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特開2024-647材料試験機、及び材料試験機の表示制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000647
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】材料試験機、及び材料試験機の表示制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/06 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G01N3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099455
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 英一
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB03
2G061BA04
2G061CB02
2G061EA01
2G061EA02
2G061EA04
2G061EB03
2G061EB04
2G061EB05
2G061EC02
2G061EC04
2G061EC07
(57)【要約】
【課題】材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を確認可能にする。
【解決手段】引張試験機1は、表示機構65を備え、平均速度SAを表示機構65に表示する引張試験機1であって、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDのうちの1つのセンサー値である第1センサー値D1について、平均速度SAの算出範囲を規定する始点SPと終点EPとを、予め指定する指定部611と、引張試験を実行中に、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDを取得する第2取得部612と、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDのうちの1つのセンサー値である第2センサー値D2について、前記算出範囲における平均速度SAを算出する算出部614と、平均速度SAを表示機構65に表示する出力制御部615と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示機構を備え、平均速度を前記表示機構に表示する材料試験機であって、
複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する指定部と、
材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得する取得部と、
前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する算出部と、
前記平均速度を前記表示機構に表示する表示制御部と、
を備える、材料試験機。
【請求項2】
前記第2センサー値は、前記第1センサー値と相違する、
請求項1に記載の材料試験機。
【請求項3】
試験力を検出する試験力センサー、変位を検出する変位センサー、及び、試験片の歪みを検出する歪みセンサーを備え、
前記複数のセンサー値は、前記試験力センサーが検出した試験力検出値、前記変位センサーが検出した変位検出値、及び、前記歪みセンサーが検出した歪み検出値を含む、
請求項1又は請求項2に記載の材料試験機。
【請求項4】
前記第1センサー値が前記歪み検出値である場合に、前記指定部は、前記終点をユーザーからの前記歪みセンサーを前記試験片から取り外す操作に応じて指定する、
請求項3に記載の材料試験機。
【請求項5】
前記算出部は、前記試験力検出値から前記試験片に作用する応力を算出し、前記算出範囲における前記応力の平均速度を算出する、
請求項3に記載の材料試験機。
【請求項6】
前記試験片の破断を検出する検出部を備え、
前記指定部は、前記終点を前記検出部が前記試験片の破断を検出したときに指定する、
請求項3に記載の材料試験機。
【請求項7】
制御装置と表示機構とを備え、平均速度を前記表示機構に表示する材料試験機の表示制御方法であって、
前記制御装置が、
複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する指定ステップと、
材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得する取得ステップと、
前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する算出ステップと、
前記平均速度を前記表示機構に表示する表示制御ステップと、
を含む、材料試験機の表示制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料試験機、及び材料試験機の表示制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料試験機の本体制御装置にパーソナルコンピュータを接続して、パーソナルコンピュータが種々の情報を表示機構に表示する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、本体制御装置に通信可能に接続され、パーソナルコンピュータにインストールされ、メモリに記憶されているプログラムの機能ブロックとして、材料特性の評価に用いるデータ域に重畳する固有振動の振幅を検出する振幅検出部と、固有振動の振幅値や試験結果の表示機構への表示を制御する表示制御部と、を備えるパーソナルコンピュータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-132768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の材料試験機では、ユーザーが所望する範囲における試験力速度、変位速度、歪み速度等の平均速度を算出する必要がある場合には、試験力検出値、変位検出値、歪み検出値等の検出データを加工することによって、ユーザーが算出する必要があった。
