮想軸線Pxを中心として、周方向に沿って連続した円形の輪郭形状(例えば、リング形状)を成している。
【0030】
このような構成によれば、例えば、温度上昇によって三重点に大きな内部応力が発生した場合、アークシールド5と絶縁樹脂層Irとの剥離や、絶縁樹脂層Irのクラック(亀裂、ひび割れ)などの欠陥が生じる虞がある。
【0031】
そこで、このような不具合の発生を未然に防止するために、本実施形態の真空バルブP(絶縁容器1)には、応力緩和手段13が備えられ、これにより、三重点(即ち、後述する境界部R1,R2)に発生する内部応力を緩和することが可能に構成されている。
【0032】
このような効果を実現するための構成要件としては、応力緩和手段13の配置、線膨張係数(熱膨張係数)、並びに、その材料が想定される。なお、以下では、まず、応力緩和手段13の配置について
図1を参照して詳説し、線膨張係数(熱膨張係数)、並びに、その材料については、後述する
図2を参照して詳説する。
【0033】
図1に示すように、応力緩和手段13は、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとの間に介在させて配置されている。ただし、この配置によれば、アークシールド5と絶縁碍管1a,1bと絶縁樹脂層Irとが互いに隙間無く接触した三重点は構成されない。
【0034】
このため、当該三重点に代えて、本実施形態の真空バルブP(絶縁容器1)では、アークシールド5の両端T1,T2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが互いに近接する境界部R1,R2が規定されている。
【0035】
これら2つの境界部(固定側境界部R1、可動側境界部R2)は、アークシールド5の両端T1,T2に構成され、それぞれ、仮想軸線Pxを中心として周方向に沿って連続した円形の輪郭形状(例えば、リング形状)を成している。なお、境界部R1,R2は、応力緩和手段13を備える以前の状態で構成される上記した三重点に一致した輪郭形状及び位置関係を有している。
【0036】
図2は、境界部R1,R2における応力緩和手段13の配置構成図である。応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが同時に接触しないように構成されている。換言すると、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとから成る3つの構成部材のうち、少なくとも1つの構成部材が他の構成部材に接触しないように設定されている。
【0037】
図2では一例として、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irがアークシールド5及び絶縁碍管1a,1bに接触しないように設定されている。換言すると、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irをアークシールド5及び絶縁碍管1a,1bから離間させるように設定されている。
【0038】
図2に示すように、応力緩和手段13は、アークシールド5の両端T1,T2の相互間に亘って連続的に設けられている。これら両端T1,T2の相互間には、上記したアークシールド5の外周面5sが構成されている。応力緩和手段13は、この外周面5sを全体的に隙間無く覆うように、当該外周面5sの輪郭に一致した円筒形状を成している。これにより、応力緩和手段13は、アークシールド5の両端T1,T2に規定された境界部R1,R2に隣接させて配置されている。
【0039】
ここで、境界部R1,R2に近接する3つの構成部材(即ち、絶縁碍管1a,1b、アークシールド5、絶縁樹脂層Ir)の材質に着目すると、互いに異なる線膨張係数(熱膨張係数とも言う)を有している。線膨張係数(熱膨張係数)は、温度上昇により物体の長さや体積が膨張する割合として規定され、単位は、10-6/℃(以下、ppmと称する)として設定されている。
【0040】
例えば、アルミナセラミックで構成された絶縁碍管1a,1bを想定すると、その線膨張係数(熱膨張係数)は7ppmに設定されている。
例えば、ステンレス鋼を主成分とする金属材料で構成されたアークシールド5を想定すると、その線膨張係数(熱膨張係数)は17ppmに設定されている。
例えば、エポキシ樹脂で構成された絶縁樹脂層Irを想定すると、その線膨張係数(熱膨張係数)は18~23ppmに設定されている。
【0041】
この場合、例えば、温度上昇によって、これらの構成部材(絶縁碍管1a,1b、アークシールド5、絶縁樹脂層Ir)の長さや体積が膨張したとき、上記した線膨張係数に応じて、各構成部材の膨張割合(線膨張率とも言う)は、互いに大きく異なったものとなる。このとき、構成部材相互の線膨張差も大きくなり、その結果、境界部R1,R2には、大きな内部応力が発生することとなる。
【0042】
そこで、このような不具合の発生を未然に防止するために、応力緩和手段13は、上記した構成部材相互の線膨張差を小さくすることで、境界部R1,R2に発生する内部応力を緩和(低減)することが可能に構成されている。
【0043】
このような効果を実現するための構成要件としては、上記した応力緩和手段13の配置に加えて、後述する応力緩和手段13の線膨張係数(熱膨張係数)、並びに、その材料が想定される。
【0044】
