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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064696
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】摩耗量測定用アダプター
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
G01B5/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173466
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000205535
【氏名又は名称】株式会社 商船三井
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 章景
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA15
2F062BC31
2F062GG11
(57)【要約】
【課題】 溝の摩耗状態を正確に把握するための摩耗量測定用アダプターを提供することにある。
【解決手段】 溝の摩耗量を測定する測定装置に装着される摩耗量測定用アダプター10であって、測定装置が着脱可能に装着される装着部1と、摩耗していない初期状態の溝の最深部を含む曲面と面接触し、測定装置の測定軸が貫通する穴P1が設けられた曲面11と、溝の両側の縁の上部で支持する2つの支持部2,3とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝の摩耗量を測定する測定装置に装着される摩耗量測定用アダプターであって、
前記測定装置が着脱可能に装着される装着部と、
摩耗していない初期状態の前記溝の最深部を含む曲面と面接触し、前記測定装置の測定軸が貫通する穴が設けられた曲面と、
前記溝の両側の縁の上部で支持する2つの支持部と
を備えることを特徴とする摩耗量測定用アダプター。
【請求項2】
前記2つの支持部は、前記溝と長手方向に接触する長さが10mm以上であること
を特徴とする請求項1に記載の摩耗量測定用アダプター。
【請求項3】
前記装着部は、前記測定装置が正しくない方向で装着できない形状であること
を特徴とする請求項1に記載の摩耗量測定用アダプター。
【請求項4】
前記溝は、隣接する複数の溝を含み、
前記装着部は、前記複数の溝にそれぞれ対応して設けられ、
前記曲面は、前記複数の溝にそれぞれ対応して設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載の摩耗量測定用アダプター。
【請求項5】
前記装着部に装着された前記測定装置の全体を覆う形状であること
を特徴とする請求項1に記載の摩耗量測定用アダプター。
【請求項6】
溝の摩耗量を測定する測定装置と、
前記測定装置に装着されたアダプターとを備え、
前記アダプターは、
前記測定装置が着脱可能に装着される装着部と、
摩耗していない初期状態の前記溝の最深部を含む曲面と面接触し、前記測定装置の測定軸が貫通する穴が設けられた曲面と、
前記溝の両側の縁の上部で支持する2つの支持部とを含むこと
を特徴とする摩耗量測定装置。
【請求項7】
摩耗量測定装置を用いて、溝の摩耗量を測定する測定方法であって、
前記摩耗量測定装置は、
前記溝の摩耗量を測定する測定装置と、
前記測定装置に装着されたアダプターとを備え、
前記アダプターは、
前記測定装置が着脱可能に装着される装着部と、
摩耗していない初期状態の前記溝の最深部を含む曲面と面接触し、前記測定装置の測定軸が貫通する穴が設けられた曲面と、
前記溝の両側の縁の上部で支持する2つの支持部とを含み、
前記装着部に装着された前記測定装置により、前記溝の摩耗量を測定すること
を含むことを特徴とする溝の摩耗量を測定する測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩耗量を測定するための摩耗量測定用アダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シーブに設けられた溝の摩耗量を測定する測定装置が知られている。例えば、溝が高所等の直接視認できない位置にある場合でも、摩耗量を容易に測定するための測定装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-96501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シーブに設けられる溝の幅は通常狭く、形状も様々であることから、摩耗量を測定する測定装置を常に一定の位置で溝に固定することが困難である。測定装置が溝に固定される位置が測定する度に異なると、測定基準が一定でなくなるため、摩耗状態を正確に把握することができない。