また、材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を確認することができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を確認することの可能な材料試験機、及び材料試験機の表示制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る材料試験機は、表示機構を備え、平均速度を前記表示機構に表示する材料試験機であって、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する指定部と、材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得する取得部と、前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する算出部と、前記平均速度を前記表示機構に表示する表示制御部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様に係る材料試験機の表示制御方法は、制御装置と表示機構とを備え、平均速度を前記表示機構に表示する材料試験機の表示制御方法であって、前記制御装置が、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する指定ステップと、材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得する取得ステップと、前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する算出ステップと、前記平均速度を前記表示機構に表示する表示制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1態様に係る材料試験機、及び本発明の第2態様に係る材料試験機の表示制御方法は、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する。そして、材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得し、前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する。また、算出された平均速度を表示機構に表示する。
したがって、材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る引張試験機の構成の一例を示す図である。
図2】本体制御装置、及び表示制御装置の構成の一例を示す図である。
図3】平均速度設定画面の一例を示す画面図である。
図4】算出範囲設定画面の一例を示す画面図である。
図5】算出範囲設定画面のプルダウンメニューの一例を示す画面図である。
図6】印刷画像の一例を示す図である。
図7】表示制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0011】
[1.引張試験機の構成]
図1は、本実施形態に係る引張試験機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態の引張試験機1は、試験片TPに試験力Fを与えて、試料の引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する引張試験を行う。試験力Fは、引張力である。
引張試験機1は、試験対象の材料である試験片TPに試験力Fを与えて引張試験を行う試験機本体2と、試験機本体2による引張試験動作を制御する制御ユニット3と、表示制御装置60と、を備える。
なお、引張試験機1は、「材料試験機」の一例に対応する。
【0012】
図1に示すように、試験機本体2は、基台26上に、一対の支柱28,29と、ヨーク13と、によって負荷枠を形成し、支柱28,29に、クロスヘッド10を固定して構成される。
【0013】
基台26には、油圧アクチュエータ18が配置され、油圧アクチュエータ18のピストンロッド181には、試験片TPの下端部を把持する下つかみ具22が取り付けられる。また、クロスヘッド10には、ロードセル14を介して、試験片TPの上端部を把持する上つかみ具21が取り付けられる。
【0014】
油圧アクチュエータ18は、サーボ弁20によって、圧油方向と圧油量とが制御されて、ピストンロッド181が伸縮する。その結果、上つかみ具21と下つかみ具22との間隔が伸縮し、上つかみ具21と下つかみ具22との間に固定された試験片TPに試験力Fが印加される。また、油圧アクチュエータ18のストローク、すなわち試験片TPの変位は、油圧アクチュエータ18に取り付けられた差動トランス19によって検出される。
【0015】
ロードセル14は、試験片TPに与えられる引張荷重である試験力Fを測定し、試験力測定信号SG1を制御ユニット3に出力するセンサーである。
ロードセル14は、「試験力センサー」の一例に対応する。
差動トランス19は、試験片TPの変位量を測定し、変位量に応じた変位測定信号SG2を制御ユニット3に出力するセンサーである。
差動トランス19は、「変位センサー」の一例に対応する。
【0016】
試験片TPには、歪みセンサー15が配置される。試験片TPは、例えば、中央がくびれて形成されたダンベル型試験片が用いられる。歪みセンサー15は、試験片TPの1対の標点の間の距離を測定することによって、歪み検出値EDを測定し、歪み測定信号SG3を制御ユニット3に出力するセンサーである。1対の標点は、試験片TPがくびれた領域の上部と下部とに配置される。歪み検出値EDは、試験片TPの伸び量を示す。
また、ユーザーからの歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作を本体制御装置50が受け付けた場合に、歪みセンサー15は、本体制御装置50からの指示に従って、試験片TPから取り外される。ユーザーからの歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作は、例えば、図略の操作ボタンを押下する操作である。
【0017】
制御ユニット3は、信号入出力装置40と、本体制御装置50と、を備える。
信号入出力装置40は、試験機本体2との間で信号を送受信する入出力インターフェース回路を構成するものであり、本実施形態では、第1センサアンプ42と、第2センサアンプ45と、第3センサアンプ43と、サーボアンプ44とを有する。
第1センサアンプ42は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1を増幅して試験力検出値FDを生成し、試験力検出値FDを本体制御装置50に出力する増幅器である。
第2センサアンプ45は、歪みセンサー15が出力する歪み測定信号SG3を増幅して歪み検出値EDを生成し、歪み検出値EDを本体制御装置50に出力する増幅器である。
第3センサアンプ43は、差動トランス19が出力する変位測定信号SG2を増幅して変位検出値XDを示す変位測定信号A3を本体制御装置50にデジタル信号で出力する。
サーボアンプ44は、本体制御装置50の制御に従って、サーボ弁20を制御する装置である。本体制御装置50は、変位検出値XDの指令値dXを演算し、指令値dXを示す指令信号A4をサーボ弁20に対して送信する。