まず、応力緩和手段13の線膨張係数(熱膨張係数)としては、アークシールド5の線膨張係数(熱膨張係数)よりも低く、かつ、絶縁碍管1a,1bの線膨張係数(熱膨張係数)よりも高く設定することが好ましい。
【0045】
ここで、線膨張係数(熱膨張係数)を温度上昇により物体の長さや体積が膨張する割合として規定すると、下記の関係を満足させるように、応力緩和手段13の線膨張係数(熱膨張係数)を設定すればよい。
【0046】
即ち、絶縁碍管1a,1bが温度上昇により膨張する割合をE1とし、応力緩和手段13が温度上昇により膨張する割合をE2とし、アークシールド5が温度上昇により膨張する割合をE3とすると、E1<E2<E3なる関係を満足する。
【0047】
この関係を満足させる一例として、アルミナセラミックで構成された絶縁碍管1a,1bを想定すると、その線膨張係数(熱膨張係数)E1は7ppmである。ステンレス鋼を主成分とする金属材料で構成されたアークシールド5を想定すると、その線膨張係数(熱膨張係数)E3は17ppmである。従って、応力緩和手段13の線膨張係数(熱膨張係数)E2は、7ppm(=E1)<E2<17ppm(=E3)の範囲内に設定すればよい。
【0048】
更に、この関係に、絶縁樹脂層Irの線膨張係数(熱膨張係数)を考慮した場合、例えば、エポキシ樹脂で構成された絶縁樹脂層Irを想定すると、その線膨張係数(熱膨張係数)は18~23ppmである。従って、絶縁樹脂層Irが温度上昇により膨張する割合をE4とすると、E1<E2<E3<E4なる関係を満足させればよい。
【0049】
次に、上記した線膨張係数(熱膨張係数)E2を有する応力緩和手段13の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、銀(Ag)、白金(Pt)、スズ(Sn)などの金属材料のうち、少なくとも1種類の金属材料を含む合金であることが好ましい。例えば、ニッケル及びスズのいずれか一方を含有した金属材料、或いは、ニッケル及びスズの双方を含有した金属材料を含む合金とする。
【0050】
このような金属製の応力緩和手段13を、アークシールド5の両端T1,T2の相互間(即ち、外周面5s)の全体的に隙間無く形成する方法としては、例えば、メッキ処理によって、上記した合金をアークシールド5の外周面5sに付着させる。そして、アークシールド5の外周面5sに、金属皮膜から成る金属メッキ層を積層させる。これにより、上記した合金を含有した金属メッキ層(例えば、ニッケルメッキ層、スズメッキ層)を、アークシールド5の外周面5sに成膜させる。
【0051】
このとき、アークシールド5の外周面5sに成膜させる金属メッキ層の膜厚(即ち、厚さ)は、アークシールド5の厚さに対して金属メッキ層の厚さを0.1~2%、好ましくは0.3~1%に設定すればよい。
【0052】
この場合、応力緩和手段13の厚さをW1とし、アークシールド5の厚さをW2とし、厚さW2を100%に設定すると、W2×0.1%≦W1≦W2×2%なる関係を満足させればよい。より好ましくは、W2×0.3%≦W1≦W2×1%なる関係を満足させればよい。
【0053】
ここで、アークシールド5の外周面5sに成膜させる応力緩和手段13の一例として、ニッケルメッキ層やスズメッキ層を想定する。ニッケルメッキ層の線膨張係数(熱膨張係数)は12~17ppm(=E2)であり、また、スズメッキ層の線膨張係数(熱膨張係数)は11.6ppm(=E2)であり、いずれも7ppm(=E1)<E2<17ppm(=E3)なる関係を満足する。
【0054】
なお、上記した実施形態では、絶縁容器1の製造方法について言及しなかったが、当該製造方法の一例として、上記した応力緩和手段13をアークシールド5の外周面5sに成膜させた後、アークシールド5の両端T1,T2に絶縁碍管1a,1bを接続(例えば、銀ロウ付け)させればよい。
【0055】
図3は、境界部R1,R2における応力緩和手段13の配置構成図である。上記した実施形態では、アークシールド5の外周面5sに積層された応力緩和手段13の円筒形状の表面13sが絶縁碍管1a,1bの外周面Sa,Sbよりも径方向内側に陥没(凹んだ、窪んだ)した絶縁容器1を想定したが、これに代えて、
図3に示すように、応力緩和手段13の円筒形状の表面13sと、絶縁碍管1a,1bの外周面Sa,Sbとが互いに同一の直径(即ち、面一)となるように構成してもよい。このような構成を有する絶縁容器1も本発明の技術範囲に含まれ、上記した実施形態と同一の効果を得ることができる。
【0056】
以上、本実施形態によれば、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが互いに近接する境界部R1,R2において、線膨張係数(熱膨張係数)がアークシールド5よりも低くかつ絶縁碍管1a,1bよりも高く設定された応力緩和手段13を、これら構成部材(絶縁碍管1a,1b、アークシールド5、絶縁樹脂層Ir)相互間に介在させて配置させる。これにより、構成部材相互の線膨張差を小さくすることが可能となり、その結果、境界部R1,R2に発生する内部応力を緩和させることができる。かくして、絶縁樹脂層Irの剥離やクラックなどの欠陥の発生が防止されるため、例えば、真空バルブPの運転中(特に、電圧印加時)における部分放電による地絡事故を回避することができる。
【0057】
