(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064692
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】コンタクトピンおよび電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/067 20060101AFI20240507BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20240507BHJP
G01R 31/26 20200101ALI20240507BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
G01R1/067 A
G01R1/073 B
G01R31/26 J
H01R33/76 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173457
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】今 正樹
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 健一
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
5E024
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AG01
2G003AG03
2G003AH07
2G011AA15
2G011AB08
2G011AC21
2G011AE02
2G011AF02
5E024CA01
5E024CB01
(57)【要約】
【課題】検査対象物の電極端子の狭小化に対応し、且つコンタクトピンの強度の低下を抑制できるコンタクトピンおよび電気的接続装置を提供する。
【解決手段】コンタクトピンは、第1方向に向いた第1接触領域、第1接触領域に対向する基端領域および複数の側面を有する先端部と、先端部と連結する第1端部を有し、第1方向と交差する第2方向に延伸する本体部を備える。本体部は、第1端部から第2方向に離隔した領域に第2接触領域を有する。先端部の側面のうち、第2方向から見て先端部の外縁を形成する外縁側面が、第1接触領域に対して斜めに交差する直線状の斜向領域を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の電気特性の検査に使用されるコンタクトピンであって、
第1方向に向いた第1接触領域、前記第1接触領域に対向する基端領域、および前記第1接触領域と前記基端領域とを接続する複数の側面を有する先端部と、
前記先端部と連結する第1端部を有して前記第1方向と交差する第2方向に延伸し、前記第1端部から前記第2方向に離隔した領域に第2接触領域を有する本体部と
を備え、
前記複数の側面のうち、前記第2方向から見て前記先端部の外縁を形成する外縁側面が、前記第1接触領域に対して斜めに交差する直線状の斜向領域を含む、
コンタクトピン。
【請求項2】
前記先端部が、前記第1方向に垂直な断面が前記第1接触領域から前記基端領域に向かって次第に大きくなるテーパー形状の領域を含む、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項3】
前記斜向領域が、前記第1接触領域から前記基端領域まで直線的に連続している、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項4】
前記外縁側面が、前記第1接触領域となす角が相互に異なる複数の前記斜向領域を含む、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項5】
前記外縁側面が、
前記第1接触領域と接続する前記斜向領域と、
前記斜向領域と前記基端領域とを接続する、前記第1接触領域に垂直な直線領域と
を含む、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項6】
前記外縁側面が、
前記基端領域と接続する前記斜向領域と、
前記斜向領域と前記第1接触領域とを接続する、前記第1接触領域に垂直な直線領域と
を含む、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項7】
2つの前記外縁側面の両方が前記斜向領域を含む、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項8】
2つの前記外縁側面のうち、一方の前記外縁側面が前記斜向領域を含み、他方の前記外縁側面が前記斜向領域を含まない、請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項9】
前記第2方向から見て前記第2接触領域に接続する前記本体部の側面が、前記第2接触領域に対して斜めに交差する直線状の領域を含み、