試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDは、「複数のセンサー値」の一例に対応する。
なお、差動トランス19は、油圧アクチュエータ18のピストンロッド181のストロークを検出するため、変位検出値XDは、「ストローク検出値」と記載してもよい。この場合には、第3センサアンプ43は、差動トランス19が出力する「ストローク測定信号」を増幅して「ストローク検出値」を示す「ストローク測定信号」を本体制御装置50にデジタル信号で出力する。
【0018】
本体制御装置50は、ユーザーからの操作に基づき、試験機本体2の動作を制御する。また、本体制御装置50は、試験機本体2に引張試験を実行させる。
本実施形態において、「ユーザー」は、試験機本体2を操作する作業者を含む。
【0019】
本体制御装置50は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のストレージ装置と、信号入出力装置40とのインターフェース回路と、各種の電子回路と、を有するコンピュータを備える。
また、信号入出力装置40とのインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号SG1、歪み測定信号SG3及び変位測定信号SG2がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
【0020】
表示制御装置60は、本体制御装置50と通信可能に接続され、種々の情報を表示する。また、表示制御装置60は、プリンターPRに接続され、表示制御装置60は、プリンターPRに種々の画像を印刷させる。
【0021】
[2.本体制御装置の構成]
次に、図2を参照して、本体制御装置50及び表示制御装置60の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る本体制御装置50及び表示制御装置60の構成の一例を示す図である。
本体制御装置50は、例えば、パーソナルコンピュータで構成される。本体制御装置50は、第1制御部50Aと、第1通信インターフェース53と、第1操作機構54と、を備える。また、第1制御部50Aは、第1プロセッサ51と、第1メモリ52と、を備える。
第1プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等で構成される。
第1メモリ52は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成される。第1メモリ52は、第1制御プログラム521を記憶する。
【0022】
第1通信インターフェース53は、表示制御装置60と、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に従って通信を実行する通信インターフェースである。第1通信インターフェース53は、USBケーブルを接続するコネクター、及びコネクターを伝送される信号を処理するインターフェース回路を備える。第1通信インターフェース53は、コネクター及びインターフェース回路を有するインターフェース基板であり、本体制御装置50の第1プロセッサ51等が実装されるメイン基板に接続される。或いは、第1通信インターフェース53を構成するコネクター及びインターフェース回路が、第1プロセッサ51のメイン基板に実装される。第1通信インターフェース53は、表示制御装置60に対して、種々の情報を送信する。
【0023】
第1操作機構54は、種々のボタン、キー等を備え、ユーザーからの操作を受け付ける。また、第1操作機構54は、受け付けた操作に対応する操作信号を生成し、生成した操作信号を第1プロセッサ51へ出力する。
第1操作機構54は、例えば、ユーザーからの歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作を受け付ける。
【0024】
なお、本体制御装置50は、パーソナルコンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1つ又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。また、本体制御装置50は、例えば、タブレット端末、又はスマートフォン等で構成されてもよい。
また、本体制御装置50は、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等、プログラムされたハードウェアを備えてもよい。また、本体制御装置50は、SoC(System-on-a-Chip)-FPGAを備えてもよい。
【0025】
図2に示すように、本体制御装置50は、試験実行部511と、第1取得部512と、第1通信制御部513と、試験条件記憶部522と、を備える。
具体的には、第1プロセッサ51が、第1メモリ52に記憶された第1制御プログラム521を実行することによって、試験実行部511、第1取得部512、及び第1通信制御部513、として機能する。また、第1プロセッサ51が、第1メモリ52に記憶された第1制御プログラム521を実行することによって、第1メモリ52を、試験条件記憶部522として機能させる。
【0026】
試験条件記憶部522は、試験機本体2に実行させる引張試験の試験条件を記憶する。本実施形態では、試験条件が試験条件記憶部522に予め記憶される場合について説明する。
【0027】
試験実行部511は、試験条件記憶部522から試験条件を読み出して、読み出された試験条件に従って、試験機本体2に引張試験を実行させる。
また、第1操作機構54が、ユーザーからの歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作を受け付けた場合に、試験実行部511は、歪みセンサー15を試験片TPから取り外す動作を実行させる。歪みセンサー15を試験片TPから取り外す動作は、例えば、歪みセンサー15を試験片TPの一対の標点に取り付ける一対の挟み具を開放する動作である。
また、第1通信制御部513が破断検出情報JBを表示制御装置60から受信した場合には、試験実行部511は、試験機本体2による引張試験の実行を終了させる。
【0028】
第1取得部512は、試験機本体2が引張試験を実行中に、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDを取得する。
【0029】
第1通信制御部513は、第1通信インターフェース53に、表示制御装置60との間の通信を実行させる。第1通信制御部513は、例えば、表示制御装置60からの指示に従って、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDを表示制御装置60へ送信する。
また、第1通信制御部513は、試験実行部511が試験機本体2に引張試験の実行を開始させたときに、試験開始情報JSを表示制御装置60へ送信する。また、第1通信制御部513は、試験実行部511が試験機本体2に引張試験の実行を終了させたときに、試験終了情報JEを表示制御装置60へ送信する。