本実施形態によれば、応力緩和手段13の一例として、ニッケルメッキ層をアークシールド5の外周面5sに成膜(例えば、5μm以上(好ましくは、10μm以上))させた真空バルブP(本発明品)と、応力緩和手段13(ニッケルメッキ層)を成膜させない真空バルブ(従来品)とを用意し、60kVの電圧を印加した時における部分放電の比較試験を行った。そうすると、従来品では、上記した三重点における部分放電の発生が確認されたことで、当該三重点に大きな内部応力が発生し、これにより、絶縁樹脂層の剥離やクラックなどの欠陥の発生が生じたものと考察される。これに対して、本発明品は、上記した境界部R1,R2における部分放電の発生が確認されなかったことで、当該境界部R1,R2に大きな内部応力が発生すること無く、これにより、絶縁樹脂層Irの剥離やクラックなどの欠陥の発生が防止されたものと考察される。
【0058】
「第2実施形態」
図4は、第2実施形態に係る真空バルブPの主要構造を示す図である。上記した第1実施形態では、応力緩和手段13の表面13sに絶縁樹脂層Irを直接接触させる構造について説明したが、本実施形態では、応力緩和手段13の表面13sと絶縁樹脂層Irとの間に、化学的カップリング層13pを介在させる構造を想定している。
【0059】
なお、これ以外の構造は、上記した第1実施形態と同一であるため、以下、本実施形態の主要構造である化学的カップリング層13pについて詳説し、その他の構造についての説明は省略する。
【0060】
図4に示すように、本実施形態の応力緩和手段13には、化学的カップリング層13pが含まれている。化学的カップリング層13pは、化学的カップリング処理によって、応力緩和手段13の表面13sに形成されている。化学的カップリング層13pは、絶縁樹脂層Irとの反応性の高い官能基を有している。これにより、化学的カップリング層13pは、応力緩和手段13の表面13sと絶縁樹脂層Irとの間の接着力を向上させる。
【0061】
図4の例では、アークシールド5の外周面5sに成膜させる応力緩和手段13としてニッケルメッキ層を想定する。化学的カップリング層13pとしてシランカップリング層を想定する。そして、絶縁樹脂層Irとして、エポキシ樹脂で構成されたものを想定する。
【0062】
この場合、ニッケルメッキ層13の表面13sに、既存のシランカップリング処理を施して、シランカップリング層13pを形成する。そうすると、ニッケルメッキのOH層にシラン化合物が結合する。これにより、エポキシ樹脂Irと反応性の高い官能基が、ニッケルメッキ層13の表面13sに塗布される。この結果、シランカップリング層13pを介して、応力緩和手段13の表面13sと絶縁樹脂層Irとの間の接着力を強めることができる。
【0063】
図5は、シランカップリング層13pの形成プロセスを示すチャート図である。
図5に示すように、先ず、アークシールド5の外周面5sに成膜させた応力緩和手段13の表面13sに対するシランカップリング処理を行う(F1)。このとき、応力緩和手段13の表面13sにシラン化合物が塗布される。次に、このシラン化合物に対する加熱処理を行う(F2)。これにより、応力緩和手段13の表面13sにシランカップリング層13pが形成される(F3)。そして、このシランカップリング層13pを含めて絶縁容器1の外側を隙間無く覆うように絶縁樹脂層Irを成型する(F4)。この結果、上記した真空バルブPが製造される。
【0064】
図6は、上記したシランカップリング処理の有無における応力緩和手段13と絶縁樹脂層Irとの間の接着強さの比較結果を示す図である。ここで、接着強さの比較試験では、
図4に示された積層構造を有する試験片を用意する。そして、例えば、アークシールド5側を固定した状態で、絶縁樹脂層Ir側に引張力を作用させる。
【0065】
引張力は、絶縁樹脂層Ir側をアークシールド5側から離間させる方向に作用させる。このとき、1秒間に5mmの引張速度(5mm/秒)の引張力を試験片が破断するまで作用させる。そうすると、
図6に示すように、シランカップリング処理有りは、シランカップリング処理無しに比べて約5倍程度の接着強さを有することが判明した。
【0066】
以上、本実施形態によれば、例えば、鉄道用や炉用の受配電設備における真空バルブPのように開閉頻度の多いものであっても、応力緩和手段13の表面13sと絶縁樹脂層Irとの間にシランカップリング層13pを介在させることで、応力緩和手段13の表面13sと絶縁樹脂層Irとの間の接着力を強めることができる。
【0067】
これにより、多頻度の開閉動作による機械的疲労が長期間に亘ってかかり続けるような使用環境下においても、絶縁樹脂層Irの剥離やクラックなどの欠陥の発生を確実に防止することができる。なお、その他の構成及び効果は、上記した第1実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0068】
「第1変形例」
図7は、第1変形例に係る応力緩和手段13の配置構成図である。上記した各実施形態では、アークシールド5の両端T1,T2の相互間に亘って連続的に設けられた応力緩和手段13を想定したが、これに代えて、本変形例の応力緩和手段13は、アークシールド5の両端T1,T2にそれぞれ断続的に設けられている。
図7の例において、応力緩和手段13は、アークシールド5の外周面5sを部分的に覆うように、境界部R1,R2に隣接させて配置されている。
【0069】
図7に示すように、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、アークシールド5の外周面5sに接触(当接)させて配置されている。これにより、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが同時に接触しないように構成されている。