本発明の実施形態の目的は、溝の摩耗状態を正確に把握するための摩耗量測定用アダプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の観点に従った摩耗量測定用アダプターは、溝の摩耗量を測定する測定装置に装着される摩耗量測定用アダプターであって、前記測定装置が着脱可能に装着される装着部と、摩耗していない初期状態の前記溝の最深部を含む曲面と面接触し、前記測定装置の測定軸が貫通する穴が設けられた曲面と、前記溝の両側の縁の上部で支持する2つの支持部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、溝の摩耗状態を正確に把握するための摩耗量測定装置用アダプターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアダプターの斜視図。
図2】第1の実施形態に係るアダプターの平面図。
図3】第1の実施形態に係るアダプターの底面図。
図4】第1の実施形態に係るアダプターの正面図。
図5】第1の実施形態に係るアダプターの背面図。
図6】第1の実施形態に係るデプスゲージの測定のための準備状態を示す状態図。
図7】第1の実施形態に係るデプスゲージの測定時の状態を示す状態図。
図8】第1の実施形態に係るアダプターが装着されたデプスゲージの測定のための準備状態を示す状態図。
図9】第1の実施形態に係るアダプターが装着されたデプスゲージの測定中の状態を示す状態図。
図10】第1の実施形態に係るアダプターが装着されたデプスゲージによるシーブ溝を測定する状態を示す状態図。
図11】本発明の第2の実施形態に係るアダプターが適用された構成を示す構成図。
図12】本発明の第3の実施形態に係るアダプターが適用された構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアダプター10の斜視図である。図2は、本実施形態に係るアダプター10の平面図である。図3は、本実施形態に係るアダプター10の底面図である。図4は、本実施形態に係るアダプター10の正面図である。図5は、本実施形態に係るアダプター10の背面図である。なお、図面における同一部分には同一符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
アダプター10は、測定対象の溝の摩耗量を測定するための測定装置に装着されるアダプターである。例えば、溝は、シーブに設けられたシーブ溝である。例えば、シーブは、船舶を含む水上浮体式設備等に設けられるが、何処に設けられてもよい。また、測定対象の溝は、シーブに限らず、どのような機器類に設けられてもよい。
【0010】
図6及び図7を参照して、アダプター10を装着する測定装置の一例として、本実施形態に係るデプスゲージ50について説明する。図6は、デプスゲージ50の測定のための準備状態を示している。図7は、デプスゲージ50の測定時の状態を示している。
【0011】
デプスゲージ50は、嵌合部51、表示部52、操作部53、測定軸54、及び、本体部55を備える。
【0012】
嵌合部51は、直方体形状の本体部55の先端に設けられる。嵌合部51は、アダプター10と嵌合する凸形状であり、アダプター10が装着される部分である。
【0013】
表示部52は、本体部55の幅広の側面に設けられる。表示部52は、デプスゲージ50により測定された測定値を表示する。
【0014】
操作部53は、本体部55に対して相対的に長手方向(図7の矢印の方向)に可動するように、本体部55の後端側に設けられた板形状の部分である。操作部53は、測定対象の溝を測定する時に操作する部分である。操作部53を先端側に押し出すように操作することで、測定軸54が嵌合部51の先端から突き出て、デプスゲージ50による測定が行われる。
【0015】
測定軸54は、嵌合部51の先端から突き出るように可動する棒形状の部分である。例えば、測定軸54は、操作部53と一体形成され、操作部53を本体部55に挿入した長さ分の測定軸54が嵌合部51から突き出る。嵌合部51から新たに出た測定軸54の長さが、デプスゲージ50による測定値に加算される。
【0016】
なお、アダプター10を装着する測定装置は、デプスゲージ50に限らず、どのような装置でもよい。また、デプスゲージ50は、測定値をディジタルで表示するディジタル式の装置として説明したが、測定値を予め刻まれた目盛りで表すアナログ式の装置でもよい。以降では、主に、デプスゲージ50を用いて説明するが、任意の測定装置に置き換えてもよい。