また、第1通信制御部513は、表示制御装置60から破断検出情報JBを受信する。破断検出情報JBは、試験片TPが破断したことを示す。
破断検出情報JBについては、表示制御装置60の構成において更に説明する。
【0030】
[3.表示制御装置の構成]
次に、図2を参照して、表示制御装置60の構成について説明する。
表示制御装置60は、例えば、パーソナルコンピュータで構成される。表示制御装置60は、第2制御部60Aと、第2通信インターフェース63と、第2操作機構64と、表示機構65と、を備える。第2制御部60Aは、第2プロセッサ61と、第2メモリ62と、を備える。
第2プロセッサ61は、CPU、MPU等で構成される。
第2メモリ62は、ROM、RAM等で構成される。第2メモリ62は、第2制御プログラム621を記憶する。
第2制御部60Aは、「制御装置」の一例に対応する。
【0031】
本実施形態では、表示制御装置60がパーソナルコンピュータで構成される場合について説明するが、これに限定されない。表示制御装置60が、例えば、タブレット端末、又はスマートフォン等で構成されてもよい。
【0032】
第2通信インターフェース63は、本体制御装置50と、例えば、USB規格に従って通信を実行する通信インターフェースである。第2通信インターフェース63は、USBケーブルを接続するコネクター、及びコネクターを伝送される信号を処理するインターフェース回路を備える。第2通信インターフェース63は、コネクター及びインターフェース回路を有するインターフェース基板であり、表示制御装置60の第2プロセッサ61等が実装されるメイン基板に接続される。或いは、第2通信インターフェース63を構成するコネクター及びインターフェース回路が、第2プロセッサ61のメイン基板に実装される。第2通信インターフェース63は、本体制御装置50から、種々の情報を受信する。
【0033】
本実施形態では、本体制御装置50と表示制御装置60とがUSB規格に従って通信を実行する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、本体制御装置50と表示制御装置60とがEthernet(登録商標)等の規格に従って通信を実行してもよい。また、例えば、本体制御装置50と表示制御装置60とがBluetooth(登録商標)等の規格に従って無線通信を実行してもよい。
【0034】
第2操作機構64は、種々のボタン、キー等を備え、ユーザーからの操作を受け付ける。また、第2操作機構64は、受け付けた操作に対応する操作信号を生成し、生成した操作信号を第2プロセッサ61へ出力する。第2操作機構64は、例えば、キーボードと、マウスと、を備える。
第2操作機構64は、例えば、平均速度設定画面700、及び算出範囲設定画面800に対するユーザーからの操作を受け付ける。
平均速度設定画面700については、図3を参照して更に説明する。
算出範囲設定画面800については、図4を参照して更に説明する。
【0035】
表示機構65は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、LCDに種々の画像を表示する。表示機構65は、例えば、出力制御部615からの指示に従って、例えば、平均速度設定画面700、及び算出範囲設定画面800をLCDに表示する。
【0036】
表示制御装置60は、指定部611と、第2取得部612と、検出部613と、算出部614と、出力制御部615と、センサー値記憶部622と、を備える。
具体的には、第2プロセッサ61が、第2メモリ62に記憶された第2制御プログラム621を実行することによって、指定部611、第2取得部612、検出部613、算出部614、及び出力制御部615として機能する。また、第2プロセッサ61が、第2メモリ62に記憶された第2制御プログラム621を実行することによって、第2メモリ62を、センサー値記憶部622として機能させる。
【0037】
センサー値記憶部622は、第2取得部612が取得したセンサー値を記憶する。センサー値記憶部622は、例えば、試験力検出値FD、歪み検出値ED、変位検出値XD、及び応力σを互いに対応付けて記憶する。センサー値記憶部622は、例えば、試験力検出値FD、歪み検出値ED、変位検出値XD、及び応力σの各々を、試験開始からの経過時間Tに対応付けて記憶する。なお、応力σは、算出部614によって算出される。
【0038】
指定部611は、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値D1について、平均速度SAの算出範囲RGを規定する始点SPと終点EPとを、予め指定する。
本実施形態では、「複数のセンサー値」は、例えば、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDである。第1センサー値D1は、例えば、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDのうちのいずれかである。
また、「予め指定する」の「予め」とは、例えば、試験機本体2が引張試験の実行を開始する前のタイミングを示す。
【0039】
指定部611は、例えば、第2操作機構64を介して、ユーザーからの指示を受け付けて、受け付けた指示に基づいて、第1センサー値D1について、平均速度SAの算出範囲RGを規定する始点SPと終点EPとを指定する。算出範囲RGは、始点SPから終点EPまでの範囲である。
指定部611による始点SP及び終点EPの指定方法については、図4に示す算出範囲設定画面800を参照して説明する。
【0040】
なお、指定部611は、終点EPをユーザーからの歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作に応じて指定してもよい。歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作は、第1操作機構54によって受け付けられる。また、歪みセンサー15を試験片TPから取り外す操作が受け付けられたことを示す操作情報JRが、第1通信インターフェース53及び第2通信インターフェース63を介して、本体制御装置50から表示制御装置60へ伝送される。
また、指定部611は、検出部613が試験片TPの破断を検出した時点を、終点EPとして指定してもよい。
【0041】
また、指定部611は、算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2を、予め指定する。
指定部611は、例えば、第2操作機構64を介して、ユーザーからの指示を受け付けて、受け付けた指示に基づいて、平均速度SAを算出する第2センサー値D2を、指定する。本実施形態では、第2センサー値D2は、試験力検出値FD、歪み検出値ED、変位検出値XD、及び応力σのうちのいずれかである。応力σは、算出部614によって試験力検出値FDから算出される。
