IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニフコの特許一覧

<>
  • 特開-カップホルダ 図1
  • 特開-カップホルダ 図2
  • 特開-カップホルダ 図3
  • 特開-カップホルダ 図4
  • 特開-カップホルダ 図5
  • 特開-カップホルダ 図6
  • 特開-カップホルダ 図7
  • 特開-カップホルダ 図8
  • 特開-カップホルダ 図9
  • 特開-カップホルダ 図10
  • 特開-カップホルダ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024064697
(43)【公開日】2024-05-14
(54)【発明の名称】カップホルダ
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/10 20060101AFI20240507BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022173468
(22)【出願日】2022-10-28
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100088708
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】相馬 寿昭
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LA02
3B088LB01
(57)【要約】
【課題】収容部に保持された飲料容器が振動等により倒れたときにその倒れ角度ができるだけ小さくして、飲料容器の種類に応じて確実かつ良好に保持できると共に、収容部の深さを大きくすることなく倒れ角度を小さく抑えて見栄え及び使い勝手を向上する。
【解決手段】飲料容器8~10を出し入れする収容部1Aを有したホルダ本体1が飲料容器を前記収容部1Aに入れて収容部底壁23,33で受け止めた状態で保持するカップホルダ1において、収容部1Aは、飲料容器を受け入れる上開口24,34と、飲料容器の底面を受け止める底壁23,33と、前記上開口及び前記底壁の間を形成している側壁22,32とで筒状をなし、前記筒状が前記上開口側の内径と前記底壁側の内径を略同一寸法に形成されていることを特徴としている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を出し入れする収容部を有したホルダ本体が飲料容器を前記収容部に入れて収容部底壁で受け止めた状態で保持するカップホルダにおいて、
前記収容部は、飲料容器を受け入れる上開口と、飲料容器の底面を受け止める底壁と、前記上開口及び前記底壁の間を形成している側壁とで筒状をなし、また、前記上開口側の内径と前記底壁側の内径を略同一寸法の筒状に形成していることを特徴とするカップホルダ。
【請求項2】
前記ホルダ本体は、前記収容部が円筒状であり、第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体にて左右に分割されていることを特徴とした請求項1に記載のカップホルダ。
【請求項3】
前記第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体は、互いの底壁側同士を軸部及び嵌合部の嵌合により回動可能に連結されていると共に、互いの側壁側同士を接近させて爪片及び係合穴の係合により一体化されることを特徴とする請求項2に記載のカップホルダ。
【請求項4】
前記ホルダ本体1が上側に設けられる意匠パネルを有し、前記第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体の一体化状態で、前記爪片に設けられた貫通孔から締結部材を挿入して前記意匠パネル側に共締めしていることを特徴とする請求項3に記載のカップホルダ。
【請求項5】
前記ホルダ本体の前記底壁が略すり鉢状に形成されていることを特徴とする1から4の何れかに記載のカップホルダ。
【請求項6】
前記ホルダ本体が、前記収容部に入れられた飲料容器の周囲部に圧接して該飲料容器の径方向の動きを拘束するアームを有していることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のカップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車室内に装備されて飲料容器(この容器にはペットボトル,コップ,缶などを含む)を収容部に入れて保持するカップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