【0017】
図1から図5を参照して、本実施形態に係るアダプター10の構成について説明する。
【0018】
アダプター10は、測定部1、第1支持部2及び第2支持部3を備える。例えば、測定部1、第1支持部2及び第2支持部3は、同一の材料で一体形成される。アダプター10の材質は、例えばプラスチック等の樹脂であるが、金属等の樹脂以外でもよい。アダプター10の形状は、測定対象の溝に合わせて形成される。したがって、アダプター10の形状は、測定対象の溝に合わせた任意の形状にしてよい。
【0019】
測定部1は、測定対象の溝に挿入される部分である。測定部1の内側は、デプスゲージ50の嵌合部51の形状と嵌合するように凹形状に形成される。デプスゲージ50の嵌合部51が測定部1の内側に嵌合することで、アダプター10がデプスゲージ50に装着される。なお、測定部1の内側は、デプスゲージ50を着脱可能に装着するように構成されていれば、どのように構成されてもよい。
【0020】
測定部1は、曲面部11、表面部12及び底面部13を含む。
曲面部11は、測定部1の正面側の側面に位置する。曲面部11は、測定時に、測定対象の溝に嵌めるように設置する部分である。曲面部11の曲面は、測定対象の溝の初期状態の形状と一致する。従って、全く摩耗していない溝であれば、溝と曲面部11が面同士で接触(面接触)する。例えば、曲面部11の曲面は、測定対象の溝を有する機器(例えば、シーブ)の設計図に基づいて、作成される。なお、曲面部11の曲面は、初期状態の溝の最深部を少なくとも含む部分と面接触するように形成されていれば、必ずしも溝の曲面全体と面接触するように形成されていなくてもよい。
【0021】
測定部1の頂点部分(初期状態の溝の最深部と接触する部分)には、内側と外側が貫通する穴P1が設けられる。穴P1は、溝の測定時に、測定部1の内側に装着されたデプスゲージ50の測定軸54が測定部1の頂点部分から突き出るようにするために設けられる。
【0022】
曲面部11、表面部12及び底面部13で囲まれた内側は、デプスゲージ50の嵌合部51と嵌合する凹形状である。嵌合部51が測定部1に嵌合された状態では、表面部12は、嵌合部51の先端部分の表面を覆い、底面部13は、嵌合部51の底面を全体的に覆う。なお、測定部1の内側に、デプスゲージ50と嵌合する形状が形成されれば、表面部12及び底面部13は、どのような形状でもよい。
【0023】
第1支持部2は、測定部1の後端の幅方向の左側(図2の左側)に突き出るように設けられる。第1支持部2は、支持面21及び突起形状部22を含む。
【0024】
支持面21は、第1支持部2の正面に位置する平面形状の表面である。支持面21は、測定対象の溝の上部の縁に引っ掛けるように接触させることで、アダプター10が装着されたデプスゲージ50を溝で支持する。支持面21の厚さ(図5に示す高さh)は、10mm以上が望ましい。これにより、支持面21が溝の縁と長手方向に10mm以上で接触するため、アダプター10が装着されたデプスゲージ50が前後方向(溝の長手方向)にぐらつくのを防止することができる。
【0025】
突起形状部22は、第1支持部2の内側に設けられる。突起形状部22は、デプスゲージ50を正しい方向でアダプター10に装着させるための部分である。突起形状部22は、デプスゲージ50の形状に対応するように形成される。例えば、突起形状部22は、デプスゲージ50がアダプター10に挿入される方向に沿って延びる直方体形状が内側に突き出るように設けられる。デプスゲージ50の本体部55には、突起形状部22の形状と合わさるように、長手方向に沿って直方体形状の凹みが設けられる。これにより、デプスゲージ50を裏表逆にしてアダプター10に挿入しようとしても、突起形状部22がデプスゲージ50の本体部55に引っ掛かるため、アダプター10をデプスゲージ50に装着できない。
【0026】
第2支持部3は、測定部1の後端の幅方向の右側(図2の右側)に突き出るように設けられる。第2支持部3は、支持面31及び突起形状部32を含む。
【0027】
支持面31は、第1支持部2の支持面21と同様であり、測定対象の溝の上部の縁に引っ掛けるように接触させる面である。したがって、支持面31の厚さ(図5に示す高さh)も、10mm以上が望ましい。
【0028】
突起形状部32は、第2支持部3の内側に設けられる。突起形状部32は、デプスゲージ50を正しい方向でアダプター10に装着させるための部分である。突起形状部32は、デプスゲージ50の形状に対応するように形成される。例えば、突起形状部32は、デプスゲージ50がアダプター10に挿入される方向に沿って延びる三角柱形状が内側に突き出るように設けられる。デプスゲージ50の本体部55は、突起形状部32の形状と合わさるように、直方体形状の1つの角が長手方向に沿って斜めに切り取られた形状に形成される。その他の点は、突起形状部32は、第1支持部2の突起形状部22と同様である。