指定部611による第2センサー値D2の指定方法については、図3に示す平均速度設定画面700を参照して説明する。
【0042】
第2取得部612は、試験機本体2が引張試験を実行中に、複数のセンサー値を取得する。本実施形態では、第2取得部612は、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDを取得する。第2取得部612は、例えば、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDを、第1通信インターフェース53及び第2通信インターフェース63を介して、本体制御装置50から取得する。
第2取得部612は、取得した試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDをセンサー値記憶部622に記憶させる。
また、第2取得部612は、試験開始情報JS及び試験終了情報JEを、第1通信インターフェース53及び第2通信インターフェース63を介して、本体制御装置50から取得する。
第2取得部612は、「取得部」の一例に対応する。
【0043】
検出部613は、試験片TPの破断を検出する。検出部613は、例えば、以下のようにして、試験片TPの破断を検出する。検出部613は、まず、試験力検出値FDが最大値に到達したか否かを判定する。そして、試験力検出値FDが最大値に到達した場合に、検出部613は、試験力検出値FDが最大値に到達した後、試験力検出値FDが最大値の所定割合以下に下降したか否かを判定する。所定割合は、例えば、90%である。試験力検出値FDが最大値の所定割合以下に下降したと判定した場合に、検出部613は、試験片TPの破断を検出する。
検出部613は、試験片TPの破断を検出したときに、本体制御装置50に対して破断検出情報JBを送信する。
【0044】
算出部614は、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値D2について、算出範囲RGにおける平均速度SAを算出する。本実施形態では、算出部614は、試験力検出値FD、歪み検出値ED、及び変位検出値XDのうちの1つのセンサー値である第2センサー値D2について、算出範囲RGにおける平均速度SAを算出する。
平均速度SAは、例えば、次の式(1)で算出される。
SA=(D22-D21)/(T2-T1) (1)
ここで、第2センサー値D22は、終点EPにおける第2センサー値D2であり、第2センサー値D21は、始点SPにおける第2センサー値D2である。時間T2は、終点EPにおける経過時間Tであり、時間T1は、始点SPにおける経過時間Tである。
換言すれば、第2センサー値D2の平均速度SAは、始点SPから終点EPまでの算出範囲RGにおける第2センサー値D2の単位時間当たりの変化率である。
【0045】
また、算出部614は、試験力検出値FDから試験片TPに作用する応力σを算出する。本実施形態では、算出部614は、次の式(2)を用いて、応力σを算出する。
σ=FD/ST (2)
ここで、面積STは、試験片TPの断面積である。
また、算出部614は、応力σをセンサー値記憶部622に記憶させる。
また、算出部614は、応力σの平均速度SA、すなわち、平均応力速度Sσを、次の式(3)を用いて、算出する。
Sσ=(σ2-σ1)/(T2-T1) (3)
ここで、応力σ2は、終点EPにおける応力σであり、応力σ1は、始点SPにおける応力σである。
換言すれば、応力σ2の平均速度SAは、始点SPから終点EPまでの算出範囲RGにおける応力σの単位時間当たりの変化率である。
【0046】
本実施形態では、第1センサー値D1が歪み検出値EDであり、第2センサー値D2が試験力検出値FDである場合について説明する。第1センサー値D1が歪み検出値EDであり、第2センサー値D2が試験力検出値FDである場合は、「第2センサー値D2は、第1センサー値D1と相違する」場合の一例に対応する。
【0047】
出力制御部615は、表示機構65に種々の画像を表示させる。例えば、出力制御部615は、表示機構65のLCDに、例えば、平均速度設定画面700、及び算出範囲設定画面800を表示する。
出力制御部615は、「表示制御部」の一例に対応する。
平均速度設定画面700については、図3を参照して更に説明する。
算出範囲設定画面800については、図4を参照して更に説明する。
【0048】
また、出力制御部615は、プリンターPRに対して、印刷用紙等の記録媒体に、種々の画像を印刷させる。出力制御部615は、プリンターPRに対して、例えば、印刷画像900を印刷させる。
印刷画像900については、図6を参照して更に説明する。
【0049】
[4.設定画面]
次に、図3図5を参照して、出力制御部615がLCDに表示する画面について説明する。図3は、平均速度設定画面700の一例を示す画面図である。図3に示すように、平均速度設定画面700には、平均速度選択部710と、算出範囲表示部720とが表示される。算出範囲表示部720は、始点SPと終点EPとを規定する。
【0050】
平均速度選択部710は、例えば、第2操作機構64を介して、ユーザーからの指示を受け付けて、受け付けた指示に基づいて、算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2を指定する。
図3に示すように、平均速度選択部710は、平均応力速度選択部711と、平均歪み速度選択部712と、第1平均変位速度選択部713と、第2平均変位速度選択部714と、を含む。
【0051】
平均応力速度選択部711は、算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2として応力σを指定する場合に、例えば、ユーザーからのクリック操作を受け付ける。算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2として応力σを指定する場合には、算出部614は、平均速度SAとして平均応力速度Sσを算出する。平均応力速度Sσは、上述の式(3)によって算出される。
なお、平均応力速度選択部711に対応する算出範囲表示部720では、始点SPは、試験力検出値FDが「10N」として規定され、終点EPは、試験力検出値FDが「20N」として規定される。
【0052】
平均歪み速度選択部712は、算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2として歪み検出値EDを指定する場合に、例えば、ユーザーからのクリック操作を受け付ける。算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2として歪み検出値EDを指定する場合には、算出部614は、平均速度SAとして平均歪み速度SEを算出する。平均歪み速度は、上述の式(4)によって算出される。