図11は特許文献1に開示のカップホルダを示し、(a)はホルダ本体をアーム(ホルダ)及び付勢部材を省略した状態で示す斜視図、(b)はホルダ本体の収容部に飲料容器を保持した状態での断面図である。同図のカップホルHは、ホルダ本体10が飲料容器Yを出し入れする収容部(収納部)13を有し、飲料容器(以下、単に容器と称する)Yを収容部13の上開口から入れて収容部の平面状の底壁11で受け止めた状態で保持する。ここで、収容部13は、容器Yを受け入れる上開口と、容器Yの底面を受け止める底壁11と、上開口及び底壁11の間を区画している側壁12とで略筒状をなしている。また、側壁12には、複数箇所にアーム(ホルダ)14を配置する開口部23が設けられている。
【0003】
各開口部23には、アーム14が(b)のごとく軸部31支点として回動可能に枢支されると共に、スプリング40により収容部13内に向かって付勢された状態で配設されている。また、各開口部23には、両側面間に突設されて、アーム14を最大格納位置で移動規制する規制部材32が設けられている。この規制部材32は、アーム14が容器Yを収容部13から引き上げる際に容器のくびれ部に引っ掛かった状態を開放するために使用者がアーム14を指で押し込んだ場合に、開口部23内に押し込まれたアーム14が当たって押し込み方向への移動が規制され、それにより、軸部31に加わる負荷を軽減して軸部の破損を防止できるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-89592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のような従来構造では次のような課題がある。図10はその課題を説明するための模式図である。同図のホルダ本体10Aは、収容部8及び収容部8の上側に一体化された意匠パネル9を有している。収容部8は、側壁8bが平面状の底壁8aから上開口8cに行くに従って径大となる。意匠パネル9は、側壁9bが側壁8bと連続していると共に、上開口9cがフランジ9aにより縁取りされている。このような従来構造では、まず、ホルダ本体を樹脂の射出成形により作成する場合だと、同(a)から分かるごとく側壁が型抜き勾配の関係で上に行くに従って径大、つまり外側へ大きく傾いている。このため、ペットボトルAが破線で示したごとく振動等で倒れた場合を想定し、倒れ角度が余り大きくならないよう抑制する必要がある。換言すると、ボルトの倒れ角度は、上開口から底壁までの深さに比例して小さくなるため、許容される倒れ角度に対応する深さL1に設定しているが、深さL1を浅くなるよう設計し難い。そのため、同(b)のごとくカップBを出し入れする場合、人の指がカップに掛かりづらくなるため出し入れ性や使い勝手も悪かった。
【0006】
また、従来構造では、収容部が容器を受け止める底壁を水平状に形成しいるため、急ブレーキ等で保持している容器に強い慣性が加わると、容器が可動して打音が発生し易かった。この点は、容器が文献1のごとく複数のアームにより付勢されている場合にも生じることも多く、容器の不用意な可動を極力防ぐようにしたい。
【0007】
本発明の目的は、以上のような課題を解消して、容器の倒れ角度が大きくならないようにして色々な容器を安定して保持でき、引いては見栄えを維持しながら使い勝手を向上することにある。他の目的は以下の内容説明の中で明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、図面を参照して特定すると、飲料容器A~Cを出し入れする収容部1Aを有したホルダ本体1が飲料容器を前記収容部に入れて収容部底壁23,33で受け止めた状態で保持するカップホルダにおいて、前記収容部1Aは、飲料容器を受け入れる上開口24,34と、飲料容器の底面を受け止める底壁23,33と、前記上開口及び前記底壁の間を形成している側壁22,32とで筒状をなし、また、前記上開口側の内径と前記底壁側の内径を略同一寸法の筒状に形成していることを特徴としている。
【0009】
以上の本発明は次のように具体化されることがより好ましい。
(ア)、前記ホルダ本体は、前記収容部が円筒状であり、第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体にて左右に分割されている構成である(請求項2)。