【0029】
なお、2つの突起形状部22,32は、デプスゲージ50をアダプター10に正しくない方向(例えば、裏表逆)では装着できないような形状であれば、どのような形状でもよい。例えば、2つの突起形状部22,32は、同じ形状にしてもよいし、2つの突起形状部22,32のうちいずれか一方を設けなくてもよい。また、デプスゲージ50の裏表に関係なく、デプスゲージ50がアダプター10に装着できるように、2つの突起形状部22,32のいずれも設けなくてもよい。
【0030】
図8及び図9を参照して、アダプター10が装着されたデプスゲージ50による測定方法について説明する。図8は、アダプター10が装着されたデプスゲージ50の測定のための準備状態を示す。図9は、アダプター10が装着されたデプスゲージ50の測定中の状態を示す。
【0031】
図8に示すように、測定を始めるために、デプスゲージ50の準備状態を設定する。具体的には、デプスゲージ50の測定軸54の先端が、アダプター10の曲面部11の穴P1から飛び出ずに、曲面と一致する位置になるように、操作部53を操作して、測定軸54の位置を調整する。測定軸54の先端が曲面と一致する位置で、測定値を0mmにセット(ゼロリセット)する。
【0032】
図8に示すように、デプスゲージ50がゼロリセットされた状態から、デプスゲージ50の操作部53を押すことで、図9に示すように、測定軸54が曲面部11から突き出てくる。測定軸54が曲面部11の表面から出ている長さが測定値となる。
【0033】
図10を参照して、アダプター10が装着されたデプスゲージ50によるシーブ60の溝を測定する測定方法について説明する。実線で示す溝の内面F1は、全く摩耗していない状態を示す。破線で示す溝の内面F2は、摩耗している状態を示す。
【0034】
測定する準備として、アダプター10が装着されたデプスゲージ50を、図8に示す準備状態にして、シーブ60の溝に設置する。具体的には、アダプター10の先端をシーブ60の溝に挿入し、アダプター10の2つの支持面21,31をそれぞれシーブ60の両端の縁の上に引っ掛かるように設置する。
【0035】
準備完了後、測定軸54の先端が溝の最深部に当たるまで、デプスゲージ50の操作部53を下に押す。測定軸54の先端が溝の最深部に当たり、デプスゲージ50の操作部53がそれ以上下に押せなくなった状態で、デプスゲージ50により、溝の深さを測定する。測定値は、表示部52に表示される。
【0036】
溝が全く摩耗していない場合、溝の内面F1の形状とアダプター10の曲面部11の曲面は、互いに面同士で接触する。したがって、測定軸54は、アダプター10の表面(曲面)から突き出ないため、測定値は、ほぼゼロになる。
【0037】
溝が深さd分摩耗している場合、アダプター10の曲面から溝の内面F2までの距離は、長さdである。したがって、測定軸54は、アダプター10の表面から長さd分突き出るため、測定値は、長さdになる。
【0038】
本実施形態によれば、測定対象の溝に合わせたアダプター10を測定装置に装着することにより、測定装置を溝に対して常に一定の位置に固定することができる。これにより、測定基準が常に一定になるため、溝の摩耗量を正確に把握することができる。
【0039】
具体的には、アダプター10は、摩耗していない状態の溝の最深部を含む曲面と面接触する曲面部11、及び、溝の両側の縁の上部で支持する2つの支持部2,3の3箇所で、溝に支持されるように形成される。これにより、デプスゲージ50等の測定装置にアダプター10を装着することで、測定装置を溝に対して常に一定の位置に固定した状態で、溝の摩耗量を測定することができる。また、溝の摩耗量が著しく、曲面部11が溝の底面と接触しない場合でも、2つの支持部2,3でアダプター10が溝に固定されることで、測定装置を溝に対して一定の位置に固定することができる。
【0040】
アダプター10を測定装置に着脱可能な構成とすることで、測定装置は、アダプター10を交換するだけで、様々な形状の溝の摩耗量を測定することができる。仮に、測定装置の形状を、本実施形態に係るアダプター10と同様の形状にしたとしても、溝の形状毎に、測定装置を用意しなければならない。これに対して、本実施形態では、測定装置に装着するアダプター10を交換するだけで、様々な形状の溝の測定に対応することができる。
【0041】
アダプター10が溝に設置された状態で、溝の長手方向の支持部2,3の長さ(厚さ)を10mm以上にすれば、測定時に、アダプター10が溝の長手方向にぐらつくのを防止することができる。これにより、測定作業をより実施し易くすることができる。