SE=(ED2-ED1)/(T2-T1) (4)
ここで、歪み検出値ED2は、終点EPにおける歪み検出値EDであり、歪み検出値ED1は、始点SPにおける歪み検出値EDである。
なお、平均歪み速度選択部712に対応する算出範囲表示部720では、始点SPは、試験力検出値FDが「10N」として規定され、終点EPは、試験力検出値FDが「20N」として規定される。
【0053】
第1平均変位速度選択部713は、算出部614が、平均速度SAを算出する第2センサー値D2として変位検出値XDを指定し、且つ、歪みセンサー15が試験片TPに装着されている期間での平均値を算出する場合に、例えば、ユーザーからのクリック操作を受け付ける。算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2として変位検出値XDを指定する場合には、算出部614は、平均速度SAとして第1平均変位速度SX1を算出する。第1平均変位速度SX1は、次の式(5)によって算出される。
SX1=(XD2-XD1)/(T2-T1) (5)
ここで、変位検出値XD2は、終点EPにおける変位検出値XDであり、変位検出値XD1は、始点SPにおける変位検出値XDである。
なお、始点SPから終点EPまでの期間では、歪みセンサー15が試験片TPに装着されている。
また、第1平均変位速度選択部713に対応する算出範囲表示部720では、始点SPは、試験力検出値FDが「0N」として規定され、終点EPは、試験力検出値FDが始点SPの「1.00sec」後として規定される。
【0054】
第2平均変位速度選択部714は、算出部614が、平均速度SAを算出する第2センサー値D2として変位検出値XDを指定し、且つ、歪みセンサー15が試験片TPから取り外されている期間での平均値を算出する場合に、例えば、ユーザーからのクリック操作を受け付ける。算出部614が平均速度SAを算出する第2センサー値D2として変位検出値XDを指定する場合には、算出部614は、平均速度SAとして第2平均変位速度SX2を算出する。第2平均変位速度SX2は、次の式(6)によって算出される。
SX2=(XD2-XD1)/(T2-T1) (6)
なお、始点SPから終点EPまでの期間では、歪みセンサー15が試験片TPから取り外されている。
また、第2平均変位速度選択部714に対応する算出範囲表示部720では、始点SPは、試験力検出値FDが「100N」として規定され、終点EPは、試験力検出値FDが始点SPの「2.50sec」後として規定される。
【0055】
平均歪み速度選択部712がユーザーによってクリック操作された場合には、図4に示す算出範囲設定画面800が出力制御部615によって表示機構65のLCDに表示される。図4は、算出範囲設定画面800の一例を示す画面図である。
図4に示すように、算出範囲設定画面800には、平均速度表示部810と、算出範囲入力部820とが表示される。
平均速度表示部810には、平均速度SAとして算出される項目が表示される。図4では、平均速度表示部810には、例えば、「平均歪み速度」と表示され、平均速度SAとして平均歪み速度SEが算出部614によって算出されることを示している。
【0056】
算出範囲入力部820には、検出値選択部830と、始点入力部840と、終点入力部850と、が表示される。検出値選択部830は、検出値表示部831と、プルダウンメニュー表示部832と、を含む。
検出値表示部831は、第1センサー値D1を表示する。図4では、検出値表示部831に「試験力」と表示され、試験力検出値FDが第1センサー値D1として指定されていることを示す。
プルダウンメニュー表示部832は、第1センサー値D1として選択可能な項目をプルダウンメニューとして表示する場合に、ユーザーによってクリック操作される。プルダウンメニュー表示部832がクリック操作され場合には、図5に示すプルダウンメニュー833が、出力制御部615によって表示機構65のLCDに表示される。
【0057】
始点入力部840は、始点SPにおける試験力検出値FDの値が、ユーザーによって、例えば、第2操作機構64に配置されたキーボードを介して入力され、出力制御部615によって表示される。図4では、例えば、始点SPが「10N」に指定される。
終点入力部850は、終点EPにおける試験力検出値FDの値が、ユーザーによって、例えば、第2操作機構64に配置されたキーボードを介して入力され、出力制御部615によって表示される。図4では、例えば、終点EPが「20N」に指定される。
【0058】
次に、図5を参照してプルダウンメニュー833について説明する。図5は、算出範囲設定画面800のプルダウンメニュー833の一例を示す画面図である。
図5に示すように、検出値選択部830は、検出値表示部831と、プルダウンメニュー表示部832と、プルダウンメニュー833と、を含む。プルダウンメニュー833は、プルダウンメニュー表示部832が、ユーザーによってクリック操作された場合に、出力制御部615によって表示機構65のLCDに表示される。
プルダウンメニュー833には、第1センサー値D1として選択可能な項目が表示される。プルダウンメニュー833には、例えば、「試験力」、「応力」、「変位」、及び「歪み」と表示され、第1センサー値D1として、試験力検出値FD、応力σ、変位検出値XD、及び歪み検出値EDが選択可能である。
例えば、プルダウンメニュー833に表示された「変位」がクリック操作された場合には、検出値表示部831に「変位」と表示され、変位検出値XDが第1センサー値D1として指定されていることを示す。
【0059】
[5.印刷画像]
次に、図6を参照して、印刷画像900について説明する。図6は、印刷画像900の一例を示す図である。印刷画像900は、出力制御部615からの指示に従って、プリンターPRによって、印刷用紙等の記録媒体に印刷される。
図6に示すように、印刷画像900は、試験情報画像910と、試験結果画像920と、グラフ画像930とを含む。
【0060】
試験情報画像910は、試験情報として、試験が実行された年月日、及び試験条件を含む。
試験結果画像920は、試験結果として、平均応力速度Sσ、平均歪み速度SE、第1平均変位速度SX1、第2平均変位速度SX2を含む。例えば、平均歪み速度SEは、「0.00001」であり、第1平均変位速度SX1は、「0.01558」である。
【0061】
グラフ画像930には、例えば、横軸が経過時間T、縦軸が変位検出値XDであり、グラフG1は、変位検出値XDの経時変化を示す。
グラフG1に示すように、変位検出値XDは単調に増加する。グラフG1には、点P1及び点P2が記載されている。点P1は、試験力検出値FDが最大値となる点を示す。点P2は、試験片TPが破断する点を示す。
【0062】
[6.表示制御装置の処理]