(イ)、前記第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体は、互いの底壁側同士を軸部と嵌合部の嵌合により回動可能に連結されていると共に、互いの側壁側同士を接近させて爪片及び係合穴の係合により一体化される構成である(請求項3)。
【0010】
(ウ)、前記ホルダ本体が上側に組み付けられる意匠パネルを有し、前記第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体の一体化状態で、前記爪片に設けられた貫通孔から締結部材を挿入して前記意匠パネル側に共締めしている構成である(請求項4)。
【0011】
(エ)、前記ホルダ本体の前記底壁が略すり鉢状に形成されている構成である(請求項5)。
(オ)、前記ホルダ本体は、前記収容部に入れられた飲料容器の周囲部に圧接して該飲料容器の径方向の動きを拘束可能にするアームを有している構成である(請求項6)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、収容部が従来に比べて上開口側の内径と底壁側の内径を略同一寸法の筒状に形成、つまり側壁が垂直面となっているため容器の倒れ角度を抑制でき、その結果、容器の倒れ角度を抑制して色々な容器を安定して保持でき、引いては見栄えを維持しながら使い勝手を向上できる。
【0013】
請求項2の発明では、収容部が円筒状であり、第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体にて左右に分割されているため、上開口側の内径と底壁側の内径を略同一寸法の筒状に確実に形成できる。
【0014】
請求項3の発明では、第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体が互いの底壁側同士を軸部と嵌合部の嵌合により回動可能に連結され、互いの側壁側同士を接近させて爪片及び係合穴の係合により一体化されるため部材数を増やすことなく、容易に作成できる。
【0015】
請求項4の発明では、請求項3の場合だと、作成後の経時変化により分割部にガタツキが発生したり大きな負荷により係合が外れる虞があるが、ねじ等の締結部材で共締めすることでガタツキの発生や不用意な外れを確実に防止できる。
【0016】
請求項5の発明では、容器が図9のごとく振動等によりすり鉢形状に合わせて落ち込んだ状態で傾くため、高さ寸法Lを抑えながら容器の当たり倒れ角度を抑制することが可能となる。
【0017】
請求項6の発明では、ホルダ本体が収容部に挿入された容器の周囲部に圧接して該飲料容器の径方向の動きを拘束するアームを有しているため、保持している容器が急ブレーキ等により大きな負荷や振動を受けても倒れに難い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は本発明形態のカップホルダの斜視図、(b)はアーム及び付勢部材を示す斜視図である。
図2】(a)と(b)は上記カップホルダの上面図と正面図、(c)はアーム及び付勢部材を省略した状態での下面図である。
図3】(a)と(b)は図2のA-A線矢視断面図とB-B線矢視断面図、(c)は(b)のC部拡大図である。
図4】(a)と(b)は第1ホルダ半体及び第2ホルダ半体の分割状態と連結状態での斜視図である。
図5図4(b)のX方向から見た模式図である。
図6】(a)は図5のD-D線に沿った模式部分断面図、(b)は(a)の状態から第2ホルダ半体を第1ホルダ半体側へ回動して一体化した模式部分断面図である。
図7】(a)は図5のE-E線に沿った模式部分断面図、(b)は(a)の状態から第2ホルダ半体を第1ホルダ半体側に回動して一体化した模式部分断面図である。
図8】(a)はアームが負荷を受けていない状態と受けた状態を示す断面図、(b)はアームが負荷を受けて開口部内に退避した状態を示す断面図、(c)はアームが上向きの応力を受けて上側を退避方向へ回動した状態を示す断面図である。
図9】(a)と(b)は本発明のすり鉢状の底壁の作動を示した模式図である。
図10】(a)と(b)は従来の水平状の底壁の作動を示した模式図である。
図11】(a)と(b)は特許文献1の図2図5(a)を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のカップホルダの形態例を図面を参照しつつ説明する。この説明では、カップホルダの構造を明らかにした後、主な作動に言及する。
【0020】