前記本体部が、前記第2接触領域に向かって断面が次第に狭くなるテーパー形状の領域を含む、
請求項1に記載のコンタクトピン。
【請求項10】
検査対象物の電極端子と検査装置に接続された電極パッドとを電気的に接続する電気的接続装置であって、
第1面および前記第1面に対向する第2面を有する筐体と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のコンタクトピンであって、前記第1面に前記第1接触領域が露出し、前記第2面に前記第2接触領域が露出するように前記本体部が前記筐体に支持され、前記電極端子と接触する前記第1接触領域の前記第1方向に沿った変位に対応して前記第2接触領域における前記電極パッドと接触する接触部分の範囲が変化するように、前記筐体の内部で姿勢が変化する前記コンタクトピンと、
前記コンタクトピンおよび前記筐体に当接して前記筐体の内部に配置され、前記筐体の内部での前記コンタクトピンの前記姿勢の変化に対応して弾性変形して、前記先端部の前記変位を打ち消す方向に前記コンタクトピンを付勢する弾性部と
を備える電気的接続装置。
【請求項11】
前記複数の側面のうち、前記コンタクトピンの前記第2方向を向いた側面が、
前記第1接触領域と鈍角をなして接続する傾斜部と、
前記傾斜部に連結して前記第2方向に延伸する平面部と、
前記平面部と前記筐体を接続する接続部と
を含み、
前記接続部が前記筐体に当接する、
請求項10に記載の電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスの電気特性の検査に使用するコンタクトピンおよび電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージに半導体集積回路などを実装したデバイスの電気特性の検査において、デバイスと検査装置との間を電気的に接続する電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置は、プリント基板(PCB)などの基板に配置された電極パッドおよびデバイスの電極端子とそれぞれに接触するコンタクトピンを含む。コンタクトピンを介して、デバイスの電極端子と、検査装置と接続された基板の電極パッドが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査対象物のデバイスの多ピン化およびサイズの縮小などにより、電極端子のサイズおよび間隔は狭くなる。電極端子の狭小化により、本来接触させる電極端子に隣接する電極端子にコンタクトピンが誤って接触する現象(以下、「誤接触」と称する。)が生じやすくなる。しかし、コンタクトピンの誤接触を防止するために電極端子と接触するコンタクトピンの接触部分を細くすると、コンタクトピンの機械的強度(以下、単に「強度」と称する。)が不足するおそれがある。即ち、デバイスの検査においてデバイスの電極端子にコンタクトピンを強く押し当てたときに、強度の不足によりコンタクトピンが破損することが懸念される。
【0005】
本発明は、検査対象物の電極端子の狭小化に対応し、且つコンタクトピンの強度の低下を抑制できるコンタクトピンおよび電気的接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るコンタクトピンは、第1方向に向いた第1接触領域、第1接触領域に対向する基端領域および複数の側面を有する先端部と、先端部と連結する第1端部を有し、第1方向と交差する第2方向に延伸する本体部を備える。本体部は、第1端部から第2方向に離隔した領域に第2接触領域を有する。先端部の側面のうち、第2方向から見て先端部の外縁を形成する外縁側面が、第1接触領域に対して斜めに交差する直線状の斜向領域を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検査対象物の電極端子の狭小化に対応し、且つコンタクトピンの強度の低下を抑制できるコンタクトピンおよび電気的接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るコンタクトピンの構成を示す模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るコンタクトピンの正面視の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の比較例のコンタクトピンの正面視の構成を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第2の比較例のコンタクトピンの正面視の構成を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の第1の変形例に係るコンタクトピンの先端部の構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の第1の変形例に係るコンタクトピンの先端部の他の構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