【0070】
図7では一例として、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irがアークシールド5及び絶縁碍管1a,1bに接触しないように設定されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した各実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0071】
「第2変形例」
図8は、第2変形例に係る応力緩和手段13の配置構成図である。上記した各実施形態では、アークシールド5の両端T1,T2の相互間に亘って連続的に設けられた応力緩和手段13を想定したが、これに代えて、本変形例の応力緩和手段13は、アークシールド5の両端T1,T2にそれぞれ断続的に設けられている。
図8の例において、応力緩和手段13は、アークシールド5の外周面5sを部分的に覆うように、境界部R1,R2に隣接させて配置されている。
【0072】
図8に示すように、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、アークシールド5の外周面5sに埋没(没入)させて配置されている。これにより、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが同時に接触しないように構成されている。
【0073】
図8では一例として、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、アークシールド5が絶縁樹脂層Ir及び絶縁碍管1a,1bに接触しないように設定されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した各実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0074】
「第3変形例」
図9は、第3変形例に係る応力緩和手段13の配置構成図である。上記した各実施形態では、アークシールド5の両端T1,T2の相互間に亘って連続的に設けられた応力緩和手段13を想定したが、これに代えて、本変形例の応力緩和手段13は、アークシールド5の両端T1,T2にそれぞれ断続的に設けられている。
図9の例において、応力緩和手段13は、アークシールド5の外周面5sを覆うこと無く、境界部R1,R2に隣接させて配置されている。
【0075】
図9に示すように、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁碍管1a,1bに埋没(没入)させて配置されている。これにより、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが同時に接触しないように構成されている。
【0076】
図9では一例として、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁碍管1a,1bがアークシールド5及び絶縁樹脂層Irに接触しないように設定されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した各実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0077】
「第4変形例」
図10は、第4変形例に係る応力緩和手段13の配置構成図である。上記した各実施形態では、アークシールド5の両端T1,T2の相互間に亘って連続的に設けられた応力緩和手段13を想定したが、これに代えて、本変形例の応力緩和手段13は、アークシールド5の両端T1,T2にそれぞれ断続的に設けられている。
図10の例において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとを同時に境界部R1,R2から離間させるように、境界部R1,R2に重畳させて配置されている
図10に示すように、応力緩和手段13は、境界部R1,R2を中心に例えば断面矩形状に拡大された輪郭形状を有し、その外側領域の一部が絶縁樹脂層Ir並びにアークシールド5及び絶縁碍管1a,1bに入り込む(突出する)ように配置されている。これにより、応力緩和手段13は、境界部R1,R2において、絶縁樹脂層Irとアークシールド5と絶縁碍管1a,1bとが同時に接触しないように構成されている。なお、その他の構成及び効果は、上記した各実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0078】
以上、本発明の各実施形態及びいくつかの変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及び変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
P…モールド真空バルブ、E1…固定電極、E2…可動電極、1…絶縁容器、1a…固定側絶縁碍管、1b…可動側絶縁碍管、Sa,Sb…外周面、2…固定側封着金具、3…可動側封着金具、4…気密維持機構、5…アークシールド、5s…外周面、6…固定側外部シールド、7…可動側外部シールド、8…固定接点、9…固定通電軸、10…可動接点、11…可動通電軸、12…接地層、13…応力緩和手段、13s…表面、Ir…絶縁樹脂層、R1…固定側境界部、R2…可動側境界部。