次に、図7を参照して、表示制御装置60が実行する処理について説明する。
図7は、表示制御装置60の処理の一例を示すフローチャートである。図7では、第1センサー値D1が、例えば試験力検出値FDであり、第2センサー値D2が、例えば歪み検出値EDである場合について説明する。換言すれば、始点SP及び終点EPは、試験力検出値FDで指定され、算出部614は、平均速度SAとして平均歪み速度SEを算出する場合について説明する。
【0063】
図7に示すように、まず、ステップS101において、指定部611は、第1センサー値D1(例えば、試験力検出値FD)について、平均速度SAの算出範囲RGを規定する始点SPと終点EPとを指定する。
次に、ステップS103において、指定部611は、平均速度SAを算出する第2センサー値D2(例えば、歪み検出値ED)を指定する。
次に、ステップS105において、第2取得部612は、試験開始情報JSを本体制御装置50から取得する。試験開始情報JSは、試験機本体2が引張試験の実行を開始したことを示す。試験実行部511は、例えば、ユーザーからの指示に従って、試験機本体2が引張試験の実行を開始する。
次に、ステップS107において、第2取得部612は、第1センサー値D1として試験力検出値FDを取得する。
【0064】
次に、ステップS109において、算出部614は、第1センサー値D1としての試験力検出値FDが始点SPに到達したか否かを判定する。
試験力検出値FDが始点SPに到達していないと算出部614が判定した場合(ステップS109;NO)には、処理が待機状態になる。試験力検出値FDが始点SPに到達したと算出部614が判定した場合(ステップS109;YES)には、処理がステップS111に進む。
そして、ステップS111において、第1取得部512は、第2センサー値D2として歪み検出値EDを取得する。
【0065】
次に、ステップS113において、算出部614は、第1センサー値D1としての試験力検出値FDが終点EPに到達したか否かを判定する。
試験力検出値FDが終点EPに到達していないと算出部614が判定した場合(ステップS113;NO)には、処理が待機状態になる。試験力検出値FDが終点EPに到達したと算出部614が判定した場合(ステップS113;YES)には、処理がステップS115へ進む。
そして、ステップS115において、算出部614は、第2センサー値D2(歪み検出値ED)の平均速度SA、すなわち、平均歪み速度SEを算出する。
そして、ステップS117において、出力制御部615は、表示機構65のLCDに、平均速度SA、すなわち、平均歪み速度SEを表示する。その後、処理が終了される。
【0066】
ステップS101は、「指定ステップ」の一例に対応する。ステップS111は、「取得ステップ」の一例に対応する。ステップS115は、「算出ステップ」の一例に対応する。ステップS117は、「表示制御ステップ」の一例に対応する。
【0067】
[7.態様と効果]
上述した本実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0068】
(第1項)
本実施態様に関わる材料試験機は、表示機構を備え、平均速度を前記表示機構に表示する材料試験機であって、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する指定部と、材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得する取得部と、前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する算出部と、前記平均速度を前記表示機構に表示する表示制御部と、を備える。
【0069】
第1項に記載の材料試験機によれば、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する。そして、材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得し、前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する。また、前記平均速度を前記表示機構に表示する。
よって、第1センサー値について、平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定するため、平均速度の算出範囲としてユーザーが所望する範囲を指定できる。また、材料試験を実行中に、平均速度を表示できる。したがって、材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を表示できる。その結果、材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を確認できる。
【0070】
(第2項)
第1項に記載の材料試験機において、前記第2センサー値は、前記第1センサー値と相違する。
【0071】
第2項に記載の材料試験機によれば、前記第2センサー値は、前記第1センサー値と相違する。
従来は、前記第2センサー値が前記第1センサー値と相違する場合には、前記第2センサー値が前記第1センサー値と同一である場合と比較して、算出範囲における平均速度を算出することに要する手間が大きかった。したがって、材料試験を実行中に、ユーザーが所望する範囲における平均速度を確認できるという効果を更に顕在化できる。
【0072】
(第3項)
第1項又は第2項に記載の材料試験機において、試験力を検出する試験力センサー、変位を検出する変位センサー、及び、試験片の歪みを検出する歪みセンサーを備え、前記複数のセンサー値は、前記試験力センサーが検出した試験力検出値、前記変位センサーが検出した変位検出値、及び、前記歪みセンサーが検出した歪み検出値を含む。
【0073】
第3項に記載の材料試験機によれば、前記複数のセンサー値は、前記試験力センサーが検出した試験力検出値、前記変位センサーが検出した変位検出値、及び、前記歪みセンサーが検出した歪み検出値を含む。
よって、ユーザーは、試験力検出値、変位検出値、及び歪み検出値の中から第1センサー値を指定できる。また、ユーザーは、試験力検出値、変位検出値、及び歪み検出値の中から第2センサー値を指定できる。したがって、ユーザーの利便性を向上できる。
【0074】
(第4項)
第3項に記載の材料試験機において、前記第1センサー値が前記歪み検出値である場合に、前記指定部は、前記終点をユーザーからの前記歪みセンサーを前記試験片から取り外す操作に応じて指定する。
【0075】
第4項に記載の材料試験機によれば、前記第1センサー値が前記歪み検出値である場合に、前記指定部は、前記終点をユーザーからの前記歪みセンサーを前記試験片から取り外す操作に応じて指定する。
よって、前記第1センサー値が前記歪み検出値である場合に、前記終点をユーザーからの前記歪みセンサーを前記試験片から取り外す操作に応じて指定できる。したがって、歪みセンサーを試験片から取り外すタイミングを、前記終点として指定できる。その結果、ユーザーの利便性を向上できる。