の第1の変形例に係るコンタクトピンの先端部の更に他の構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の第2の変形例に係るコンタクトピンの構成を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式的な断面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係るコンタクトピンの構成を示す模式的な斜視図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係るコンタクトピンの構成を示す正面視の模式図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係るコンタクトピンの他の構成を示す正面視の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1に示す第1の実施形態に係るコンタクトピン10は、検査対象物の電気特性の検査に使用される。コンタクトピン10は、先端部11と、先端部11と連結する第1端部121を有する本体部12を備える。
【0011】
先端部11は、
図1および
図2に示すように、第1方向D1に向いた第1接触領域111、第1接触領域111に対向する基端領域113、および第1接触領域111と基端領域113とを接続する複数の側面を有する。先端部11の第1接触領域111は、後述するように、検査対象物の検査において検査対象物の電極端子と接触する。第1方向D1と第2方向D2に対してそれぞれ垂直な方向から見た側面視において、第1接触領域111は、第1方向D1に垂直な部分を含んで湾曲している。第2方向D2から見て、第1接触領域111は直線状である。先端部11は、基端領域113で本体部12と接合している。
【0012】
本体部12は、第1方向D1と交差する第2方向D2に延伸する。本体部12は、先端部11に連結する第1端部121から第2方向D2に離隔した領域に、第2接触領域112を有する。第2接触領域112は、第1方向D1と反対向きの第3方向D3を向いている。
図1に示すように、本体部12の第2端部122の付近に第2接触領域112が設定されている。第2接触領域112は、後述するように、検査対象物の検査においてプリント基板などに配置された電極パッドと接触する。
【0013】
以下において、先端部11の第1方向D1に垂直な断面(以下において、単に「断面」とも称する。)が矩形状である場合を、例示的に説明する。
【0014】
先端部11を第2方向D2に向かって見たときに(以下、「正面視」とも称する。)、図面の正面を向く先端部11の側面を「正側面133」と称する。正側面133に対向し、第2方向D2を向いた側面を「裏側面134」と称する。
【0015】
先端部11の複数の側面のうち、第2方向D2から見て先端部11の外縁を形成する側面を、以下において「外縁側面」とも称する。
図2に示す正面視において図面の左側の外縁側面を「第1外縁側面131」、図面の右側の外縁側面を「第2外縁側面132」と称する。第1外縁側面131と第2外縁側面132のそれぞれを限定しない場合は、外縁側面と表記する。先端部11の断面が矩形状である場合、外縁側面は、第1方向D1と第2方向D2のそれぞれに対して直交する方向に向いた側面である。
【0016】
図2に示す先端部11は、第1外縁側面131と第2外縁側面132の両方が、第1接触領域111に対して斜めに交差する直線状の領域(以下、「斜向領域」と称する。)を含む。第1外縁側面131と第2外縁側面132の斜向領域は、第1接触領域111から基端領域113まで直線的に連続している。
【0017】
以下において、第1接触領域111と、外縁側面の斜向領域若しくは斜向領域の延長部とのなす角を、「テーパー角」とも称する。言い換えると、テーパー角は、第1方向D1に垂直な平面と外縁側面とのなす鈍角である。外縁側面が斜向領域を含むため、先端部11は、断面が第1接触領域111から基端領域113に向かって次第に大きくなるテーパー形状の領域を含む。
【0018】
正面視におけるコンタクトピン10の各部の長さを「幅」と定義する。第1接触領域111の幅を、「先端幅」とも称する。
図2に示すように、正側面133の第1接触領域111に接続する領域の幅は、先端幅Wである。本体部12の幅は、先端部11の基端領域113の幅と同等である。言い換えると、先端部11の先端幅Wは、本体部12の幅よりも狭い。正側面133は、第1接触領域111に対して任意の角度で接続する。
【0019】
図1に示すように、裏側面134は、第1接触領域111と接続する傾斜部134a、傾斜部134aに連結して第2方向D2に延伸する平面部134b、平面部134bに連結して本体部12に接続する接続部134cを含む。傾斜部134aは、第1接触領域111と鈍角をなしている。接続部134cは、第3方向D3に延伸している。
【0020】