(構造)形態例のカップホルダは、図1図9に示されるごとく飲料容器を出し入れする2つの筒状収容部1Aを有したホルダ本体1が飲料容器を収容部1Aに入れて収容部底壁23,33で受け止めた状態で保持するタイプである。主な工夫点は、ホルダ本体1が第1ホルダ半体2及び第2ホルダ半体3にて左右に分割されている点、各収容部1Aが飲料容器を受け入れる上開口24,34及び飲料容器の底面を受け止める底壁23,33並びに上開口24,34と底壁23,33の間を形成している側壁22,32とで円筒状をなしている点、ホルダ本体1が上側に組み付けられる意匠パネル4を有し、第1ホルダ半体2及び第2ホルダ半体3の係合を伴った一体化状態で締結部材7により意匠パネル側に共締めされる点、ホルダ本体1の底壁23,33が略すり鉢状に形成されている点にある。以下、これらの細部構成を明らかにする。
【0021】
なお、対象のカップホルダは、特許文献1と同様に例えば自動車の車室内に装備されるセンタコンソール等の各種コンソールに埋設状態に組み込まれるものであるが、設置箇所及び配置態様については特に制約されない。
【0022】
ここで、第1ホルダ半体2と第2ホルダ半体3は、図1~7に示されるごとく樹脂の射出成形体からなり、互いの底壁23,33側を軸部25,26と嵌合部35,36の嵌合により回動可能に連結し、また、互いの側壁22,23の前後端部20,30側を接近させて爪片37の先端の爪37aと係合穴20dの係合により一体化される。また、第1ホルダ半体2と第2ホルダ半体3は、間に仕切部21,31を挟んで2つの収容部1Aを区画可能な形状であり、各収容部1Aに対応して容器を受け入れる上開口24,34及び容器底面を受け止める底壁23,33並びに上開口24,34と底壁23,33の間を形成している側壁22,32とを有している。また、仕切部21,31は、両ホルダ半体2,3の一体化状態において、両収容部1Aを連通するよう段差部21a,31aを内側に形成している。
【0023】
前後端部20,30は、図4及び図3に示されるごとく上側に設けられた凹部20a,30aと、凹部20a,30aの底面20b,30bと、底面20b,30bの下側に設けられた空洞20c,30cとを有している。また、底面20bには、図3(c)のごとく爪37aと係合する係合穴20dと、締結部材7を挿通する挿通孔20eとが設けられている。前後端部20には、底面20bより下側へ貫通した矩形窓20fが設けられている。一方、前後端部30には、窓20fに対応した箇所に爪片37が突設されている。爪片37は、図4(a)のごとく先端上面側に突設された爪37aと、両側に設けられた弾性脚37bと、爪37aの手前に設けられた貫通孔37cとを有している。
【0024】
各側壁22,32には、前後端部20,30と仕切部21,31の間に2つの開口部22a,32aが設けられている。各開口部22a,32aは、アーム5を揺動可能に配置する箇所であり、図4(a)のごとく対向内面にそれぞれ設けられた一対の軸部28,38と、図8のごとく付勢部材6の他端6bを掛け止める係止部29a(開口部32a側の係止部39aは省略した)とを有している。符号29,39は開口部22a,32aの両側に対向して突出された縦板である。軸部28,38はその縦板29,39に突設されている。なお、仕切部21,31は両側の側面を縦板に代用している(図4を参照)。
【0025】
各底壁23,33は、図3(a)に示されるごとくホルダ半体2,3同士が一体化された状態ですり鉢状となる形状に設定されている。つまり、収容部1Aの底壁23,33は、容器の底面を受け止める箇所であり、ホルダ半体2,3同士が一体化された状態で容器をすり鉢状の的位置で保持する。図9はその一例を示しており、(a)のごとくベッドボトルAを受け止める箇所、(b)のごとくカップBや缶Cを受け止める箇所、つまり容器の底面側の径が小さくなるほどすり鉢状の下側で受け止められる。
【0026】
以上の第1ホルダ半体2及び第2ホルダ半体3は、互いの底壁側同士を軸部25,26と嵌合部35,36の嵌合により回動可能に連結され、その後、上記したごとく互いの側壁22,32側同士を接近させて爪37aと係合穴20dの係合により一体化される。すなわち、軸部25,26は、図4図7に示されるごとく第1ホルダ本体2の底部23より下端側の3カ所に凹所20cを設け、各凹所20c内に中間の長い軸部25とその両側の短い軸部26を組として設けられている。軸部25,26の真上には隙間20cが設定されている。その隙間20cには片状の嵌合部35,36が挿入される。
【0027】