【0076】
(第5項)
第3項に記載の材料試験機において、前記算出部は、前記試験力検出値から前記試験片に作用する応力を算出し、前記算出範囲における前記応力の平均速度を算出する。
【0077】
第5項に記載の材料試験機によれば、前記算出部は、前記試験力検出値から前記試験片に作用する応力を算出し、前記算出範囲における前記応力の平均速度を算出する。
よって、材料試験を実行中に、算出範囲における前記応力の平均速度を算出できる。したがって、材料試験を実行中に、算出範囲における前記応力の平均速度を表示できる。その結果、材料試験を実行中に、算出範囲における前記応力の平均速度を確認できる。
【0078】
(第6項)
第3項に記載の材料試験機において、前記試験片の破断を検出する検出部を備え、前記指定部は、前記終点を前記検出部が前記試験片の破断を検出したときに指定する。
【0079】
第6項に記載の材料試験機によれば、前記試験片の破断を検出する検出部を備え、前記指定部は、前記終点を前記検出部が前記試験片の破断を検出したときに指定する。
よって、前記終点を前記検出部が前記試験片の破断を検出したときに指定できる。したがって、ユーザーの利便性を向上できる。
【0080】
(第7項)
本実施態様に関わる材料試験機の表示制御方法は、制御装置と表示機構とを備え、平均速度を前記表示機構に表示する材料試験機の表示制御方法であって、前記制御装置が、複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第1センサー値について、前記平均速度の算出範囲を規定する始点と終点とを、予め指定する指定ステップと、材料試験を実行中に、前記複数のセンサー値を取得する取得ステップと、前記複数のセンサー値のうちの1つのセンサー値である第2センサー値について、前記算出範囲における前記平均速度を算出する算出ステップと、前記平均速度を前記表示機構に表示する表示制御ステップと、を含む。
【0081】
第7項に記載の材料試験機の表示制御方法によれば、第1項に記載の材料試験機と同様の作用効果を奏する。
【0082】
[8.その他の実施形態]
なお、本実施形態に係る引張試験機1は、あくまでも本発明に係る材料試験機の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
【0083】
例えば、本実施形態では、材料試験機が引張試験機1である場合について説明するが、これに限定されない。材料試験機が試験片TPに試験力を付与し、試験片TPを変形させて材料試験を行えばよい。例えば、材料試験機が、圧縮試験機、曲げ試験機、又はねじり試験機でもよい。
【0084】
本実施形態では、引張試験機1が本体制御装置50と表示制御装置60とを別体として備える場合について説明したが、これに限定されない、例えば、本体制御装置50と表示制御装置60とが、一体に構成されてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、表示制御装置60が、指定部611と、検出部613と、算出部614と、出力制御部615と、センサー値記憶部622と、を備える場合について説明したが、これに限定されない。例えば、本体制御装置50が、指定部611と、検出部613と、算出部614と、出力制御部615と、センサー値記憶部622と、を備えてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、表示制御装置60が、表示機構65を備える場合について説明したが、これに限定されない。例えば、表示機構65が、表示制御装置60とは別体として構成され、表示制御装置60と通信可能に構成されてもよい。
【0087】
また、図2に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、具体的な実装形態は特に制限されない。つまり、必ずしも各機能部に個別に対応するハードウェアが実装される必要はなく、一つのプロセッサがプログラムを実行することで複数の機能部の機能を実現する構成とすることも勿論可能である。また、上記実施形態においてソフトウェアで実現される機能の一部をハードウェアで実現してもよく、或いは、ハードウェアで実現される機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0088】
また、図7に示すフローチャートの処理単位は、表示制御装置60の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。図7のフローチャートに示す処理単位の分割の仕方や名称によって制限されることはなく、処理内容に応じて、更に多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0089】
また、図2を参照して説明したように、本実施形態では、表示制御装置60が備える第2プロセッサ61に、第2メモリ62に記憶された第2制御プログラム621を実行させる。この第2制御プログラム621は、コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体に記録しておくことも可能である。記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリデバイスを用いることができる。
具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。
また、記録媒体は、表示制御装置60が備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。また、第2制御プログラム621をサーバー装置等に記憶させておき、サーバー装置から表示制御装置60に、第2制御プログラム621をダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 引張試験機(材料試験機)
2 試験機本体
3 制御ユニット
50 本体制御装置
60 表示制御装置
60A 第2制御部(制御装置)
61 第2プロセッサ
611 指定部
612 第2取得部(取得部)
613 検出部
614 算出部
615 出力制御部(表示制御部)
62 第2メモリ
621 第2制御プログラム
622 センサー値記憶部
65 表示機構
D1 第1センサー値
D2 第2センサー値
ED 歪み検出値
FD 試験力検出値
XD 変位検出値
SP 始点
EP 終点
JB 破断検出情報
JE 試験終了情報
JS 試験開始情報
SA 平均速度
SE 平均歪み速度
SX1 第1平均変位速度
SX2 第2平均変位速度
Sσ 平均応力速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7