上記のように、コンタクトピン10の先端部11は、検査対象物と接触する第1接触領域111に対して外縁側面が直線的に斜めに交差している。このため、以下に説明する比較例のコンタクトピンと比べて、先端部11の強度が高い。
【0021】
図3に示す第1の比較例のコンタクトピンは、第1接触領域111から基端領域113までコンタクトピンの断面が一定である。このため、第1の比較例によれば、第1接触領域111に検査対象物が接触した場合に第1接触領域111に加わる押圧によるコンタクトピンの破損が抑制される。しかし、第1の比較例は、先端幅が広いため、コンタクトピンの誤接触が生じやすい。
【0022】
図4に示す第2の比較例のコンタクトピンは、第1接触領域111から基端領域113に向かって第1接触領域111に対して垂直な直線領域S1と、直線領域S1と基端領域113を接続する曲線領域S2を有する。第2の比較例によれば、先端幅が狭いため、コンタクトピンの誤接触が抑制される。しかし、第1接触領域111から連続する領域の断面の面積が小さいため、第1接触領域111に加わる押圧に対して第2の比較例の強度が低い。
【0023】
これに対し、
図2に示す先端部11は、第1接触領域111から基端領域113に向かって一定のテーパー角で断面が次第に大きくなるテーパー形状を含む。このため、コンタクトピン10の誤接触を抑制するために先端幅Wを狭くしても、先端部11の強度の低下が抑制される。
【0024】
更に、
図2に示す先端部11によれば、先端部11について高い強度を確保できるため、先端幅Wを狭くして第1接触領域111の面圧を上げることができる。ここで、第1接触領域111の面圧は、「第1接触領域111に加わる荷重」/「先端幅W」の式により定義される。即ち、先端幅Wを2分の1にすることにより、面圧を2倍にすることができる。したがって、検査対象物の電極端子を第1接触領域111に強く押し当てることができることにより、コンタクトピン10と検査対象物との良好な電気的接続を実現できる。
【0025】
以上に説明したように、第1の実施形態に係るコンタクトピン10では、先端部11の外縁側面が第1接触領域111に対して斜めに交差する斜向領域を含み、先端部11の断面がテーパー形状である。したがって、コンタクトピン10によれば、本体部12の幅よりも先端部11の先端幅Wを狭くすることにより検査対象物の電極端子の狭小化に対応し、且つ、先端部11の強度を確保できる。
【0026】
また、コンタクトピン10によれば、
図4に示した第2の比較例よりも先端部11の断面の面積を広くできる第1方向D1の範囲が広い。このため、コンタクトピン10を流れる電流の許容値を高くして、電流経路のインダクタンスを下げることができる。更に、先端部11の裏側面134は、第1接触領域111と鈍角をなして接続する傾斜部134aに連続して第2方向D2に延伸する平面部134bを含む。このため、裏側面134が傾斜部134aのみの場合よりも、先端部11の断面の面積を広くすることができる。これにより、先端部11のインダクタンスを更に下げることができる。
【0027】
コンタクトピン10の母材には、ニッケル(Ni)合金などが好適に使用される。例えば、ベリリウム-ニッケル(Be-Ni)合金などをコンタクトピン10の母材に使用してもよい。また、母材の表面にNi膜をメッキしたり、メッキしたNi膜の表面に金(Au)膜をメッキしたりしてもよい。コンタクトピン10は、例えばプレス加工により形成される。テーパー角は、第1接触領域111に必要とされる先端幅Wと、コンタクトピン10の間隔などに依存する本体部12の幅などに応じて適宜設定される。
【0028】
<第1の変形例>
上記では、外縁側面の斜向領域が、第1接触領域111から基端領域113まで直線的に連続している例を説明した。しかし、斜向領域が外縁側面の一部であってもよい。
【0029】
例えば、
図5に示す正面視のように、外縁側面が、第1接触領域111となすテーパー角が相互に異なる複数の斜向領域を含んでもよい。
図5に示す先端部11は、第1接触領域111に接続する斜向領域と第1接触領域111とがなすテーパー角より、基端領域113に接続する斜向領域と第1接触領域111とがなすテーパー角が小さい。したがって、
図5に示す先端部11は、
図2に示した先端部11よりも断面の面積が広い領域を有する。このため、先端部11の強度を更に高くしたりインダクタンスを更に下げたりすることができる。
【0030】
図5に示す外縁側面では斜向領域のテーパー角の変化が1回であるが、外縁側面の途中でテーパー角が2回以上変化してもよい。或いは、テーパー角が異なる複数の斜向領域の間が、第1方向D1と平行な領域若しくは第1方向D1と垂直な領域であってもよい。
【0031】
また、
図6に示す正面視のように、外縁側面が、第1接触領域111と接続する斜向領域と、斜向領域と基端領域113とを接続する、第1接触領域111に垂直な直線領域とを含んでもよい。
図6に示す先端部11は、
図2に示した先端部11よりも断面の面積が広い領域を有するため、先端部11の強度を更に高くしたりインダクタンスを更に下げたりすることができる。