すなわち、第2ホルダ半体3は、第1ホルダ半体2に対し中間の片状嵌合部35が図7(a)のごとく隙間20cに向け、両側の片状嵌合部36が対応する隙間20cに嵌入されることで回動可能に連結される。その後、第2ホルダ半体3は、図7(b)のごとく軸部25,26を支点として第1ホルダ半体2の方向に略90度回動されると、片状の嵌合部35が隙間20cに嵌合し、片状の嵌合部36が隙間20cを通って軸部26の背面側に嵌合する。同時に、両ホルダ半体2,3は、爪片37が窓20fに進入し、両側の弾性脚37bが弾性変位を伴って窓20fに入ると、挿入完了により元の状態に復元して窓20fから不用意に抜けないよう規制され、また、上記したごとく爪37aが係合穴20dに係合により一体化されてホルダ本体1となる。
【0028】
以上のホルダ本体1には、意匠パネル4が上部に装着されると共に、アーム5及び付勢部材6が各開口部22a,32aに組み付けられる。意匠パネル4は、樹脂成形品であり、図1に示されるごとく板部40と、両側の端面41と、前後の端面42と、板部40に設けられた2つの開口43と、各開口43を連通する段差部21a,31aに対応した連通部44とを有している。また、裏面には、図2(a)及び図3(b),(c)のごとく左右に突設された筒部44及びボス45と、中間部に突設された左右の筒部44とを少なくとも有している。つまり、筒部44とボス45は必要に応じて更に多く設けてもよい。
【0029】
そして、以上の意匠パネル4は、ホルダ本体1の上に位置決め配置された状態から、図3(b),(c)のごとく締結部材7が爪片の貫通孔37cから凹部20aの底面20bに設けられた挿通孔20eから筒部44に螺入されることで各ホルダ半体2,3を意匠パネル4に共締めする。加えて、各ホルダ半体2,3は、意匠パネル4に対し締結部材7が仕切部21,31の凹部21a,31aの底面21b,31bに設けられた貫通孔21c,31cから対応する筒部44に螺入されることで強固に固定される。ボス45は、凹部30aの底面30bに当接することでガタ付きを防止する。なお、締結部材7としてはタッピングねじが好ましい。
【0030】
これに対し、アーム5は、図1(b)及び図8に示されるごとく、開口部22a、32aに対応した大きさからなり、概略形状が側面視で略二等辺三角形に形成されており、上辺部51と下辺部52とが交わる頂部53と、上辺部51の端部を略水平に延長した延長部50を有している。この延長部50は、断面略コ形状をなし、コ形の両壁54に長溝54aを対向して形成している。また、アーム5は、両壁54の上辺部51側の下方に設けられて付勢部材6の一端6aを係止する係止部56を有している。
【0031】
以上のアーム5は、開口部22aに突出された左右の軸部28又は開口部32aに突出された左右の軸部38を対応する長溝54aに摺動自在に嵌合した状態に保持される。その際、付勢部材6は、各軸部28又は各軸部38に中間の巻線部を嵌合した状態に組み込まれる。そして、付勢部材6は、一端6aが係止部56に係止され、他端6が付勢力に抗して開口部22a側の係止部29a又は開口部32a側の不図示の係止部39aに係止される。
【0032】
(作動)次に、以上のカップホルダの主な作動を図8図10を参照して明らかにする。図8はアームの作動を示し、図9は形態例の収容部1Aを模式的に示し、図10は従来の収容部10Aを模試的に示している。
【0033】
(1)、上記形態例のカップホルダでは、図9から明らかなごとく収容部1Aが上開口側の内径と底壁23,33側の内径を略同一寸法の円筒状、つまり側壁22,33が垂直面となっている。この点は、図10の従来の収容部10Aだと、側壁8bが型抜き勾配の関係で上に行くに従って径大つまり外側へ大きく傾いているため、ペットボトルAが破線で示したごとく振動等で倒れた場合を想定し、その倒れ角度が余り大きくならないよう深さL1を設定している。その結果、従来の収容部10Aでは、ペッドボトルAの倒れ角を図9と同じに設定すると、収容部10Aの深さL1が図9の収容部1Aの深さLよりも大きくつまりL1>Lとなり、見栄え及び使い勝手が悪くなる。また、従来の収容部10Aと形態例の収容部1Aでは、L1>Lとなるため、ペッドボトルAのうち収容部の外に露出する部分の長さは収容部10Aの露出部分M1が図9の収容部1Aの露出部分Mより小さくつまりM>M1となり、収容部1Aの方が手で持ち上げ易くなる。
【0034】
また、形態例のカップホルダは、図9(b)と図10(b)の比較から分かるごとく収容部1A,10AにカップBを出し入れする場合、従来の収容部10Aでは、形態例の収容部1Aに比べて人の指がカップBに掛かりづらくなるため出し入れ性に欠け、信頼性に欠けるものとなる。形態例の収容部1Aはそのような不具合も解消し易いものとなる。