【0042】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係るアダプター10Aが適用された構成を示す構成図である。
【0043】
アダプター10Aは、2つの溝の摩耗量を測定するための2つの測定部1a,1b、及び、2つのデプスゲージ50を設けたものである。アダプター10Aの基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。ここでは、主に、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0044】
アダプター10Aは、1つのシーブ等の機器に2つの溝が隣接して設けられている場合に用いられる。即ち、アダプター10Aは、図11に示すアダプター10Aの下側部分が2つの溝に合わさるような断面形状の機器に用いられる。
【0045】
アダプター10Aは、2つの測定部1a,1b、第1支持部2、第2支持部3、及び、連結部4を備える。
【0046】
2つの測定部1a,1bは、第1の実施形態に係る測定部1に相当する部分である。各測定部1a,1bは、全く摩耗していない初期状態の2つの溝のそれぞれと面接触する形状の曲面を含む曲面部11a,11bを備える。各測定部1a,1bの内側には、それぞれにデプスゲージ50が装着されるように、デプスゲージ50の嵌合部51と嵌合する凹形状が形成される。その他の点については、測定部1a,1bは、第1の実施形態に係る測定部1と同様である。
【0047】
第1支持部2及び第2支持部3は、第1の実施形態に係る第1支持部2及び第2支持部3にそれぞれ相当する部分である。第1支持部2及び第2支持部3は、隣接する2つの溝の両端にそれぞれ位置する縁の上部に引っ掛けるように接触させる支持面21,31を備える。その他の点については、第1支持部2及び第2支持部3は、第1の実施形態に係る第1支持部2及び第2支持部3とそれぞれ同様である。
【0048】
連結部4は、2つの測定部1a,1bを連結する部分である。連結部4は、どのような形状でもよい。例えば、連結部4の溝側に位置する連結面41は、測定対象の2つの溝の間の縁に接触する形状にしてもよい。この場合、連結部4は、第1支持部2及び第2支持部3と同様に、アダプター10Aを2つの溝に固定するように支持する役割を果たす。
【0049】
なお、ここでは、アダプター10Aを用いる測定対象の溝の数を2つとしたが、3つ以上の隣接する溝の測定に用いるアダプターも同様に構成することができる。
【0050】
本実施形態によれば、隣接する形状の2つの溝に対する摩耗量の測定についても、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係るアダプター10Bが適用された構成を示す構成図である。
【0052】
アダプター10Bは、測定装置よりも大型の溝の摩耗量を測定するために用いられる。アダプター10Bの基本的な構成は、第1の実施形態と同じである。ここでは、主に、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0053】
アダプター10Bは、測定部1B、第1支持部2、及び、第2支持部3を備える。
【0054】
測定部1Bは、第1の実施形態に係る測定部1に相当する部分である。測定部1Bの内側は、デプスゲージ50の全体を包含するように、デプスゲージ50の嵌合部51と嵌合する凹形状が形成される。その他の点については、測定部1Bは、第1の実施形態に係る測定部1と同様である。
【0055】
第1支持部2及び第2支持部3は、第1の実施形態に係る第1支持部2及び第2支持部3と同様に構成される。
【0056】
本実施形態によれば、測定装置よりも大型の溝を測定対象とする場合でも、第1の実施形態と同様の作用効果を有するアダプター10Bを構成することができる。
【0057】
なお、追加の利点及び修正について当業者により容易に生じることがある。したがって、そのより広い態様における本発明は、本明細書に示して説明される特定の詳細で代表的な実施形態に限定されない。したがって、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物により定義される一般的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
1…測定部、2…第1支持部、3…第2支持部、10…アダプター、11…曲面部、12…表面部、13…底面部、21…支持面、22…突起形状部、31…支持面、32…突起形状部、P1…穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12