【0032】
また、
図7に示す正面視のように、外縁側面が、基端領域113と接続する斜向領域と、斜向領域と第1接触領域111とを接続する、第1接触領域111に垂直な直線領域とを含んでもよい。
図7に示す先端部11は、第1接触領域111から基端領域113に向けて一定の範囲において幅が先端幅と同一である。このため、仮に電極端子との接触により第1接触領域111から先端部11が摩耗しても、電極端子と先端部11との接触面積を一定に維持することができる。
【0033】
<第2の変形例>
上記では、第1外縁側面131と第2外縁側面132の両方が斜向領域を含む場合を説明した。しかし、第1外縁側面131と第2外縁側面132のいずれか一方の外縁側面が斜向領域を含み、他方の外縁側面が斜向領域を含まなくてもよい。斜向領域を含まない外縁側面は、例えば、第1接触領域111に対して垂直に延伸する。斜向領域を含む外縁側面を一方のみにすることにより、両方の外縁側面が斜向領域を含む場合よりも、本体部12の間隔を狭くすることができる。
【0034】
例えば、
図8に示すように、第1外縁側面131のみが斜向領域を含むコンタクトピン10の第2外縁側面132の側に、第2外縁側面132のみが斜向領域を含むコンタクトピン10を配置してもよい。
図8に示したコンタクトピン10の対は、例えば同一の電極端子にコンタクトピン10の対を接触させるケルビン接続に適用してもよい。
【0035】
第1の実施形態に係るコンタクトピン10は、例えば
図9に示す電気的接続装置1に使用される。
図9に示した電気的接続装置1は、デバイス100の電気特性の検査に使用される。デバイス100は、半導体集積回路などをパッケージに搭載した検査対象物である。電気的接続装置1は、デバイス100の電極端子101と基板200の電極パッド201とを電気的に接続する。
図1は、電極端子101がパッケージのリード電極である場合を例示的に示している。電極パッド201は、基板200に形成された配線パターン(図示略)などを介して検査装置と電気的に接続されている。
【0036】
電気的接続装置1は、第1面21および第1面21に対向する第2面22を有する筐体20と、筐体20に支持されるコンタクトピン10と、筐体20の内部に配置された第1弾性部31および第2弾性部32を備える。コンタクトピン10は、電極端子101と電極パッド201のそれぞれと接触する。第1弾性部31と第2弾性部32は、コンタクトピン10および筐体20に当接して筐体20の内部に配置されている。第1弾性部31および第2弾性部32のそれぞれを限定しない場合は、「弾性部30」と表記する。
【0037】
電気的接続装置1の動作の説明を分かりやすくするために、
図9に示すようにX方向、Y方向、Z方向を定義する。
図9において、X方向は紙面の左右方向、Y方向は紙面の奥行方向、Z方向は紙面の上下方向である。また、Z方向において、電気的接続装置1から見てデバイス100が位置している方向を上方向、デバイス100から見て電気的接続装置1が位置している方向を下方向とする。例えば、コンタクトピン10の第1接触領域111は上方向を向き、第2接触領域112は下方向を向いている。
【0038】
図9では、Z方向から見てデバイス100の下方向に電気的接続装置1が配置されている。コンタクトピン10の第1接触領域111は筐体20の第1面21に露出し、コンタクトピン10の第2接触領域112は筐体20の第2面22に露出している。Z方向に沿って電気的接続装置1とデバイス100の間隔が狭くなったときに第1接触領域111とデバイス100の電極端子101が接触するように、コンタクトピン10が筐体20に配置されている。更に、第2接触領域112の一部が接触部分として基板200の電極パッド201と接触するように、コンタクトピン10が筐体20に配置されている。後述するように、デバイス100の検査時において、第1接触領域111のZ方向の位置の変化に起因して、第2接触領域112における電極パッド201と接触する接触部分の範囲は変化する。
【0039】
第1弾性部31は、コンタクトピン10の先端部11の下方向において、本体部12の第1端部121に設けられた凹部と筐体20の間に配置されている。第2弾性部32は、第2接触領域112の上方向において、本体部12の第2端部122と筐体20の間に配置されている。第2弾性部32は、第2端部122に近接して設けられ且つ開口部が上方向を向いた凹部の内部に配置されている。
【0040】
第2弾性部32が配置された本体部12の凹部に対向するコンタクトピン10の外側の湾曲形状の部分(以下、「湾曲部分」と称する。)に、第2接触領域112が設けられている。即ち、湾曲部分の外縁の弧状領域の一部が、電極パッド201と接触する第2接触領域112の接触部分である。
【0041】
弾性部30は、軸方向がY方向に延伸する円筒形状である。即ち、弾性部30の軸方向は、コンタクトピン10の第1接触領域111の変位するZ方向に垂直、且つ、コンタクトピン10の本体部12の延伸するX方向に垂直である。弾性部30は、コンタクトピン10の表面と筐体20の内壁に挟まれた状態で筐体20の内部に保持される。