【0035】
(2)、形態例のカップホルダでは、収容部1Aが円筒状であり、第1ホルダ半体2及び第2ホルダ半体3にて左右に分割されているため、側壁32として上開口側の内径と底壁側の内径を略同一寸法の円筒状に確実に形成できる。また、この形態例では、第1ホルダ半体2及び第2ホルダ半体3が互いの底壁23,33側同士を軸部25,26と嵌合部35,36の嵌合により回動可能に連結され、互いの側壁22,32同士を接近させて爪片37及び係合穴20dの係合により一体化されるため部材数を増やすことなく、容易に作成可能となる。なお、このように係合構造により一体化する構成では、作成後の経時変化により分割部にガタツキが発生したり大きな負荷により係合が外れる虞がある。このような虞は、形態例のごとく各ホルダ半体を一体化した状態において、各ホルダ半体2,3をねじ等の締結部材7で意匠パネル4側に共締めすることでガタツキの発生や不用意な外れを確実に防止でき、信頼性を向上できる。
【0036】
(3)、形態例のカップホルダでは、収容部1Aの底壁23,33が一体化した状態ですり鉢状に形成されているため、図9(a)のごとくペッドボトルAが振動等によりすり鉢形状に対応した角度で傾くため、高さ寸法Lを抑えながらペッドボトルAの倒れ角度を抑制可能となる。また、図9(b)と図10(b)の比較から推察されるごとく、カップBや缶Cなど飲料容器は形態例の様なすり鉢状の的位置に保持する方が10(b)の様な水平面に保持する場合よりも動き難く、動きに対する抵抗が大きくなることからも保持特性に優れている。
【0037】
(4)、上記形態例では、収容部1Aに挿入された飲料容器の周囲部に圧接して該飲料容器の径方向の動きを拘束する複数のアーム5を有しているため、飲料容器が急ブレーキ等により大きな負荷や振動を受けても倒れに難いものとなる。詳述すると、図8において、(a)の実線はアーム5が容器側から負荷を受けていない状態を示し、(a)の破線はアーム5が容器側から負荷を受けた状態を示している。実線で示しているのアーム5は飲料容器から負荷が加わっていない初期状態である。この状態から飲料容器が収容部に挿入されると、破線で示したごとく飲料容器がアーム5の上側の傾斜部51に当たり、アーム5がその負荷により軸部28,38を支点として時計回りに回動される。図8(b)はアーム5が容器側から受ける負荷で最大まで回動して開口部22a内に退避した示している。図8(c)は例えば不図示のペッドボトルをアーム5で径方向に拘束した状態から、ペッドボトルを引き出す場合を想定しており、ペッドボトルの径小となったくびれ部(図9(a)の符号dで示す箇所)にアーム5の頂部53が嵌合したようなときの作動を示している。このときは、アーム5が上側を開口部22の奥へ押されて、軸部28が長溝54aの反対側の端部まで移動することでペッドボトルの引抜きが可能となる。
【0038】
なお、本発明は、請求項で特定した構成を備えておればよく、細部は必要に応じて種々変更可能なものである。例えば、アーム及び付勢部材を省略したり、また、付勢部材を板ばねなどに変更することも可能である。また、収容部1Aの筒状の径は、ペットボトルA、コップB、缶Cなど一般的に提供される飲料容器のうち、比較的大型の容器外径より若干大きく設定されている。勿論、収容部1Aは、飲料容器が円筒状以外の形状であっても保持可能である。
【符号の説明】
【0039】
1・・・・・・・・・ホルダ本体(1Aは収容部)
1A・・・・・・・・収容部
2・・・・・・・・・第1ホルダ半体(22は側壁、23は底壁、24は上開口)
3・・・・・・・・・第2ホルダ半体(32は側壁、33は底壁、34は上開口)
4・・・・・・・・・意匠パネル(40は板部、43は開口、44は連通部)
5・・・・・・・・・アーム(51と52は傾斜部、54aは長溝、56は係止部)
6・・・・・・・・・付勢部材(6aは一端、6bは他端)
7・・・・・・・・・締結部材
8・・・・・・・・・従来のホルダ本体
9・・・・・・・・・従来の意匠パネル
10A・・・・・・・従来の収容部
20d・・・・・・・係合穴
20,30・・・・・前後端部
25と26・・・・・軸部
22a,32a・・・開口部
35と36・・・・・嵌合部
37・・・・・・・・爪片(37aは爪、37bは弾性脚、37cは貫通孔)
A・・・・・・・・・ペットボトル(飲料容器)
B・・・・・・・・・カップ(飲料容器)
C・・・・・・・・・缶(飲料容器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11