【0042】
デバイス100の検査時には、デバイス100をZ方向に沿って電気的接続装置1に対して相対的に移動させ、コンタクトピン10の第1接触領域111をデバイス100の電極端子101に押し当てる。以下において、コンタクトピン10と電極端子101が接触した状態を「接触状態」とも称する。一方、コンタクトピン10と電極端子101が接触していない状態を「非接触状態」とも称する。非接触状態から接触状態への変化において、第1接触領域111と電極端子101の間で第1接触領域111に加わる押力に起因して、コンタクトピン10の第1接触領域111の位置がZ方向に変位する。第1接触領域111の位置の変化に応じて、第2接触領域112が電極パッド201の表面に接触した状態で、コンタクトピン10は筐体20の内部で姿勢を変化させる。
【0043】
具体的には、第1接触領域111に加わる押圧に起因するコンタクトピン10の第1端部121の下方向への変位に対応して、第2接触領域112が電極パッド201に接触した状態を維持しながら、コンタクトピン10の第2端部122が上方向に変位する。コンタクトピン10の姿勢の変化に伴い、第2接触領域112における電極パッド201に接触する接触部分の範囲が変化する。具体的には、接触状態では、第2接触領域112における接触部分が、非接触状態のときよりも第1端部121に近い領域になる。このように、コンタクトピン10の姿勢の変化に応じて接触部分の範囲が湾曲部分の外縁に沿って変化するため、接触状態と非接触状態とで接触部分の範囲が異なる。第2接触領域112の接触部分が湾曲部分の弧状領域に含まれるため、電極パッド201と接触する第2接触領域112の範囲は、コンタクトピン10の姿勢の変化に応じて滑らかに変化する。このため、コンタクトピン10の姿勢が変化しても、第2接触領域112および電極パッド201の損傷を抑制することができる。
【0044】
非接触状態から接触状態におけるコンタクトピン10の筐体20の内部での姿勢の変化に対応して、弾性部30は、コンタクトピン10と筐体20に挟まれて圧縮される。つまり、接触状態において弾性部30は弾性変形している。即ち、第1弾性部31は、コンタクトピン10の第1端部121および先端部11と筐体20との間で圧縮される。第2弾性部32は、コンタクトピン10の第2端部122と筐体20との間で圧縮される。弾性変形した弾性部30は、コンタクトピン10の姿勢を非接触状態の姿勢に戻す方向にコンタクトピン10を付勢する。言い換えると、弾性部30は、第1接触領域111を電極端子101に押し付けるようにコンタクトピン10を付勢する。
【0045】
デバイス100を検査している間は、弾性部30の弾性力により電極端子101に第1接触領域111が当接し、且つ電極パッド201に第2接触領域112が当接した状態が維持される。これにより、デバイス100の検査時において、コンタクトピン10を介してデバイス100の電極端子101と基板200の電極パッド201との電気的な接続が確保される。
【0046】
上記のように、デバイス100の検査時においては、コンタクトピン10の姿勢が変化することにより、コンタクトピン10と筐体20の間に挟まれた弾性部30が弾性変形する。そして、弾性部30が、第1接触領域111が所定の押圧でデバイス100の電極端子101に接触するように、コンタクトピン10を付勢する。即ち、電極端子101に第1接触領域111を押し付けたときの第1接触領域111の変位を打ち消す方向に、弾性部30がコンタクトピン10を付勢する。第1接触領域111が電極端子101と接触してデバイス100の検査をしている間、弾性部30は圧縮変形した状態である。
【0047】
デバイス100の検査が終了した後は、デバイス100と電気的接続装置1の間隔を広げるように電気的接続装置1に対するデバイス100のZ方向の相対的な位置を変化させる。デバイス100の電極端子101とコンタクトピン10の第1接触領域111とを離隔することにより、第1接触領域111に加わる押力がなくなる。その結果、弾性部30の形状が非接触状態に戻ると共に、弾性部30の弾性力によりコンタクトピン10の姿勢が非接触状態に戻る。
【0048】
弾性部30の材料には、例えばエラストマーなどの絶縁材料を使用してもよい。例えば、シリコーンゴムやウレタンゴムなどの樹脂材料を弾性部30に使用してもよい。また、弾性部30を、中空構造を有する円筒形状にしてもよい。弾性部30を円筒形状にすることにより、接触荷重および電極端子101との接触により第1接触領域111の変位する量(以下、「ストローク」とも称する。)の大きさを制御しやすい。つまり、円筒形状の弾性部30の厚みを厚くすることにより、接触荷重を大きくしたり、ストロークを小さくしたりできる。一方、円筒形状の弾性部30の厚みを薄くすることにより、接触荷重を小さくしたり、ストロークを大きくしたりできる。
【0049】
筐体20の材料には、絶縁材料が使用される。例えば、絶縁性セラミック材などが筐体20の材料に好適に使用される。
【0050】
上記のように、電気的接続装置1は、電極端子101と電極パッド201に同時に接触するコンタクトピン10と、先端部11を電極端子101に押し当てるようにコンタクトピン10に付勢する弾性部30を含む。弾性部30の弾性力を調整することにより、コンタクトピン10と電極端子101が接触する際にコンタクトピン10に加わる接触荷重が制御される。即ち、弾性部30の弾性力を強くすることにより接触荷重は増大し、弾性部30の弾性力を弱くすることにより接触荷重は減少する。また、電気的接続装置1では、ストロークが弾性部30の弾性力により制御される。つまり、弾性部30の弾性力を強くすることによりストロークは減少し、弾性部30の弾性力を弱くすることによりストロークは増大する。
【0051】
電気的接続装置1にコンタクトピン10を使用することにより、デバイス100の検査時に、第1接触領域111に印加される押力に起因するコンタクトピン10の破損を抑制し、且つ、電極端子101の狭小化に対応できる。更に、デバイス100の検査時におけるコンタクトピン10を流れる電流の許容値を高くしたり、コンタクトピン10のインダクタンスを下げたりできる。その結果、デバイス100について種々の電気特性を高精度で実行できる。
【0052】
図9に示すように、コンタクトピン10が第1弾性部31と筐体20に挟持された状態で、先端部11の接続部134cが筐体20の第1面21の開口部に接続する内壁と当接ため、コンタクトピン10は筐体20から外れ難くなっている。更に、先端部11が筐体20の内壁に押し付けられるため、コンタクトピン10の第1接触領域111の位置精度が向上する。
【0053】
図9では電気的接続装置1のコンタクトピン10を1つだけ表示したが、電気的接続装置1が複数のコンタクトピン10を含んでもよい。例えば、
図10に示すように、電気的接続装置1が、Y方向に沿って複数のコンタクトピン10を配列させた構成であってもよい。弾性部30は、複数のコンタクトピン10のそれぞれと当接してY方向に延伸する。
図10に示した電気的接続装置1は、例えば、複数の電極端子101がY方向に配列されたデバイス100の検査などに好適に使用される。
【0054】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るコンタクトピン10は、
図11に破線Sで囲んで示した本体部12の第2接触領域112を含む領域がテーパー形状を含むことが、
図1に示す第1の実施形態に係るコンタクトピン10と異なる点である。即ち、
図12に示すように、第2方向D2から見て第2接触領域112に接続する本体部12の側面が、第2接触領域112に対して斜めに交差する直線状の領域を含む。その他の構成については、第2の実施形態に係るコンタクトピン10は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
図11および
図12に示すコンタクトピン10は、本体部12の第2接触領域112を含む領域の第3方向D3に垂直な断面が、第2接触領域112に向かって次第に狭くなるテーパー形状の領域を含む。第2の実施形態に係るコンタクトピン10によれば、第2接触領域112の幅を狭くし、且つ、第2接触領域112に加わる押力に対してコンタクトピン10の強度を高めることができる。第2接触領域112の幅を狭くすることにより、例えば、電極パッド201からコンタクトピン10がはみ出すことを抑制できる。
【0056】
他は、第2の実施形態に係るコンタクトピン10は第1の実施形態に係るコンタクトピン10と実質的に同様であり、重複した記載を省略する。例えば、第2接触領域112を頂面として、
図2、
図5から
図7を参照してそれぞれ説明した種々のテーパー形状を採用できる。或いは、
図13に示すように、第2方向D2から見た第2接触領域112に接続する側面のうち片側の側面のみが、第2接触領域112に対して斜めに交差するようにしてもよい。
【0057】
また、第2の実施形態に係るコンタクトピン10を、
図9を参照して説明した電気的接続装置1に使用してもよい。これにより、デバイス100の検査時に、コンタクトピン10の第2接触領域112が電極パッド201からはみ出したり、隣接する電極パッド201に接触したりすることを抑制できる。つまり、第2の実施形態に係るコンタクトピン10によれば、電極端子101および電極パッド201の狭小化に対応した電気的接続装置1を実現できる。
【0058】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。
【符号の説明】
【0059】
1…電気的接続装置
10…コンタクトピン
11…先端部
12…本体部
20…筐体
21…第1面
22…第2面
30…弾性部
31…第1弾性部
32…第2弾性部
100…デバイス
101…電極端子
111…第1接触領域
112…第2接触領域
113…基端領域
121…第1端部
122…第2端部
131…第1外縁側面
132…第2外縁側面
133…正側面
134…裏側面
200…基板
201…電極パッド